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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096265
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】吐出器
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/24 20060101AFI20230630BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20230630BHJP
   B05B 11/00 20230101ALI20230630BHJP
   F04B 9/14 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
B65D51/24 400
B65D47/34 100
B05B11/00 102A
B05B11/00 102J
B05B11/00 102P
F04B9/14 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211888
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】中本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】村山 瞬
(72)【発明者】
【氏名】先曽 洋一
(72)【発明者】
【氏名】阿部 孝之
【テーマコード(参考)】
3E084
3H075
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC05
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC05
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084JA08
3E084KB01
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD22
3E084LD25
3H075AA01
3H075AA09
3H075BB03
3H075CC27
3H075DA02
3H075DB14
3H075DB38
3H075DB44
(57)【要約】
【課題】倒立姿勢を安定させる。
【解決手段】吐出ヘッド14は、第1頂壁53および第1周壁54を有する有頂筒状の本体筒51と、本体筒から前方に向けて突出し、かつ前端開口が吐出孔25とされた吐出筒52と、を備え、第1頂壁の上面に、上方に向けて突出して前後方向に延びるとともに、上下方向から見て前後方向に直交する左右方向に間隔をあけて配設された一対の突条部55が形成され、前後方向から見て、吐出筒は一対の突条部同士の間に位置し、吐出筒の外周面のうち、最も上方に位置する上端部、および突条部の上端部55bは、上下方向の同じ位置に位置している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体内の内容物が貯留される貯留空間を有するとともに、上下方向に延びるシリンダと、
前記貯留空間からの内容物を吐出する吐出孔が形成された吐出ヘッドと、
前記貯留空間を上下方向に拡縮するように前記シリンダ内に上下摺動可能に嵌合されたピストンと、
前記容器本体内と前記貯留空間とを連通する供給孔を開放可能に閉塞する下部弁体と、を備え、
前記ピストンが前記貯留空間を上下方向に縮小する向きに移動したときに、前記貯留空間内が正圧になり、前記下部弁体が前記供給孔を閉塞した状態で、前記貯留空間内の内容物が前記吐出孔から吐出され、
前記ピストンが前記貯留空間を上下方向に拡張する向きに移動したときに、前記貯留空間内が負圧になり、前記下部弁体が前記供給孔を開放し、前記容器本体内の内容物が前記供給孔を通して前記貯留空間内に供給され、
前記吐出ヘッドは、
第1頂壁および第1周壁を有する有頂筒状の本体筒と、
前記本体筒から前方に向けて突出し、かつ前端開口が前記吐出孔とされた吐出筒と、を備え、
前記第1頂壁の上面に、上方に向けて突出して前後方向に延びるとともに、上下方向から見て前後方向に直交する左右方向に間隔をあけて配設された一対の突条部が形成され、
前後方向から見て、前記吐出筒は一対の前記突条部同士の間に位置し、
前記吐出筒の外周面のうち、最も上方に位置する上端部、および前記突条部の上端部は、上下方向の同じ位置に位置している、吐出器。
【請求項2】
前記第1頂壁の上面において、左右一対の前記突条部同士の間に位置する部分に、上方に向けて突出して前後方向に延びる膨出部が形成され、
前記吐出筒の外周面のうち、最も上方に位置する上端部は、前記吐出筒における前後方向の全長にわたって設けられるとともに、前記膨出部に対して前後方向に段差無く連なっている、請求項1に記載の吐出器。
【請求項3】
前記突条部は、上下方向から見て左右方向の外側に向けて突となるように湾曲しつつ、前後方向に延びている、請求項1または2に記載の吐出器。
【請求項4】
前記シリンダは、前記容器本体の口部から上方に突出した状態で設けられ、
前記吐出ヘッドは、前記シリンダに外装されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるように、容器本体内の内容物が貯留される貯留空間を有するとともに、上下方向に延びるシリンダと、貯留空間からの内容物を吐出する吐出孔が形成された吐出ヘッドと、貯留空間を上下方向に拡縮するようにシリンダ内に上下摺動可能に嵌合されたピストンと、容器本体内と貯留空間とを連通する供給孔を開放可能に閉塞する下部弁体と、を備え、ピストンが貯留空間を上下方向に縮小する向きに移動したときに、貯留空間内が正圧になり、下部弁体が供給孔を閉塞した状態で、貯留空間内の内容物が吐出孔から吐出され、ピストンが貯留空間を上下方向に拡張する向きに移動したときに、貯留空間内が負圧になり、下部弁体が供給孔を開放し、容器本体内の内容物が供給孔を通して貯留空間内に供給される吐出器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-24586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の吐出器では、吐出ヘッドの頂壁の上面を接地させて倒立姿勢にすることが困難であるという問題があった。
なお、吐出器を倒立姿勢にするのは、例えば、コンベアで吐出器を搬送するとき、吐出器を容器本体から外して容器本体内に内容物を補充するとき等が考えられる。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、倒立姿勢を安定させることができる吐出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明の吐出器は、容器本体内の内容物が貯留される貯留空間を有するとともに、上下方向に延びるシリンダと、前記貯留空間からの内容物を吐出する吐出孔が形成された吐出ヘッドと、前記貯留空間を上下方向に拡縮するように前記シリンダ内に上下摺動可能に嵌合されたピストンと、前記容器本体内と前記貯留空間とを連通する供給孔を開放可能に閉塞する下部弁体と、を備え、前記ピストンが前記貯留空間を上下方向に縮小する向きに移動したときに、前記貯留空間内が正圧になり、前記下部弁体が前記供給孔を閉塞した状態で、前記貯留空間内の内容物が前記吐出孔から吐出され、前記ピストンが前記貯留空間を上下方向に拡張する向きに移動したときに、前記貯留空間内が負圧になり、前記下部弁体が前記供給孔を開放し、前記容器本体内の内容物が前記供給孔を通して前記貯留空間内に供給され、前記吐出ヘッドは、第1頂壁および第1周壁を有する有頂筒状の本体筒と、前記本体筒から前方に向けて突出し、かつ前端開口が前記吐出孔とされた吐出筒と、を備え、前記第1頂壁の上面に、上方に向けて突出して前後方向に延びるとともに、上下方向から見て前後方向に直交する左右方向に間隔をあけて配設された一対の突条部が形成され、前後方向から見て、前記吐出筒は一対の前記突条部同士の間に位置し、前記吐出筒の外周面のうち、最も上方に位置する上端部、および前記突条部の上端部は、上下方向の同じ位置に位置している。
【0007】
前後方向から見て、吐出筒が、第1頂壁の上面に形成された左右一対の突条部同士の間に位置し、吐出筒の外周面、および突条部それぞれの上端部が、上下方向の同じ位置に位置しているので、吐出ヘッドの第1頂壁の上面を接地させたときに、吐出筒の外周面、および突条部それぞれの上端部が3箇所で接地することとなり、吐出器を安定して倒立姿勢に維持することができるとともに、接地する面に水滴等が付着していた場合に、この面に、吐出ヘッドの第1頂壁の上面が貼り付くのを抑制することができる。
突条部が、前後方向に延びていて、点状ではないので、吐出器の倒立姿勢を安定して維持しやすくすることができる。
【0008】
前記第1頂壁の上面において、左右一対の前記突条部同士の間に位置する部分に、上方に向けて突出して前後方向に延びる膨出部が形成され、前記吐出筒の外周面のうち、最も上方に位置する上端部は、前記吐出筒における前後方向の全長にわたって設けられるとともに、前記膨出部に対して前後方向に段差無く連なってもよい。
【0009】
吐出筒の外周面のうち、最も上方に位置する上端部が、吐出筒における前後方向の全長にわたって設けられるとともに、第1頂壁の膨出部に対して前後方向に段差無く連なっているので、吐出器の倒立姿勢を確実に安定して維持しやすくすることができる。
【0010】
前記突条部は、上下方向から見て左右方向の外側に向けて突となるように湾曲しつつ、前後方向に延びてもよい。
【0011】
突条部が、上下方向から見て左右方向の外側に向けて突となるように湾曲しつつ、前後方向に延びているので、特に左右方向の外力に対して、吐出器の倒立姿勢を確実に安定して維持しやすくすることができる。
【0012】
前記シリンダは、前記容器本体の口部から上方に突出した状態で設けられ、前記吐出ヘッドは、前記シリンダに外装されてもよい。
【0013】
シリンダが、容器本体の口部から上方に突出した状態で設けられているので、貯留空間の内容積を容易に広く確保することができる。
吐出ヘッドが、このようなシリンダに外装されているので、第1頂壁の上面における平面積を容易に広くすることが可能になり、吐出器の倒立姿勢を確実に安定して維持しやすくすることができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、倒立姿勢を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態の吐出器の左右方向の中央部における前後方向および上下方向に沿う断面図である。
図2図1の吐出器において、ピストンを上昇させた状態を示す図である。
図3】吐出ヘッドを前方から見た図である。
図4】吐出ヘッドの前後方向の中央部における左右方向および上下方向に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、吐出器の一実施形態について説明する。
吐出器1は、図1に示されるように、シリンダ11と、閉塞壁12と、吐出弁13と、吐出ヘッド14と、ピストン15と、付勢部材16と、下部弁体17と、操作レバー18と、を備え、内容物が充填された容器本体Wの口部W1に、装着キャップCを介して取付けられる。なお、吐出器1は、閉塞壁12、吐出弁13、および操作レバー18を備えなくてもよい。
【0017】
内容物としては、例えば、衣料用液体洗剤、柔軟剤、若しくは自動食洗機用液体洗剤、または、パウダーを含有する各種液体製品が好ましい。吐出ヘッド14、吐出弁13、閉塞壁12、操作レバー18、装着キャップC、およびシリンダ11は、例えばポリプロピレンで形成され、ピストン15は、例えばポリエチレンで形成され、付勢部材16、および下部弁体17は、例えば金属材料で形成されている。なお、付勢部材16、および下部弁体17は、合成樹脂材料で形成されてもよい。
【0018】
シリンダ11、ピストン15、および付勢部材16は、共通軸Oと同軸に配設されている。以下、共通軸Oに沿う方向を上下方向といい、上下方向から見て、共通軸Oに交差する方向を径方向といい、共通軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0019】
シリンダ11は、上下方向に延びる筒状に形成されている。シリンダ11は、内容物が貯留される貯留空間Aを有している。シリンダ11は、口部W1から上方に突出した状態で設けられる。シリンダ11の材質は、例えばポリプロピレンが好ましい。
シリンダ11は、有底筒状の本体筒21と、本体筒21より小径に形成されるとともに、本体筒21の底壁を上下方向に貫く供給筒22と、を備えている。貯留空間Aは、口部W1の上方に位置している。
本体筒21は、口部W1から上方に向けて突出している。本体筒21の下端部は、口部W1内に挿入されている。本体筒21に、径方向の外側に向けて突出したフランジ部が形成されており、フランジ部が、容器本体Wの口部W1の上端開口縁と装着キャップCとにより上下方向に挟まれることで、吐出器1が口部W1に固定される。
供給筒22の上部は、本体筒21の底壁から上方に突出している。供給筒22の上部は、本体筒21の上端部より下方に位置している。供給筒22の上部の内周面に、上下方向の全長にわたって連続して延びる縦溝22bが形成されている。供給筒22の下部は、本体筒21の底壁から下方に突出している。供給筒22の上部の直径は、供給筒22の下部の直径より大きくなっている。供給筒22のうち、本体筒21の底壁との接続部分には、供給筒22内と容器本体W内とを連通する外気導入孔22aが形成されている。
【0020】
閉塞壁12は、貯留空間Aの上端開口を閉塞している。閉塞壁12の材質は、例えばポリプロピレンが好ましい。閉塞壁12の外周縁部には、下方に向けて延び、シリンダ11の本体筒21に外嵌された外嵌筒24が形成されている。外嵌筒24は、下端部同士が連結され、かつ上端が開口した二重筒状に形成されている。
閉塞壁12には、上下方向に貫き、貯留空間Aに連通する流出孔23が形成されている。流出孔23は、共通軸Oと同軸に配設されている。流出孔23の内周面には、上方に向かうに従い流出孔23の内径を大きくする第1弁座面23aが形成されている。第1弁座面23aは、流出孔23の内周面のうちの上部に形成され、流出孔23の内周面の下部は、上下方向に真直ぐ延びている。閉塞壁12における径方向の中央部(以下、隆起筒12bという)は、上方に向けて隆起した有頂筒状に形成されており、その頂壁に流出孔23が形成されている。
【0021】
閉塞壁12には、閉塞壁12の下面が上方に向けて窪み、かつ頂壁が流出孔23より上方に位置する有頂筒状のエア貯留部12aが形成されている。なお、閉塞壁12にエア貯留部12aを形成しなくてもよい。
エア貯留部12a内の上部には、貯留空間A内に内容物が充填された状態でも、空気を残留させておくことが可能になり、後述のように操作レバー18を操作してピストン15を上昇させ、貯留空間Aの内圧を上昇させる際、エア貯留部12a内の空気が圧縮することにより、操作レバー18の初動時の操作荷重を低減することができる。
【0022】
吐出ヘッド14は、本体筒51と、吐出筒52と、を備え、閉塞壁12の上面を覆い、シリンダ11に外装されている。吐出ヘッド14の材質は、例えばポリプロピレンが好ましい。
【0023】
本体筒51は、第1頂壁53および第1周壁54を有する有頂筒状に形成されている。
第1周壁54は、外嵌筒24に嵌合されている。第1周壁54は、前述のように二重筒状に形成された外嵌筒24により径方向に挟まれて、閉塞壁12に強く固定されている。吐出ヘッド14は、外嵌筒24を介してシリンダ11に外装されている。
第1頂壁53には、下方に向けて突出し、閉塞壁12の隆起筒12bに外嵌された連結筒14aが形成されている。
【0024】
第1頂壁53の下面において、連結筒14aの内側に位置する部分に、下方に向けて突出した規制突起14bが形成されている。規制突起14bには、図2に示されるように、上昇端位置に達した吐出弁13が突き当たる。規制突起14bは、表裏面が周方向を向く板状に形成されている。規制突起14bは、周方向に間隔をあけて複数設けられている。規制突起14bは、連結筒14aの内周面に連結されている。規制突起14bのうち、径方向の外側部分は、径方向の内側部分より下方に向けて突出している。規制突起14bのうち、径方向の外側部分は連結筒14aに連結され、径方向の内側部分は吐出弁13と上下方向で対向している。
【0025】
吐出筒52は、径方向のうち、共通軸Oに対してエア貯留部12aが位置している側の反対側に向けて、本体筒51から突出している。
以下、径方向のうち、吐出筒52が本体筒51から突出している向きを前方といい、この逆向きを後方といい、上下方向から見て、前後方向に直交する方向を左右方向という。
吐出筒52の前端開口が、流出孔23からの内容物を吐出する吐出孔25となっている。吐出孔25は連結筒14a内に連通している。
【0026】
そして、本実施形態では、図3および図4に示されるように、第1頂壁53の上面に、上方に向けて突出して前後方向に延びるとともに、左右方向に間隔をあけて配設された一対の突条部55が形成されている。突条部55は、第1頂壁53の上面における前後方向の全長にわたって設けられるとともに、上下方向から見て左右方向の外側に向けて突となるように湾曲しつつ、前後方向に延びてしている。
【0027】
突条部55は、左右方向に沿って内側から外側に向かうに従い上方に向けて延びている。突条部55のうち、左右方向の内側を向き、かつ第1頂壁53の上面から立上る立上り面55aは、前後方向から見て左右方向の外側に向けて窪む曲線状を呈する。突条部55の上端部55bは、第1頂壁53の上面における外周縁部に形成されている。突条部55の上端部55bは、前後方向の全長にわたって上下方向の同じ位置に位置している。
【0028】
第1周壁54の上端部のうち、突条部55に左右方向で連なる部分に、左右方向の内側に向けて窪む凹部54aが形成されている。凹部54aは、前後方向から見て左右方向の内側に向けて窪む曲線状を呈する。凹部54aは、突条部55における前後方向の全長にわたって左右方向に連なっている。
【0029】
第1頂壁53の上面において、左右一対の突条部55同士の間に位置する部分に、上方に向けて突出した膨出部56が形成されている。膨出部56は、前後方向に延びている。膨出部56は、第1頂壁53の上面における前後方向の全長にわたって設けられている。膨出部56および本体筒51それぞれの左右方向の中央部は、互いに一致している。膨出部56は、前後方向から見て上方に向けて突の曲線状を呈する。膨出部56における左右方向の両端部は、突条部55の立上り面55aに各別に連なっている。これにより、膨出部56と突条部55とが、下方に窪む谷部を介して左右方向に連なることとなり、第1頂壁53の上面を接地させたときに、前記谷部と接地面との間に隙間が生ずる。したがって、濡れた接地面に第1頂壁53の上面を接地させたときに、第1頂壁53の上面が接地面に密着するのを抑制することができる。
【0030】
ここで、吐出筒52は、前後方向から見て、一対の突条部55同士の間に位置している。吐出筒52および本体筒51それぞれの左右方向の中央部は、互いに一致している。吐出筒52は、突条部55の上端部55bより左右方向の内側に位置している。
吐出筒52の外周面のうち、最も上方に位置する上端部、および突条部55の上端部55bは、上下方向の同じ位置に位置している。吐出筒52の外周面の前記上端部は、吐出筒52における左右方向の中央部に位置している。吐出筒52の外周面のうち、上方を向く部分は、左右方向の外側から内側に向かうに従いわずかに上方に向けて延びる突曲面状に形成されている。なお、吐出筒52の外周面のうち、上方を向く部分は、左右方向および前後方向に真直ぐ延びる平面状に形成されてもよい。
【0031】
吐出筒52の外周面のうち、最も上方に位置する上端部は、吐出筒52における前後方向の全長にわたって設けられるとともに、第1頂壁53の膨出部56に対して前後方向に段差無く連なっている。図1および図2に示されるように、吐出筒52の外周面の前記上端部を含み、かつ前後方向および上下方向に沿う断面視で、吐出筒52の外周面、および第1頂壁53の上面は、前後方向に延びる同一直線上に位置している。
【0032】
図示の例では、左右方向および上下方向に沿う断面視において、膨出部56の曲率半径は、吐出筒52の外周面のうち、上方を向く部分の曲率半径より大きくなっている。吐出ヘッド14の肉厚は、全域にわたって同等になっている。これにより、射出成形時に、例えばヒケ等の成形不良が発生するのを抑えることができる。
【0033】
ピストン15は、シリンダ11の本体筒21内に上下摺動可能に嵌合されるとともに、貯留空間Aの下端開口を閉塞している。ピストン15の材質は、例えばポリエチレンが好ましい。ピストン15は、本体筒21内を上下摺動するのに伴い、貯留空間Aを上下方向に拡縮する。ピストン15には、上下方向に貫いて容器本体W内に連通する供給孔26が形成されている。
図示の例では、ピストン15は、下方に向かうに従い縮径した多段の筒状に形成され、最も下方に位置する下筒部31は底壁を有している。ピストン15において、シリンダ11の内周面を摺動する摺動筒部27は、最も上方に位置している。
【0034】
下筒部31の底壁には、下方に向けて延びる外側シール筒32および内側シール筒33が形成されている。外側シール筒32は、内側シール筒33の上部を径方向の外側から囲っている。内側シール筒33の下部は、外側シール筒32より下方に位置している。外側シール筒32は、供給筒22の上部内に上下摺動可能に嵌合され、内側シール筒33は、供給筒22の下部内に上下摺動可能に嵌合されている。
【0035】
供給孔26は、下筒部31の底壁を上下方向に貫き、容器本体W内と貯留空間A内とを連通する。下筒部31の底壁の上面(以下、第2弁座面31aという)は、供給孔26に向かうに従い下方に向けて延びている。
ここで、供給孔26は、下部弁体17により閉塞され、貯留空間Aの負圧時に開放される。下部弁体17は、球体とされ、第2弁座面31aに配置されている。下部弁体17の材質は、例えばステンレス、若しくはポリプロピレンが好ましい。
【0036】
ピストン15には、支持部材34が設けられている。なお、支持部材34は、ピストン15と一体に形成されてもよい。支持部材34の材質は、例えばポリプロピレン等が好ましい。
支持部材34は、ピストン15内において、摺動筒部27と下筒部31との間に位置する部分に嵌合された有頂筒状の装着部35と、装着部35の頂壁35aから上方に向けて延びる有頂筒状の案内部36と、装着部35の頂壁35aから下方に向けて延びる抜け止め突起34aと、を備えている。
【0037】
装着部35および案内部36それぞれの周壁には、径方向のうちの一方向に貫く連通開口が形成されている。図示の例では、連通開口は、装着部35および案内部36それぞれの周壁を左右方向に貫いている。案内部36の頂壁36aは環状に形成されている。案内部36の頂壁36aの内周縁部は、案内部36の周壁の内周面より径方向の内側に張り出している。
抜け止め突起34aは、ピストン15の下筒部31内に挿入されている。抜け止め突起34aに、第2弁座面31aから上方に離反した下部弁体17が突き当たることで、下部弁体17が下筒部31内から離脱することが規制される。
【0038】
付勢部材16は、ピストン15を下方付勢状態で上方移動可能に支持している。抜け止め突起34aは、上下方向から見て十字状を呈する。付勢部材16は、コイルスプリングとなっている。付勢部材16の材質は、例えばステンレス、若しくはポリアセタールコポリマーが好ましい。付勢部材16の上端部は、閉塞壁12の隆起筒12b内に挿入され、かつ閉塞壁12の下面に当接している。付勢部材16の下部内に、支持部材34の案内部36が挿入されている。付勢部材16の下端部が、支持部材34における装着部35の頂壁35aの上面に当接している。
【0039】
吐出弁13は、閉塞壁12の流出孔23に挿入された状態で上下動可能に設けられ、流出孔23を開閉する。吐出弁13は、軸部37および弁本体38を備え、共通軸Oと同軸に配設されている。吐出弁13は、有底筒状に形成されている。なお、吐出弁13は、中実の棒体であってもよい。吐出弁13の材質は、例えばポリプロピレンが好ましい。
【0040】
軸部37は、上下方向に延び、支持部材34の案内部36内に上下動可能に挿入されている。軸部37には、案内部36の頂壁36aの内周縁部に、この頂壁36aの下方から当接した係止突起37aが形成されている。吐出弁13は、係止突起37aおよび案内部36を介して付勢部材16により下方に付勢されている。
【0041】
弁本体38は、閉塞壁12の第1弁座面23aに対して上下方向に接近、および離反可能に設けられている。
弁本体38の外周面は、上方に向かうに従い外径が大きくなる円錐面状に形成されている。弁本体38の外周面に、全周にわたって連続して延び、第1弁座面23aに当接する突条状のシール突起が設けられている。弁本体38の外周面における下端部は、流出孔23の内周面より径方向の内側に位置している。弁本体38の外周面、および流出孔23の内周面それぞれの下端部は、径方向で対向している。
弁本体38の上端部に、上方に向けて突出した環状突起39が設けられている。環状突起39の上端開口縁は、閉塞壁12における隆起筒12bの頂壁の上面より上方に位置している。環状突起39の上端開口縁は、吐出弁13が上昇端位置に位置したときに、吐出ヘッド14の規制突起14bに突き当たる。
【0042】
操作レバー18は、シリンダ11内において貯留空間Aの外側に位置する部分に差し込まれ、ピストン15を押上げる押上部42と、押上部42に連結されるとともに、シリンダ11内から突出したレバー部43と、を備え、操作レバー18の回転軸42a回りの回転移動に伴い、押上部42およびピストン15が互いに係合した状態で、ピストン15が上下動する。操作レバー18の材質は、例えばポリプロピレンが好ましい。
【0043】
押上部42は、シリンダ11の本体筒21内において、貯留空間Aより下方に位置する部分に前後方向に差し込まれ、ピストン15を押上げる。押上部42は、本体筒21の後端部を前後方向に貫いている。押上部42は、ピストン15の下筒部31を左右方向に挟む一対の板体を備えている。これらの板体は、表裏面が左右方向を向き、かつ前後方向に長い長方形状に形成されている。押上部42は、ピストン15において、摺動筒部27と下筒部31との間に位置する部分に形成された、上下方向を向く段壁15aの下面に当接している。一対の板体における各後端部に、左右方向の外側に向けて突出した回転軸42aが形成されている。
レバー部43は、押上部42における一対の板体を左右方向に連結するとともに、シリンダ11の本体筒21内から閉塞壁12の外嵌筒24の後方に向けて突出している。レバー部43は、後方に向かうに従い上方に向けて延びている。
【0044】
ここで、外嵌筒24には、後方に向かうに従い下方に向けて延びるグリップ部44が形成されている。
グリップ部44は、レバー部43を左右方向に挟む一対の側板44aと、一対の側板44a同士を連結し、レバー部43の下方からレバー部43に対向するグリップ板44bと、を備えている。側板44aにおける径方向の内端部に、操作レバー18の回転軸42aが回転可能に嵌合された軸受孔が形成されている。レバー部43の上面を親指で押し込む際、他の指を、グリップ板44bのうちの前方を向く内面に沿わせる。
【0045】
次に、吐出器1の作用について説明する。
【0046】
レバー部43の上面に親指を置き、かつ他の指をグリップ板44bの内面に沿わせた状態で、親指によりレバー部43を回転軸42a回りに下方に向けて押し込むと、押上部42が、ピストン15の段壁15aの下面を上方に突上げる。これにより、図2に示されるように、ピストン15が、付勢部材16を上下方向に圧縮させながら、シリンダ11内を上方に向けて移動し、貯留空間Aの内圧が上昇する。
【0047】
以上の過程において、吐出弁13が上方に向けて移動し、弁本体38が閉塞壁12の第1弁座面23aから上方に離反する。これにより、貯留空間Aの内容物が、流出孔23から流出し、吐出ヘッド14の連結筒14a内を通して吐出孔25から吐出される。
以上より、ピストン15が貯留空間Aを上下方向に縮小する向きに移動したときに、貯留空間A内が正圧になり、下部弁体17が供給孔26を閉塞した状態で、貯留空間A内の内容物が吐出孔25から吐出される。
この際、外側シール筒32および内側シール筒33は、供給筒22内に嵌合した状態に保たれ、シリンダ11の本体筒21内のうち、貯留空間Aの外側に位置する部分は、供給筒22における縦溝22bおよび外気導入孔22aを通して、容器本体W内に連通する。
【0048】
そして、レバー部43を開放すると、付勢部材16の復元力によりピストン15が下方移動し、ピストン15の段壁15aにより押上部42が押下げられ、操作レバー18が回転軸42a回りに回転する。
【0049】
以上の過程において、貯留空間Aが拡張して負圧になり、吐出弁13が下方に移動して弁本体38が第1弁座面23aに当接し、下部弁体17が第2弁座面31aから上方に離反する。これにより、供給孔26が開放され、容器本体W内の内容物が、シリンダ11の供給筒22内、および供給孔26を通して貯留空間Aに供給される。
以上より、ピストン15が貯留空間Aを上下方向に拡張する向きに移動したときに、貯留空間A内が負圧になり、下部弁体17が供給孔26を開放し、容器本体W内の内容物が供給孔26を通して貯留空間A内に供給される。
この際、外気が、シリンダ11の本体筒21内のうち、貯留空間Aの外側に位置する部分と、供給筒22における縦溝22bおよび外気導入孔22aと、を通して、容器本体W内に供給される。
【0050】
以上説明したように、本実施形態による吐出器1によれば、前後方向から見て、吐出筒52が、第1頂壁53の上面に形成された左右一対の突条部55同士の間に位置し、吐出筒52の外周面、および突条部55それぞれの上端部が、上下方向の同じ位置に位置しているので、吐出ヘッド14の第1頂壁53の上面を接地させたときに、吐出筒52の外周面、および突条部55それぞれの上端部が3箇所で接地することとなり、吐出器1を安定して倒立姿勢に維持することができるとともに、接地する面に水滴等が付着していた場合に、この面に、吐出ヘッド14の第1頂壁53の上面が貼り付くのを抑制することができる。
突条部55が、前後方向に延びていて、点状ではないので、吐出器1の倒立姿勢を安定して維持しやすくすることができる。
【0051】
吐出筒52の外周面のうち、最も上方に位置する上端部が、吐出筒52における前後方向の全長にわたって設けられるとともに、第1頂壁53の膨出部56に対して前後方向に段差無く連なっているので、吐出器1の倒立姿勢を確実に安定して維持しやすくすることができる。
【0052】
突条部55が、上下方向から見て左右方向の外側に向けて突となるように湾曲しつつ、前後方向に延びているので、特に左右方向の外力に対して、吐出器1の倒立姿勢を確実に安定して維持しやすくすることができる。
【0053】
シリンダ11が、容器本体Wの口部W1から上方に突出した状態で設けられているので、貯留空間Aの内容積を容易に広く確保することができる。
吐出ヘッド14が、このようなシリンダ11に外装されているので、第1頂壁53の上面における平面積を容易に広くすることが可能になり、吐出器1の倒立姿勢を確実に安定して維持しやすくすることができる。
【0054】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0055】
例えば、操作レバー18を設けず、ピストン15が吐出ヘッド14の上下動に連係する構成等を採用してもよい。
突条部55および膨出部56は、第1頂壁53の上面における前後方向の一部に限って設けてもよい。
膨出部56を設けなくてもよい。
【0056】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記実施形態および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 吐出器
11 シリンダ
14 吐出ヘッド
15 ピストン
17 下部弁体
25 吐出孔
26 供給孔
51 本体筒
52 吐出筒
53 第1頂壁
54 第1周壁
55 突条部
A 貯留空間
W 容器本体
図1
図2
図3
図4