(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096282
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】クレーン、及びクレーンの測定システム
(51)【国際特許分類】
B66C 13/00 20060101AFI20230630BHJP
B66C 13/46 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
B66C13/00 D
B66C13/46 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211916
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】宮田 紀明
【テーマコード(参考)】
3F204
【Fターム(参考)】
3F204AA03
3F204BA04
3F204CA07
3F204DA02
3F204DB04
3F204DC06
(57)【要約】
【課題】荷役作業が正常に行われているかの確認を自動的に行うことができるクレーン、及びクレーンの測定システムを提供する。
【解決手段】監視部53は、三次元距離検出部40に検出結果に基づいて、荷役作業が正常に行われているかの確認を行うことができる。ここで、三次元距離検出部40は、トレーラ10のシャーシ11及びコンテナCの距離を横側から検出する。監視部53は、トレーラ10のシャーシ11及びコンテナCの横からの距離を用いることで、荷役作業時におけるトレーラ10のシャーシ11とコンテナCとの間に形成される隙間GP、及びトレーラ10のシャーシ11とコンテナCとの位置関係などを把握することができる。そのため、監視部53は、それらの三次元距離検出部40の検出結果から得られる情報に基づいて、荷役作業が正常に行われているかの確認を自動的に行うことができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の搬送を行うクレーンであって、
搬送台車に載置された前記対象物の吊り上げ、及び前記搬送台車に対する前記対象物の積載を行う吊具と、
前記吊具を支持して走行するクレーン本体部と、
前記クレーン本体部に設けられ、検出範囲である三次元空間内に存在する測定物までの距離を検出する三次元距離検出部と、
前記三次元距離検出部の検出結果に基づいて前記搬送台車に対する前記対象物の荷役状態を監視する監視部と、を備え、
前記三次元距離検出部は、前記搬送台車及び前記対象物の距離を横側から検出する、クレーン。
【請求項2】
前記吊具が前記搬送台車に載置された前記対象物を吊り上げるときに、前記監視部は、前記三次元距離検出部によって検出された前記対象物の下部と前記搬送台車との間の隙間に基づいて、吊り上げ作業を監視する、請求項1に記載のクレーン。
【請求項3】
前記監視部は、前記隙間の大きさが規定値以上である場合に、吊り上げ作業が正常に行われたと判断する、請求項2に記載のクレーン。
【請求項4】
前記吊具が前記対象物を前記搬送台車に積載するときに、前記監視部は、前記三次元距離検出部によって検出された前記搬送台車と前記対象物との位置関係に基づいて、積載作業を監視する、請求項1~3の何れか一項に記載のクレーン。
【請求項5】
前記監視部は、前記搬送台車と前記対象物との位置ずれが規定値以下である場合に、積載作業が正常に行われたと判断する、請求項4に記載のクレーン。
【請求項6】
前記監視部は、前記荷役状態の監視を行う前に、前記吊具による作業内容、及び前記吊具で荷役を行う前記対象物の種類に関する情報を取得する、請求項1~5の何れか一項に記載のクレーン。
【請求項7】
前記三次元距離検出部は、高さ方向において、荷役作業時における前記搬送台車と前記対象物との境界位置を検出可能な位置に設けられる、請求項1~6の何れか一項に記載のクレーン。
【請求項8】
前記三次元距離検出部は、前記クレーン本体部の走行方向において、荷役作業時における前記対象物の端部を検出可能な位置に設けられる、請求項1~7の何れか一項に記載のクレーン。
【請求項9】
搬送台車に載置された対象物の吊り上げ、及び前記搬送台車に対する前記対象物の積載を行う吊具、及び前記吊具を支持して走行するクレーン本体部を備え、対象物の搬送を行うクレーンに設けられるクレーンの測定システムであって、
前記クレーン本体部に設けられ、検出範囲である三次元空間内に存在する測定物までの距離を検出する三次元距離検出部と、
前記三次元距離検出部の検出結果に基づいて前記搬送台車に対する前記対象物の荷役状態を監視する監視部と、を備え、
前記三次元距離検出部は、前記搬送台車と前記対象物との位置関係を横側から検出する、クレーンの測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーン、及びクレーンの測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のクレーンとして、特許文献1に記載されたものが知られている。クレーンは、吊具を水平方向に移動させながら、対象物を吊具で吊り上げている。このクレーンは、搬送台車に載置されたコンテナを吊具で吊り上げ、搬送台車に対し吊具で吊り下げたコンテナを積載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、搬送台車に載置されたコンテナを吊り上げる作業、及び搬送台車へコンテナを積載する作業などの荷役作業が正常に行われているかの確認は、運転者が目視をすることによって行われていた。
【0005】
本発明は、荷役作業が正常に行われているかの確認を自動的に行うことができるクレーン、及びクレーンの測定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るクレーンは、対象物の搬送を行うクレーンであって、搬送台車に載置された対象物の吊り上げ、及び搬送台車に対する対象物の積載を行う吊具と、吊具を支持して走行するクレーン本体部と、クレーン本体部に設けられ、検出範囲である三次元空間内に存在する測定物までの距離を検出する三次元距離検出部と、三次元距離検出部の検出結果に基づいて搬送台車に対する対象物の荷役状態を監視する監視部と、を備え、三次元距離検出部は、搬送台車及び対象物の距離を横側から検出する。
【0007】
クレーンは、クレーン本体部に設けられ、検出範囲である三次元空間内に存在する測定物までの距離を検出する三次元距離検出部と、三次元距離検出部の検出結果に基づいて搬送台車に対する対象物の荷役状態を監視する監視部と、を備える。そのため、監視部は、三次元距離検出部に検出結果に基づいて、搬送台車に載置されたコンテナを吊り上げる作業、及び搬送台車へコンテナを積載する作業などの荷役作業が正常に行われているかの確認を行うことができる。ここで、三次元距離検出部は、搬送台車及び対象物の距離を横側から検出する。監視部は、搬送台車及び対象物の横からの距離を用いることで、荷役作業時における搬送台車と対象物との間に形成される隙間、及び搬送台車と対象物との位置関係などを把握することができる。そのため、監視部は、それらの三次元距離検出部の検出結果から得られる情報に基づいて、荷役作業が正常に行われているかの確認を自動的に行うことができる。
【0008】
吊具が搬送台車に載置された対象物を吊り上げるときに、監視部は、三次元距離検出部によって検出された対象物の下部と搬送台車との間の隙間に基づいて、吊り上げ作業を監視してよい。正常な対象物の吊り上げ作業が行われた場合、対象物と下部と搬送台車との間には隙間が形成される。従って、監視部は、当該隙間に基づいて吊り上げ作業が正常に行われているかの確認を行うことができる。
【0009】
監視部は、隙間の大きさが規定値以上である場合に、吊り上げ作業が正常に行われたと判断してよい。正常な対象物の吊り上げ作業が行われた場合、吊具の巻き上げ量に対応した大きさの隙間が形成される。従って、監視部は、隙間の大きさに基づいて吊り上げ作業が正常に行われているかの確認を行うことができる。
【0010】
吊具が対象物を搬送台車に積載するときに、監視部は、三次元距離検出部によって検出された搬送台車と対象物との位置関係に基づいて、積載作業を監視してよい。正常な対象物の積載作業が行われた場合、対象物は搬送台車に位置ずれが無い状態で積載される。従って、監視部は、搬送台車と対象物との位置関係に基づいて積載作業が正常に行われているかの確認を行うことができる。
【0011】
監視部は、搬送台車と対象物との位置ずれが規定値以下である場合に、積載作業が正常に行われたと判断してよい。正常な対象物の積載作業が行われた場合、搬送台車と対象物との位置ずれは規定値以下に収まる。従って、監視部は、位置ずれの大きさに基づいて積載作業が正常に行われているかの確認を行うことができる。
【0012】
監視部は、荷役状態の監視を行う前に、吊具による作業内容、及び吊具で荷役を行う対象物の種類に関する情報を取得してよい。これにより、監視部は、作業内容及び対象物の種類に応じた正確な監視を行うことができる。
【0013】
三次元距離検出部は、高さ方向において、荷役作業時における搬送台車と対象物との境界位置を検出可能な位置に設けられてよい。これにより、監視部は、搬送台車と対象物との間の隙間や位置ずれを把握することができる。
【0014】
三次元距離検出部は、クレーン本体部の走行方向において、荷役作業時における対象物の端部を検出可能な位置に設けられてよい。これにより、監視部は、搬送台車と対象物との走行方向における位置ずれを把握することができる。
【0015】
本発明に係るクレーンの測定システムは、搬送台車に載置された対象物の吊り上げ、及び搬送台車に対する対象物の積載を行う吊具、及び吊具を支持して走行するクレーン本体部を備え、対象物の搬送を行うクレーンに設けられるクレーンの測定システムであって、クレーン本体部に設けられ、検出範囲である三次元空間内に存在する測定物までの距離を検出する三次元距離検出部と、三次元距離検出部の検出結果に基づいて搬送台車に対する対象物の荷役状態を監視する監視部と、を備え、三次元距離検出部は、搬送台車と対象物との位置関係を横側から検出する。
【0016】
本発明に係るクレーンの測定システムは、上述のクレーンと同趣旨の作用・効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、荷役作業が正常に行われているかの確認を自動的に行うことができるクレーン、及びクレーンの測定システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係るクレーン、及び測定システムのブロック図である。
【
図3】クレーン装置がコンテナを吊り下げている様子を示す概略正面図である。
【
図4】クレーン装置の下部を横行方向から見た概略側面図である。
【
図5】吊具がトレーラのシャーシ上に載置されたコンテナを吊り上げるときの作業の様子を示す概略図である。
【
図6】吊具がトレーラのシャーシ上に載置されたコンテナを吊り上げるときの作業の様子を示す概略図である。
【
図7】吊具がトレーラのシャーシ上にコンテナを積載するときの作業の様子を示す概略図である。
【
図8】吊具がトレーラのシャーシ上にコンテナを積載するときの作業の様子を示す概略図である。
【
図9】吊具がトレーラのシャーシ上にコンテナを積載するときの監視部の処理内容を示すフローチャートである。
【
図10】吊具がトレーラのシャーシ上にコンテナを積載するときの監視部の処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、例示的な実施形態について説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
図1~
図4を参照して、本発明の実施形態に係るクレーン100について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るクレーン100、及び測定システム110のブロック図である。
図2は、クレーン装置20を示す斜視図である。
図3は、クレーン装置20がコンテナを吊り下げている様子を示す概略正面図である。
図4は、クレーン装置20の下部を横行方向から見た概略側面図である。
図1に示すように、クレーン100は、クレーン装置20と、制御装置50と、三次元距離検出部40を備える。このうち、制御装置50、及び三次元距離検出部40によって測定システム110が構成される。
【0021】
図2に示すように、クレーン装置20は、門型のクレーン装置である。クレーン装置20は、例えば、接岸したコンテナ船に対してコンテナC(対象物)の移載等が行われるコンテナターミナルのコンテナヤードにおいて、コンテナCの荷役を行うクレーン装置である。コンテナヤードCYには、コンテナCが移載されるトレーラ10(搬送台車)等の走行路である荷役レーンが敷設されている。クレーン装置20は、例えば荷役レーン上に停止したトレーラ10に対して、コンテナCを自動で移載する。クレーン装置20は、トレーラ10によって搬入されるコンテナCをトレーラ10から取得して、当該コンテナCをコンテナヤードCYの所定位置に載置する。また、クレーン装置20は、コンテナヤードCYに載置されているコンテナCを取得して、当該コンテナCをトレーラ10に載置し、当該トレーラ10によりコンテナCを外部に搬出させる。
【0022】
クレーン装置20は、クレーン本体部21と、吊具22と、を有している。クレーン本体部21は、タイヤ付車輪を有する走行部25により走行可能とされている。走行部25は、二組の一対の脚部26,26の下端部に設けられる機構であり、走行モータの駆動によって走行する機構である。クレーン本体部21は、これら脚部26,26の上端部同士を繋ぐガーダー27,27を備えることで、略門形に形成されている。更に、クレーン本体部21は、走行方向に直交する方向にガーダー27上を横行可能なトロリ28を備えている。トロリ28は、横行モータの駆動によって横行する。トロリ28は、ドラム駆動モータ及び当該ドラム駆動モータにより正逆回転するドラムによって構成される巻駆動部29を備える。トロリ28は、ワイヤによって構成される吊部材30を介して吊具22を吊り下げている。吊具22は、走行方向へ延びる形状を有している。トロリ28からは、走行方向において二箇所から吊部材30が延びており、吊具22は走行方向における二箇所で吊部材30に吊られている。
【0023】
なお、走行部25及びトロリ28のように、吊具22を水平方向に移動させる機構を移動駆動部35と称する場合がある。移動駆動部35は上記の走行モータ及び横行モータを含んでいる。
図1に示すように、移動駆動部35の走行モータ及び横行モータは、制御装置50によって制御される。また、巻駆動部29のドラム駆動モータは、制御装置50によって制御される。
【0024】
吊具22は、コンテナCを保持して吊り上げるための装置である。吊具22は、コンテナCを上面側から係止可能であり、コンテナCを係止して吊り上げることによりコンテナCの荷役を行う。吊具22は、巻駆動部29からの吊部材30が掛け回されたシーブ33を介して吊り下げられ、巻駆動部29の正逆回転により昇降可能である。吊具22は、制御部23によって制御される。
【0025】
吊具22は、平面視においてコンテナCの上面の形状と略同一の形状を呈している。クレーン本体部21は、長手方向における中央部の上側に、吊部材30が掛け回されるシーブ33を有している。吊具22は、コンテナCを吊具22が係止する際に当該コンテナC上に位置する。吊具22は、ガイド32及びロックピン(不図示)を含んでいる。ガイド32は、吊具22により取得されるべき目標のコンテナCを吊具22が取得する場合において、吊具22が下降する際に、吊具22を目標のコンテナC上に案内する。ガイド32は、水平方向における吊具22の短手方向の一端部及び他端部のそれぞれにおいて、長手方向の両端付近のそれぞれに設けられている。
【0026】
三次元距離検出部40は、検出範囲である三次元空間内に存在する測定物までの距離を検出する測定器である。
図3及び
図4に示すように、三次元距離検出部40は、クレーン本体部21に設けられる。三次元距離検出部40は、トレーラ10及びコンテナCの距離を横側から検出する。三次元距離検出部40は、一対の脚部26のうち、トレーラ10に近い方の脚部26に設けられる。また、三次元距離検出部40は、脚部26のうち、横行方向における内側において、脚部26の下端部付近に設けられる。これにより、三次元距離検出部40は、トレーラ10上のコンテナCを横行方向における外側から内側へ向けて測定する。三次元距離検出部40は、当該三次元距離検出部40から検出範囲内に存在する対象物までの距離を測定する。三次元距離検出部40は、例えば、3Dライダーによって構成される。三次元距離検出部40は、検出結果を制御装置50(
図1参照)に送信する。
【0027】
三次元距離検出部40は、高さ方向において、荷役作業時におけるトレーラ10とコンテナCとの境界位置LPを検出可能な位置に設けられる(
図6~
図8も参照)。コンテナCは、トレーラ10のシャーシ11上に積載される。従って、三次元距離検出部40は、高さ方向において、シャーシ11とコンテナCの境界位置LPを検出可能な位置に設けられる。ここで、三次元距離検出部40が境界位置LPを検出可能な位置に設けられるとは、三次元距離検出部40の検出範囲DE(
図5及び
図7参照)を境界位置LPを含む位置に設定可能な状態を意味する。
【0028】
図4に示すように、三次元距離検出部40は、クレーン本体部21の走行方向D2において、荷役作業時におけるコンテナCの端部Ca,Cbを検出可能な位置に設けられる。ここで、本実施形態に係るクレーン100は、40フィートのコンテナC1と、20フィートのコンテナC2を荷役することができる。この場合、三次元距離検出部40は、40フィートのコンテナC1の走行方向D2の一方の端部C1aを検出可能な三次元距離検出部40Aと、他方の端部C1bを検出可能な三次元距離検出部40Bと、を備える。また、三次元距離検出部40は、20フィートのコンテナC2の走行方向D2の一方の端部C2aを検出可能な三次元距離検出部40Cと、他方の端部C2bを検出可能な三次元距離検出部40Dと、を備える。
【0029】
ここで、三次元距離検出部40A,40Bが端部C1a,C1bを検出可能な位置に設けられるとは、三次元距離検出部40A,40Bの検出範囲DE(
図7参照)を端部C1a,C1bを含む位置に設定可能な状態を意味する。三次元距離検出部40C,40Dも同様である。なお、
図4に示す例では、三次元距離検出部40A,40B,40C,40Dは、脚部26における走行部25の車輪保持部41に取り付けられているが、脚部16におけるどの位置に取り付けられてもよい。例えば、三次元距離検出部40A,40B,40C,40Dは、脚部16に設けられた治具などに取り付けられてもよい。
【0030】
図1に示すように、制御装置50は、プロセッサ、メモリ、ストレージ、通信インターフェース及びユーザインターフェースを備え、一般的なコンピュータとして構成されている。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)などの演算器である。メモリは、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体である。ストレージは、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶媒体である。通信インターフェースは、データ通信を実現する通信機器である。ユーザインターフェースは、液晶やスピーカなどの出力器、及び、操縦レバー、ボタン、キーボードやタッチパネルやマイクなどの入力器である。プロセッサは、メモリ、ストレージ、通信インターフェース及びユーザインターフェースを統括し、後述する機能を実現する。制御装置50では、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。制御装置50は、複数のコンピュータから構成されていてもよい。
【0031】
制御装置50は、クレーン100全体を総合的に制御する装置である。制御装置50は、演算部51と、クレーン制御部52と、監視部53と、記憶部54と、を備える。
【0032】
演算部51は、クレーン100の制御に必要な各種演算を行う。演算部51は、吊具22でコンテナCを掴む際の動作やコンテナCの搬送位置などを演算する。クレーン制御部52は、クレーン100の動作を制御する。クレーン制御部52は、移動駆動部35の走行モータ及び横行モータへ制御信号を送信することで、吊具22の水平方向への移動を制御する。また、クレーン制御部52は、巻駆動部29のドラム駆動モータへ制御信号を送信することで、吊部材30を介して吊具22の巻上げ及び巻下げの動作を制御する。記憶部54は、各種情報を記憶する。
【0033】
監視部53は、三次元距離検出部40の検出結果に基づいてトレーラ10のシャーシ11に対するコンテナCの荷役状態を監視する。監視部53は、荷役状態の監視を行う前に、吊具22による作業内容、及び吊具22で荷役を行うコンテナCの種類に関する情報を取得する。監視部53は、制御装置50によるクレーン100の制御内容に基づいて、吊具22がトレーラ10のシャーシ11上に載置されたコンテナCを吊り上げる吊り上げ作業を行うのか、または、吊具22がトレーラ10のシャーシ11上にコンテナCを積載する作業を行うのかの情報を取得する。監視部53は、制御装置50によるクレーン100の制御内容に基づいて、荷役作業に係るコンテナCが40フィートのコンテナC1であるか、または20フィートのコンテナC2であるかの情報を取得する。
【0034】
次に、
図5~
図8を参照して、監視部53の処理内容について詳細に説明する。
図5及び
図6は、吊具22がトレーラ10のシャーシ11上に載置されたコンテナCを吊り上げるときの作業の様子を示す概略図である。
図7及び
図8は、吊具22がトレーラ10のシャーシ11上にコンテナCを積載するときの作業の様子を示す概略図である。なお、以降の
図5~
図8の説明においては、荷役作業に係るコンテナCとして40フィートのコンテナC1を例示する。
【0035】
図5及び
図6に示すように、吊具22がトレーラ10のシャーシ11に載置されたコンテナC1を吊り上げるときに、監視部53は、三次元距離検出部40によって検出されたコンテナC1の下部とトレーラ10のシャーシ11との間の隙間GPに基づいて、吊り上げ作業を監視する。監視部53は、吊具22がコンテナC1をロック後、着床検出リミットスイッチがオフした巻き高さから指定の距離に到達したときのコンテナC1の下部とシャーシ11との間の隙間GPを測定する。具体的に、監視部53は、境界位置LP付近における三次元距離検出部40の検出結果を取得する。これにより、監視部53は、検出範囲DE内における各部位と、三次元距離検出部40との間の距離を取得する。
【0036】
ここで、
図6に示すように、荷役作業に係るコンテナC1の横行方向D1の外側の端部C1cと三次元距離検出部40との間の距離をL1とする。コンテナC1と横行方向D1の内側に隣り合うコンテナCをコンテナCAとする。コンテナCAの横行方向D1の外側の端部CAcと三次元距離検出部40との間の距離をL2とする。
図6に示すように、コンテナC1とシャーシ11との間に隙間GPが形成されている場合、三次元距離検出部40は、隙間GPを介したコンテナCAの端部CAcとの距離L2を検出する。従って、監視部53は、三次元距離検出部40の検出結果に距離L2が含まれている場合、隙間GPが形成されていると判断できる。また、監視部53は、距離L2が上下方向にどの程度の範囲で検出されたかに基づいて、隙間GPの大きさH1を取得することができる。一方、コンテナC1とシャーシ11との間に隙間GPが形成されていない場合、三次元距離検出部40は、コンテナCAの端部CAcの距離L2を検出することなく、荷役に係るコンテナC1の端部C1aとの距離L1だけを検出する。この場合、監視部53は、境界位置LPの隙間GPの大きさが「0」であると判断する。
【0037】
監視部53は、取得した隙間GPの大きさH1が規定値以上である場合に、吊り上げ作業が正常に行われたと判断する。この場合、監視部53は、運転手に運転を継続する旨の通知を行うか、自動運転の場合は制御装置50に自動運転を継続させる。その一方、監視部53は、取得した隙間GPの大きさH1が規定値より小さい場合、異常(正常な地切ができていない)があると判断する。このとき、監視部53は、インターロックでクレーン100の運転を停止して、異常表示を行う。これにより、作業者がシャーシ11のロックピンを確認する。
【0038】
図7及び
図8に示すように、吊具22がトレーラ10のシャーシ11にコンテナCを積載するときに、監視部53は、三次元距離検出部40によって検出されたトレーラ10のシャーシ11とコンテナC1との位置関係に基づいて、積載作業を監視する。監視部53は、吊具22がコンテナC1を着床する時にコンテナC1とシャーシ11との位置関係を測定する。具体的に、監視部53は、三次元距離検出部40の検出結果に基づいて、コンテナC1の走行方向D2の端部C1aとシャーシ11の端部11aとの位置ずれ、コンテナC1の走行方向D2の端部C1bとシャーシ11の端部11bとの位置ずれを測定する(
図7参照)。また、監視部53は、三次元距離検出部40の検出結果に基づいて、コンテナC1の横行方向D1の端部C1cとシャーシ11の端部11cとの位置ずれを測定する(
図8参照)。具体的に、監視部53は、端部C1a,Cb付近における三次元距離検出部40の検出結果を取得する。これにより、監視部53は、検出範囲DE内における各部位と、三次元距離検出部40との間の距離を取得する。
【0039】
コンテナC1の端部C1a、及びシャーシ11の端部11aは、三次元距離検出部40の検出結果に係る距離が急激に変化する箇所である。従って、監視部53は、コンテナC1の端部C1aの走行方向D2における位置を把握することができる。監視部53は、コンテナC1の端部C1aの走行方向D2における位置と、シャーシ11の端部11aの走行方向D2における位置との差を位置ずれとして取得できる。コンテナC1の端部C1bとシャーシ11の端部11bとの位置ずれも同様である。監視部53は、コンテナC1の端部C1cにおける三次元距離検出部40の検出結果と、シャーシ11の端部11cにおける三次元距離検出部40の検出結果の差から、コンテナC1の端部C1cの横行方向D1における位置と、シャーシ11の端部11cの横行方向D1における位置との差を位置ズレとして取得できる。
【0040】
監視部53は、取得した位置ずれの大きさが規定値以下である場合に、積載作業が正常に行われたと判断する。この場合、監視部53は、運転手に運転を継続する旨の通知を行うか、自動運転の場合は制御装置50に自動運転を継続させる。その一方、監視部53は、位置ずれが規定値より小さい場合、異常(正常に着床ができていない)があると判断する。このとき、監視部53は、運転者に積載をやり直すように指示をするか、自動運転の場合は制御装置50に積載をやり直すように指示する。
【0041】
次に、
図9及び
図10を参照して、監視部53の処理内容のフローチャートについて説明する。
図9は、吊具22がトレーラ10のシャーシ11上にコンテナCを積載するときの監視部53の処理内容を示すフローチャートである。
図10は、吊具22がトレーラ10のシャーシ11上にコンテナCを積載するときの監視部53の処理内容を示すフローチャートである。
【0042】
吊具22によりコンテナCの吊り上げ作業が行われるとき、
図9に示すように、監視部53は、吊具22による作業内容、及び吊具22で荷役を行うコンテナCの種類に関する情報を取得する(ステップS10)。次に、監視部53は、コンテナCとシャーシ11との境界位置LPにおける隙間GPの大きさを測定する(ステップS20)。次に、監視部53は、隙間GPの大きさが規定値以上であるか否かを判定する(ステップS30)。隙間GPの大きさが規定値以上であった場合、監視部53は、正常な吊上作業が行われていると判断する(ステップS40)。一方、ステップS30において隙間GPの大きさが規定値より小さい場合、監視部53は、異常があると判断する(ステップS50)。以上より、
図9に示す制御処理が終了する。
【0043】
吊具22によりコンテナCの積載作業が行われるとき、
図10に示すように、監視部53は、吊具22による作業内容、及び吊具22で荷役を行うコンテナCの種類に関する情報を取得する(ステップS110)。次に、監視部53は、コンテナCとシャーシ11との位置関係を測定する(ステップS120)。次に、監視部53は、コンテナCとシャーシ11の位置ずれが規定値以下であるか否かを判定する(ステップS130)。位置ずれの大きさが規定値以下であった場合、監視部53は、正常な積載作業が行われていると判断する(ステップS140)。一方、ステップS130において位置ずれの大きさが規定値より大きい場合、監視部53は、異常があると判断する(ステップS150)。以上より、
図10に示す制御処理が終了する。
【0044】
次に、本実施形態に係るクレーン100、及びクレーン100の測定システム110の作用・効果について説明する。
【0045】
クレーン100は、クレーン本体部21に設けられ、検出範囲である三次元空間内に存在する測定物までの距離を検出する三次元距離検出部40と、三次元距離検出部40の検出結果に基づいてトレーラ10のシャーシ11に対するコンテナCの荷役状態を監視する監視部53と、を備える。そのため、監視部53は、三次元距離検出部40に検出結果に基づいて、トレーラ10に載置されたコンテナCを吊り上げる作業、及びトレーラ10のシャーシ11へコンテナCを積載する作業などの荷役作業が正常に行われているかの確認を行うことができる。ここで、三次元距離検出部40は、トレーラ10のシャーシ11及びコンテナCの距離を横側から検出する。監視部53は、トレーラ10のシャーシ11及びコンテナCの横からの距離を用いることで、荷役作業時におけるトレーラ10のシャーシ11とコンテナCとの間に形成される隙間GP、及びトレーラ10のシャーシ11とコンテナCとの位置関係などを把握することができる。そのため、監視部53は、それらの三次元距離検出部40の検出結果から得られる情報に基づいて、荷役作業が正常に行われているかの確認を自動的に行うことができる。
【0046】
吊具22がトレーラ10のシャーシ11に載置されたコンテナCを吊り上げるときに、監視部53は、三次元距離検出部40によって検出されたコンテナCの下部とトレーラ10のシャーシ11との間の隙間に基づいて、吊り上げ作業を監視してよい。正常なコンテナCの吊り上げ作業が行われた場合、コンテナCと下部とトレーラ10のシャーシ11との間には隙間GPが形成される。従って、監視部53は、当該隙間GPに基づいて吊り上げ作業が正常に行われているかの確認を行うことができる。
【0047】
監視部53は、隙間GPの大きさが規定値以上である場合に、吊り上げ作業が正常に行われたと判断してよい。正常なコンテナCの吊り上げ作業が行われた場合、吊具22の巻き上げ量に対応した大きさの隙間GPが形成される。従って、監視部53は、隙間GPの大きさに基づいて吊り上げ作業が正常に行われているかの確認を行うことができる。
【0048】
吊具22がコンテナCをトレーラ10のシャーシ11に積載するときに、監視部53は、三次元距離検出部40によって検出されたトレーラ10のシャーシ11とコンテナCとの位置関係に基づいて、積載作業を監視してよい。正常なコンテナCの積載作業が行われた場合、コンテナCはトレーラ10のシャーシ11に位置ずれが無い状態で積載される。従って、監視部53は、トレーラ10のシャーシ11とコンテナCとの位置関係に基づいて積載作業が正常に行われているかの確認を行うことができる。
【0049】
監視部53は、トレーラ10のシャーシ11とコンテナCとの位置ずれが規定値以下である場合に、積載作業が正常に行われたと判断してよい。正常なコンテナCの積載作業が行われた場合、トレーラ10のシャーシ11とコンテナCとの位置ずれは規定値以下に収まる。従って、監視部53は、位置ずれの大きさに基づいて積載作業が正常に行われているかの確認を行うことができる。
【0050】
監視部53は、荷役状態の監視を行う前に、吊具22による作業内容、及び吊具22で荷役を行うコンテナCの種類に関する情報を取得してよい。これにより、監視部53は、作業内容及びコンテナCの種類に応じた正確な監視を行うことができる。
【0051】
三次元距離検出部40は、高さ方向において、荷役作業時におけるトレーラ10のシャーシ11とコンテナCとの境界位置LPを検出可能な位置に設けられてよい。これにより、監視部53は、トレーラ10のシャーシ11とコンテナCとの間の隙間GPや位置ずれを把握することができる。
【0052】
三次元距離検出部40は、クレーン本体部21の走行方向D2において、荷役作業時におけるコンテナCの端部を検出可能な位置に設けられてよい。これにより、監視部53は、トレーラ10のシャーシ11とコンテナCとの走行方向における位置ずれを把握することができる。
【0053】
本実施形態に係るクレーン100の測定システム110は、トレーラ10のシャーシ11に載置されたコンテナCの吊り上げ、及びトレーラ10のシャーシ11に対するコンテナCの積載を行う吊具22、及び吊具22を支持して走行するクレーン本体部21を備え、コンテナCの搬送を行うクレーン100に設けられるクレーン100の測定システム110であって、クレーン本体部21に設けられ、コンテナCの距離を検出する三次元距離検出部40と、三次元距離検出部40の検出結果に基づいてトレーラ10のシャーシ11に対するコンテナCの荷役状態を監視する監視部53と、を備え、三次元距離検出部40は、トレーラ10のシャーシ11とコンテナCとの位置関係を横側から検出する。
【0054】
本実施形態に係るクレーン100の測定システム110は、上述のクレーン100と同趣旨の作用・効果を得ることができる。
【0055】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0056】
例えば、上述の実施形態では、クレーンとしてタイヤを有するタイヤ式のクレーンが例示されていたが、クレーンの種類は特に限定されるものではない。例えば、岸壁で船舶との間でコンテナ荷役をするコンテナクレーン、タイヤの代わりに車輪を有しているRMGC(Rail Mounted Gantry Crane )などのクレーンに測定システムが採用されてよい。
【符号の説明】
【0057】
10…トレーラ(搬送台車)、11…シャーシ(搬送台車)、21…クレーン本体部、22…吊具、40…三次元距離検出部、53…監視部、100…クレーン、110…測定システム、C…コンテナ、GP…隙間、LP…境界位置。