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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096284
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】ドアシル及びエレベーター
(51)【国際特許分類】
   B66B 13/30 20060101AFI20230630BHJP
【FI】
B66B13/30 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211920
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 健二
(72)【発明者】
【氏名】藤村 功
【テーマコード(参考)】
3F307
【Fターム(参考)】
3F307AA02
3F307BA01
3F307BA02
3F307CD09
3F307CD12
(57)【要約】
【課題】シル溝の幅を変更する場合の作業性を改善する。
【解決手段】建屋側ドアシル206は、受け部210と、第1シル溝形成部220と、第2シル溝形成部230とを備える。受け部210は、建築構造物に設けられたエレベーター1の出入り口201aに固定される。第1シル溝形成部220は、受け部210に固定され、シル溝206aの第1壁部を形成する。第2シル溝形成部230は、受け部210に着脱可能に固定され、シル溝206aの第1壁部に対向する第2壁部を形成する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築構造物に設けられたエレベーターの出入り口又は乗りかごに固定される受け部と、
前記受け部に固定され、シル溝の第1壁部を形成する第1シル溝形成部と、
前記受け部に着脱可能に固定され、前記シル溝の前記第1壁部に対向する第2壁部を形成する第2シル溝形成部と、を備える
ドアシル。
【請求項2】
前記第1シル溝形成部は、前記シル溝の底部を形成する底面部と、前記底面部に連続して前記シル溝の前記第1壁部を形成する第1溝壁面部と、前記第1溝壁面部に略直交する第1上面部を有し、
前記第2シル溝形成部は、前記シル溝の前記第2壁部を形成する第2溝壁面部と、前記第2溝壁面部に略直交する第2上面部を有する
請求項1に記載のドアシル。
【請求項3】
前記第2溝壁面部は、前記第2上面部と反対側に端面を有し、
前記第2溝壁面部の端面は、前記第1シル溝形成部の前記底面部に当接する
請求項2に記載のドアシル。
【請求項4】
前記第1シル溝形成部は、前記底面部、前記第1溝壁面部、及び前記第1上面部を覆って体裁面を形成する表面材を有する
請求項2又は3に記載のドアシル。
【請求項5】
前記表面材及び前記第2シル溝形成部は、同じ板厚の板金を折り曲げ加工して形成されている
請求項4に記載のドアシル。
【請求項6】
前記受け部は、前記第1シル溝形成部の前記底面部を支持する第1支持部と、前記第2シル溝形成部の前記第2上面部を支持する第2支持部を有する
請求項2に記載のドアシル。
【請求項7】
前記第1シル溝形成部は、前記受け部にねじを用いて固定される
請求項1~6のいずれか1項に記載のドアシル。
【請求項8】
建築構造物に設けられた昇降路内に昇降移動して、前記建築構造物の各階に設けられた出入り口に対向する位置に停止する乗りかごと、
前記出入り口又は前記乗りかごに取り付けられたドアシルと、を有するエレベーターにおいて、
前記ドアシルは、
前記出入り口に固定される受け部と、
前記受け部に固定され、シル溝の第1壁面を形成する第1シル溝形成部と、
前記受け部に着脱可能に固定され、前記シル溝の第2壁面を形成する第2シル溝形成部と、を備える
エレベーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアシル、及びこのドアシルを備えたエレベーターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
エレベーターの乗りかごには、人や荷物が出入りする開口部と、開口部を開閉するかごドアが設けられている。一方、建築構造物の各階には、乗りかごの開口部が対向する出入り口と、出入り口を開閉する乗り場ドアが設けられている。そして、乗りかご開口部や建築構造物の出入り口には、ドアシル(敷居)が設けられている。ドアシルは、ドアの開閉方向への移動をガイドするシル溝を有している。
【0003】
近年、車いすの前輪がシル溝に入り込まないように、シル溝の幅を狭くすることが求められている。また、シル溝の幅は、国や地域の規格に応じて変更されることがある。そのため、既に設置されたエレベーターのドアシルを、シル溝の幅が異なる新しいドアシルに交換する場合がある。
【0004】
特許文献1には、エレベーターに使用されている戸開閉装置の戸の脚部を案内する敷居(ドアシル)が記載されている。この特許文献1に記載された敷居は、断面コ字状で長尺の複数個の敷居本体と、敷居溝幅に対応した幅で短尺の複数個のスペーサとを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5-319755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載された敷居(ドアシル)では、スペーサの幅を変更することにより、敷居溝の幅を変更することが可能である。しかし、スペーサの幅を変更すると、敷居全体の幅が変更されてしまう。そのため、スペーサと敷居本体を建築構造物から取り外して、新しい敷居を取り付けることになる。したがって、敷居溝の幅を変更する場合は、一体的に形成された敷居を交換する場合と変わらない作業が必要であった。
【0007】
本発明の目的は、上記の問題点を考慮し、シル溝の幅を変更する場合の作業性を改善することができるドアシル及びエレベーターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明のドアシルは、受け部と、第1シル溝形成部と、第2シル溝形成部とを備える。受け部は、建築構造物に設けられたエレベーターの出入り口に固定される。第1シル溝形成部は、受け部に固定され、シル溝の第1壁面を形成する。第2シル溝形成部は、受け部に着脱可能に固定され、シル溝の第2壁面を形成する。
【0009】
また、本発明のエレベーターは、建築構造物に設けられた昇降路内に昇降移動して、建築構造物の各階に設けられた出入り口に対向する位置に停止する乗りかごと、出入り口に取り付けられた上述のドアシルと、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のドアシル及びエレベーターによれば、シル溝の幅を変更する場合の作業性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係るエレベーターを示す概略構成図である。
図2】一実施形態に係る乗りかごを示す斜視図である。
図3】一実施形態に係るエレベーターのドアシルを示す平面図である。
図4】一実施形態に係るエレベーターのドアシルを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のドアシル及びエレベーターの実施形態例について、図1図4を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0013】
1.一実施形態
[エレベーターの構成]
まず、本発明の一実施形態に係るエレベーターの構成について、図1を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係るエレベーターの構成例を示す概略構成図である。
【0014】
図1に示すように、エレベーター1は、建築構造物内に形成された昇降路110に設けられている。エレベーター1は、昇降路110内を昇降動作し、人や荷物を載せる乗りかご120と、ロープ170と、釣合おもり140と、巻上機100と、を備えている。また、エレベーター1は、建築構想物の後述する出入り口201aに取り付けられた建屋側ドアシル206を備えている。
【0015】
昇降路110の頂部には、機械室160が設けられている。巻上機100は、機械室160に配置され、ロープ170を巻き掛けることにより乗りかご120を昇降させる。また、巻上機100の近傍には、反らせ車150が設けられている。反らせ車150には、ロープ170が装架される。
【0016】
ロープ170の軸方向の一端には、乗りかご120が取り付けられている。ロープ170の軸方向の他端には、釣合おもり140が取り付けられている。そのため、乗りかご120は、ロープ170を介して釣合おもり140と連結される。そして、巻上機100が駆動すると、乗りかご120と釣合おもり140が昇降動作する。
【0017】
また、建築構造物における乗りかご120が停止する乗り場201には、人や荷物が出入りする出入り口201aが設けられている。さらに、建築構造物には、出入り口201aを開閉する建屋側ドア205が設けられている。
【0018】
建屋側ドア205は、出入り口201aの上下方向の上端部に設置された建屋側ドアユニット202により開閉可能に支持されている。また、出入り口201aの上下方向の下端部には、建屋側ドアシル206が取り付けられている。建屋側ドアシル206のシル溝206a(図3参照)には、建屋側ドア205の下端部が摺動可能に係合する。
【0019】
[乗りかごの構成]
次に、図2及び図3を参照して乗りかご120の構成について説明する。
図2は、乗りかご120を示す斜視図、図3は、エレベーター1のドアシルを示す平面図である。
【0020】
図2に示すように、乗りかご120は、かご室121と、ドアユニット122と、かご室121を支持するかご枠123と、2つの固定ブラケット135A、135Bとを有している。
【0021】
かご室121は、中空の略直方体状に形成されている。かご室121は、正面パネル141と、一対の側面パネル142、142と、天井パネル143と、背面パネル144と、不図示の底面パネルとを有している。底面パネルと天井パネル143は、上下方向で対向する。
【0022】
底面パネルの周囲には、正面パネル141、一対の側面パネル142、142、背面パネル144が立設している。正面パネル141は、背面パネル144と対向し、一対の側面パネル142、142は、互いに対向して配置されている。また、正面パネル141には、人や荷物が出入りする開口部141a(図3参照)が形成されている。
【0023】
正面パネル141の前方には、開口部141aを開閉するかご側ドア125が設けられている。また、正面パネル141の上下方向の上部には、ドアユニット122が配置されている。ドアユニット122は、かご枠123に固定されている。ドアユニット122は、かご側ドア125を移動可能に支持する。また、正面パネル141の上下方向の下端部には、かご側ドアシル126が配置されている。
【0024】
かご室121は、かご枠123によって囲われている。かご枠123は、一対の前柱123a、123aを有している。前柱123a、123aは、正面パネル141における上下方向と直交する幅方向の両側に配置されている。また、幅方向は、かご側ドア125の移動方向と平行である。前柱123a、123aには、固定ブラケット135A、135Bが固定されている。
【0025】
固定ブラケット135Aは、2つの前柱123a、123aのうち乗りかご120の幅方向の一端部に配置された前柱123aに固定される。また、固定ブラケット135Bは、2つの前柱123a、123aのうち乗りかご120の幅方向の他端部に配置された前柱123aに固定される。
【0026】
[ドアシルの構成]
次に、建屋側ドアシル206の構成について、図3及び図4を参照して説明する。
図4は、建屋側ドアシル206を示す側面図である。
【0027】
図3に示すように、建屋側ドアシル206は、長尺状の部材である。建屋側ドアシル206の長手方向は、建屋側ドア205が移動する方向であり、建屋側ドアシル206の幅方向は、建屋側ドア205とかご側ドア125が対向する方向である。建屋側ドアシル206は、長手方向に延びるシル溝206aを有している。シル溝206aには、建屋側ドア205の下端部が摺動可能に係合する。シル溝206aは、建屋側ドア205の移動を案内する。
【0028】
図4に示すように、建屋側ドアシル206は、建築構造物に設けられた出入り口201a(図1参照)に固定される受け部210と、受け部210に接続された第1シル溝形成部220と、受け部210に着脱可能に接続される第2シル溝形成部230とを有する。
【0029】
受け部210は、板金を折り曲げ加工することにより形成されている。受け部210は、第1支持部211と、第1支持部211に略垂直に交わる壁板部212,213と、壁板部212略垂直に交わる第2支持部214とを有する。
【0030】
第1支持部211は、上下方向に略垂直な平面を有する長方形の板体からなる。第1支持部211の短辺の長さは、建屋側ドアシル206の幅方向の長さと略同じであり、第1支持部211の長辺の長さは、建屋側ドアシル206の長手方向の長さと略同じである。第1支持部211は、不図示のブラケットを介して出入り口201aの下端部に固定されている。また、第1支持部211の上面は、第1シル溝形成部220を支持する。
【0031】
壁板部212は、第1支持部211におけるかごドア側の長辺に連続しており、下方に突出している。壁板部212は、建屋側ドア205とかご側ドア125が対向する方向に略垂直な平面を有する長方形の板体からなる。壁板部213は、第1支持部211における建築構造物側の長辺に連続しており、上方に突出している。壁板部213は、建屋側ドア205とかご側ドア125が対向する方向に略垂直な平面を有する長方形の板体からなる。
【0032】
第2支持部214は、壁板部213に連続しており、水平方向に突出している。第2支持部214は、上下方向に略垂直な平面を有する長方形の板体からなる。第2支持部214の下面は、所定の距離を空けて第1支持部211の上面と対向する。第2支持部214の上面は、第2シル溝形成部230を支持する。
【0033】
第1シル溝形成部220は、受け部210に固定されるベース240と、ベース240に接合される表面材250とを有する。表面材250は、第1シル溝形成部220の体裁面を形成する。
【0034】
ベース240は、受け部210と同じ厚みの板金を折り曲げ加工することにより形成されている。ベース240は、例えば、ステンレス鋼板から形成される。
【0035】
ベース240は、第1被支持部241と、第1被支持部241に略垂直に交わる壁板部242と、壁板部242に略垂直に交わる水平板部243とを有する。さらに、ベース240は、水平板部243に略垂直に交わる溝壁部244と、溝壁部244に略垂直に交わる第2被支持部245とを有する。
【0036】
第1被支持部241は、下方向に略垂直な平面を有する長方形の板体からなる。第1被支持部241は、受け部210の第1支持部211に支持されている。また、第1被支持部241は、第1支持部211にねじを用いて固定されている。
【0037】
壁板部242は、第1被支持部241におけるかごドア側の長辺に連続しており、上方に突出している。壁板部242は、受け部210における壁板部212の上方に位置する。壁板部242は、建屋側ドア205とかご側ドア125が対向する方向に略垂直な平面を有する長方形の板体からなる。
【0038】
水平板部243は、本発明に係る第1上面部に対応する。水平板部243は、壁板部242に連続しており、建築構造物側に突出している。水平板部243は、上下方向に略垂直な平面を有する長方形の板体からなる。水平板部243の下面は、適当な距離を空けて第1被支持部241の上面と対向する。また、水平板部243の上面は、受け部210における第2支持部214の上面と同じ高さに位置している。
【0039】
溝壁部244は、本発明に係る第1溝壁面部に対応する。溝壁部244は、シル溝206aの第1壁部を形成する。溝壁部244は、水平板部243に連続しており、下方に突出している。溝壁部244は、建屋側ドア205とかご側ドア125が対向する方向に略垂直な平面を有する長方形の板体からなる。溝壁部244は、建屋側ドア205とかご側ドア125が対向する方向において壁板部242と所定の距離を空けて対向している。
【0040】
第2被支持部245は、本発明に係る底面部に対応する。第2被支持部245は、シル溝206aの底部を形成する。第2被支持部245は、溝壁部244に連続しており、建築構造物側に突出している。第2被支持部245は、上下方向に略垂直な平面を有する長方形の板体からなる。第2被支持部245の一部は、受け部210の第2支持部214に適当な距離を空けて対向する。第2被支持部245は、受け部210の第1支持部211に支持されている。
【0041】
表面材250は、ベース240及び受け部210とよりも厚みの薄い板金を折り曲げ加工することにより形成されている。表面材250は、例えば、ステンレス鋼板から形成される。
【0042】
表面材250は、壁板部242に対面する側面部251と、水平板部243に対面する上面部252と、溝壁部244に対面する溝壁面部253と、第2被支持部245に対面する底面部254と、立ち上がり部255とを有する。表面材250は、例えば、接着材を用いてベース240に接合されている。
【0043】
側面部251は、建屋側ドアシル206におけるかごドア側の側面を形成する。上面部252は、側面部251に連続しており、建築構造物側に突出している。上面部252は、建屋側ドアシル206の上面を形成する。溝壁面部253は、上面部252に連続しており、下方に突出している。溝壁面部253は、シル溝206aの壁面を形成する。底面部254は、溝壁面部253に連続しており、建築構造物側に突出している。底面部254は、シル溝206aの底面を形成する。
【0044】
表面材250の立ち上がり部255は、底面部254に連続して上方に突出する。立ち上がり部255は、建屋側ドア205とかご側ドア125が対向する方向において、溝壁面部253と対向する。立ち上がり部255における溝壁面部253に対向する面と、受け部210における第2支持部214の端面は、同一仮想平面上に位置する。立ち上がり部255は、シル溝206aに入り込んだ液体が受け部210側へ流れることを防ぐ。
【0045】
第2シル溝形成部230は、表面材250と同じ厚みの板金を折り曲げ加工することにより形成されている。第2シル溝形成部230は、側面部231と、側面部231に略垂直に交わる上面部232と、上面部232に略垂直に交わる溝壁面部233とを有する。
【0046】
側面部231は、壁板部213に対面する。側面部231は、壁板部213にねじを用いて固定されている。上面部232は、本発明に係る第2上面部に対応する。上面部232は、第2支持部214の上面に支持されている。溝壁面部233は、本発明に係る第2溝壁面部に対応する。溝壁面部233は、建屋側ドア205とかご側ドア125が対向する方向において、表面材250の溝壁面部253と所定の距離を空けて対向する。
【0047】
溝壁面部233と溝壁面部253との間の距離は、シル溝206aの幅である。本発明に係る第2シル溝形成部230は、複数種類設けられている。複数種類の第2シル溝形成部230は、上面部232における建屋側ドア205とかご側ドア125が対向する方向の長さが異なる。これにより、第2シル溝形成部230を交換することで、シル溝206aの幅を容易に変更することができる。その結果、シル溝206aの幅を変更する場合の作業性を改善することができる。
【0048】
上面部232における建屋側ドア205とかご側ドア125が対向する方向の長さが最も短い第2シル溝形成部230を、受け部210の壁板部213に取り付けた場合は、シル溝206aの幅の長さが最も長くなる。この場合は、溝壁面部233が、第2支持部214の端面及び立ち上がり部255に接触する。
【0049】
また、溝壁面部233の端面は、表面材250の底面部254に当接する。これにより、第2シル溝形成部230が上方から押されても、ガタつかないようにすることができる。その結果、溝壁面部233と第2被支持部245が衝突して騒音が発生することを防止することができる。
【0050】
なお、ここまで建築構造物に取り付けられる建屋側ドアシル206の構成について説明した。しかし、乗りかご120に設けられるかご側ドアシル126についても、建屋側ドアシル206と同様の構成にすることができる。
【0051】
2.まとめ
以上説明したように、上述した一実施形態に係る建屋側ドアシル206は、受け部210と、第1シル溝形成部220と、第2シル溝形成部230とを備える。受け部210は、建築構造物に設けられたエレベーター1の出入り口201aに固定される。第1シル溝形成部220は、受け部210に固定され、シル溝206aの第1壁部を形成する。第2シル溝形成部230は、受け部210に着脱可能に固定され、シル溝206aの第1壁部に対向する第2壁部を形成する。
これにより、第2シル溝形成部230を交換することにより、シル溝206aの第1壁部と第2壁部との間の距離(シル溝206aの幅の長さ)を容易に変更することができる。その結果、シル溝206aの幅を変更する場合の作業性を改善することができる。
【0052】
また、上述した一実施形態に係る第1シル溝形成部220は、シル溝206aの底部を形成する第2被支持部245(底面部)と、第2被支持部245に連続してシル溝206aの第1壁部を形成する溝壁部244(第1溝壁面部)と、溝壁部244に略直交する水平板部243(第1上面部)を有する。また、第2シル溝形成部230は、シル溝206aの第2壁部を形成する溝壁面部233(第2溝壁面部)と、溝壁面部233に略直交する上面部232(第2上面部)を有する。
これにより、第1シル溝形成部220と第2シル溝形成部230により、建屋側ドアシル206の上面とシル溝206aを形成することができる。その結果、部品点数の増大を抑制しながら、シル溝206aの幅を容易に変更可能な建屋側ドアシル206を実現することができる。
【0053】
また、上述した一実施形態に係る溝壁面部233(第2溝壁面部)は、上面部232(第2上面部)と反対側に端面を有する。そして、溝壁面部233の端面は、第1シル溝形成部220の第2被支持部245(底面部)に当接する。
これにより、第2シル溝形成部230が上方から押されても、ガタつかないようにすることができる。その結果、溝壁面部233と第2被支持部245が衝突して騒音が発生することを防止することができる。
【0054】
また、上述した一実施形態に係る第1シル溝形成部220は、第2被支持部245(底面部)、溝壁部244(第1溝壁面部)、及び水平板部243(第1上面部)を覆って体裁面を形成する表面材250を有する。
これにより、第2被支持部245、溝壁部244、水平板部243を、剛性を確保すると材料で形成し、表面材250を、剛性の確保が難しいが見栄えの良い材料で形成することができる。
【0055】
また、上述した一実施形態に係る表面材250及び第2シル溝形成部230は、同じ板厚の板金を折り曲げ加工して形成されている。
これにより、建屋側ドアシル206の体裁面を同じ材料で形成することができる。その結果、建屋側ドアシル206を、全体的に統一感のあるものにすることができ、見栄えをよくすることができる。
【0056】
また、上述した一実施形態に係る受け部210は、第1シル溝形成部220の第2被支持部245(底面部)を支持する第1支持部211と、第2シル溝形成部230の上面部232(第2上面部)を支持する第2支持部214を有する。
このように、第2シル溝形成部230の上面部232を第2支持部214が支持することで、剛性を確保できる材料で第2シル溝形成部230を形成する必要が無い。その結果、第2シル溝形成部230を、剛性の確保が難しいが見栄えの良い材料で形成することができる。また、第2シル溝形成部230を簡単な形状にすることができる。したがって、第2シル溝形成部230を、受け部210に対する着脱が容易な形状にすることができる。
【0057】
また、上述した一実施形態に係る第1シル溝形成部220は、受け部210にねじを用いて固定されている。
これにより、第1シル溝形成部220を受け部210に溶接により固定する場合よりも、建屋側ドアシル206の製造コストを削減することができる。
【0058】
また、上述した一実施形態に係るエレベーター1は、乗りかご120と、建屋側ドアシル206(ドアシル)とを有する。乗りかご120は、建築構造物に設けられた昇降路110内に昇降移動して、建築構造物の各階に設けられた出入り口201aに対向する位置に停止する。建屋側ドアシル206は、出入り口201a(又は乗りかご120でもよい)に取り付けられている。そして、建屋側ドアシル206は、受け部210と、第1シル溝形成部220と、第2シル溝形成部230とを備える。受け部210は、建築構造物に設けられたエレベーター1の出入り口201aに固定される。第1シル溝形成部220は、受け部210に固定され、シル溝206aの第1壁部を形成する。第2シル溝形成部230は、受け部210に着脱可能に固定され、シル溝206aの第1壁部に対向する第2壁部を形成する。
これにより、第2シル溝形成部230を交換することにより、シル溝206aの第1壁部と第2壁部との間の距離(シル溝206aの幅の長さ)を容易に変更することができる。その結果、シル溝206aの幅を変更する場合の作業性を改善することができる。
【0059】
以上、本発明のドアシル及びエレベーターの実施形態について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明のドアシル及びエレベーターは、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。また、上述した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0060】
例えば、上述した一実施形態では、第1シル溝形成部220が表面材250を有する構成にした。しかし、本発明に係る第1シル溝形成部としては、ベース240のみで構成されていてもよい。この場合は、ベース240における水平板部243の上面を、第2シル溝形成部230における上面部232の上面と同じ高さにするとよい。
【0061】
また、上述した一実施形態では、かご側ドア125及び建屋側ドア205として両開きのドアを適用した例を説明した、しかし、本発明に係るかご側ドア及び建屋側ドアとしては、片側開きのドアを適用してもよい。
【0062】
また、上述した一実施形態に係るエレベーターは、昇降路内に機械室160を設けている。しかし、本発明に係るエレベーターとしては、昇降路内に機械室を設けない、いわゆる機械室レスエレベーターであってもよい。
【0063】
なお、本明細書において、「平行」及び「直交」等の単語を使用したが、これらは厳密な「平行」及び「直交」のみを意味するものではなく、「平行」及び「直交」を含み、さらにその機能を発揮し得る範囲にある、「略平行」や「略直交」の状態であってもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…エレベーター、 100…巻上機、 110…昇降路、 120…乗りかご、 121…かご室、 122…ドアユニット、 123…かご枠、 125…かご側ドア、 126…かご側ドアシル、 126a…シル溝、 150…反らせ車、 160…機械室、 170…ロープ、 201…乗り場、 201a…出入り口、 202…建屋側ドアユニット、 205…建屋側ドア、 206…建屋側ドアシル、 206a…シル溝、 210…受け部、 211…第1支持部、 212,213…壁板部、 214…第2支持部、 220…第1シル溝形成部、 230…第2シル溝形成部、 231…側面部、 232…上面部(第2上面部)、 233…溝壁面部(第2溝壁面部)、 240…ベース、 241…第1被支持部、 242…壁板部、 243…水平板部(第1上面部)、 244…溝壁部(第1溝壁面部)、 245…第2被支持部(底面部)、 250…表面材、 251…側面部、 252…上面部、 253…溝壁面部、 254…底面部、 255…立ち上がり部
図1
図2
図3
図4