(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096289
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】木製ユニット家屋
(51)【国際特許分類】
E04B 1/348 20060101AFI20230630BHJP
【FI】
E04B1/348 J
E04B1/348 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211925
(22)【出願日】2021-12-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 主催者名 三菱地所株式会社 開催日 令和3年8月1日
(71)【出願人】
【識別番号】591115006
【氏名又は名称】三菱地所株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108442
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義孝
(72)【発明者】
【氏名】海老澤 渉
(57)【要約】
【課題】自然素材である木質系(木材)素材が有する美観や心地よさ、暖かさ、安らぎを居住者や来客者に与える天井面や壁面、床面を作ることができる木製ユニット家屋を提供する。
【解決手段】木製ユニット家屋10Aは、前後方向へ長い略矩形に成形された所定面積の木質系天井プレート11aと、前後方向へ長い略矩形に成形された所定面積の木質系床プレート12aと、天井プレート11aと床プレート12aとの間に位置し、略矩形に成形された所定面積の木質系第1~第3壁パネル13a~13cとから形成されている。木製ユニット家屋10Aには、天井プレート11aと床プレート12aと第1~第3壁パネル13a~13cとに囲繞された前後方向へ長い所定容積の内部居住空間44が画成されているとともに、第3壁パネル13cの幅方向反対側に位置する所定面積の第1開口スペース52が画成されている。木製ユニット家屋10Aは、所定の設置箇所へ運搬されて設置箇所に建て付けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向又は幅方向へ長い略矩形に成形されて水平方向へ展開する所定面積の木質系天井プレートと、前後方向又は幅方向へ長い略矩形に成形されて水平方向へ展開する所定面積の木質系床プレートと、前記木質系天井プレートと前記木質系床プレートとの間に位置し、略矩形に成形されて垂直方向へ展開する所定面積の木質系壁パネルとから形成され、
前記木質系壁パネルの前後方向又は幅方向へ延びる上端部が、前記木質系天井プレートの端縁部に所定の連結手段によって連結され、前記木質系壁パネルの前後方向又は幅方向へ延びる下端部が、前記木質系床プレートの端縁部に所定の連結手段によって連結され、前記木質系天井プレートと前記木質系床プレートと前記木質系壁パネルとに囲繞された前後方向又は幅方向へ長い所定容積の内部居住空間が画成され、所定の設置箇所へ運搬されて該設置箇所に建て付けられることを特徴とする木製ユニット家屋。
【請求項2】
前記木質系壁パネルが、前後方向へ離間対向して幅方向へ延びる木質系第1壁パネル及び木質系第2壁パネルと、前記木質系第1壁パネルの第1側縁部と前記木質系第2壁パネルの第1側縁部との間に位置して前後方向へ延びる木質系第3壁パネルとから形成され、前記木質系第1壁パネルの幅方向へ延びる第1上端部が、前記木質系天井プレートの幅方向へ延びる第1端縁部に所定の連結手段によって連結され、前記木質系第1壁パネルの幅方向へ延びる第1下端部が、前記木質系床プレートの幅方向へ延びる第1端縁部に所定の連結手段によって連結され、前記木質系第2壁パネルの幅方向へ延びる第2上端部が、前記木質系天井プレートの幅方向へ延びる第2端縁部に所定の連結手段によって連結され、前記木質系第2壁パネルの幅方向へ延びる第2下端部が、前記木質系床プレートの幅方向へ延びる第2端縁部に所定の連結手段によって連結され、前記木質系第3壁パネルの幅方向へ延びる第3上端部が、前記木質系天井プレートの幅方向へ延びる第3端縁部に所定の連結手段によって連結され、前記木質系第3壁パネルの幅方向へ延びる第3下端部が、前記木質系床プレートの幅方向へ延びる第3端縁部に所定の連結手段によって連結され、前記木製ユニット家屋が、前記木質系第3壁パネルの幅方向反対側に位置して該木質系第3壁パネルと略同面積の第1開口スペースを有する請求項1に記載の木製ユニット家屋。
【請求項3】
前記木質系第1壁パネルの上下方向へ延びる第1側縁部が、前記木質系第3壁パネルの上下方向へ延びる第1側縁部に所定の連結手段によって連結され、前記木質系第2壁パネルの上下方向へ延びる第1側縁部が、前記木質系第3壁パネルの上下方向へ延びる第2側縁部に所定の連結手段によって連結されている請求項2に記載の木製ユニット家屋。
【請求項4】
前記木質系壁パネルが、前後方向へ離間対向して幅方向へ延びる木質系第1壁パネル及び木質系第2壁パネルと、前記第1壁パネルの第2側縁部と前記木質系第2壁パネルの第2側縁部との間に位置して前後方向へ延びる木質系第4壁パネルとから形成され、前記木質系第1壁パネルの幅方向へ延びる第1上端部が、前記木質系天井プレートの幅方向へ延びる第1端縁部に所定の連結手段によって連結され、前記木質系第1壁パネルの幅方向へ延びる第1下端部が、前記木質系床プレートの幅方向へ延びる第1端縁部に所定の連結手段によって連結され、前記木質系第2壁パネルの幅方向へ延びる第2上端部が、前記木質系天井プレートの幅方向へ延びる第2端縁部に所定の連結手段によって連結され、前記木質系第2壁パネルの幅方向へ延びる第2下端部が、前記木質系床プレートの幅方向へ延びる第2端縁部に所定の連結手段によって連結され、前記木質系第4壁パネルの幅方向へ延びる第4上端部が、前記木質系天井プレートの幅方向へ延びる第4端縁部に所定の連結手段によって連結され、前記木質系第4壁パネルの幅方向へ延びる第4下端部が、前記木質系床プレートの幅方向へ延びる第4端縁部に所定の連結手段によって連結され、前記木製ユニット家屋が、前記木質系第4壁パネルの幅方向反対側に位置して該木質系第4壁パネルと略同面積の第2開口スペースを有する請求項1に記載の木製ユニット家屋。
【請求項5】
前記第1壁パネルの上下方向へ延びる第2側縁部が、前記第4壁パネルの上下方向へ延びる第1側縁部に所定の連結手段によって連結され、前記第2壁パネルの上下方向へ延びる第2側縁部が、前記第4壁パネルの上下方向へ延びる第2側縁部に所定の連結手段によって連結されている請求項4に記載の木製ユニット家屋。
【請求項6】
前記木質系壁パネルが、前後方向へ離間対向して幅方向へ延びる木質系第1壁パネル及び木質系第2壁パネルから形成され、前記木質系第1壁パネルの幅方向へ延びる第1上端部が、前記木質系天井プレートの幅方向へ延びる第1端縁部に所定の連結手段によって連結され、前記木質系第1壁パネルの幅方向へ延びる第1下端部が、前記木質系床プレートの幅方向へ延びる第1端縁部に所定の連結手段によって連結され、前記木質系第2壁パネルの幅方向へ延びる第2上端部が、前記木質系天井プレートの幅方向へ延びる第2端縁部に所定の連結手段によって連結され、前記木質系第2壁パネルの幅方向へ延びる第2下端部が、前記木質系床プレートの幅方向へ延びる第2端縁部に所定の連結手段によって連結され、前記木製ユニット家屋が、前記木質系第1壁パネルの第1側縁部と前記木質系第2壁パネルの第1側縁部との間に位置する所定面積の第1開口スペースと、前記木質系第1壁パネルの第2側縁部と前記木質系第2壁パネルの第2側縁部との間に位置し、前記第1開口スペースから幅方向へ離間対向する所定面積の第2開口スペースとを有する請求項1に記載の木製ユニット家屋。
【請求項7】
前記木質系天井プレートと前記木質系床プレートとが、CLTから作られ、前記木質系壁パネルが、ツーバイフォー材から作られている請求項1ないし請求項6いずれかに記載の木製ユニット家屋。
【請求項8】
前記ツーバイフォー材から作られた前記木質系壁パネルが、前後方向又は幅方向へ延びる頭つなぎ及び上枠と、前記上枠から上下方向下方に位置して前後方向又は幅方向へ延びる下枠と、前記上下枠の間に位置して上下方向へ延びる第1縦枠と、前記第1縦枠から前後方向又は幅方向へ離間対向して上下方向へ延びる第2縦枠と、前記第1及び第2建枠の間に位置して上下方向へ延びていて前後方向又は幅方向へ離間して並ぶ複数のスタッドとから形成され、所定の断熱材が、前記上下枠と前記第1及び第2縦枠とそれらスタッドとに囲繞された収容空間に前記木質系壁パネルの外部の側から収容されて内断熱を形成している請求項7に記載の木製ユニット家屋。
【請求項9】
所定の外壁仕上げ材と所定の防水材とが、前記収容空間に断熱材を収容した前記上下枠と前記第1及び第2縦枠とそれらスタッドとの外端面の側に設置されている請求項8に記載の木製ユニット家屋。
【請求項10】
前記所定の連結手段が、ホールダウン金物であり、前記CLTから作られた木質系天井プレートの端縁部と前記ツーバイフォー材から作られた木質系壁パネルの上端部とが、前記ホールダウン金物によって連結され、前記CLTから作られた木質系床プレートの端縁部と前記ツーバイフォー材から作られた木質系壁パネルの下端部とが、前記ホールダウン金物によって連結されている請求項1ないし請求項9いずれかに記載の木製ユニット家屋。
【請求項11】
前記所定の連結手段が、鉛直ビスと斜めビスとであり、前記CLTから作られた木質系天井プレートの端縁部と前記ツーバイフォー材から作られた木質系壁パネルの上端部とが、前記鉛直ビスと前記斜めビスとのうちの少なくとも該斜めビスによって連結され、前記CLTから作られた木質系床プレートの端縁部と前記ツーバイフォー材から作られた木質系壁パネルの下端部とが、前記鉛直ビスと前記斜めビスとのうちの少なくとも該斜めビスによって連結されている請求項1ないし請求項10いずれかに記載の木製ユニット家屋。
【請求項12】
前記CLTから作られた木質系床プレートが、前記設置箇所に作られた基礎立上がりに敷設された土台に前記鉛直ビスと前記斜めビスとのうちの少なくとも該斜めビスによって連結されている請求項11に記載の木製ユニット家屋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の設置箇所に建て付けられる木製ユニット家屋に関する。
【背景技術】
【0002】
略矩形状の天井部材と、その天井部材の長手方向両端部に一端部が回動可能に連結された1対の天井支持部材と、長手方向両端部にそれら両天井支持部材の他端部が固定される略矩形状の床部材とを備え、天井支持部材が天井部材の幅方向へ所定寸法離隔した一対の柱部を有し、床部材が幅方向へ所定寸法離隔した状態で床部材の前後方向へ伸縮する一対の床大梁を有し、天井支持部材の他端部を構成する柱部の固定側端部に張出連結板が設けられ、天井部材と各天井支持部材と床部材とを水平に重ね合わせた折り畳み状態において、張出連結板が水平方向に配置された柱部の固定側端部から上方に向けて張り出し、天井部材の下面に開口した収納部内に収納され、天井部材と各天井支持部材と床部材とを水平に重ね合わせた折り畳み状態から、前記天井部材を吊り上げ、両天井支持部材を起立状態にまで回動させて組み立てられる折り畳み式組立家屋が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示の折り畳み式組立家屋の天井部材は、鉄骨製の天井フレームと、天井フレームの上面に取り付けられるカラー鋼板製の屋根材と、天井フレームの下面に取り付けられる複数枚の天井パネルとから形成されている。天井パネルは、カラー鋼板や化粧合板、断熱材、防湿シートから作られている。天井支持部材は、鉄骨製の天井支持フレームと、それら天井支持フレームの内側に嵌め込まれる妻側壁面パネルとから形成されている。妻側壁面パネルは、カラー鋼板製の壁材と、壁材の内側に建て込まれた引戸障子や窓枠とから作られている。
【0005】
床部材は、鉄骨製の床フレームと、床フレームの上面に取り付けられる床板とから形成されている。床フレームは、幅方向へ離隔対向した状態で床部材の前後方向へ伸長する一対の床大梁と、それら両床大梁の間部どうしを連結する複数本の床小梁と、それら床大梁の両端部分どうしを連結する一対の伸縮梁と、床小梁と床大梁とを連結する補強梁とを有する。折り畳み式組立家屋では、それら伸縮梁の長さ寸法を調整することによって両床大梁の両端部どうしの間隔を調整することができる。
【0006】
折り畳み式組立家屋は、鉄骨製の天井フレームや鉄骨製の天井支持フレーム、カラー鋼板製の壁材、鉄骨製の床フレームを含み、木質系(木材)素材が有する魅力的なデザイン(意匠)の天井面や壁面、床面にすることができず、見場のよい天井面や壁面、床面を作ることができないとともに、自然素材である木質系素材が有する美観や心地よさ、暖かさ、安らぎを居住者や来客者に与える天井面や壁面、床面を作ることができない。又、持続可能な循環型資源である木質系素材がふんだんに使用されることはなく、森林資源を有効活用することができず、CO2の削減に寄与することはなく、環境負荷を低減することができない。
【0007】
本発明の目的は、木質系(木材)素材が有する魅力的なデザイン(意匠)の天井面や壁面、床面にすることができ、見場のよい天井面や壁面、床面を作ることができるとともに、自然素材である木質系素材が有する美観や心地よさ、暖かさ、安らぎを居住者や来客者に与える天井面や壁面、床面を作ることができる木製ユニット家屋を提供することにある。本発明の他の目的は、持続可能な循環型資源である木質系素材をふんだんに使用し、森林資源を有効活用することができ、CO2の削減に寄与することで環境負荷を低減することができる木製ユニット家屋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための本発明の木製ユニット家屋は、前後方向又は幅方向へ長い略矩形に成形されて水平方向へ展開する所定面積の木質系天井プレートと、前後方向又は幅方向へ長い略矩形に成形されて水平方向へ展開する所定面積の木質系床プレートと、木質系天井プレートと木質系床プレートとの間に位置し、略矩形に成形されて垂直方向へ展開する所定面積の木質系壁パネルとから形成され、木質系壁パネルの前後方向又は幅方向へ延びる上端部が、木質系天井プレートの端縁部に所定の連結手段によって連結され、木質系壁パネルの前後方向又は幅方向へ延びる下端部が、木質系床プレートの端縁部に所定の連結手段によって連結され、木質系天井プレートと木質系床プレートと木質系壁パネルとに囲繞された前後方向又は幅方向へ長い所定容積の内部居住空間が画成され、所定の設置箇所へ運搬されて設置箇所に建て付けられることを特徴とする。
【0009】
本発明の木製ユニット家屋の一例としては、木質系壁パネルが、前後方向へ離間対向して幅方向へ延びる木質系第1壁パネル及び木質系第2壁パネルと、木質系第1壁パネルの第1側縁部と木質系第2壁パネルの第1側縁部との間に位置して前後方向へ延びる木質系第3壁パネルとから形成され、木質系第1壁パネルの幅方向へ延びる第1上端部が、木質系天井プレートの幅方向へ延びる第1端縁部に所定の連結手段によって連結され、木質系第1壁パネルの幅方向へ延びる第1下端部が、木質系床プレートの幅方向へ延びる第1端縁部に所定の連結手段によって連結され、木質系第2壁パネルの幅方向へ延びる第2上端部が、木質系天井プレートの幅方向へ延びる第2端縁部に所定の連結手段によって連結され、木質系第2壁パネルの幅方向へ延びる第2下端部が、木質系床プレートの幅方向へ延びる第2端縁部に所定の連結手段によって連結され、木質系第3壁パネルの幅方向へ延びる第3上端部が、木質系天井プレートの幅方向へ延びる第3端縁部に所定の連結手段によって連結され、木質系第3壁パネルの幅方向へ延びる第3下端部が、木質系床プレートの幅方向へ延びる第3端縁部に所定の連結手段によって連結され、木製ユニット家屋が、木質系第3壁パネルの幅方向反対側に位置して木質系第3壁パネルと略同面積の第1開口スペースを有する。
【0010】
本発明の木製ユニット家屋の他の一例としては、木質系第1壁パネルの上下方向へ延びる第1側縁部が、木質系第3壁パネルの上下方向へ延びる第1側縁部に所定の連結手段によって連結され、木質系第2壁パネルの上下方向へ延びる第1側縁部が、木質系第3壁パネルの上下方向へ延びる第2側縁部に所定の連結手段によって連結されている。
【0011】
本発明の木製ユニット家屋の他の一例としては、木質系壁パネルが、前後方向へ離間対向して幅方向へ延びる木質系第1壁パネル及び木質系第2壁パネルと、第1壁パネルの第2側縁部と木質系第2壁パネルの第2側縁部との間に位置して前後方向へ延びる木質系第4壁パネルとから形成され、木質系第1壁パネルの幅方向へ延びる第1上端部が、木質系天井プレートの幅方向へ延びる第1端縁部に所定の連結手段によって連結され、木質系第1壁パネルの幅方向へ延びる第1下端部が、木質系床プレートの幅方向へ延びる第1端縁部に所定の連結手段によって連結され、木質系第2壁パネルの幅方向へ延びる第2上端部が、木質系天井プレートの幅方向へ延びる第2端縁部に所定の連結手段によって連結され、木質系第2壁パネルの幅方向へ延びる第2下端部が、木質系床プレートの幅方向へ延びる第2端縁部に所定の連結手段によって連結され、木質系第4壁パネルの幅方向へ延びる第4上端部が、木質系天井プレートの幅方向へ延びる第4端縁部に所定の連結手段によって連結され、木質系第4壁パネルの幅方向へ延びる第4下端部が、木質系床プレートの幅方向へ延びる第4端縁部に所定の連結手段によって連結され、木製ユニット家屋が、木質系第4壁パネルの幅方向反対側に位置して木質系第4壁パネルと略同面積の第2開口スペースを有する。
【0012】
本発明の木製ユニット家屋の他の一例としては、第1壁パネルの上下方向へ延びる第2側縁部が、第4壁パネルの上下方向へ延びる第1側縁部に所定の連結手段によって連結され、第2壁パネルの上下方向へ延びる第2側縁部が、第4壁パネルの上下方向へ延びる第2側縁部に所定の連結手段によって連結されている。
【0013】
本発明の木製ユニット家屋の他の一例としては、木質系壁パネルが、前後方向へ離間対向して幅方向へ延びる木質系第1壁パネル及び木質系第2壁パネルから形成され、木質系第1壁パネルの幅方向へ延びる第1上端部が、木質系天井プレートの幅方向へ延びる第1端縁部に所定の連結手段によって連結され、木質系第1壁パネルの幅方向へ延びる第1下端部が、木質系床プレートの幅方向へ延びる第1端縁部に所定の連結手段によって連結され、木質系第2壁パネルの幅方向へ延びる第2上端部が、木質系天井プレートの幅方向へ延びる第2端縁部に所定の連結手段によって連結され、木質系第2壁パネルの幅方向へ延びる第2下端部が、木質系床プレートの幅方向へ延びる第2端縁部に所定の連結手段によって連結され、木製ユニット家屋が、木質系第1壁パネルの第1側縁部と木質系第2壁パネルの第1側縁部との間に位置する所定面積の第1開口スペースと、木質系第1壁パネルの第2側縁部と木質系第2壁パネルの第2側縁部との間に位置し、第1開口スペースから幅方向へ離間対向する所定面積の第2開口スペースとを有する。
【0014】
本発明の木製ユニット家屋の他の一例としては、木質系天井プレートと木質系床プレートとが、CLTから作られ、木質系壁パネルが、ツーバイフォー材から作られている。
【0015】
本発明の木製ユニット家屋の他の一例としては、ツーバイフォー材から作られた木質系壁パネルが、前後方向又は幅方向へ延びる頭つなぎ及び上枠と、上枠から上下方向下方に位置して前後方向又は幅方向へ延びる下枠と、上下枠の間に位置して上下方向へ延びる第1縦枠と、第1縦枠から前後方向又は幅方向へ離間対向して上下方向へ延びる第2縦枠と、第1及び第2建枠の間に位置して上下方向へ延びていて前後方向又は幅方向へ離間して並ぶ複数のスタッドとから形成され、所定の断熱材が、上下枠と第1及び第2縦枠とそれらスタッドとに囲繞された収容空間に木質系壁パネルの外部の側から収容されて内断熱を形成している。
【0016】
本発明の木製ユニット家屋の他の一例としては、所定の外壁仕上げ材と所定の防水材とが、収容空間に断熱材を収容した上下枠と第1及び第2縦枠とそれらスタッドとの外端面の側に設置されている。
【0017】
本発明の木製ユニット家屋の他の一例としては、所定の連結手段が、ホールダウン金物であり、CLTから作られた木質系天井プレートの端縁部とツーバイフォー材から作られた木質系壁パネルの上端部とが、ホールダウン金物によって連結され、CLTから作られた木質系床プレートの端縁部とツーバイフォー材から作られた木質系壁パネルの下端部とが、ホールダウン金物によって連結されている。
【0018】
本発明の木製ユニット家屋の他の一例としては、所定の連結手段が、鉛直ビスと斜めビスとであり、CLTから作られた木質系天井プレートの端縁部とツーバイフォー材から作られた木質系壁パネルの上端部とが、鉛直ビスと斜めビスとのうちの少なくとも斜めビスによって連結され、CLTから作られた木質系床プレートの端縁部とツーバイフォー材から作られた木質系壁パネルの下端部とが、鉛直ビスと斜めビスとのうちの少なくとも斜めビスによって連結されている。
【0019】
本発明の木製ユニット家屋の他の一例としては、CLTから作られた木質系床プレートが、設置箇所に作られた基礎立上がりに敷設された土台に鉛直ビスと斜めビスとのうちの少なくとも斜めビスによって連結されている。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る木製ユニット家屋によれば、前後方向又は幅方向へ長い略矩形に成形されて水平方向へ展開する所定面積の木質系天井プレートと、前後方向又は幅方向へ長い略矩形に成形されて水平方向へ展開する所定面積の木質系床プレートと、木質系天井プレートと木質系床プレートとの間に位置し、略矩形に成形されて垂直方向へ展開する所定面積の木質系壁パネルとから形成されているから、木質系(木材)素材が有する魅力的なデザイン(意匠)の天井や壁、床にすることができ、見場のよい天井や壁、床を作ることができるとともに、自然素材である木質系素材が有する美観や心地よさ、暖かさ、安らぎを居住者や来客者に与える天井や壁、床を作ることができる。木製ユニット家屋は、それに持続可能な循環型資源である木質系素材がふんだんに使用されるから、森林資源を有効活用することができ、CO2の削減に寄与することで環境負荷を低減することができる。木製ユニット家屋は、木質系天井プレートと木質系床プレートと木質系壁パネルとに囲繞された前後方向又は幅方向へ長い所定容積の内部居住空間が画成されるから、自然素材である木質系素材が有する美観や心地よさ、暖かさ、安らぎを与えることが可能な天井や壁、床を備えた居住空間を作ることができる。木製ユニット家屋は、それが所定の設置箇所へ運搬されてその設置箇所に建て付けられるから、居住空間を備えた家屋を所定の箇所に手間と時間とを要せずに速やかに建てることができる。
【0021】
木質系壁パネルが前後方向へ離間対向して幅方向へ延びる木質系第1壁パネル及び木質系第2壁パネルと、木質系第1壁パネルの第1側縁部と木質系第2壁パネルの第1側縁部との間に位置して前後方向へ延びる木質系第3壁パネルとから形成され、木質系第3壁パネルの幅方向反対側に位置して木質系第3壁パネルと略同面積の第1開口スペースを有する木製ユニット家屋は、木質系第1壁パネルや木質系第2壁パネル、木質系第3壁パネルから形成された木質系壁パネルによって木質系(木材)素材が有する魅力的なデザイン(意匠)の壁にすることができ、見場のよい壁を作ることができるとともに、自然素材である木質系素材が有する美観や心地よさ、暖かさ、安らぎを居住者や来客者に与える壁を備えたユニット家屋を作ることができる。木製ユニット家屋は、その第1開口スペースの側に他の木製ユニット家屋を接続することで、複数の木製ユニット家屋から形成された大きな容積の居住空間を有する家屋を作ることができる。
【0022】
木製ユニット家屋は、木質系第1壁パネルの上下方向へ延びる第1側縁部が木質系第3壁パネルの上下方向へ延びる第1側縁部に所定の連結手段によって連結され、木質系第2壁パネルの上下方向へ延びる第1側縁部が木質系第3壁パネルの上下方向へ延びる第2側縁部に所定の連結手段によって連結され、互いに連結された木質系第1壁パネル、木質系第2壁パネル、木質系第3壁パネルによって木質系(木材)素材が有する魅力的なデザイン(意匠)の壁を作ることができ、見場のよい壁を作ることができるとともに、自然素材である木質系素材が有する美観や心地よさ、暖かさ、安らぎを居住者や来客者に与える壁を備えたユニット家屋を作ることができる。
【0023】
木質系壁パネルが前後方向へ離間対向して幅方向へ延びる木質系第1壁パネル及び木質系第2壁パネルと、第1壁パネルの第2側縁部と木質系第2壁パネルの第2側縁部との間に位置して前後方向へ延びる木質系第4壁パネルとから形成され、木質系第4壁パネルの幅方向反対側に位置して木質系第4壁パネルと略同面積の第2開口スペースを有する木製ユニット家屋は、木質系第1壁パネルや木質系第2壁パネル、木質系第4壁パネルから形成された木質系壁パネルによって木質系(木材)素材が有する魅力的なデザイン(意匠)の壁にすることができ、見場のよい壁を作ることができるとともに、自然素材である木質系素材が有する美観や心地よさ、暖かさ、安らぎを居住者や来客者に与える壁を備えたユニット家屋を作ることができる。木製ユニット家屋は、その第2開口スペースの側に他の木製ユニット家屋を接続することで、複数の木製ユニット家屋から形成された大きな容積の居住空間を有する家屋を作ることができる。
【0024】
木製ユニット家屋は、第1壁パネルの上下方向へ延びる第2側縁部が第4壁パネルの上下方向へ延びる第1側縁部に所定の連結手段によって連結され、第2壁パネルの上下方向へ延びる第2側縁部が第4壁パネルの上下方向へ延びる第2側縁部に所定の連結手段によって連結され、互いに連結された木質系第1壁パネル、木質系第2壁パネル、木質系第4壁パネルによって木質系(木材)素材が有する魅力的なデザイン(意匠)の壁を作ることができ、見場のよい壁を作ることができるとともに、自然素材である木質系素材が有する美観や心地よさ、暖かさ、安らぎを居住者や来客者に与える壁を備えたユニット家屋を作ることができる。
【0025】
木質系壁パネルが前後方向へ離間対向して幅方向へ延びる木質系第1壁パネル及び木質系第2壁パネルから形成され、木質系第1壁パネルの第1側縁部と木質系第2壁パネルの第1側縁部との間に位置する所定面積の第1開口スペースと、木質系第1壁パネルの第2側縁部と木質系第2壁パネルの第2側縁部との間に位置し、第1開口スペースから幅方向へ離間対向する所定面積の第2開口スペースとを有する木製ユニット家屋は、木質系第1壁パネル及び木質系第2壁パネルから形成された木質系壁パネルによって木質系(木材)素材が有する魅力的なデザイン(意匠)の壁にすることができ、見場のよい壁を作ることができるとともに、自然素材である木質系素材が有する美観や心地よさ、暖かさ、安らぎを居住者や来客者に与える壁を備えたユニット家屋を作ることができる。木製ユニット家屋は、第1開口スペースの側と第2開口スペースの側とに他の木製ユニット家屋を接続することで、複数の木製ユニット家屋から形成された大きな容積の居住空間を有する家屋を作ることができる。
【0026】
木質系天井プレートと木質系床プレートとがCLTから作られ、木質系壁パネルがツーバイフォー材から作られている木製ユニット家屋は、CLTから作られた木質系天井プレート及び木質系床プレートとツーバイフォー材から作られた木質系壁パネルとが有する魅力的なデザイン(意匠)の天井や壁、床にすることができ、見場のよい天井や壁、床を作ることができるとともに、自然素材であるCLTやツーバイフォー材が有する美観や心地よさ、暖かさ、安らぎを居住者や来客者に与える天井や壁、床を作ることができる。木製ユニット家屋は、それに持続可能な循環型資源であるCLTやツーバイフォー材が使用されるから、森林資源を有効活用することができ、CO2の削減に寄与することで環境負荷を低減することができる。木製ユニット家屋は、CLTから作られた木質系天井プレート及び木質系床プレートとツーバイフォー材から作られた木質系壁パネルとに囲繞された前後方向又は幅方向へ長い所定容積の内部居住空間が画成されるから、自然素材であるCLTやツーバイフォー材が有する美観や心地よさ、暖かさ、安らぎを与えることが可能な天井や壁、床を備えた居住空間を作ることができる。木製ユニット家屋は、木質系天井プレートと木質系床プレートとがCLTから作られているから、頑丈な天井及び頑丈な床を作ることができ、頑丈なユニット家屋を作ることができる。
【0027】
ツーバイフォー材から作られた木質系壁パネルの上下枠と第1及び第2縦枠とそれらスタッドとに囲繞された収容空間に所定の断熱材が木質系壁パネルの外部の側から収容されて内断熱を形成している木製ユニット家屋は、内断熱であるにもかかわらず、断熱材を木質系壁パネルの外部の側から収容空間に収容するから、木質系壁パネルの収容空間に配置された配線ケーブルやコンセントBOX、コンセントプレート等の電気器具、給排水管等の水回り機器、配管やダクト等の空調機器の各設備が断熱材収容時の邪魔になることはなく、上下枠と第1及び第2縦枠とそれらスタッドとに囲繞された収容空間に断熱材をスムースに収容することができ、断熱材によって内断熱が作られた木製ユニット家屋を手間と時間とを要せずに速やかに作ることができる。
【0028】
所定の外壁仕上げ材と所定の防水材とが収容空間に断熱材を収容した上下枠と第1及び第2縦枠とそれらスタッドとの外端面の側に設置されている木製ユニット家屋は、内断熱を作った後、上下枠と第1及び第2縦枠とそれらスタッドとの外端面の側に外壁仕上げ材と防水材とが設置されるから、木質系壁パネルに防水を速やかの施すことができるとともに、木質系壁パネルに外壁仕上げ材を迅速に取り付けることができ、防水や外壁を備えたユニット家屋を手間と時間とを要せずに速やかに作ることができる。
【0029】
所定の連結手段がホールダウン金物であり、CLTから作られた木質系天井プレートの端縁部とツーバイフォー材から作られた木質系壁パネルの上端部とがホールダウン金物によって連結され、CLTから作られた木質系床プレートの端縁部とツーバイフォー材から作られた木質系壁パネルの下端部とがホールダウン金物によって連結されている木製ユニット家屋は、ホールダウン金物を利用して木質系天井プレートの端縁部と木質系壁パネルの上端部とを連結するとともに、木質系床プレートの端縁部と木質系壁パネルの下端部とを連結することで、CLTから作られた木質系天井プレートとツーバイフォー材から作られた木質系壁パネルとを確実かつ強固に連結することができ、CLTから作られた木質系床プレートとツーバイフォー材から作られた木質系壁パネルとを確実かつ強固に連結することができ、頑丈なユニット家屋を作ることができる。
【0030】
所定の連結手段が鉛直ビスと斜めビスとであり、CLTから作られた木質系天井プレートの端縁部とツーバイフォー材から作られた木質系壁パネルの上端部とが鉛直ビスと斜めビスとのうちの少なくとも斜めビスによって連結され、CLTから作られた木質系床プレートの端縁部とツーバイフォー材から作られた木質系壁パネルの下端部とが鉛直ビスと斜めビスとのうちの少なくとも斜めビスによって連結されている木製ユニット家屋は、鉛直ビスと斜めビスとのうちの少なくとも斜めビスを利用して天井プレートの端縁部と木質系壁パネルの上端部とを連結するとともに、木質系床プレートの端縁部と木質系壁パネルの下端部とを連結することで、CLTから作られた木質系天井プレートとツーバイフォー材から作られた木質系壁パネルとを確実かつ強固に連結することができ、CLTから作られた木質系床プレートとツーバイフォー材から作られた木質系壁パネルとを確実かつ強固に連結することができ、頑丈なユニット家屋を作ることができる。
【0031】
CLTから作られた木質系床プレートが設置箇所に作られた基礎立上がりに敷設された土台に鉛直ビスと斜めビスとのうちの少なくとも斜めビスによって連結されている木製ユニット家屋は、鉛直ビスと斜めビスとのうちの少なくとも斜めビスを利用して木質系床プレートと基礎立上がりに敷設された土台とを連結することで、CLTから作られた木質系床プレートを基礎立上がりに敷設された土台に確実かつ強固に連結することができ、頑丈なユニット家屋を作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図2】背面の側から示す
図1の木製ユニット家屋の斜視図。
【
図7】パネル・プレート連結工程及びパネル・パネル連結工程の一例を説明する説明図。
【
図8】
図7から続く内壁仕上げ材施工工程及び断熱材収容工程の一例を説明する説明図。
【
図9】
図8から続く防水工程及び外壁仕上げ材施工工程の一例を説明する説明図。
【
図10】他の一例として示す木製ユニット家屋の斜視図。
【
図11】背面の側から示す
図11の木製ユニット家屋の斜視図。
【
図14】パネル・プレート連結工程及びパネル・パネル連結工程の他の一例を説明する説明図。
【
図15】
図14から続く内壁仕上げ材施工工程及び断熱材収容工程の他の一例を説明する説明図。
【
図16】
図15から続く防水工程及び外壁仕上げ材施工工程の他の一例を説明する説明図。
【
図17】他の一例として示す木製ユニット家屋の斜視図。
【
図18】背面の側から示す
図18の木製ユニット家屋の斜視図。
【
図21】パネル・プレート連結工程の他の一例を説明する説明図。
【
図22】
図21から続く内壁仕上げ材施工工程及び断熱材収容工程の他の一例を説明する説明図。
【
図23】
図22から続く防水工程及び外壁仕上げ材施工工程の他の一例を説明する説明図。
【
図24】土台の設置された状態で示す
図1の木製ユニット家屋の正面図。
【
図25】土台の設置された状態で示す
図11の木製ユニット家屋の正面図。
【
図26】土台の設置された状態で示す
図18の木製ユニット家屋の正面図。
【
図27】木質系床プレートと土台とを連結する連結手段の一例を示す図。
【
図28】木製ユニット家屋を連結して建設された木製ユニット住宅の一例を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
一例として示す木製ユニット家屋10Aの斜視図である
図1等の添付の図面を参照し、本発明に係る木製ユニット家屋の詳細を説明すると、以下のとおりである。尚、
図2は、背面の側から示す
図1の木製ユニット家屋10Aの斜視図であり、
図3は、
図1の木製ユニット家屋10Aの正面図である。
図4は、
図1の木製ユニット家屋10Aの背面図であり、
図5は、
図1の木製ユニット家屋10Aの上面図である。
図6は、
図1の木製ユニット家屋10Aの底面図である。
図1では、木製ユニット家屋10Aを正面の側から示す。
図1,2では、上下方向を矢印X、前後方向を矢印Yで示し、幅方向を矢印Zで示す。
【0034】
木製ユニット家屋10A(後記する木製ユニット家屋10B及び木製ユニット家屋10Cを含む)は、組立工場において組み立てられた後、所定の輸送手段によって所定の設置箇所へ運搬され、設置箇所に建て付けられる。木製ユニット家屋10Aや木製ユニット家屋10B、木製ユニット家屋10Cを組み合わせて設置箇所に建て付けることで、各種の間取りの木製ユニット住宅63(
図28参照)が作られる。運搬手段には、輸送車両や鉄道、船舶が利用される。
【0035】
木製ユニット家屋10Aは、水平方向へ展開する所定面積の木質系天井プレート11aと、水平方向へ展開する所定面積の木質系床プレート12aと、垂直方向へ展開する所定面積の木質系壁パネル13とから形成されている。木質系天井プレート11aは、ひき板(ラミナ)を並べた後に繊維方向が直交するように接着剤(水性高分子イソシネアート系樹脂接着剤(非ホルムアルデヒド系接着剤))によって積層接着したCLT(Cross Laminated Timber)から作られている。
【0036】
CLTには、3層3プライ、3層4プライ、5層5プライ、5層7プライ、7層7プライ、9層9プライのいずれかを使用することができる。CLTとしては、スギから作られたスギCLTパネル、ヒノキから作られたヒノキCLTパネル、カラマツから作られたカラマツCLTパネル、トドマツから作られたトドマツCLTパネルを使用することができる。CLTは、優れた断熱性と高い省エネ効果を有し、優れた耐震性を有するとともに、鉄筋コンクリート造と比べて軽量である。尚、CLTとして今後開発されるあらゆる種類のCLTを使用することができる。
【0037】
木質系天井プレート11aは、前後方向へ長い略矩形に成形され、幅方向へ延びる第1及び第2端縁部14,15と、前後方向へ延びる第3及び第4端縁部16,17とを有する。尚、木質系天井プレート11aが幅方向へ長い略矩形に成形されていてもよい。この場合、木質系天井プレート11aは、前後方向へ延びる第1及び第2端縁部14,15と、幅方向へ延びる第3及び第4端縁部16,17とを有する。
【0038】
木質系天井プレート11aの上面には、前後方向へ等間隔離間して幅方向へ延びる複数本の垂木18が配置されている。それら垂木18の上面には、野地合板19が取り付けられている。それら垂木18及び野地合板19は、木質系天井プレート11a(CLT)に長ビス(図示せず)によって固定されている。野地合板の上面には、防水20が施されている。防水20には、主剤と硬化剤とを攪拌して塗り広げながら施工する塗膜防水(FRP防水)が使用されている。尚、防水20として、塩ビシートを接着剤や固定用ビスで野地合板(下地)に固定するシート防水(塩ビシート防水)を使用することもできる。
【0039】
木質系床プレート12aは、木質系天井プレート11aと同様に、CLTから作られている。木質系床プレート12aは、前後方向へ長い略矩形に成形され、幅方向へ延びる第1及び第2端縁部21,22と、前後方向へ延びる第3及び第4端縁部23,24とを有する。尚、木質系床プレート12aが幅方向へ長い略矩形に成形されていてもよい。この場合、木質系床プレート12aは、前後方向へ延びる第1及び第2端縁部21,22と、幅方向へ延びる第3及び第4端縁部23,24とを有する。
【0040】
木質系床プレート12a(CLT)の上面には、フローリング25が施されている。フローリング25(遮音性能を高める特殊緩衝材のついた遮音木質床材)は、木質系床プレート12a(CLT)の上面に接着剤によって接合されている。尚、木質系床プレート12a(CLT)の上面に複数の根太を配置し、フローリングを根太に直交させるように載置し、そのフローリングを接着剤及び釘を使用して根太に固定する根太工法を利用することもできる。
【0041】
木質系壁パネル13は、幅方向(又は前後方向)へ延びる所定面積の木質系第1壁パネル13aと、幅方向(又は前後方向)へ延びる所定面積の木質系第2壁パネル13bと、前後方向(又は幅方向)へ延びる所定面積の木質系第3壁パネル13cとから形成されている。木質系第1壁パネル13a~木質系第3壁パネル13cは、ツーバイフォー材(2×4材)を使用したツーバイフォー工法によって作られ、略矩形に成形されている。ツーバイフォー工法は、ツーバイフォー材(構造材)や釘・金物のサイズ・使用方法・使用箇所から施工の手順まで詳細に規定され、枠組壁工法住宅工事仕様書(監修:住宅金融支援機構)等でマニュアル化されている。従って、施工者の技量に左右され難く、均一な品質と性能を実現することができる。
【0042】
CLTやーバイフォー材(2×4材)は、再生可能な循環資源である木材を構造材として使用しており、CLTやーバイフォー材(2×4材)を使用することで持続可能な木材資源を有効活用することができる。CLTやツーバイフォー材(2×4材)は、材料製造過程で使用されるエネルギー量やCO2の排出量が鉄やコンクリート等に比べ少なく、環境負荷が少ない建築材料である。CLTやーバイフォー材(2×4材)を構成する木材は、計画的な伐採と植林により再生産が可能な唯一の天然資源であるため、永続的に使用し続けることができる。
【0043】
更に、管理された森林(経済林)において、計画的に伐採しかつ植林することを繰り返すことで、健全な森林を再生することができる。CLTやーバイフォー材(2×4材)を建築資材として用いることは、大気中のCO2を吸収・固定したまま建物内にストックすることになり、これは森林と同じ役割である。長寿命の木造住宅ストックをつくることは、街の中にもうひとつの森林を持つということになり、環境保全にもつながる。
【0044】
木質系第1壁パネル13a~木質系第3壁パネル13cは、前後方向又は幅方向へ延びる頭つなぎ26(角木材)及び上枠27(角木材)と、上枠27から上下方向下方に位置して前後方向又は幅方向へ延びる下枠28(角木材)と、上下枠27,28の間に位置して上下方向へ延びる第1縦枠29(角木材)と、第1縦枠29から前後方向又は幅方向へ離間対向して上下方向へ延びる第2縦枠30(角木材)と、第1及び第2縦枠29,30の間に位置して上下方向へ延びていて前後方向又は幅方向へ離間して並ぶ複数のスタッド31(角木材)とから形成されている。
【0045】
頭つなぎ26や上枠27、下枠28、第1縦枠29、第2縦枠30、スタッド31は、規格化された釘によって連結されている。木質系第1壁パネル13a~木質系第3壁パネル13cは、2×4材(頭つなぎ26、上枠27、下枠28、第1縦枠29、第2縦枠30、スタッド31)の各木材を組んで「枠組」を作り、剛性の高いダイヤフラムを構成している。
【0046】
木質系第1壁パネル13aは、幅方向(又は前後方向)へ延びる第1上端部32(頭つなぎ26及び上枠27)と、第1上端部32の上下方向下方に位置して幅方向(又は前後方向)へ延びる第1下端部33(下枠28)と、第1上端部32から第1下端部33に向かって上下方向へ延びる第1側縁部34(第1縦枠29)と、第1上端部32から第1下端部33に向かって上下方向へ延びていて第1側縁部34から幅方向(又は前後方向)へ離間対向する第2側縁部35(第2縦枠30)とを有する。木質系第1壁パネル13aには、各種形状の窓枠(サッシ)やドア枠が作られる。
【0047】
木質系第2壁パネル13bは、木質系第1壁パネル13aから前後方向(又は幅方向)へ離間対向している。木質系第2壁パネル13bは、幅方向(又は前後方向)へ延びる第2上端部36(頭つなぎ26及び上枠27)と、第2上端部36の上下方向下方に位置して幅方向(又は前後方向)へ延びる第2下端部37(下枠28)と、第2上端部36から第2下端部37に向かって上下方向へ延びる第1側縁部38(第1縦枠29)と、第2上端部36から第2下端部37に向かって上下方向へ延びていて第1側縁部38から幅方向(又は前後方向)へ離間対向する第2側縁部39(第2縦枠30)とを有する。木質系第2パネル13bには、各種形状の窓枠(サッシ)やドア枠が作られる。
【0048】
木質系第3壁パネル13cは、木質系第1壁パネル13aの第1側縁部34と木質系第2壁パネル13bの第1側縁部38との間に位置している。木質系第3壁パネル13cは、前後方向(又は幅方向)へ延びる第3上端部40(頭つなぎ26及び上枠27)と、第3上端部40の上下方向下方に位置して前後方向(又は幅方向)へ延びる第3下端部41(下枠28)と、第3上端部40から第3下端部41に向かって上下方向へ延びる第1側縁部42(第1縦枠29)と、第3上端部40から第3下端部41に向かって上下方向へ延びていて第1側縁部42から幅方向(又は前後方向)へ離間対向する第2側縁部43(第2縦枠30)とを有する。木質系第3パネル13cには、各種形状の窓枠(サッシ)が作られる。尚、木質系第1~第3壁パネル13a~13cには、図示はしていないが、配線ケーブルやコンセントBOX、コンセントプレート等の電気器具、給排水管等の水回り機器、配管やダクト等の空調機器の各設備が設置され、換気口やエアコンの冷媒管・ドレンホース用孔が穿孔されている。
【0049】
図7は、パネル・プレート連結工程及びパネル・パネル連結工程の一例を説明する説明図であり、
図8は、
図7から続く内壁仕上げ材施工工程及び断熱材収容工程の一例を説明する説明図である。
図9は、
図8から続く防水工程及び外壁仕上げ材施工工程の一例を説明する説明図である。木製ユニット家屋10Aの組立では、最初に
図7に示すパネル・プレート連結工程及びパネル・パネル連結工程を実施する。尚、最初に
図8に示す内壁仕上げ材施工工程及び断熱材収容工程を実施し、次に
図7に示すパネル・プレート連結工程及びパネル・パネル連結工程を実施してもよい。
【0050】
パネル・プレート連結工程により、木質系第1パネル13a~木質系第3壁パネル13cが木質系天井プレート11a及び木質系床プレート12aに連結され、パネル・パネル連結工程により、木質系第1~第3壁パネル13a~13cどうしが連結される。木質系天井プレート11a及び木質系床プレート12aに木質系第1~第3壁パネル13a~13cを連結するとともに、木質系第1~第3壁パネル13a~13cどうしを連結することで、
図1,2に示すように、木質系天井プレート11a、木質系床プレート12a、木質系第1パネル13a、木質系第2壁パネル13b、木質系第3壁パネル13cに囲繞された前後方向(又は幅方向)へ長い所定容積の内部居住空間44が画成される。
【0051】
図7に示すパネル・プレート連結工程では、木質系第1壁パネル13aの第1上端部32(頭つなぎ26及び上枠27)を木質系天井プレート11aの第1端縁部14にホールダウン金物65(引き寄せ金物)(所定の連結手段)(
図27参照)によって連結するとともに、第1上端部32を第1端縁部14に鉛直長ビス61(鉛直ビス)と斜め長ビス62(斜めビス)(所定の連結手段)(
図27参照)とのうちの少なくとも斜め長ビス62によって連結する。斜め長ビス62(斜めビス)は、43°~48°の角度、好ましくは45°の角度でパネル13a~13c及びプレート11a,12aに打ち込まれる。
【0052】
木質系第1壁パネル13aの第1下端部33(下枠28)を木質系床プレート12aの第1端縁部21にホールダウン金物65(引き寄せ金物)(所定の連結手段)によって連結するとともに、第1下端部33を第1端縁部21に鉛直長ビス61(鉛直ビス)と斜め長ビス62(斜めビス)(所定の連結手段)とのうちの少なくとも斜め長ビス62によって連結する。木質系第1壁パネル13aの第1上端部32と木質系天井プレート11aの第1端縁部14とは、ホールダウン金物65や鉛直長ビス61、斜め長ビス62によって強固に連結され、木質系第1壁パネル13aの第1下端部33と木質系床プレート12aの第1端縁部21とは、ホールダウン金物65や鉛直長ビス61、斜め長ビス62によって強固に連結される。
【0053】
パネル・プレート連結工程では、木質系第2壁パネル13bの第2上端部36(頭つなぎ26及び上枠27)を木質系天井プレート11aの第2端縁部15にホールダウン金物65(引き寄せ金物)(所定の連結手段)によって連結するとともに、第2上端部36を第2端縁部14に鉛直長ビス61(鉛直ビス)と斜め長ビス62(斜めビス)(所定の連結手段)とのうちの少なくとも斜め長ビス62によって連結する。
【0054】
木質系第2壁パネル13bの第2下端部37(下枠)を木質系床プレート12aの第2端縁部22にホールダウン金物65(引き寄せ金物)(所定の連結手段)によって連結するとともに、第2下端部37を第2下端部22に鉛直長ビス61(鉛直ビス)と斜め長ビス62(斜めビス)(所定の連結手段)とのうちの少なくとも斜め長ビス62によって連結する。木質系第2壁パネル13bの第2上端部36と木質系天井プレート11aの第2端縁部15とは、ホールダウン金物65や鉛直長ビス61、斜め長ビス62によって強固に連結され、木質系第2壁パネル13bの第2下端部37と木質系床プレート12aの第2端縁部22とは、ホールダウン金物65や鉛直長ビス61、斜め長ビス62によって強固に連結される。
【0055】
更に、木質系第3壁パネル13cの第3上端部40(頭つなぎ26及び上枠27)を木質系天井プレート11aの第3端縁部16にホールダウン金物65(引き寄せ金物)(所定の連結手段)によって連結するとともに、第3上端部40を第3端縁部16に鉛直長ビス61(鉛直ビス)と斜め長ビス62(斜めビス)(所定の連結手段)とのうちの少なくとも斜め長ビス62によって連結する。
【0056】
木質系第3壁パネル13cの第3下端部41(下枠28)を木質系床プレート12aの第3端縁部23にホールダウン金物65(引き寄せ金物)(所定の連結手段)によって連結するとともに、第3下端部41を第3下端部23に鉛直長ビス61(鉛直ビス)と斜め長ビス62(斜めビス)(所定の連結手段)とのうちの少なくとも斜め長ビス62によって連結する。木質系第3壁パネル13cの第3上端部40と木質系天井プレート11aの第3端縁部16とは、ホールダウン金物65や鉛直長ビス61、斜め長ビス62によって強固に連結され、木質系第3壁パネル13cの第3下端部41と木質系床プレート12aの第3端縁部23とは、ホールダウン金物65や鉛直長ビス61、斜め長ビス62によって強固に連結される。
【0057】
図7に示すパネル・パネル連結工程では、木質系第1壁パネル13aの第1側縁部34(第1縦枠29)を木質系第3壁パネル13cの第1側縁部42(第1縦枠29)に長ビス(所定の連結手段)(図示せず)によって連結するとともに、木質系第2壁パネル13bの第1側縁部38(第1縦枠29)を木質系第3壁パネル13cの第2側縁部43(第2縦枠)に長ビス(所定の連結手段)(図示せず)によって連結する。木質系第1壁パネル13aの第1側縁部34と木質系第3壁パネル13cの第1側縁部42とは、長ビスによって強固に連結され、木質系第2壁パネル13bの第1側縁部38と木質系第3壁パネル13cの第2側縁部43とは、長ビスによって強固に連結される。
【0058】
パネル・プレート連結工程及びパネル・パネル連結工程の後、
図8に示す内壁仕上げ材施工工程及び断熱材収容工程が実施される。内壁仕上げ材施工工程によって内壁仕上げ材45が木質系第1壁パネル13a~木質系第3壁パネル13cに設置され、内壁仕上げ材施工工程の後、断熱材収容工程によって断熱材46が木質系第1~第3壁パネル13a~13cに設置される。内壁仕上げ材45には、耐火性や遮音性を有するプラスターボードが使用される。断熱材46には、グラスウールやセルロースファイバーが使用される。尚、内壁仕上げ材としてクロスや塗壁、化粧合板、タイル等を使用することもできる。
【0059】
内壁仕上げ材施工工程では、木質系第1壁パネル13a(頭つなぎ26、上枠27、下枠28、第1縦枠29、第2縦枠30、スタッド31)の内端面にビス(図示せず)を利用して内壁仕上げ材45(プラスターボード)を接合(固定)し、木質系第2壁パネル13b(頭つなぎ26、上枠27、下枠28、第1縦枠29、第2縦枠30、スタッド31)の内端面にビス(図示せず)を利用して内壁仕上げ材45(プラスターボード)を接合(固定)するとともに、木質系第3壁パネル13c(頭つなぎ26、上枠27、下枠28、第1縦枠29、第2縦枠30、スタッド31)の内端面にビス(図示せず)を利用して内壁仕上げ材45(プラスターボード)を接合(固定)する。
【0060】
断熱材収容工程では、上下枠27,28と第1及び第2縦枠29,30とそれらスタッド31とに囲繞された木質系第1壁パネル13aの第1収容空間47(収容空間)に断熱材46(グラスウール又はセルロースファイバー)を収容(充填工法)し、上下枠27,28と第1及び第2縦枠29,30とそれらスタッド31とに囲繞された木質系第2壁パネル13bの第2収容空間48(収容空間)に断熱材46(グラスウール又はセルロースファイバー)を収容(充填工法)するとともに、上下枠27,28と第1及び第2縦枠29,30とそれらスタッド31とに囲繞された木質系第3壁パネル13cの第3収容空間49(収容空間)に断熱材46(グラスウール又はセルロースファイバー)を収容(充填工法)する。
【0061】
断熱材46は、木質系第1壁パネル13a~木質系第3壁パネル13cの外部の側(木製ユニット家屋10Aの外側)から第1収容空間47~第3収容空間49に収容する。木質系第1~第3壁パネル13a~13cでは、第1~第3収容空間47~49にそれらパネル13a~13cの外部(外側)から断熱材46が収容されて内断熱を形成している。
【0062】
内壁仕上げ材施工工程及び断熱材収容工程の後、
図9に示す防水工程及び外壁仕上げ材施工工程が実施される。防水工程によって透湿防水シート50が木質系第1壁パネル13a~木質系第3壁パネル13cに設置され、防水工程の後、外壁仕上げ材施工工程によって外壁仕上げ材51が木質系第1~第3壁パネル13a~13cに設置される。外壁仕上げ材51には、サイディング材が使用される。尚、サイディング材には、木質系サイディングや樹脂系サイディング、金属系サイディング、窯業系サイディングのいずれかを使用することができる。又、外壁仕上げ材51としてモルタルやタイル、ALCを使用することもできる。
【0063】
防水工程では、第1収容空間47に断熱材46を収容した木質系第1壁パネル13a(頭つなぎ26、上枠27、下枠28、第1縦枠29、第2縦枠30、スタッド31)の外端面に木質系第1壁パネル13aと略同大の透湿防水シート50を取り付け、第2収容空間48に断熱材46を収容した木質系第2壁パネル13b(頭つなぎ26、上枠27、下枠28、第1縦枠29、第2縦枠30、スタッド31)の外端面に木質系第2壁パネル13bと略同大の透湿防水シート50を取り付けるとともに、第3収容空間49に断熱材46を収容した木質系第3壁パネル13c(頭つなぎ26、上枠27、下枠28、第1縦枠29、第2縦枠30、スタッド31)の外端面に木質系第3壁パネル13cと略同大の透湿防水シート50を取り付ける。
【0064】
外壁仕上げ材施工工程では、透湿防水シート50を取り付けた木質系第1壁パネル13a(頭つなぎ26、上枠27、下枠28、第1縦枠29、第2縦枠30、スタッド31)の外端面にビス(図示せず)を利用して外壁仕上げ材51(サイディング材)を接合(固定)し、透湿防水シート50を取り付けた木質系第2壁パネル13b(頭つなぎ26、上枠27、下枠28、第1縦枠29、第2縦枠30、スタッド31)の外端面にビス(図示せず)を利用して外壁仕上げ材51(サイディング材)を接合(固定)するとともに、透湿防水シート50を取り付けた木質系第3壁パネル13c(頭つなぎ26、上枠27、下枠28、第1縦枠29、第2縦枠30、スタッド31)の外端面にビス(図示せず)を利用して外壁仕上げ材51(サイディング材)を接合(固定)する。各工程を終了することで、半完成品である木製ユニット家屋10Aが完成する。木製ユニット家屋10Aは、木質系第3壁パネル13cの幅方向反対側に位置して木質系第3壁パネル13cと略同面積の第1開口スペース52を有する。
【0065】
木製ユニット家屋10Aは、CLTから作られた木質系天井プレート11a及び木質系床プレート11bと、ツーバイフォー材(2×4材)から作られた木質系第1壁パネル13a~木質系第3壁パネル13cとから形成され、地震や振動の力を1点に集中させることなく、木製ユニット家屋10A全体にバランスよく分散させることができ、地震や振動による木製ユニット家屋10Aの変形や破損、崩壊を防ぐことができる。
【0066】
木製ユニット家屋10Aは、CLTから作られた木質系天井プレート11a及び木質系床プレート11bを利用することで、木質系(木材)素材が有する魅力的なデザイン(意匠)の見場のよい天井や床を作ることができ、ツーバイフォー材(2×4材)から作られた木質系第1壁パネル13a~木質系第3壁パネル13cを利用することで、木質系(木材)素材が有する魅力的なデザイン(意匠)の見場のよい壁を作ることができ、自然素材である木質系素材が有する美観や心地よさ、暖かさ、安らぎを居住者や来客者に与える天井や壁、床を作ることができる。
【0067】
木製ユニット家屋10Aは、木質系天井プレート11aと木質系床プレート12aと木質系第1壁パネル13a~木質系第3壁パネル13cとに囲繞された前後方向(又は幅方向)へ長い所定容積の内部居住空間44が画成されるから、自然素材である木質系素材が有する美観や心地よさ、暖かさ、安らぎを与えることが可能な天井や壁、床を備えた居住空間44を作ることができる。木製ユニット家屋10Aは、それに持続可能な循環型資源である木質系素材がふんだんに使用されるから、森林資源を有効活用することができ、CO2の削減に寄与することで環境負荷を低減することができる。
【0068】
木製ユニット家屋10Aは、第1収容空間47~第3収容空間49に断熱材46(グラスウール又はセルロースファイバー)が木質系第1壁パネル13a~木質系第3壁パネル13cの外部の側から収容されて内断熱を形成し、内断熱であるにもかかわらず、断熱材を木質系第1~第3壁パネル13a~13cの外部の側から第1~第3収容空間47~49に収容するから、木質系第1~第3壁パネル13a~13cの第1~第3収容空間47~49に配置された配線ケーブルやコンセントBOX、コンセントプレート等の電気器具、給排水管等の水回り機器、配管やダクト等の空調機器の各設備が断熱材収容時の邪魔になることはなく、第1~第3収容空間47~49に断熱材46をスムースに収容することができ、断熱材46によって内断熱が作られた木製ユニット家屋10Aを手間と時間とを要せずに速やかに作ることができる。
【0069】
木製ユニット家屋10Aは、CLTから作られた木質系天井プレート11a及び木質系床プレート11bによって天井及び床が形成され、マニュアル化されたツーバイフォー工法によって作られた木質系第1壁パネル13a~木質系第3壁パネル13cが壁を形成し、木質系天井プレート11a、木質系床プレート12a、木質系第1~第3壁パネル13a~13cを所定の手順に従って連結することで、木製ユニット家屋10Aを作ることができるから、熟練工の優れた技能を利用することなく、マニュアルに従って施工者が容易かつ短時間に木製ユニット家屋10Aを作ることができるとともに、均一な品質と高い強度を有する木製ユニット家屋10Aを簡単に作ることができる。
【0070】
図10は、他の一例として示す木製ユニット家屋10Bの斜視図であり、
図11は、背面の側から示す
図10の木製ユニット家屋10Bの斜視図である。
図12は、
図10の木製ユニット家屋10Bの正面図であり、
図13は、
図10の木製ユニット家屋10Bの背面図である。
図10では、木製ユニット家屋10Bを正面の側から示す。
図10,11では、上下方向を矢印X、前後方向を矢印Yで示し、幅方向を矢印Zで示す。尚、木製ユニット家屋10Bの上面図及び底面図は
図5に示す木製ユニット家屋10Aの上面図及び
図6に示す木製ユニット家屋10Aの底面図と同様であるから、
図5,6を援用し、木製ユニット家屋10Bの上面図及び底面図の図示は省略する。
【0071】
木製ユニット家屋10Bは、水平方向へ展開する所定面積の木質系天井プレート11bと、水平方向へ展開する所定面積の木質系床プレート12bと、垂直方向へ展開する所定面積の木質系壁パネル13とから形成されている。木質系天井プレート11b及び木質系床プレート12bは、木製ユニット家屋10Aのそれらと同様のCLT(Cross Laminated Timber)から作られている。
【0072】
木製ユニット家屋10Bの木質系天井プレート11bは、前後方向へ長い略矩形に成形され、幅方向へ延びる第1及び第2端縁部14,15と、前後方向へ延びる第3及び第4端縁部16,17とを有する。尚、木質系天井プレート11bが幅方向へ長い略矩形に成形されていてもよく、この場合、木質系天井プレート11bが前後方向へ延びる第1及び第2端縁部14,15と幅方向へ延びる第3及び第4端縁部16,17とを有する。前後方向へ等間隔離間して幅方向へ延びる複数本の垂木18が木質系天井プレート11bの上面に配置され、それら垂木18の上面に野地合板19が取り付けられている。それら垂木18及び野地合板19は、木質系天井プレート11b(CLT)に長ビス(図示せず)によって固定されている。野地合板19の上面には、防水20(塗膜防水(FRP防水))が施されている。
【0073】
木製ユニット家屋10Bの木質系床プレート12bは、前後方向へ長い略矩形に成形され、幅方向へ延びる第1及び第2端縁部21,22と、前後方向へ延びる第3及び第4端縁部23,24とを有する。尚、木質系床プレート12bが幅方向へ長い略矩形に成形されていてもよく、この場合、木質系床プレート12bが前後方向へ延びる第1及び第2端縁部21,22と幅方向へ延びる第3及び第4端縁部23,24とを有する。木質系床プレート12b(CLT)の上面には、接着剤によってフローリング26(遮音性能を高める特殊緩衝材のついた遮音木質床材)が接合されている。
【0074】
木質系壁パネル13は、幅方向(又は前後方向)へ延びる所定面積の木質系第1壁パネル13dと、幅方向(又は前後方向)へ延びる所定面積の木質系第2壁パネル13eと、前後方向(又は幅方向)へ延びる所定面積の木質系第4壁パネル13fとから形成されている。木質系第1壁パネル13dや木質系第2壁パネル13e、木質系第4壁パネル13fは、木質系第1壁パネル13a~木質系第3壁パネル13cと同様に、ツーバイフォー材(2×4材)を使用したツーバイフォー工法によって作られ、略矩形に成形されている。
【0075】
木質系第1壁パネル13dや木質系第2壁パネル13e、木質系第4壁パネル13eは、前後方向又は幅方向へ延びる頭つなぎ26(角木材)及び上枠27(角木材)と、上枠27から上下方向下方に位置して前後方向又は幅方向へ延びる下枠28(角木材)と、上下枠27,28の間に位置して上下方向へ延びる第1縦枠29(角木材)と、第1縦枠29から前後方向又は幅方向へ離間対向して上下方向へ延びる第2縦枠30(角木材)と、第1及び第2縦枠29,30の間に位置して上下方向へ延びていて前後方向又は幅方向へ離間して並ぶ複数のスタッド31(角木材)とから形成されている。
【0076】
頭つなぎ26や上枠27、下枠28、第1縦枠29、第2縦枠30、スタッド31は、規格化された釘によって連結されている。木質系第1壁パネル13dや木質系第2壁パネル13e、木質系第4壁パネル13fは、2×4材(頭つなぎ26、上枠27、下枠28、第1縦枠29、第2縦枠30、スタッド31)の各木材を組んで「枠組」を作り、剛性の高いダイヤフラムを構成している。
【0077】
木質系第1壁パネル13dは、幅方向(又は前後方向)へ延びる第1上端部32(頭つなぎ26及び上枠27)と、第1上端部32の上下方向下方に位置して幅方向(又は前後方向)へ延びる第1下端部33(下枠28)と、上下方向へ延びる第1側縁部34(第1縦枠29)と、第1側縁部34から幅方向(又は前後方向)へ離間対向して上下方向へ延びる第2側縁部35(第2縦枠30)とを有する。木質系第1壁パネル13dには、各種形状の窓枠(サッシ)やドア枠が作られる。
【0078】
木質系第2壁パネル13eは、木質系第1壁パネル13dから前後方向(又は幅方向)へ離間対向している。木質系第2壁パネル13eは、幅方向(又は前後方向)へ延びる第2上端部36(頭つなぎ26及び上枠27)と、第2上端部36の上下方向下方に位置して幅方向(又は前後方向)へ延びる第2下端部37(下枠28)と、上下方向へ延びる第1側縁部38(第1縦枠29)と、第1側縁部38から幅方向(又は前後方向)へ離間対向して上下方向へ延びる第2側縁部39(第2縦枠30)とを有する。木質系第2パネル13eには、各種形状の窓枠(サッシ)やドア枠が作られる。
【0079】
木質系第4壁パネル13fは、木質系第1壁パネル13dの第1側縁部34と木質系第2壁パネル13eの第1側縁部38との間に位置している。木質系第4壁パネル13fは、幅方向(又は前後方向)へ延びる第4上端部53(頭つなぎ26及び上枠27)と、第4上端部53の上下方向下方に位置して幅方向(又は前後方向)へ延びる第4下端部54(下枠28)と、第4上端部53から第4下端部54に向かって上下方向へ延びる第1側縁部55(第1縦枠29)と、第4上端部53から第4下端部54に向かって上下方向へ延びていて第1側縁部55から前後方向(又は幅方向)へ離間対向する第2側縁部56(第2縦枠30)とを有する。木質系第4パネル13fには、各種形状の窓枠(サッシ)が作られる。尚、木質系第1壁パネル13dや木質系第2壁パネル13e、木質系第4壁パネル13fには、図示はしていないが、配線ケーブルやコンセントBOX、コンセントプレート等の電気器具、給排水管等の水回り機器、配管やダクト等の空調機器の各設備が設置され、換気口やエアコンの冷媒管・ドレンホース用孔が穿孔されている。
【0080】
図14は、パネル・プレート連結工程及びパネル・パネル連結工程の他の一例を説明する説明図であり、
図15は、
図14から続く内壁仕上げ材施工工程及び断熱材収容工程の他の一例を説明する説明図である。
図16は、
図15から続く防水工程及び外壁仕上げ材施工工程の他の一例を説明する説明図である。木製ユニット家屋10Bの組立では、最初に
図14に示すパネル・プレート連結工程及びパネル・パネル連結工程を実施する。尚、最初に
図15に示す内壁仕上げ材施工工程及び断熱材収容工程を実施し、次に
図14に示すパネル・プレート連結工程及びパネル・パネル連結工程を実施してもよい。
【0081】
パネル・プレート連結工程により、木質系第1壁パネル13d、木質系第2壁パネル13e、木質系第4壁パネル13fが木質系天井プレート11b及び木質系床プレート12bに連結され、パネル・パネル連結工程により、木質系第1壁パネル13d、木質系第2壁パネル13e、木質系第4壁パネル13fどうしが連結される。木質系天井プレート11b及び木質系床プレート12bに木質系第1壁パネル13d、木質系第2壁パネル13e、木質系第4壁パネル13fを連結するとともに、木質系第1壁パネル13d、木質系第2壁パネル13e、木質系第4壁パネル13fどうしを連結することで、
図10,11に示すように、木質系天井プレート11b、木質系床プレート12b、木質系第1壁パネル13d、木質系第2壁パネル13e、木質系第4壁パネル13fに囲繞された前後方向(又は幅方向)へ長い所定容積の内部居住空間44が画成される。
【0082】
図14に示すパネル・プレート連結工程では、木質系第1壁パネル13dの第1上端部32(頭つなぎ26及び上枠27)を木質系天井プレート11bの第1端縁部14にホールダウン金物65(引き寄せ金物)(所定の連結手段)(
図27参照)によって連結するとともに、第1上端部32を第1端縁部14に鉛直長ビス61(鉛直ビス)と斜め長ビス62(斜めビス)(所定の連結手段)とのうちの少なくとも斜め長ビス62によって連結する。
【0083】
木質系第1壁パネル13dの第1下端部33(下枠28)を木質系床プレート12bの第1端縁部21にホールダウン金物65(引き寄せ金物)(所定の連結手段)によって連結するとともに、第1下端部33を第1端縁部21に鉛直長ビス61(鉛直ビス)と斜め長ビス62(斜めビス)(所定の連結手段)とのうちの少なくとも斜め長ビス62によって連結する。木質系第1壁パネル13dの第1上端部32と木質系天井プレート11bの第1端縁部14とは、ホールダウン金物65や鉛直長ビス61、斜め長ビス62によって強固に連結され、木質系第1壁パネル13dの第1下端部33と木質系床プレート12bの第1端縁部21とは、ホールダウン金物65や鉛直長ビス61、斜め長ビス62によって強固に連結される。
【0084】
パネル・プレート連結工程では、木質系第2壁パネル13eの第2上端部36(頭つなぎ26及び上枠27)を木質系天井プレート11bの第2端縁部15にホールダウン金物65(引き寄せ金物)(所定の連結手段)によって連結するとともに、第2上端部36を第2端縁部15に鉛直長ビス61(鉛直ビス)と斜め長ビス62(斜めビス)(所定の連結手段)とのうちの少なくとも斜め長ビス62によって連結する。
【0085】
木質系第2壁パネル13eの第2下端部37(下枠28)を木質系床プレート12bの第2端縁部22にホールダウン金物65(引き寄せ金物)(所定の連結手段)によって連結するとともに、第2下端部37を第2端縁部22に鉛直長ビス61(鉛直ビス)と斜め長ビス62(斜めビス)(所定の連結手段)とのうちの少なくとも斜め長ビス62によって連結する。木質系第2壁パネル13eの第2上端部36)と木質系天井プレート11bの第2端縁部14とは、ホールダウン金物65や鉛直長ビス61、斜め長ビス62によって強固に連結され、木質系第2壁パネル13eの第2下端部37と木質系床プレート12bの第2端縁部22とは、ホールダウン金物65や鉛直長ビス61、斜め長ビス62によって強固に連結される。
【0086】
更に、木質系第4壁パネル13fの第4上端部53(頭つなぎ26及び上枠27)を木質系天井プレート11bの第4端縁部17にホールダウン金物65(引き寄せ金物)(所定の連結手段)によって連結するとともに、第4上端部53を第4端縁部17に鉛直長ビス61(鉛直ビス)と斜め長ビス62(斜めビス)(所定の連結手段)とのうちの少なくとも斜め長ビス62によって連結する。
【0087】
木質系第4壁パネル13fの第4下端部54(下枠28)を木質系床プレート12bの第4端縁部24にホールダウン金物65(引き寄せ金物)(所定の連結手段)によって連結するとともに、第4下端部54)を第4端縁部24に鉛直長ビス61(鉛直ビス)と斜め長ビス62(斜めビス)(所定の連結手段)とのうちの少なくとも斜め長ビス62によって連結する。木質系第4壁パネル13fの第4上端部53と木質系天井プレート11bの第4端縁部17とは、ホールダウン金物65や鉛直長ビス61、斜め長ビス62によって強固に連結され、木質系第4壁パネル13fの第4下端部54と木質系床プレート12bの第4端縁部24とは、ホールダウン金物65や鉛直長ビス61、斜め長ビス62によって強固に連結される。
【0088】
図14に示すパネル・パネル連結工程では、木質系第1壁パネル13dの第2側縁部34(第1縦枠29)を木質系第4壁パネル13fの第1側縁部55(第1縦枠29)に長ビス(所定の連結手段)によって連結するとともに、木質系第2壁パネル13eの第2側縁部39(第1縦枠29)を木質系第4壁パネル13fの第2側縁部56(第2縦枠30)に長ビス(所定の連結手段)によって連結する。木質系第1壁パネル13dの第2側縁部34と木質系第4壁パネル13fの第1側縁部55とは、長ビスによって強固に連結され、木質系第2壁パネル13eの第2側縁部39と木質系第4壁パネル13fの第2側縁部56とは、長ビスによって強固に連結される。
【0089】
パネル・プレート連結工程及びパネル・パネル連結工程の後、
図15に示す内壁仕上げ材施工工程及び断熱材収容工程が実施される。内壁仕上げ材施工工程によって内壁仕上げ材45が木質系第1壁パネル13d、木質系第2壁パネル13e、木質系第4壁パネル13fに設置され、内壁仕上げ材施工工程の後、断熱材収容工程によって断熱材46が木質系第1壁パネル13d、木質系第2壁パネル13e、木質系第4壁パネル13fに設置される。内壁仕上げ材45には、耐火性や遮音性を有するプラスターボードが使用される。断熱材46には、グラスウールやセルロースファイバーが使用される。
【0090】
内壁仕上げ材施工工程では、木質系第1壁パネル13d(頭つなぎ26、上枠27、下枠28、第1縦枠29、第2縦枠30、スタッド31)の内端面にビス(図示せず)を利用して内壁仕上げ材45(プラスターボード)を接合(固定)し、木質系第2壁パネル13e(頭つなぎ26、上枠27、下枠28、第1縦枠29、第2縦枠30、スタッド31)の内端面にビス(図示せず)を利用して内壁仕上げ材45(プラスターボード)を接合(固定)するとともに、木質系第4壁パネル(頭つなぎ26、上枠27、下枠28、第1縦枠29、第2縦枠30、スタッド31)の内端面にビス(図示せず)を利用して内壁仕上げ材45(プラスターボード)を接合(固定)する。
【0091】
断熱材収容工程では、上下枠27,28と第1及び第2縦枠29,30とそれらスタッド31とに囲繞された木質系第1壁パネル13dの第1収容空間47(収容空間)に断熱材46(グラスウール又はセルロースファイバー)を収容(充填工法)し、上下枠27,28と第1及び第2縦枠29,30とそれらスタッド31とに囲繞された木質系第2壁パネル13eの第2収容空間48(収容空間)に断熱材46(グラスウール又はセルロースファイバー)を収容(充填工法)するとともに、上下枠27,28と第1及び第2縦枠29,30とそれらスタッド31とに囲繞された木質系第4壁パネル13fの第4収容空間57(収容空間)に断熱材46(グラスウール又はセルロースファイバー)を収容(充填工法)する。
【0092】
断熱材46は、木質系第1壁パネル13d、木質系第2壁パネル13e、木質系第4壁パネル13fの外部の側(木製ユニット家屋10Bの外側)から第1収容空間47、第2収容空間48、第4収容空間49に収容する。木質系第1壁パネル13d、木質系第2壁パネル13e、木質系第4壁パネル13fでは、第1収容空間47、第2収容空間48、第4収容空間49にそれらパネル13d~13fの外部から断熱材46が収容されて内断熱を形成している。
【0093】
内壁仕上げ材施工工程及び断熱材収容工程の後、
図16に示す防水工程及び外壁仕上げ材施工工程が実施される。防水工程によって透湿防水シート50が木質系第1壁パネル13d、木質系第2壁パネル13e、木質系第4壁パネル13fに設置され、防水工程の後、外壁仕上げ材施工工程によって外壁仕上げ材51が木質系第1壁パネル13d、木質系第2壁パネル13e、木質系第4壁パネル13fに設置される。外壁仕上げ材51には、サイディング材が使用される。
【0094】
防水工程では、第1収容空間47に断熱材46を収容した木質系第1壁パネル13d(頭つなぎ26、上枠27、下枠28、第1縦枠29、第2縦枠30、スタッド31)の外端面に木質系第1壁パネル13dと略同大の透湿防水シート50を取り付け、第2収容空間48に断熱材47を収容した木質系第2壁パネル13eの(頭つなぎ26、上枠27、下枠28、第1縦枠29、第2縦枠30、スタッド31)の外端面に木質系第2壁パネル13eと略同大の透湿防水シート50を取り付けるとともに、第4収容空間57に断熱材46を収容した木質系第4壁パネル13fの(頭つなぎ26、上枠27、下枠28、第1縦枠29、第2縦枠30、スタッド31)の外端面に木質系第4壁パネル13fと略同大の透湿防水シート50を取り付ける。
【0095】
外壁仕上げ材施工工程では、透湿防水シート50を取り付けた木質系第1壁パネル13d(頭つなぎ26、上枠27、下枠28、第1縦枠29、第2縦枠30、スタッド31)の外端面にビス(図示せず)を利用して外壁仕上げ材51(サイディング材)を接合(固定)し、透湿防水シート50を取り付けた木質系第2壁パネル13e(頭つなぎ26、上枠27、下枠28、第1縦枠29、第2縦枠30、スタッド31)の外端面にビス(図示せず)を利用して外壁仕上げ材51(サイディング材)を接合(固定)するとともに、透湿防水シート50を取り付けた木質系第4壁パネル13f(頭つなぎ26、上枠27、下枠28、第1縦枠29、第2縦枠30、スタッド31)の外端面にビス(図示せず)を利用して外壁仕上げ材51(サイディング材)を接合(固定)する。各工程を終了することで、半完成品である木製ユニット家屋10Bが完成する。木製ユニット家屋10Bは、木質系第4壁パネル13fの幅方向反対側に位置して木質系第4壁パネル13fと略同面積の第2開口スペース58を有する。
【0096】
木製ユニット家屋10Bは、CLTから作られた木質系天井プレート11b及び木質系床プレート12bと、ツーバイフォー材(2×4材)から作られた木質系第1壁パネル13d、木質系第2壁パネル13e、木質系第4壁パネル13fとから形成され、地震や振動の力を1点に集中させることなく、木製ユニット家屋10B全体にバランスよく分散させることができ、地震や振動による木製ユニット家屋10Bの変形や破損、崩壊を防ぐことができる。
【0097】
木製ユニット家屋10Bは、CLTから作られた木質系天井プレート11b及び木質系床プレート12bを利用することで、木質系(木材)素材が有する魅力的なデザイン(意匠)の見場のよい天井や床を作ることができ、ツーバイフォー材(2×4材)から作られた木質系第1壁パネル13d、木質系第2壁パネル13e、木質系第4壁パネル13fを利用することで、木質系(木材)素材が有する魅力的なデザイン(意匠)の見場のよい壁を作ることができ、自然素材である木質系素材が有する美観や心地よさ、暖かさ、安らぎを居住者や来客者に与える天井や壁、床を作ることができる。
【0098】
木製ユニット家屋10Bは、木質系天井プレート11bと木質系床プレート12bと木質系第1壁パネル13d、木質系第2壁パネル13e、木質系第4壁パネル13fとに囲繞された前後方向(又は幅方向)へ長い所定容積の内部居住空間44が画成されるから、自然素材である木質系素材が有する美観や心地よさ、暖かさ、安らぎを与えることが可能な天井や壁、床を備えた居住空間44を作ることができる。木製ユニット家屋10Bは、それに持続可能な循環型資源である木質系素材がふんだんに使用されるから、森林資源を有効活用することができ、CO2の削減に寄与することで環境負荷を低減することができる。
【0099】
木製ユニット家屋10Bは、第1収容空間47、第2収容空間48、第4収容空間57に断熱材46(グラスウール又はセルロースファイバー)が木質系第1壁パネル13d、木質系第2壁パネル13e、木質系第4壁パネル13fの外部の側から収容されて内断熱を形成し、内断熱であるにもかかわらず、断熱材46を木質系第1壁パネル13d、木質系第2壁パネル13e、木質系第4壁パネル13fの外部の側から第1収容空間47、第2収容空間48、第4収容空間57に収容するから、木質系第1壁パネル13d、木質系第2壁パネル13e、木質系第4壁パネル13fの第1収容空間47、第2収容空間48、第4収容空間57に配置された配線ケーブルやコンセントBOX、コンセントプレート等の電気器具、給排水管等の水回り機器、配管やダクト等の空調機器の各設備が断熱材収容時の邪魔になることはなく、それら空間47,48,57に断熱材46をスムースに収容することができ、断熱材46によって内断熱が作られた木製ユニット家屋10Bを手間と時間とを要せずに速やかに作ることができる。
【0100】
木製ユニット家屋10Bは、CLTから作られた木質系天井プレート11b及び木質系床プレート12bによって天井及び床が形成され、マニュアル化されたツーバイフォー工法によって作られた木質系第1壁パネル13d、木質系第2壁パネル13e、木質系第4壁パネル13fが壁を形成し、木質系天井プレート11b、木質系床プレート12b、木質系第1壁パネル13d、木質系第2壁パネル13e、木質系第4壁パネル13fを所定の手順に従って連結することで、木製ユニット家屋10Bを作ることができるから、熟練工の優れた技能を利用することなく、マニュアルに従って施工者が容易かつ短時間に木製ユニット家屋10Bを作ることができるとともに、均一な品質と高い強度を有する木製ユニット家屋10Bを簡単に作ることができる。
【0101】
図17は、他の一例として示す木製ユニット家屋10Cの斜視図であり、
図18は、背面の側から示す
図17の木製ユニット家屋10Cの斜視図である。
図19は、
図17の木製ユニット家屋10Cの正面図であり、
図20は、
図17の木製ユニット家屋10Cの背面図である。
図17では、木製ユニット家屋10Cを正面の側から示す。
図17,18では、上下方向を矢印X、前後方向を矢印Yで示し、幅方向を矢印Zで示す。尚、木製ユニット家屋10Cの上面図及び底面図は、
図5に示す木製ユニット家屋10Aの上面図及び
図6に示す木製ユニット家屋10Aの底面図と同様であるから、
図5,6を援用し、木製ユニット家屋10Cの上面図及び底面図の図示は省略する。
【0102】
木製ユニット家屋10Cは、水平方向へ展開する所定面積の木質系天井プレート11cと、水平方向へ展開する所定面積の木質系床プレート12cと、垂直方向へ展開する所定面積の木質系壁パネル13とから形成されている。木質系天井プレート11c及び木質系床プレート12cは、木製ユニット家屋10Aのそれらと同様のCLT(Cross Laminated Timber)から作られている。
【0103】
木製ユニット家屋10Cの木質系天井プレート11cは、前後方向へ長い略矩形に成形され、幅方向へ延びる第1及び第2端縁部14,15と、前後方向へ延びる第3及び第4端縁部16,17とを有する。尚、木質系天井プレート11cが幅方向へ長い略矩形に成形されていてもよく、この場合、木質系天井プレート11cが前後方向へ延びる第1及び第2端縁部14,15と幅方向へ延びる第3及び第4端縁部16,17とを有する。前後方向へ等間隔離間して幅方向へ延びる複数本の垂木18が木質系天井プレート11cの上面に配置され、それら垂木18の上面に野地合板19が取り付けられている。それら垂木18及び野地合板19は、木質系天井プレート11c(CLT)に長ビス(図示せず)によって固定されている。野地合板19の上面には、防水20(塗膜防水(FRP防水))が施されている。
【0104】
木製ユニット家屋10Cの木質系床プレート12cは、前後方向へ長い略矩形に成形され、幅方向へ延びる第1及び第2端縁部21,22と、前後方向へ延びる第3及び第4端縁部23,24とを有する。尚、木質系床プレート12cが幅方向へ長い略矩形に成形されていてもよく、この場合、木質系床プレート12cが前後方向へ延びる第1及び第2端縁部21,22と幅方向へ延びる第3及び第4端縁部23,24とを有する。木質系床プレート12c(CLT)の上面には、接着剤によってフローリング25(遮音性能を高める特殊緩衝材のついた遮音木質床材)が接合されている。
【0105】
木質系壁パネル13は、幅方向(又は前後方向)へ延びる所定面積の木質系第1壁パネル13gと、幅方向(又は前後方向)へ延びる所定面積の木質系第2壁パネル13hとから形成されている。木質系第1壁パネル13g及び木質系第2壁パネル13hは、木質系第1壁パネル13a~木質系第3壁パネル13cと同様に、ツーバイフォー材(2×4材)を使用したツーバイフォー工法によって作られ、略矩形に成形されている。
【0106】
木質系第1壁パネル13g及び木質系第2壁パネル13hは、前後方向又は幅方向へ延びる頭つなぎ26(角木材)及び上枠27(角木材)と、上枠26から上下方向下方に位置して前後方向又は幅方向へ延びる下枠28(角木材)と、上下枠27,28の間に位置して上下方向へ延びる第1縦枠29(角木材)と、第1縦枠29から前後方向又は幅方向へ離間対向して上下方向へ延びる第2縦枠30(角木材)と、第1及び第2縦枠29,30の間に位置して上下方向へ延びていて前後方向又は幅方向へ離間して並ぶ複数のスタッド31(角木材)とから形成されている。
【0107】
頭つなぎ26や上枠27、下枠28、第1縦枠29、第2縦枠30、スタッド31は、規格化された釘によって連結されている。木質系第1壁パネル13g及び木質系第2壁パネル13hは、2×4材(頭つなぎ26、上枠27、下枠28、第1縦枠29、第2縦枠30、スタッド31)の各木材を組んで「枠組」を作り、剛性の高いダイヤフラムを構成している。
【0108】
木質系第1壁パネル13gは、幅方向(又は前後方向)へ延びる第1上端部32(頭つなぎ26及び上枠27)と、第1上端部32の上下方向下方に位置して幅方向(又は前後方向)へ延びる第1下端部33(下枠28)と、上下方向へ延びる第1側縁部34(第1縦枠)と、第1側縁部34から幅方向(又は前後方向)へ離間対向して上下方向へ延びる第2側縁部35(第2縦枠)とを有する。木質系第1壁パネル13gには、各種形状の窓枠(サッシ)やドア枠が作られる。
【0109】
木質系第2壁パネル13hは、木質系第1壁パネル13gから前後方向(又は幅方向)へ離間対向している。木質系第2壁パネル13hは、幅方向へ延びる第2上端部36(頭つなぎ26及び上枠27)と、第2上端部36の上下方向下方に位置して幅方向(又は前後方向)へ延びる第2下端部37(下枠28)と、上下方向へ延びる第1側縁部38(第1縦枠29)と、第1側縁部38から幅方向(又は前後方向)へ離間対向して上下方向へ延びる第2側縁部39(第2縦枠30)とを有する。木質系第2パネル13hには、各種形状の窓枠(サッシ)やドア枠が作られる。尚、木質系第1壁パネル13g及び木質系第2壁パネル13hには、図示はしていないが、配線ケーブルやコンセントBOX、コンセントプレート等の電気器具、給排水管等の水回り機器、配管やダクト等の空調機器の各設備が設置され、換気口やエアコンの冷媒管・ドレンホース用孔が穿孔されている。
【0110】
図21は、パネル・プレート連結工程の他の一例を説明する説明図であり、
図22は、
図21から続く内壁仕上げ材施工工程及び断熱材収容工程の他の一例を説明する説明図である。
図23は、
図22から続く防水工程及び外壁仕上げ材施工工程の他の一例を説明する説明図である。木製ユニット家屋10Cの組立では、最初に
図21に示すパネル・プレート連結工程を実施する。尚、最初に
図22に示す内壁仕上げ材施工工程及び断熱材収容工程を実施し、次に
図21に示すパネル・プレート連結工程を実施してもよい。
【0111】
パネル・プレート連結工程により、木質系第1壁パネル13g及び木質系第2壁パネル13hが木質系天井プレート11c及び木質系床プレート12cに連結される。木質系天井プレート11c及び木質系床プレート12cに木質系第1壁パネル13g及び木質系第2壁パネル13hを連結することで、
図17,18に示すように、木質系天井プレート11c、木質系床プレート12c、木質系第1壁パネル13g、木質系第2壁パネル13hに囲繞された前後方向へ長い所定容積の内部居住空間44が画成される。
【0112】
図21に示すパネル・プレート連結工程では、木質系第1壁パネル13gの第1上端部33(頭つなぎ26及び上枠27)を木質系天井プレート11cの第1端縁部14にホールダウン金物65(引き寄せ金物)(所定の連結手段)(
図27参照)によって連結するとともに、第1上端部33を第1端縁部14に鉛直長ビス61(鉛直ビス)と斜め長ビス62(斜めビス)(所定の連結手段)とのうちの少なくとも斜め長ビス62によって連結する。
【0113】
木質系第1壁パネル13gの第1下端部33(下枠28)を木質系床プレート12cの第1端縁部21にホールダウン金物65(引き寄せ金物)(所定の連結手段)によって連結するとともに、第1下端部33を第1端縁部21に鉛直長ビス61(鉛直ビス)と斜め長ビス62(斜めビス)(所定の連結手段)とのうちの少なくとも斜め長ビス62によって連結する。木質系第1壁パネル13gの第1上端部32と木質系天井プレート11cの第1端縁部14とは、ホールダウン金物65や鉛直長ビス61、斜め長ビス62によって強固に連結され、木質系第1壁パネル13gの第1下端部33と木質系床プレート12cの第1端縁部21とは、ホールダウン金物65や鉛直長ビス61、斜め長ビス62によって強固に連結される。
【0114】
更に、木質系第2壁パネル13hの第2上端部36(頭つなぎ26及び上枠27)を木質系天井プレート11cの第2端縁部15にホールダウン金物65(引き寄せ金物)(所定の連結手段)によって連結するとともに、第2上端部36を第2端縁部15に鉛直長ビス61(鉛直ビス)と斜め長ビス62(斜めビス)(所定の連結手段)とのうちの少なくとも斜め長ビス62によって連結する。
【0115】
木質系第2壁パネル13hの第2下端部37(下枠28)を木質系床プレート12cの第2端縁部22にホールダウン金物65(引き寄せ金物)(所定の連結手段)によって連結するとともに、第2下端部37を第2端縁部22に鉛直長ビス61(鉛直ビス)と斜め長ビス62(斜めビス)(所定の連結手段)とのうちの少なくとも斜め長ビス62によって連結する。木質系第2壁パネル13hの第2上端部36と木質系天井プレート11cの第2端縁部15とは、ホールダウン金物65や鉛直長ビス61、斜め長ビス62によって強固に連結され、木質系第2壁パネル13hの第2下端部37と木質系床プレート12cの第2端縁部22とは、ホールダウン金物65や鉛直長ビス61、斜め長ビス62によって強固に連結される。
【0116】
パネル・プレート連結工程の後、
図22に示す内壁仕上げ材施工工程及び断熱材収容工程が実施される。内壁仕上げ材施工工程によって内壁仕上げ材45が木質系第1壁パネル13g及び木質系第2壁パネル13hに設置され、内壁仕上げ材施工工程の後、断熱材収容工程によって断熱材46が木質系第1壁パネル13g及び木質系第2壁パネル13hに設置される。内壁仕上げ材45には、耐火性や遮音性を有するプラスターボードが使用される。断熱材46には、グラスウールやセルロースファイバーが使用される。
【0117】
内壁仕上げ材施工工程では、木質系第1壁パネル13g(頭つなぎ26、上枠27、下枠28、第1縦枠29、第2縦枠30、スタッド31)の内端面にビス(図示せず)を利用して内壁仕上げ材45(プラスターボード)を接合(固定)し、木質系第2壁パネル(頭つなぎ26、上枠27、下枠28、第1縦枠29、第2縦枠30、スタッド31)の内端面にビス(図示せず)を利用して内壁仕上げ材45(プラスターボード)を接合(固定)する。
【0118】
断熱材収容工程では、上下枠27,28と第1及び第2縦枠29,30とそれらスタッド31とに囲繞された木質系第1壁パネル13gの第1収容空間47(収容空間)に断熱材46(グラスウール又はセルロースファイバー)を収容(充填工法)し、上下枠27,28と第1及び第2縦枠29,30とそれらスタッド31とに囲繞された木質系第2壁パネル13hの第2収容空間48(収容空間)に断熱材46(グラスウール又はセルロースファイバー)を収容(充填工法)する。
【0119】
断熱材46は、木質系第1壁パネル13g及び木質系第2壁パネル13hの外部の側(木製ユニット家屋10Cの外側)から第1収容空間47及び第2収容空間48に収容する。木質系第1壁パネル13g及び木質系第2壁パネル13hでは、第1収容空間47及び第2収容空間48にそれらパネル13g,13hの外部から断熱材46が収容されて内断熱を形成している。
【0120】
内壁仕上げ材施工工程及び断熱材収容工程の後、
図23に示す防水工程及び外壁仕上げ材施工工程が実施される。防水工程によって透湿防水シート50が木質系第1壁パネル13g及び木質系第2壁パネル13hに設置され、防水工程の後、外壁仕上げ材施工工程によって外壁仕上げ材51が木質系第1壁パネル13g及び木質系第2壁パネル13hに設置される。外壁仕上げ材51には、サイディング材が使用される。
【0121】
防水工程では、第1収容空間47に断熱材46を収容した木質系第1壁パネル13g(頭つなぎ26、上枠27、下枠28、第1縦枠29、第2縦枠30、スタッド31)の外端面に木質系第1壁パネル13gと略同大の透湿防水シート50を取り付け、第2収容空間48に断熱材46を収容した木質系第2壁パネル13h(頭つなぎ26、上枠27、下枠28、第1縦枠29、第2縦枠30、スタッド31)の外端面に木質系第2壁パネル13gと略同大の透湿防水シート50を取り付ける。
【0122】
外壁仕上げ材施工工程では、透湿防水シート50を取り付けた木質系第1壁パネル13g(頭つなぎ26、上枠27、下枠28、第1縦枠29、第2縦枠30、スタッド31)の外端面にビス(図示せず)を利用して外壁仕上げ材51(サイディング材)を接合(固定)し、透湿防水シート50を取り付けた木質系第2壁パネル13h(頭つなぎ26、上枠27、下枠28、第1縦枠29、第2縦枠30、スタッド31)の外端面にビス(図示せず)を利用して外壁仕上げ材51(サイディング材)を接合(固定)する。各工程を終了することで、半完成品である木製ユニット家屋10Cが完成する。木製ユニット家屋10Cは、木質系第1壁パネル13gの第1側縁部34と木質系第2壁パネル13hの第1側縁部38との間に位置する所定面積の第1開口スペース52と、木質系第1壁パネル13gの第2側縁部35と木質系第2壁パネル13hの第2側縁部39との間に位置し、第1開口スペース52から幅方向へ離間対向する所定面積の第2開口スペース58とを有する。
【0123】
木製ユニット家屋10Cは、CLTから作られた木質系天井プレート11c及び木質系床プレート12cと、ツーバイフォー材(2×4材)から作られた木質系第1壁パネル13g及び木質系第2壁パネル13hとから形成され、地震や振動の力を1点に集中させることなく、木製ユニット家屋10C全体にバランスよく分散させることができ、地震や振動による木製ユニット家屋10Cの変形や破損、崩壊を防ぐことができる。
【0124】
木製ユニット家屋10Cは、CLTから作られた木質系天井プレート11c及び木質系床プレート12cを利用することで、木質系(木材)素材が有する魅力的なデザイン(意匠)の見場のよい天井や床を作ることができ、ツーバイフォー材(2×4材)から作られた木質系第1壁パネル13g及び木質系第2壁パネル13hを利用することで、木質系(木材)素材が有する魅力的なデザイン(意匠)の見場のよい壁を作ることができ、自然素材である木質系素材が有する美観や心地よさ、暖かさ、安らぎを居住者や来客者に与える天井や壁、床を作ることができる。
【0125】
木製ユニット家屋10Cは、木質系天井プレート11cと木質系床プレート12cと木質系第1壁パネル13g及び木質系第2壁パネル13hとに囲繞された前後方向(又は幅方向)へ長い所定容積の内部居住空間44が画成されるから、自然素材である木質系素材が有する美観や心地よさ、暖かさ、安らぎを与えることが可能な天井や壁、床を備えた居住空間44を作ることができる。木製ユニット家屋10Cは、それに持続可能な循環型資源である木質系素材がふんだんに使用されるから、森林資源を有効活用することができ、CO2の削減に寄与することで環境負荷を低減することができる。
【0126】
木製ユニット家屋10Cは、第1収容空間47及び第2収容空間48に断熱材46(グラスウール又はセルロースファイバー)が木質系第1壁パネル13g及び木質系第2壁パネル13hの外部の側から収容されて内断熱を形成し、内断熱であるにもかかわらず、断熱材46を木質系第1壁パネル13g及び木質系第2壁パネル13hの外部の側から第1収容空間47及び第2収容空間48に収容するから、木質系第1壁パネル13gの第1収容空間47、木質系第2壁パネル13hの第2収容空間48に配置された配線ケーブルやコンセントBOX、コンセントプレート等の電気器具、給排水管等の水回り機器、配管やダクト等の空調機器の各設備が断熱材収容時の邪魔になることはなく、第1収容空間47及び第2収容空間48に断熱材46をスムースに収容することができ、断熱材46によって内断熱が作られた木製ユニット家屋10Cを手間と時間とを要せずに速やかに作ることができる。
【0127】
木製ユニット家屋10Cは、CLTから作られた木質系天井プレート11c及び木質系床プレート12cによって天井及び床が形成され、マニュアル化されたツーバイフォー工法によって作られた木質系第1壁パネル13g及び木質系第2壁パネル13hが壁を形成し、木質系天井プレート11c、木質系床プレート12c、木質系第1壁パネル13g、木質系第2壁パネル13hを所定の手順に従って連結することで、木製ユニット家屋10Cを作ることができるから、熟練工の優れた技能を利用することなく、マニュアルに従って施工者が容易かつ短時間に木製ユニット家屋10Cを作ることができるとともに、均一な品質と高い強度を有する木製ユニット家屋10Cを簡単に作ることができる。
【0128】
図24は、土台60の設置された状態で示す
図1の木製ユニット家屋10Aの正面図であり、
図25は、土台60の設置された状態で示す
図11の木製ユニット家屋10Bの正面図である。
図26は、土台60の設置された状態で示す
図18の木製ユニット家屋10Cの正面図であり、
図27は、木質系床プレート12a~12cと土台60とを連結する連結手段の一例を示す図である。
【0129】
半完成品である木製ユニット家屋10Aや木製ユニット家屋10B、木製ユニット家屋10Cを組立工場において組み立てた後、それら木製ユニット家屋10A~10Cが所定の運搬手段(輸送車両、鉄道、船舶)によって所定の設置箇所(現場)へ運搬される。設置箇所(現場)では、木製ユニット家屋10A~10Cを設置・固定する基礎59の基礎工事が行われている。基礎工事では、計画建物の水平方向の位置や基礎59の高さ等を設置箇所(現場)に示した後、水杭を設置し、水貫を架けて水糸を張る(遣り方)。次に、基礎59を作るために地面を重機で掘り下げ、根切り深さを確認して調整する(根切り)。
【0130】
砕石を搬入し、根切り底と底盤部とに砕石を敷き込み、ランマーで砕石を転圧し、締め固める。プレートコンバーターで表層をならして仕上げる(地業)。地面からの湿気が木製ユニット家屋10Aの内部に入るのを防ぐために防湿フィルムを底盤全体にしわが生じないように敷く。捨てコン天端レベルと同一高さに合わせ、アタリとなる鉄筋等を砕石に差し込み、アタリ天端まで生コンを流し込み、表面を平滑にならす。捨てコンが固まった後、墨出しをする。基礎59を通り心から心ズレさせる場合があるため、通り心だけでなく型枠用の墨も出す(捨てコン)。
【0131】
作業性を考慮して鉄筋を間配りし、外周部の仮組をする。ある程度組み終わった場合、鉄筋径に合わせて重ね継手となる配筋を入れ、結束する。次に、立上り部と底盤部との鉄筋どうし結束する。外周部と底盤部とがすべて組み終わったら、内部の立上り部の配筋を行う。建物奥側の鉄筋から間配りする。ある程度間配りしたら、スペーサー(サイコロ)を置いてゆく。底盤部の主筋の端部フックを短手側の立上り部のあばら筋に鉄線で結束する。底盤部の主筋を配力筋と結束し、固定する。配力筋を長手側に立上り部のあばら筋と結束する(配筋)。
【0132】
スリーブを立上り部のあばら筋に設置し、GL下から底盤を貫通して立ち上がる排水管や給水管等の配管を設置する(配管回り)。次に、外周部外側の型枠を固定するため、型枠を組む前に幅止めセパレータを捨てコンに出した墨に合わせて固定する。外周部外側だけ型枠を組む。打設時に生コンに押されて型枠が崩壊しないように型枠の外側に単管パイプを取り付けて固定する。底盤部の打設が完了したら、外周部の内側と基礎内部の立上り部の型枠を底盤に設置した幅止めセパレータに載せて組んでゆく。アンカーボルトのうち、下端が底盤部の打設天端よりも下になるものは打設前に設置する。生コンをポンプ車で圧送し、基礎59内に流し込む。バイブレーターをかけて生コンを締め固める。生コンが凝固する前に打設した箇所から順次仕上用トンボでならし、表面を平滑にする。アンカーボルトを設置し、立上がり部の型枠を組み立て、生コンをポンプ車で圧送し、型枠内に流し込み、バイブレーターで締め固める。基礎天端は躯体(土台)と接するためレベル差が生じないようにレベラーを流し込む。全ての作業が終了したら、上にシートをかけて養生する(打設)。
【0133】
基礎天端に土台60の配置を墨出しする。土台60を番付に合わせて基礎59の止め位置に並べる。アンカーボルトの位置を土台60に墨出し、墨に従ってドリルで土台に孔を開ける。基礎59の上に基礎パッキンを敷き、図面どおりに土台60を敷き、アンカーボルトの位置やホゾ穴との干渉の有無を確認しながらアンカーボルトを固定する。短く調整した鋼製束を大引にビス止めし、土台と大引の仕口を重ね、大引を掛矢でたたいて土台60に嵌め込む。鋼製束の高さを調節して大引の水平を出す(土台敷き)。
【0134】
木製ユニット家屋10A~10Cをクレーンで吊り上げ、木製ユニット家屋10A~10CのCLTから作られた木質系床プレート12a~12cを基礎立上がりに敷設された土台60に載せ、鉛直ビス61と斜めビス62とによって木質系床プレート12a~12cを土台60に連結(固定)する。木製ユニット家屋10A~10Cは、鉛直ビス61と斜めビス62とを利用して木質系床プレート12a~12cと基礎立上がりに敷設された土台60とを連結することで、CLTから作られた木質系床プレート12a~12cを基礎立上がりに敷設された土台60に確実かつ強固に連結することができ、頑丈な木製ユニット住宅63を作ることができる。
【0135】
尚、木質系床プレート12a~12cを土台60に連結(固定)した後、窓枠に掃出し窓64や腰窓64、地窓64等を取り付け、ドア枠に玄関ドア66(開き戸)を取り付ける。更に、洗面化粧台(衛生設備)、水洗トイレ(衛生設備)、シンク(水道設備)、ガスコンロ(ガス設備)、IHクッキングヒーター、レンジフード(空調設備)、システムキッチン、ユニットバス、エアコン(空調設備)等を設置する。更に分電盤や弱電盤、コンセント、各種スイッチ等の電気設備を設置し、ガス給湯器を設置する。
【0136】
図28は、木製ユニット家屋10A~木製ユニット家屋10Cを連結して建設された木製ユニット住宅63の一例を示す正面図であり、
図29は、
図28の木製ユニット住宅63の背面図である。
図30は、
図28の木製ユニット住宅63の側面図であり、
図31は、
図28のユニット住宅63の平面図である。
図29では、木質系天井プレート11a~11c(CLT)の図示を省き、木製ユニット住宅63の間取りを示す。
【0137】
木製ユニット住宅63(新築)は、2棟の木製ユニット家屋10A1及び木製ユニット家屋10A2と、2棟の木製ユニット家屋10B1及び木製ユニット家屋10B2と、5棟の木製ユニット家屋10C1~10C5を連結することから作られている。木製ユニット住宅63では、1棟の木製ユニット家屋10A1と1棟の木製ユニット家屋10B1との間に4棟の木製ユニット家屋10C1~10C4を位置させた状態で、それらユニット家屋10A1,10B1,10C1~10C4を連結することで、
図31に示すように、トイレ、洗面化粧室、浴室、玄関ホール、キッチンルーム、リビングルームが作られている。
【0138】
1棟の木製ユニット家屋10A2と1棟の木製ユニット家屋10B2の間に1棟の木製ユニット家屋10C5を位置させた状態で、それらユニット家屋10A2,10B2,10C5を連結することで、
図31に示すように、2部屋の洋室(ベッドルーム)が作られている。それら木製ユニット家屋10A1,10A2,10B1,10B2,10C1~10C4どうしの連結には、ホールダウン金物65(引き寄せ金物)(所定の連結手段)(
図27参照)、鉛直長ビス61(鉛直ビス)及び斜め長ビス62(斜めビス)(所定の連結手段)が使用されている。
【0139】
水洗トイレ(衛生設備)、洗面化粧台(衛生設備)、ユニットバスが木製ユニット家屋10A1に施設され、木製ユニット家屋10A1にトイレや洗面化粧室、浴室が作られている。木製ユニット家屋10A1及び木製ユニット家屋10C1には仕切壁が取り付けられ、仕切壁にはドアが取り付けられている。木製ユニット家屋10C1には玄関ドアが取り付けられ、木製ユニット家屋10C1が玄関ホールを形成している。
【0140】
木製ユニット家屋10C1と木製ユニット家屋10C2との間には仕切壁が取り付けられ、EPS、食器棚が作られている。木製ユニット家屋10C2及び木製ユニット家屋10C3にはシステムキッチン及びキッチンカウンターが設置され、木製ユニット家屋10C2と木製ユニット家屋10C3とがキッチンルームを形成している。木製ユニット家屋10C4と木製ユニット家屋10B1とがリビングルームを形成されている。木製ユニット家屋10C5の中央に仕切壁が取り付けられ、木製ユニット家屋10A2と木製ユニット家屋10C5と木製ユニット家屋10B2とが洋室(ベッドルーム)を形成している。木製ユニット家屋10B2にはドアが取り付けられている。
【0141】
複数の木製ユニット家屋10A~木製ユニット家屋10Cを自由に組み合わせ、組み合わせたそれら木製ユニット家屋10A~木製ユニット家屋10Cを連結することで、任意の床面積及び各種レイアウトの木製ユニット住宅63(新築)を作る(建設する)ことができ、1LDKや2LDK、3LDK等の自由な間取りの木製ユニット住宅63を作る(建設する)ことができる。又、仕切壁や各種のドア、各種の窓、各種の設備を設置することで、それら木製ユニット家屋10A~木製ユニット家屋10Cをトイレや洗面化粧室、浴室、玄関ホール、キッチンルーム、リビングルーム、洋室(ベッドルーム)にすることができる。
【符号の説明】
【0142】
10A 木製ユニット家屋
10A1,10A2 木製ユニット家屋
10B 木製ユニット家屋
10B1,10B2 木製ユニット家屋
10C 木製ユニット家屋
10C1~10C5 木製ユニット家屋
11a~11c 木質系天井プレート
12a~12c 木質系床プレート
13 木質系壁パネル
13a 木質系第1壁パネル
13b 木質系第2壁パネル
13c 木質系第3壁パネル
13d 木質系第1壁パネル
13e 木質系第2壁パネル
13f 木質系第4壁パネル
13g 木質系第1壁パネル
13h 木質系第2壁パネル
14 第1端縁部
15 第2端縁部
16 第3端縁部
17 第4端縁部
18 垂木
19 野地合板
20 防水
21 第1端縁部
22 第2端縁部
23 第3端縁部
24 第4端縁部
25 フローリング
26 頭つなぎ
27 上枠
28 下枠
29 第1縦枠
30 第2縦枠
31 スタッド
32 第1上端部
33 第1下端部
34 第1側縁部
35 第2側縁部
36 第2上端部
37 第2下端部
38 第1側縁部
39 第2側縁部
40 第3上端部
41 第3下端部
42 第1側縁部
43 第2側縁部
44 内部居住空間
45 内壁仕上げ材
46 断熱材
47 第1収容空間(収容空間)
48 第2収容空間(収容空間)
49 第3収容空間(収容空間)
50 透湿防水シート
51 外壁仕上げ材
52 第1開口スペース
53 第4上端部
54 第4下端部
55 第1側縁部
56 第2側縁部
57 第4収容空間(収容空間)
58 第2開口スペース
59 基礎
60 土台
61 鉛直ビス(連結手段)
62 斜めビス(連結手段)
63 木製ユニット住宅
64 窓
65 ホールダウン金物(引き寄せ金物)
66 ドア