(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009624
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】ゲート駆動回路および電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 1/08 20060101AFI20230113BHJP
H03K 17/08 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
H02M1/08 A
H03K17/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021113061
(22)【出願日】2021-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 和靖
(72)【発明者】
【氏名】葛巻 淳彦
(72)【発明者】
【氏名】松下 晃久
(72)【発明者】
【氏名】餅川 宏
【テーマコード(参考)】
5H740
5J055
【Fターム(参考)】
5H740BA12
5H740BB09
5H740BC01
5H740BC02
5H740JA01
5H740JB01
5H740KK01
5H740MM01
5J055AX25
5J055AX32
5J055BX16
5J055DX12
(57)【要約】
【課題】 スイッチングデバイスにおけるサージ電圧を抑制するとともに、スイッチング損失を低減する。
【解決手段】 実施形態によるゲート駆動回路は、スイッチングデバイス1の第1端子と第2端子との間の端子間電圧を検出する電圧検出部7と、電圧検出部7から取得した端子間電圧の検出値を所定時間遅延させて出力する遅延部8と、スイッチングデバイス1をオフするときに、スイッチングデバイス1の制御端子に制御信号を印加する第1オフ用駆動部5および第2オフ用駆動部6と、を備え、第1オフ用駆動部5は、第2オフ用駆動部6よりも高速でスイッチングデバイス1をオフすることができ、遅延部8から出力された遅延後の電圧検出値が所定の閾値を超えたときに動作を停止する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチングデバイスの第1端子と第2端子との間の端子間電圧を検出する電圧検出部と、
前記電圧検出部から取得した前記端子間電圧の検出値を所定時間遅延させて出力する遅延部と、
前記スイッチングデバイスをオフするときに、前記スイッチングデバイスの制御端子に制御信号を印加する第1オフ用駆動部および第2オフ用駆動部と、を備え、
前記第1オフ用駆動部は、前記第2オフ用駆動部よりも高速で前記スイッチングデバイスをオフすることができ、前記遅延部から出力された遅延後の電圧検出値が所定の閾値を超えたときに動作を停止する、ゲート駆動回路。
【請求項2】
前記遅延部における遅延時間は、前記スイッチングデバイスのオフ完了時の前記端子間電圧の値を、前記スイッチングデバイスがオフされるときの前記端子間電圧の変化率の最大値で割った値よりも小さい、請求項1記載のゲート駆動回路。
【請求項3】
前記遅延部は、前記スイッチングデバイスの遮断電流を取得し、取得した遮断電流の値に応じて遅延させる時間を調整する、請求項1記載のゲート駆動回路。
【請求項4】
前記端子間電圧を検出する第2電圧検出部と、
前記第2電圧検出部で検出された前記端子間電圧の検出値と、前記スイッチングデバイスの動作を制御する上位制御信号の値とに基づいて、前記スイッチングデバイスの短絡を判定し、前記スイッチングデバイスが短絡していると判定したときに前記第1オフ用駆動部および前記第2オフ用駆動部を停止するとともに強制遮断信号を出力する判定部と、
前記強制遮断信号を受信したときに、前記スイッチングデバイスを遮断する短絡保護用遮断動作部と、を更に備えた請求項1記載のゲート駆動回路。
【請求項5】
前記電圧検出部で検出された前記端子間電圧の検出値と、前記スイッチングデバイスの動作を制御する上位制御信号の値とに基づいて、前記スイッチングデバイスの短絡を判定し、前記スイッチングデバイスが短絡していると判定したときに前記第1オフ用駆動部を停止するとともに、前記第2オフ用駆動部に強制遮断信号を出力する判定部を更に備え、
前記第2オフ用駆動部は、前記強制遮断信号を受信したときに前記スイッチングデバイスを遮断する、請求項1記載のゲート駆動回路。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のゲート駆動回路と、
前記ゲート駆動回路から出力される制御信号により動作を制御される前記スイッチングデバイスと、を備えた電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ゲート駆動回路および電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力変換装置には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)などの電力用スイッチングデバイスが搭載されており、電力用スイッチングデバイスがスイッチング動作を行うことにより、所望の電力変換を行っている。
【0003】
電力用スイッチングデバイスがターンオフする時には、サージ電圧が発生したり、ターンオフ損失が発生したりする。例えば電力用スイッチングデバイスにて発生したサージ電圧が、電力用スイッチングデバイスの耐電圧値を超過すると、電力用スイッチングデバイスが破壊され、電力変換装置の故障の原因となる。一方で、ターンオフ損失が増大すると、電力用スイッチングデバイスの温度が上昇する。その結果、電力用スイッチングデバイスの温度が温度許容値を超過すると、電力用スイッチングデバイスが破壊され、電力変換装置の故障の原因となる。
【0004】
一般的に、電力用スイッチングデバイスにおけるサージ電圧とターンオフ損失とはトレードオフの関係がある。例えば、電力用スイッチングデバイスのターンオフの速度を緩めると、サージ電圧は低減し、ターンオフ損失は増大する。
【0005】
従来、SiC(シリコンカーバイト)などの新材料を適用した電力用スイッチングデバイスを用いることで、電力用スイッチングデバイスのスイッチングスピードを高速化することにより、電力用スイッチングデバイスのターンオフ損失を低減することが提案されている。また、電力用スイッチングデバイスの駆動方法を工夫することにより、ターンオフ損失を低減することも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-34770号公報
【特許文献2】特開2015-29378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えばSiCなどの新材料を用いた電力用スイッチングデバイスを搭載した電力変換装置では、各部品の遅延などを考慮すると、ゲート駆動速度の切替が電力用スイッチングデバイスの切替動作に間に合わず、サージ電圧を抑制できない恐れがあった。
【0008】
本発明の実施形態は上記事情を鑑みて成されたものであって、スイッチングデバイスにおけるサージ電圧を抑制するとともに、スイッチング損失を低減するゲート駆動回路および電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態によるゲート駆動回路は、スイッチングデバイスの第1端子と第2端子との間の端子間電圧を検出する電圧検出部と、前記電圧検出部から取得した前記端子間電圧の検出値を所定時間遅延させて出力する遅延部と、前記スイッチングデバイスをオフするときに、前記スイッチングデバイスの制御端子に制御信号を印加する第1オフ用駆動部および第2オフ用駆動部と、を備え、前記第1オフ用駆動部は、前記第2オフ用駆動部よりも高速で前記スイッチングデバイスをオフすることができ、前記遅延部から出力された遅延後の電圧検出値が所定の閾値を超えたときに動作を停止する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態の電力変換装置の一構成例を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態のゲート駆動回路の一構成例を概略的に示す図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すオフ用低速駆動部とオフ用高速駆動部とにおける抵抗値とサージ電圧との関係を概略的に示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態において、スイッチングデバイスをターンオフする際のゲート駆動回路の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【
図5】
図5は、第2実施形態のゲート駆動回路の一構成例を概略的に示す図である。
【
図6】
図6は、電力変換装置の運転状態によるスイッチングデバイスの特性の変化の一例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、電力変換装置の運転状態によるスイッチングデバイスの特性の変化の他の例を説明するための図である。
【
図8】
図8は、電力変換装置の運転状態によるスイッチングデバイスの特性の変化の他の例を説明するための図である。
【
図9】
図9は、第3実施形態のゲート駆動回路の一構成例を概略的に示す図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態において、遅延部が第1オフ用高速駆動部と第2オフ用高速駆動部との動作状態を切り替える動作の一例を説明するための図である。
【
図11】
図11は、第3実施形態において、スイッチングデバイスをターンオフする際のゲート駆動回路の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【
図12】
図12は、第4実施形態のゲート駆動回路の一構成例を概略的に示す図である。
【
図13】
図13は、第4実施形態において、切替部が第1オフ用低速駆動部と第2オフ用低速駆動部との動作状態を切り替える動作の一例を説明するための図である。
【
図14】
図14は、第4実施形態において、スイッチングデバイスをターンオフする際のゲート駆動回路の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【
図15】
図15は、第5実施形態のゲート駆動回路の一構成例を概略的に示す図である。
【
図16】
図16は、第5実施形態において、スイッチングデバイスをターンオンする際のゲート駆動回路の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【
図17】
図17は、第6実施形態のゲート駆動回路の一構成例を概略的に示す図である。
【
図18】
図18は、第6実施形態において、スイッチングデバイスをターンオンする際のゲート駆動回路の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態のゲート駆動回路および電力変換装置について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、第1実施形態の電力変換装置の一構成例を概略的に示す図である。
本実施形態の電力変換装置は、複数のスイッチングデバイス1と、駆動回路200と、を備えている。電力変換装置は、例えば、図示しない直流電源(又は直流負荷)と、交流負荷(又は交流電源)ACLとの間に接続されている。
【0012】
電力変換装置は、例えば、U相、V相およびW相のレグを備えた三相交流電力変換装置である。各相レグは、高電位側の直流主回路と低電位側の直流主回路との間に接続されている。各相レグは上アームと下アームとを含み、上アームと下アームとの間(交流端)において交流負荷(又は交流電源)ACLと電気的に接続されている。
【0013】
上アームと下アームとの各々は、スイッチングデバイス1を備える。スイッチングデバイス1は、IGBTやMOSFETなどの電力用スイッチングデバイスであって、駆動回路200から供給される制御信号により動作を制御される。
駆動回路200は、上位制御装置から供給されたゲート信号(上位制御信号)、および、複数のスイッチングデバイス1から取得した情報に基づいて、スイッチングデバイス1の動作を制御する。
【0014】
図2は、第1実施形態のゲート駆動回路の一構成例を概略的に示す図である。
駆動回路200は、複数のスイッチングデバイス1の動作を制御する複数のゲート駆動回路2を備えている。
図2では、一つのスイッチングデバイス1を制御する一つのゲート駆動回路2の一構成例を概略的に示している。
【0015】
スイッチングデバイス1は例えばMOSFETである。スイッチングデバイス1は、ゲート端子(制御端子)と、ソース端子(第1端子)と、ドレイン端子(第2端子)と、を備える。上アームのスイッチングデバイス1のソース端子は交流端と電気的に接続され、ドレイン端子は高電位側の直流主回路と電気的に接続されている。下アームのスイッチングデバイス1のソース端子は低電位側の直流主回路と電気的に接続され、ドレイン端子は交流端と電気的に接続されている。スイッチングデバイス1のゲート端子は、ゲート駆動回路2の出力端と電気的に接続されている。スイッチングデバイス1は、ゲート端子に印加されるゲート電圧により、ソース端子とドレイン端子との間が電気的に接続された状態(オン状態)と遮断された状態(オフ状態)とに切り替えられる。
【0016】
なお、スイッチングデバイス1は、他の電力用スイッチングデバイスであってもよい。スイッチングデバイス1として例えばIGBTを適用する場合には、スイッチングデバイス1は、ゲート端子(制御端子)と、エミッタ端子(第1端子)と、コレクタ(第2端子)とを備え、ゲート端子に印加されるゲート電圧(制御信号)により、エミッタ端子とコレクタ端子との間の電気的接続状態(オン又はオフ)が制御される。
【0017】
ゲート駆動回路2は、オン用駆動部4と、オフ用高速駆動部(第1オフ用駆動部)5と、オフ用低速駆動部(第2オフ用駆動部)6と、電圧検出部7と、遅延部8と、を備えている。
オン用駆動部4は、スイッチングデバイス1のゲート端子に電気的に接続されたオン用抵抗器(図示せず)を備える。オン用駆動部4には、上位制御装置からゲート信号が入力される。オン用駆動部4は、例えばゲート信号がオンである期間に動作するよう構成され、オン用抵抗器を介してスイッチングデバイス1をオンする制御信号(ゲート電圧)をゲート端子に印加する。
【0018】
電圧検出部7は、スイッチングデバイス1のドレインソース間電圧(端子間電圧)Vdsの値を検出し、検出した値を遅延部8へ供給する。なお、電圧検出部7は、ドレインソース間電圧Vdsに相当する値を出力してもよい。
【0019】
遅延部8は、電圧検出部7から供給された電圧値(若しくは電圧相当値)を、所定時間遅延させてオフ用高速駆動部5へ供給する、遅延部8は、抵抗器12とコンデンサ13とによる遅延回路を備え、コンデンサ13の静電容量Cdと抵抗器12の抵抗値Rdとの積に応じた時定数分だけ入力値を遅延させることができる。したがって、静電容量Cdと抵抗値Rdとの値を選択することにより、入力値を遅延させる時間を調整することができる。本実施形態では、遅延部8から出力される遅延後のドレインソース間電圧Vdsの値は、オフ用高速駆動部5の動作状態(動作又は停止)を切り替えるための信号である。
【0020】
オフ用高速駆動部5は、スイッチングデバイス1のゲート端子に電気的に接続された第1オフ用抵抗器(図示せず)を含む。オフ用高速駆動部5には、上位制御装置からゲート信号が入力され、遅延部8から出力された遅延後のドレインソース間電圧Vdsの値が入力される。オフ用高速駆動部5は、例えばゲート信号がオフである期間に、第1オフ用抵抗器を介してスイッチングデバイス1をオフする制御信号(ゲート電圧)をゲート端子に印加するように構成されている。
【0021】
オフ用高速駆動部5は、遅延後のドレインソース間電圧Vdsの値が所定の閾値以上となったとき(例えば遅延後のドレインソース間電圧Vdsが立ち上がったとき)に、制御信号をゲート端子に印加する動作を停止するように構成されている。
【0022】
換言すると、オフ用高速駆動部5は、ゲート信号がオフとなってから遅延後のドレインソース間電圧Vdsが立ち上がるまでの期間において、第1オフ用抵抗器を介してスイッチングデバイス1をオフする制御信号をゲート端子に印加する。
【0023】
オフ用低速駆動部6は、スイッチングデバイス1のゲート端子に電気的に接続された第2オフ用抵抗器(図示せず)を含む。オフ用低速駆動部6は、上位制御装置からゲート信号が入力される。オフ用低速駆動部6は、例えばゲート信号がオフである期間に、第2オフ用抵抗器を介してスイッチングデバイス1をオフする制御信号をゲート端子に印加する。なお、第2オフ用抵抗器の抵抗値は、第1オフ用抵抗器の抵抗値よりも大きい。
【0024】
図3は、
図2に示すオフ用低速駆動部とオフ用高速駆動部とにおける抵抗値とサージ電圧との関係を概略的に示す図である。
オフ用低速駆動部6の第2オフ用抵抗器の抵抗値は、例えば、オフ用低速駆動部6が、スイッチングデバイス1に生じるピークサージ電圧を許容値未満とできる速度でターンオフ実現するように設定される。オフ用高速駆動部5の第1オフ用抵抗器の抵抗値は、例えば、オフ用高速駆動部5が、オフ用低速駆動部6よりも高速でスイッチングデバイス1をターンオフすることができるように設定されている。
【0025】
このことにより、オフ用低速駆動部6は、スイッチングデバイス1におけるピークサージ電圧を許容値未満に抑えるように動作することが可能となり、オフ用高速駆動部5は、スイッチングデバイス1におけるターンオフ損失を低減するように動作することが可能となる。
【0026】
次に、上記ゲート駆動回路2の動作の一例について説明する。
図4は、第1実施形態において、スイッチングデバイスをターンオフする際のゲート駆動回路の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
ここでは、ゲート駆動回路2に入力されるゲート信号と、スイッチングデバイス1のドレインソース間電圧Vdsおよびゲートソース間電圧Vgsと、ドレイン電流Idと、電圧検出部7の出力真理値と、遅延部8の出力真理値と、オフ用高速駆動部5の動作状態(動作又は停止)と、オフ用低速駆動部6の動作状態(動作又は停止)との一例を、タイミングチャートで示している。
【0027】
電圧検出部7の出力真理値は、例えば、電圧検出部7の検出値が所定の閾値未満のときに0となり、所定の閾値以上となるときに1となる値である。本実施形態では、スイッチングデバイス1がオンしているときのドレインソース間電圧Vdsの値を所定の閾値とし、ドレインソース間電圧Vdsが立ち上がるタイミングで出力真理値が1となるものとする。
【0028】
遅延部8の出力真理値は、遅延部8の出力値が所定の閾値以下のときに0となり、所定の閾値を超えたときに1となる。本実施形態では、スイッチングデバイス1がオンしているときのドレインソース間電圧Vdsの値を所定の閾値とし、遅延後のドレインソース電圧Vdsが立ち上がるタイミングで出力真理値が1となるものとする。
【0029】
ゲート信号がオンからオフとなると、オフ用高速駆動部5およびオフ用低速駆動部6が動作状態となり、スイッチングデバイス1のゲートソース間電圧Vgsが低下し始める。スイッチングデバイス1のゲートソース間電圧Vgsが所定値まで低下すると、ドレインソース間電圧Vdsが立ち上がり、ドレイン電流Idが低下し始める。
ドレインソース間電圧Vdsが立ち上がるタイミングで、電圧検出部7の出力真理値が0から1に変化し、電圧検出部7から所定の閾値を超えた電圧値が遅延部8に入力される。
【0030】
遅延部8は、電圧検出部7から入力された値を所定時間遅延させて出力する。したがって、遅延部8の出力真理値は、電圧検出部7の出力真理値が立ち上がるタイミングより所定時間遅れて0から1に変化している。
【0031】
遅延部8の出力真理値が1になるタイミングで、遅延部8の出力値が所定の閾値以上となり、オフ用高速駆動部5が動作状態から停止状態となる。すなわち、スイッチングデバイス1のドレインソース間電圧Vdsが所定の閾値を超えてから所定の遅延時間が経過したタイミングまでは、オフ用高速駆動部5とオフ用低速駆動部6とによりスイッチングデバイス1のターンオフ動作が制御される。スイッチングデバイス1のドレインソース間電圧Vdsが所定の閾値を超えてから所定の遅延時間が経過したタイミング以降は、オフ用低速駆動部6のみによりスイッチングデバイス1のターンオフ動作が制御される。
【0032】
以上に説明の動作により、スイッチングデバイス1は、ターンオフの初期段階では、オフ用高速駆動部5とオフ用低速駆動部6とにより高速にターンオフするため、ターンオフ損失を低減することができる。一方、オフ用高速駆動部5が停止状態となった後は、オフ用低速駆動部6のみでスイッチングデバイス1をターンオフするため、スイッチングデバイス1におけるサージ電圧を抑制することができる。
【0033】
本実施形態のゲート駆動回路では、ドレインソース間電圧Vdsの立ち上がりを検出し、立ち上がりが検出されたタイミングを起点として所定時間後にオフ用高速駆動部5を停止状態にさせている。このことにより、例えばSiCなどの材料を用いたスイッチングデバイス1がターンオフする際に、高速動作を行っている途中で遅滞なくオフ用高速駆動部5を停止させ、低速動作に移行することができる。
【0034】
一方で、オフ用高速駆動部5を停止するタイミングが早すぎると、スイッチングデバイス1をターンオフする期間において低速駆動期間が長引くこととなり、ターンオフ損失が増大する可能性がある。遅延部8における遅延時間を適切な時間に設定し、オフ用高速駆動部5を停止させることで、スイッチングデバイス1のターンオフ損失を抑制しつつ、サージ電圧を抑制することを実現できる。
【0035】
次に、遅延部8における遅延時間の設定法の一例について説明する。ここでは、電力変換装置の動作条件として、直流電圧(直流主回路間の電圧)がVcc[V]、電圧変化率の最大値がdVdtMax[V/s]であるとする。
【0036】
一般的なスイッチングデバイスのターンオフ動作において、ドレインソース間電圧Vdsが直流電圧値(スイッチングデバイスのオフ完了時の電圧値)に達すると、ドレイン電流Idが大幅に低下しはじめる。サージ電圧の大きさは、このときのドレイン電流Idの変化率に応じた値となる。よって、サージ電圧を確実に抑制するためには、ドレインソース間電圧Vdsが直流電圧Vccに達する前に、オフ用高速駆動部5を停止状態にすることが好ましい。上記において、ドレインソース間電圧Vdsが直流電圧Vccに達する時間Tvccは、下記(1)式により算出することができる。
Tvcc=Vcc/dVdtMax (1)
【0037】
さらに実際の電力変換装置においては、電圧検出部7、遅延部8、オフ用高速駆動部5を構成する各部品に固有の遅れが存在する。したがって、電力変換装置を構成する各部品の遅れの総量(各部品の遅れ時間の総和)Tdeviceを考慮すると、遅延部8の遅延時間Tdが下記(2)式を満たすように設定することにより、ドレインソース間電圧Vdsが直流電圧Vccに達する前にオフ用高速駆動部5を停止状態にすることができ、サージ電圧を抑制可能となる。
Td<Tvcc-Tdevice=Vcc/dVdtMax-Tdevice (2)
【0038】
また、上記関係を満たす範囲において、遅延部8における遅延量を調整することで、スイッチングデバイス1におけるサージ電圧の抑制とターンオフ損失抑制とのバランスを調整することができる。
【0039】
以上のように、本実施形態のゲート駆動回路および電力変換装置では、スイッチングデバイスのターンオフ開始時はゲート駆動速度を高くする(低ゲート抵抗値にて駆動する)ことで低損失化をはかり、一方で、スイッチングデバイスの電圧の立ち上がり始めを検出した上で、調整された遅延を持たせた上でゲート速度を低くする(高ゲート抵抗値にて駆動する)ことができる。これにより、スイッチングデバイスにおけるサージ電圧を確実に低減することができる。
【0040】
すなわち、本実施形態によれば、スイッチングデバイスにおけるサージ電圧を抑制するとともに、スイッチング損失を低減するゲート駆動回路および電力変換装置を提供することができる。
【0041】
次に、第2実施形態のゲート駆動回路および電力変換装置について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において、上述の第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図5は、第2実施形態のゲート駆動回路の一構成例を概略的に示す図である。
本実施形態のゲート駆動回路2および電力変換装置は、電力変換装置の運転状態を検出する種々の検出器(図示せず)を備える点と、遅延部8の構成とが上述の第1実施形態と異なっている。
【0042】
本実施形態では、遅延部8は、検出器で検出された電力変換装置の運転状態の値(例えば、電流検出値、直流電圧検出値、温度検出値など)が入力される。遅延部8は、電力変換装置の運転状態に応じて、入力信号に対する出力信号の遅延時間を調整するように構成されている。
【0043】
図6は、電力変換装置の運転状態によるスイッチングデバイスの特性の変化の一例を説明するための図である。
図6では、遮断電流(ターンオフ動作開始時のドレイン電流Id)が相対的に大きいときのドレインソース間電圧Vdsとドレイン電流Idとを破線で示し、遮断電流が相対的に小さいときのドレインソース間電圧Vdsとドレイン電流Idとを実線で示している。
【0044】
ここでは、スイッチングデバイス1の遮断電流が大きくなるほど、電圧変化速度が大きくなる。したがって、遮断電流が大きくなると、スイッチングデバイス1をターンオフする際に、ドレインソース間電圧Vdsが立ち上がってから直流電圧Vccに達するまでの時間が短くなる。このため、遅延部8は、遮断電流の値(ターンオフ動作開始時のドレイン電流Idの電流検出値)が大きいほど、遅延時間を短くするように構成され得る。
【0045】
図7は、電力変換装置の運転状態によるスイッチングデバイスの特性の変化の他の例を説明するための図である。
図7では、電力変換装置の直流電圧Vccが相対的に大きいときのドレインソース間電圧Vdsとドレイン電流Idとを破線で示し、電力変換装置の直流電圧Vccが相対的に小さいときのドレインソース間電圧Vdsとドレイン電流Idとを実線で示している。
【0046】
ここでは、直流電圧Vccが大きいほど、ドレインソース間電圧Vdsが直流電圧Vccに達するまでの時間が長くなっている。このため、遅延部8は、直流電圧Vccが大きいほど、遅延時間を長くするように構成され得る。
【0047】
図8は、電力変換装置の運転状態によるスイッチングデバイスの特性の変化の他の例を説明するための図である。
図8では、スイッチングデバイス1の温度が相対的に大きいときのドレインソース間電圧Vdsとドレイン電流Idとを破線で示し、スイッチングデバイス1の温度が相対的に小さいときのドレインソース間電圧Vdsとドレイン電流Idとを実線で示している。
【0048】
ここでは、スイッチングデバイス1の温度が大きいほど、ドレインソース間電圧Vdsが直流電圧Vccに達するまでの時間が長くなっている。このため、遅延部8は、スイッチングデバイス1の温度検出値が大きいほど、遅延時間を長くするように構成され得る。
【0049】
遅延部8には、電力変換装置の運転状態を示す値(遮断電流の値、直流電圧Vccの値、スイッチングデバイス1の温度値)の少なくとも一つについて、例えば複数の遅延時間と、複数の遅延時間を切り替えるしきい値と、が予め記録されていてもよい。遅延部8は、ターンオフ動作を開始する前に電力変換装置の運転状態として遮断電流、直流電圧Vcc、および、スイッチングデバイス1の温度の検出値の少なくとも一つを取得し、検出値がしきい値以上か否かにより遅延時間を切り替えることができる。
なお、遅延部8は、電力変換装置の運転状態を示す値が所定のしきい値以上か否かに応じて、現在の遅延時間に所定時間を加算又は減算して、遅延時間を調整してもよい。
【0050】
上記のように、本実施形態によれば、遅延部8は、電力変換装置の運転状態に応じて、電力変換装置の運転状態に応じて、ターンオフ損失の低減とサージ電圧の抑制を両立するために最良な遅延時間を設定することができる。このことにより、本実施形態のゲート駆動回路によれば、スイッチングデバイス1のターンオフ動作時に、電力変換装置の運転状態に応じて、オフ用高速駆動部5の動作を停止するタイミングが調整され、各運転状態においてターンオフ損失の低減とサージ電圧の抑制との両立を実現することができる。
すなわち、本実施形態によれば、スイッチングデバイスにおけるサージ電圧を抑制するとともに、スイッチング損失を低減するゲート駆動回路および電力変換装置を提供することができる。
【0051】
次に、第3実施形態のゲート駆動回路および電力変換装置について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において、上述の第1実施形態および第2実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図9は、第3実施形態のゲート駆動回路の一構成例を概略的に示す図である。
本実施形態のゲート駆動回路2は、オフ用高速駆動部5に代えて、第1オフ用高速駆動部5Aと第2オフ用高速駆動部5Bとを備え、遅延部8が第1オフ用高速駆動部5Aと第2オフ用高速駆動部5Bとのそれぞれに対して、動作状態(動作又は停止)を切り替えるための信号を出力している点において、上述の第1実施形態および第2実施形態のゲート駆動回路と相違している。
【0052】
遅延部8は、電力変換装置の運転状態を取得し、電力変換装置の運転状態に応じて第1オフ用高速駆動部5Aと第2オフ用高速駆動部5Bとの動作状態を切り替える信号を出力する。なお、以下の説明において、遅延部8から第1オフ用高速駆動部5Aに入力される信号の真理値を第1出力真理値とし、遅延部8から第2オフ用高速駆動部5Bに入力される信号の真理値を第2出力真理値とする。遅延部8から第1オフ用高速駆動部5Aと第2オフ用高速駆動部5Bとに入力される信号は2値の信号に限定されるものではなく、信号の値が所定のしきい値以下のときの真理値が0であり、所定のしきい値を超えたときに真理値が1となる。
【0053】
遅延部8は、例えば、ドレイン電流Idの検出値が電流しきい値未満であって、かつ、遅延後のドレインソース間電圧Vdsの値が所定のしきい値以下であるときに、第1オフ用高速駆動部5Aを動作状態(第1出力真理値=0)とし、ドレイン電流Idの検出値が電流しきい値以上であるとき、および、遅延後のドレインソース間電圧Vdsの値が所定のしきい値を超えているときに、第1オフ用高速駆動部5Aを停止状態(第1出力真理値=1)とする。
【0054】
遅延部8は、例えば、ドレイン電流Idの検出値が電流しきい値以上であって、かつ、遅延後のドレインソース間電圧Vdsの値が所定のしきい値以下であるときに、第2オフ用高速駆動部を動作状態(第2出力真理値=0)とし、ドレイン電流Idの検出値が電流しきい値未満であるとき、および、遅延後のドレインソース間電圧Vdsの値が所定のしきい値を超えているときに、第2オフ用高速駆動部5Bを停止状態(第2出力真理値=1)とする。
【0055】
遅延部8は、電力変換装置の運転状態を示す値(例えば遮断電流(ターンオフ動作開始時のドレイン電流Id)の値、直流電圧Vccの値、スイッチングデバイス1の温度値)を取得し、取得した値に応じて、第1オフ用高速駆動部5Aへの信号の遅延時間と、第2オフ用高速駆動部5Bへの信号の遅延時間とのそれぞれを調整することができる。
【0056】
第1オフ用高速駆動部5Aと第2オフ用高速駆動部5Bとは、スイッチングデバイス1をターンオフする際の速度(ゲート抵抗値)が異なっている。
第1オフ用高速駆動部5Aは、スイッチングデバイス1のゲート端子に電気的に接続された第3オフ用抵抗器(図示せず)を含む。第1オフ用高速駆動部5Aには、上位制御装置からゲート信号が入力され、遅延部8から出力された動作状態(動作又は停止)を切り替えるための信号が入力される。
【0057】
第1オフ用高速駆動部5Aは、遅延部8から入力される信号の第1出力真理値が1とき(例えばドレイン電流Idの検出値が電流しきい値未満であるあり、かつ、遅延後のドレインソース間電圧Vdsが所定のしきい値を超えているとき)に、第3オフ用抵抗器を介してスイッチングデバイス1をオフする制御信号(ゲート電圧)をゲート端子に印加する動作を停止するように構成されている。
【0058】
また、第1オフ用高速駆動部5Aは、遅延部8から入力される信号の第1出力真理値が0であるとき(例えばドレイン電流Idの検出値が電流しきい値以上である期間、および、遅延後のドレインソース間電圧Vdsが所定のしきい値以下であるとき)に、第3オフ用抵抗器を介してスイッチングデバイス1をオフする制御信号(ゲート電圧)をゲート端子に印加する動作を行うように構成されている。
【0059】
第2オフ用高速駆動部5Bは、スイッチングデバイス1のゲート端子に電気的に接続された第4オフ用抵抗器(図示せず)を含む。第2オフ用高速駆動部5Bには、上位制御装置からゲート信号が入力され、遅延部8から動作状態(動作又は停止)を切り替えるための信号が入力される。
【0060】
第2オフ用高速駆動部5Bは、遅延部8から入力される信号の第2出力真理値が1であるとき(例えばドレイン電流Idの検出値が電流しきい値以上であり、かつ、遅延後のドレインソース間電圧Vdsが所定のしきい値を超えたとき)に、第4オフ用抵抗器を介してスイッチングデバイス1をオフする制御信号(ゲート電圧)をゲート端子に印加する動作を停止するように構成されている。
【0061】
また、第2オフ用高速駆動部5Bは、遅延部8から入力される信号の第2出力真理値が0であるとき(例えばドレイン電流Idの検出値が電流しきい値未満である期間、および、遅延後のドレインソース間電圧Vdsが所定のしきい値以下であるとき)に、第4オフ用抵抗器を介してスイッチングデバイス1をオフする制御信号(ゲート電圧)をゲート端子に印加する動作を行うように構成されている。
【0062】
図10は、第3実施形態において、遅延部が第1オフ用高速駆動部と第2オフ用高速駆動部との動作状態を切り替える動作の一例を説明するための図である。
本実施形態では、第3オフ用抵抗器の抵抗値は、第4オフ用抵抗器の抵抗値よりも小さく。第1オフ用高速駆動部5Aは第2オフ用高速駆動部5Bよりも高速でスイッチングデバイス1をターンオフすることができる。
【0063】
スイッチングデバイス1がターンオフする際のドレインソース間電圧Vdsの電圧変化率と損失とはトレードオフの関係となる。第1オフ用高速駆動部5Aによりスイッチングデバイス1をターンオフしたときのドレインソース間電圧Vdsの電圧変化率は、第2オフ用高速駆動部5Bによりスイッチングデバイス1をターンオフしたときのドレインソース間電圧Vdsの電圧変化率よりも大きくなる。一方で、第1オフ用高速駆動部5Aによりスイッチングデバイス1をターンオフするときに生じる損失は、第2オフ用高速駆動部5Bによりスイッチングデバイス1をターンオフするときに生じる損失よりも小さくなる。
【0064】
本実施形態のゲート駆動回路2は、例えば、第1オフ用高速駆動部5Aによりスイッチングデバイス1をターンオフするときにドレインソース間電圧Vdsの電圧変化率が許容値に達する検出電流(ドレイン電流Id)値を、遮断電流の電流しきい値とし、遅延部8から供給される信号により、遮断電流の値が電流しきい値未満のときに第1オフ用高速駆動部5Aが動作し、検出電流値が電流しきい値以上のときに第2オフ用高速駆動部5Bが動作するように制御される。
【0065】
上記のように、ターンオフする速度が異なる第1オフ用高速駆動部5Aと第2オフ用高速駆動部5Bとを、遮断電流の値に応じて切り替えて動作させることにより、スイッチングデバイス1をターンオフするときのサージ電圧を抑制するとともに、ターンオフ時に発生する損失を低減することができる。
【0066】
図11は、第3実施形態において、スイッチングデバイスをターンオフする際のゲート駆動回路の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
ここでは、ゲート駆動回路2に入力されるゲート信号と、スイッチングデバイス1のドレインソース間電圧Vdsおよびゲートソース間電圧Vgsと、ドレイン電流Idと、電圧検出部7の出力真理値と、遅延部8から出力される信号の第1出力真理値および第2出力真理値と、第1オフ用高速駆動部5Aの動作状態(動作又は停止)と、第2オフ用高速駆動部5Bの動作状態(動作又は停止)と、オフ用低速駆動部6の動作状態(動作又は停止)との一例を、タイミングチャートで示している。
【0067】
この例では、ゲート信号がオフとなったタイミングにおいて、遮断電流が電流しきい値以上であり、遅延部8から第1オフ用高速駆動部5Aに供給される信号の第1出力真理値は1であって第1オフ用高速駆動部5Aは停止している。したがって、この例では、第1オフ用高速駆動部5Aは、スイッチングデバイス1のターンオフ動作行わない。
例えば、上記のように、ゲート信号がオフとなったタイミングにおいて、電流しきい値と遮断電流を比較することでスイッチングデバイス1をターンオフする駆動部を決定し、この上記比較結果はその後ホールドされ、スイッチングデバイス1のターンオフが完了される。
【0068】
また、ゲート信号がオフとなったタイミングにおいて、遮断電流が電流しきい値以上であり、かつ、ドレインソース間電圧Vdsがオン時の電圧値(所定のしきい値以下)であり、第2オフ用高速駆動部5Bに供給される信号の第2出力真理値は0であり、第2オフ用高速駆動部5Bが動作状態となる。その後、第2オフ用高速駆動部5Bおよびオフ用低速駆動部6から供給される制御信号によりドレインソース間電圧Vdsが立ち上がると、その所定時間(遅延時間)後に第2出力真理値が1となり、第2オフ用高速駆動部5Bが停止される。
その後は、オフ用低速駆動部6から供給される制御信号により、スイッチングデバイス1のターンオフが完了する。
【0069】
上記のように、遮断電流の値に応じて、スイッチングデバイス1をターンオフする速度が異なる駆動部の動作を切り替えることにより、ターンオフ損失の低減とサージ電圧の抑制を両立することができる。
すなわち、本実施形態によれば、スイッチングデバイスにおけるサージ電圧を抑制するとともに、スイッチング損失を低減するゲート駆動回路および電力変換装置を提供することができる。
【0070】
なお本実施形態では、2つのオフ用高速駆動部を備えたゲート駆動回路2について説明したが、ゲート駆動回路2は3以上のオフ用高速駆動部を備えていてもよい。その場合には、スイッチングデバイス1の遮断電流について複数の電流しきい値を設定し、3つ以上のオフ用高速駆動部の動作状態を切り替えることにより、上述のゲート駆動回路2と同様の効果を得ることができる。
【0071】
次に、第4実施形態のゲート駆動回路および電力変換装置について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において、上述の第1実施形態、乃至、第3実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0072】
図12は、第4実施形態のゲート駆動回路の一構成例を概略的に示す図である。
本実施形態のゲート駆動回路2は、オフ用低速駆動部6に代えて、第1オフ用低速駆動部6A、第2オフ用低速駆動部6B、および、切替部17を備える点において、上述の第2実施形態と異なっている。
【0073】
第1オフ用低速駆動部6Aは、切替部17から、ゲート信号と、動作状態(動作又は停止)を切り替える信号とを受信する。第1オフ用低速駆動部6Aは、切替部17からの信号の値に応じて、スイッチングデバイス1をターンオフする動作を実行又は停止する。
第1オフ用低速駆動部6Aは、スイッチングデバイス1のゲート端子に接続した第5オフ用抵抗器(図示せず)を含み、第5オフ用抵抗器を介してスイッチングデバイス1のゲート端子に制御信号を印加する。
【0074】
第2オフ用低速駆動部6Bは、切替部17から、ゲート信号と、動作状態(動作又は停止)を切り替える信号とを受信する。第2オフ用低速駆動部6Bは、切替部17からの信号の値に応じて、スイッチングデバイス1をターンオフする動作を実行又は停止する。
第2オフ用低速駆動部6Bは、スイッチングデバイス1のゲート端子に接続した第6オフ用抵抗器(図示せず)を含み、第6オフ用抵抗器を介してスイッチングデバイス1のゲート端子に制御信号を印加する。
【0075】
第1オフ用低速駆動部6Aと第2オフ用低速駆動部6Bとは、スイッチングデバイス1をターンオフする速度が異なっている。本実施形態では、第1オフ用低速駆動部6Aは、第2オフ用低速駆動部6Bよりも高速でスイッチングデバイス1をターンオフすることができる。換言すると、第1オフ用低速駆動部6Aの第5オフ用抵抗器の抵抗値(ゲート抵抗値)は、第2オフ用低速駆動部6Bの第6オフ用抵抗器の抵抗値(ゲート抵抗値)よりも小さい。
切替部17は、電力変換装置の運転状態に応じて、第1オフ用低速駆動部6Aと第2オフ用低速駆動部6Bとに対して動作状態を切り替える信号を出力する。
【0076】
図13は、第4実施形態において、切替部が第1オフ用低速駆動部と第2オフ用低速駆動部との動作状態を切り替える動作の一例を説明するための図である。
スイッチングデバイス1がターンオフする際に生じるピークサージ電圧と損失とはトレードオフの関係となる。第1オフ用低速駆動部6Aによりスイッチングデバイス1をターンオフしたときのピークサージ電圧は、第2オフ用低速駆動部6Bによりスイッチングデバイス1をターンオフしたときのピークサージ電圧よりも大きくなる。一方で、第1オフ用低速駆動部6Aによりスイッチングデバイス1をターンオフするときに生じる損失は、第2オフ用低速駆動部6Bによりスイッチングデバイス1をターンオフするときに生じる損失よりも小さくなる。
【0077】
本実施形態のゲート駆動回路2は、例えば、第1オフ用低速駆動部6Aによりスイッチングデバイス1をターンオフするときに生じるピークサージ電圧が許容値に達する検出電流(ドレイン電流Id)値を、遮断電流の電流しきい値として、切替部17から供給される信号により、遮断電流の値が電流しきい値未満のときに第1オフ用低速駆動部6Aが動作し、検出電流値が電流しきい値以上のときに第2オフ用低速駆動部6Bが動作するように制御される。
【0078】
上記のように、ターンオフする速度が異なる第1オフ用低速駆動部6Aと第2オフ用低速駆動部6Bとを、遮断電流の値に応じて切り替えて動作させることにより、スイッチングデバイス1をターンオフするときのサージ電圧を抑制するとともに、ターンオフ時に発生する損失を低減することができる。
【0079】
図14は、第4実施形態において、スイッチングデバイスをターンオフする際のゲート駆動回路の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
ここでは、ゲート駆動回路2に入力されるゲート信号と、スイッチングデバイス1のドレインソース間電圧Vdsおよびゲートソース間電圧Vgsと、ドレイン電流Idと、電圧検出部7の出力真理値と、遅延部8から出力される信号の出力真理値と、オフ用高速駆動部5の動作状態(動作又は停止)と、切替部17の出力値状態と、第1オフ用低速駆動部6Aの動作状態(動作又は停止)と、第2オフ用低速駆動部6Aの動作状態(動作又は停止)と、の一例を、タイミングチャートで示している。
【0080】
この例では、ゲート信号がオフとなったタイミングにおいて、遮断電流が電流しきい値以上であり、切替部17の出力値は第1オフ用低速駆動部6Aを停止し、第2オフ用低速駆動部6Bを動作させる値となっている。したがって、この例では、第1オフ用低速駆動部6Aは、スイッチングデバイス1のターンオフ動作行わない。
例えば、上記のように、ゲート信号がオフとなったタイミングにおいて、電流しきい値と遮断電流を比較することでスイッチングデバイス1をターンオフする駆動部を決定し、この上記比較結果はその後ホールドされ、スイッチングデバイス1のターンオフが完了される。
遅延部8の出力信号によりオフ用高速駆動部5が停止した後は、第2オフ用低速駆動部6Bから供給される制御信号により、スイッチングデバイス1のターンオフが完了する。
【0081】
上記のように、遮断電流の値に応じて、スイッチングデバイス1をターンオフする速度が異なる駆動部の動作を切り替えることにより、ターンオフ損失の低減とサージ電圧の抑制を両立することができる。
すなわち、本実施形態によれば、スイッチングデバイスにおけるサージ電圧を抑制するとともに、スイッチング損失を低減するゲート駆動回路および電力変換装置を提供することができる。
【0082】
なお本実施形態では、2つのオフ用低速駆動部を備えたゲート駆動回路2について説明したが、ゲート駆動回路2は3以上のオフ用低速駆動部を備えていてもよい。その場合には、スイッチングデバイス1の遮断電流について複数の電流しきい値を設定し、3つ以上のオフ用低速駆動部の動作状態を切り替えることにより、上述のゲート駆動回路2と同様の効果を得ることができる。
【0083】
次に第5実施形態のゲート駆動回路および電力変換装置について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において、上述の第1実施形態、乃至、第4実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図15は、第5実施形態のゲート駆動回路の一構成例を概略的に示す図である。
本実施形態のゲート駆動回路2は、短絡保護用電圧検出部(第2電圧検出部)14と、短絡保護判定部(判定部)15と、短絡保護用遮断動作部16とを備える点において、上述の第1実施形態と異なっている。
【0084】
短絡保護用電圧検出部14は、スイッチングデバイス1のドレインソース間電圧Vdsの値を検出し、検出値を短絡保護判定部15へ出力する。
短絡保護判定部15は、ゲート信号と、短絡保護用電圧検出部14で検出されたドレインソース間電圧Vdsの値に基づいて、スイッチングデバイス1の短絡を判定する。短絡保護判定部15は、例えば、ゲート信号がオンレベルであるにあるにも関わらず、スイッチングデバイス1のドレインソース間電圧Vdsが低下しない場合、スイッチングデバイス1の短絡であると判定する。短絡保護判定部15は、スイッチングデバイス1が短絡していると判定したときに、オフ用高速駆動部5、オフ用低速駆動部6、および、オン用駆動部4を停止し、短絡保護用遮断動作部16によりスイッチングデバイス1を強制的に遮断させる。
【0085】
短絡保護用遮断動作部16は、短絡保護判定部15からの遮断信号により、スイッチングデバイス1の短絡経路を遮断する。本実施形態では、短絡保護用遮断動作部16は、遮断信号を受信したときに、スイッチングデバイス1をオフする電圧をゲート端子に印加する。
【0086】
図16は、第5実施形態において、スイッチングデバイスをターンオンする際のゲート駆動回路の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
ゲート信号がオフからオンとなると、オン用駆動部4が動作状態となり、オン用駆動部4からスイッチングデバイス1のゲート端子に制御信号(ゲート電圧)が印加される。
短絡保護用電圧検出部14は、スイッチングデバイス1のドレインソース間電圧Vdsの値を検出し、短絡保護判定部15に検出値を供給する。
【0087】
短絡保護判定部15は、短絡保護用電圧検出部14から供給されたドレインソース間電圧Vdsの値と、ゲート信号の値とにより、スイッチングデバイス1の短絡を判定する。
図16に示す例では、ゲート信号がオンとなるものの、ドレインソース間電圧Vdsが、スイッチングデバイス1のオン時の通常の値まで低下していない。この様な場合、短絡保護判定部15は、例えば、ゲート信号がオンとなってから所定時間後に、ドレインソース間電圧が所定のしきい値を超えている場合に、スイッチングデバイス1が短絡していると判定する。
【0088】
短絡保護判定部15は、スイッチングデバイス1が短絡していると判定したときに、オフ用高速駆動部5、オフ用低速駆動部6、および、オン用駆動部4の動作を停止させて、短絡保護用遮断動作部16に強制遮断信号を出力する。
短絡保護用遮断動作部16は、短絡保護判定部15から強制遮断信号を受信すると、スイッチングデバイス1をオフさせる。短絡保護用遮断動作部16は、オフ用低速駆動部6よりも低速でスイッチングデバイス1をオフすることができる。
【0089】
なお、スイッチングデバイス1の短絡保護遮断時には、短絡時の大電流を遮断する動作となるため、サージ電圧抑制のためには低速で遮断する必要がある。そのため、本実施形態のゲート駆動回路2では、短絡遮断時に、オフ用高速駆動部5およびオフ用低速駆動部6を停止状態にしておき、短絡保護用遮断動作部16のみで遮断動作をおこなうことで、短絡保護遮断時のサージ電圧を抑制することが可能となる。
【0090】
上記の様に、本実施形態のゲート駆動回路2および電力変換装置によれば、スイッチングデバイス1が短絡して短絡保護遮断を行う際にもサージ電圧を抑制することができる。
すなわち、本実施形態によれば、スイッチングデバイスにおけるサージ電圧を抑制するとともに、スイッチング損失を低減するゲート駆動回路および電力変換装置を提供することができる。
【0091】
次に、第6実施形態のゲート駆動回路および電力変換装置について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において、上述の第1実施形態、乃至、第5実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
図17は、第6実施形態のゲート駆動回路の一構成例を概略的に示す図である。
本実施形態のゲート駆動回路2は、短絡保護判定部15を備える点において、上述の第1実施形態と異なっている。
【0092】
電圧検出部7は、スイッチングデバイス1のドレインソース間電圧Vdsの値を検出し、検出値を遅延部8および短絡保護判定部15へ出力する。すなわち、本実施形態のゲート駆動回路2では、電圧検出部7は、上述の第5実施形態における短絡保護用電圧検出部14の機能も含む。
【0093】
短絡保護判定部15は、ゲート信号と、電圧検出部7で検出されたドレインソース間電圧Vdsの値に基づいて、スイッチングデバイス1の短絡を判定する。短絡保護判定部15は、例えば、ゲート信号がオンレベルであるにあるにも関わらず、スイッチングデバイス1のドレインソース間電圧Vdsが低下しない場合、スイッチングデバイス1の短絡であると判定する。短絡保護判定部15は、スイッチングデバイス1が短絡していると判定したときに、オフ用高速駆動部5およびオン用駆動部4を停止し、オフ用低速駆動部6によりスイッチングデバイス1を強制的に遮断させる。
【0094】
すなわち、本実施形態のゲート駆動回路2では、スイッチングデバイス1が短絡していると判定されたときに、オフ用低速駆動部6が上述の第5実施形態における短絡保護用遮断動作部16として機能する。
図18は、第6実施形態において、スイッチングデバイスをターンオンする際のゲート駆動回路の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【0095】
ゲート信号がオフからオンとなると、オン用駆動部4が動作状態となり、オン用駆動部4からスイッチングデバイス1のゲート端子に制御信号(ゲート電圧)が印加される。
電圧検出部7は、スイッチングデバイス1のドレインソース間電圧Vdsの値を検出し、短絡保護判定部15に検出値を供給する。
【0096】
短絡保護判定部15は、電圧検出部7から供給されたドレインソース間電圧Vdsの値と、ゲート信号の値とにより、スイッチングデバイス1の短絡を判定する。
図17に示す例では、ゲート信号がオンとなり、ドレインソース間電圧Vdsが一旦低下しているものの、その後またドレインソース間電圧Vdsが上昇して直流電圧となっている。この様な場合、短絡保護判定部15は、例えば、ゲート信号がオンとなってから所定時間後に、ドレインソース間電圧が所定のしきい値を超えている場合に、スイッチングデバイス1が短絡していると判定する。
【0097】
短絡保護判定部15は、スイッチングデバイス1が短絡していると判定したときに、オフ用高速駆動部5およびオン用駆動部4の動作を停止させて、オフ用低速駆動部6に強制遮断信号を出力する。
【0098】
オフ用低速駆動部6は、短絡保護判定部15から強制遮断信号を受信すると、スイッチングデバイス1をオフさせる。このとき、オフ用低速駆動部6は、正常にスイッチングデバイス1をオフするときよりも低速で、スイッチングデバイス1をオフするように構成されてもよい。
【0099】
本実施形態のゲート駆動回路2では、オフ用低速駆動部6に短絡保護用遮断動作部16としての機能をもたせ、短絡遮断時に、オフ用低速駆動部6で強制遮断動作をおこなうことで、短絡保護用遮断動作部16を省略しながらも、短絡保護遮断時のサージ電圧を抑制することが可能となる。また、電圧検出部7に短絡保護用電圧検出部としての機能を持たせることにより、短絡保護用電圧検出部を省略することができる。したがって、本実施形態のゲート駆動回路2によれば、第5実施形態のゲート駆動回路よりも部品点数を削減することで、コストを低減することができる。
すなわち、本実施形態によれば、スイッチングデバイスにおけるサージ電圧を抑制するとともに、スイッチング損失を低減するゲート駆動回路および電力変換装置を提供することができる。
【0100】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0101】
1…スイッチングデバイス、2…ゲート駆動回路、4…オン用駆動部、5…オフ用高速駆動部、5A…オフ用高速駆動部、5B…オフ用高速駆動部、6…オフ用低速駆動部、6A…オフ用低速駆動部、6B…オフ用低速駆動部、7…電圧検出部、8…遅延部、12…抵抗器、13…コンデンサ、14…短絡保護用電圧検出部、15…短絡保護判定部、16…短絡保護用遮断動作部、17…切替部、200…駆動回路
【手続補正書】
【提出日】2022-07-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチングデバイスの第1端子と第2端子との間の第1電圧を検出し、検出された前記第1電圧に基づく電圧情報を出力する第1電圧検出部と、
前記電圧検出部から取得した前記電圧情報を所定時間遅延させて出力する遅延部と、
前記スイッチングデバイスをオフするために、前記スイッチングデバイスの制御端子に制御信号を印加する第1オフ用駆動部と、
前記スイッチングデバイスをオフするために、前記スイッチングデバイスの前記制御端子に制御信号を印加する第2オフ用駆動部と、を備え、
前記第1オフ用駆動部は、前記第2オフ用駆動部よりも高速で前記スイッチングデバイスをオフすることができ、前記電圧情報が前記第1電圧が所定の閾値を超えたことを示すときに、前記スイッチングデバイスをオフするための動作を停止する、ゲート駆動回路。
【請求項2】
前記遅延部における遅延時間は、前記スイッチングデバイスのオフ完了時の前記第1電圧の値を、前記スイッチングデバイスがオフされるときの前記第1電圧の変化率の最大値で割った値よりも小さい、請求項1記載のゲート駆動回路。
【請求項3】
前記遅延部は、前記スイッチングデバイスの遮断電流を取得し、取得した前記遮断電流の値に応じて遅延させる時間を調整する、請求項1記載のゲート駆動回路。
【請求項4】
前記スイッチングデバイスの前記第1端子と前記第2端子との間の前記第2電圧を検出する第2電圧検出部と、
前記第2電圧検出部で検出された前記第2電圧と、前記スイッチングデバイスの動作を制御する上位制御信号の値とに基づいて、前記スイッチングデバイスの短絡を判定し、前記スイッチングデバイスが短絡していると判定したときに前記第1オフ用駆動部および前記第2オフ用駆動部を停止するとともに強制遮断信号を出力する判定部と、
前記強制遮断信号を受信したときに、前記スイッチングデバイスを遮断する短絡保護用遮断動作部と、を更に備えた請求項1記載のゲート駆動回路。
【請求項5】
前記第1電圧検出部で検出された前記第1電圧と、前記スイッチングデバイスの動作を制御する上位制御信号の値とに基づいて、前記スイッチングデバイスの短絡を判定し、前記スイッチングデバイスが短絡していると判定したときに前記第1オフ用駆動部を停止するとともに、前記第2オフ用駆動部に強制遮断信号を出力する判定部を更に備え、
前記第2オフ用駆動部は、前記強制遮断信号を受信したときに前記スイッチングデバイスを遮断する、請求項1記載のゲート駆動回路。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のゲート駆動回路と、
前記ゲート駆動回路から出力される制御信号により動作を制御される前記スイッチングデバイスと、を備えた電力変換装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
実施形態によるゲート駆動回路は、スイッチングデバイスの第1端子と第2端子との間の第1電圧を検出し、検出された前記第1電圧に基づく電圧情報を出力する第1電圧検出部と、前記電圧検出部から取得した前記電圧情報を所定時間遅延させて出力する遅延部と、前記スイッチングデバイスをオフするために、前記スイッチングデバイスの制御端子に制御信号を印加する第1オフ用駆動部と、前記スイッチングデバイスをオフするために、前記スイッチングデバイスの前記制御端子に制御信号を印加する第2オフ用駆動部と、を備え、前記第1オフ用駆動部は、前記第2オフ用駆動部よりも高速で前記スイッチングデバイスをオフすることができ、前記電圧情報が前記第1電圧が所定の閾値を超えたことを示すときに、前記スイッチングデバイスをオフするための動作を停止する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
電圧検出部7は、スイッチングデバイス1のドレインソース間電圧(端子間電圧)Vdsの値を検出し、検出した値を遅延部8へ供給する。なお、電圧検出部7は、ドレインソース間電圧Vdsに相当する値を出力してもよい。さらに、電圧検出器7は、ドレインソース間電圧Vdsの値を所定の閾値と比較し、比較の結果、ドレインソース間電圧Vdsの検出値の供給の代わりに、遅延部8に真理値(電圧情報)を供給することができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
遅延部8は、電圧検出部7から供給された電圧値(若しくは電圧相当値)を、所定時間遅延させてオフ用高速駆動部5へ供給する、遅延部8は、抵抗器12とコンデンサ13とによる遅延回路を備え、コンデンサ13の静電容量Cdと抵抗器12の抵抗値Rdとの積に応じた時定数分だけ入力値を遅延させることができる。したがって、静電容量Cdと抵抗値Rdとの値を選択することにより、入力値を遅延させる時間を調整することができる。本実施形態では、遅延部8から出力される遅延後のドレインソース間電圧Vdsの値は、オフ用高速駆動部5の動作状態(動作又は停止)を切り替えるための信号である。一方、電圧検出器7から真理値が供給される場合、遅延部8は、所定時間だけ遅延させた真理値をオフ用高速駆動部5に供給する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
オフ用高速駆動部5は、遅延後のドレインソース間電圧Vdsの値が所定の閾値以上となったとき(例えば遅延後のドレインソース間電圧Vdsが立ち上がったとき)に、制御信号をゲート端子に印加する動作を停止するように構成されている。一方、遅延部8からオフ用高速駆動部5に真理値が供給された場合、供給された真理値に基づいて、オフ用高速駆動部5は、ゲート端子への制御信号の供給を停止する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】