(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096222
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】燃料用油水分離装置
(51)【国際特許分類】
F02M 37/24 20190101AFI20230630BHJP
F16K 31/18 20060101ALI20230630BHJP
B01D 17/025 20060101ALI20230630BHJP
B01D 17/032 20060101ALI20230630BHJP
B01D 17/12 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
F02M37/24
F16K31/18 C
B01D17/025 501Z
B01D17/032 501B
B01D17/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211816
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】516215970
【氏名又は名称】有限会社ウエスト興業八頭
(74)【代理人】
【識別番号】100187838
【弁理士】
【氏名又は名称】黒住 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100220892
【弁理士】
【氏名又は名称】舘 佳耶
(74)【代理人】
【識別番号】100205589
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 和将
(74)【代理人】
【識別番号】100194478
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 文彦
(72)【発明者】
【氏名】大野 憲一
【テーマコード(参考)】
3H068
【Fターム(参考)】
3H068AA01
3H068BB32
3H068DD12
3H068FF20
3H068GG14
(57)【要約】
【課題】 油水分離槽内でフロートが傾いたり、フロートの水平位置がずれたりしても、フロートで燃料送出部を塞いで、油水分離槽内の水が燃料送出部に流れ込まないようにすることができる燃料用油水分離装置を提供する。
【解決手段】
燃料導入部11a及び燃料送出部11bを有する油水分離槽11と、油水分離槽11内に収容されたフロート12とを備え、油水分離槽11内の底部に水が溜まるにつれてフロート12が上昇して燃料送出部11bを塞ぐ構造の燃料用油水分離装置10において、燃料送出部11b周辺に、略球面状を為す球面状凹部β
1を下向きに設けるとともに、フロート12の上面に、球面状凹部β
1と略同一半径の球面状を為す上側球面状凸部β
2を設け、油水分離槽11の水位が上昇し、フロート12が油水分離槽11内を所定の高さまで上昇すると、上側球面状凸部β
2が球面状凹部β
1に嵌まり込むようにした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料導入部及び燃料送出部を有する油水分離槽と、
油水分離槽内に収容されたフロートと
を備え、
油水分離槽内の底部に水が溜まるにつれてフロートが上昇して燃料送出部を塞ぐ構造の燃料用油水分離装置であって、
燃料送出部周辺に、略球面状を為す球面状凹部が下向きに設けられるとともに、
前記フロートの上面に、球面状凹部と略同一半径の球面状を為す上側球面状凸部が設けられ、
油水分離槽の水位が上昇し、前記フロートが油水分離槽内を所定の高さまで上昇すると、上側球面状凸部が球面状凹部に嵌まり込むようにした
ことを特徴とする燃料用油水分離装置。
【請求項2】
前記フロートの下面に、球面状凹部と略同一半径の球面状を為す下側球面状凸部が設けられた請求項1記載の燃料用油水分離装置。
【請求項3】
油水分離槽内における前記フロートの上下位置を検出するフロート検出センサを備えた請求項1又は2記載の燃料用油水分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料から水分を分離する燃料用油水分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料タンクに溜まった水がディーゼルエンジンに流れ込むと、エンジンが故障するおそれがある。このため、ディーゼルエンジンで駆動する機械(バックホー等)や車両(ダンプトラック等)では、燃料タンクとエンジンとの間に油水分離装置を設け、燃料から水分を分離することが行われている。この種の油水分離装置としては、これまでに各種のものが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1の第1図には、クッションタンク2(油水分離槽)を用いて燃料の油水分離を行う油水分離装置が記載されている。特許文献1の油水分離装置において、燃料は、インレットホース4a(燃料導入部)を通じて油水分離槽2内に導入される。油水分離槽2に入った燃料は、水と油の比重の違いから、油からなる上層と、水からなる下層とに分かれる。上層の油は、アウトレットホース4b(燃料送出部)を通じて油水分離槽2外へ送り出され、エンジンへと供給される。下層の水は、油水分離槽2の底部に設けられた排出口2b(水抜き部)から油水分離槽2外へと排出される。水の排出を行わないときには、キャップ6で水抜き部2bが塞がれる。
【0004】
この特許文献1の油水分離装置において、油水分離槽2の内部には、栓体10(フロート)が収容されている。フロート10は、油よりも比重が大きく、水よりも比重が小さくなっている。このため、フロート10は、上層(油)と下層(水)との境界面付近に位置する。下層の水が全て排出されると、フロート10が、油水分離槽2の底部に沈み、上記の水抜き部2bを塞ぐ。油水分離槽2の底部に水が再び溜まり始めると、フロート10が浮き、水抜き部2bが開いて、下層の水を排出することが可能な状態となる。
【0005】
また、特許文献2の
図2には、エンジンではなく、暖房機や湯沸かし器に使用されるものではあるものの、ポット3(油水分離槽)を用いて燃料の油水分離を行う油水分離装置が記載されている。特許文献2の油水分離装置も、特許文献1の油水分離装置と同様、水と油の比重の違いを利用して油水分離を行うものとなっている。特許文献2の油水分離装置は、油水分離槽3内にフロート4が収容されている点でも、特許文献1の油水分離装置と同様である。しかし、特許文献2の油水分離装置では、特許文献1の油水分離装置とは異なり、油水分離槽3内に水がある程度溜まったときに、油水分離槽3の上部の送出孔2b(燃料送出部)がフロート4で塞がれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平03-026301号公報
【特許文献2】特開2002-013727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の油水分離装置では、油水分離槽から水が排出された際に、水抜き部がフロートで自動的に塞がれることから、油水分離槽内の油が水抜き部から排出されないようにすることができる。しかし、油水分離槽に水が溜まり、その水位が油水分離槽の上部に達すると、その水が燃料送出部を通じて油水分離槽外へと送出される。このため、水を含んだ燃料がエンジン等に供給されるおそれがあった。
【0008】
これに対し、特許文献2の油水分離装置では、油水分離槽に水が溜まり、その水位が油水分離槽の上部に達したときに、燃料送出部がフロートで自動的に塞がれる(エンジン等への燃料の供給が自動的に停止される)ことから、油水分離槽内に溜まった水がエンジン等に流れ込まないようになっている。しかし、フロートが傾くと、フロートと燃料送出部との間に隙間が生じる。また、フロートの水平位置がずれると、フロートと燃料送出部とが上下に重ならなくなり、油水分離槽内をフロートが上昇しても、燃料送出部がフロートで塞がれなくなるおそれがある。
【0009】
この点、特許文献2の油水分離装置では、フロートを円柱状に形成するとともに、フロートの外径を油水分離槽の内径と略同一にすることで、フロートの外周部が油水分離槽の内周部で案内されるようにしている。しかし、このように、フロートの外径を大きくすると、油水分離槽内の燃料の流れがフロートによって阻害される。このため、フロートの上側の水が、フロートの下側に移動しにくくなる。したがって、フロートの上側に水が残り、その水が燃料送出部から送出されるおそれがある。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、油水分離槽内でフロートが傾いたり、フロートの水平位置がずれたりしても、フロートで燃料送出部を塞いで、油水分離槽内の水が燃料送出部に流れ込まないようにすることができる燃料用油水分離装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は、
燃料導入部及び燃料送出部を有する油水分離槽と、
油水分離槽内に収容されたフロートと
を備え、
油水分離槽内の底部に水が溜まるにつれてフロートが上昇して燃料送出部を塞ぐ構造の燃料用油水分離装置であって、
燃料送出部周辺に、略球面状を為す球面状凹部が下向きに設けられるとともに、
前記フロートの上面に、球面状凹部と略同一半径の球面状を為す上側球面状凸部が設けられ、
油水分離槽の水位が上昇し、前記フロートが油水分離槽内を所定の高さまで上昇すると、上側球面状凸部が球面状凹部に嵌まり込むようにした
ことを特徴とする燃料用油水分離装置
を提供することによって解決される。
【0012】
本発明の燃料用油水分離装置では、油水分離槽内を上昇したフロートが傾いた状態であっても、フロートの上側球面状凸部が燃料送出部側の球面状凹部に嵌まり込むので、フロートと燃料送出部との間に隙間が生じにくい。また、フロートの水平位置がずれていても、フロートの上側球面状凸部のいずれかの部分が、燃料送出部側の球面状凹部と上下方向に重なってさえいれば、上側球面状凸部が球面状凹部に案内されて、上側球面状凸部が球面状凹部に嵌まり込む。このため、油水分離槽内の水が燃料送出部に流れ込まないようにすることができる。
【0013】
このように、本発明の燃料用油水分離装置では、フロートが傾いたり、フロートの水平位置がずれたりしても、特に大きな問題は生じない。このため、フロートの寸法を小さく抑えることもできる。したがって、油水分離槽内の燃料の流れがフロートによって阻害されにくくし、フロートの上側の水が、フロートの下側に移動しやすくすることができる。ただし、フロートの寸法を小さくすると、油水分離槽内でフロートがひっくり返って(フロートの上下が反転して)、上側球面状凸部が下向きとなり、上側球面状凸部が球面状凹部に嵌まり込むことができなくなる。
【0014】
このため、本発明の燃料用油水分離装置においては、フロートの下面に、球面状凹部と略同一半径の球面状を為す下側球面状凸部を設けることが好ましい。これにより、油水分離槽内でフロートがひっくり返っても、上向きとなった下側球面状凸部が球面状凹部に嵌まり込み、油水分離槽から燃料送出部への燃料の流れを遮断することが可能となる。
【0015】
本発明の燃料用油水分離装置においては、油水分離槽内における前記フロートの上下位置を検出するフロート検出センサを設けることが好ましい。これにより、フロートが燃料送出部を塞いだことを検知することが可能になる。また、ライトや画像表示装置やスピーカー等の出力装置を接続すれば、フロートが燃料送出部を塞いだときに、その出力装置で警報を出力することも可能になる。フロート検出センサを所定の上下間隔で配置したり、フロート検出センサとしてレベルセンサを用いたりすることで、油水分離槽内におけるどの位置にフロートがあるのか(あとどれくらいでフロートが燃料送出部を塞ぐのか)を知ることも可能になる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によって、油水分離槽内でフロートが傾いたり、フロートの水平位置がずれたりしても、フロートで燃料送出部を塞いで、油水分離槽内の水が燃料送出部に流れ込まないようにすることができる燃料用油水分離装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の燃料用油水分離装置を使用した燃料供給システムのブロック図である。
【
図2】本発明の燃料用油水分離装置の断面図であって、フロートが燃料送出部を閉塞していない状態を示した図である。
【
図3】本発明の燃料用油水分離装置の断面図であって、フロートが燃料送出部を閉塞した状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の燃料用油水分離装置の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。以下で述べる構成は、飽くまで好適な実施形態であり、本発明の燃料用油水分離装置の技術的範囲は、以下で述べる構成に限定されない。本発明の燃料用油水分離装置には、発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更を施すことができる。
【0019】
図1は、本発明の燃料用油水分離装置10を使用した燃料供給システムのブロック図である。本発明の燃料用油水分離装置10は、例えば、
図1に示す燃料供給システムに組み込むことができる。この燃料供給システムは、燃料を貯留するための燃料タンク20と、燃料を燃焼させることで所定の機能を発揮する燃焼機器30と、燃料タンク20内の燃料を燃焼機器30に供給する燃料供給管40とを備えている。本実施形態においては、燃料供給管40の中途部分に、燃料用油水分離装置10を介在させている。
【0020】
これにより、燃料タンク20内の燃料に水が含まれている場合であっても、燃料用油水分離装置10で燃料を水と油に分離し、水分が取り除かれた後の油分のみを燃焼機器30に供給することが可能となる。このため、燃焼機器30の不調や故障を防ぐことができる。燃焼機器30は、ヒータ等であってもよいが、通常、エンジンとされる。なかでも、燃焼機器30がディーゼルエンジンの場合に、本発明の燃料用油水分離装置10を好適に使用することができる。というのも、ディーゼルエンジンは、水に弱く、本発明の燃料用油水分離装置10を使用して水の混入を防ぐメリットが大きいからである。ディーゼルエンジンは、ショベルカー等のバックホーやダンプトラック等の車両で用いられる。燃焼機器30がディーゼルエンジンの場合には、燃料に軽油が用いられる。
【0021】
図2は、燃料用油水分離装置10の断面図である。
図2に示すように、燃料用油水分離装置10は、油水分離槽11とフロート12とを備えている。油水分離槽11の上部には、燃料導入部11aと燃料送出部11bとが設けられており、燃料用油水分離装置10の下部(底部)には、水抜き部11cが設けられている。油水分離槽11やフロート12の形態は、特に限定されないが、本実施形態においては、油水分離槽11を円筒状とし、フロート12を円盤状としている。
【0022】
燃料導入部11aは、油水分離槽11内に燃料50を導入するための部分である。この燃料導入部11aは、燃料供給管40を介して燃料タンク20(
図1)に接続される。燃料送出部11bは、油水分離槽11外へ燃料50を送出するための部分である。この燃料送出部11bは、燃料供給管40を介して燃焼機器30(
図1)に接続される。燃料導入部11a及び燃料送出部11bは、通常、油水分離槽11の上部に設けられる。油水分離槽11に導入された燃料50は、油分だけでなく、水分が含まれる場合もあるところ、油の方が水よりも比重が小さいことから、燃料50は、油水分離槽11内で、油52からなる上層L
1と、水51からなる下層L
2とに分離する。このため、油水分離槽11の上部にある燃料送出部11bからは、水51が分離された後の燃料50(油52)が送出される。
【0023】
水抜き部11cは、油水分離槽11に溜まった水51を油水分離槽11外へ排出するための部分である。水抜き部11cは、通常、油水分離槽11の下部(底部)に設けられる。この水抜き部11cには、バルブやキャップ等の開閉手段13が設けられる。この開閉手段13を開くと、下層L2の油52が油水分離槽11から排出され、開閉手段13を閉じると、その排出が止まる。この水抜き部11cを通じて油水分離槽11内の水51を定期的に排出することで、油水分離槽11内で水51がオーバーフローしないようにすることができる。
【0024】
フロート12は、油水分離槽11内に収容されている。このフロート12は、水51よりも比重が小さく、且つ、油52よりも比重が大きくなるように、その重量を調整している。このため、フロート12は、油水分離槽11内において、上層L
1(油52)と下層L
2(水51)との界面付近を浮遊した状態となる。油水分離槽11内の水位が上昇する(油水分離槽11内に水51が溜まる)につれて、フロート12も上昇する。水51が油水分離槽11の上部付近まで溜まると、
図3に示すように、フロート12が燃料送出部11bを塞ぐ。
図3は、燃料用油水分離装置10の断面図であって、フロート12が燃料送出部11bを閉塞した状態を示した図である。これにより、燃焼機器30への燃料50の供給が停止される。このため、燃焼機器30へ水51が混入しないようにすることができる。燃料送出部11bは、燃料導入部11aよりも低い位置に配しており、油水分離槽11内を上昇するフロート12が、燃料導入部11aよりも先に燃料送出部11bを塞ぐようにしている。
【0025】
フロート12の外径R
1(
図2)は、油水分離槽11の内径R
2(
図2)と同等としてもよい。しかし、この場合には、フロート12の外周面と油水分離槽11の内周面との隙間α(
図2)が小さくなり、フロート12の上側にある水が、フロート12の下側に移動しにくくなる。このため、本実施形態においては、フロート12の外径R
1を油水分離槽11の内径R
2よりも小さくしている。これにより、隙間αを広く確保し、フロート12の上側にある水が、その隙間αを通じて、フロート12の下側に移動しやすくなっている。
【0026】
ただし、隙間αを広くすると、油水分離槽11内でフロート12が傾きやすくなるだけでなく、フロート12が水平方向に動きやすくなる。このため、フロート12が燃料送出部11bに当たるときに、フロート12が傾いていたり、燃料送出部11bの真下からフロート12がずれていたりして、燃料送出部11bがフロート12で完全には塞がれなくなり、燃料送出部11bとフロート12と隙間から、水51を含む燃料50が燃料送出部11bから送出されるおそれがある。この点、本発明の燃料用油水分離装置10では、以下の構造を採用することによって、そのような不具合が生じないようにしている。
【0027】
すなわち、燃料送出部11bの周辺に、略球面状を為す球面状凹部β1を下向きに設けるとともに、フロート12の上面に、球面状を為す上側球面状凸部β2を設けている。球面状凹部β1は、燃料送出部11bの開口端を囲む状態でシェード状(かさ状)に設けている。球面状凹部β1における球面の半径と、上側球面状凸部β2における球面の半径は、略同一に設定している。このため、フロート12が傾いた状態であっても、上側球面状凸部β2が球面状凹部β1に嵌まり込んで密着するようになっている。また、フロート12の中心が燃料送出部11bの真下からずれていても、上側球面状凸部β2のいずれかの部分が、球面状凹部β1と上下方向に重なってさえいれば、球面状凹部β1によって上側球面状凸部β2が案内されて、上側球面状凸部β2が球面状凹部β1に嵌まり込み、フロート12が燃料送出部11bを塞ぐ位置に自然と移動するようになっている。
【0028】
また、本実施形態においては、フロート12の下面に、球面状を為す下側球面状凸部β3を設けている。下側球面状凸部β3における球面の半径は、球面状凹部β1における球面の半径と略同一に設定している。これにより、油水分離槽11内でフロート12がひっくり返って(フロート12の上下が反転して)、上側球面状凸部β2が下向きとなっても、上側球面状凸部β2の代わりに下側球面状凸部β3が球面状凹部β1に嵌まり込むことで、燃料送出部11bを塞ぐことができる。
【0029】
ところで、本実施形態においては、油水分離槽11の外側に、フロート検出センサ14を取り付けている。このフロート検出センサ14は、油水分離槽11内における、フロート12の上下位置を検出するためのものである。これにより、フロート12が燃料送出部11bを塞いだことを検知することができる。また、このフロート検出センサ14に、図示省略の出力装置を接続すれば、フロート12が燃料送出部11bを塞いだときに、その出力装置で警報を出力することもできる。フロート検出センサ14には、光電センサや近接センサ等、各種のセンサを用いることができる。
【0030】
光電センサとしては、透過型のものや反射型のものが例示される。透過型や反射型の光電センサは、受光部と発光部とを備えている。透過型の光電センサでは、受光部と発光部とが、油水分離槽11を挟んで反対側に設置される。発光部と受光部との間に物体(フロート12)が入ったときに、発光部から出射された光が受光部に入射されなくなることによって、発光部と受光部との間に物体(フロート12)が入ったことを検知することができる。
【0031】
一方、反射型の光電センサでは、発光部と受光部とが油水分離槽11の同じ側に設置される。発光部の発光側に物体(フロート12)が来ると、発光部から出射された光が物体(フロート12)の表面で反射し、受光部に入射することで、発光部の前側に物体(フロート12)が来たことを検知することができる。
【0032】
フロート検出センサ14として光電センサを用いる場合には、油水分離槽11を、透光性を有する材料で形成しておく必要がある。これに対し、フロート検出センサ14として近接センサを用いる場合には、油水分離槽11を、透光性を有さない材料で形成することができる。ただし、近接センサは、静電容量の変化で物体(フロート12)の存在を検知するため、物体(フロート12)に金属部分を設ける必要がある。
【0033】
また、複数のフロート検出センサ14を所定の上下間隔で配置することや、フロート検出センサ14としてレベルセンサを用いることや、フロート検出センサとしてイメージセンサを用いることで、フロート12が特定の位置に来たことだけでなく、油水分離槽11内におけるどの位置にフロート12があるのかを知ることが可能になる。
【符号の説明】
【0034】
10 燃料用油水分離装置
11 油水分離槽
11a 燃料導入部
11b 燃料送出部
11c 水抜き部
12 フロート
13 開閉手段
14 フロート検出センサ
20 燃料タンク
30 燃焼機器
40 燃料供給管
50 燃料
51 油
52 水
L1 上層
L2 下層
α フロートの外周面と油水分離槽の内周面との隙間
β1 球面状凹部
β2 上側球面状凸部
β3 下側球面状凸部