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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096313
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】シート処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 45/18 20060101AFI20230630BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20230630BHJP
   B65H 37/06 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
B65H45/18
G03G15/00 430
B65H37/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021211967
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片山 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】成田 寛
【テーマコード(参考)】
2H072
3F108
【Fターム(参考)】
2H072GA01
3F108AA01
3F108AB01
3F108AC01
3F108BA03
3F108BA09
3F108BB02
3F108BB21
3F108CD02
3F108CD07
(57)【要約】
【課題】
折り処理されたシートを座屈させることなく、またシート折り処理の生産性を低下させることもないシート処理装置及びこれを備えた画像形成システムを提供する。
【解決手段】
折りローラ対22で1回目の折り処理が施されたシートを、スイッチバック搬送して2回目の位置へ搬送するに際し、折り処理が施された折り目を後端側にして搬送するときの速度より、折り目を先端側にして搬送するときの速度を速くするように駆動制御する。
【選択図】 図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに対して1回目の折り処理を施し、その後、前記1回目の折り処理によって形成された折り目とは異なる位置に2回目の折り処理を施して、前記1回目の折り処理によって折られたシートの一方端が前記2回目の折り処理によって折られたシートの内側にあるように折り処理を行うシート処理装置において、
所定の搬送方向に搬送されるシートをガイドするガイド面を有する搬送路と、
前記搬送路に搬送されたシートをニップ部で挟持して回転することによりシートを引き込んで折り処理を行う第1の方向と、前記折り処理が施されたシートを引き込んだ方向と反対の第2の方向にスイッチバックしてシートを搬送可能な回転体対と、
前記搬送路に搬送されたシートの端部が当接する当接部を有し、前記搬送方向及び前記搬送方向とは反対の方向に移動してシートの位置を調整可能な位置調整手段と、
前記搬送路に搬送されたシートを前記回転体対のニップ部に向けて突き出す突き出し部材と、
前記搬送路を搬送されるシートに作用しない待機位置と、前記回転体対で折り処理が施され前記第2の方向に搬送されるシートを前記搬送方向に向けて向きを変更するようにガイドするガイド位置とに移動可能な方向変更部材と、
前記シート処理装置の駆動を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記回転体対で1回目の折り処理が施されたシートを、折り処理が施された折り目を後端側にして搬送するときの速度より、折り処理が施された折り目を先端側にして搬送するときの速度を速くするように、前記回転体対と前記位置調整手段とを制御することを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記回転体対で1回目の折り処理が施されたシートを、前記回転体対が折り処理が施された折り目を後端側にして搬送する時の速度より、前記位置調整手段が折り処理が施された折り目を先端側にして搬送する時の速度を速くするように、前記回転体対と前記位置調整手段とを制御することを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記搬送路に搬送されたシートをニップ部で挟持して回転することにより引き込む第1の方向と、引き込んだシートを引き込んだ方向と反対の第2の方向にスイッチバックしてシートを搬送可能なシート搬送手段を有し、
前記制御部は、前記回転体対で1回目の折り処理が施されたシートを、前記シート搬送手段が折り処理が施された折り目を後端側にして搬送する時の速度より、前記位置調整手段が折り処理が施された折り目を先端側にして搬送する時の速度を速くするように、前記シート搬送手段と前記位置調整手段とを制御することを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記回転体対で1回目の折り処理が施されたシートを、前記位置調整手段が折り処理が施された折り目を後端側にして搬送する時の速度より、前記位置調整手段が折り処理が施された折り目を先端側にして搬送する時の速度を速くするように、前記回転体対と前記位置調整手段とを制御することを特徴とする請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項5】
シートに画像を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置により画像形成されたシートに対して1回目の折り処理を施し、その後、前記1回目の折り処理によって形成された折り目とは異なる位置に2回目の折り処理を施して、前記1回目の折り処理によって折られたシートの一方端が前記2回目の折り処理によって折られたシートの内側にあるように折り処理を行うシート処理装置と、前記画像形成装置と前記シート処理装置の駆動を制御する制御部とを備えた画像形成システムにおいて、
前記シート処理装置は、
所定の搬送方向に搬送されるシートをガイドするガイド面を有する搬送路と、
前記搬送路に搬送されたシートをニップ部で挟持して回転することによりシートを引き込んで折り処理を行う第1の方向と、前記折り処理が施されたシートを引き込んだ方向と反対の第2の方向にスイッチバックしてシートを搬送可能な回転体対と、
前記搬送路に搬送されたシートの端部が当接する当接部を有し、前記搬送方向及び前記搬送方向とは反対の方向に移動してシートの位置を調整可能な位置調整手段と、
前記搬送路に搬送されたシートを前記回転体対のニップ部に向けて突き出す突き出し部材と、
前記搬送路を搬送されるシートに作用しない待機位置と、前記回転体対で折り処理が施され前記第2の方向に搬送されるシートを前記搬送方向に向けて向きを変更するようにガイドするガイド位置とに移動可能な方向変更部材と、
を備え、
前記制御部は、前記回転体対で1回目の折り処理が施されたシートを、折り処理が施された折り目を後端側にして搬送するときの速度より、折り処理が施された折り目を先端側にして搬送するときの速度を速くするように、前記回転体対と前記位置調整手段とを制御することを特徴とする画像形成システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記回転体対で1回目の折り処理が施されたシートを、前記回転体対が折り処理が施された折り目を後端側にして搬送する時の速度より、前記位置調整手段が折り処理が施された折り目を先端側にして搬送する時の速度を速くするように、前記回転体対と前記位置調整手段とを制御することを特徴とする請求項5に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記搬送路に搬送されたシートをニップ部で挟持して回転することにより引き込む第1の方向と、引き込んだシートを引き込んだ方向と反対の第2の方向にスイッチバックしてシートを搬送可能なシート搬送手段を有し、
前記制御部は、前記回転体対で1回目の折り処理が施されたシートを、前記シート搬送手段が折り処理が施された折り目を後端側にして搬送する時の速度より、前記位置調整手段が折り処理が施された折り目を先端側にして搬送する時の速度を速くするように、前記シート搬送手段と前記位置調整手段とを制御することを特徴とする請求項5に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記回転体対で1回目の折り処理が施されたシートを、前記位置調整手段が折り処理が施された折り目を後端側にして搬送する時の速度より、前記位置調整手段が折り処理が施された折り目を先端側にして搬送する時の速度を速くするように、前記回転体対と前記位置調整手段とを制御することを特徴とする請求項5に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば画像形成装置から送られたシートを折り処理するためのシート処理装置及びこれを備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれらの複合機器等の画像形成装置から排出されるシートの後処理として、シート束を冊子状に折り処理するシート処理装置が提供されている。例えば、画像形成装置からシートスタッカに搬出されるシートの所定位置を突き板で折り曲げて折りローラ対のニップ部に押し込み、該折りローラ対で搬送しながら二つ折りにするシート処理装置が知られている。
【0003】
シートに折り処理を行うシート処理装置の中には、二つ折りのみならず、シートの異なる2箇所に折り処理を施し、シートの一方側の端部が折られたシートの内側にあるように折る内三つ折り処理を実行するシート処理装置がある。このような装置にあっては、1回目の折り処理をしたシートをスイッチバック搬送してスタッカに戻し、このシートに1回目と異なる位置で2回目の折り処理を実行することで内三つ折りにする(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-56674号
【特許文献2】特開2018-184228号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記折り処理にあたり、1回目の折り処理をされたシートをスイッチバック搬送して搬送路に戻す際、シートの端部はガイド部材のガイド面に沿って搬送されるが、スイッチバック搬送されるシートは折り目を後端側に、折られた開放側の端部を先端側にして搬送される。このとき、折り処理をされた折り目が元の形状に戻ろうとする力により開放側の端部は開く方向に力が働く。このため、折り目から近い側の端部がガイド面に沿って搬送される際に摩擦抵抗が増大し、これによってスイッチバック搬送されるシートが座屈するおそれが生ずる。前記座屈の発生は慣性の性質上、シートの移動速度が速いほど顕著に現れる。
【0006】
前記座屈の発生を回避する方法の一つとして、シートの移動速度を一定速度以下に制御することが考えられる。例えば、折り処理されたシートをスイッチバック搬送する際に、速度を遅くしてシートの開放側先端がガイド面に衝突したときの抵抗を軽減させ、座屈の発生を防止する構成が提案されている(特許文献2)。
【0007】
しかし、シートの搬送速度を遅くすることは、折り処理に必要な時間が増え、折り処理の生産性が低下してしまう。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、折り処理されたシートを座屈させることなく、またシート折り処理の生産性を低下させることもないシート処理装置及びこれを備えた画像形成システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る代表的な構成は、シートに対して1回目の折り処理を施し、その後、前記1回目の折り処理によって形成された折り目とは異なる位置に2回目の折り処理を施して、前記1回目の折り処理によって折られたシートの一方端が前記2回目の折り処理によって折られたシートの内側にあるように折り処理を行うシート処理装置において、所定の搬送方向に搬送されるシートをガイドするガイド面を有する搬送路と、前記搬送路に搬送されたシートをニップ部で挟持して回転することによりシートを引き込んで折り処理を行う第1の方向と、前記折り処理が施されたシートを引き込んだ方向と反対の第2の方向にスイッチバックしてシートを搬送可能な回転体対と、前記搬送路に搬送されたシートの端部が当接する当接部を有し、前記搬送方向及び前記搬送方向とは反対の方向に移動してシートの位置を調整可能な位置調整手段と、前記搬送路に搬送されたシートを前記回転体対のニップ部に向けて突き出す突き出し部材と、前記搬送路を搬送されるシートに作用しない待機位置と、前記回転体対で折り処理が施され前記第2の方向に搬送されるシートを前記搬送方向に向けて向きを変更するようにガイドするガイド位置とに移動可能な方向変更部材と、前記シート処理装置の駆動を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記回転体対で1回目の折り処理が施されたシートを、折り処理が施された折り目を後端側にして搬送するときの速度より、折り処理が施された折り目を先端側にして搬送するときの速度を速くするように、前記回転体対と前記位置調整手段とを制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明にあっては、折り処理されたシートを搬送するときに、搬送方向に対して折り目を後端側にして搬送するときよりも折り目を先端側にして搬送するときを速くすることで、シートの座屈を抑制しつつ折り処理の生産性低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態の画像形成システムの全体構成の説明図
図2】画像形成システムにおけるシート処理装置の全体構成の説明図
図3】シート処理装置の折り処理装置を示す断面図
図4】(a)はグリップ手段のグリップ状態を示す断面図、(b)はその斜視図
図5】(a)はグリップ手段のグリップ解除状態を示す断面図、(b)はその斜視図
図6】シート折り処理装置を示す平面図
図7】折り処理制御構成のブロック図
図8】内三つ折り処理手順を示すフローチャート
図9】内三つ折り処理手順を示すフローチャート
図10】内三つ折り処理手順を示すフローチャート
図11】(a)(b)はシートの内三つ折り動作の断面説明図
図12】(a)(b)はシートの内三つ折り動作の断面説明図
図13】(a)(b)はシートの内三つ折り動作の断面説明図
図14】(a)(b)はシートの内三つ折り動作の断面説明図
図15】(a)(b)はシートの内三つ折り動作の断面説明図
図16】(a)(b)はシートの内三つ折り動作の断面説明図
図17】(a)(b)はシートの内三つ折り動作の断面説明図
図18】小径部を有する折りローラ対を備えたシート処理装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔第1実施形態〕
次に図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態に係るシート処理装置及びこれを備えた画像形成システムについて説明する。図1は、本発明の実施形態に係るシート処理装置を備えた画像形成システムの全体構成を概略的に示している。同図に示すように、画像形成システム100は、画像形成装置Aと、これに併設されるシート処理装置Bとから構成される。
【0013】
<画像形成装置>
画像形成装置Aは、画像形成ユニットA1とスキャナユニットA2とフィーダーユニットA3とで構成される。画像形成ユニットA1は、装置ハウジング1の内部に給送部2と画像形成部3と排出部4とデータ処理部5とを備えている。
【0014】
給送部2は、それぞれ異なるサイズの画像形成用シートを収納する複数のカセット機構2a,2b,2cで構成され、図示しない本体制御部から指定されたサイズのシートを給送経路2fに繰り出す。各カセット機構2a,2b,2cは給送部2から着脱可能に設置され、それぞれ内部のシートを1枚ずつ分離する分離機構と、シートを繰り出す給送機構とが内蔵されている。給送経路2fには、各カセット機構2a,2b,2cから供給されるシートを下流側に給送する搬送ローラと、経路端部には各シートを先端揃えするレジストレイションローラ対とが設けられている。
【0015】
給送経路2fには、大容量カセット2dと、手差しトレイ2eとが接続されている。大容量カセット2dは、大量に消費するサイズのシートを収納するオプションユニットで構成される。手差しトレイ2eは、分離給送が困難な厚紙シート、コーティングシート、フィルムシートなどの特殊シートを供給可能なように構成される。
【0016】
画像形成部3は、本実施形態では電子写真方式を用いて構成されており、回転する感光ドラム3aと、その周囲に配置された、光学ビームを発光する発光器3b、現像器3c、クリーナ(図示せず)とを備えている。図示のものはモノクロ印刷機構であり、周面を一様に帯電した感光ドラム3aに発光器3bにより画信号に応じた光照射をして光学的に潜像を形成し、この潜像に現像器3cでトナーを付着させることでトナー像を形成する。
【0017】
上記感光ドラム3aに画像形成するタイミングに合わせて、給送経路2fからシートを画像形成部3に送り、転写帯電器3dから転写バイアスの印加することによって感光ドラム3aに形成したトナー像をシート上に転写する。トナー像が転写されたシートは、定着器6を通過するときに加熱、加圧されてトナー像が定着され、排出ローラ4aにより排出口4bから排出され、後述するシート処理装置Bに搬送される。
【0018】
スキャナユニットA2は、画像原稿を載置するプラテン7aと、このプラテン7aに沿って往復動するキャリッジ7bと、光電変換手段7cと、前記キャリッジ7bによるプラテン7a上の原稿からの反射光を光電変換手段7cに案内する縮小光学系7dとを備える。光電変換手段7cは、縮小光学系7dからの光学出力を画像データに光電変換して、電気信号として画像形成部3へ出力する。
【0019】
また、スキャナユニットA2は、フィーダーユニットA3から送られてくるシートを読み取るために、走行プラテン7eを備えている。フィーダーユニットA3は、原稿シートを積載する給送トレイ8aと、この給送トレイ8aから送り出した原稿シートを走行プラテン7eに案内する給送経路8bと、走行プラテン7eを通過した原稿シートを収納する排出トレイ8cで構成される。給送トレイ8aからの原稿シートは、走行プラテン7eを通過する際に、キャリッジ7bと縮小光学系7dとで読み取られる。
【0020】
<シート処理装置>
次に画像形成装置Aから送られてくるシートを処理するシート処理装置Bの全体構成について説明する。
【0021】
図2は本実施形態に係るシート処理装置Bの構成説明図である。シート処理装置Bは、画像形成装置Aからのシートを導入するための搬入口10を設けた装置ハウジング11を備える。装置ハウジング11は、搬入口10を画像形成装置Aの排出口4bに連通させるように、画像形成装置Aのハウジング1に位置を合わせて配置される。
【0022】
シート処理装置Bは、搬入口10から導入されるシートを搬送するシート搬入経路12と、シート搬入経路12から分岐される第1排出パス13a、第2排出パス13b及び第3排出パス13cと、第1経路切換手段14aと、第2経路切換手段14bとを備える。第1経路切換手段14a及び第2経路切換手段14bは、それぞれシート搬入経路12を搬送されるシートの搬送方向を変更するフラッパガイドで構成されている。
【0023】
第1経路切換手段14aは、図示しない駆動手段によって、搬入口10からのシートをそのまま横方向に搬送する第1排出パス13a及び下方へ搬送する第2排出パス13bの方向に案内するモードと、上方へ搬送する第3排出パス13cに案内するモードとに切り換える。第1排出パス13aと第2排出パス13bとは、一旦第1排出パス13aに導入されたシートを、搬送方向を反転させて第2排出パス13bにスイッチバック搬送することが可能なように連通している。
【0024】
第2経路切換手段14bは、シート搬入経路12を搬送されるシートの搬送方向に関して、第1経路切換手段14aの下流側に配置されている。第2経路切換手段14bは、同じく図示しない駆動手段によって、第1経路切換手段14aを通過したシートを第1排出パス13aに導入するモードと、一旦第1排出パス13aに導入されたシートを第2排出パス13bにスイッチバック搬送するモードとに切り換える。
【0025】
シート処理装置Bは、それぞれ異なる後処理を行う第1処理部B1、第2処理部B2、第3処理部B3を備える。更にシート搬入経路12には、搬入されたシートにパンチ穴を穿孔するパンチユニット15が配置されている。
【0026】
第1処理部B1は、シート搬入経路12を搬送されるシートの搬送方向に関して、第1排出パス13aの下流端の排出口16aから搬出された複数のシートを集積し、部揃えして綴じ処理し、装置ハウジング11の外側に設けられた積載トレイ16bに排出する綴じ処理部である。また、第1処理部B1は、シート又はシート束を搬送するシート搬送装置16cと、シート束を綴じ処理する綴じ処理ユニット16dとを備える。第1排出パス13aの下流端には、排出口16aからシートを排出するため、及び第1排出パス13aから第2排出パス13bにスイッチバック搬送するための排出ローラ対16eが設けられている。
【0027】
第2処理部B2は、第2排出パス13bからスイッチバック搬送されてくるシート若しくは複数のシートをシート束にして折り処理を行う、または該シート束を綴じ処理した後、折り処理を行う折り処理部である。後述するように、第2処理部B2は、搬入されたシート又はシート束を折り処理する折り処理装置Fと、第2排出パス13bに搬送されるシートのシート搬送方向に沿って該折り処理装置Fの直ぐ上流側に配置されて、シート束を綴じ処理する綴じ処理ユニット17aとを備える。折り処理されたシートまたはシート束は、排出ローラ対17bによって、装置ハウジング11の外側に設けられた積載トレイ17cに排出される。
【0028】
第3処理部B3は、第3排出パス13cから送られてくるシートを、搬送方向に直交するシート幅方向に所定量オフセットさせて集積するグループと、オフセットさせることなく集積するグループとに区分けするジョグ仕分けを行う。ジョグ仕分けしたシートは、装置ハウジング11の外側に設けられた積載トレイ18に排出され、オフセットされたシート束とオフセットされないシート束とが積み上げられる。
【0029】
図3は、第2処理部B2の全体構成を概略的に示している。上述したように、第2処理部B2は、第2排出パス13bから搬入されたシート、またはシートを集積して部揃えしたシート束を2つ折りに折り処理する折り処理装置Fと、折り処理前のシート束を綴じ処理する綴じ処理ユニット17aとを備える。図示される綴じ処理ユニット17aは、ステープル針を打ち込んでシート束を綴じるステープラ装置である。
【0030】
折り処理装置Fにシートを搬入するために、第2排出パス13bにシート搬送路20が接続されている。第2排出パス13bから中間トレイ21に搬送されるシートの搬送方向に関して、シート搬送路20の下流側には、該シート搬送路20の一部を構成する中間トレイ21が、折り処理するシートを位置決めして積載するために設けられている。中間トレイ21の直ぐ上流側には、シート搬送路20を挟んで綴じ処理ユニット17aとその針受け部17dとが対向位置に設けられている。
【0031】
<折り処理装置>
中間トレイ21の一方の側には、折り回転体対としての折りローラ対22が、前記中間トレイ21に積載されるシート又はシート束の一方の面に対向するように配設されている。折りローラ対22は、互いにローラ面を圧接させた一対の折りローラ22a,22bからなり、その圧接部であるニップ部22cが中間トレイ21に向けて配置されている。折りローラ22a,22bは、中間トレイ21に上方の上流側から下方の下流側へ搬送されるシートの搬送方向に沿って上流側と下流側に、それぞれ中間トレイ21との間隔を略等しくして並置されている。なお、本発明において、前記折り回転体対の回転部は、本実施形態の折りローラ22a,22bに限定されず、回転ベルトなどで構成することができる。更に、折りローラ対22は、各折りローラ22a,22bの軸方向に沿ってそれぞれ複数の折りローラ(回転体)を直列に連続配置して構成することができる。
【0032】
中間トレイ21を挟んで折りローラ対22の反対側には、突き出し部材としての折りブレード23が配置されている。折りブレード23は、その先端を折りローラ対22のニップ部22cに向けて、ブレードキャリア24に担持されている。ブレードキャリア24は、カム部材等で構成した移動手段によって中間トレイ21を略直角に横断する向きに、即ち第2排出パス13bから中間トレイ21に搬送されるシートの搬送方向と交差する向きに、走行可能に設けられている。
【0033】
図3における前後方向、即ち前記折りローラの軸線方向に、ブレードキャリア24を挟んでその両側には、一対の互いに鏡面対称の偏心カムからなるカム部材25(図中には、一方のみを表示)が対向位置に設けられている。カム部材25は、その偏心位置に設けられた回転軸25aを中心に、駆動モータ等の駆動手段によって回動する。カム部材25には、その外周縁に沿ってカム溝25bが形成されている。
【0034】
ブレードキャリア24には、カムフォロワとして、カム溝25bに摺動自在に嵌合するカムピン24cが設けられている。
【0035】
ブレードキャリア24は、駆動モータによりカム部材25を回転させると中間トレイ21に接近又は離反する向きに往復走行する。これによって、図3に示すように、折りブレード23の先端が中間トレイ21により形成されるシート搬送路20に進入していない位置である初期位置と、折りローラ対22のニップ部22cに挟まれる最大突き出し位置との間で、前記両位置を結ぶ突き出し経路に沿って、折りブレード23を直線状に進退自在に移動させることができる。
【0036】
中間トレイ21の下端には、搬送されたシートの搬送方向の先端を当接させて規制してシート搬送路20の中でシートの位置を調整して位置決めする位置調整手段となる規制ストッパ26が配置されている。規制ストッパ26は、シート昇降機構27によって、中間トレイ21に沿って昇降可能に設けられている。
【0037】
本実施形態のシート昇降機構27は、中間トレイ21の裏側で折りブレード23の先端が中間トレイ21により形成されるシート搬送路20に進入していない位置である初期位置にある時のブレードキャリア24の下方に配置され、該中間トレイ21に沿ってその上端及び下端付近に配置された一対のプーリ27a,27bと、前記両プーリに巻き掛けられた伝動ベルト27cとからなるコンベアベルト機構である。規制ストッパ26は、伝動ベルト27c上に固定されている。駆動側のプーリ27a又は27bを駆動モータ等の駆動手段により回転させることによって、規制ストッパ26が、図3に示す下端位置と所望の高さ位置との間を昇降し、それにより中間トレイ21に沿ってシート又はシート束を移動させ、所望の高さで位置決めすることができる。
【0038】
上記のようにして規制ストッパ26は中間トレイ21に沿って上下に移動可能であるが、この規制ストッパ26にはグリップ手段50が取り付けられており、規制ストッパ26と一体的に上下に移動可能となっている。グリップ手段50は、中間トレイ21に搬送されたシートを把持し、規制ストッパ26の移動に伴うシートの移動を確実にするものである。
【0039】
次に、グリップ手段50の構成について図4及び図5を参照して説明する。なお、図4(a)はグリップ手段50がシートをグリップ可能な状態の断面図であり、(b)はその斜視図である。また、図5(a)はグリップ手段50がシートのグリップを解除した状態の断面図であり、(b)はその斜視図である。
【0040】
図4に示すように、グリップ手段50は規制ストッパ26に取り付けられている。規制ストッパ26は前記伝動ベルト27cからの駆動伝達により中間トレイ21のガイド面21aに沿って移動可能な基部26aに当接部26bが設けられている。この当接部26bは、中間トレイ21へ搬送されたシートの下端が当接することでシートを位置決めするものであり、折り処理時には前記当接部26bの位置を調整することによってシートを折り位置へと移動させるものである。なお、当接部26bには起立部26cが連続して直角に折り曲げ形成されており、当接部26bに当接したシートが脱落しないように収容可能としている。
【0041】
グリップ手段50は、前記基部26aに取り付けられ、基部26aがガイド面21aに沿って移動すると、これと一体的に移動する。グリップ手段50は基部26aに対して中間トレイ21へ搬送されるシートの搬送方向と直交するシートの厚みに沿った方向にスライド可能に取り付けられた支持部50aに対して起立部50bが一体的に形成され、起立部50bの内面側に把持部50cが形成されている。さらに、中間トレイ21へのシート搬送路20を挟んで前記把持部50cと対向する位置には、対向部50dが基部26aと一体的に設けられている。
【0042】
前記基部26aと前記支持部50aとの間にはバネ等の弾性部材(不図示)が取り付けられており、起立部50bが常に対向部50d側に付勢されている。これにより、通常は把持部50cが対向部50dに押圧された状態となり、中間トレイ21へ搬送されたシートをグリップし得る状態、いわゆるグリップ状態となっている(図4(a)(b)参照)。
【0043】
また、図5(a)に示すように、基部26aには前記支持部50aと係合したグリップカム50e及びこのグリップカム50eを回動させるカムモータ(不図示)が設けられている。グリップカム50eは大径部と小径部とを有し、このグリップカム50eが回動すると、これに係合した支持部50aが図5(a)に示す矢印方向にスライドし、対向部50dに対して把持部50cが当接、離間する。これによってグリップ手段50をグリップ状態とグリップを解除したグリップ解除状態とに制御することが可能となっている。
【0044】
なお、前記支持部50aは規制ストッパ26の当接部26bよりも下方、すなわち折りローラ対22から遠い位置に配設されており、当接部26bに当接するシートの位置決めを阻害することなく、当接部26bに当接して位置決めされたシートをグリップできるようになっている。また、シートをグリップするグリップ部である把持部50cは前記当接部26bよりも上方、すなわち折りローラ対22に近い位置に設けられている。このため、端部が当接部26bに当接したシートを確実にグリップすることができる。
【0045】
さらに、本実施形態の折り処理装置Fは、中間トレイ21に搬入されるシートの側部を揃えて整合させるためのシート側部整合機構を更に備えている。このシート側部整合機構は、図6に示すように、中間トレイ21のシート幅方向(シート搬送方向と直交するシートの面に沿った方向)の両側に対称に配置された一対のシート側部整合部材28a,28bを有する。なお、図6は折り処理装置Fを上方から見た平面模式図である。前記シート側部整合部材28a,28bは、シート幅方向に相対的に接近離反し得るように移動可能に保持されている。中間トレイ21に搬送され、先端が規制ストッパ26に突き当たったシートに対し、前記シート側部整合部材28a,28bを移動させることでシートの幅方向の位置が整合されるものである。
【0046】
<制御部>
次にシートの折り処理をするときの駆動系の制御構成について説明する。図7のブロック図に示すように、制御部60は各種検出センサからの検出信号や各種処理信号を入力し、入力信号に応じて各種駆動モータ等の駆動を制御する。例えば、規制ストッパ26がホームポジションにあるか否かを検出する規制ストッパHPセンサ61、折りブレード23がホームポジションにあるか否かを検出する折りブレードHPセンサ62、後述する押圧ガイド部材30(図11参照)がホームポジション位置にあるか否かを検出する押圧ガイドHPセンサ64等からの検出信号を入力する。
【0047】
そして、制御部60は、入力した信号に応じて図8乃至図10に示すフローチャートの手順に従うように規制ストッパ26を昇降させるシート昇降機構27を駆動する規制ストッパモータ65、ブレードキャリア24を動作させるためのカム部材25を駆動するカムモータ66、折りローラ対22を駆動回転させる折りローラモータ67を駆動制御する。さらに、制御部60は、シート搬送手段となる排出ローラ対17bを駆動回転させる排出ローラモータ68、押圧ガイド部材30を動作させるための押圧ガイドモータ69、グリップ手段50のグリップカム50eを駆動回転するグリップカムモータ70を駆動制御する。
【0048】
なお、上記制御部60はシート処理装置Bに直接設けた構成でもよく、または画像形成装置本体に上記制御部60を設け、その制御部60によって画像形成装置Aと結合したシート処理装置Bの駆動を制御するようにした構成でもよい。
【0049】
<三つ折り処理動作>
図8乃至図10は中間トレイ21に搬送されたシートを折り処理装置Fにより内三つ折り処理するときの各部材の動作手順を示すフローチャートである。なお、内三つ折り処理とは、1回目の折り処理によってシートを二つ折りし、そのシートに対して最初の折り位置とは異なる箇所で2回目の折り処理をするときに、1回目の折り処理によって折られたシートの一方側の端部が2回目の折り処理によって折られるシートの内側に折り込まれるようにして三つ折りする処理である。
【0050】
本実施形態の折り処理装置Fにあっては、内三つ折り処理を実行するにあたり、1回目の折り処理により二つ折りしたシートを方向変更部材である押圧ガイド部材30でガイドして、シートの搬送方向を変更して中間トレイ21へと確実にスイッチバック搬送するようにしている。
【0051】
以下に本実施形態の折り処理装置Fにより内三つ折り処理をするときの動作について、図8乃至図10のフローチャート及び内三つ折り処理を実行したときのシートSの流れに沿った各部の動きを示す図11乃至図16の断面模式図を参照して説明する。
【0052】
折り処理が開始されると、規制ストッパ26は「第1の折り処理位置」へ移動する(S1)。この第1の折り処理位置は、中間トレイ21に搬送されたシート先端E1が当接部26bに突き当てられたときに、シートSへの1回目の折り位置が折りブレード23と対向する位置である。また、このときグリップ手段50はグリップカム50eが回動してグリップ解除状態、すなわち把持部50cが対向部50dから離間して規制ストッパ26がシート受け入れ可能状態になっている。
【0053】
本実施形態の中間トレイ21は、図11(a)に示すように、鉛直方向に対して傾いて形成されており、シートSを中間トレイ21へ搬送すると(S2)、シートSは一方側の面が中間トレイ21を形成するガイド面21aにガイドされながらシート先端E1を下にシート後端E2が上になって落下するように搬送され、シート先端E1が規制ストッパ26の当接部26bに付き当てられて停止する。
【0054】
折りブレード23は、中間トレイ21のガイド面21aの側から、折りローラ対22に向かってシートSを突き出す位置に配置されている。言い換えると、中間トレイ21のガイド面21aと折りローラ対22とは、シートSを挟んで対応する位置となるように配置されている。
【0055】
折り処理が実行されると、図11(b)に示すように、カムモータ66が駆動してブレードキャリア24が折りローラ対22の方向に移動し、折りブレード23がシートSの1回目の折り位置に当接してニップ部22cへと突き出す(S3)。これと同時に折りローラモータ67及び排出ローラモータ68が駆動して折りローラ対22及び排出ローラ対17bが正転駆動する(S4)。前記各モータにパルスモータを用いる場合、モータを駆動させるとその駆動パルス数がカウンタによりカウントされる。また、前記各モータにDCモータを用いる場合、モータの回転軸上に取り付けたコードホイール(スリット板)のスリットをセンサで読み取り、その数がカウンタによりカウントされる。前記カウント値によりシートの搬送量や折りブレード23の突き出し量等を検知することができる。
【0056】
折りブレード23によって突き出されたシートSが折りローラ対22によってニップ部22cに到達してシートSがニップされると(S5)、規制ストッパ26が「シート受け位置」へと移動を開始する(S6)。前記シート受け位置は、折りローラ対22によって1回目の折り処理が施された折り処理済シートが折りローラ対22の逆転により中間トレイ21へスイッチバック搬送されるに際し、シートの搬送が停止したときに折り位置から遠い側のシート端部E1が規制ストッパ26の当接部26bに当接する位置である。
【0057】
上記のように、折り動作中に規制ストッパ26をシートに近づける方向に移動させた場合、折りブレード23によって突き出されているシートSのシート先端E1に規制ストッパ26が当接してしまうと、折りブレード23に対してシートの折り位置がずれてしまうおそれがある。しかし、本実施形態は前述のようにシートSがニップ部22cにニップされた後に規制ストッパ26を受け位置へと移動させるため、規制ストッパ26の当接部26bがシート端部E1に当接してもシートの折り位置がずれてしまうことがない。
【0058】
なお、規制ストッパ26の移動をシートSが折りローラ対22のニップ部22cに到達する前に移動開始させるようにしてもよい。その場合は、移動する規制ストッパ26がニップ部22cへ突き出されているシートSのシート先端E1に当接しないように、折りブレード23によってシートを突き出す速度よりも遅いシート搬送速度で規制ストッパ26を移動させる必要がある。
【0059】
シートを突き出した折りブレード23は、シートSの1回目の折り部を折りローラ対22のニップ部22cまで突き出す所定量突出すると、カム部材25の回転により進行方向が逆転して戻し方向へ移動してホームポジションへと戻る(S7)。
【0060】
上記折りブレード23の突き出しにより、図12(a)に示すように、折りローラ対22のニップ部22cへ突き出されたシートSの1回目の折り部は折りローラ対22で挟持搬送される間に所定の押圧力で押圧されて折り処理がなされ、そのまま折りローラ対22とともにシート搬送手段を構成する排出ローラ対17bによって搬送される。
【0061】
次に2回目の折処理を行うために、図12(b)に示すように、1回目の折り処理が行われたシート後端E2が所定位置に達した時点でシート搬送を停止する(S8、S9)。前記所定位置は、シートSの折り目から近い側のシート後端E2が中間トレイ21により形成されるシート搬送路20内に搬送された位置である。
【0062】
折りブレード23の上方には、方向変更部材であるL字形状の押圧ガイド部材30が、回動軸30aを中心に回動可能に配置されている。この押圧ガイド部材30は、折りローラ対22で折り処理が施されてスイッチバック搬送されるシートSのシート後端E2を、中間トレイ21へ戻すためにシートの向きを変更するものであり、回動軸30aを中心に回動することでシート搬送する向きの変更に作用しない待機位置(図12(b)参照)と、搬送されるシートの向きを変更するようにガイドするガイド位置(図13(a)参照)とに移動可能である。
【0063】
前記シート後端E2が前記所定位置に達した時点でシート搬送を停止するのは、シート後端E2が回動軸30aより下方(シート先端E1がある中間トレイ21の方向)となる位置までシートが搬送されていることが好ましい。この状態から、折りローラ対22及び排出ローラ対17bを逆転駆動してスイッチバック搬送処理を実行する。前記シート後端E2は、シートを内三つ折り処理するときに、2回目の折り処理によって折られるシートの内側に折り込まれる端部(以下「折込端部E2」という)となる。
【0064】
そして、スイッチバック搬送処理をするときに、ホームポジション(待機位置)に位置しているL字形状の押圧ガイド部材30(図12(b)参照)を、図13(a)に示すように、回動軸30aを中心にして回動させてスイッチバックガイド位置へと移動させる(S10)。前記ガイド部材30の回動により折込端部E2は下方(シート先端E1がある中間トレイ21の方向)へ押し下げられる。この状態で、図13(b)に示すように、グリップ手段50によりシートの折り目から遠い側のシート端部E1をグリップする(S11)。そして、図14(a)に示すように、折りローラ対22及び排出ローラ対17bを逆転駆動してシートをスイッチバック搬送するとともに(S12)、その速度に合わせて規制ストッパ26を下降させて「反転位置」へ移動させる(S13)。
【0065】
このとき、シートSは1回目の折り処理が行われて折り目を後端側に、当該折り目に対して開放側となるように折込端部E2を先端側にして搬送される。この状態では、前述したように折り処理をされた折り目が元の形状に戻ろうとする力により折込端部E2には開く方向に力が働き、折り目から近く開放状態となっている折込端部E2がガイド面21aに押し付けられて摩擦抵抗が増大した状態で摺擦しながら搬送される。摩擦抵抗が大きくなると搬送されるシートが座屈し易くなり、とくに折込端部E2が押圧ガイド部材30のガイド面と中間トレイ21のガイド面21aとの境界に突き当たるとき座屈する可能性が増大する。
【0066】
そのため、本実施形態では折り処理したシートをスイッチバック搬送するとき、すなわち折り目を後端側に、折られた開放側の折込端部E2を先端側にして搬送するときは一定速度以下となる搬送速度V1となるように、折りローラ対22及び排出ローラ対17bの回転周速度、規制ストッパ26の下降速度を制御する。前記移動速度V1は折込端部E2がガイド面21aと摺擦しても摩擦抵抗が大きくならず、座屈を生じない速度であり、本実施形態では200mm/sに設定している。これにより、シートは座屈することなく中間トレイ21へと搬送される。
【0067】
なお、本実施形態にあっては前述したようにシートSをグリップした状態で規制ストッパ26を移動させるためシートに搬送負荷があっても確実に反転位置へと搬送される。
【0068】
上記のようにして折込端部E2が中間トレイ21へとガイドされたシートは、シート端部E1をグリップした規制ストッパ26の「反転位置」への移動に伴って下降する。前記反転位置は、図14(b)に示すように、押圧ガイド部材30がシートSと干渉することなく回動可能となる位置までシートを移動させた位置である。前記反転位置へのシート搬送量は、シートサイズ及び折り位置に応じて決定される。
【0069】
次に規制ストッパ26が反転位置へ移動して(S14)、規制ストッパ26が停止した後(S15)、図15(a)に示すように、グリップ手段50によるシートのグリップ状態を解除するとともに(S16)、押圧ガイド部材30を待機位置へ戻す(S17)。前記のようにグリップ状態を解除することにより、シートをスイッチバック搬送した時にシートのレジストレイションが崩れてしまった場合でもシートが自重により当接部26bに当接するようになり、シート端部のレジストレイションが補正される。
【0070】
次に、グリップ解除した状態で規制ストッパ26を「第2の折り処理位置」へ移動させる(S18)。この第2の折り処理位置は、規制ストッパ26の移動により搬送されたシートの2回目の折り位置が折りブレード23と対向する位置である(図15(b)参照)。
【0071】
上記シートを第2の折り処理位置へ移動させるときは、図15(a)(b)に示すように、折り処理されたシートの折り目が先端側となって搬送される。このとき、折られたシートの端部は閉じる方向に搬送されるため、折り目を後端側にして搬送する場合よりも搬送路から受ける摩擦抵抗は小さくなる。したがって、シートの搬送速度を上げたとしてもシートが座屈するおそれはない。そのため、本実施形態では折り目を先端側にして搬送するときの規制ストッパ26の上昇速度V2は折り折り目を後端側にして搬送するスイッチバック搬送のときの速度V1よりも速い220mm/sに設定している(V1<V2)。 これにより、折り処理の生産性の低下を抑制することができる。
【0072】
また、規制ストッパ26を上昇移動させるときはグリップ手段50によるグリップ状態を解除した状態であるために、シート端が当接部26bに確実に当接するようになる。このため、例えば複数枚のシートを一度に折り処理を行う場合などにあって、シート束が1回目の折り処理を終えてスイッチバック搬送の際に折りローラ対22のニップ部22cを抜ける瞬間に内側のシートが先行してニップ解除されることで発生する、いわゆる束内ズレ等を補正することが可能となる。
【0073】
なお、上記のようにグリップ手段50のグリップ状態を解除した状態で上昇移動している規制ストッパ26を急停止させると、停止に向けた減速の際に端部が当接部26bに当接しているシートが慣性によりズレる可能性がある。そのため、本実施形態では上昇移動している規制ストッパ26を停止する直前にグリップ手段50を動作させてシートをグリップするようにしている(S19~S21)。これにより、規制ストッパ26の停止時のシートのズレを防止している。
【0074】
規制ストッパ26が第2の折り処理位置へ移動した後、グリップ手段50によるグリップ状態を解除し(S22)、カムモータ66を駆動して再度折りブレード23を動作させ、図16(a)に示すように、シートSを折りローラ対22のニップ部へ突き出す(S23)。
【0075】
上記カムモータ66の駆動と同期して折りローラモータ67、排出ローラモータ68を正転駆動する(S24)。これにより、折りブレード23の突き出しによって折りローラ対22へ送られたシートSは、図16(b)に示すように、シートの折込端部E2が2回目の折り処理によって折られるシートの内側に折り込まれた状態で折り処理が施される。
【0076】
そして、図17(a)(b)上記のようにして内三つ折りされたシートSを積載トレイ17cへと排出して折り処理を終了する(S25、S26)。
【0077】
上述のように、本実施形態にあっては折り処理が施されたシートの折り目を後端側にして搬送するときの速度より、折り処理が施されたシートの折り目を先端側にして搬送するときの速度を速くすることにより、折り処理したシートをスイッチバック搬送するときのシートの座屈を防止しつつ、折り処理の生産性低下を抑制することができる。
【0078】
〔第2実施形態〕
前述した実施形態では折り処理を施したシートをスイッチバック搬送するときに、グリップ手段50によりシートをグリップした状態で規制ストッパ26を下降移動させた例を示したが、シートをグリップすることなくスイッチバック搬送するようにしてもよい。
【0079】
本実施形態の中間トレイ21は、前述したように、鉛直方向に対して傾いて形成されている(図11(a)参照)。このため、折り処理が施されたシートがスイッチバック搬送されて折りローラ対22のニップ部22cを抜けると、シートSはグリップ手段50によってグリップされていなくても中間トレイ21を形成するガイド面21aにガイドされながら自由落下してシート先端E1が規制ストッパ26の当接部26bに付き当てられて停止する。
【0080】
したがって、シートを自由落下させる構成にあっては、1回目の折り処理が施されたシートを中間トレイ21へスイッチバック搬送するときの速度制御は折りローラ対22のみを制御すればよく、速度制御が容易になる。
【0081】
〔第3実施形態〕
前述した実施形態では折りローラ対22を円形ローラ対で構成し、該折りローラ対22はシートに折り処理を施す機能と、シートをスイッチバック搬送する機能を有していた。しかし、シートに折り処理を施す手段と、シートをスイッチバック搬送する手段は個別に構成してもよい。
【0082】
例えば、図18に示すシート折り装置は、折りローラ対22の各折りローラ22a,22bは、そのローラ周面が、それぞれ回転軸22a1,22b1の回転軸心を中心に半径R1が一定である第1ローラ面(第1の周面)22a2,22b2と、前記回転軸の回転軸心からの距離が前記第1ローラ面の半径R1より小さい第2ローラ面(第2の周面)22a3,22b3とを有するローラで構成されている。なお、この実施形態では第1ローラ面22a2,22b2は、通常のシート搬送等に用いるローラのローラ面と同様に、摩擦係数が比較的高いゴム材料等で形成し、第2ローラ面22a3,22b3は、摩擦係数が第1ローラ面22a2,22b2より小さいプラスチック樹脂材料等で形成している。
【0083】
折りローラ22a,22bの回転軸22a1,22b1は、共通の駆動モータ等の駆動手段によって回転駆動される。それにより、互いに第1ローラ面22a2,22b2相互及び第2ローラ面22a3,22b3相互が対向するように回転位置を常に同期させることができるように構成されている。
【0084】
そして、第1ローラ面22a2,22b2が対向したときはニップ部22cが所定の押圧力で圧接しており、このニップ部22cを二つ折りされたシートSが通過することによってシートに折り目が付けられる。一方、第2ローラ面22a3,22b3が対向したときはニップ部22cは当接せずに僅かに隙間を有するように構成されている。このため、第2ローラ面22a3,22b3が対向するときは、シートに押圧力は付与されず、搬送力も付与されないことになる。
【0085】
そして、シートの折り処理に際しては、第1ローラ面22a2,22b2が対向したときにシートをニップ部22cに通過させて折り目をつけるとともにシートを排出ローラ対17bへと送り出す。排出ローラ対17bがシートをニップした後は、折りローラ対22は第2ローラ面22a3,22b3が対向した状態で停止させ、排出ローラ対17bによってシートをスイッチバック搬送する。
【0086】
上記のようにシート折り処理に際してシート搬送手段としての排出ローラ対17bによってシートをスイッチバック搬送する構成にあっては、排出ローラ対17bの駆動速度や規制ストッパ26の移動速度を制御することにより、シートの折り目を後端側にして搬送するときの速度より、シートの折り目を先端側にして搬送するときの速度を速くしてシートの座屈を防止しつつ、折り処理の生産性低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0087】
A …画像形成装置
B …シート処理装置
S …シート
E1 …シート先端
E2 …折込端部
17b…排出ローラ対
20 …シート搬送路
21 …中間トレイ
21a…ガイド面
22 …折りローラ対
22a,22b…折りローラ
22c…ニップ部
23 …折りブレード
26 …規制ストッパ
30 …押圧ガイド部材
50 …グリップ手段
60 …制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18