(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009628
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】通過判定システム、通過判定方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G07C 9/00 20200101AFI20230113BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20230113BHJP
G06M 7/00 20060101ALI20230113BHJP
G06T 7/60 20170101ALI20230113BHJP
G06T 7/70 20170101ALI20230113BHJP
【FI】
G07C9/00
G07B15/00 L
G06M7/00 301Q
G06T7/60 110
G06T7/70 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021113067
(22)【出願日】2021-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】301063496
【氏名又は名称】東芝デジタルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西川 ニチャー
(72)【発明者】
【氏名】藤長 英樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 治
(72)【発明者】
【氏名】香月 翔一
【テーマコード(参考)】
3E127
3E138
5L096
【Fターム(参考)】
3E127AA02
3E127BA45
3E127CA02
3E127CA06
3E127CA07
3E127CA63
3E127FA16
3E127FA22
3E138AA01
3E138BA11
3E138CA07
3E138CB04
3E138CC01
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3E138EA04
3E138JA03
3E138JB02
3E138JC14
3E138JD05
5L096AA09
5L096CA18
5L096DA02
5L096FA52
5L096FA66
5L096FA67
5L096FA69
5L096HA05
(57)【要約】
【課題】対象者や対象物の通過を判定する際の判定精度を向上させることができる通過判定システム、通過判定方法、およびプログラムを提供すること。
【解決手段】実施形態の通過判定システムは、取得部と、決定部と、判定部とを持つ。取得部は、通路に存在する対象者あるいは対象物を検知する検知装置から、対象者あるいは対象物の位置情報を少なくとも含む検知結果情報を取得する。決定部は、所定エリアのうち通路の第1経路方向の上流側に設けられた第1エリアにおける対象者あるいは対象物の進行方向と、所定エリアのうち第1経路方向の下流側に設けられた第2エリアにおける対象者あるいは対象物の進行方向とを、取得部により取得された検知結果情報に基づいて決定する。判定部は、第1エリアにおける進行方向と第2エリアにおける進行方向とがいずれも上流側に向く方向である場合、対象者あるいは対象物が通路を上流側に向かって通過したと判定する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通路に存在する対象者あるいは対象物を検知する検知装置から、前記通路に設けられた所定エリア内における前記対象者の位置情報あるいは前記対象物の位置情報のうち少なくとも一方を少なくとも含む検知結果情報を取得する取得部と、
前記所定エリアのうち前記通路の第1経路方向の上流側に設けられた第1エリアにおける前記対象者あるいは前記対象物の進行方向と、前記所定エリアのうち前記第1経路方向の下流側に設けられた第2エリアにおける前記対象者あるいは前記対象物の進行方向とを、前記取得部により取得された検知結果情報に基づいて決定する決定部と、
前記決定部により決定された前記第1エリアにおける進行方向と前記第2エリアにおける進行方向とがいずれも前記上流側に向く方向である場合、前記対象者あるいは前記対象物が前記通路を前記上流側に向かって通過したと判定する判定部と、
を備える通過判定システム。
【請求項2】
前記判定部は、前記決定部により決定された前記第1エリアにおける進行方向と前記第2エリアにおける進行方向とがいずれも前記下流側に向く方向である場合、前記対象者あるいは前記対象物が前記通路を前記下流側に向かって通過したと判定する、
請求項1に記載の通過判定システム。
【請求項3】
前記判定部による判定結果に基づいて、前記通路を前記上流側に向かって通過した前記対象者あるいは前記対象物の数、および、前記通路を前記下流側に向かって通過した前記対象者あるいは前記対象物の数のうち少なくともいずれか一方を算出する算出部をさらに備える、
請求項2に記載の通過判定システム。
【請求項4】
前記算出部は、
前記通路を前記下流側に向かって通過した前記対象者あるいは前記対象物の数を加算し、且つ、前記通路を前記上流側に向かって通過した前記対象者あるいは前記対象物の数を減算して、前記通路よりも前記下流側の存在する前記対象者あるいは前記対象物の数を算出する、
請求項3に記載の通過判定システム。
【請求項5】
前記算出部による算出結果を、表示部に表示させる制御部を、さらに備える、
請求項3または4に記載の通過判定システム。
【請求項6】
前記決定部は、
前記対象者あるいは前記対象物の第1時点における前記第1エリア内の第1位置情報と、前記第1時点と異なる第2時点における前記第1エリア内の第2位置情報とに基づいて、前記第1エリア内における前記第1経路方向の移動距離を算出し、算出結果に基づいて、前記第1エリアにおける前記対象者あるいは前記対象物の進行方向を決定し、
前記対象者あるいは前記対象物の第3時点における前記第2エリア内の第3位置情報と、前記第3時点と異なる第4時点における前記第2エリア内の第4位置情報とに基づいて、前記第2エリア内における前記第1経路方向の移動距離を算出し、算出結果に基づいて、前記第2エリアにおける前記対象者あるいは前記対象物の進行方向を決定する、
請求項1から5のうちいずれか一項に記載の通過判定システム。
【請求項7】
前記第1エリアと前記第2エリアとの間は、前記通路の第1経路方向に所定の間隔が設けられている、
請求項1から6のうちいずれか一項に記載の通過判定システム。
【請求項8】
前記取得部は、前記検知装置から、前記対象者ごとの位置情報あるいは前記対象物ごとの位置情報のうち少なくとも一方を少なくとも含む検知結果情報を取得し、
前記決定部は、前記対象者ごとあるいは前記対象物ごとの前記第1エリアにおける進行方向と、前記対象者ごとあるいは前記対象物ごとの前記第2エリアにおける進行方向とを決定し、
前記判定部は、前記対象者ごとあるいは前記対象物ごとに、前記通路を通過したか否かを判定する、
請求項1から7のうちいずれか一項に記載の通過判定システム。
【請求項9】
前記検知装置が前記通路を含む画像を用いて前記対象者あるいは前記対象物を検知する場合、前記通路内に設定された前記第1エリアあるいは前記第2エリアに存在する前記対象者あるいは前記対象物を検知できるように、前記検知装置の設置角度に応じて前記画像内の検知領域の形状を決定する検知領域決定部を、さらに備える、
請求項1から5のうちいずれか一項に記載の通過判定システム。
【請求項10】
前記決定部は、前記通路の第1経路方向において前記第1エリアと前記第2エリアとの間に設定された少なくとも一つの追加エリア内についての前記対象者あるいは前記対象物の進行方向を、前記取得部により取得された検知結果情報に基づいて決定し、
前記判定部は、前記決定部により決定された前記少なくとも一つの追加エリアにおける進行方向と、前記第1エリアにおける進行方向および前記第2エリアにおける進行方向のうちの少なくとも一方とがいずれも前記上流側に向かう方向である場合、前記対象者あるいは前記対象物が前記通路を前記上流側に向かって通過したと判定し、
前記判定部は、前記決定部により決定された前記少なくとも一つの追加エリアにおける進行方向と、前記第1エリアにおける進行方向および前記第2エリアにおける進行方向のうちの少なくとも一方とがいずれも前記下流側に向かう方向である場合、前記対象者あるいは前記対象物が前記通路を前記下流側に向かって通過したと判定する、
請求項1から9のうちいずれか一項に記載の通過判定システム。
【請求項11】
前記判定部は、
前記対象者あるいは前記対象物が現時点で存在する現エリアが前記第1エリアであり、且つ、前記対象者あるいは前記対象者が過去に存在する過去エリアが前記第2エリアである場合、前記対象者あるいは前記対象物が前記通路を前記上流側に向かって通過したと判定し、
前記対象者あるいは前記対象物が現時点で存在する現エリアが前記第2エリアであり、且つ、前記対象者あるいは前記対象者が過去に存在する過去エリアが前記第1エリアである場合、前記対象者あるいは前記対象物が前記通路を前記下流側に向かって通過したと判定する、
請求項1から10のうちいずれか一項に記載の通過判定システム。
【請求項12】
コンピュータが、
通路に存在する対象者あるいは対象物を検知する検知装置から、前記通路に設けられた所定エリア内における前記対象者の位置情報あるいは前記対象物の位置情報のうち少なくとも一方を少なくとも含む検知結果情報を取得し、
前記所定エリアのうち前記通路の第1経路方向の上流側に設けられた第1エリアにおける前記対象者あるいは前記対象物の進行方向と、前記所定エリアのうち前記第1経路方向の下流側に設けられた第2エリアにおける前記対象者あるいは前記対象物の進行方向とを、前記取得された検知結果情報に基づいて決定し、
前記決定された前記第1エリアにおける進行方向と前記第2エリアにおける進行方向とがいずれも前記上流側に向く方向である場合、前記対象者あるいは前記対象物が前記通路を前記上流側に向かって通過したと判定する、
通過判定方法。
【請求項13】
コンピュータに、
通路に存在する対象者あるいは対象物を検知する検知装置から、前記通路に設けられた所定エリア内における前記対象者の位置情報あるいは前記対象物の位置情報のうち少なくとも一方を少なくとも含む検知結果情報を取得させ、
前記所定エリアのうち前記通路の第1経路方向の上流側に設けられた第1エリアにおける前記対象者あるいは前記対象物の進行方向と、前記所定エリアのうち前記第1経路方向の下流側に設けられた第2エリアにおける前記対象者あるいは前記対象物の進行方向とを、前記取得された検知結果情報に基づいて決定させ、
前記決定された前記第1エリアにおける進行方向と前記第2エリアにおける進行方向とがいずれも前記上流側に向く方向である場合、前記対象者あるいは前記対象物が前記通路を前記上流側に向かって通過したと判定させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、通過判定システム、通過判定方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
イベント会場の入場口、ショップの入り口、街中でも国土交通省などの行政機関が実施している所定の場所において、行き交う人々の数をチェックする光景が多く見受けられる。人数カウントを行う方法として一番ポピュラーなのは、人間による目視のカウントである。しかしながら、人間によるカウントでは、作業に多少なりとも慣れが必要なことや、カウンターの押し間違いなどのヒューマンエラーが発生する可能性がある。そして長時間の計測を行う場合、ひとつの持ち場に2~3人の交代要員が必要のため、人事的なコストがかかり、長期間の計測となると、さらにコストパフォーマンスが悪くなるおそれがある。
【0003】
例えば、画像ライブラリ中に同一人物の異なる姿勢パターンの画像を保存することにより、上記画像ライブラリを利用して異なる姿勢パターンにある同一人物を認識することができ、それによって同一人物の重複カウントを減らし、人数カウントの正確性を高めようとする技術がある。
【0004】
しかしながら、通過が判定される地点に進んできても途中で引き返す人や、通過が判定される地点で案内する係員が画像内に映り込むこともあり、検知した人物が通過したかどうかを精度よく判定することが困難な場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、対象者や対象物の通過を判定する際の判定精度を向上させることができる通過判定システム、通過判定方法、およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の通過判定システムは、取得部と、決定部と、判定部とを持つ。取得部は、通路に存在する対象者あるいは対象物を検知する検知装置から、前記通路に設けられた所定エリア内における前記対象者の位置情報あるいは前記対象物の位置情報のうち少なくとも一方を少なくとも含む検知結果情報を取得する。決定部は、前記所定エリアのうち前記通路の第1経路方向の上流側に設けられた第1エリアにおける前記対象者あるいは前記対象物の進行方向と、前記所定エリアのうち前記第1経路方向の下流側に設けられた第2エリアにおける前記対象者あるいは前記対象物の進行方向とを、前記取得部により取得された検知結果情報に基づいて決定する。判定部は、前記決定部により決定された前記第1エリアにおける進行方向と前記第2エリアにおける進行方向とがいずれも前記上流側に向く方向である場合、前記対象者あるいは前記対象物が前記通路を前記上流側に向かって通過したと判定する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態の通過判定システム1の一例を示す図。
【
図2】実施形態の通過判定システム1における処理の概要について説明するための図。
【
図3】3D TOFセンサ101による撮像画像の一例を示す図。
【
図4】センシングエリアE0に含まれるINエリアとOUTエリアの一例を説明する図。
【
図5】通過判定装置200の構成の一例を示す機能ブロック図。
【
図6】検知結果データ241の内容の一例を示す図。
【
図7】検知エリア進入情報242の内容の一例を示す図。
【
図8】INエリア進入情報243の内容の一例を示す図。
【
図9】OUTエリア進入情報244の内容の一例を示す図。
【
図10】ゲート通過情報245の内容の一例を示す図。
【
図11】通過人数確認端末300の構成の一例を示す機能ブロック図。
【
図14】通過判定システム1における処理の一例を示すシーケンス図。
【
図15】通過判定装置200による進入情報更新処理の一例を示すフローチャート。
【
図16】通過判定装置200による通過人数判定処理の一例を示すフローチャート。
【
図17】通過判定装置200による通過人数判定処理の一例の続きを示すフローチャート。
【
図18】通過判定装置200による通過人数算出処理の一例を示すフローチャート。
【
図19】検知領域決定部239により決定された検知領域の形状の他の例を示す図。
【
図20】センシングエリアに含まれる追加エリアの一例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態の通過判定システム、通過判定方法、およびプログラムを、図面を参照して説明する。
【0010】
<通過判定システム>
図1は、実施形態の通過判定システム1の一例を示す図である。通過判定システム1は、例えば、一以上の検知装置100と、通過判定装置200と、通過人数確認端末300とを備える。一以上の検知装置100には、例えば、3D TOFセンサ101および3D TOFセンサ102が含まれる。
【0011】
3D TOFセンサ101および3D TOFセンサ102は、LAN(Local1 Area Network)を介して、通過判定装置200および通過人数確認端末300と接続されている。通過判定装置200と通過人数確認端末300とは、インターネット、WAN(Wide Area Network)、プロバイダ装置、無線基地局などの広域ネットワークを介して接続されている。なお、3D TOFセンサ101および3D TOFセンサ102は、インターネットなどの広域ネットワークを介して、通過判定装置200および通過人数確認端末300と直接接続されてもよい。
【0012】
3D TOF(Time of Flight)センサ101は、例えば、光の飛行時間を計測し、対象者や対象物までの距離計測を行うとともに、光の照射範囲を拡散して得られた距離情報を用いてカメラで撮影したような画像を得るセンサである。3D TOFセンサ101は、例えば、距離測定と共に、画像処理を実行することで、対象者や対象物の動きを三次元でトラッキングするものである。3D TOFセンサ101は、例えば、1秒間に20回(20fps)の測定を行う。対象者や対象物が数秒で通路を通過する際、少なくとも数百回距離計測を実施できる。なお、3D TOFセンサ101による同一の対象者や対象物をトラッキングする手法には、一般に知られる様々な技術を利用可能である。これに限られず、3D TOFセンサ101は、距離センサとカメラとを備え、距離測定と共に、カメラにより撮像された画像に対して画像処理を実行することで、対象者や対象物の動きを三次元でトラッキングするものであってもよい。この画像処理は、画像内の対象者や対象物の特徴量を用いてトラッキングするものであってもよい。
【0013】
例えば、3D TOFセンサ101は、トラッキングしている対象者や対象物に対して、固有の識別情報(以下、ターゲットIDと記す)を割り当てる。なお、トラッキングしている対象者や対象物は、3D TOFセンサ101により生成された画像に出現してから画像から消えるまで、同一のターゲットIDを使用してトラッキングされるが、一度画像から消えた場合、トラッキングしている対象者や対象物には、別のトラッキングIDが割り当てられる。また、3D TOFセンサ101は、予め決められた検知範囲内における対象者や対象物の位置を示す情報(以下、ターゲット位置情報と記す)と、タイムスタンプ情報とを生成する。3D TOFセンサ101は、ターゲットIDに、ターゲット位置情報とタイムスタンプ情報とを対応付けた情報を、LANを介して通過判定装置200に、連続的に送信する。なお、3D TOFセンサ102も、3D TOFセンサ101と同様の構成と機能を有しており、詳細な説明は省略する。以下、トラッキング対象が、人物(対象者)である例について説明するが、これに限られず、ベルトコンベヤーに載せられて移動する宅配物や、牛舎などに帰る家畜や、動物園で飼育されている様々な動物などの対象物であってもよい。
【0014】
また、本実施形態において、検知装置100が3D TOFセンサで構成される例について説明するが、これに限られない。検知装置100は、対象者や対象物を検知し、検知した対象者や対象物の位置をトラッキングできるものであればよい。
【0015】
<通過判定システムの概要>
図2は、実施形態の通過判定システム1における処理の概要について説明するための図である。ここでは、通過判定システム1が、係員が配置されている空港の搭乗ゲートに設置された例について説明する。しかしこれに限られず、例えば、係員が配置されていない様々な施設の入出場ゲートや、駅やテーマパークの通路などであってもよい。
【0016】
例えば、3D TOFセンサ101は、第1通路G1の上部に設置され、上方からトラッキング対象者を検知する。3D TOFセンサ102は、第2通路G2の上部に設置され、上方からトラッキング対象者を検知する。第1通路G1の付近には、通過ゲート係員Aが立っており、第2通路G2の付近には、通過ゲート係員Bが立っている。また、通過人数確認端末300の付近には、係員Cが立っている。図示の例では、第1通路G1や第2通路G2によって場内と場外が区分されており、通過ゲート係員Aや通過ゲート係員Bが立っている側を場外、係員Cが立っている方を場内とする。以下の説明において、場外から場内に向かって各通路を通過する方向を、入場方向と記す。一方、場内から場外に向かって各通路を通過する方向を、出場方向と記す。図示の例では、入場方向は、出場方向と反対(180度逆)の方向である。なお、通路は、直線でなくてもよく、カーブしていてもよく、入場方向と出場方向とは平行でない方向であってもよい。
【0017】
また、通過判定システム1は、場内と場外とを区別しない通路の所定地点において、トラッキング対象者の通過を判定するシステムであってもよい。このような場合、判定される通過の方向は、通路の第1経路方向(通路における一方の経路方向)に対して、上流側に向かう方向、あるいは下流側に向かう方向と記す場合がある。つまり、入場方向を上流側に向かう方向と読み替え、出場方向を下流側に向かう方向と読み替えてもよく、その逆であってもよい。
【0018】
通過判定装置200は、3D TOFセンサ101による検知結果や、3D TOFセンサ102による検知結果を取得し、取得した検知結果に基づいて、それぞれの通路における対象者の通過を判定する。通過人数確認端末300は、通過判定装置200による判定結果に基づいて算出された通過人数を示す情報を、ディスプレイに表示させる。なお、通過人数確認端末300は、通過人数の算出の開始や終了、通過人数のリセットの指示を受け付け、受け付けた指示内容を通過判定装置200に送信してもよい。通過判定装置200は、通過人数確認端末300から受信した指示内容に基づいて処理を実行してもよい。
【0019】
例えば、3D TOFセンサ101が、第1通路G1を入場方向に通過する対象者TG1を検知し、トラッキングする。例えば、対象者TG1が第1通路G1を通過したと通過判定装置200により判定された場合、通過人数確認端末300は、第1通路G1の通過人数に+1を加算した数をディスプレイに表示させる。こうすることで、係員Cは、リアルタイムに通過人数を確認することができる。
【0020】
本実施形態において、通過人数確認端末300は、第1通路G1を入場方向に通過した人数と第2通路G2を入場方向に通過した人数の合計値をディスプレイに表示させてもよく、第1通路G1あるいは第2通路G2を出場方向に通過した対象者がいる場合、入場方向の通過人数から出場方向の通過人数を減算した数をディスプレイに表示させてもよい。詳細については後述する。
【0021】
<検知範囲について>
図3は、3D TOFセンサ101により生成された検知画像の一例を示す図である。3D TOFセンサ101により生成された検知画像は、第1通路G1を上方から3D TOFセンサ101により検知した検知画像である。この検知画像は、例えば、3D TOFセンサ101により測定された距離情報を用いて生成された画像である。
【0022】
まず、第1通路G1について説明する。第1通路G1は、例えば、主機11と従機12との間に形成される領域である。主機11と従機12は、例えば、チケットから情報を読み取り、読み取った情報に基づいて通過の可否を判定し、通過の禁止が判定された場合に対象者の通り抜けを規制するための規制板を備える。なお、第2通路G2も、第1通路G1と同様であってよく、詳細な説明は省略する。
【0023】
画像IMG1には、画像内に設定されたセンシングエリアE0が表示されている。センシングエリアE0は、第1通路G1における3D TOFセンサ101の検知範囲を示す領域である。検知範囲とは、対象者を検知する範囲であって、対象者をトラッキングし続ける範囲である。センシングエリアE0内には、INエリアE1と、OUTエリアE2とが設定されている。INエリアE1は、第1通路G1の入場方向において上流側に設定される領域である。OUTエリアE2は、第1通路G1の入場方向において下流側に設定される領域である。詳細については後述する。
【0024】
画像IMG2には、センシングエリアE0における対象者TG2のターゲット位置情報をトラッキングした結果を示す例である。図示の通り、対象者TG2のターゲット位置情報は複数あり、同一画面上に表示すると線上に並ぶ。
【0025】
画像IMG3は、第1通路G1に入場する対象者TG2を検知した画像の一例である。画像IMG4は、画像IMG4の一秒後の画像である。画像IMG4には、対象者TG2と、別の対象者TG3とが表示されている。3D TOFセンサ101は、例えば、対象者の頭を上から見た画像上の特徴量に基づいて同一人物を認識し、トラッキングする。
【0026】
図4は、センシングエリアE0に含まれるINエリアE1とOUTエリアE2の一例を説明する図である。INエリアE1は、第1通路G1の半分の地点(経路方向の中間地点)よりも、入場方向の上流側に設けられたエリアの一例である。OUTエリアE2は、第1通路G1の半分の地点よりも、入場方向の下流側に設けられたエリアの一例である。センシングエリアE0、INエリアE1、およびOUTエリアE2は、画像上に規定されたX座標値とY座標値で決定されている。例えば、INエリアE1はINエリア始点のX-Y座標値から所定距離の範囲と決定されており、OUTエリアE2はOUTエリア始点のX-Y座標値から所定距離の範囲と決定されている。対象者のターゲット位置は、このX-Y座標値とで示される。
【0027】
本実施形態において、X軸は、第1通路G1の経路方向と平行である。つまり、入場方向に進行した場合、ターゲット位置はX軸のプラス方向に遷移し、出場方向に移動した場合、ターゲット位置はX軸のマイナス方向に遷移する。
【0028】
また、INエリアE1とOUTエリアE2との間は、通路の経路方向に所定の間隔が設けられている。このINエリアE1とOUTエリアE2の間の隙間を「敷居」と定義する。敷居の長さ(通路の経路方向の長さ)R1は、所定の長さ以上であることが好ましい。例えば、敷居の長さR1は、対象者がINエリアE1とOUTエリアE2との間の敷居に存在するときに、INエリアE1とOUTエリアE2の両方で検知されないような長さであることが好ましい。例えば、一般的な人間の頭囲の直径よりも長く、一般的な人間の歩幅よりも短い長さであることが好ましい。例えば、INエリアE1とOUTエリアE2との間に実際に物理的な敷居がある場合、敷居の長さR1はその物理的な敷居の長さに合わせることが好ましい。
【0029】
<通過判定装置>
図5は、通過判定装置200の構成の一例を示す機能ブロック図である。通過判定装置200は、例えば、第1通信部210と、第2通信部220と、処理部230と、記憶部240とを備える。第1通信部210は、LANと接続する通信部である。第2通信部220は、インターネット等のネットワークと接続する通信部である。記憶部240は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などによって実現される。記憶部240は、プロセッサが実行するプログラムを格納する他、以下に説明する各情報を格納する。
【0030】
処理部230は、例えば、第1通信制御部231と、第2通信制御部232と、取得部233と、進入情報更新部234と、決定部235と、判定部236と、通過情報更新部237と、算出部238と、検知領域決定部239とを備える。これらの機能部のうち一部または全部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサが、記憶部240に記憶されたプログラム(ソフトウェア)を実行することで実現される。また、これらの構成要素の機能のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部:circuitryを含む)によって実現されていてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されていてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0031】
第1通信制御部231は、第1通信部210を用いて、3D TOFセンサ101や3D TOFセンサ102と通信する。第2通信制御部232は、第2通信部220を用いて、通過人数確認端末300と通信する。
【0032】
取得部233は、3D TOFセンサ101や3D TOFセンサ102から、検知結果情報を取得する。検知結果情報とは、3D TOFセンサ101や3D TOFセンサ102による検知結果に関する情報であって、少なくともターゲット位置情報を含む。ターゲット位置情報は、例えば、上述したX-Y座標値で、通路に設けられた所定エリア内における対象者の位置情報を示す情報である。取得部233は、取得した検知結果情報を、記憶部240の検知結果データ241の一部として保存する。
【0033】
図6は、検知結果データ241の内容の一例を示す図である。検知結果データ241は、例えば、センサIDに、ターゲットIDと、X座標値と、Y座標値と、タイムスタンプ情報とを対応付けた情報群である。これらの情報は、検知結果情報に含まれる情報である。センサIDは、3D TOFセンサ101あるいは3D TOFセンサ102をそれぞれ識別する固有の情報である。X座標値とY座標値は、3D TOFセンサ101や3D TOFセンサ102によって検知された対象者の位置を示すターゲット位置情報である。タイムスタンプ情報には、例えば、ターゲット位置情報が計測された日時を示す情報などが含まれる。なお、図示の例では、センサIDが異なる検知結果情報も同一のテーブルに格納しているが、これに限られず、センサごとに用意されたテーブルにセンサごとの検知結果情報をそれぞれ格納してもよい。
【0034】
進入情報更新部234は、所定条件を満たした場合、記憶部240内の進入情報を更新する。進入情報とは、所定エリアに進入した時点から、所定エリアに含まれる最新のターゲット位置情報等(センサID、ターゲットID、タイムスタンプ情報などを含んでもよい)で更新される情報である。例えば、進入情報には、各所定エリア内に含まれるターゲット位置情報を含む検知結果のうち、最新値が格納されている。
【0035】
進入情報には、例えば、検知エリア進入情報242と、INエリア進入情報243と、OUTエリア進入情報244とが含まれる。つまり、検知エリア進入情報242は、検知エリア(センシングエリアE0)に存在すると判定されたターゲット位置情報の最新値を含む検知結果で更新される。INエリア進入情報243は、INエリアE1に存在すると判定されたターゲット位置情報の最新値を含む検知結果で更新される。OUTエリア進入情報244は、OUTエリアE2に存在すると判定されたターゲット位置情報の最新値を含む検知結果で更新される。
【0036】
例えば、進入情報更新部234は、最新のターゲット位置情報が取得された場合、取得した最新のターゲット位置情報がセンシングエリアE0に含まれるという条件を満たす場合、最新のターゲット位置情報等で検知エリア進入情報242を更新する。
【0037】
図7は、検知エリア進入情報242の内容の一例を示す図である。検知エリア進入情報242は、例えば、センサIDに、ターゲットIDと、X座標値と、Y座標値と、タイムスタンプ情報と、検知エリア内方向とを対応付けた情報群である。センサID、ターゲットID、X座標値、Y座標値、およびタイムスタンプ情報は、センシングエリアE0に含まれるという条件を満たしたターゲット位置情報の最新値を含む検知結果情報である。検知エリア内方向は、検知エリア内を移動する対象者の向きを示す情報の最新値である。検知エリア内方向は、例えば、X軸のプラス方向あるいはマイナス方向で示される。X軸のプラス方向とは、INエリアE1からOUTエリアE2に向かって通過する方向であり、上述の入場方向である。X軸のマイナス方向とは、OUTエリアE2からINエリアE1に向かって通過する方向であり、上述の出場方向である。検知エリア内方向は、決定部235により決定され、詳細については後述する。
【0038】
また、進入情報更新部234は、最新のターゲット位置情報が取得された場合、取得した最新のターゲット位置情報がINエリアE1に含まれるという条件を満たす場合、最新のターゲット位置情報等でINエリア進入情報243を更新する。
【0039】
図8は、INエリア進入情報243の内容の一例を示す図である。INエリア進入情報243は、例えば、センサIDに、ターゲットIDと、X座標値と、Y座標値と、タイムスタンプ情報と、INエリア内方向とを対応付けた情報群である。センサIDと、ターゲットIDと、X座標値と、Y座標値と、タイムスタンプ情報とは、INエリアE1に含まれるという条件を満たしたターゲット位置情報の最新値を含む検知結果情報である。INエリア内方向は、INエリアE1内を移動する対象者の向きを示す情報の最新値である。INエリア内方向は、例えば、X軸のプラス方向あるいはマイナス方向で示される。INエリア内方向は、決定部235により決定され、詳細については後述する。
【0040】
また、進入情報更新部234は、最新のターゲット位置情報が取得された場合、取得した最新のターゲット位置情報がOUTエリアE2に含まれるという条件を満たす場合、最新のターゲット位置情報等でOUTエリア進入情報243を更新する。
【0041】
図9は、OUTエリア進入情報244の内容の一例を示す図である。OUTエリア進入情報244は、例えば、センサIDに、ターゲットIDと、X座標値と、Y座標値と、タイムスタンプ情報と、OUTエリア内方向とを対応付けた情報群である。センサIDと、ターゲットIDと、X座標値と、Y座標値と、タイムスタンプ情報とは、OUTエリアE2に含まれるという条件を満たしたターゲット位置情報の最新値を含む検知結果情報である。OUTエリア内方向は、OUTエリアE2内を移動する対象者の向きを示す情報の最新値である。OUTエリア内方向は、例えば、X軸のプラス方向あるいはマイナス方向で示される。OUTエリア内方向は、決定部235により決定され、詳細については後述する。
【0042】
決定部235は、取得部233により取得された検知結果情報に基づいて、通路に設けられた所定エリア内を移動する対象者の向き(以下、進行方向と記す)を決定する。例えば、決定部235は、対象者の第1時点における所定エリア内の第1位置情報と、第1時点と異なる第2時点における所定エリア内の第2位置情報とに基づいて、所定エリア内における第1経路方向の移動距離を算出し、算出結果に基づいて、所定エリアにおける対象者の進行方向を決定する。以下、決定部235が、ターゲット位置情報の最新値と、ターゲット位置情報の最新値の直前の値とに基づいて移動距離を算出し、算出した移動距離に基づいて、検知エリア内方向、INエリア内方向、およびOUTエリア内方向とを決定する例について説明する。
【0043】
例えば、決定部235は、センシングエリアE0に含まれるという条件1を満たす最新のターゲット位置p12(X12,Y12)と、ターゲット位置p12の次に新しい条件2を満たすターゲット位置p11(X11,Y11)とに基づいて、ターゲット位置p11からターゲット位置p12への向きをX軸のプラス方向あるいはマイナス方向で決定し、これを検知エリア内方向とする。例えば、決定部235は、ターゲット位置p12のX座標値からターゲット位置p11のX座標値を減算した値が正の数である場合、検知エリア内方向=X軸のプラス方向(入場方向)であると決定する。一方、ターゲット位置p12のX座標値からターゲット位置p11のX座標値を減算した値が負の数である場合、決定部235は、検知エリア内方向=X軸のマイナス方向(出場方向)であると決定する。以下、ターゲット位置p12のX座標値からターゲット位置p11のX座標値を減算した値を、第1進行方向判定パラメータと記す場合がある。
【0044】
また、決定部235は、INエリアE1に含まれるという条件2を満たす最新のターゲット位置p22(X22,Y22)と、ターゲット位置p22の次に新しい条件2を満たすターゲット位置p21(X21,Y21)とに基づいて、ターゲット位置p21からターゲット位置p22への向きをX軸のプラス方向あるいはマイナス方向で決定し、これをINエリア内方向とする。例えば、決定部235は、ターゲット位置p22のX座標値からターゲット位置p21のX座標値を減算した値が正の数である場合、INエリア内方向=X軸のプラス方向(入場方向)であると決定する。一方、ターゲット位置p22のX座標値からターゲット位置p21のX座標値を減算した値が負の数である場合、決定部235は、INエリア内方向=X軸のマイナス方向(出場方向)であると決定する。以下、ターゲット位置p22のX座標値からターゲット位置p21のX座標値を減算した値を、第2進行方向判定パラメータと記す場合がある。
【0045】
また、決定部235は、OUTエリアE2に含まれるという条件3を満たす最新のターゲット位置p32(X32,Y32)と、ターゲット位置p32の次に新しい条件3を満たすターゲット位置p31(X31,Y31)とに基づいて、ターゲット位置p31からターゲット位置p32への向きをX軸のプラスほうこうあるいはマイナス方向で決定し、これをOUTエリア内方向とする。例えば、決定部235は、ターゲット位置p32のX座標値からターゲット位置p31のX座標値を減算した値が正の数である場合、OUTエリア内方向=X軸のプラス方向(入場方向)であると決定する。一方、ターゲット位置p32のX座標値からターゲット位置p31のX座標値を減算した値が負の数である場合、決定部235は、OUTエリア内方向=X軸のマイナス方向(出場方向)であると決定する。以下、ターゲット位置p32のX座標値からターゲット位置p31のX座標値を減算した値を、第3進行方向判定パラメータと記す場合がある。
【0046】
なお、対象者の実際の進行方向がX軸に対して傾いている場合であっても、上述の通りX座標値の差分でターゲット位置間の移動距離を導出することにより、進行方向を入場方向か出場方向のいずれかに決定することができる。これにより、簡単に所定エリア内での進行方向を決定することができる。また、通路が直線でなく、カーブしている場合であっても、上述の通りX座標値の差分でターゲット位置間の移動距離を導出することにより、進行方向を入場方向か出場方向のいずれかに決定することができる場合がある。カーブがきつい場合は、Y座標値の差分でターゲット位置間の移動距離を導出することにより、進行方向を入場方向か出場方向のいずれかに決定してもよい。また、X座標値の差分とY座標値の差分との両方を用いて、進行方向を入場方向か出場方向のいずれかに決定してよい。なお、Y座標値の差分を用いて進行方向を決定する場合、以下の説明のX軸に関する内容をY軸に読み替えることで、同様の処理が可能であり、詳細な説明は省略する。
【0047】
判定部236は、決定部235により決定された、通路に設けられた所定エリア内を移動する対象者の向き(進行方向)に基づいて、対象者が通路を通過したか否かを判定する。例えば、INエリアE1における進行方向とOUTエリアE2における進行方向とがいずれもX軸のプラス方向(入場方向)である場合、判定部236は、対象者が通路をX軸のプラス方向(入場方向)に通過したと判定する。一方、INエリアE1におけるX軸方向の進行方向とOUTエリアE2におけるX軸方向の進行方向とがいずれもX軸のマイナス方向(出場方向)である場合、判定部236は、対象者が通路をX軸のマイナス方向(出場方向)で通過したと判定する。
【0048】
つまり、判定部236は、同じ方向(X軸方向)において規定されるINエリアE1内の進行方向とOUTエリアE2内の進行方向とが合致する場合、対象者が通路を通過したか否かを判定する。一方、同じ方向(X軸方向)において規定されるINエリアE1内の進行方向とOUTエリアE2内の進行方向とが合致しない場合、判定部236は、対象者が通路を通過していないと判定する。
【0049】
通過情報更新部237は、判定部236により判定された通過判定結果の最新値が取得された場合、取得した通過判定結果の最新値で、ゲート通過情報245を更新する。
【0050】
図10は、ゲート通過情報245の内容の一例を示す図である。ゲート通過情報245は、例えば、通過ナンバーに、センサIDと、ターゲットIDと、X座標値と、Y座標値と、タイムスタンプ情報と、ゲート通過方向とを対応付けた情報群である。センサIDと、ターゲットIDと、X座標値と、Y座標値と、タイムスタンプ情報とは、判定部236により通路を通過したと判定された対象者のターゲット位置情報の最新値を含む検知結果情報である。ゲート通過方向は、判定部236により判定された向きであり、例えば、X軸のプラス方向あるいはマイナス方向で示される。ゲート通過方向は、例えば、通路を通過したと判定された対象者のINエリアE2内での進行方向の最新値であって、判定部236により通路を通過したと判定された時点のINエリア進入情報243のINエリア内方向である。また、ゲート通過方向は、OUTエリアE2内での進行方向の最新値であってよく、OUTエリア進入情報244のOUTエリア内方向であってよい。
【0051】
算出部238は、判定部236による判定結果に基づいて、通路を通過した人数を算出し、記憶部240の通過人数情報246の一部として格納する。例えば、算出部238は、通路を入場方向に通過した対象者の数(以下、入場者数と記す)、および、通路を出場方向に通過した対象者の数(以下、出場者数と記す)のうち少なくとも一方を算出する。
【0052】
例えば、算出部238は、ゲート通過情報245を参照し、ゲート通過方向が入場方向である全ての対象者の合計値(以下、総入場者数と記す)と、ゲート通過方向が出場方向である全ての対象者の合計値(以下、総出場者数と記す)とを算出し、総入場者数から総出場者数を減算した人数(以下、入場中の人数と記す)を算出してもよい。入場中の人数とは、場内に存在する対象者の数であり、通路よりも入場方向の下流側の存在する対象者の数である。なお、算出部238は、入場中の人数を算出する際に、通路を入場方向に通過した対象者の数を加算するとともに、通路を出場方向に通過した対象者の数を減算して、通路を入場方向に通過した対象者の数を算出してもよい。同様にして、算出部238は、出場中の人数(出場方向に通過した対象者の数から入場方向に通過した対象者の数を減算した人数)を算出してもよい。例えば、算出部238は、出場中の人数を算出する際に、通路を出場方向に通過した対象者の数を加算するとともに、通路を入場方向に通過した対象者の数を減算して、通路を出場方向に通過した対象者の数を算出してもよい。
【0053】
なお、総入場者数と総出場者数とは、第1通路G1と第2通路G2の合計値であるが、それぞれの通路ごとの合計値であってもよい。また、これらに限られず、算出部238は、総入場者数と総出場者数をそれぞれ算出するとともに、総入場者数と総出場者数の合計値を総通過人数として算出してもよい。
【0054】
検知領域決定部239は、3D TOFセンサ101や3D TOFセンサ102が通路を含む画像を用いて対象者を検知する場合、通路内に設定されたINエリアE1あるいはOUTエリアE2に存在する対象者を精度よく検知できるように、3D TOFセンサ101や3D TOFセンサ102の設置角度に応じて画像内の検知領域の形状を決定する。詳細については後述する。
【0055】
<通過人数確認端末>
図11は、通過人数確認端末300の構成の一例を示す機能ブロック図である。通過人数確認端末300は、例えば、第3通信部310と、表示部320と、スピーカー330と、処理部340と、記憶部350とを備える。第3通信部310は、インターネット等のネットワークと接続する通信部である。表示部320は、液晶ディスプレイなどである。記憶部350は、例えば、RAM、ROM、HDDなどによって実現される。記憶部350は、プロセッサが実行するプログラムを格納する他、以下に説明する各情報を格納する。
【0056】
処理部340は、例えば、第3通信制御部341と、データ管理部342と、出力情報生成部343と、出力制御部344とを備える。これらの機能部のうち一部または全部は、例えば、CPUなどのプロセッサが、記憶部350に記憶されたプログラム(ソフトウェア)を実行することで実現される。また、これらの構成要素の機能のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA等のハードウェア(回路部:circuitryを含む)によって実現されていてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されていてもよい。プログラムは、予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
【0057】
第3通信制御部341は、第3通信部310を用いて、通過判定装置200と通信する。
【0058】
データ管理部342は、通過判定装置200から受信した情報を記憶部350に格納する。例えば、データ管理部342は、ゲート通過情報245や通過人数情報246から読み出された情報を受信し、記憶部350のゲート通過情報351や通過人数情報352の一部として格納する。ゲート通過情報351や通過人数情報352は、ゲート通過情報245や通過人数情報246と同様の内容であってよく、詳細な説明は省略する。
【0059】
出力情報生成部343は、記憶部350を参照し、通過判定装置200の算出部238により算出された算出結果を表示する表示画面や、算出結果の音声で案内する音声情報などを生成する。出力制御部344は、出力情報生成部343により生成された表示画面を表示部320に表示させ、出力情報生成部343により生成された音声をスピーカー330から出力させる。
【0060】
図12は、表示画面の一例を示す図である。表示画面321と表示画面322は、総入場者数から総出場者数を減算した「入場中の人数」を表示する画面例である。スタートする前は、表示画面321に示す通り、000人が表示される。スタートすると、「入場中の人数」がカウントされ、数分後には、表示画面322に示す通り、例えば015人と表示される。
【0061】
図13は、表示画面の他の例を示す図である。表示画面323と表示画面324は、「総入場者数」と「総出場者数」とを並べて表示する画面例である。スタートする前は、表示画面323に示す通り、「総入場者数」に000人が表示され、「総出場者数」に000人が表示される。スタートすると、「総入場者数」と「総出場者数」とがカウントアップされ、数分後には、表示画面324に示す通り、「総入場者数」が023人で「総出場者数」が007人であることが表示される。
【0062】
このように、通過判定装置200による算出結果が得られたタイミングで、順次、表示画面の内容が更新されるため、リアルタイムに近いスピードで、入場中の人数や、総入場者数や、総出場者数を確認することができる。
【0063】
<システム全体のシーケンス>
図14は、通過判定システム1における処理の一例を示すシーケンス図である。まず、3D TOFセンサ101は、対象者を検知した場合、検知結果情報を生成する(ステップS1)。次いで、3D TOFセンサ101は、生成した検知結果情報を通過判定装置200に送信する(ステップS2)。図示を省略するが、3D TOFセンサ102も同様にして、検知結果情報を生成し、生成した検知結果情報を通過判定装置200に送信する。
【0064】
通過判定装置200は、受信した検知結果情報に基づいて、後述する進入情報更新処理を実行するとともに(ステップS3)、後述する通過人数判定処理を実行する(ステップS4)。次いで、通過判定装置200は、通過人数判定処理において算出された算出結果を、通過人数確認端末300に送信する(ステップS5)。通過人数確認端末300は、受信した算出結果に基づいて表示画面を生成し、表示部に表示させる(ステップS6)。
【0065】
<フローチャート(進入情報更新処理)>
図15は、通過判定装置200による進入情報更新処理の一例を示すフローチャートである。まず、取得部233は、3D TOFセンサ101や3D TOFセンサ102から、新たな検知結果情報を取得したか否かを判定する(ステップS101)。新たな検知結果情報を取得した場合、進入情報更新部234は、3D TOFセンサ101あるいは3D TOFセンサ102のうち検知結果情報を検知した方のセンサ(以下、対象センサと記す)の検知履歴が既に登録されているか否かを判定する(ステップS102)。例えば、進入情報更新部234は、検知エリア進入情報242を参照し、ステップS101で取得した検知結果情報に含まれるセンサIDと同じセンサIDが既に登録されているか否かを判定する。
【0066】
検知エリア進入情報242に対象センサのセンサIDが登録されていない場合、進入情報更新部234は、ステップS101において取得した新たな検知結果情報に含まれる対象センサのセンサIDを、検知エリア進入情報242に登録する(ステップS103)。次いで、進入情報更新部234は、ステップS101において取得した新たな検知結果情報に含まれるターゲット位置情報やタイムスタンプ情報などを、センサIDやターゲットIDに対応付けて、検知エリア進入情報242に登録する(ステップS104)。その後、通過判定処理に移行する(ステップS105)。通過判定処理の詳細については後述する。
【0067】
一方、ステップS102において、検知エリア進入情報242に対象センサのセンサIDが既に登録されていると判定された場合、進入情報更新部234は、対象者の検知エリアの進入履歴が既に登録されているか否かを判定する(ステップS106)。例えば、進入情報更新部234は、検知エリア進入情報242を参照し、ステップS101で取得した検知結果情報に含まれるターゲットIDと同じターゲットIDが既に登録されているか否かを判定する。
【0068】
検知エリア進入情報242に対象者のターゲットIDが登録されていない場合、進入情報更新部234は、ステップS101において取得した新たな検知結果情報に含まれる対象者のターゲットIDを、検知エリア進入情報242に登録する(ステップS107)。次いで、進入情報更新部234は、ステップS104に移行し、ステップS101において取得した新たな検知結果情報に含まれるターゲット位置情報やタイムスタンプ情報などを、センサIDやターゲットIDに対応付けて、検知エリア進入情報242に登録する。
【0069】
一方、ステップS106において、検知エリア進入情報242に対象者のターゲットIDが既に登録されていると判定された場合、進入情報更新部234は、上述した第1進行方向判定パラメータを算出する(ステップS108)。ここで、第1進行方向判定パラメータは、X軸方向の移動距離である。
【0070】
次いで、進入情報更新部234は、第1進行方向判定パラメータに基づいて、対象者のX軸方向の移動距離が正の値であるか、つまり、現X座標値>前X座標値であるか否かを判定する(ステップS109)。現X座標値は、例えば、上述のターゲット位置p12のX12であり、前X座標値は、例えば、上述のターゲット位置p11のX11である。現X座標値>前X座標値である場合、進入情報更新部234は、検知エリア内方向=「入場方向」に決定し、検知エリア進入情報に登録する(ステップS110)。
【0071】
一方、ステップS109において、現X座標値>前X座標値でない場合、進入情報更新部234は、対象者のX軸方向の移動距離が負の値であるか、つまり、現X座標値<前X座標値であるか否かを判定する(ステップS111)。現X座標値<前X座標値である場合、進入情報更新部234は、検知エリア内方向=「出場方向」に決定し、検知エリア進入情報に登録する(ステップS112)。
【0072】
一方、ステップS111において、現X座標値<前X座標値でない場合、進入情報更新部234は、検知エリア内方向=「NONE」に決定し、検知エリア進入情報に登録する(ステップS113)。
【0073】
ステップS101に戻って、新たな検知結果情報を取得しなかった場合、進入情報更新部234は、期限切れとなった対象者のデータを検知エリア進入情報242から削除する(ステップS114)。
【0074】
<フローチャート(通過人数判定処理)>
図16は、通過判定装置200による通過人数判定処理の一例を示すフローチャートである。まず、進入情報更新部234は対象者が存在するエリア(以下、現エリアと記す)を取得する(ステップS201)。例えば、進入情報更新部234は、検知結果データ241を参照し、対象者のターゲットIDに対応付けられているターゲット位置情報のうち、最新のターゲット位置情報が示す位置(以下、現ターゲット位置と記す)を取得する。進入情報更新部234は、INエリア、OUTエリア、OTHERエリア(INエリア、OUTエリア以外のセンシングエリア)のうち、現ターゲット位置を含むエリアを、現エリアとして取得する。
【0075】
次いで、進入情報更新部234は、ステップS201において取得した現エリアがINエリアであるか否かを判定する(ステップS202)。現エリア=INエリアである場合、進入情報更新部234は、INエリア進入情報243に対象者のターゲットIDが登録されているか否かを判定する(ステップS203)。一方、ステップS202において、現エリア=INエリアでない場合、
図17の処理に移行する。
【0076】
INエリア進入情報243に対象者のターゲットIDが登録されていない場合、進入情報更新部234は、INエリア進入情報243に対象者のデータを新規登録するための処理を実行する(ステップS204)。例えば、上述した進入情報更新処理において、検知エリア進入情報242に対象者の最新の検知結果情報を登録する処理と同様にして、進入情報更新部234は、INエリア進入情報243に、対象者の最新の検知結果情報を登録する。
【0077】
一方、INエリア進入情報243に対象者のターゲットIDが登録されている場合、進入情報更新部234は、INエリア進入情報243における対象者のデータを更新するための処理を実行する(ステップS205)。例えば、上述した進入情報更新処理において、対象者の最新の検知結果情報で検知エリア進入情報242を更新する処理と同様にして、進入情報更新部234は、対象者の最新の検知結果情報でINエリア進入情報243を更新する。
【0078】
次いで、判定部236は、対象者のターゲットIDがOUTエリア進入情報244に登録されているか否かを判定する(ステップS206)。対象者のターゲットIDがOUTエリア進入情報244に登録されていない場合、通過判定装置200の処理フローの最初(ステップS101)に戻る。
【0079】
一方、対象者のターゲットIDがOUTエリア進入情報244に登録されている場合、判定部236は、対象者のINエリア内方向とOUTエリア内方向とが同じであるか否かを判定する(ステップS207)。INエリア内方向とOUTエリア内方向とが同じである場合、判定部236は、対象者が通路を出場方向に通過したと判定する(ステップS208)。なお、ステップS207の処理は、判定部236が、対象者のINエリア内方向とOUTエリア内方向とが、いずれも出場方向であるか否かを判定する処理であってもよい。
【0080】
一方、ステップS207において、INエリア内方向とOUTエリア内方向とが同じでない場合、通過判定装置200の処理フローの最初(ステップS101)に戻る。
【0081】
次いで、ステップS208において対象者が出場方向に通過したと判定された場合、通過情報更新部237は、通過したと判定された対象者のターゲットIDがゲート通過情報245に登録されているか否かを判定する(ステップS209)。通過したと判定された対象者のターゲットIDがゲート通過情報245に登録されていない場合、通過情報更新部237は、ステップS201において取得された最新のターゲット位置情報を含む検知結果情報を、ゲート通過情報245に登録する(ステップS210)。ここで、通過情報更新部237は、ステップS208において判定された対象者が通過した方向(出場方向)を、ゲート通過方向としてゲート通過情報245に登録する。
【0082】
一方、ステップS209において、出場方向に通過したと判定された対象者のターゲットIDがゲート通過情報245に登録されていると判定された場合、通過情報更新部237は、ステップS201において取得された最新のターゲット位置情報を含む検知結果情報で、ゲート通過情報245内の対象者のデータを更新する(ステップS211)。ここで、通過情報更新部237は、ステップS208において判定された対象者が通過した方向(出場方向)で、ゲート通過情報245のゲート通過方向を更新する。
【0083】
上述の通り、現エリアがINエリアであり、且つ、対象者のターゲットIDがOUTエリア進入情報244に登録されている場合、対象者が出場方向に通過した可能性が高いと考えられる。このため、本フローでは、INエリア内方向とOUTエリア内方向とが同じであるか否かを判定することは、実質的に、INエリア内方向とOUTエリア内方向とが、いずれも出場方向であるか否かを判定することである。
【0084】
図17は、通過判定装置200による通過人数判定処理の一例の続きを示すフローチャートである。上述のステップS202において、現エリア=INエリアでない場合、進入情報更新部234は、ステップS201において取得した現エリアがOUTエリアであるか否かを判定する(ステップS301)。現エリア=OUTエリアである場合、進入情報更新部234は、OUTエリア進入情報244に対象者のターゲットIDが登録されているか否かを判定する(ステップS302)。
【0085】
OUTエリア進入情報244に対象者のターゲットIDが登録されていない場合、進入情報更新部234は、OUTエリア進入情報244に対象者のデータを新規登録するための処理を実行する(ステップS303)。例えば、上述した進入情報更新処理において、検知エリア進入情報242に対象者の最新の検知結果情報を登録する処理と同様にして、進入情報更新部234は、OUTエリア進入情報244に、対象者の最新の検知結果情報を登録する。
【0086】
一方、OUTエリア進入情報244に対象者のターゲットIDが登録されている場合、進入情報更新部234は、OUTエリア進入情報244における対象者のデータを更新するための処理を実行する(ステップS304)。例えば、上述した進入情報更新処理において、対象者の最新の検知結果情報で検知エリア進入情報242を更新する処理と同様にして、進入情報更新部234は、対象者の最新の検知結果情報でOUTエリア進入情報244を更新する。
【0087】
次いで、判定部236は、対象者のターゲットIDがINエリア進入情報243に登録されているか否かを判定する(ステップS305)。対象者のターゲットIDがINエリア進入情報243に登録されていない場合、通過判定装置200の処理フローの最初(ステップS101)に戻る。
【0088】
一方、対象者のターゲットIDがINエリア進入情報243に登録されている場合、判定部236は、対象者のINエリア内方向とOUTエリア内方向とが同じであるか否かを判定する(ステップS306)。INエリア内方向とOUTエリア内方向とが同じである場合、判定部236は、対象者が通路を入場方向に通過したと判定する(ステップS307)。なお、ステップS306の処理は、判定部236が、対象者のINエリア内方向とOUTエリア内方向とが、いずれも入場方向であるか否かを判定する処理であってもよい。
【0089】
一方、ステップS306において、INエリア内方向とOUTエリア内方向とが同じでない場合、通過判定装置200の処理フローの最初(ステップS101)に戻る。
【0090】
次いで、ステップS307において対象者が入場方向に通過したと判定された場合、通過情報更新部237は、通過したと判定された対象者のターゲットIDがゲート通過情報245に登録されているか否かを判定する(ステップS308)。通過したと判定された対象者のターゲットIDがゲート通過情報245に登録されていない場合、通過情報更新部237は、ステップS201において取得された最新のターゲット位置情報を含む検知結果情報を、ゲート通過情報245に登録する(ステップS309)。ここで、通過情報更新部237は、ステップS307において判定された対象者が通過した方向(入場方向)を、ゲート通過方向としてゲート通過情報245に登録する。
【0091】
一方、ステップS308において、入場方向に通過したと判定された対象者のターゲットIDがゲート通過情報245に登録されていると判定された場合、通過情報更新部237は、ステップS201において取得された最新のターゲット位置情報を含む検知結果情報で、ゲート通過情報245内の対象者のデータを更新する(ステップS310)。ここで、通過情報更新部237は、ステップS307において判定された対象者が通過した方向(入場方向)で、ゲート通過情報245のゲート通過方向を更新する。
【0092】
上述の通り、現エリアがOUTエリアであり、且つ、対象者のターゲットIDがINエリア進入情報243に登録されている場合、対象者が入場方向に通過した可能性が高いと考えられる。このため、本フローでは、INエリア内方向とOUTエリア内方向とが同じであるか否かを判定することは、実質的に、INエリア内方向とOUTエリア内方向とが、いずれも入場方向であるか否かを判定することである。
【0093】
上述したフローチャートに示すように、現エリアとエリア進入情報とを組み合わせて通過を判定することにより、以下のようなロジックで通過の判定精度を向上させることができる。例えば、対象者が初めて観測されたエリアを「FIRSTエリア」と定義し、対象者が消滅する前に観測されたエリアを「LASTエリア」と定義する。上述の現エリアがINエリア(あるいはOUTエリア)であるか否かを判断する処理は、「LASTエリア」がINエリア(あるいはOUTエリア)であるか否かを判定する処理に相当する。また、上述の対象者のターゲットIDがINエリア進入情報243(あるいはOUTエリア進入情報244)に登録されているか否かを判定する処理は、「FIRSTエリア」がINエリア(あるいはOUTエリア)であるか否かを判定する処理に相当する。「FIRSTエリア」と「LASTエリア」とが異なるエリアである場合、対象者が通過したと判定することができる。こうすることで、例えば、通路の入り口側から進入し出口側から退出した対象者は通過したと判定し、通路の入り口側から進入したが途中で引き返し、出口側から退出していない対象者は通過したと判定しないようにすることができる。よって、通過していない人物を通過したと誤って判定する事態を防止することができる。
【0094】
また、「FIRSTエリア」がINエリアで、「LASTエリア」がOUTエリアである場合、入場方向に対象者が通過したと判定し、「FIRSTエリア」がOUTエリアで、「LASTエリア」がINエリアである場合、出場方向に対象者が通過したと判定することで、双方向の通過判定を同時に行うことができる。
【0095】
図18は、通過判定装置200による通過人数算出処理の一例を示すフローチャートである。この通過人数算出処理は、上述した「入場中の人数」を通過人数として算出する一例である。なお、以下の処理は、通路ごとに実行してもよく、通路を区別せずに全ての対象者に対して実行してもよい。
【0096】
まず、算出部238は、ゲート通過情報245を参照し、対象者のターゲットIDごとに、ゲート通過方向を取得する(ステップS401)。次いで、算出部238は、取得したゲート通過方向が「入場方向」であるか否かを判定する(ステップS402)。取得したゲート通過方向が「入場方向」である場合、算出部238は、通路の通過人数に「1」を加算する(ステップS403)。
【0097】
一方、ステップS402の判定において、取得したゲート通過方向が「入場方向」でない場合、算出部238は、取得したゲート通過方向が「出場方向」であるか否かを判定する(ステップS404)。取得したゲート通過方向が「出場方向」である場合、算出部238は、通路の通過人数から「1」を減算する(ステップS405)。
【0098】
そして、算出部238は、ステップS403とステップS405の処理によって、結果的に総入場者数から総出場者数を減算した「入場中の人数」を算出する(ステップS406)。次いで、算出部238は、次の対象者があるか否かを判定し(ステップS407)、次の対象者がある場合、ステップS401に戻り処理を繰り返す。一方、次の対象者がない場合、処理を終了する。
【0099】
以上説明した実施形態によれば、INエリア内方向とOUTエリア内方向とがそれぞれ入場方向である場合に、対象者が入場方向に通過したと判定するようにしたことで、対象者や対象物の通過を判定する際の判定精度を向上させることができる。
【0100】
さらに、INエリア内方向とOUTエリア内方向とがそれぞれ入場方向である場合に、対象者が入場方向に通過したと判定するようにしたことで、双方向の通過判定を同時に行うことができる。
【0101】
また、ターゲットIDを用いて、対象者のそれぞれについ上述した進入情報更新処理や通過人数判定処理を実行することにより、複数人が同時に通路を通過する場合でも、精度よく通過を判定することができる。
【0102】
また、INエリアとOUTエリアの間の隙間を「敷居」と定義した場合、敷居の長さ(通路の第1経路方向の長さ)を一定以上とすることにより、敷居の長さ以上に移動した対象者を、通路を通過した人物と判定することができる。よって、判定精度を向上させることができる。
【0103】
<検知領域の形状の他の例>
図19は、検知領域決定部239により決定された検知領域の形状の他の例を示す図である。この例では、3D TOFセンサ101や3D TOFセンサ102の設置角度が、通路に対して斜めに傾いているとする。この場合、画像内のセンシングエリアE10の形状と、INエリアE11の形状と、OUTエリアE12の形状とは、図示に示す通り、平行四辺形であってよい。こうすることにより、通路内に設定されたINエリアE11あるいはOUTエリアE12に存在する対象者を精度よく検知できる。
【0104】
これに限られず、検知領域決定部239は、センシングエリア内に障害物がある場合は、障害物を避けるような形状で、センシングエリア、INエリア、OUTエリア等を決定してもよい。こうすることで、対象者が通れない障害物の上に対象者の頭が検知された場合、係員が頭を出している可能性や、見送りの人が頭を出している可能性が高いことから、通行人から除外することができ、通過の判定精度を向上させることができる。
【0105】
<追加エリアを含む例>
図20は、センシングエリアに含まれる追加エリアの一例を説明する図である。上述において、センシングエリア内には、INエリアとOUTエリアが含まれると説明したが、これに限られない。例えば、図示のセンシングエリアE20には、INエリアE21と、OUTエリアE22に加え、第1追加エリアE23と、第2追加エリアE24とが含まれる。なお、ここの例では、追加エリアが2つである例について説明するが、これに限られない。追加エリアは、1つでもよく、3以上であってもよい。
【0106】
第1追加エリアE23と第2追加エリアE24は、例えば、通路の一方の経路方向(第1経路方向)に対して、INエリアE21とOUTエリアE22との間に設定される。第1追加エリアE23は、例えば、通路の半分の地点(第1経路方向の中間地点)よりも第1経路方向の上流側に設けられるエリアの一例である。第2追加エリアE24は、例えば、通路の半分の地点(第1経路方向の中間地点)よりも第1経路方向の下流側に設けられるエリアの一例である。
【0107】
なお、INエリアE21と第1追加エリアE23との間、第1追加エリアE23と第2追加エリアE24との間、第2追加エリアE24とOUTエリアE22との間は、通路の第1経路方向に所定の間隔が設けられている。それぞれの間隔は、対象者が隣り合うエリアの間に存在するときに、両エリアで検知されないような長さであることが好ましい。例えば、一般的な人間の頭囲の直径よりも長い長さであること、一般的な人間の歩幅で所定歩数分(例えば、2歩程度)よりも短い長さであることが好ましい。
【0108】
決定部235は、第1追加エリアE23における対象者の進行方向(以下、第1追加エリア内方向と記す)を、取得部233により取得された検知結果情報に基づいて決定する。また、決定部235は、第2追加エリアE24における対象者の進行方向(以下、第2追加エリア内方向と記す)を、取得部233により取得された検知結果情報に基づいて決定する。なお、第1追加エリア内方向と、第2追加エリア内方向を決定する方法は、上述したINエリア内方向やOUTエリア内方向を決定する方法と同様であってよく、詳細な説明は省略する。
【0109】
判定部236は、決定部235により決定された第1追加エリア内方向(あるいは第2追加エリア内方向)と、INエリア内方向およびOUTエリア内方向のうちの少なくとも一方とが、いずれも第1経路方向の上流側に向かう方向である場合、対象者が通路を上流側に向かって通過したと判定する。また、判定部236は、決定部235により決定された第1追加エリア内方向(あるいは第2追加エリア内方向)と、INエリア内方向およびOUTエリア内方向のうちの少なくとも一方とが、いずれも第1経路方向の下流側に向かう方向である場合、対象者が通路を下流側に向かって通過したと判定する。
【0110】
このように、より多くのエリア内方向に基づいて通過を判定することにより、対象者の通過を判定する際の判定精度を向上させることができる。特に、通路の第1経路方向の長さが長い場合において有効である。
【0111】
これに限られず、判定部236は、全てのエリア内方向(INエリア内方向、OUTエリア内方向、第1追加エリア内方向、および第2追加エリア内方向)が、いずれも第1経路方向の上流側に向かう方向である場合、対象者が通路を上流側に向かって通過したと判定してもよく、全てのエリア内方向が、いずれも第1経路方向の下流側に向かう方向である場合、対象者が通路を下流側に向かって通過したと判定してもよい。こうすることにより、対象者の通過を判定する際の判定精度をさらに向上させることができる。
【0112】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、通路の第1経路方向の上流側に設けられた第1エリアにおける対象者の進行方向と、第1経路方向の下流側に設けられた第2エリアにおける対象者の進行方向とを決定し、第1エリアにおける進行方向と第2エリアにおける進行方向とがいずれも上流側に向く方向である場合、対象者が通路を上流側に向かって通過したと判定することにより、対象者や対象物の通過を判定する際の判定精度を向上させることができる。
【0113】
上述した実施形態におけるプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0114】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0115】
1…通過判定システム、100…検知装置、200…通過判定装置、300…通過人数確認端末、101…3D TOFセンサ、102…3D TOFセンサ、210…第1通信部、220…第2通信部、230…処理部、240…記憶部、231…第1通信制御部、232…第2通信制御部、233…取得部、234…進入情報更新部、2355…決定部、236…判定部、237…通過情報更新部、238…算出部、239…検知領域決定部