(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096261
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/322 20060101AFI20230630BHJP
E06B 9/262 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
E06B9/322
E06B9/262
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211883
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中村 元
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 慶弘
(72)【発明者】
【氏名】和田 壮史
【テーマコード(参考)】
2E043
【Fターム(参考)】
2E043AA02
2E043AA04
2E043BA02
2E043BC02
2E043BE15
2E043DA03
2E043DB01
(57)【要約】
【課題】第1レール及び第2レールの各々を容易に操作可能な遮蔽装置を提供する。
【解決手段】ヘッドボックス1と、上部スクリーン2と、中間レール3と、下部スクリーン4と、ボトムレール5と、中間レール3を吊り下げ支持する第1昇降コード6と、ボトムレール5を吊り下げ支持する第2昇降コード7とを備えたプリーツスクリーンであって、第1昇降コード6を巻き取る第1巻取部材8と、第2昇降コード7を巻き取る第2巻取部材9と、第1巻取部材8を駆動するための第1操作コード13Aと、第2巻取部材9を駆動するための第2操作コード13Bと、第2操作コード13Bを操作することでボトムレール5が上昇して中間レール3に干渉したときに、第1巻取部材8を第2巻取部材9と連動させて第1昇降コード6を巻き取る弛み抑制機構20と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドボックスから吊下支持される第1遮蔽材の下端に取着される第1レールと、
前記第1レールから吊下支持される第2遮蔽材の下端に取着される第2レールと、
前記ヘッドボックスから垂下される昇降コードであって、前記第1レールを吊り下げ支持する第1昇降コード、及び、前記第2レールを吊り下げ支持する第2昇降コードと、を備える遮蔽装置であって、
前記ヘッドボックスに設けられ、前記第1昇降コードを巻き取る第1巻取機構と、
前記ヘッドボックスに設けられ、前記第2昇降コードを巻き取る第2巻取機構と、
無端の第1操作コードが操作されている間に前記第1巻取機構を駆動する第1操作部と、
無端の第2操作コードが操作されている間に前記第2巻取機構を駆動する第2操作部と、
前記第2操作コードを操作することで前記第2レールが上昇して前記第1レールに干渉したときに、前記第1巻取機構を前記第2巻取機構と連動させて前記第1昇降コードを巻き取る弛み抑制機構と、を備える
遮蔽装置。
【請求項2】
前記第1操作部は、前記ヘッドボックスにおける長手方向の一端に位置し、
前記第2操作部は、前記ヘッドボックスにおける前記長手方向の他端に位置する
請求項1に記載の遮蔽装置。
【請求項3】
前記第1レール及び前記第1遮蔽材の自重による前記第1巻取機構における前記第1昇降コードの巻き出しをロックするとともに、前記第1操作コードからの入力に従った前記第1巻取機構の回転を許容する第1ブレーキと、
前記第2レール及び前記第2遮蔽材の自重による前記第2巻取機構における前記第2昇降コードの巻き出しをロックするとともに、前記第2操作コードからの入力に従った前記第2巻取機構の回転を許容する第2ブレーキと、を備える
請求項1または2に記載の遮蔽装置。
【請求項4】
前記第1操作コードから前記第1昇降コードを巻き取る方向の回転が入力されたとき、前記第1昇降コードを巻き取る方向の回転を前記第1巻取機構に伝達し、前記第1操作コードから前記第1昇降コードを巻き取る方向と反対の回転が入力されたとき、前記第1巻取機構における前記第1レール及び前記第1遮蔽材の自重による前記第1昇降コードの巻き出しに対して前記第1ブレーキのブレーキ力を作用させないようにする第1ワンウェイクラッチと、
前記第2操作コードから前記第2昇降コードを巻き取る方向の回転が入力されたとき、前記第2昇降コードを巻き取る方向の回転を前記第2巻取機構に伝達し、前記第2操作コードから前記第2昇降コードを巻き取る方向と反対の回転が入力されたとき、前記第2巻取機構における前記第2レール及び前記第2遮蔽材の自重による前記第2昇降コードの巻き出しに対して前記第2ブレーキのブレーキ力を作用させないようにする第2ワンウェイクラッチと、を備える
請求項3に記載の遮蔽装置。
【請求項5】
前記第1巻取機構は、第1方向に回転したときに前記第1昇降コードを巻き取り、前記第1方向と反対の第2方向に回転したときに前記第1昇降コードを巻き出し、
前記第2巻取機構は、前記第2方向に回転したときに前記第2昇降コードを巻き取り、前記第1方向に回転したときに前記第2昇降コードを巻き出し、
前記遮蔽装置は、前記第1操作コードのうち室内側に位置する部分を下方に引いた際に前記第1巻取機構が回転する方向と、前記第2操作コードのうち室内側に位置する部分を下方に引いた際に前記第2巻取機構が回転する方向と、を逆向きにするギヤ部を備える
請求項1ないし4のうち何れか一項に記載の遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドボックスから第1遮蔽材及び第1レール、並びに、第2遮蔽材及び第2レールを吊り下げ支持した遮蔽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遮蔽装置の一例として、ジグザグ状に折り畳まれたスクリーンを遮蔽材として用いたプリーツスクリーンがある。例えば、特許文献1のプリーツスクリーンは、中間レール及び上部スクリーンが第1昇降コードによって吊り下げ支持され、さらに、中間レールより下側にボトムレール及び下部スクリーンが第2昇降コードによって吊り下げ支持される。中間レール及び上部スクリーン、並びに、ボトムレール及び下部スクリーンは、ヘッドボックスから垂下された1つの操作コードをわずかに下方に引く操作を行うことによって各別に昇降される。上記のプリーツスクリーンでは、上昇するボトムレールが中間レールを持ち上げるように上昇させると、第1昇降コードが弛まないように第1昇降コードを巻き取る構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のプリーツスクリーンのように、1つの操作コードによって中間レール及びボトムレールのそれぞれを上昇または下降させる操作を行うことは、各操作の手順を複雑なものとする。操作者の誤操作を予防する観点からも、中間レール及びボトムレールを備えた遮蔽装置において、中間レール及びボトムレールのそれぞれを容易に操作可能な構成が望まれている。また、特許文献1のプリーツスクリーンは、操作コードをわずかに下方に引く操作を行うことによってスクリーンが昇降する自動昇降機能を有するものである。そのため、操作コードを操作している間にスクリーンが昇降するようなプリーツスクリーンに対して、特許文献1の構成をそのまま適用することは困難である。なお、このような問題は、プリーツスクリーンだけでなく、横型ブラインドなどの遮蔽装置にも当てはまる。例えば、横型ブラインドの場合、中間レール及び複数枚の上部スラットを第1昇降コードによって吊り下げ支持し、さらにボトムレール及び複数枚の下部スラットを第2昇降コードによって吊り下げ支持した場合にも同様な問題が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための遮蔽装置は、ヘッドボックスから吊下支持される第1遮蔽材の下端に取着される第1レールと、前記第1レールから吊下支持される第2遮蔽材の下端に取着される第2レールと、前記ヘッドボックスから垂下される昇降コードであって、前記第1レールを吊り下げ支持する第1昇降コード、及び、前記第2レールを吊り下げ支持する第2昇降コードと、を備える遮蔽装置であって、前記ヘッドボックスに設けられ、前記第1昇降コードを巻き取る第1巻取機構と、前記ヘッドボックスに設けられ、前記第2昇降コードを巻き取る第2巻取機構と、無端の第1操作コードが操作されている間に前記第1巻取機構を駆動する第1操作部と、無端の第2操作コードが操作されている間に前記第1巻取機構を駆動する第2操作部と、前記第2操作コードを操作することで前記第2レールが上昇して前記第1レールに干渉したときに、前記第1巻取機構を前記第2巻取機構と連動させて前記第1昇降コードを巻き取る弛み抑制機構と、を備える。
【0006】
上記遮蔽装置において、前記第1操作部は、前記ヘッドボックスにおける長手方向の一端に位置し、前記第2操作部は、前記ヘッドボックスにおける前記長手方向の他端に位置してもよい。
【0007】
上記遮蔽装置において、前記第1レール及び前記第1遮蔽材の自重による前記第1巻取機構における前記第1昇降コードの巻き出しをロックするとともに、前記第1操作コードからの入力に従った前記第1巻取機構の回転を許容する第1ブレーキと、前記第2レール及び前記第2遮蔽材の自重による前記第2巻取機構における前記第2昇降コードの巻き出しをロックするとともに、前記第2操作コードからの入力に従った前記第2巻取機構の回転を許容する第2ブレーキと、を備えてもよい。
【0008】
上記遮蔽装置において、前記第1操作コードから前記第1昇降コードを巻き取る方向の回転が入力されたとき、前記第1昇降コードを巻き取る方向の回転を前記第1巻取機構に伝達し、前記第1操作コードから前記第1昇降コードを巻き取る方向と反対の回転が入力されたとき、前記第1巻取機構における前記第1レール及び前記第1遮蔽材の自重による前記第1昇降コードの巻き出しに対して前記第1ブレーキのブレーキ力を作用させないようにする第1ワンウェイクラッチと、前記第2操作コードから前記第2昇降コードを巻き取る方向の回転が入力されたとき、前記第2昇降コードを巻き取る方向の回転を前記第2巻取機構に伝達し、前記第2操作コードから前記第2昇降コードを巻き取る方向と反対の回転が入力されたとき、前記第2巻取機構における前記第2レール及び前記第2遮蔽材の自重による前記第2昇降コードの巻き出しに対して前記第2ブレーキのブレーキ力を作用させないようにする第2ワンウェイクラッチと、を備えてもよい。
【0009】
上記遮蔽装置において、前記第1巻取機構は、第1方向に回転したときに前記第1昇降コードを巻き取り、前記第1方向と反対の第2方向に回転したときに前記第1昇降コードを巻き出し、前記第2巻取機構は、前記第2方向に回転したときに前記第2昇降コードを巻き取り、前記第1方向に回転したときに前記第2昇降コードを巻き出し、前記遮蔽装置は、前記第1操作コードのうち室内側に位置する部分を下方に引いた際に前記第1巻取機構が回転する方向と、前記第2操作コードのうち室内側に位置する部分を下方に引いた際に前記第2巻取機構が回転する方向と、を逆向きにするギヤ部を備えてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1レール及び第2レールの各々を容易に操作できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図7】
図7は、カムクラッチと回転ドラムとの関係を示した側面図である。
【
図12】
図12は、操作コード側から入力があったときのブレーキの状態を示す模式図である。
【
図13】
図13は、巻取部材側から入力があったときのブレーキの状態を示す模式図である。
【
図14】
図14は、ワンウェイクラッチの構成を説明する模式図である。
【
図15】
図15は、昇降コードを巻き取る際のワンウェイクラッチの状態を示す模式図である。
【
図16】
図16は、昇降コードを巻き出す際のワンウェイクラッチの状態を示す模式図である。
【
図17】
図17は、弛み抑制機構によって第1駆動軸と第2駆動軸とが連動した際のワンウェイクラッチの状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明が適用された遮蔽装置について
図1~
図17を参照して説明する。
[遮蔽装置]
図1に示すように、遮蔽装置の一例であるプリーツスクリーンは、ヘッドボックス1と、上部スクリーン2と、中間レール3と、下部スクリーン4と、ボトムレール5と、を備える。ヘッドボックス1は、プリーツスクリーンにおける各部を収容する筐体である。ヘッドボックス1は、壁面や天井面などの取付面に取着される。上部スクリーン2は、ヘッドボックス1から吊下支持される第1遮蔽材の一例である。中間レール3は、上部スクリーン2の下端に取り付けられる第1レールの一例である。下部スクリーン4は、中間レール3から吊下支持される第2遮蔽材の一例である。ボトムレール5は、下部スクリーン4の下端に取り付けられる第2レールの一例である。
【0013】
上部スクリーン2は、例えば、レース生地等の光透過性を備えた生地をジグザグ状に折り畳み可能としたものである。下部スクリーン4は、例えば、遮光性を備えた生地をジグザグ状に折り畳み可能としたものである。なお、上部スクリーン2が遮光性を備えた生地であり、かつ、下部スクリーン4が光透過性を備えた生地であってもよい。
【0014】
プリーツスクリーンは、さらに第1昇降コード6及び第2昇降コード7を備える。第1昇降コード6及び第2昇降コード7の各々は、プリーツスクリーンの長手方向のなかで複数設けられる。第1昇降コード6は、ヘッドボックス1から垂下されて上部スクリーン2に挿通される。第1昇降コード6の下端は、中間レール3に取着される。第2昇降コード7は、ヘッドボックス1から垂下されて上部スクリーン2に挿通され、さらに、中間レール3を貫通して下部スクリーン4に挿通される。第2昇降コード7の下端は、ボトムレール5に取着される。なお、第1昇降コード6及び第2昇降コード7は、上部スクリーン2及び下部スクリーン4の中央に挿通されてもよいし、室外側の部分に挿通されてもよい。
【0015】
プリーツスクリーンは、さらに、ヘッドボックス1の内部に位置する第1巻取部材8、第2巻取部材9、第1駆動軸10A、第2駆動軸10B、及び、サポート部材11を備える。第1巻取部材8及び第1駆動軸10Aは、第1昇降コード6を巻き取るための第1巻取機構を構成する。第2巻取部材9及び第2駆動軸10Bは、第2昇降コード7を巻き取るための第2巻取機構を構成する。
【0016】
第1巻取部材8及び第2巻取部材9は、一例として略円錐状の巻取コーンである。第1巻取部材8は、第1昇降コード6と同数設けられる。第2巻取部材9は、第2昇降コード7と同数設けられる。第1巻取部材8及び第2巻取部材9は、第1昇降コード6及び第2昇降コード7の上方位置で水平方向に並列する(
図4参照)。サポート部材11は、ヘッドボックス1の内部において、第1巻取部材8及び第2巻取部材9の各々を回転可能に支持する。
【0017】
第1巻取部材8には、第1昇降コード6の上端が巻着される。第2巻取部材9には、第2昇降コード7の上端が巻着される。第1昇降コード6及び第2昇降コード7は、第1巻取部材8及び第2巻取部材9に対して互いに逆方向に巻回されている。
【0018】
第1昇降コード6は、第1巻取部材8が第1方向に回転することで螺旋状に巻き取られ、かつ、第1巻取部材8が第1方向と反対の第2方向に回転することで螺旋状に巻き出される。第2昇降コード7は、第2巻取部材9が第2方向に回転することで螺旋状に巻き取られ、かつ、第2巻取部材9が第1方向に回転することで螺旋状に巻き出される。
【0019】
第1駆動軸10A及び第2駆動軸10Bは、六角棒状の部材である。第1駆動軸10A及び第2駆動軸10Bは、ヘッドボックス1のなかで水平に並列する(
図4参照)。第1駆動軸10Aは、ヘッドボックス1の中で室内側に位置する。第2駆動軸10Bは、ヘッドボックス1の中で室外側に位置する。第1駆動軸10Aは、第1巻取部材8を回転させる。第2駆動軸10Bは、第2巻取部材9を回転させる。なお、
図1は、室内側に視点を配して室外側を見た図である。すなわち、
図1では、紙面手前側が室内側であり、紙面奥側が室外側である。
【0020】
プリーツスクリーンは、さらに、第1駆動軸10Aを回転駆動するための第1操作部12Aと、第2駆動軸10Bを回転駆動するための第2操作部12Bとを備える。第1操作部12Aは、ヘッドボックス1における長手方向の一端に位置する。第2操作部12Bは、ヘッドボックス1における長手方向の他端に位置する。
【0021】
第1操作部12Aは、第1操作コード13Aと、第1プーリ14Aとを備える。第2操作部12Bは、第2操作コード13Bと、第2プーリ14Bとを備える。第1操作コード13A及び第2操作コード13Bは、無端状のコードであって、一例として、ボールチェーンである。第1操作コード13Aは、第1プーリ14Aに掛装された状態で下方へ垂下される。第1プーリ14Aは、第1操作コード13Aの操作量に応じて回転する。第2操作コード13Bは、第2プーリ14Bに掛装された状態で下方へ垂下される。第2プーリ14Bは、第2操作コード13Bの操作量に応じて回転する。
【0022】
図2に示すように、第1操作コード13Aは、第1部分13A1と、第2部分13A2とを備える。第1部分13A1は、第1操作コード13Aのうちヘッドボックス1の前面側に垂下された部分、すなわち室内側に位置する部分である。第2部分13A2は、第1操作コード13Aのうちヘッドボックス1の背面側に垂下された部分、すなわち室外側に位置する部分である。
【0023】
第1駆動軸10Aは、第1部分13A1を連続して下方に引くことで、第1部分13A1が操作されている間、その操作量に応じて第1昇降コード6を巻き取る第1方向に回転し、これによって中間レール3が上昇する。第1駆動軸10Aは、第2部分13A2を連続して下方に引くことで、第2部分13A2が操作されている間、その操作量に応じて第1昇降コード6を巻き出す第2方向に回転し、これによって中間レール3が下降する。
【0024】
図3に示すように、第2操作コード13Bは、第3部分13B1と、第4部分13B2とを備える。第3部分13B1は、第2操作コード13Bのうちヘッドボックス1の前面側に垂下された部分、すなわち室内側に位置する部分である。第4部分13B2は、第2操作コード13Bのうちヘッドボックス1の背面側に垂下された部分、すなわち室外側に位置する部分である。
【0025】
第2駆動軸10Bは、第3部分13B1を連続して下方に引くことで、第3部分13B1が操作されている間、その操作量に応じて第2昇降コード7を巻き取る第2方向に回転し、これによってボトムレール5が上昇する。第2駆動軸10Bは、第4部分13B2を連続して下方に引くことで、第4部分13B2が操作されている間、その操作量に応じて第2昇降コード7を巻き出す第1方向に回転し、これによってボトムレール5が下降する。
【0026】
図4に示すように、第1操作部12Aは、第1ブレーキ40Aと、第1ワンウェイクラッチ50Aとを備える。第1ブレーキ40Aは、第1プーリ14Aに接続される。第1ワンウェイクラッチ50Aは、第1ブレーキ40Aに接続される。第2操作部12Bは、第2ブレーキ40Bと、第2ワンウェイクラッチ50Bとを備える。第2ブレーキ40Bは、第2プーリ14Bに接続される。第2ワンウェイクラッチ50Bは、第2ブレーキ40Bに接続される。
【0027】
プリーツスクリーンは、さらに、遅延機構15と、第1連結軸部材15Aとを備える。遅延機構15及び第1連結軸部材15Aは、第1駆動軸10Aと第1ワンウェイクラッチ50Aとの間に介在される。第1駆動軸10Aの一端は、遅延機構15に接続される。第1連結軸部材15Aは、六角棒状を有した第1駆動軸10Aとは別体の部材である。第1連結軸部材15Aの一端は、遅延機構15に接続される。第1連結軸部材15Aの他端は、第1ワンウェイクラッチ50Aに接続される。第1駆動軸10A及び第1連結軸部材15Aは、遅延機構15を介して同軸上に配置される。
【0028】
第1駆動軸10Aは、第1駆動軸10Aに近い方から順に、遅延機構15、第1連結軸部材15A、第1ワンウェイクラッチ50A、及び、第1ブレーキ40Aを介して第1プーリ14Aに接続される。
【0029】
プリーツスクリーンは、下限リミット16を備える。下限リミット16は、ヘッドボックス1の内部において、第2駆動軸10Bに接続される。下限リミット16は、ボトムレール5が下限位置に達した際に、第2駆動軸10Bがそれ以上第2昇降コード7を巻き出す方向に回転することを防ぐ。すなわち、下限リミット16は、第2巻取部材9からの第2昇降コード7の巻き出し量を規定することで、ボトムレール5の下限位置を規定する。
【0030】
プリーツスクリーンは、ギヤ部17と、第2連結軸部材17Aとを備える。ギヤ部17は、ヘッドボックス1のなかで室外側に位置する第1平歯車と、室内側に位置する第2平歯車とを備える。第1平歯車及び第2平歯車は、水平に並んだ状態で噛み合わされる。第1平歯車は、第2駆動軸10Bの一端に接続され、これによって第1平歯車と第2駆動軸10Bとが一体に回転する。
【0031】
第2連結軸部材17Aは、六角棒状を有した第2駆動軸10Bとは別体の部材である。第2連結軸部材17Aの一端は、第2平歯車に接続され、これによって第2平歯車と第2連結軸部材17Aとが一体に回転する。第2連結軸部材17Aの他端は、第2ワンウェイクラッチ50Bに接続される。
【0032】
第2駆動軸10Bは、第2駆動軸10Bに近い方から順に、ギヤ部17、第2連結軸部材17A、第2ワンウェイクラッチ50B、及び、第2ブレーキ40Bを介して第2プーリ14Bに接続される。
【0033】
第2プーリ14Bから入力された回転は、ギヤ部17を介することで、回転方向が反転されながら第2駆動軸10Bに伝達される。したがって、ギヤ部17は、第3部分13B1を下方に引いた際に第2巻取部材9が回転する方向を、第1部分13A1を下方に引いた際に第1巻取部材8が回転する第1方向と逆向きの第2方向にする。同様に、ギヤ部17は、第4部分13B2を下方に引いた際に第2巻取部材9が回転する方向を、第2部分13A2を下方に引いた際に第1巻取部材8が回転する第2方向と逆向きの第1方向にする。
【0034】
ギヤ部17を設けることで、室内側に位置する第1部分13A1を操作したときに中間レール3が移動する方向(本実施形態では上方向)と、室内側に位置する第3部分13B1を操作したときにボトムレール5が移動する方向とを一致させる。同様に、室外側に位置する第2部分13A2を操作したときに中間レール3が移動する方向(本実施形態では下方向)と、室外側に位置する第4部分13B2を操作したときにボトムレール5が移動する方向とを一致させる。
【0035】
プリーツスクリーンは、さらに、少なくとも1つの弛み抑制機構20を備える。弛み抑制機構20は、一例として、第1巻取部材8及び第2巻取部材9と、遅延機構15との間に位置する。弛み抑制機構20は、第1巻取部材8及び第2巻取部材9の一端に接続され、かつ、第1駆動軸10Aと第2駆動軸10Bとに跨るように設けられる。
【0036】
[巻取部材]
次に、
図5~
図7を参照して、第1巻取部材8及び第2巻取部材9の構成について説明する。なお、第1巻取部材8及び第2巻取部材9は、同様の構成を有することから、
図6では第1巻取部材8の形状のみを図示する。
【0037】
図5に示すように、サポート部材11は、第1巻取部材8及び第2巻取部材9を回転可能、かつ、軸線方向に移動不能に支持する。サポート部材11は、第1昇降コード6及び第2昇降コード7を所定の位置から巻き取り、または、巻き出すための、第1昇降コード6及び第2昇降コード7の導出口を備える。
【0038】
巻取部材8,9は、その中心軸に駆動軸10A,10Bが貫通する。巻取部材8,9は、サポート部材11の軸受部に支持される係合部8A,9Aと、昇降コード6,7を巻き取る巻取部8B,9Bとを備える。
【0039】
第1巻取部材8は、第1方向の一例である矢印X1方向に回転したとき、第1昇降コード6を巻き取る。第1巻取部材8は、第2方向の一例である矢印X2方向に回転したとき、第1昇降コード6を巻き出す。第2巻取部材9は、第2方向の一例である矢印Y1方向に回転したとき、第2昇降コード7を巻き取る。第2巻取部材9は、第1方向の一例である矢印Y2方向に回転したとき、第2昇降コード7を巻き出す。
【0040】
図6に示すように、巻取部材8,9は、係合凸部8C,9Cと、係止筒8D,9Dと、プーリキャップ8E,9Eとを備える。係合凸部8C,9Cは、係合部8A,9Aの内周面から外方に向けて突出し、かつ、軸線方向に沿って延びる。係止筒8D,9Dは、巻取部8B,9Bの長手方向における一端部の径方向内側に位置する。係止筒8D,9Dは、巻取部8B,9Bの軸線に沿って延びる。プーリキャップ8E,9Eは、略円盤状を有する。プーリキャップ8E,9Eは、巻取部8B,9Bの長手方向における他端部に取着される。
【0041】
プリーツスクリーンは、さらに、カムクラッチ21と、回転ドラム22とを備える。カムクラッチ21及び回転ドラム22は、弛み抑制機構20の一部を構成する部材である。カムクラッチ21は、巻取部材8,9の係合部8A,9Aの径方向内側に収容される。カムクラッチ21は、駆動軸10A,10Bが貫通しているものの、カムクラッチ21の中央部の孔が駆動軸10A,10Bの六角軸径より大きいので、駆動軸10A,10Bに対して相対回転可能である。
【0042】
カムクラッチ21は、巻取部材8,9の係合部8A,9Aに対して、軸線方向に移動可能な状態で配置される。カムクラッチ21は、円筒形状を有した筒部21Aと、筒部21Aより大径の制動部21Bとを備える。カムクラッチ21は、制動部21Bが巻取部材8,9の係合部8A,9Aの内側に位置し、かつ、筒部21Aが巻取部材8,9の係合部8A,9Aよりも外側に向かって突き出るように配置される。制動部21Bは、さらにカム構造としてのカム孔21C及び案内スリット21Dを備える。カム孔21Cは、制動部21Bの軸線方向に対して45°程度傾斜している。案内スリット21Dは、制動部21Bの軸線方向に沿って形成される。案内スリット21Dは、巻取部材8,9の係合凸部8C,9Cと係合する。これにより、カムクラッチ21は、巻取部材8,9と相対回転不能、かつ、軸線方向に沿って相対移動可能に組み付けられる。
【0043】
回転ドラム22は、カムクラッチ21における制動部21Bの径方向内側に収容される。回転ドラム22は、本体部22Aと、係止爪22Bと、挿通孔22Cとを備える。本体部22Aは、円筒形状を有する。係止爪22Bは、本体部22Aの円周方向に沿って等角度間隔に設けられる。係止爪22Bは、係止筒8D,9Dの内側に挿入されて係止筒8D,9Dの先端部に係止されることで、回転ドラム22と巻取部材8,9とが軸線方向に相対移動しないように固定する。挿通孔22Cは、駆動軸10A,10Bが相対回転不能に挿通される正六角形状の孔部である。回転ドラム22は、駆動軸10A,10Bとともに一体に回転する。
【0044】
本体部22Aは、軸線方向に沿った2つの切り欠きと、切り欠きによって径方向に弾性変位するアーム部とを備える。本体部22Aは、アーム部の先端部において、回転ドラム22の径方向外側に向かって突出するカム凸部22Dを備える。回転ドラム22は、カム凸部22Dがカムクラッチ21のカム孔21Cに係合するように組み付けられる。
【0045】
図7に示すように、カムクラッチ21は、カム孔21Cの各端がカム凸部22Dに達する位置まで、回転ドラム22に対して回転しながらの相対移動が可能である。カム孔21Cの一端がカム凸部22Dに達するとき、カムクラッチ21が係合部8A,9Aから矢印Z1方向に突き出る突出量が最小となる(
図7中実線の状態)。
【0046】
また、上部スクリーン2及び中間レール3の自重によって第1昇降コード6に張力が付与されているとき、案内スリット21Dと係合凸部8Cとの係合により、カムクラッチ21には、第1巻取部材8を介して回転トルクが作用する。すると、カムクラッチ21は、カム凸部22Dとカム孔21Cとの係合により、第1巻取部材8とともに回転ドラム22に対して矢印X2方向(
図5参照)に回転しながら、第1巻取部材8の軸線方向である矢印Z1方向に移動する。したがって、第1昇降コード6に張力が付与されているとき、カム孔21Cの他端がカム凸部22Dに達して、カムクラッチ21が係合部8Aから矢印Z1方向に突き出る突出量が最大となる(
図7中二点鎖線の状態)。
【0047】
[弛み抑制機構]
図8を参照して弛み抑制機構20について説明する。弛み抑制機構20は、上昇するボトムレール5が停止した中間レール3に干渉して中間レール3を持ち上げる際に、第1巻取部材8と第2巻取部材9とを連動させて第1昇降コード6を巻き取る。なお、
図8では、第2巻取部材9に接続されたカムクラッチ21及び回転ドラム22の図示を省略している。
【0048】
図8に示すように、弛み抑制機構20は、カムクラッチ21及び回転ドラム22に加えて、一対のケース20A,20Bを備える。ケース20Aは、巻取部材8,9の側に位置する。ケース20Bは、遅延機構15の側に位置する。
【0049】
弛み抑制機構20は、室外側に位置する部材として、駆動ドラム23と、伝達軸部材24と、スリップばね25と、駆動ギヤ26とを備える。駆動ドラム23は、ケース20B内で回転可能に支持される。駆動ドラム23は、内筒部23Aと、外筒部23Bとを備える。内筒部23Aは、中心部に六角孔を備え、当該六角孔には第2駆動軸10Bが相対回転不能に挿通される。したがって、駆動ドラム23は、第2駆動軸10Bと一体に回転する。外筒部23Bは、内筒部23Aよりも外周側に内筒部23Aと間隔を空けて設けられる。外筒部23Bは、その一部に第2駆動軸10Bの軸線方向に延びる係止溝23Cを備える。
【0050】
内筒部23Aの外周面には、伝達軸部材24の基端部が回転可能に嵌合される。伝達軸部材24の基端部の外周面には、コイル状のスリップばね25が巻着される。スリップばね25の一端は、駆動ドラム23の係止溝23Cに係合する。
【0051】
スリップばね25は、第2駆動軸10Bが矢印Y1方向に回転したとき、伝達軸部材24とスリップばね25との摩擦、及び、係止溝23Cとスリップばね25との係合により、駆動ドラム23と伝達軸部材24とを一体に回転させる。スリップばね25は、第2駆動軸10Bが矢印Y2方向に回転したとき、スリップばね25が径方向に広げられることで、伝達軸部材24との摩擦力が低減し、これによって第2駆動軸10Bの回転を伝達軸部材24に伝えずに空転する。
【0052】
駆動ギヤ26は、伝達軸部材24の先端側において、ケース20A内に回転可能に支持される。駆動ギヤ26は、円環状の部材である。駆動ギヤ26は、ケース20A内の室内側に回転可能な状態で支持される被動ギヤ27と噛み合わされる。駆動ギヤ26の中心部には、伝達軸部材24の先端部が挿通される。伝達軸部材24及び駆動ギヤ26は、一体に回転する。
【0053】
弛み抑制機構20は、室内側に位置する部材として、上述した被動ギヤ27と、ギヤ軸部材28と、切り換えばね29とを備える。被動ギヤ27は、ケース20A内に回転可能に支持される。被動ギヤ27は、円環状の部材である。被動ギヤ27は、ケース20A内で駆動ギヤ26と噛み合わされる。被動ギヤ27は、係合凹部27Aを備える。係合凹部27Aは、被動ギヤ27の内周面に位置する。係合凹部27Aは、一例として、その側面において、被動ギヤ27の内周方向に突き出る突起を備える。なお、係合凹部27Aは、その側面に備える突起が省略されてもよい。この場合、係合凹部27Aの側面は、面一な形状となる。
【0054】
ギヤ軸部材28は、被動ギヤ27の中心部において、被動ギヤ27に対して相対回転可能、かつ第1駆動軸10Aの軸線方向に移動可能な状態で挿通される。ギヤ軸部材28は、その外周面に第1駆動軸10Aの軸線方向に延びるI字型の凸条28Aを備える。ギヤ軸部材28は、凸条28Aが係合凹部27Aと係合することで、被動ギヤ27と一体に回転する。
【0055】
ギヤ軸部材28の中心部には、第1駆動軸10Aが相対回転可能に挿通される。ギヤ軸部材28は、カムクラッチ21の筒部21Aと嵌合する嵌合筒部28Bを備える。ギヤ軸部材28は、筒部21Aと嵌合筒部28Bとが嵌合することにより、カムクラッチ21と一体に回転し、かつ、軸線方向に向けて一体に移動する。
【0056】
切り換えばね29は、コイルばねである。切り換えばね29は、ギヤ軸部材28とケース20Bとの間に配設される。ギヤ軸部材28は、ケース20Bを支点とする切り換えばね29の付勢力により矢印Z1方向と反対の矢印Z2方向に常時付勢される。
【0057】
カムクラッチ21は、上部スクリーン2及び中間レール3の自重によって第1昇降コード6に張力が付与されているとき、ギヤ軸部材28に作用する切り換えばね29の付勢力に抗してギヤ軸部材28を矢印Z1方向に移動させる。このとき、カムクラッチ21は、矢印X2方向に回転する。ギヤ軸部材28が矢印Z1方向に移動することで、係合凹部27Aと凸条28Aとの係合が解除され、これにより、弛み抑制機構20は、被動ギヤ27及びギヤ軸部材28が各別に回転する非連動状態となる。非連動状態は、第1巻取部材8及び第2巻取部材9が各別に回転可能な状態である。
【0058】
ボトムレール5が上昇して中間レール3を下方から持ち上げることで、第1昇降コード6に付与された張力が解除されると、第1巻取部材8を介してカムクラッチ21に作用する回転トルクが解除される。すると、切り換えばね29の付勢力によってギヤ軸部材28がカムクラッチ21を押圧しながら矢印Z2方向に移動することで、係合凹部27Aと凸条28Aとが係合する。このとき、カムクラッチ21は、矢印X1方向に回転する。これにより、弛み抑制機構20は、被動ギヤ27及びギヤ軸部材28が一体に回転する連動状態となる。
【0059】
連動状態において、第2駆動軸10Bが矢印Y1方向に回転されると、駆動ドラム23、スリップばね25、伝達軸部材24、駆動ギヤ26、被動ギヤ27、ギヤ軸部材28、カムクラッチ21、第1巻取部材8の順に回転が伝達される。これにより、第1巻取部材8及び第2巻取部材9が連動して回転する。なお、このときの第1巻取部材8の回転方向は、矢印X1方向である。
【0060】
仮に、I字型の凸条28Aに代えて、係合凹部27Aの側面に設けられた突起と係合するようなT字型の凸部とした場合、係合凹部27AとT字型の凸部との係合が解除されにくくなる。そのため、本来、連動状態が解除されるべきタイミングで連動状態が維持される場合がある。この点、I字型の凸条28Aと係合凹部27Aとが係合する構成とすることで、凸条28Aと係合凹部27Aとの係合を円滑に解除することができる。
【0061】
[遅延機構]
図9、
図10を参照して遅延機構15について説明する。
遅延機構15は、第1伝達部材31と、第2伝達部材32とを備える。第1伝達部材31は、ヘッドボックス1のなかで弛み抑制機構20側に位置する。第2伝達部材32は、ヘッドボックス1のなかで第1ワンウェイクラッチ50A側に位置する。
【0062】
第1伝達部材31は、連結孔31Aを備える。連結孔31Aは、正六角形状の孔部である。連結孔31Aには、第1駆動軸10Aの一端が相対回転不能に挿通され、これによって、第1伝達部材31と第1駆動軸10Aとが一体に回転する。
【0063】
第1伝達部材31は、嵌合凸部31Bを備える。嵌合凸部31Bは、第2伝達部材32に向けて軸線方向に突き出る部分である。嵌合凸部31Bは、2つの第1伝達部31Cを備える。第1伝達部31Cは、嵌合凸部31Bの中心から外周方向に向けて突き出る部分である。
【0064】
第2伝達部材32は、六角形状の孔部を有した軸連結部32Aを備える。軸連結部32Aが有する孔部には、第1連結軸部材15Aの一端が相対回転不能に挿通され、これによって、第2伝達部材32と第1連結軸部材15Aとが一体に回転する。
【0065】
第2伝達部材32は、嵌合凹部32Bを備える。嵌合凹部32Bは、嵌合凸部31Bと嵌合する。嵌合凹部32Bは、2つの第2伝達部32Cを備える。第2伝達部32Cは、嵌合凹部32Bの内周面のうち中心に向かって突き出る部分である。
【0066】
図10に示すように、嵌合凸部31Bと嵌合凹部32Bとが嵌合した状態では、円周方向における2つの第2伝達部32Cの間に第1伝達部31Cが収容される。第1伝達部材31及び第2伝達部材32は、嵌合凸部31Bと嵌合凹部32Bとが嵌合した状態において、第1伝達部31Cと第2伝達部32Cとが係合することで一体に回転する。
【0067】
円周方向における2つの第2伝達部32Cの間隔は、第1伝達部31Cよりも大きい。そのため、第1伝達部材31及び第2伝達部材32は、1つの第1伝達部31Cが一方の第2伝達部32Cと係合している状態で回転の方向が反転すると、第1伝達部31Cが他方の第2伝達部32Cと係合するまで相対回転する。換言すると、遅延機構15は、第1伝達部材31及び第2伝達部材32が相対回転可能な回転量の分だけ、第1駆動軸10A及び第1連結軸部材15Aの一方から他方に向けた回転の伝達を遅延させる。なお、遅延機構15は省略してもよい。
【0068】
[ブレーキ]
図11~
図13を参照して第1ブレーキ40A及び第2ブレーキ40Bについて説明する。第1ブレーキ40Aは、上部スクリーン2及び中間レール3の自重による第1巻取部材8における第1昇降コード6の巻き出しをロックする。第2ブレーキ40Bは、下部スクリーン4及びボトムレール5の自重による第2巻取部材9における第2昇降コード7の巻き出しをロックする。なお、第1ブレーキ40A及び第2ブレーキ40Bは、同一の構成を有する。
【0069】
図11に示すように、ブレーキ40A,40Bは、出力側伝達部41、ブレーキスプリング42、スプリングケース43、及び入力側伝達部44を備える。出力側伝達部41は、ワンウェイクラッチ50A,50B側に接続される出力側部材の一部である。入力側伝達部44は、プーリ14A,14B側に接続される入力側部材の一部である。
【0070】
ブレーキスプリング42は、捩じりコイルばねであって、コイル部42Aと、コイル部42Aから延びる2つの爪部42B,42Cとを備える。2つの爪部42B,42Cは、ブレーキスプリング42の端部である。コイル部42Aは、出力側部材の外周上に配置される。コイル部42Aの外周側には、ヘッドボックス1に対して固定されたスプリングケース43が配置される。ブレーキスプリング42の2つの爪部42B,42Cの間には、出力側伝達部41が位置する。入力側伝達部44は、2つの端部44A,44Bを備えたC字形状を有する。2つの端部44A,44Bの間には、2つの爪部42B,42Cが位置する。
【0071】
図12に示すように、ブレーキ40A,40Bは、操作コード13A,13Bが操作されプーリ14A,14Bが何れか一方に回転すると、入力側伝達部44の端部44A,44Bの何れか1つが爪部42B,42Cの一方を押圧する。すると、コイル部42Aが縮径し、さらに、爪部42B,42Cの一方を押圧している入力側伝達部44の端部44A,44Bの何れか1つが出力側伝達部41を押圧する。これにより、入力側伝達部44からの回転が出力側伝達部41を通じて出力側部材に伝達可能な状態となる。すなわち、ブレーキ40A,40Bは、操作コード13A,13Bからの入力に対して、プーリ14A,14Bの回転方向に関わらず、ブレーキ力を作用させずに回転を許容する。
【0072】
図13に示すように、巻取部材8,9にスクリーン2,4及びレール3,5の重さが加わると、出力側部材の出力側伝達部41に対して回転トルクが入力される。すると、出力側伝達部41は、爪部42B,42Cの一方を押圧する。そして、コイル部42Aが拡径してスプリングケース43に対して突っ張ることで、ブレーキ力が作用して出力側部材の回転をロックする。したがって、ブレーキ40A,40Bは、巻取部材8,9側からの入力に従った巻取部材8,9の回転をロックすることで、スクリーン2,4及びレール3,5の自重落下を防止する。
【0073】
[ワンウェイクラッチ]
図14~
図17を参照して第1ワンウェイクラッチ50A及び第2ワンウェイクラッチ50Bについて説明する。ワンウェイクラッチ50A,50Bは、一方向の回転のみをプーリ14A,14Bに伝達する。なお、第1ワンウェイクラッチ50A及び第2ワンウェイクラッチ50Bは、同一の構成を有する。
【0074】
図14に示すように、ワンウェイクラッチ50A,50Bは、入力軸部51と、出力軸部52と、転動体53と、付勢部材54とを備える。入力軸部51は、ブレーキ40A,40B側に接続される。出力軸部52は、入力軸部51の外周に配置される。出力軸部52は、連結軸部材15A,17Aと接続される。出力軸部52は、複数の案内溝52Aを備える。複数の案内溝52Aは、ここでは4つ設けられ、円周方向に等角度間隔に設けられている。また、案内溝52Aは、互いに直交するx軸およびy軸に対して、所定角度同方向に傾くように設けられている。
【0075】
転動体53及び付勢部材54は、案内溝52Aに一つずつ配置される。転動体53は、例えば、ローラやボールなどである。付勢部材54は、転動体53を入力軸部51に付勢する。付勢部材54は、例えば、コイルばねである。各転動体53は、付勢部材54によって入力軸部51の外周面に付勢される。
【0076】
図14は、スクリーン2,4及びレール3,5の自重により、出力軸部52が第2方向(図中反時計方向)に回転するときのワンウェイクラッチ50A,50Bを示す。出力軸部52が第2方向に回転すると、転動体53は、付勢部材54の付勢力によって入力軸部51に押圧されて入力軸部51に対する転動体53の接触圧が高くなる。これにより、出力軸部52の回転は、入力軸部51を介してブレーキ40A,40Bに対して伝達される。そして、ブレーキ40A,40Bが巻取部材8,9側からの入力に従った巻取部材8,9の回転をロックすることで、スクリーン2,4及びレール3,5の自重落下を防止する。
【0077】
図15は、プーリ14A,14Bの回転により入力軸部51が第1方向(図中時計方向)に回転するときのワンウェイクラッチ50A,50Bを示す。すなわち、第1部分13A1が引かれて上部スクリーン2及び中間レール3が上昇するとき、及び、第3部分13B1引かれて下部スクリーン4及びボトムレール5が上昇するときのワンウェイクラッチ50A,50Bを示す。
【0078】
入力軸部51が第1方向に回転すると、転動体53は、付勢部材54の付勢力によって入力軸部51に押圧されて入力軸部51に対する転動体53の接触圧が高くなる。これにより、入力軸部51の回転は、出力軸部52に対して伝達される。すなわち、入力軸部51は、第1部分13A1または第3部分13B1を引いて第1方向に回転するときに、出力軸部52と一体的に回転する。これにより、ワンウェイクラッチ50A,50Bは、プーリ14A,14Bの回転を連結軸部材15A,17Aに伝達する。
【0079】
図16は、プーリ14A,14Bの回転により入力軸部51が第2方向(図中反時計方向)に回転するときのワンウェイクラッチ50A,50Bを示す。すなわち、第2部分13A2が引かれて上部スクリーン2及び中間レール3が下降するとき、及び、第4部分13B2が引かれて下部スクリーン4及びボトムレール5が下降するときのワンウェイクラッチ50A,50Bを示す。
【0080】
入力軸部51が第2方向に回転すると、転動体53は、付勢部材54の付勢力に抗して外周方向に変位する。これにより、入力軸部51に対する転動体53の接触圧が小さくなることで、入力軸部51の回転が出力軸部52に対して伝達されない。すなわち、第2部分13A2または第4部分13B2を下方に引いて第2方向に回転するとき、入力軸部51は、出力軸部52に対して空転し、出力軸部52は、入力軸部51からの入力によって回転しない。
【0081】
したがって、ワンウェイクラッチ50Aは、第2部分13A2が連続して下方に引かれている間、第1巻取部材8からの入力に対して第1ブレーキ40Aによるブレーキ力を作用させないことで、上部スクリーン2及び中間レール3を自重によって下降させる。同様に、ワンウェイクラッチ50Bは、第4部分13B2が連続して下方に引かれている間、第2巻取部材9からの入力に対して第2ブレーキ40Bによるブレーキ力を作用させないことで、下部スクリーン4及びボトムレール5を自重によって下降させる。
【0082】
図17は、弛み抑制機構20によって、第1駆動軸10Aと第2駆動軸10Bとが連動することで、出力軸部52が第1方向(図中時計方向)に回転するときの第1ワンウェイクラッチ50Aを示す。出力軸部52が第1方向に回転すると、転動体53は、入力軸部51との摩擦力により、付勢部材54の付勢力に抗して外周方向に変位する。これにより、入力軸部51に対する転動体53の接触圧が小さくなることで、出力軸部52の回転が入力軸部51に対して伝達されない。すなわち、弛み抑制機構20によって、第1駆動軸10Aと第2駆動軸10Bとが連動して回転するとき、出力軸部52は、入力軸部51に対して空転する。したがって、入力軸部51は、出力軸部52からの入力によって回転せず、第1駆動軸10Aからの入力に対して第1ブレーキ40Aによるブレーキ力を作用させない。
【0083】
[スクリーンの上昇操作]
以上のように構成されたプリーツスクリーンについて、
図1に示す状態から上部スクリーン2及び下部スクリーン4を上昇させる動作について説明する。上部スクリーン2及び下部スクリーン4を上昇させる手順の一例は、上部スクリーン2及び中間レール3を上昇させた後、下部スクリーン4及びボトムレール5を上昇させる。
【0084】
まず、
図1に示す状態から、第1部分13A1を連続して下方に引いて第1プーリ14Aを回転させる。このとき、第1ブレーキ40Aは、ブレーキ力を作用させずに第1プーリ14Aの回転を許容して第1ワンウェイクラッチ50Aに伝達する。第1ワンウェイクラッチ50Aは、第1連結軸部材15A及び遅延機構15を介して、第1ブレーキ40Aからの回転を第1駆動軸10Aに伝達する。これにより、第1駆動軸10Aが矢印X1方向に回転する。第1駆動軸10Aの回転は、回転ドラム22及びカムクラッチ21を介して第1巻取部材8に伝達され、これによって第1昇降コード6が巻き取られる。その結果、第1部分13A1が操作されている間、その操作量に応じて上部スクリーン2及び中間レール3が上昇する。
【0085】
このとき、弛み抑制機構20においては、第1昇降コード6に張力が付与されていることから、被動ギヤ27及びギヤ軸部材28が各別に回転する非連動状態となる。そのため、第1部分13A1を下方に引くと、第1巻取部材8のみが回転する。
【0086】
次いで、第3部分13B1を連続して下方に引いて第2プーリ14Bを回転させる。このとき、第2ブレーキ40Bは、ブレーキ力を作用させずに第2プーリ14Bの回転を許容して第2ワンウェイクラッチ50Bに伝達する。第2ワンウェイクラッチ50Bは、第2連結軸部材17Aを介して、第2ブレーキ40Bからの回転をギヤ部17に伝達する。ギヤ部17は、第2連結軸部材17Aからの回転を、回転の方向を反転させながら第2駆動軸10Bに伝達する。これにより、第2駆動軸10Bが矢印Y1方向に回転する。第2駆動軸10Bの回転は、回転ドラム22及びカムクラッチ21を介して第2巻取部材9に伝達され、これによって第2昇降コード7が巻き取られる。その結果、第3部分13B1が操作されている間、その操作量に応じて下部スクリーン4及びボトムレール5が上昇する。
【0087】
このとき、弛み抑制機構20においては、第1昇降コード6に張力が付与されていることから、被動ギヤ27及びギヤ軸部材28が各別に回転する非連動状態となる。そのため、第2駆動軸10Bの回転は、駆動ドラム23、スリップばね25、伝達軸部材24、及び駆動ギヤ26を介して被動ギヤ27にまでは伝達されるものの、ギヤ軸部材28には伝達されない。したがって、第3部分13B1を下方に引くと、第2巻取部材9のみが回転する。
【0088】
上部スクリーン2及び下部スクリーン4を上昇させる手順は、下部スクリーン4及びボトムレール5を上昇させることで、上部スクリーン2及び中間レール3を持ち上げるようにして上昇させてもよい。
【0089】
この場合、
図1に示す状態から、第3部分13B1を連続して下方に引いて第2プーリ14Bを回転させる。第2プーリ14Bの回転は、上記と同様の流れによって第2巻取部材9に伝達され、これによって第2昇降コード7が巻き取られる。その結果、第3部分13B1が操作されている間、その操作量に応じて下部スクリーン4及びボトムレール5が上昇する。
【0090】
上昇する下部スクリーン4及びボトムレール5が中間レール3に干渉すると、中間レール3及び上部スクリーン2がボトムレール5によって下方から持ち上げられる。これにより、第1昇降コード6に付与された張力が解除されることで、第1巻取部材8を介してカムクラッチ21に作用する回転トルクが解除される。これにより、弛み抑制機構20は、切り換えばね29の付勢力によってギヤ軸部材28がカムクラッチ21を押圧し、かつ、矢印X1方向に回転しながら矢印Z2方向に移動することで、被動ギヤ27及びギヤ軸部材28が一体に回転する連動状態となる。
【0091】
この状態で、第3部分13B1を下方に引き続けると、第2駆動軸10Bの矢印Y1方向の回転と連動して第1駆動軸10Aが矢印X1方向に回転する。したがって、第1昇降コード6及び第2昇降コード7の両方が巻き取られる。この場合では、第2操作コード13Bの第3部分13B1のみの操作によって、上部スクリーン2及び中間レール3、並びに下部スクリーン4及びボトムレール5を上昇させることができ、かつ、第1昇降コード6の弛みを抑制できる。なお、このときの第1駆動軸10Aの回転は、第1ワンウェイクラッチ50Aによって第1ブレーキ40Aに伝達されず、これによって第1ブレーキ40Aのブレーキ力が作用しない状態である。
【0092】
また、連動状態からボトムレール5を下降させると、上部スクリーン2及び中間レール3の自重によって、第1昇降コード6に対して再び張力が付与される。すると、第1巻取部材8を介してカムクラッチ21に回転トルクが作用することで、カムクラッチ21が矢印X2方向に回転しながら、切り換えばね29の付勢力に抗してギヤ軸部材28を矢印Z1方向に移動させる。これにより、弛み抑制機構20は、連動状態から非連動状態に切り換えられる。カムクラッチ21及び第1巻取部材8の回転は、カムクラッチ21及びギヤ軸部材28が矢印Z1方向に移動して弛み抑制機構20が非連動状態となった後、第1ブレーキ40Aに伝達される。これにより、第1ブレーキ40Aは、上部スクリーン2及び中間レール3の自重落下を防止する。
【0093】
[スクリーンの下降操作]
以上のように構成されたプリーツスクリーンについて、上部スクリーン2及び下部スクリーン4を下降する動作について説明する。上部スクリーン2及び下部スクリーン4を上昇させる手順の一例は、下部スクリーン4及びボトムレール5を下降させた後、上部スクリーン2及び中間レール3を下降させる。
【0094】
まず、下部スクリーン4及びボトムレール5を下降させる方法について説明する。下部スクリーン4及びボトムレール5が下限位置よりも上方に位置する状態から、第4部分13B2を連続して下方に引いて第2プーリ14Bを回転させる。このとき、第2ブレーキ40Bは、ブレーキ力を作用させずに第2プーリ14Bの回転を許容して第2ワンウェイクラッチ50Bに伝達する。第2ワンウェイクラッチ50Bは、第4部分13B2が下方に連続して引かれている間、第2巻取部材9からの入力に対して第2ブレーキ40Bによるブレーキ力を作用させないようにする。これにより、下部スクリーン4及びボトムレール5が自重によって下降することで、第2巻取部材9が矢印Y2方向に回転されながら第2昇降コード7が巻き出される。
【0095】
このとき、弛み抑制機構20においては、第1昇降コード6に張力が付与されていることから、被動ギヤ27及びギヤ軸部材28が各別に回転する非連動状態となる。そのため、第2駆動軸10Bの回転は、ギヤ軸部材28には伝達されない。したがって、第4部分13B2を下方に引くと、第2巻取部材9のみが回転する。
【0096】
なお、第4部分13B2の操作を停止した場合、第2ワンウェイクラッチ50Bが再び第2巻取部材9からの入力を第2ブレーキ40Bに伝達する状態となるため、第2ブレーキ40Bによって下部スクリーン4及びボトムレール5の下降が停止される。
【0097】
また、下部スクリーン4及びボトムレール5が下限位置に達すると、下限リミット16によって第2駆動軸10Bの回転が停止されることで、下部スクリーン4及びボトムレール5の下降が停止される。この状態で第4部分13B2を操作し続けたとしても、第2ワンウェイクラッチ50Bが第4部分13B2からの入力を第2駆動軸10Bに伝達しないことから、第2操作コード13Bと第2巻取部材9とを繋ぐ各部材に無理な力が作用することを防止できる。
【0098】
次に、上部スクリーン2及び中間レール3を下降させる方法について説明する。なお、上部スクリーン2及び中間レール3を下降させる場合、ボトムレール5は、若干でも、中間レール3が下降できる程度に下降している必要がある。この状態から、第2部分13A2を連続して下方に引いて第1プーリ14Aを回転させる。このとき、第1ブレーキ40Aは、ブレーキ力を作用させずに第1プーリ14Aの回転を許容して第1ワンウェイクラッチ50Aに伝達する。第1ワンウェイクラッチ50Aは、第2部分13A2が下方に連続して引かれている間、第1巻取部材8からの入力に対して第1ブレーキ40Aによるブレーキ力を作用させないようにする。これにより、上部スクリーン2及び中間レール3が自重によって下降することで、第1巻取部材8が矢印X2方向に回転されながら第1昇降コード6が巻き出される。
【0099】
このとき、弛み抑制機構20は、第1昇降コード6に張力が付与されていることから、被動ギヤ27及びギヤ軸部材28が各別に回転する非連動状態となる。したがって、第2部分13A2を下方に引くと、第1巻取部材8のみが回転する。
【0100】
なお、第2部分13A2の操作を停止した場合、第1ワンウェイクラッチ50Aが再び第1巻取部材8からの入力を第1ブレーキ40Aに伝達する状態となるため、第1ブレーキ40Aによって上部スクリーン2及び中間レール3の下降が停止される。
【0101】
また、中間レール3は、ボトムレール5に干渉する位置まで下降できる。中間レール3がボトムレール5に干渉すると、上部スクリーン2及び中間レール3の下降が停止される。この状態で、第2部分13A2を下方に引き続けた場合であっても、第1ワンウェイクラッチ50Aが第2部分13A2からの入力を第1駆動軸10Aに伝達しないことから、第1昇降コード6が不必要に巻き出されることを防止できる。
【0102】
上記実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)第1操作コード13Aと第2操作コード13Bとを設けることで、上部スクリーン2及び中間レール3、並びに、下部スクリーン4及びボトムレール5の各々を、所望の移動量の分だけ容易に昇降させることができる。
【0103】
(2)停止している中間レール3が上昇するボトムレール5によって下方から持ち上げられた際に、弛み抑制機構20によって第1巻取部材8と第2巻取部材9とを連動させることができる。これにより、第1昇降コード6及び第2昇降コード7の両方を巻き取ることができ、結果として第1昇降コード6が不必要に巻き出された状態で弛むことを抑制できる。
【0104】
(3)ヘッドボックス1の長手方向において、第1操作部12Aが一端に位置し、第2操作部12Bが他端に位置することで、第1操作部12Aと第2操作部12Bとの距離が離れる構成となる。これにより、第1操作コード13Aと第2操作コード13Bとを取り違えることによる誤操作を抑制できる。
【0105】
(4)第1ブレーキ40Aを設けることで、上部スクリーン2及び中間レール3の自重による第1巻取部材8が第1昇降コード6を巻き出す回転をロックできる。同様に、第2ブレーキ40Bを設けることで、下部スクリーン4及びボトムレール5の自重による第2巻取部材9が第2昇降コード7を巻き出す回転をロックできる。
【0106】
(5)第2部分13A2が下方に引かれている間において、第1ワンウェイクラッチ50Aが第2部分13A2からの入力を第1駆動軸10Aに伝達しないことで、上部スクリーン2及び中間レール3が自重により下降する。下降する中間レール3がボトムレール5に干渉して下降が停止された状態で第2部分13A2を下方に引き続けたとしても、第1巻取部材8が駆動されないため、第1昇降コード6が不必要に巻き出されることを防止できる。
【0107】
(6)第4部分13B2が下方に引かれている間において、第2ワンウェイクラッチ50Bが第4部分13B2からの入力を第2駆動軸10Bに伝達しないことで、下部スクリーン4及びボトムレール5が自重により下降する。下限リミット16によってボトムレール5の下降が停止された状態で第4部分13B2を下方に引き続けたとしても、第2巻取部材9が駆動されないため、第2操作コード13Bと第2巻取部材9とを繋ぐ各部材に無理な力が作用することを防止できる。同様に、障害物によってボトムレール5の下降が停止された状態で第4部分13B2を操作し続けた場合についても、第2操作コード13Bと第2巻取部材9とを繋ぐ各部材に無理な力が作用することを防止できる。
【0108】
(7)ギヤ部17を設けることで、第1部分13A1を操作したときに中間レール3が移動する方向(本実施形態では上方向)と、第3部分13B1を操作したときにボトムレール5が移動する方向とを一致させることができる。同様に、第2部分13A2を操作したときに中間レール3が移動する方向(本実施形態では下方向)と、第4部分13B2を操作したときにボトムレール5が移動する方向とを一致させることができる。これにより、中間レール3及びボトムレール5のそれぞれを、より容易に操作できるようになる。
【0109】
[変更例]
なお、上記実施形態は、さらに、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・ギヤ部17及び第2連結軸部材17Aは、省略されてもよい。例えば、第2ワンウェイクラッチ50Bに対して第2駆動軸10Bの一端が接続されてもよい。この場合、第3部分13B1を操作したときにボトムレール5が下降する。また、第4部分13B2を操作したときにボトムレール5が上昇する。
【0110】
・ギヤ部17によって第2操作コード13Bから第2駆動軸10Bに入力される回転の方向を反転させる構成を例示した。これに代えて、ギヤ部17が第1操作コード13Aから第1駆動軸10Aに入力される回転の方向を反転させる構成であってもよい。この場合でも、上記(7)に準じた効果を得ることができる。
【0111】
・操作コード13A,13Bの操作方法は、上述の例と逆であってもよい。すなわち、第1部分13A1を操作したときに中間レール3が下降し、かつ、第3部分13B1を操作したときにボトムレール5が下降する構成であってもよい。この場合、第2部分13A2を操作したときに中間レール3が上昇し、かつ、第4部分13B2を操作したときにボトムレール5が上昇する。
【0112】
・ワンウェイクラッチ50A,50Bに代えて、巻取部材8,9からの入力に対してブレーキ40A,40Bによるブレーキ力を作用させないような他の構成を用いてもよい。また、例えば、転動体53及び付勢部材54を出力軸部52ではなく入力軸部51側に設けてもよい。この場合、転動体53は、出力軸部52の内周面に対して付勢されることになる。
【0113】
・ブレーキ40A,40Bは、
図11~
図13に示す構成に限定されない。スクリーン2,4及びレール3,5の自重による巻取部材8,9の回転をロックでき、かつ、操作コード13A,13Bからの入力を許容する構成であればよい。
【0114】
・第1操作部12A及び第2操作部12Bは、ヘッドボックス1の長手方向の一端に並んで設けられてもよい。この場合、第1操作コード13Aと第2操作コード13Bとが近づく構成となるため、第1操作コード13Aの操作と第2操作コード13Bの操作とを続けて行い易くすることができる。また、第1操作コード13Aの操作と第2操作コード13Bの操作とを同時に行うことも容易となる。
【0115】
・ボトムレール5の下限位置を規定可能な構成であれば、下限リミット16を省略してもよい。例えば、第2昇降コード7の長さを調整して第2巻取部材9から巻き出し可能な長さを設定することによってボトムレール5の下限位置を規定してもよい。
【0116】
・操作コード13A,13Bは、ボールチェーンでなくてもよく、例えば、紐状の部材であってもよい。
・中間レールは、1つに限定されるものではない。例えば、ボトムレールの上側に、中間レールおよび中間スクリーンを配置し、中間レールの上側に上部レールおよび上部スクリーンを配置するようにしてもよい。この場合、上部レールおよび上部スクリーンが第1昇降コードに吊り下げ支持され、中間レールおよび中間スクリーンが第2昇降コードに吊り下げ支持され、ボトムレールおよび下部スクリーンが第3昇降コードに吊り下げ支持されることになる。そして、第1昇降コードおよび第2昇降コードの巻取機構に弛み抑制機構を設けるようにすればよい。
【0117】
・本実施形態では、遮蔽装置の一例であるプリーツスクリーンを例示したが、本発明は、例えば、横型ブラインドのような他の遮蔽装置にも適用できる。例えば、横型ブラインドの場合、中間レール3及び複数枚の上部スラットを第1昇降コード6によって吊り下げ支持し、さらにボトムレール5及び複数枚の下部スラットを第2昇降コード7によって吊り下げ支持する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0118】
1…ヘッドボックス
2…上部スクリーン
3…中間レール
4…下部スクリーン
5…ボトムレール
6…第1昇降コード
7…第2昇降コード
8…第1巻取部材
9…第2巻取部材
10A…第1駆動軸
10B…第2駆動軸
11…サポート部材
12A…第1操作部
12B…第2操作部
13A…第1操作コード
13B…第2操作コード
14A…第1プーリ
14B…第2プーリ
15…遅延機構
16…下限リミット
17…ギヤ部
20…弛み抑制機構
21…カムクラッチ
40A…第1ブレーキ
40B…第2ブレーキ
50A…第1ワンウェイクラッチ
50B…第2ワンウェイクラッチ