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特開2023-9625情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009625
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06N 20/00 20190101AFI20230113BHJP
【FI】
G06N20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021113062
(22)【出願日】2021-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 大地
(72)【発明者】
【氏名】島田 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】泉谷 知範
(57)【要約】
【課題】モデルの推定結果の妥当性をユーザが容易に判断できるようにすること。
【解決手段】情報処理装置10は、入力データを、学習データで学習された学習済みモデルに入力し、学習済みモデルから出力結果を取得する。続いて、情報処理装置10は、入力データの分布と学習データの分布との乖離度を算出する。そして、情報処理装置10は、取得した出力結果と、算出した乖離度とを表示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力データを、学習データで学習された学習済みモデルに入力し、前記学習済みモデルから出力結果を取得する取得部と、
前記入力データの分布と前記学習データの分布との乖離度を算出する算出部と、
前記取得部によって取得された出力結果と、前記算出部によって算出された乖離度とを表示する表示部と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記算出部によって算出された前記乖離度が所定の閾値以上であるか否かを判定する判定部をさらに有し、
前記表示部は、前記判定部によって前記乖離度が前記所定の閾値以上であると判定された場合には、前記学習済みモデルを再学習する旨を表示することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記算出部によって算出された前記乖離度が所定の閾値以上であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記乖離度が前記所定の閾値以上であると判定された場合には、前記学習済みモデルの再学習を実行する再学習部とをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記算出部は、前記入力データが複数種別ある場合に、各入力データの分布と同種の学習データの分布との乖離度をそれぞれ算出し、
前記算出部によって算出された各乖離度が所定の閾値以上であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記乖離度が所定の閾値以上であると判定された入力データの種別を特定し、特定した入力データの種別を前記学習済みモデルに入力する入力データから削除する削除部とをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記乖離度が所定時間以上の間継続して前記所定の閾値以上、もしくは、前記乖離度が所定時間の間の一定以上の割合で前記所定の閾値以上であるか否かを判定することを特徴とする請求項2~4のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記取得部によって取得された出力結果の精度に応じて、前記所定の閾値を変更することを特徴とする請求項2~4のいずれか一つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置によって実行される情報処理方法であって、
入力データを、学習データで学習された学習済みモデルに入力し、前記学習済みモデルから出力結果を取得する取得工程と、
前記入力データの分布と前記学習データの分布との乖離度を算出する算出工程と、
前記取得工程によって取得された出力結果と、前記算出工程によって算出された乖離度とを表示する表示工程と
を含んだことを特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
入力データを、学習データで学習された学習済みモデルに入力し、前記学習済みモデルから出力結果を取得する取得ステップと、
前記入力データの分布と前記学習データの分布との乖離度を算出する算出ステップと、
前記取得ステップによって取得された出力結果と、前記算出ステップによって算出された乖離度とを表示する表示ステップと
を実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機械学習では、学習データから入出力関係を学習し、新たなデータに対して推定結果(識別・回帰・予測など)を行う。ここで、実現場への学習済みモデルの適用を考えると、運用においては、モデルの推定精度が重要な関心事となる。つまり、単に推定するだけではなく、その推定結果の妥当性(モデルの動作保証)をユーザは判断する必要がある。
【0003】
また、実現場へ学習済みモデルを適用した場合に、学習済みモデルの推定精度が低くなる場合がある。例えば、学習済みモデルの推定精度が低くなる原因としては、推定対象の入出力関係自体が変化する場合と、学習時のデータセットに含まれていないデータがモデルに入力された場合とがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-142654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、モデルの推定結果の妥当性をユーザが容易に判断することが出来ないという課題があった。つまり、従来では、単純に学習済みモデルを現場に適用しただけでは、ユーザがモデルの推定結果の妥当性を判断することができず、推定された結果をユーザがどの程度信用していいのかわからなかった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、モデルの推定結果の妥当性をユーザが容易に判断できるようにすることを可能とする情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、入力データを、学習データで学習された学習済みモデルに入力し、前記学習済みモデルから出力結果を取得する取得部と、前記入力データの分布と前記学習データの分布との乖離度を算出する算出部と、前記取得部によって取得された出力結果と、前記算出部によって算出された乖離度とを表示する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、モデルの推定結果の妥当性をユーザが容易に判断できるようにすることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態に係る情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、モデルに入力データを入力しつつ、入力データの分布と学習データの分布との乖離度を算出する処理について説明する図である。
図3図3は、入力データおよび学習データがセンサ等の時系列データの場合における、モデルの出力結果および分布乖離度を表示する処理を説明する図である。
図4図4は、入力データおよび学習データが画像データの場合における、モデルの出力結果および分布乖離度を表示する処理を説明する図である。
図5図5は、入力データおよび学習データが画像データの場合における、モデルの出力結果および分布乖離度を表示する処理を説明する図である。
図6図6は、実施の形態に係る情報処理装置における表示処理を示すフローチャートである。
図7図7は、実施の形態に係る情報処理装置における再学習処理を示すフローチャートである。
図8図8は、プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムが限定されるものではない。
【0011】
以下の実施の形態では、実施の形態に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムの処理の流れを順に説明し、最後に実施の形態による効果を説明する。
【0012】
[実施の形態]
以下の実施の形態では、実施の形態に係る情報処理装置10の構成、情報処理装置10の処理の流れを順に説明し、最後に実施の形態による効果を説明する。
【0013】
[情報処理装置]
まず、図1を用いて、情報処理装置10の構成を説明する。図1は、実施の形態に係る情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、情報処理装置10は、通信処理部11、制御部12及び記憶部13を有する。
【0014】
通信処理部11は、無線または有線にて他の装置との間で通信を行う。通信処理部11は、ネットワーク等を介して接続された他の装置との間で、各種情報を送受信する通信インタフェースである。通信処理部11は、NIC(Network Interface Card)等で実現され、LAN(Local Area Network)やインターネットなどの電気通信回線を介した他の装置と制御部12(後述)との間の通信を行う。
【0015】
記憶部13は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、光ディスク等の記憶装置である。なお、記憶部13は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、NVSRAM(Non Volatile Static Random Access Memory)等のデータを書き換え可能な半導体メモリであってもよい。記憶部13は、情報処理装置10で実行されるOS(Operating System)や各種プログラムを記憶する。さらに、記憶部13は、プログラムの実行で用いられる各種情報を記憶する。記憶部13は、学習データ記憶部13aおよび入力データ記憶部13bを有する。
【0016】
学習データ記憶部13aは、学習済みモデルの学習時に用いられた学習データを記憶する。例えば、学習データ記憶部13aは、学習データとして、複数のセンサから取得されたプロセスデータを記憶する。また、学習データ記憶部13aは、プロセスデータを記憶する場合に限定されるものではなく、画像、信号等を記憶してもよい。また、学習データ記憶部13aは、学習データとして、生データだけでなく、加工済みデータを記憶してもよい。
【0017】
入力データ記憶部13bは、後述する収集部12aによって収集されたデータであって、学習済みモデルに入力される入力データを記憶する。例えば、入力データ記憶部13bは、入力データとして、複数のセンサから取得されたプロセスデータを記憶する。プロセスデータは、例えば、工場やプラントにおける反応炉や各種装置に設置された各種センサにおいて取得されたデータである。また、プロセスデータは、例えば、反応炉や各種装置の運転用の各種信号等のデータであってもよい。プロセスデータは、センサそれぞれにおいて、所定の時間間隔、例えば1秒ごとに所得された時系列データである。また、入力データ記憶部13bは、プロセスデータを記憶する場合に限定されるものではなく、画像、信号等を記憶してもよい。また、入力データ記憶部13bは、入力データとして、生データだけでなく、加工済みデータを記憶してもよい。
【0018】
制御部12は、情報処理装置10全体を制御する。制御部12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路である。また、制御部12は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、内部メモリを用いて各処理を実行する。また、制御部12は、各種のプログラムが動作することにより各種の処理部として機能する。制御部12は、収集部12a、取得部12b、算出部12c、表示部12d、判定部12e、再学習部12fおよび削除部12gを有する。
【0019】
収集部12aは、入力データを収集する。例えば、収集部12aは、工場、プラント等の監視対象設備に設置された複数のセンサから、所定の時間間隔の時系列データを表すプロセスデータを収集し、収集したデータを入力データ記憶部13bに格納する。また、収集部12aは、予め定めた条件を満たす場合、例えば、1時間分のプロセスデータを入力データ記憶部13bに格納した場合に、入力データを学習済みモデルに入力する指示を取得部12bに通知する。なお、収集部12aは、ユーザが手動で入力した入力データを取得してもよい。
【0020】
取得部12bは、入力データを、学習データで学習された学習済みモデルに入力し、学習済みモデルから出力結果を取得する。なお、ここで、入力データおよび学習済みモデルはどのようなものであってもよく、限定されるものではない。例えば、学習済みモデルからの出力結果として、例えば、プロセスデータの予測値を取得してもよいし、対象設備の異常度を取得してもよいし、画像データの認識結果を取得してもよい。
【0021】
より具体的に説明すると、例えば、入力データがプロセスデータであって、出力結果が異常度である場合に、取得部12bは、収集部12aから指示を受け付けると、入力データ記憶部13bからプロセスデータを読み出し、所定幅のスライド窓を用いて、所定幅のプロセスデータを切り出す。そして、取得部12bは、切り出した所定幅のプロセスデータを学習済みモデルに入力し、学習済みモデルから出力結果を取得する。ここで、所定幅は、予め設定されたスライド窓の幅であり、例えば、1分といった値を用いることができる。つまり、算出部15は、所定幅のスライド窓を時間軸方向に所定のシフト幅ずつ移動させて、所定幅のプロセスデータを切り出す。なお、取得部12bによる処理は、オフラインで行ってもよいし、ストリーミングデータを用いてオンラインで行ってもよい。
【0022】
算出部12cは、入力データの分布と学習データの分布との乖離度を算出する。具体的には、算出部12cは、学習データ記憶部13aから学習データを読み出し、入力データ記憶部13bからプロセスデータを読み出して、入力データの分布と学習データの分布との乖離度を算出する。また、算出部12cは、入力データが複数種別ある場合に、各入力データの分布と同種の学習データの分布との乖離度をそれぞれ算出するようにしてもよい。例えば、算出部12cは、複数のセンサのデータ(入力データ)がある場合には、センサごとに、入力データの分布と学習データの分布との乖離度をする。
【0023】
ここで算出部12cは、データ間の分布の乖離度を算出できる手法であれば、どのような手法であってもよく、例えば、uLSIF(Unconstrained Least-Squares Importance Fitting)、KLEPなどの密度比推定手法やGenerative Adversarial Networksを用いることで密度比を計算する。また、乖離度として、密度比推定から自然に計算できるカルバック・ライブラー情報量やピアソン距離などの尺度としてもよい。また、乖離度として密度比だけでなく分布間の距離を測るマハラノビス距離や近傍法で用いられるユークリッド距離としてもよい。また、密度比は連続値として出力されるが、適当な閾値を設けて(例えば、大中小のように)離散値としてもよい。また、算出部12cは、例えば、PCAなどの次元圧縮手法を用いて、入力データおよび学習データを事前に圧縮し、圧縮後に密度比を計算してもよい。なお、密度比推定手法のアルゴリズムは自動または手動により切り替えることができるようにしてもよい。
【0024】
ここで、図2を用いて、モデルに入力データを入力しつつ、入力データの分布と学習データの分布との乖離度を算出する処理について説明する。図2は、モデルに入力データを入力しつつ、入力データの分布と学習データの分布との乖離度を算出する処理について説明する図である。図2の例では、学習データとしてプロセスデータが10万点以上あり、入力データとしてプロセスデータが300点程度ある場合を例示している。
【0025】
取得部12bは、所定幅のスライド窓を時間軸方向に所定のシフト幅ずつ移動させて、所定幅のプロセスデータを切り出し、切り出したプロセスデータを学習済みモデルに入力することで、学習済みモデルの出力結果を得る。また、算出部12cは、入力データの分布と学習データの分布との乖離度を算出する。
【0026】
表示部12dは、取得部12bによって取得された出力結果と、算出部12cによって算出された乖離度とを表示する。例えば、表示部12dは、GUI(Graphical User Interface)アプリケーションにより、学習済みモデルの出力結果の時系列変化を示すグラフと、入力データの分布と学習データの分布との乖離度の時系列変化を示すグラフとを時系列が同一となるように並べて表示する。
【0027】
ここで、図3を用いて、入力データおよび学習データが時系列データの場合における、モデルの出力結果および分布乖離度を表示する処理を説明する。図3は、入力データおよび学習データが時系列データの場合における、モデルの出力結果および分布乖離度を表示する処理を説明する図である。図3に例示するように、表示部12dは、新しい入力データを学習済みモデルに入力することで得られた出力結果の時系列変化を示すグラフを表示する。
【0028】
また、表示部12dは、新しい入力データおよび学習データの分布乖離度推定処理によって得られた分布乖離度の時系列変化を示すグラフを表示する。表示部12dは、この2つのグラフを、時系列が同一になるように縦に並べて表示する。これにより、例えば、入力データと学習データとの分布の乖離度が大きい区間Aについて、同区間Aの出力結果は信頼度が低いとユーザが判断することができる。また、表示部12dは、入力データが複数種別ある場合には、入力データの種別ごとに乖離度を表示してもよい。例えば、表示部12dは、複数のセンサのデータ(入力データ)がある場合には、センサごとに乖離度を表示することで、どのデータが学習データと乖離しているかをユーザが把握できるようにすることができる。
【0029】
なお、表示方法はこれに限定されるものではない。また、入力データおよび学習データが時系列データである場合に限定されるものではなく、例えば、入力データおよび学習データが画像データであってもよい。図4および図5は、入力データおよび学習データが画像データの場合における、モデルの出力結果および分布乖離度を表示する処理を説明する図である。
【0030】
図4および図5では、学習データとして、数字の「3」、「5」、「0」、「7」等の画像データを用いて、学習済みモデルが学習された場合を例示している。また、図4および図5の例では、学習済みモデルは、入力された画像データに含まれる数字の推定結果を出力する。このような場合に、図4に例示するように、情報処理装置10は、入力データとして、数字の「9」が含まれる画像データを学習済みモデルに入力することで、出力結果「9」を取得して表示する。また、情報処理装置10は、入力データの分布と学習データの分布との乖離度「0.03」も表示する。この表示を見たユーザは、乖離度の値が低いため、出力結果「9」の信頼度が高いものと判断することができる。
【0031】
一方、図5に例示するように、情報処理装置10は、入力データとして、「馬」が含まれる画像データを学習済みモデルに入力することで、出力結果「9」を取得して表示する。また、情報処理装置10は、入力データの分布と学習データの分布との乖離度「0.98」も表示する。この表示を見たユーザは、乖離度が高いため、出力結果「9」の信頼度が低いものと判断することができる。また、例えば、情報処理装置10の表示部12dは、入力された複数の画像データを乖離度順にソートして表示し、入力画像を比べて表示できるようにしてもよい。
【0032】
また、表示部12dは、後述する判定部12eによって乖離度が所定の閾値以上であると判定された場合には、学習済みモデルを再学習する旨を表示するようにしてもよい。つまり、入力データと学習データとの分布の乖離度が大きい場合には、学習済みモデルの学習データに含まれていないようなデータが入力されているため、学習済みモデルの出力結果の精度が低い可能性があり、新しい入力データに適応できるように学習済みモデルの再学習を促す。
【0033】
判定部12eは、算出部12cによって算出された乖離度が所定の閾値以上であるか否かを判定する。例えば、入力データおよび学習データが時系列データの場合に、判定部12eは、乖離度が所定時間(例えば、5分)以上の間継続して所定の閾値以上、もしくは、乖離度が所定時間の間の一定以上の割合(例えば、50%等)で所定の閾値以上であるか否かを判定するようにしてもよい。このようにすることで、判定部12eは、瞬間的に乖離度が高くなっただけの場合には、乖離度が閾値以上であると判定せずに、ある程度継続した場合にのみ乖離度が閾値以上であると判定することで、後述する再学習等が必要以上に頻繁に行われることを防止する。
【0034】
また、判定部12eは、取得部12bによって取得された出力結果の精度に応じて、所定の閾値を変更するようにしてもよい。例えば、学習済みモデルの出力結果の精度を取得できる場合に、判定部12eは、精度が所定の閾値以上である場合には、急いで再学習等が不要であるものとして、閾値を高く変更し、精度が所定の閾値未満である場合には、再学習等が必要であるものとして、閾値を低く変更する。なお、判定部12eは、算出部12cによって複数の乖離度が算出された場合には、各乖離度が所定の閾値以上であるか否かを判定する。
【0035】
再学習部12fは、判定部12eによって乖離度が所定の閾値以上であると判定された場合には、学習済みモデルの再学習を実行する。なお、再学習部12fが実行する再学習方法はどのようなものであってもよい。例えば、再学習部12fは、入力データ記憶部13bに蓄積された入力データを学習データとして用いて再学習を行う。
【0036】
削除部12gは、判定部12eによって乖離度が所定の閾値以上であると判定された入力データの種別を特定し、特定した入力データの種別を学習済みモデルに入力する入力データから削除する。例えば、入力データが複数のセンサデータである場合に、削除部12gは、判定部12eによって乖離度が所定の閾値以上であると判定されたセンサデータを特定し、特定したセンサデータを学習済みモデルに入力する入力データから削除する。このように、削除部12gは、複数ある入力データのうち一部のデータのみ乖離度が高い場合には、該当のデータのみ削除することで、予測精度が低下することを防止することが可能である。
【0037】
[情報処理装置の処理手順]
次に、図6および図7を用いて、実施の形態に係る情報処理装置10による処理手順の例を説明する。図6は、実施の形態に係る情報処理装置における表示処理を示すフローチャートである。図7は、実施の形態に係る情報処理装置における再学習処理を示すフローチャートである。
【0038】
図6に例示するように、情報処理装置10の収集部12aは、入力データを収集すると(ステップS101肯定)、入力データを入力データ記憶部13bに格納する(ステップS102)。そして、取得部12bは、入力データを、学習データで学習された学習済みモデルに入力し(ステップS103)、学習済みモデルから出力結果を取得する(ステップS104)。
【0039】
そして、算出部12cは、入力データの分布と学習データの分布との乖離度を算出する(ステップS105)。具体的には、算出部12cは、学習データ記憶部13aから学習データを読み出し、入力データ記憶部13bからプロセスデータを読み出して、入力データの分布と学習データの分布との乖離度を算出する。
【0040】
その後、表示部12dは、取得部12bによって取得された出力結果と、算出部12cによって算出された乖離度とを表示する(ステップS106)。例えば、表示部12dは、学習済みモデルの出力結果の時系列変化を示すグラフと、入力データの分布と学習データの分布との乖離度の時系列変化を示すグラフとを時系列が同一となるように並べて表示する。
【0041】
また、図7に例示するように、情報処理装置10の算出部12cが乖離度を算出すると(ステップS201肯定)、判定部12eは、算出された乖離度が所定の閾値以上であるかを判定する(ステップS202)。例えば、判定部12eは、乖離度が所定時間(例えば、5分)以上の間継続して所定の閾値以上、もしくは、乖離度が所定時間の間の一定以上の割合(例えば、50%等)で所定の閾値以上であるか否かを判定するようにしてもよい。
【0042】
この結果、判定部12eが算出された乖離度が所定の閾値以上であると判定した場合には(ステップS202肯定)、再学習部12fは、判定部12eによって乖離度が所定の閾値以上であると判定された場合には、学習済みモデルの再学習を実行する(ステップS203)。また、判定部12eが算出された乖離度が所定の閾値以上でないと判定した場合には(ステップS202否定)、本フローの処理をそのまま終了する。
【0043】
[実施の形態の効果]
このように、本実施の形態に係る情報処理装置10は、入力データを、学習データで学習された学習済みモデルに入力し、学習済みモデルから出力結果を取得する。続いて、情報処理装置10は、入力データの分布と学習データの分布との乖離度を算出する。そして、情報処理装置10は、取得した出力結果と、算出した乖離度とを表示する。これにより、情報処理装置10は、モデルの推定結果の妥当性をユーザが容易に判断できるようにすることが可能である。
【0044】
つまり、情報処理装置10では、学習済みモデルの推定結果に合わせて、学習データセットと運用現場で新しく入力されるデータの分布の乖離度を表示することで、モデルの推定結果の妥当性をユーザに分かりやすく示すことができる。例えば、ユーザは、学習データと新しいデータの分布の乖離度が大きいほど、入力されたデータが未知に近いため、モデルの推定結果の妥当性が低いことと判断することができる。
【0045】
[システム構成等]
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUやGPU及び当該CPUやGPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0046】
また、本実施形態において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0047】
[プログラム]
また、上記実施形態において説明した情報処理装置10が実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述したプログラムを作成することもできる。例えば、実施形態における情報処理装置10が実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述したプログラムを作成することもできる。この場合、コンピュータがプログラムを実行することにより、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、かかるプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータに読み込ませて実行することにより上記実施形態と同様の処理を実現してもよい。
【0048】
図8は、プログラムを実行するコンピュータを示す図である。図8に例示するように、コンピュータ1000は、例えば、メモリ1010と、CPU1020と、ハードディスクドライブインタフェース1030と、ディスクドライブインタフェース1040と、シリアルポートインタフェース1050と、ビデオアダプタ1060と、ネットワークインタフェース1070とを有し、これらの各部はバス1080によって接続される。
【0049】
メモリ1010は、図8に例示するように、ROM(Read Only Memory)1011及びRAM1012を含む。ROM1011は、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース1030は、図8に例示するように、ハードディスクドライブ1090に接続される。ディスクドライブインタフェース1040は、ディスクドライブ1100に接続される。例えば磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が、ディスクドライブ1100に挿入される。シリアルポートインタフェース1050は、例えばマウス1110、キーボード1120に接続される。ビデオアダプタ1060は、例えばディスプレイ1130に接続される。
【0050】
ここで、図8に例示するように、ハードディスクドライブ1090は、例えば、OS1091、アプリケーションプログラム1092、プログラムモジュール1093、プログラムデータ1094を記憶する。すなわち、上記の、プログラムは、コンピュータ1000によって実行される指令が記述されたプログラムモジュールとして、例えばハードディスクドライブ1090に記憶される。
【0051】
また、上記実施形態で説明した各種データは、プログラムデータとして、例えばメモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶される。そして、CPU1020が、メモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶されたプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094を必要に応じてRAM1012に読み出し、各種処理手順を実行する。
【0052】
なお、プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ハードディスクドライブ1090に記憶される場合に限られず、例えば着脱可能な記憶媒体に記憶され、ディスクドライブ等を介してCPU1020によって読み出されてもよい。あるいは、プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ネットワーク(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等)を介して接続された他のコンピュータに記憶され、ネットワークインタフェース1070を介してCPU1020によって読み出されてもよい。
【0053】
上記の実施形態やその変形は、本願が開示する技術に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0054】
10 情報処理装置
11 通信処理部
12 制御部
12a 収集部
12b 取得部
12c 算出部
12d 表示部
12e 判定部
12f 再学習部
12g 削除部
13 記憶部
13a 学習データ記憶部
13b 入力データ記憶部
図1
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図6
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図8