(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096247
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】屋根架構の制振構造
(51)【国際特許分類】
E04H 9/02 20060101AFI20230630BHJP
E04H 3/14 20060101ALI20230630BHJP
E04B 7/00 20060101ALI20230630BHJP
F16F 15/023 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
E04H9/02 351
E04H3/14 C
E04B7/00 Z
F16F15/023 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211867
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】山田 達也
(72)【発明者】
【氏名】奥出 久人
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀人
(72)【発明者】
【氏名】平山 貴之
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 悠
(72)【発明者】
【氏名】藤井 英二
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 純平
(72)【発明者】
【氏名】小川 剛士
(72)【発明者】
【氏名】車 創太
【テーマコード(参考)】
2E139
3J048
【Fターム(参考)】
2E139AA01
2E139AC19
2E139AC33
2E139AC72
2E139AD03
2E139BA12
2E139BD18
3J048AA06
3J048BE03
3J048CB21
3J048EA38
(57)【要約】
【課題】屋根架構全体としての変形を適切に制御しながら、屋根架構の片持ち架構部に設置するダンパにて屋根架構の振動を減衰する。
【解決手段】柱1と、その柱1に一端側が接合される片持ち屋根梁2とを有する多数の片持ち架構部3が、連結部4にて桁行方向Xで連結される状態で桁行方向Xに並設される屋根架構の制振構造であって、多数の片持ち架構部3として、柱1と片持ち屋根梁2とに亘ってダンパ5Aを設置するダンパ架構部3Aと、柱1と片持ち屋根梁2とに亘って方杖6を設置する方杖架構部3Bとが備えられ、ダンパ架構部3Aが、桁行方向Xで隣接しないように分散配置され、その分散配置されたダンパ架構部3Aどうしの間に、方杖架構部3Bが配置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱と、その柱に一端側が接合される片持ち屋根梁とを有する多数の片持ち架構部が、連結部にて桁行方向で連結される状態で桁行方向に並設される屋根架構の制振構造であって、
多数の片持ち架構部として、前記柱と前記片持ち屋根梁とに亘ってダンパを設置するダンパ架構部と、前記柱と前記片持ち屋根梁とに亘って方杖を設置する方杖架構部とが備えられ、
前記ダンパ架構部が、桁行方向で隣接しないように分散配置され、その分散配置された前記ダンパ架構部どうしの間に、前記方杖架構部が配置される屋根架構の制振構造。
【請求項2】
前記ダンパ架構部と前記方杖架構部とが、桁行方向で交互に配置される請求項1記載の屋根架構の制振構造。
【請求項3】
前記ダンパ架構部と前記方杖架構部とが、桁行方向で隣接して配置され、
それら桁行方向で隣接して配置される前記ダンパ架構部と前記方杖架構部とに亘って第2のダンパが設置される請求項1又は2記載の屋根架構の制振構造。
【請求項4】
前記第2のダンパが、前記方杖架構部の前記柱から前記ダンパ架構部の前記片持ち屋根梁に斜め上方に延びる姿勢で、前記方杖架構部の前記柱と前記ダンパ架構部の前記片持ち屋根梁に亘って設置される請求項3記載の屋根架構の制振構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタジアムのスタンド(観客席)等に設けられる屋根架構の振動を減衰するのに好適に利用可能な屋根架構の制振構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の屋根架構は、柱と、その柱に一端側が接合されて支持される片持ち屋根梁とを有する多数の片持ち架構部が桁行方向に並設される。
そして、特許文献1には、屋根架構に相当する屋根構造物(12)と、スタンド(14)とが分離構成され、屋根構造物(12)の屋根(16)を支持する支持体(18)とスタンド(14)との間にダンパ(20)が設けられる制振構造が開示されている。また、ダンパ(20)に加えて、屋根構造物(12)の屋根(16)の振動を減衰するべく、屋根(16)と支持体(18)との接合箇所に回転ダンパ(42)を設置することや、屋根構造物(12)と分離されたスタンド(14)と屋根(16)とに亘って方杖ダンパ(86)を設置することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した回転ダンパ(42)や方杖ダンパ(86)は変形が発生しないと減衰機能を発揮しない部材であるので、特許文献1記載の制振構造では、回転ダンパ(42)や方杖ダンパ(86)に変形が適切に生じるように屋根構造物(16)の剛性を小さくしていることが想定される。しかしながら、このように屋根構造物(16)の剛性を小さくすれば、屋根構造物(16)の全体としての変形制御が難しいという問題がある。
【0005】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、屋根架構全体としての変形を適切に制御しながら、屋根架構の片持ち架構部に設置するダンパにて屋根架構の振動を減衰することのできる屋根架構の制振構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1特徴構成は、柱と、その柱に一端側が接合される片持ち屋根梁とを有する多数の片持ち架構部が、連結部にて桁行方向で連結される状態で桁行方向に並設される屋根架構の制振構造であって、
多数の片持ち架構部として、前記柱と前記片持ち屋根梁とに亘ってダンパを設置するダンパ架構部と、前記柱と前記片持ち屋根梁とに亘って方杖を設置する方杖架構部とが備えられ、
前記ダンパ架構部が、桁行方向で隣接しないように分散配置され、その分散配置された前記ダンパ架構部どうしの間に、前記方杖架構部が配置される点にある。
【0007】
本構成によれば、多数の片持ち架構部が連結部にて桁行方向で連結される状態で桁行方向に並設される屋根架構には、片持ち架構部として、柱と片持ち屋根梁とに亘ってダンパを設置するダンパ架構部(剛性を低くして変形を積極的に発生させたいダンパ架構部)に加えて、柱と片持ち屋根梁とに亘って方杖を設置する方杖架構部(剛性を高める方杖架構部)が備えられる。そして、剛性を低くして変形を積極的に発生させたいダンパ架構部を桁行方向で隣接しないように分散配置し、その分散配置されたダンパ架構部どうしの間に剛性を高める方杖架構部を配置することで、屋根架構全体としての変形をバランス良く制御しながら、ダンパ架構部に設置されたダンパにて屋根架構の振動を減衰することができる。
【0008】
本発明の第2特徴構成は、前記ダンパ架構部と前記方杖架構部とが、桁行方向で交互に配置される点にある。
【0009】
本構成によれば、剛性を低くして変形を積極的に発生させたいダンパ架構部と、剛性を高める方杖架構部とを桁行方向で交互に配置することで、屋根架構全体としての変形を一層バランス良く制御しながら、ダンパ架構部に設置されたダンパにて屋根架構の振動を減衰することができる。
【0010】
本発明の第3特徴構成は、前記ダンパ架構部と前記方杖架構部とが、桁行方向で隣接して配置され、
それら桁行方向で隣接する前記ダンパ架構部と前記方杖架構部とに亘って第2のダンパが設置される点にある。
【0011】
本構成によれば、ダンパ架構部に設置されるダンパの減衰力に加えて、桁行方向で隣接するダンパ架構部と方杖架構部とに亘って設置される第2のダンパの減衰力を用いて屋根架構の振動を減衰することができる。
しかも、ダンパ架構部に設置されるダンパは、その設置状態からダンパ架構部の片持ち屋根梁の上下方向の振動に減衰力を発揮するのに対して、桁行方向で隣接するダンパ架構部と方杖架構部とに亘って設置される第2のダンパは、その設置状態から少なくともダンパ架構部の片持ち屋根梁の桁行方向の振動に減衰力を発揮することができ、地震時等の屋根架構の振動を一層好適に減衰することができる。
【0012】
本発明の第4特徴構成は、前記第2のダンパが、前記方杖架構部の前記柱から前記ダンパ架構部の前記片持ち屋根梁に斜め上方に延びる姿勢で、前記方杖架構部の前記柱と前記ダンパ架構部の前記片持ち屋根梁に亘って設置される点にある。
【0013】
本構成によれば、桁行方向で隣接するダンパ架構部と方杖架構部とに亘って、方杖架構部の柱からダンパ架構部の片持ち屋根梁に斜め上方に延びる姿勢で設置される第2のダンパは、その設置状態からダンパ架構部の片持ち屋根梁の桁行方向の振動に加えて上下方向の振動にも減衰力を発揮することができ、地震時等の屋根架構の振動を更に一層好適に減衰することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】屋根架構におけるダンパ架構部と方杖架構部の配置を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1~
図3に示すように、この屋根架構Kは、例えば、競技スペース等の周囲に配置されるスタンド(観客席)Sの上方を覆うものとして構成される。この屋根架構Kは、スタンドSを構成する建物躯体と一体の建物躯体として構成されてもよいし、スタンドSを構成する建物躯体とは分離した別の建物躯体として構成されてもよい。
なお、
図3は、屋根架構Kを競技スペース側(正面側)から斜め上方に見上げた状態を模式的に示したものである。
【0016】
屋根架構Kには、
図1、
図2に示すように、鉄筋コンクリート製等の柱1と、その柱1に一端側(軒先とは反対側となる基端側)が接合される形鋼や鋼管等の鉄骨部材等からなる片持ち屋根梁2とを有する片持ち架構部3が主要構成として備えられ、
図3に示すように、多数の片持ち架構部3が、連結部4にて桁行方向Xで連結される状態で桁行方向Xに並設される。
【0017】
片持ち架構部3は、
図1、
図2に示すように、柱1の柱頭部と片持ち屋根梁2の基端側とが、ボルト等の固定度の低い接合方法にて桁行方向X(
図1及び
図2において紙面の奥行方向)に沿う水平軸周りで回転可能にピン接合されるとともに、柱1の背面側(軒先とは反対側)において、片持ち屋根梁2の基端と柱1の上下中間部とに亘って形鋼や鋼管等からなる鉄骨製等のバックステイ7を架設して構成される。
【0018】
本実施形態では、片持ち屋根梁2は、
図3に示すように、1本の下弦材21と、2本の上弦材22と、下弦材21と上弦材22とに亘る多数本の斜材や束材等の連結材23とを有する横断面逆三角形状の立体トラス梁として構成される。2本の上弦材22は、その先端側(軒先側)を共有する二股状に構成される。
【0019】
桁行方向Xで隣り合う片持ち屋根梁2は、それらの間に位置する上弦材22の基端側部分22aを共有(兼用)して構成され、この基端側部分22aを連結部4の一つとする状態で桁行方向Xで連結される。また、桁行方向Xで隣り合う片持ち屋根梁2の間には、桁行方向Xに延びる多数本の桁8が架設されており、桁行方向Xで隣り合う片持ち屋根梁2は、多数本の桁8を連結部4の一つとする状態で桁行方向Xで連結される。
なお、
図3では、桁行方向Xに延びる多数の桁8については、図中左側の一部のみを示し、残りを省略している。
【0020】
そして、この屋根架構Kでは、多数の片持ち架構部3として、
図1に示すように、柱1と片持ち屋根梁2とに亘ってオイルダンパ5A(ダンパの一例)を設置するダンパ架構部3Aと、
図2に示すように、柱1と片持ち屋根梁2とに亘って方杖6を設置する方杖架構部3Bとが備えられる。なお、本実施形態では、ダンパ架構部3Aにおけるオイルダンパ5Aの配置位置と方杖架構部3Bにおける方杖6の配置位置とが同一とされている。
以下、ダンパ架構部3A、方杖架構部3B、ダンパ架構部3Aと方杖架構部3Bの配置について説明を加える。
【0021】
(ダンパ架構部)
このダンパ架構部3Aでは、
図1に示すように、地震時等の片持ち屋根梁2の振動に対して減衰力を付与するオイルダンパ5Aが、柱1と片持ち屋根梁2の仕口部において、柱1の上端側から片持ち屋根梁2の基端側に向かって斜め上方に延びる姿勢(伸縮する姿勢)で、柱1の上端側と片持ち屋根梁2の基端側(本例では下弦材21と連結材23との連結位置)とに亘って設置される。
そのため、このダンパ架構部3Aでは、柱1の上端部に片持ち屋根梁2の基端側がピン接合されているので、片持ち屋根梁2の基端側を支点とする特に上下方向(鉛直方向)の揺動に対してオイルダンパ5Aの減衰力を適切に付与することができる。
【0022】
なお、オイルダンパ5Aは、例えば、内部にオイルが充填されたシリンダー51及びそのシリンダー51に対して出没するロッド52を備え、シリンダー51からロッド52が引き出されることで全長が伸長し、シリンダー51にロッド52が押し込まれることで全長が収縮するように構成される。
【0023】
柱1にアンカーボルト・ナット等で接合されるオイルダンパ5Aの一端部には、柱1に対して姿勢変更自在とするボールジョイント部53が備えられる。片持ち屋根梁2にボルト・ナット等で接合されるオイルダンパ5Aの他端部にも、片持ち屋根梁2に対して姿勢変更自在とするボールジョイント部53が備えられる。なお、ボールジョイント部53に代えて、少なくとも桁行方向Xに沿う水平軸周りで回転自在なジョイント部が備えられてもよい。
【0024】
(方杖架構部)
この方杖架構部3Bでは、
図2に示すように、柱1と片持ち屋根梁2との仕口部の剛性を高める方杖6が、柱1と片持ち屋根梁2の仕口部において、柱1の上端側から片持ち屋根梁2の基端側に向かって斜め上方に延びる姿勢で、柱1の上端側と片持ち屋根梁2の基端側(本例では下弦材21と連結材23との連結位置)とに亘って設置される。
そのため、この方杖架構部3Bでは、柱1の上端部に片持ち屋根梁2の基端側がピン接合されているので、片持ち屋根梁2の基端側を支点とする特に上下方向の揺動に対して軸方向の部材耐力(引張耐力及び圧縮耐力)にて抵抗力を付与して変形を抑えることができる。
【0025】
(ダンパ架構部と方杖架構部の配置)
この屋根架構Kでは、
図3に模式的に示すように、ダンパ架構部3Aは、桁行方向Xで隣接しないように分散配置される。換言すれば、多数の片持ち架構部3を桁行方向Xに並設するにあたり、桁行方向Xにおいてダンパ架構部3Aが連続しないように配置される。
そして、桁行方向Xで分散配置されたダンパ架構部3Aどうしの間に、方杖架構部3Bが配置される。
【0026】
このように、多数の片持ち架構部3が連結部4にて桁行方向Xで連結される状態で桁行方向Xに並設される屋根架構Kにおいて、剛性を低くして変形を積極的に発生させたいダンパ架構部3Aを桁行方向Xで隣接しないように分散配置し、その分散配置されたダンパ架構部3Aどうしの間に剛性を高める方杖架構部3Bを配置することで、屋根架構K全体としての変形をバランス良く制御しながら、ダンパ架構部3Aに設置されたオイルダンパ5Aにて屋根架構Kの振動を減衰することのできる。
【0027】
更に、本実施形態では、ダンパ架構部3Aと方杖架構部3Bとが、桁行方向Xで交互に配置される。
このように、剛性を低くして変形を積極的に発生させたいダンパ架構部3Aと、剛性を高める方杖架構部3Bとを桁行方向Xで交互に配置することで、屋根架構K全体としての変形を一層バランス良く制御しながら、ダンパ架構部3Aに設置されたオイルダンパ5Aにて屋根架構Kの振動を減衰することができる。
【0028】
なお、ダンパ架構部3Aと方杖架構部3Bとが、桁行方向Xで交互に配置されるのに限らず、桁行方向Xでダンパ架構部3Aどうしの間に2つ以上の方杖架構部3Bが配置されるようにしたり、桁行方向Xでダンパ架構部3Aどうしの間に方杖架構部3Bの他、オイルダンパ5Aと方杖6のいずれも設置されない片持ち架構部3が更に配置されるようにしてもよい。
【0029】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0030】
(1)前述の実施形態の改良として、
図4に示すように、ダンパ架構部3Aのオイルダンパ5Aに加えて、桁行方向Xで隣接して配置されるダンパ架構部3Aと方杖架構部3Bとに亘って第2のオイルダンパ5B(第2のダンパの一例)が設置されるようにしてもよい。なお、第2のオイルダンパ5Bの構成は、オイルダンパ5Aと同一とすることができる。
【0031】
この場合、
図4に示すように、ダンパ架構部3Aと方杖架構部3Bとが、桁行方向Xで隣接して配置され、それら桁行方向Xで隣接して配置されるダンパ架構部3Aと方杖架構部3Bとに亘って第2のオイルダンパ5Bが設置される。図示例では、1つのダンパ架構部3Aに対して、そのダンパ架構部3Aの桁行方向Xの両側に隣接して配置される2つの方杖架構部3Bの夫々との間に第2のオイルダンパ5Bが架設される。
【0032】
第2のオイルダンパ5Bは、ダンパ架構部3Aに隣接する方杖架構部3Bの柱1の上端側からダンパ架構部3Aの片持ち屋根梁2の基端側に斜め上方に延びる姿勢(伸縮する姿勢)で、当該方杖架構部3Bの柱1とダンパ架構部3Aの片持ち屋根梁2に亘って設置される。
【0033】
具体的には、第2のオイルダンパ5Bの一端部は、ダンパ架構部3Aに隣接する方杖架構部3Bの柱1において方杖6が接合される部位又はそれに隣接する部位に接合され、第2のオイルダンパ5Bの他端部は、ダンパ架構部3Aの片持ち屋根梁2においてオイルダンパ5Aが接合される部位又はそれに隣接する部位に接合される。
【0034】
そのため、第2のオイルダンパ5Bが延びる姿勢(伸縮する姿勢)は、平面視では桁行方向Xに対して交差する斜め方向に延びる姿勢となり、側面視では上下方向に対して交差する斜め方向に延びる姿勢となる。
よって、第2のオイルダンパ5Bは、その設置状態からダンパ架構部3Aの片持ち屋根梁2の桁行方向Xの振動(例えば地震時水平力による振動)、及び、上下方向(鉛直方向)の振動に減衰力を発揮することができ、屋根架構Kの振動を更に一層好適に減衰することができる。
なお、第2のオイルダンパ5Bは、例えば、方杖架構部3Aの片持ち屋根梁2とダンパ架構部3の片持ち屋根梁2とに亘って水平方向に延びる姿勢で接合されてもよい。
【0035】
(2)前述の実施形態では、ダンパ架構部3Aに設置されるダンパ、桁行方向Xで隣接するダンパ架構部3Aと方杖架構部3Bに亘って設置される第2のダンパが、オイルダンパ5A、5Bである場合を例に示したが、粘性ダンパー等の各種構造のダンパを採用することができる。
【0036】
(3)前述の実施形態では、片持ち屋根梁2が横断面逆三角形状の立体トラス梁として構成される場合を例に示したが、1本の梁部材等から構成されていてもよい。
【0037】
(4)前述の実施形態では、ダンパ架構部3Aにおけるオイルダンパ5Aの配置位置と方杖架構部3Bにおける方杖6の配置位置とが同一とされている場合を例に示したが、ダンパ架構部3Aにおけるオイルダンパ5Aの配置位置と方杖架構部3Bにおける方杖6の配置位置とを異ならせるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 柱
2 片持ち屋根梁
3 片持ち架構部
3A ダンパ架構部
3B 方杖架構部
4 連結部
5A オイルダンパ(ダンパ)
5B 第2のオイルダンパ(第2のダンパ)
6 方杖
K 屋根架構
X 桁行方向