(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096377
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】鉛蓄電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/14 20060101AFI20230630BHJP
H01M 10/12 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
H01M4/14 R
H01M10/12 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212088
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】322013937
【氏名又は名称】エナジーウィズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓太
(72)【発明者】
【氏名】南山 美音
【テーマコード(参考)】
5H028
5H050
【Fターム(参考)】
5H028AA05
5H028BB07
5H028CC07
5H028CC08
5H028HH01
5H028HH05
5H050AA07
5H050AA15
5H050BA09
5H050CA06
5H050CB15
5H050DA02
5H050DA19
5H050FA07
5H050FA12
5H050FA15
5H050GA07
5H050GA09
5H050GA25
5H050HA04
5H050HA08
5H050HA12
(57)【要約】
【課題】活物質保持部材からなる正極とセパレータとの間の耐短絡性を向上させることができる、鉛蓄電池を提供する。
【解決手段】鉛蓄電池100は、複数の筒状部材12からなる活物質保持部材11と筒状部材12に充填される正極材16とを含んで構成される正極10と負極20とがセパレータ30を介して積層される電極群110を備える。活物質保持部材11を構成する筒状部材12の中には、帯状の基材13を螺旋状に巻き回したときに基材13の長手方向端部13cが溶着されることによって形成されている第一筒状部材12Aが含まれている。第一筒状部材12Aにおいて溶着された溶着部分70の少なくとも一部は、基材13の外表面よりも外側に突出すると共に、基材13の密度よりも密度が高い突出部71が形成されている。筒状部材12の突出部71は、セパレータ30が配置されている方向に突出している。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一端部と第二端部との間で第一方向に延在する筒状部材が前記第一方向に直交する第二方向に配列されている活物質保持部材と、前記筒状部材に充填される活物質と、を含んで構成される正極と負極とがセパレータを介して積層される電極群を備える、鉛蓄電池であって、
前記活物質保持部材を構成する前記筒状部材の中には、帯状の基材を前記第一端部から前記第二端部に向かって螺旋状に巻き回したときに前記基材の長手方向端部が溶着されることによって形成されている第一筒状部材、及び、前記基材を一周巻き回したときに前記基材における巻き終わり側端部が溶着されることによって形成されている第二筒状部材、の少なくとも一方が含まれており、
前記第一筒状部材及び前記第二筒状部材において前記溶着された溶着部分の少なくとも一部は、前記基材の外表面よりも外側に突出すると共に、前記基材の密度よりも密度が高い突出部が形成されており、
前記正極を構成する前記活物質保持部材の前記筒状部材の少なくとも一つは、前記第一筒状部材又は前記第二筒状部材であって、前記筒状部材の前記突出部は、前記セパレータが配置されている方向に突出している、鉛蓄電池。
【請求項2】
前記正極を構成する前記筒状部材と前記セパレータとは、前記突出部を介して互いに接触している、請求項1記載の鉛蓄電池。
【請求項3】
前記突出部は、前記基材の外表面からの突出高さが前記基材の厚みの1.02倍~2.0倍となるように形成されている、請求項1又は2記載の鉛蓄電池。
【請求項4】
前記突出部は、その密度が前記基材の密度の1.4倍~5.0倍となるように形成されている、請求項1~3の何れか一項記載の鉛蓄電池。
【請求項5】
前記第一筒状部材は、前記第一端部から前記第二端部まで螺旋状に延在する前記溶着部分の全てが前記突出部となるように形成されている、請求項1~4の何れか一項記載の鉛蓄電池。
【請求項6】
前記活物質保持部材を構成する複数の前記筒状部材は、全て前記第一筒状部材である、請求項1~5の何れか一項記載の鉛蓄電池。
【請求項7】
前記活物質保持部材の前記第二方向における中心位置から前記第二方向における一端側と他端側とにそれぞれ、少なくとも一つの前記第一筒状部材又は前記第二筒状部材が配置されている、請求項1~6の何れか一項記載の鉛蓄電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、鉛蓄電池に関する。
【背景技術】
【0002】
鉛蓄電池は、産業用又は民生用の二次電池として広く用いられており、特に、電動車用鉛蓄電池(例えば自動車用鉛蓄電池。いわゆるバッテリ)、UPS(Uninterruptible Power Supply)、防災(非常)無線用電源、電話用電源等のバックアップ用鉛蓄電池の需要が多い。
【0003】
鉛蓄電池では、活物質を保持(収容)可能な筒状部材として、互いに併設された複数の筒状部材を備える活物質保持部材が用いられることがある。例えば、鉛蓄電池は、筒状部材を備える活物質保持部材と、筒状部材内に挿入された芯金(集電体)と、筒状部材及び芯金の間に充填された電極材(活物質を含有する電極材)とを有する電極を備えている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような鉛蓄電池では、活物質保持部材によって構成される正極と負極とがセパレータを介して積層される電極群が形成されている。電極群において発生する短絡については、様々な対策がほどこされているものの、活物質保持部材からなる正極とセパレータとが接触する部分において発生する短絡を低減したいという要望がある。
【0006】
そこで、本発明の一側面の目的は、活物質保持部材からなる正極とセパレータとの間の耐短絡性を向上させることができる、鉛蓄電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る鉛蓄電池は、第一端部と第二端部との間で第一方向に延在する筒状部材が第一方向に直交する第二方向に配列されている活物質保持部材と、筒状部材に充填される活物質と、を含んで構成される正極と負極とがセパレータを介して積層される電極群を備える、鉛蓄電池であって、活物質保持部材を構成する筒状部材の中には、帯状の基材を第一端部から第二端部に向かって螺旋状に巻き回したときに基材の長手方向端部が溶着されることによって形成されている第一筒状部材、及び、基材を一周巻き回したときに基材における巻き終わり側端部が溶着されることによって形成されている第二筒状部材、の少なくとも一方が含まれており、第一筒状部材及び第二筒状部材において溶着された溶着部分の少なくとも一部は、基材の外表面よりも外側に突出すると共に、基材の密度よりも密度が高い突出部が形成されており、正極を構成する活物質保持部材の筒状部材の少なくとも一つは、第一筒状部材又は第二筒状部材であって、筒状部材の突出部は、セパレータが配置されている方向に突出している。
【0008】
この構成の鉛蓄電池では、正極を構成する活物質保持部材の筒状部材の少なくとも一つは、第一筒状部材又は第二筒状部材であって、筒状部材は、突出部を介してセパレータと接触している。これにより、活物質保持部材の筒状部材とセパレータとは、活物質保持部材の筒状部材とセパレータとが接触することがあっても、必ず突出部を介して接触することとなる。すなわち、活物質保持部材の筒状部材とセパレータとが接触することがあっても、筒状部材の外表面とセパレータとが互いに接触することなく、活物質保持部材の筒状部材とセパレータとの間には隙間が形成される。この結果、活物質保持部材からなる正極とセパレータとの間の耐短絡性を向上させることができる。
【0009】
本発明の一側面に係る鉛蓄電池では、正極を構成する筒状部材とセパレータとは、突出部を介して互いに接触していてもよい。この構成では、活物質保持部材の筒状部材は、その外表面がセパレータと接触することなく、筒状部材とセパレータとの間には隙間が形成される。この結果、活物質保持部材からなる正極とセパレータとの間の耐短絡性を向上させることができる。
【0010】
本発明の一側面に係る鉛蓄電池では、突出部は、基材の外表面からの突出高さが基材の厚みの1.02倍~2.00倍となるように形成されてもよい。この構成では、活物質保持部材からなる正極とセパレータとの間の耐短絡性をより確実に向上させることができる。
【0011】
本発明の一側面に係る鉛蓄電池では、突出部は、その密度が基材の密度の1.4倍~5.0倍となるように形成されてもよい。この構成では、セパレータに接触する部分となる突出部の耐久性を高めることができる。
【0012】
本発明の一側面に係る鉛蓄電池では、第一筒状部材は、第一端部から第二端部まで螺旋状に延在する溶着部分の全てが突出部となるように形成されていてもよい。この構成では、筒状部材が第二方向に配列する活物質保持部材を構成する際に、突出部の形成された方向を意識することなく筒状部材を配列すればよいので生産効率を高めることができる。
【0013】
本発明の一側面に係る鉛蓄電池では、活物質保持部材を構成する複数の筒状部材は、全て第一筒状部材であってもよい。この構成では、活物質保持部材を形成する際に第一筒状部材のみを準備すればよいので、生産性を高めることができる。
【0014】
本発明の一側面に係る鉛蓄電池では、活物質保持部材の第二方向における中心位置から第二方向における一端側と他端側とにそれぞれ、少なくとも一つの第一筒状部材又は第二筒状部材が配置されていてもよい。この構成では、活物質保持部材とセパレータとを突出部を介した状態で電槽内に接触配置するにあたり、活物質保持部材とセパレータとを安定的に配置することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一側面によれば、活物質保持部材からなる正極とセパレータとの間の耐短絡性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る鉛蓄電池をY軸方向から見た断面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る鉛蓄電池をZ軸方向から見た断面図である。
【
図3】
図3(A)は、一実施形態に係る筒状部材の構成を示す斜視図である。
図3(B)は、変形例に係る筒状部材の構成を示す斜視図である。
【
図4】
図4(A)は、一実施形態に係る筒状部材の製造方法を説明する正面図である。
図4(B)は、延在方向から見た一実施形態に係る筒状部材の断面図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係る活物質保持部材を一部拡大して示した正面図である。
【
図6】一実施形態に係る積層体の一部を拡大して示した正面図である。
【
図7】
図7(A)は、変形例2に係る筒状部材の製造方法を説明する正面図である。
図7(B)は、延在方向から見た変形例2に係る筒状部材の断面図である。
【
図8】
図8(A)は、変形例1に係る活物質保持部材を構成する筒状部材の種類を示す説明図である。
図8(B)は、変形例2に係る活物質保持部材を構成する筒状部材の種類を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して一実施形態に係る鉛蓄電池について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
本明細書において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
【0019】
図1~
図6を用いて、本実施形態に係る鉛蓄電池100の一例を説明する。説明の便宜のため、図面には、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を付する場合がある。X軸方向(第三方向)は、正極(電極)10を構成する筒状部材12が配列される方向であり、Y軸方向(第二方向)は、セパレータ30を介して正極10及び負極20が交互に配置される方向であり、Z軸方向(第一方向)は、筒状部材12の延在方向に沿う方向であり、鉛直方向に沿う軸である。
【0020】
図1及び
図2に示されるように、一実施形態に係る鉛蓄電池100は、電極群110と、電極群110を収容する電槽120と、電極群110に接続された連結部材130a,130bと、連結部材130a,130bに接続された極柱140a,140bと、電槽120の注液口を閉塞する液口栓150と、電槽120に接続された支持部材160と、を備える。
【0021】
電極群110は、複数の正極10と、複数の負極20と、複数のセパレータ30と、を備える。正極10及び負極20は、セパレータ30を介してY軸方向に交互に配置されている。セパレータ30間における正極10の周囲の空間には、電解液40が充填されている。セパレータ30の材料としては、正極10と負極20との電気的な接続を阻止し、電解液40を透過させる材料であれば特に限定されない。セパレータ30の材料の例には、微多孔性ポリエチレン、ガラス繊維及び合成樹脂の混合物等が含まれる。
【0022】
正極10は、例えば板状の電極である。正極10は、活物質保持部材11と、複数の芯金14と、正極材(活物質)16と、下部連座51と、上部連座61と、連結部18aと、耳部18bと、を有する。
【0023】
活物質保持部材11は、複数の筒状部材12を含んで構成される。複数の筒状部材12は、X軸方向に沿って隣接して一列に並設されている。複数の筒状部材12は、活物質保持用チューブ(クラッドチューブ)群を構成する。筒状部材12は、Z軸方向に延びている。複数の筒状部材12が並設した構造は、互いに別体である筒状部材12により形成され得る。
【0024】
筒状部材12は、第一端部13aと第二端部13bとの間で一方向(第一方向)に延在すると共に円筒状に形成されている。なお、筒状部材12は、楕円筒状又は角筒状(例えば、角丸四角筒状)等に形成されていてもよい。筒状部材12の中心軸としては、筒状部材12の断面における重心を用いてよい。筒状部材12は、電池の活物質を保持するための部材であり、筒状部材12の内部(内部空間)に活物質を保持(収容)することができる。「活物質」には、化成後の活物質及び化成前の活物質の原料の双方が包含される。
【0025】
基材13は、少なくとも一周巻き回されていればよく、一周を超えて巻き回されていてよく、複数回巻き回しされていてもよい。本実施形態の筒状部材12は、基材13が複数回巻き回しされており、
図3(A)に示されるように、螺旋状に巻き回しされている。「螺旋状」とは、所定方向に延在する中心軸から所定距離の周囲を周回しながら当該中心軸の延在方向に進行することを意味する。
【0026】
図4に示されるように、筒状部材12は、例えば、第一端部13a及び第二端部13bにおいて筒状部材12の軸方向に垂直な端面を有している。当該端面は、帯状の基材13を螺旋状に巻き回して筒状部材12を形成した後、筒状部材12の軸方向に垂直に筒状部材12の両端部を切断することにより形成してもよい。帯状の基材13の幅(短手方向のサイズ)は、5mm~35mmである。また、筒状部材12の軸方向に垂直な端面が得られる形状の基材13を用いることで、両端部を切断することなく上記端面を形成することもできる。
【0027】
帯状の基材13を螺旋状に巻き回す場合、本実施形態のように基材13の長手方向に沿った端部13c(以後、「長手方向端部13c」と称する。)同士が重なり合うように巻き回すことも可能であるし、基材13同士が重ならないように(基材13同士の重なり部が形成されないように)巻き回すこともできる。本実施形態の筒状部材12は、帯状の基材13が第二端部13bから第一端部13aに向かって内周側の基材13の一部が外周側の基材13に被覆される重なり部を有しながら螺旋状に巻き回しされることにより形成されている。重なり部は、0.5mm~5mmの幅を有しており、1mm~3mmの幅であることが好ましい。当該重なり部の幅は、基材13の厚みT0(
図4(B)参照)の4倍より小さいと基材13部分よりも溶着部分である重なり部が破壊されやすくなり、充放電に伴う活物質の膨張収縮に耐えられなくなる可能性が高まるため、重なり部の幅は、基材13の厚みT0の4倍以上であることが好ましい。
【0028】
基材13の水平方向(筒状部材の配列方向)に対する巻き回し角度θの例は、10°~90°である。巻き回し角度θは、Y軸方向から筒状部材12を見たときの、筒状部材12のX軸方向中心における基材13の水平方向に対する角度である。巻き回し角度θの角度範囲は、30°~50°であることが好ましく、35°~45°であることがより好ましい。なお、
図4,
図5では、筒状部材12のX軸方向の位置によらず基材13の角度を一律に同じとして略して描いているが、Y軸方向から見たときに、実際にはX軸方向における端部ほど角度がきつくなるように見える。
【0029】
筒状部材12は、帯状の基材13を第一端部13aから第二端部13bに向かって螺旋状に巻き回したときに基材13の長手方向端部13cが溶着(例えば超音波溶着)されることによって形成されている。このような筒状部材12において溶着された溶着部分70の少なくとも一部は、
図4(A)及び
図4(B)に示されるように、基材13の外表面よりも外側に突出すると共に、基材13の密度よりも密度が高い突出部71が形成されている。言い換えれば、基材13に形成されている空隙の量に比べて、突出部71に形成される空隙の量が少ない。更に言い換えれば、突出部71における単位体積あたりの樹脂量は、基材13における単位当たりの樹脂量に比べて多い。本実施形態の筒状部材12は、第一端部13aから第二端部13bまで螺旋状に延在する溶着部分70の全てが突出部71となるように形成されている。上述したような
図4(A)及び
図4(B)に示されるような筒状部材12を、以後「第一筒状部材12A」と称する。本実施形態の活物質保持部材11を構成する複数の筒状部材12は、全てこの第一筒状部材12Aである。
【0030】
このように形成される筒状部材12の突出部71の突出高さ(突出量)T、すなわち、基材13の外表面からの突出高さTは、例えば、0.01mm~0.3mmである。突出部71の突出高さTは、基材13の厚みT0の1.02倍~2.00倍となるように形成されている。また、突出部71は、その密度が基材13の密度の1.4倍~5.0倍となるように形成されている。突出部71は、隣り合う筒状部材12が対向している方向に沿う方向に突出している。全てが第一筒状部材12Aによって構成される活物質保持部材11から構成される本実施形態の正極10では、活物質保持部材11において互いに隣り合う筒状部材12同士は、突出部71を介して互いに接触している。
図5に示される例では、隣り合う筒状部材12,12の突出部71,71同士が互いに重なることがなく、隣り合う筒状部材12,12同士の間に上述した突出部71の突出高さTに一致する隙間G(G=T)が形成されている。なお、隣り合う筒状部材12,12の突出部71,71同士が互いに重なり、隣り合う筒状部材12,12同士の間に上述した突出部71の突出高さTの2倍に一致する隙間G(G=2T)が形成されてもよい。
【0031】
図2に示されるように、活物質保持部材11は、Y軸方向においてセパレータ30,30に挟まれている。活物質保持部材11を構成する複数の筒状部材12は、セパレータ30に接触された状態で配置されている。電極群110が比較的狭い空間を有する電槽120に収容されることによって、活物質保持部材11がセパレータ30により押圧された状態で挟持されている。
【0032】
図6に示されるように、正極10を構成する筒状部材12とセパレータ30とは、突出部71を介して互いに接触している。全てが第一筒状部材12Aによって構成される活物質保持部材11は、筒状部材12とセパレータ30との間に隙間G2が形成される。隙間G2のサイズは、上述した突出部71の突出高さTに一致する。なお、外表面に外側に向かって突出部(リブ)が形成されている場合には、突出部71と当該突出部(リブ)とが接触するように配置されてもよい。
【0033】
筒状部材12を形成する基材13は、不織布、織布等を含んで形成されてもよく、例えば不織布を含んで形成される。基材13は、樹脂材料を含有することができる。樹脂材料の例には、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリカーボネート等が含まれる。基材は、例えばポリエステルを含有することが可能であり、ポリエステルを含有する不織布を含むことができる。
【0034】
基材13が繊維を含む場合、繊維は配向していてよい。例えば、不織布は、不織布の製造におけるMD方向(機械方向)と、MD方向と直交するCD方向(幅方向)と、を有してよい。繊維がMD方向に配向しやすいことから、MD方向はCD方向よりも機械強度が高い傾向がある。そのため、CD方向における機械強度が高い樹脂シートは、機械強度が相対的に低い方向(CD方向)においても機械強度が高いシートである。基材13が不織布を含む場合、繊維配向に起因する機械強度の影響を抑制しやすいため活物質の漏出が抑制されやすい観点から、活物質保持部材11における少なくとも一つの筒状部材12において、筒状部材12の軸方向(Z軸方向)に対して不織布のMD方向及びCD方向が傾斜していることが好ましい。
【0035】
筒状部材12の軸方向に対するMD方向又はCD方向の傾斜角度は、繊維配向に起因する機械強度の影響を抑制しやすいため活物質の漏出が抑制されやすい観点から、下記の範囲が好ましい。傾斜角度は、0°を超えることが好ましく、10°以上がより好ましく、20°以上が更に好ましく、30°以上が特に好ましく、40°以上が極めて好ましく、43°以上が非常に好ましい。傾斜角度は、90°未満が好ましく、80°以下がより好ましく、70°以下が更に好ましく、60°以下が特に好ましく、50°以下が極めて好ましく、47°以下が非常に好ましい。これらの観点から、傾斜角度は、0°を超え90°未満が好ましく、10°~80°がより好ましく、43°~47°が更に好ましい。傾斜角度が45°である場合には、繊維配向に起因する機械強度の影響を最も抑制しやすいと推測される。
【0036】
基材13は、細孔を有する多孔質体であってよい。基材13は、下記範囲の平均細孔径を有する部分を備えることが好ましい。基材13の平均細孔径は、電極材の流出を抑制しやすい観点から、60μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、45μm以下が更に好ましく、40μm以下が特に好ましい。基材13の平均細孔径は、電気抵抗が減少しやすい観点から、2μmを超えることが好ましく、5μm以上がより好ましく、10μm以上が更に好ましく、20μm以上が特に好ましく、30μm以上が極めて好ましく、35μm以上が非常に好ましい。これらの観点から、基材13の平均細孔径は、2μmを超え60μm以下が好ましい。平均細孔径は、細孔分布測定装置(例えば、株式会社島津製作所製、AUTO PORE IV 9520)により測定できる。
【0037】
活物質保持部材11における少なくとも一つの筒状部材12は、下記範囲の厚さT0(肉厚又は筒状部材12を構成する壁部の厚さとも称する。当該厚さT0は、基材13の厚みである。以下も同様)を有する部分を備えてよい。筒状部材12の厚さT0は、下記の範囲であってよい。筒状部材12の厚さT0は、0.05mm以上、0.1mm以上又は0.2mm以上であってよい。筒状部材12の厚さT0は、1mm以下、0.8mm以下、0.6mm以下又は0.4mm以下であってよい。これらの観点から、筒状部材12の厚さT0は、0.05mm~1mmであってよい。
【0038】
活物質保持部材11における少なくとも一つの筒状部材12の長さは、下記の範囲であってよい。筒状部材12の長さは、50mm以上、100mm以上、120mm以上、160mm以上又は200mm以上であってよい。筒状部材12の長さは、800mm以下、750mm以下、700mm以下、650mm以下、600mm以下又は580mm以下であってよい。これらの観点から、筒状部材12の長さは、50mm~800mmであってよい。
【0039】
芯金14は、各筒状部材12に挿入されている。芯金14は、棒状に形成されている。芯金14は、筒状部材12の内部においてZ軸方向に沿って延びている。芯金14は、例えば、鋳造(加圧鋳造法)により得ることができる。芯金14の構成材料は、導電性材料であればよく、その例には、例えば、鉛-カルシウム-錫系合金、鉛-アンチモン-ヒ素系合金等の鉛合金が含まれる。鉛合金は、セレン、銀、ビスマス等を含んでいてもよい。芯金14の長さは、例えば45mm~805mmである。
【0040】
正極材16は、筒状部材12の内部に充填されている。正極材16は、活物質を含む。活物質には、化成後の活物質及び化成前の活物質の原料の双方が包含される。ここでの正極材16は、化成後の活物質を含有している。化成後の正極材16は、例えば、正極活物質の原料を含む未化成の正極材16を化成することで得ることができる。化成後の正極材16は、例えば、正極活物質の原料を含む正極材ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成の正極材16を得た後に未化成の正極材16を化成することで得ることができる。正極活物質の原料の例には、鉛粉、鉛丹等が含まれる。化成後の正極材16における正極活物質の例には、二酸化鉛等が含まれる。正極材16は、必要に応じて添加剤を更に含有していてもよい。正極材16の添加剤の例には、補強用短繊維等が含まれる。補強用短繊維の例には、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維(PET繊維)等が含まれる。
【0041】
筒状部材12、芯金14及び正極材16は、筒状電極を構成する。正極10の筒状電極は、連結部18a、耳部18b及び連結部材130aを介して極柱140aに電気的に接続されている。
【0042】
図1に示されるように、下部連座51は、活物質保持部材11を構成する複数の筒状部材12の下端部である第一端部13aに取り付けられている。下部連座51は、複数の筒状部材12の下端部を封止する。下部連座51は、複数の筒状部材12の下端部に嵌合されている。なお、筒状部材12の下端部である第一端部13aは、下部連座51を形成する後段にて詳述する樹脂を溶かすことによって溶着されていてもよい。また、下部連座51をインジェクション成形するときに筒状部材12を一体的に形成してもよい。
【0043】
下部連座51は、例えば耐酸性を有する材料で形成されている。下部連座51の材料としては、ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレン等)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリカーボネート(PC)等の樹脂が挙げられる。下部連座51は、サイクル特性を向上させやすい観点から、熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、ポリオレフィンを含むことがより好ましく、ポリプロピレンを含むことが更に好ましい。サイクル特性を向上させやすい観点から、筒状部材12がポリオレフィンを含む場合において下部連座51がこれらの材料を含むことが好ましい。下部連座51は、筒状部材12と同一の材料で形成されていてもよく、筒状部材12と異なる材料で形成されていてもよい。下部連座51の材料としては、特に限定されない。
【0044】
図1に示されるように、上部連座61は、活物質保持部材11を構成する複数の筒状部材12の上端部である第二端部13bに取り付けられている。上部連座61は、溶着により筒状部材12の上端部に固着されている。溶着では、上部連座61及び筒状部材12及び上部連座61の境界部分は一体化していてよい。溶着は、加熱、超音波照射、レーザー照射等により実現できる。なお、熱硬化性の接着剤等により、上部連座61が複数の筒状部材12の上端部に固着されていてもよい。
【0045】
上部連座61は、例えばポリスチレンを含む材料で形成されている。なお、上部連座61の材料としては、特に限定されない。例えば上部連座61の材料の例には、耐酸性を有する材料が含まれる。上部連座61の材料の例には、ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレン等)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリカーボネート(PC)等の樹脂等が含まれる。
【0046】
負極20は、例えば板状の電極である。負極20は、例えばペースト式負極板である。負極20は、連結部材130bを介して極柱140bに電気的に接続されている。負極20は、負極集電体と、当該負極集電体に保持された電極材である負極材と、を有する。負極集電体としては、板状の集電体を用いることができる。負極集電体と正極10の芯金14との組成は、互いに同一であってよく、互いに異なっていてもよい。負極材は、活物質を含む。ここでの負極材は、化成後の活物質を含有している。
【0047】
化成後の負極材は、例えば、負極活物質の原料を含む未化成の負極材を化成することで得ることができる。化成後の負極材は、例えば、負極活物質の原料を含む負極材ペーストを熟成及び乾燥することにより未化成の負極材を得た後に未化成の負極材を化成することで得ることができる。負極活物質の原料の例には、鉛粉等が含まれる。化成後の負極材における負極活物質の例には、多孔質の海綿状鉛(Spongy Lead)等が含まれる。負極材は、必要に応じて添加剤を更に含有することができる。負極材の添加剤の例には、硫酸バリウム、補強用短繊維、炭素材料(炭素質導電材)、スルホン基及びスルホン酸塩基からなる群より選択される少なくとも一種を有する樹脂(スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂)等が含まれる。補強用短繊維としては、正極材と同様の補強用短繊維を用いることができる。
【0048】
炭素材料の例には、カーボンブラック、黒鉛等が含まれる。カーボンブラックの例には、ファーネスブラック(ケッチェンブラック(登録商標)等)、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等が含まれる。スルホン基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂の例には、リグニンスルホン酸、リグニンスルホン酸塩、フェノール類とアミノアリールスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物等が含まれる。リグニンスルホン酸塩の例には、リグニンスルホン酸のアルカリ金属塩等が含まれる。フェノール類の例には、ビスフェノール等のビスフェノール系化合物等が含まれる。アミノアリールスルホン酸の例には、アミノベンゼンスルホン酸、アミノナフタレンスルホン酸等が含まれる。
【0049】
支持部材160は、電槽120の底面に配置され、下部連座51を支持する。支持部材160は、Z軸方向を突出方向とする複数の突条160aを有する。突条160aは、電槽120の底面上に設けられている。突条160aは、X軸方向に延びる。突条160aは、Y軸方向に並ぶ。突条160aは、下部連座51に当接する。すなわち、支持部材160は、下部連座51における電槽120の底面側の部分を各突条160aによって支持している。突条160aは、正極10に接していればよく、負極20に接していなくてよい。
【0050】
上記実施形態の活物質保持部材11を備える鉛蓄電池100の作用効果について説明する。上記実施形態の鉛蓄電池100の正極10では、正極10を構成する活物質保持部材11の筒状部材12の少なくとも一つは、第一筒状部材12A又は第二筒状部材12Bであって、筒状部材12は、突出部71を介してセパレータ30と接触している。これにより、活物質保持部材11の筒状部材12は、その外表面がセパレータ30と接触することなく、筒状部材12とセパレータ30との間には隙間Gが形成される。この結果、活物質保持部材11からなる正極10とセパレータ30との間の耐短絡性を向上させることができる。
【0051】
上記実施形態の鉛蓄電池100の正極10では、筒状部材12(第一筒状部材12A)は、第一端部13aから第二端部13bまで螺旋状に延在する溶着部分70の全てが突出部71となるように形成されている。これにより、筒状部材12がX方向(第二方向)に配列する活物質保持部材11を構成する際に、突出部71の形成された方向を意識することなく(すなわち、突出部71をセパレータ30に対向させることを意識することなく)筒状部材12を配列すればよいので生産効率を高めることができる。
【0052】
上記実施形態の鉛蓄電池100の正極10では、突出部71は、基材13の外表面からの突出高さが基材13の厚みT0の1.02倍~2.00倍となるように形成されている。これにより、活物質保持部材11からなる正極10とセパレータ30との間の耐短絡性をより確実に向上させることができる。
【0053】
上記実施形態の鉛蓄電池100の正極10では、突出部71は、その密度が基材13の密度の1.4倍~5.0倍となるように形成されている。これにより、セパレータ30に接触する部分となる突出部71の耐久性を高めることができる。
【0054】
上記実施形態の鉛蓄電池100の正極10では、活物質保持部材11を構成する複数の筒状部材12は、全て、帯状の基材13を第一端部13aから第二端部13bに向かって螺旋状に巻き回したときに基材13の長手方向端部13cが溶着されることによって形成されている第一筒状部材12Aである(
図4参照)。これにより、活物質保持部材11を形成する際に、上述した第一筒状部材12Aのみを準備すればよいので、生産性を高めることができる。
【0055】
以上、一実施形態について説明したが、本発明の一側面は、上記実施形態に限られない。本発明の一側面の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0056】
<変形例1>
上記実施形態では、
図4に示されるような第一筒状部材12Aのみによって活物質保持部材11が形成された例を挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、活物質保持部材11は、上述した第一筒状部材12Aと、基材13の外周面に突出部71が設けられずフラットな形状の筒状部材12(以後、このような筒状部材12を「第三筒状部材12C」と称する。)と、によって構成されてもよい。この場合であっても、複数の筒状部材12の中に適度な数(例えば、複数の筒状部材12によって構成される正極10の一面の面積当たりの全ての突出部71の面積が8%~33%)の第一筒状部材12Aを組み入れることによって、筒状部材12とセパレータ30との間には隙間Gが形成される。この結果、活物質保持部材11からなる正極10とセパレータ30との間の耐短絡性を向上させることができる。
【0057】
また、活物質保持部材11を第一筒状部材12Aと第三筒状部材12Cとによって構成する場合には、
図8(A)に示されるように、活物質保持部材11のX方向(第二方向)における中心位置からX方向における一端側Rと他端側Lとにそれぞれ、少なくとも一つの第一筒状部材12Aを配置してもよい。
図8(A)に示される例では、X方向における両端部に第一筒状部材12A,12Aが配置されている。これにより、活物質保持部材11とセパレータ30とを筒状部材12の突出部71を介した状態で電槽120内に接触配置するにあたり、活物質保持部材11とセパレータ30とを安定的に配置することができる。
<変形例2>
上記実施形態及び変形例において活物質保持部材11を構成している第一筒状部材12Aに代えて、
図3(B)に示されるような、基材13を一周巻き回したときに基材13における巻き終わり側端部13dが溶着されることによって形成されている、
図7(A)及び
図7(B)に示されるような第二筒状部材12Bを適用してもよい。
【0058】
より詳細には、第二筒状部材12Bを構成する基材13は、
図3(B)に示されるように、渦巻状に巻き回しされている。基材13を渦巻状に巻き回す場合、例えば、矩形状の基材13を基材13の一辺に沿って巻き回すことによって第二筒状部材12Bを形成できる。「渦巻状」とは、同一平面内で周回することを意味する。例えば、螺旋状の場合、基材13が巻き回されるに伴い筒状部材12が伸長するのに対し、渦巻状の場合、基材13が巻き回されるに伴い筒状部材12が厚くなるものの筒状部材12は伸長しない。螺旋状の場合における巻き回し方向は、中心軸に対する基材13の回転方向を意味する。渦巻状の場合における巻き回し方向は、筒状部材12の内層から外層に向かって基材13が巻き回される際の巻き回し方向を意味する。
【0059】
このような変形例に係る活物質保持部材11によって構成される正極10であっても、
図8(B)に示されるように、突出部71の突出方向をY方向(すなわち、セパレータ30に対向する方向)に向けることによって、活物質保持部材11を構成する筒状部材12の外表面とセパレータ30とが直接接触することなく隙間Gが形成されるようになる。この結果、活物質保持部材11からなる正極10とセパレータ30との間の耐短絡性を向上させることができる。
【0060】
<その他の変形例>
上記実施形態及び変形例の鉛蓄電池100の正極10では、活物質保持部材11において互いに隣り合う筒状部材12,12の少なくとも一方は、第一筒状部材12Aであって、突出部71を介して互いに接触している例を挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、活物質保持部材11において互いに隣り合う筒状部材12,12の少なくとも一方は、第一筒状部材12A(
図4(A)参照)又は第二筒状部材12B(
図7(B)参照)であって、第一筒状部材12A又は第二筒状部材12Bの突出部71は隣り合う筒状部材12,12が対向している方向に沿う方向に突出はしているものの、互いに隣り合う筒状部材12,12同士は接触していなくてもよい。この構成では、隣り合う筒状部材12,12同士は、筒状部材12,12同士が接触することがあっても必ず突出部71を介して接触することとなる。すなわち、筒状部材12,12同士が接触することがあっても外表面が互いに接触することなく、筒状部材12,12同士の間には隙間Gが形成される。この結果、ガッシング時において電解液の流動性を高めることができる。
【0061】
上記実施形態及び変形例の鉛蓄電池100では、正極10を構成する筒状部材12とセパレータ30とは、突出部71を介して互いに接触している例を挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、正極10を構成する筒状部材12の突出部71は、セパレータ30に接触することなく、セパレータ30が配置されている方向に突出していてもよい。
【0062】
上記実施形態及び変形例の筒状部材12は、延在方向から見た外形の断面が円形に形成されている例を挙げて説明したが、筒状であれば、楕円形状、矩形形状、菱形形状及び正方形形状等であってもよい。
【0063】
本発明の一態様に係る活物質保持部材11、電極群110及び鉛蓄電池100は、例えば電動車に用いることができる。電動車の例には、フォークリフト、ゴルフカート等が含まれる。
【0064】
本発明の一側面では、上記実施形態及び上記変形例の各構成を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0065】
10…正極、11…活物質保持部材、12…筒状部材、12A…第一筒状部材、12B…第二筒状部材、12C…第三筒状部材、13…基材、13a…第一端部、13b…第二端部、13c…長手方向端部、13d…側端部、16…正極材(活物質)、20…負極、30…セパレータ、40…電解液、70…溶着部分、71…突出部、100…鉛蓄電池、110…電極群、120…電槽。