(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096382
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】通過判定装置、通過判定方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/01 20060101AFI20230630BHJP
【FI】
G08G1/01 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212096
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大和
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB13
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF27
5H181MC12
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】車両が判定対象エリアを通過したか否かを精度よく判定することができる通過判定装置を提供する。
【解決手段】通過判定装置は、判定対象エリアについて多角形で地図上に規定された仮想領域であって、前記多角形の一つ以上の辺について進入辺および退出辺が定められたポリゴンエリアの情報を取得するエリア情報取得部と、対象車両のプローブ情報を逐次受信する受信部と、前記プローブ情報に示される前記対象車両の測位位置の時刻歴から、前記対象車両が前記ポリゴンエリアに進入および退出したか判定し、進入および退出の判定結果の組み合わせが所定条件を満たした場合に、前記対象車両が前記判定対象エリアを通過したと判定する通過判定部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
判定対象エリアについて多角形で地図上に規定された仮想領域であって、前記多角形の一つ以上の辺について進入辺および退出辺が定められたポリゴンエリアの情報を取得するエリア情報取得部と、
対象車両のプローブ情報を逐次受信する受信部と、
前記プローブ情報に示される前記対象車両の測位位置の時刻歴から、前記対象車両が前記ポリゴンエリアに進入および退出したか判定し、進入および退出の判定結果の組み合わせが所定条件を満たした場合に、前記対象車両が前記判定対象エリアを通過したと判定する通過判定部と、
を備え、
前記通過判定部は、
新たに受信した前記プローブ情報および前回受信した前記プローブ情報に示される前記対象車両の測位位置から構成される測位軌跡が、前記進入辺と交差して前記ポリゴンエリアに含まれることとなった場合に、前記対象車両が前記ポリゴンエリアに進入したと判定し、
新たに受信した前記プローブ情報および前回受信した前記プローブ情報に示される前記対象車両の測位位置から構成される測位軌跡が、前記退出辺と交差して前記ポリゴンエリアから外れることとなった場合に、前記対象車両が前記ポリゴンエリアを退出したと判定する、
通過判定装置。
【請求項2】
前記通過判定部は、前記対象車両が前記進入辺として定められた辺から前記ポリゴンエリアに進入し、且つ、前記退出辺として定められた辺から前記ポリゴンエリアを退出した場合に、前記所定条件を満たしたと判定する、
請求項1に記載の通過判定装置。
【請求項3】
前記通過判定部は、前記対象車両が前記進入辺として定められた辺から前記ポリゴンエリアに進入した場合、または、前記退出辺として定められた辺から前記ポリゴンエリアを退出した場合に、前記所定条件を満たしたと判定する、
請求項1に記載の通過判定装置。
【請求項4】
前記通過判定部は、新たに受信した前記プローブ情報に示される前記対象車両の測位位置の平均誤差半径が所定の閾値を超える場合に、新たに受信した前記プローブ情報を前記ポリゴンエリアの進入および退出の判定から除外する、
請求項1から3の何れか一項に記載の通過判定装置。
【請求項5】
前記通過判定部は、新たに受信した前記プローブ情報に示される測位位置と、前回のプローブ情報に示される測位位置とを結ぶ線の長さが所定距離より大きい場合に、新たに受信した前記プローブ情報を前記ポリゴンエリアの進入および退出の判定から除外する、
請求項1から4の何れか一項に記載の通過判定装置。
【請求項6】
前記判定対象エリアは複数の前記ポリゴンエリアを含み、
前記通過判定部は、前記対象車両が定められた順番で複数の前記ポリゴンエリアに進入および退出した場合に、前記所定条件を満たしたと判定する、
請求項1から5の何れか一項に記載の通過判定装置。
【請求項7】
判定対象エリアについて多角形で地図上に規定された仮想領域であって、前記多角形の一つ以上の辺について進入辺および退出辺が定められたポリゴンエリアの情報を取得するステップと、
対象車両のプローブ情報を逐次受信するステップと、
前記プローブ情報に示される前記対象車両の測位位置の時刻歴から、前記対象車両が前記ポリゴンエリアに進入および退出したか判定し、進入および退出の判定結果の組み合わせが所定条件を満たした場合に、前記対象車両が前記判定対象エリアを通過したと判定するステップと、
を有し、
前記対象車両が前記判定対象エリアを通過したか判定するステップにおいて、
新たに受信した前記プローブ情報および前回受信した前記プローブ情報に示される前記対象車両の測位位置から構成される測位軌跡が、前記進入辺と交差して前記ポリゴンエリアに含まれることとなった場合に、前記対象車両が前記ポリゴンエリアに進入したと判定し、
新たに受信した前記プローブ情報および前回受信した前記プローブ情報に示される前記対象車両の測位位置から構成される測位軌跡が、前記退出辺と交差して前記ポリゴンエリアから外れることとなった場合に、前記対象車両が前記ポリゴンエリアを退出したと判定する、
通過判定方法。
【請求項8】
判定対象エリアについて多角形で地図上に規定された仮想領域であって、前記多角形の一つ以上の辺について進入辺および退出辺が定められたポリゴンエリアの情報を取得するステップと、
対象車両のプローブ情報を逐次受信するステップと、
前記プローブ情報に示される前記対象車両の測位位置の時刻歴から、前記対象車両が前記ポリゴンエリアに進入および退出したか判定し、進入および退出の判定結果の組み合わせが所定条件を満たした場合に、前記対象車両が前記判定対象エリアを通過したと判定するステップと、
を通過判定装置に実行させるプログラムであって、
前記対象車両が前記判定対象エリアを通過したか判定するステップにおいて、
新たに受信した前記プローブ情報および前回受信した前記プローブ情報に示される前記対象車両の測位位置から構成される測位軌跡が、前記進入辺と交差して前記ポリゴンエリアに含まれることとなった場合に、前記対象車両が前記ポリゴンエリアに進入したと判定し、
新たに受信した前記プローブ情報および前回受信した前記プローブ情報に示される前記対象車両の測位位置から構成される測位軌跡が、前記退出辺と交差して前記ポリゴンエリアから外れることとなった場合に、前記対象車両が前記ポリゴンエリアを退出したと判定する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通過判定装置、通過判定方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、衛星から受信した電波に基づいて、車両の位置を測位するGNSS(Global Positioning System)が広く利用されている。また、各時刻に測位した位置の時刻毎の変化を示す時刻歴から、車両の経路を特定する技術が知られている。例えば、特許文献1には、GNSSによる測位およびマップマッチング結果から特定される車両の位置が、所定の境界線上または境界線の延長線上を横切ったことを検出した場合に、車両が道路の所定位置を通過したと判定する装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、機器の性能や衛星からの電波の受信状況の影響によって測位精度が低下した場合など、一般道路と有料道路のように走行する車両に対する処理の異なる道路が並行して設けられている区間では、車両がどちらの道路を走行したか正しく判定することが困難となる可能性がある。そうすると、各道路の所定の判定対象エリアにおいて、車両に所定の処理(例えば、有料道路の通行料金の課金処理、交通情報や案内情報を通知する処理等)を実行するシステムにおいて、車両がどちらの道路の判定対象エリアを通過したか正しく判定できず、車両に対する処理を適切に行えなくなる可能性がある。
【0005】
本開示は、このような課題に鑑みてなされたものであって、車両が判定対象エリアを通過したか否かを精度よく判定することができる通過判定装置、通過判定方法、およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、通過判定装置は、判定対象エリアについて多角形で地図上に規定された仮想領域であって、前記多角形の一つ以上の辺について進入辺および退出辺が定められたポリゴンエリアの情報を取得するエリア情報取得部と、対象車両のプローブ情報を逐次受信する受信部と、前記プローブ情報に示される前記対象車両の測位位置の時刻歴から、前記対象車両が前記ポリゴンエリアに進入および退出したか判定し、進入および退出の判定結果の組み合わせが所定条件を満たした場合に、前記対象車両が前記判定対象エリアを通過したと判定する通過判定部と、を備え、前記通過判定部は、新たに受信した前記プローブ情報および前回受信した前記プローブ情報に示される前記対象車両の測位位置から構成される測位軌跡が、前記進入辺と交差して前記ポリゴンエリアに含まれることとなった場合に、前記対象車両が前記ポリゴンエリアに進入したと判定し、新たに受信した前記プローブ情報および前回受信した前記プローブ情報に示される前記対象車両の測位位置から構成される測位軌跡が、前記退出辺と交差して前記ポリゴンエリアから外れることとなった場合に、前記対象車両が前記ポリゴンエリアを退出したと判定する。
【0007】
本開示の一態様によれば、通過判定方法は、判定対象エリアについて多角形で地図上に規定された仮想領域であって、前記多角形の一つ以上の辺について進入辺および退出辺が定められたポリゴンエリアの情報を取得するステップと、対象車両のプローブ情報を逐次受信するステップと、前記プローブ情報に示される前記対象車両の測位位置の時刻歴から、対象車両が前記ポリゴンエリアに進入および退出したか判定し、進入および退出の判定結果の組み合わせが所定条件を満たした場合に、前記対象車両が前記判定対象エリアを通過したと判定するステップと、を有し、前記対象車両が前記判定対象エリアを通過したか判定するステップにおいて、新たに受信した前記プローブ情報および前回受信した前記プローブ情報に示される前記対象車両の測位位置から構成される測位軌跡が、前記進入辺と交差して前記ポリゴンエリアに含まれることとなった場合に、前記対象車両が前記ポリゴンエリアに進入したと判定し、新たに受信した前記プローブ情報および前回受信した前記プローブ情報に示される前記対象車両の測位位置から構成される測位軌跡が、前記退出辺と交差して前記ポリゴンエリアから外れることとなった場合に、前記対象車両が前記ポリゴンエリアを退出したと判定する。
【0008】
本開示の一態様によれば、プログラムは、判定対象エリアについて多角形で地図上に規定された仮想領域であって、前記多角形の一つ以上の辺について進入辺および退出辺が定められたポリゴンエリアの情報を取得するステップと、対象車両のプローブ情報を逐次受信するステップと、前記プローブ情報に示される前記対象車両の測位位置の時刻歴から、前記対象車両が前記ポリゴンエリアに進入および退出したか判定し、進入および退出の判定結果の組み合わせが所定条件を満たした場合に、前記対象車両が前記判定対象エリアを通過したと判定するステップと、を通過判定装置に実行させるプログラムであって、前記対象車両が前記判定対象エリアを通過したか判定するステップにおいて、新たに受信した前記プローブ情報および前回受信した前記プローブ情報に示される前記対象車両の測位位置から構成される測位軌跡が、前記進入辺と交差して前記ポリゴンエリアに含まれることとなった場合に、前記対象車両が前記ポリゴンエリアに進入したと判定し、新たに受信した前記プローブ情報および前回受信した前記プローブ情報に示される前記対象車両の測位位置から構成される測位軌跡が、前記退出辺と交差して前記ポリゴンエリアから外れることとなった場合に、前記対象車両が前記ポリゴンエリアを退出したと判定する。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る通過判定装置、通過判定方法、およびプログラムによれば、車両が判定対象エリアを通過したか否かを精度よく判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態に係る通過判定システムの全体構成、および通過判定装置の機能構成を示す図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る判定対象エリアおよびポリゴンエリアの一例を示す第1の図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る判定対象エリアおよびポリゴンエリアの一例を示す第2の図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る判定対象エリアおよびポリゴンエリアの一例を示す第3の図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係るエリアテーブルの一例を示す図である。
【
図6】本開示の一実施形態に係るポリゴンテーブルの一例を示す図である。
【
図7】本開示の一実施形態に係る通過判定装置の処理の一例を示す第1のフローチャートである。
【
図8】本開示の一実施形態に係る通過判定装置の処理の一例を示す第2のフローチャートである。
【
図9】本開示の一実施形態に係る通過履歴の一例を示す図である。
【
図10】本開示の一実施形態に係る通過判定装置の処理の一例を示す第3のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の一実施形態に係る通過判定システム1および通過判定装置20について、図を参照しながら説明する。
【0012】
(全体構成)
図1は、本開示の第1の実施形態に係る通過判定システムの全体構成、および通過判定装置の機能構成を示す図である。
図1に示すように、通過判定システム1は、車両Vに搭載される車載器10と、通過判定装置20とを備えている。
【0013】
車載器10は、GNSS衛星の電波(以下、「衛星電波」とも記載する。)を受信して、自機が搭載された車両V(以下、「自車両」とも記載する。)の位置を特定(測位)する。また、車載器10は、自車両の測位位置を含むプローブ情報を、例えば携帯電話通信網等の通信網を介して通過判定装置20に逐次送信する。
【0014】
通過判定装置20は、車載器10を搭載する車両V(以下、「対象車両」とも記載する。)からプローブ情報を逐次受信して、プローブ情報に示される測位位置の時刻歴に基づき対象車両Vが所定の判定対象エリア(道路、区間)を通過したか判定する。
【0015】
通過判定システム1は、例えば有料道路、課金エリア等の課金システムにおいて、対象車両Vが課金ポイントの設けられた判定対象エリア(入口料金所、出口料金所、本線料金所等)を通過したか判定するために用いられる。なお、通過判定システム1の用途はこれに限られることはなく、他の様々なシステムにおいて用いられてもよい。また、例えば、通過判定システム1は、交通情報や料金情報等の案内情報を通知する案内情報提供システムにおいて、車両Vが判定対象エリア(案内情報を提供する区間)を通過したか判定するために用いられる。さらに、通過判定システム1は、タクシー等の走行経路を記録する経路記録システム、バス等の運行管理システム、各エリアの車両からプローブ情報を収集する情報収集システムなどの様々なシステムにおいて、対象車両Vが判定対象エリア(例えば、測位誤差やマップマッチング誤差が生じやすい区間、バス停が設けられた区間、プローブ情報収集エリアなど)を通過したか判定するために用いられてもよい。
【0016】
(通過判定装置の機能構成)
通過判定装置20の機能構成について、
図1を参照しながら説明する。
図1に示すように、通過判定装置20は、プロセッサ21と、メインメモリ22と、ストレージ23と、通信インタフェース24とを備えている。
【0017】
プロセッサ21は、例えばCPUであり、通過判定装置20の各処理を実行する。プロセッサ21の機能については後述する。
【0018】
メインメモリ22は、プロセッサ21の動作に必要なメモリ領域を有する。
【0019】
ストレージ23は、いわゆる補助記憶装置であって、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等である。
【0020】
通信インタフェース24は、外部装置(車載器10)と情報の送受信を行うためのインタフェースである。
【0021】
次に、プロセッサ21の機能について説明する。プロセッサ21は、所定のプログラムに従って動作することにより、エリア情報取得部210、受信部211、および通過判定部212としての機能を発揮する。
【0022】
エリア情報取得部210は、判定対象エリアについて多角形で地図上に規定された領域であって、多角形の一つ以上の辺について進入辺および退出辺が定められたポリゴンエリアの情報を取得する。
【0023】
受信部211は、対象車両Vのプローブ情報を逐次受信する。プローブ情報には、対象車両Vの識別情報(車載器ID等)、測位日時、測位位置(緯度、経度)、平均誤差半径、速度等が含まれている。平均誤差半径は、測位位置の精度を表す値である。また、受信したプローブ情報は、対象車両V(車載器ID)ごとに区別可能にストレージ23に保存される。
【0024】
通過判定部212は、プローブ情報に示される対象車両Vの測位位置の時刻歴から、対象車両Vがポリゴンエリアに進入および退出したか判定し、進入および退出の判定結果の組み合わせが所定条件を満たした場合に、対象車両Vが判定対象エリアを通過したと判定する。
【0025】
なお、通過判定部212は、新たに受信したプローブ情報および前回受信したプローブ情報に示される対象車両Vの測位位置から構成される測位軌跡が、進入辺と交差してポリゴンエリアに含まれることとなった場合に、対象車両Vが進入辺からポリゴンエリアに進入したと判定する。また、新たに受信したプローブ情報および前回受信したプローブ情報に示される対象車両Vの測位位置から構成される測位軌跡が、退出辺と交差してポリゴンエリアから外れることとなった場合に、対象車両Vが退出辺からポリゴンエリアを退出したと判定する。
【0026】
(判定対象エリア及びポリゴンエリアについて)
図2は、本開示の一実施形態に係る判定対象エリアおよびポリゴンエリアの一例を示す第1の図である。
図2には、判定対象エリアA01が有料道路R2の入口料金所TB付近に設定されている例が示されている。
図2に示すように、料金所TBの上流側には一般道路R1が接続され、料金所TBの下流側には有料道路R2のランプR21が接続されている。判定対象エリアA01は、車両Vが入口料金所TBを通過したか、すなわち、一般道路R1から有料道路R2(ランプR21)に進入したかを判定するためのエリアである。また、
図2の例では、有料道路R2のランプR21は、有料道路R2の本線車道R22と並行して設けられており、下流側で本線車道R22に合流する。
【0027】
判定対象エリアA01は、多角形で地図上に規定された仮想領域であるポリゴンエリアP01を有している。地図上の複数の座標点(緯度及び経度)を結ぶ辺で構成された多角形をポリゴンと定義し、そのポリゴンで示される領域を「ポリゴンエリア」と定義する。ポリゴンエリアの形状および大きさは、判定対象エリア内に含まれる道路の形状などに応じて任意に設定される。例えば、
図2に示すように、判定対象エリアA01のポリゴンエリアP01は、測位誤差により測位位置が道路上から外れてしまうようなケースを考慮して、入口料金所TBの前後に接続される一般道路R1および有料道路R2のランプR21の一部と、その周囲の領域とを含むように設定されてもよい。また、
図2の例のように、ポリゴンエリアP01は、有料道路R2の本線車道R22の進行方向下流側の領域が含まれないように、一部を切り欠いた五角形の形状に設定されてもよい。
【0028】
ポリゴンエリアには、進入辺および退出辺が設定される。通過判定装置20は、ポリゴンエリアを構成する複数の辺のうち、進入辺として設定された辺からポリゴンエリアに進入し、退出辺として設定された辺からポリゴンエリアを退出した場合に、このポリゴンエリアを通過したと判定する。なお、ポリゴンエリアを構成する辺のうち、ポリゴンエリア外部から内部に進入する際に通過する辺を「進入辺」、ポリゴンエリア内部から外部へ退出する際に通過する辺を「退出辺」と定義する。
【0029】
例えば、
図2のポリゴンエリアP01は、辺E10~E14のうち、辺E10が進入辺に設定され、辺E12が退出辺に設定されている。また、
図2には、車両V1のプローブ情報が示す測位位置LA1~LA5の例が示されている。車両V1の測位位置LA2は、ポリゴンエリアP01に含まれている。この測位位置LA2と、一つ前の測位位置LA1とを結ぶ進入線は、ポリゴンエリアP01の進入辺E10と交差している。この場合、通過判定装置20は、車両V1が進入辺E10を通ってポリゴンエリアP01に進入したと判断する。また、車両V1の測位位置LA2~LA4はポリゴンエリアP01に含まれ、測位位置LA5はポリゴンエリアP01から外れている。測位位置LA5と、一つ前の測位位置LA4とを結ぶ退出線は、ポリゴンエリアP01の退出辺E12と交差している。この場合、通過判定装置20は、車両V1が退出辺E12からポリゴンエリアP01を退出したと判断する。通過判定装置20は、車両V1がポリゴンエリアP01に設定された進入辺E10および退出辺E12を通っているため、この車両V1がポリゴンエリアP01を通過した、すなわち、判定対象エリアA01(入口料金所TB)を通過したと判定する。
【0030】
一方、
図2の車両V2のプローブ情報が示す測位位置LB1~LB4によれば、車両V2は進入辺E10を通ってポリゴンエリアP01に進入しているものの、退出辺E12とは異なる辺E11からポリゴンエリアP01を退出している。このため、通過判定装置20は、車両V2はポリゴンエリアP01を通過していない、すなわち、判定対象エリアA01(入口料金所TB)を通過していないと判定する。
【0031】
このように、通過判定装置20は、ポリゴンエリアに対して車両Vが通過した進入辺および退出辺の組み合わせに基づいて、車両VがポリゴンエリアP01を通過したか判定する。また、通過判定装置20は、ポリゴンエリアP01を通過したか否かに基づいて、
図2の例のように一般道路R1から有料道路R2(ランプR21)へ進入する車両V1と、既に有料道路R2(本線車道R22)を走行中の車両V2とを区別することができる。
【0032】
なお、進入辺および退出辺は複数設定されていてもよい。例えば、
図2のポリゴンエリアP01の進入辺として、E10およびE13の二つが設定されていてもよい。
【0033】
また、他のポリゴンエリアでは、進入辺および退出辺のいずれか一方のみが設定されていてもよい。例えば、進入辺のみが設定されているポリゴンエリアについて、通過判定装置20は、車両Vが進入辺からポリゴンエリアに進入した場合、どの辺から退出したとしても、このポリゴンエリアを通過したと判定する。一方、通過判定装置20は、車両Vが進入辺以外の辺からポリゴンエリアに進入した場合、このポリゴンエリアを通過していないと判定する。
【0034】
また、さらに他のポリゴンエリアでは、進入辺および退出辺のいずれも設定されてなくてもよい。この場合、通過判定装置20は、車両Vがどの辺から進入および退出したかに関わらず、車両Vの測位位置がポリゴンエリアに含まれたときは、このポリゴンエリアを通過したと判定する。
【0035】
図3は、本開示の一実施形態に係る判定対象エリアおよびポリゴンエリアの一例を示す第2の図である。
図3には、判定対象エリアA02が有料道路R3の付近に設定されている例が示されている。
図3に示すように、有料道路R3に並行して、一般道路R4が設けられている。判定対象エリアA02は、車両Vが有料道路R3を走行しているか判定するためのエリアである。
【0036】
図3の例ように、判定対象エリアA02は、複数のポリゴンエリアP02およびP03を有していてもよい。例えば、
図3の車両V2は一般道路R4を走行している。また、測位誤差やマップマッチング誤差等により、車両V2の測位位置LB1~LB6のうち、測位位置LB5が有料道路R3上のポリゴンエリアP03内にプロットされてしまったとする。ここで、判定対象エリアA02に一つのポリゴンエリアP03のみが設定されていると、車両V2がポリゴンエリアP03を通過した、すなわち、有料道路R3を走行していると誤認識される可能性がある。このため、このように二つの道路が並行して設けられているような判定対象エリアA02については、複数のポリゴンエリアP02~P03を設ける。また、通過判定装置20は、車両Vが判定対象エリアA02内の複数のポリゴンエリアを定められた順番で通過した場合に、判定対象エリアA02を通過した、すなわち、有料道路R3を走行していると判定する。
【0037】
図3の例では、車両V1は、判定対象エリアA02に規定されたとおり、ポリゴンエリアP02、ポリゴンエリアP03の順に通過している。このため、通過判定装置20は、車両V1が判定対象エリアA02を通過した、すなわち、有料道路R3を走行していると判定する。一方、車両V2は、ポリゴンエリアP02を通過せず、ポリゴンエリアP03のみを通過している。このため、通過判定装置20は、車両V2が判定対象エリアA02を通過していない、すなわち、有料道路R3を走行していないと正しく判定することができる。
【0038】
また、ポリゴンエリアP02のように、少なくとも一つのポリゴンエリアは、判定対象エリアA02に含まれる有料道路R4のうち、一般道路R4の位置、進行方向との違いが大きい領域に設定されることが望ましい。このようにすることで、測位誤差等が生じたとしても、一般道路R4を走行中の車両V2の測位位置がポリゴンエリアP02に含まれてしまう可能性を低減することができる。これにより、通過判定装置20は、車両V2が判定対象エリアA02を通過したと誤判定してしまう可能性を低減することができる。
【0039】
図4は、本開示の一実施形態に係る判定対象エリアおよびポリゴンエリアの一例を示す第3の図である。
図4には、判定対象エリアA03およびA04が有料道路R5の付近に設定されている例が示されている。
図4に示すように、有料道路R5は、並行に設けられた上り車線R51および下り車線R52を有している。判定対象エリアA03は、車両Vが有料道路R5の上り車線R51を走行しているか判定するためのエリアである。判定対象エリアA04は、車両Vが有料道路R5の下り車線R52を走行しているか判定するためのエリアである。
【0040】
図4の例のように、判定対象エリアA03およびA04は、上り車線R51及び下り車線R52に跨る共通のポリゴンエリアP04を有していてもよい。この場合、判定対象エリアA03(上り車線R51)において、ポリゴンエリアP04の辺E40が進入辺、辺E42が退出辺として設定される。また、判定対象エリアA04(下り車線R52)において、ポリゴンエリアP04の辺E42が進入辺、辺E40が退出辺として設定される。
【0041】
図4に例示する車両V1の測位位置LA1~LA5によれば、車両V1はポリゴンエリアP04に辺E40から進入し、辺E42から退出している。このため、通過判定装置20は、車両V1は判定対象エリアA03(上り車線R51)を通過したと判定する。一方、
図4に例示する車両V2の測位位置LB1~LB5によれば、車両V2はポリゴンエリアP04に辺E42から進入し、辺E40から退出している。このため、通過判定装置20は、車両V2は判定対象エリアA04(下り車線R52)を通過したと判定する。このように、通過判定装置20は、車両VがポリゴンエリアP04に進入した辺と、退出した辺との組み合わせから、車両Vが有料道路R5の上り車線R51および下り車線R52のどちらを走行しているかを区別して判定することが可能となる。
【0042】
(エリアテーブルについて)
図5は、本開示の一実施形態に係るエリアテーブルの一例を示す図である。
図5に示すように、通過判定装置20のストレージ23は、各判定対象エリアのエリアID、エリア名称、道路名称、エリア範囲等を記録するエリアテーブルT1を予め保存している。エリアIDは、判定対象エリアを特定可能な識別情報である。エリア名称は、判定対象エリアの識別用に設定された名称である。道路名称は、判定対象エリアが設けられた道路(通過判定の対象となる道路)の名称である。エリア範囲は、地図上における判定対象エリアの位置および大きさを特定可能な情報であり、例えば、判定対象エリアの開始座標および終了座標で表される。
【0043】
また、エリアテーブルT1は、各判定対象エリアの用途を示すエリア区分をさらに含んでいてもよい。例えば、エリア区分は、特定のポイント(有料道路の入口料金所、出口料金所、および本線料金所)を通過したか判定するエリアであることを示す区分、分岐のある道路でどの方面の道路を走行したか判定するエリアであることを示す区分、案内情報を通知するポイントを通過したか判定するエリアであることを示す区分等が含まれる。
【0044】
(ポリゴンテーブルについて)
図6は、本開示の一実施形態に係るポリゴンテーブルの一例を示す図である。
図6に示すように、通過判定装置20のストレージ23は、各ポリゴンエリアの情報を記録するポリゴンテーブルT2を予め保存している。ポリゴンテーブルT2は、ポリゴンID、エリアID、判定順序、進入辺番号、退出辺番号、ポリゴン範囲等を含む。
【0045】
ポリゴンIDは、ポリゴンエリアを特定可能な識別情報である。エリアIDは、ポリゴンエリアがどの判定対象エリアに設けられているかを示す情報である。
【0046】
判定順序は、複数のポリゴンエリアが設けられている判定対象エリアを車両が通過する際に、各ポリゴンエリアをどの順で通過すべきであるかを示す情報である。例えば、
図3に示すように、複数のポリゴンエリアP02、P03が設定された判定対象エリアA02では、車両Vが最初にポリゴンエリアP02を通過し、次にポリゴンエリアP03を通過した場合に、この判定対象エリアA02を通過したと判定する。このとき、ポリゴンエリアP02の判定順序は「1」に設定され、ポリゴンエリアP03の判定順序は「2」に設定される。
【0047】
進入辺番号は、車両Vがポリゴンエリアに進入したと判定するための進入辺を示す番号(識別情報)である。例えば、
図2および
図6に示すように、ポリゴンエリアP01の進入辺として、辺E10が設定されている。車両VのポリゴンエリアP01内に含まれる測位位置と、その一つ前の測位位置とを結ぶ進入線が、進入辺である辺E10と交差する場合に、車両VがポリゴンエリアP01に進入したと判定される。なお、
図6に示すポリゴンエリアP03のように、進入辺番号が設定されていなくてもよい。この場合、車両Vの測位位置がポリゴンエリアP03内に含まれていれば、車両Vの進入線がポリゴンエリアP03のどの辺と交差したとしても、ポリゴンエリアP03に進入したと判定される。
【0048】
退出辺番号は、車両Vがポリゴンエリアから退出したと判定するための退出辺を示す番号(識別情報)である。例えば、
図2および
図6に示すように、ポリゴンエリアP01の退出辺として、辺E12が設定されている。
車両VのポリゴンエリアP01から外れた測位位置と、その一つ前のポリゴンエリアP01内の測位位置とを結ぶ退出線が、退出辺である辺E12と交差する場合に、車両VがポリゴンエリアP01から退出したと判定される。なお、
図6に示すポリゴンエリアP02のように、退出辺番号が設定されていなくてもよい。この場合、ポリゴンエリアP02に進入したと判定された車両Vについて、測位位置がポリゴンエリアP02から外れた場合には、車両Vの退出線がポリゴンエリアP02のどの辺と交差したとしても、ポリゴンエリアP02から退出したと判定される。
【0049】
また、
図6に示すポリゴンエリアP05のように、進入辺および退出辺のいずれも設定されてなくてもよい。この場合、車両Vがどの辺を通ったかに関わらず、車両Vの測位位置がポリゴンエリアP05に含まれたときは、車両VがこのポリゴンエリアP05を通過したと判定される。
【0050】
ポリゴン範囲は、地図上におけるポリゴンエリアの位置および形状を特定可能な情報である。例えば、ポリゴン範囲は、ポリゴンエリアを構成する多角形の各頂点の座標で表される。なお、ポリゴンエリアの大きさは、車両Vから逐次受信するプローブ情報のうち、少なくとも一つのプローブ情報(測位位置)がポリゴンエリアに含まれるように、プローブ情報の受信間隔等に応じて設定される。
【0051】
(通過判定装置の処理フロー)
図7は、本開示の一実施形態に係る通過判定装置の処理の一例を示す第1のフローチャートである。
以下、
図7を参照しながら、通過判定装置20が対象車両Vについて判定対象エリアを通過したか判定する処理の流れについて説明する。
【0052】
まず、エリア情報取得部210は、ストレージ23のエリアテーブルT1およびポリゴンテーブルT2から、判定対象エリアの情報、およびこの判定対象エリアに含まれるポリゴンエリアの情報を取得する(ステップS10)。このとき、エリア情報取得部210は、対象車両Vのプローブ情報に示される測位位置から所定距離以内の判定対象エリアに関する情報のみを抽出して取得するようにしてもよい。
【0053】
また、受信部211は、対象車両Vの車載器10から、プローブ情報を受信する(ステップS11)。受信したプローブ情報は、対象車両Vごとに区別可能にストレージ23に保存される。
【0054】
通過判定部212は、新たに受信したプローブ情報に含まれる平均誤差半径が所定の閾値を超えるか判断する(ステップS12)。平均誤差半径が所定の閾値を超える場合(ステップS12;YES)、通過判定部212は、このプローブ情報に示される測位位置は誤差が大きい可能性があるため、通過判定処理から除外する。この場合、通過判定装置20は、ステップS11に戻り、次のプローブ情報を受信するまで待機する。
【0055】
一方、平均誤差半径が閾値以下である場合(ステップS12;NO)、通過判定部212は、対象車両Vが通過中のポリゴンエリアの有無を判断する(ステップS13)。通過中のポリゴンエリアがない場合(ステップS13;NO)、通過判定部212は、新たに受信したプローブ情報に基づいて、対象車両Vのポリゴンエリアへの進入判定処理S20を行う。進入判定処理S20の流れについては、
図8のフローチャートを参照しながら説明する。
【0056】
図8は、本開示の一実施形態に係る通過判定装置の処理の一例を示す第2のフローチャートである。
進入判定処理S20において、まず、通過判定部212は、新たに受信したプローブ情報に示される測位位置がポリゴンエリア内に位置しているか判定する(ステップS200)。
【0057】
例えば、
図2の車両V1が対象車両であり、新たに受信したプローブ情報に測位位置LA1が含まれていたとする。
図2の例では、測位位置LA1は、ポリゴンエリアP01内に位置していない(ステップS200;NO)。この場合、通過判定部212は、対象車両V1がポリゴンエリアに進入していないと判定する(ステップS202)。そうすると、通過判定部212は、進入判定処理S20を終了して、
図7のフローチャートに戻る。
図7のフローチャートにおいて、通過判定装置20は、ステップS11に戻り、次のプローブ情報を受信するまで待機する。
【0058】
また、
図2の例のように、新たに受信したプローブ情報に測位位置LA2が含まれていたとする。測位位置LA2は、ポリゴンエリアP01内に位置している(ステップS200;YES)。この場合、通過判定部212は、測位位置LA2と、前回の測位位置LA1とを結ぶ測位軌跡である進入線LA1-LA2の長さが所定の進入判定距離よりも大きいか判定する(ステップS201)。
【0059】
進入線LA1-LA2の長さが進入判定距離よりも大きい場合(ステップS201;YES)、対象車両V1がポリゴンエリアP01内に入る際に、どの辺を通ったかを正しく判定できない可能性がある。このため、このように測位位置間の距離が離れすぎている場合、通過判定部212は、対象車両V1はポリゴンエリアP01に進入していないと判定する(ステップS202)。そうすると、通過判定部212は、進入判定処理S20を終了して、
図7のフローチャートに戻る。
図7のフローチャートにおいて、通過判定装置20は、ステップS11に戻り、次のプローブ情報を受信するまで待機する。
【0060】
また、進入線LA1-LA2の長さが進入判定距離以下である場合(ステップS201:NO)、通過判定部212は、ポリゴンエリアの通過順序が正しいかさらに判定する(ステップS203)。
【0061】
例えば、
図3および
図6に示す判定対象エリアA02について、対象車両の進入判定処理S20を行うとする。
図3及び
図6の例では、判定順序「1」のポリゴンエリアP02、判定順序「2」のポリゴンエリアP03の順に通過した場合に、判定対象エリアA02を通過したと判定される。また、
図3の車両V2が対象車両であり、新たに受信したプローブ情報に測位位置LB5が含まれていたとする。対象車両V2の測位位置LB5は、判定順序「2」のポリゴンエリアP03に含まれており(ステップS200;YES)、進入線LB4-LB5の長さは所定距離以下である(ステップS201;NO)。しかしながら、判定対象エリアA02において対象車両V2が最初に通過しようとしているポリゴンエリアは、1番目に通過すべきポリゴンエリアP02ではなく、2番目に通過すべきポリゴンエリアP03である。このため、通過判定部212は、対象車両V2のポリゴンエリアの通過順序が正しくないと判定する(ステップS203;NO)。この場合、通過判定部212は、対象車両V2はポリゴンエリアP03に進入していないと判定する(ステップS202)。そうすると、通過判定部212は、進入判定処理S20を終了して、
図7のフローチャートに戻る。
図7のフローチャートにおいて、通過判定装置20は、ステップS11に戻り、次のプローブ情報を受信するまで待機する。
【0062】
また、
図3の車両V1が対象車両であり、新たに受信したプローブ情報に測位位置LA2が含まれていたとする。対象車両V1の測位位置LA2はポリゴンエリアP02に含まれており(ステップS200;YES)、進入線LA1-LA2の長さは所定距離以下である(ステップS201;NO)。さらに、判定対象エリアA02において対象車両V1が最初に通過しようとしているポリゴンエリアは、1番目に通過すべきポリゴンエリアP02である。このため、通過判定部212は、対象車両V1のポリゴンエリアの通過順序が正しいと判定する(ステップS203;YES)。この場合、通過判定部212は、対象車両V1がポリゴンエリアP02に進入したと判定し(ステップS204)、ポリゴンエリアP02を通過中ポリゴンエリアに設定する(ステップS205)。
【0063】
なお、
図3の車両V1が対象車両であり、新たに受信したプローブ情報に測位位置LA5が含まれていたとする。この場合も、判定対象エリアA02において対象車両V1が2番目に通過しようとしているポリゴンエリアは、2番目に通過すべきポリゴンエリアP03であるので、通過判定部212は、対象車両V1のポリゴンエリアの通過順序が正しいと判定する(ステップS203;YES)。この場合、通過判定部212は、対象車両V1がポリゴンエリアP03に進入したと判定し(ステップS204)、ポリゴンエリアP03を通過中ポリゴンエリアに設定する(ステップS205)。
【0064】
また、通過判定部212は、進入判定処理S20および後述の退出判定処理S30を行う毎に、対象車両V1のポリゴンエリアの進入順序、および、どの辺からポリゴンエリアに進入および退出したかを、対象車両V1の通過履歴T3(
図9)として記録してもよい。
【0065】
図9は、本開示の一実施形態に係る通過履歴の一例を示す図である。
図9に示すように、通過判定部212は、対象車両V毎の通過履歴T3を記録してストレージ23に保存する。通過履歴T3には、対象車両Vの識別情報、判定対象エリアのエリアID、通過中ポリゴンエリアのポリゴンID、通過済みポリゴンエリアのポリゴンID等が含まれる。
図3の測位位置LA5について、通過判定部212は、対象車両V1がポリゴンエリアP03に進入したと判定すると(ステップS204)、通過履歴T3の通過中ポリゴンエリアの項にポリゴンエリアP03のポリゴンIDを記録する(ステップS205)。また、通過判定部212は、対象車両V1が、進入線LA4-LA5が交差した辺E30からポリゴンエリアP03に進入したことを記録する。また、通過判定部212は、後述の退出判定処理S30において、対象車両V1がポリゴンエリアP02を通過したと判定された場合に、このポリゴンエリアP02のポリゴンIDと、対象車両V1が進入および退出の際に通った辺E20、E22を通過済みポリゴンエリアの項に記録する。
【0066】
通過中ポリゴンエリアの設定、および通過履歴T3の記録を完了すると、通過判定部212は、進入判定処理S20を終了して、
図7のフローチャートに戻る。
図7のフローチャートにおいて、通過判定装置20は、ステップS11に戻り、次のプローブ情報を受信するまで待機する。
【0067】
なお、例えば
図2の例のように、判定対象エリアA01が一つのポリゴンエリアP01のみを有している場合、ステップS203を省略してもよい。
【0068】
次に、
図7のフローチャートに戻り、対象車両Vがポリゴンエリアに進入したと判定された後の処理、すなわち、通過中ポリゴンエリアが設定されている場合(ステップS13;NO)の処理について説明する。
【0069】
通過判定部212は、新たに受信したプローブ情報に示される測位位置がポリゴンエリア内に位置しているか判定する(ステップS14)。
【0070】
例えば、
図2に示す車両V1が対象車両であり、新たに受信したプローブ情報に測位位置LA5が含まれていたとする。測位位置LA5は、ポリゴンエリアP01から外れている(ステップS14;NO)。この場合、通過判定部212は、新たに受信したプローブ情報に基づいて、対象車両V1のポリゴンエリアP01からの退出判定処理S30を行う。退出判定処理S30の流れについては、
図10のフローチャートを参照しながら説明する。
【0071】
図10は、本開示の一実施形態に係る通過判定装置の処理の一例を示す第3のフローチャートである。
退出判定処理S30において、まず、通過判定部212は、新たに受信したプローブ情報に示される測位位置LA5と、前回の測位位置LA4とを結ぶ測位軌跡である退出線LA4-LA5の長さが所定の退出判定距離よりも大きいか判定する(ステップS300)。なお、この所定距離は、進入判定処理S20(
図8)のステップS201で用いられる進入判定距離と同じ値でもよい。
【0072】
退出線LA4-LA5の長さが退出判定距離よりも大きい場合(ステップS300;YES)、対象車両V1がポリゴンエリアP01から出る際に、どの辺を通ったかを正しく判定できない可能性がある。このため、このように測位位置間の距離が離れすぎている場合、通過判定部212は、対象車両V1は通過中ポリゴンエリアに設定されたポリゴンエリアP01を通過しなかったと判定する(ステップS301)。このとき、通過判定部212は、通過中ポリゴンエリアを削除する(ステップS302)。具体的には、通過判定部212は、通過履歴T3(
図9)の通過中ポリゴンエリアの項からポリゴンエリアP01のポリゴンIDを削除して、空欄(通過中のポリゴンエリアなしの状態)にする。そうすると、通過判定部212は、退出判定処理S30を終了して、
図7のフローチャートに戻る。
【0073】
また、退出線LA4-LA5の長さが退出判定距離以下である場合(ステップS300;NO)、通過判定部212は、対象車両V1が、通過判定システム1のポリゴンテーブルT2においてポリゴンエリアP01に設定された進入辺および退出辺の組み合わせ通りに、ポリゴンエリアP01を通過したか判定する。
【0074】
(ケース1:進入辺および退出辺が設定されているポリゴンエリア)
まず、進入辺および退出辺が設定されているポリゴンエリアP01のケースについて説明する(ステップS303;YES)。このとき、通過判定部212は、通過履歴T3(
図9)を参照して、対象車両V1が通過中ポリゴンエリアP01へ進入する際に、ポリゴンエリアP01の進入辺E10を通ったか判断する。また、通過判定部212は、退出線LA4-LA5が、ポリゴンエリアP01の退出辺E12と交差しているか、すなわち、対象車両V1が通過中ポリゴンエリアP01から退出する際に退出辺E12を通ったか判断する。通過判定部212は、対象車両V1が進入辺E10を通ってポリゴンエリアP01に入り、且つ、退出辺E12を通ってポリゴンエリアP01から出た場合(ステップS304;YES)、対象車両V1は通過中ポリゴンエリアP01を正しく通過したと判定する(ステップS305)。このとき、通過判定部212は、通過履歴T3の通過済みポリゴンエリアの項に、ポリゴンエリアP01のポリゴンIDと、対象車両V1が通過した進入辺E10および退出辺E12を記録する。また、通過判定部212は、通過中ポリゴンエリアを削除し(ステップS302)、退出判定処理S30を終了して
図7のフローチャートに戻る。
【0075】
一方、通過判定部212は、対象車両V1が進入辺E10を通らずにポリゴンエリアP01に入った場合、または、対象車両V1が退出辺E12を通らずにポリゴンエリアP01から出た場合(ステップS304;NO)、対象車両V1は通過中ポリゴンエリアP01を通過しなかったと判定する(ステップS301)。この場合、通過判定部212は、通過中ポリゴンエリアを削除し(ステップS302)、退出判定処理S30を終了して
図7のフローチャートに戻る。
【0076】
また、
図4の例のように、判定対象エリアA03およびA04が一つのポリゴンエリアP04を共有している場合について説明する。対象車両が車両V1である場合、通過判定部212は、対象車両V1の通過履歴T3および退出線LA4-LA5に基づいて、この対象車両V1が辺E40を通ってポリゴンエリアP04に入り、辺E42を通ってポリゴンエリアP04から出たと判断する。この場合、対象車両V1は、判定対象エリアA03(上り車線R51)のポリゴンエリアP04の進入辺E40および退出辺E42を正しく通っているため(ステップS304;YES)、判定対象エリアA03のポリゴンエリアP04を通過したと判定する(ステップS305)。一方、対象車両が車両V2である場合、通過判定部212は、対象車両V2の通過履歴T3および退出線LB3-LB4に基づいて、この対象車両V2が辺E42を通ってポリゴンエリアP04に入り、辺E40を通ってポリゴンエリアP04から出たと判断する。この場合、対象車両V2は、判定対象エリアA03(下り車線R52)のポリゴンエリアP04の進入辺E42および退出辺E40を正しく通っているため(ステップS304;YES)、判定対象エリアA04のポリゴンエリアP04を通過したと判定する(ステップS305)。このように、通過判定部212は、対象車両がポリゴンエリアP04の辺を通過した順番から、判定対象エリアA03(上り車線R51)のポリゴンエリアP04を通過したのか、判定対象エリアA04(下り車線R52)のポリゴンエリアP04を通過したのかを区別して判定することができる。
【0077】
(ケース2:進入辺のみが設定されているポリゴンエリア)
また、
図3および
図6に例示するポリゴンエリアP02のように、進入辺のみが設定されているケースについて説明する(ステップS303;NO、且つ、ステップS306;YES)。このとき、通過判定部212は、通過履歴T3(
図9)を参照して、対象車両V1が通過中ポリゴンエリアP02へ進入する際に、ポリゴンエリアP02の進入辺E20を通ったか判断する(ステップS307)。通過判定部212は、対象車両V1が進入辺E20を通ってポリゴンエリアP02に入っている場合(ステップS307;YES)、対象車両V1がポリゴンエリアP02を出る際にどの辺を通ったかに関わらず、対象車両V1は通過中ポリゴンエリアP02を正しく通過したと判定する(ステップS305)。このとき、通過判定部212は、通過履歴T3の通過済みポリゴンエリアの項に、ポリゴンエリアP02のポリゴンIDと、対象車両V1が通過した進入辺E20および退出辺E22を記録する。また、通過判定部212は、通過中ポリゴンエリアを削除し(ステップS302)、退出判定処理S30を終了して
図7のフローチャートに戻る。
【0078】
一方、通過判定部212は、対象車両V1が進入辺E20を通らずにポリゴンエリアP02に入った場合(ステップS307;NO)、対象車両V1は通過中ポリゴンエリアP02を通過しなかったと判定する(ステップS301)。この場合、通過判定部212は、通過中ポリゴンエリアを削除し(ステップS302)、退出判定処理S30を終了して
図7のフローチャートに戻る。
【0079】
(ケース3:退出辺のみが設定されているポリゴンエリア)
また、
図3および
図6に例示するポリゴンエリアP03のように、退出辺のみが設定されているケースについて説明する(ステップS303;NO、ステップS306;NO、且つ、ステップS308;YES)。このとき、通過判定部212は、退出線LA5-LA6が、ポリゴンエリアP03の退出辺E32と交差しているか、すなわち、対象車両V1が通過中ポリゴンエリアP03から退出する際に退出辺E32を通ったか判断する(ステップS309)。通過判定部212は、対象車両V1が退出辺E32を通ってポリゴンエリアP03から出た場合(ステップS309;YES)、対象車両V1は通過中ポリゴンエリアP03を正しく通過したと判定する(ステップS305)。このとき、通過判定部212は、通過履歴T3の通過済みポリゴンエリアの項に、ポリゴンエリアP03のポリゴンIDと、対象車両V1が通過した進入辺E30および退出辺E32を記録する。なお、通過判定部212は、判定対象エリアA02において、対象車両V1が複数のポリゴンエリアを通過したと判定した場合には、通過済みポリゴンエリアの項に、通過順序を示す番号とともに各ポリゴンエリアのIDを記録してもよい。また、通過判定部212は、通過中ポリゴンエリアを削除し(ステップS302)、退出判定処理S30を終了して
図7のフローチャートに戻る。
【0080】
一方、通過判定部212は、対象車両V1が退出辺E32を通らずにポリゴンエリアP03から出た場合(ステップS309;NO)、対象車両V1は通過中ポリゴンエリアP03を通過しなかったと判定する(ステップS301)。この場合、通過判定部212は、通過中ポリゴンエリアを削除し(ステップS302)、退出判定処理S30を終了して
図7のフローチャートに戻る。
【0081】
(ケース4:進入辺および退出辺が設定されていないポリゴンエリア)
また、
図6に例示するポリゴンエリアP05のように、進入辺および退出辺のいずれも設定されていないケースについて説明する(ステップS303;NO、ステップS306;NO、且つ、ステップS308;NO)。このとき、通過判定部212は、対象車両VがポリゴンエリアP05のどの辺を通ったかに関わらず、通過中ポリゴンエリアP05を通過したと判定する(ステップS305)。このとき、通過判定部212は、通過履歴T3の通過済みポリゴンエリアの項に、ポリゴンエリアP05のポリゴンIDを記録する。通過判定部212は、対象車両V1が通過した進入辺および退出辺をさらに記録してもよい。また、通過判定部212は、通過中ポリゴンエリアを削除し(ステップS302)、退出判定処理S30を終了して
図7のフローチャートに戻る。
【0082】
次に、
図7のフローチャートに戻り、退出判定処理S30を終えた後の処理について説明する。新たに受信したプローブ情報に示される測位位置が、通過中ポリゴンエリアとは異なるポリゴンエリア内に位置している場合(ステップS13;NO、ステップS14;YES、且つステップS15;NO)、通過判定部212は、通過中ポリゴンエリアの退出判定処理S30を行った後、新たな測位位置が含まれるポリゴンエリアへの進入判定処理S20を続けて行う。この進入判定処理S20は、先に説明した
図8のフローチャートに示す一連の処理と同じものであるため、説明を省略する。
【0083】
また、通過中のポリゴンエリアがあり(ステップS13;NO)、新たに受信したプローブ情報に示される測位位置がポリゴンエリア内ではなかった場合(ステップS14;NO)、ポリゴンエリアの退出判定処理S30が完了すると、通過判定部212は、判定対象エリアに規定された所定条件を満たしたか判定する(ステップS17)。
【0084】
例えば、
図2の車両V1が判定対象エリアA01を通過したか判定する場合について説明する。
図2および
図6の例では、判定対象エリアA01は、対象車両がポリゴンエリアP01を通過した場合に所定条件を満たしたと判定される。したがって、通過判定部212は、対象車両V1の通過履歴T3(
図9)の通過済みポリゴンエリアを参照し、対象車両V1がポリゴンエリアP01を通過したことが記録されている場合、この対象車両V1は判定対象エリアA01の所定条件を満たしたと判定する(ステップS17;YES)。この場合、通過判定部212は、対象車両V1が判定対象エリアA01を通過したと判定する(ステップS18)。
【0085】
なお、
図2の車両V2が対象車両であったとする。
図2の例では、対象車両V2は、進入辺E10を通ってポリゴンエリアP01に進入したものの、退出辺E12とは異なる辺E11を通ってポリゴンエリアP01を退出している。このため、通過判定部212は、対象車両V2はポリゴンエリアP01を通過していないと判定し(
図10のステップS304;NO)、通過履歴T3の通過済みポリゴンエリアに記録しない。そうすると、通過判定部212は、対象車両V2は判定対象エリアA01の所定条件(ポリゴンエリアP01の通過)を満たしていないと判定し(ステップS17;NO)、判定対象エリアA01を通過しなかったと判定する(ステップS19)。
【0086】
また、
図3の車両V1が判定対象エリアA02を通過したか判定する場合について説明する。
図3および
図6の例では、判定対象エリアA02は、対象車両がポリゴンエリアP02、ポリゴンエリアP03の順に通過した場合に、所定条件を満たしたと判定される。通過判定部212は、対象車両V1の通過履歴T3(
図9)の通過済みポリゴンエリアを参照し、対象車両V1がポリゴンエリアP02、ポリゴンエリアP03の順に通過したことが記録されている場合、この対象車両V1は判定対象エリアA02の所定条件を満たしたと判定する(ステップS17;YES)。この場合、通過判定部212は、対象車両V1が判定対象エリアA02を通過したと判定する(ステップS18)。
【0087】
なお、
図3の車両V2が対象車両であったとする。
図3の例では、対象車両V2は、1番目に通過すべきポリゴンエリアP02を通過せずに、ポリゴンエリアP03に進入している。このため、通過判定部212は、対象車両V2の通過順序が正しくないと判定し(
図8のステップS203;NO)、対象車両V2の通過履歴T3には、ポリゴンエリアP02およびポリゴンエリアP03は通過済みポリゴンエリアとして記録しない。そうすると、通過判定部212は、対象車両V2は判定対象エリアA02の所定条件(ポリゴンエリアP02、P03を順に通過)を満たしていないと判定し(ステップS17;NO)、判定対象エリアA01を通過しなかったと判定する(ステップS19)。
【0088】
また、
図4の車両V1について、通過判定部212は、通過履歴T3にこの車両V1が判定対象エリアA03のポリゴンエリアP04を通過したことが記録されているので、この対象車両V1が判定対象エリアA03(上り車線R51)を通過したと判定する(ステップS17;YES、ステップS18)。同様に、
図4の車両V2について、通過判定部212は、通過履歴T3にこの車両V2が判定対象エリアA04のポリゴンエリアP04を通過したことが記録されているので、この対象車両V1が判定対象エリアA04(下り車線R52)を通過したと判定する(ステップS17;YES、ステップS18)。
【0089】
通過判定装置20は、新たなプローブ情報を受信する度に、
図7のフローチャートに示す一連の処理を繰り返し実行する。また、通過判定装置20の判定結果は、逐次、課金システム等に通知され、各システムの処理に用いられる。例えば、課金システムは、通過判定装置20から、対象車両Vが有料道路の入口および出口を示す判定対象エリアを通過したことを示す判定結果を受信した場合、この入口から出口までの距離に応じた通行料金を対象車両Vに課金する処理を行う。また、案内情報提供システムは、通過判定装置20から、対象車両Vが案内ポイント(交通情報、分岐等の案内)の直前に設けられた判定対象エリアを通過したことを示す判定結果を受信した場合、対象車両Vにこの案内ポイントに設定された案内情報を通知する処理を行う。
【0090】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る通過判定装置20は、判定対象エリアのポリゴンエリアの情報を取得するエリア情報取得部210と、対象車両Vのプローブ情報を逐次受信する受信部211と、プローブ情報に示される対象車両Vの測位位置の時刻歴から、対象車両Vがポリゴンエリアに進入および退出したか判定し、進入および退出の判定結果の組み合わせが所定条件を満たした場合に、対象車両Vが判定対象エリアを通過したと判定する通過判定部212と、を備える。通過判定部212は、新たに受信したプローブ情報および前回受信したプローブ情報に示される対象車両Vの測位位置から構成される測位軌跡が、進入辺と交差してポリゴンエリアに含まれることとなった場合に、対象車両Vがポリゴンエリアに進入したと判定し、新たに受信したプローブ情報および前回受信したプローブ情報に示される対象車両Vの測位位置から構成される測位軌跡が、退出辺と交差してポリゴンエリアから外れることとなった場合に、対象車両Vがポリゴンエリアを退出したと判定する。
【0091】
このようにすることで、通過判定装置20は、対象車両Vが、判定対象エリアに規定されたポリゴンエリアに進入したかを示す判定結果と、退出したかを示す判定結果とに基づいて、対象車両Vが判定対象エリアを通過したか否かを精度よく判定することができる。
【0092】
また、通過判定部212は、対象車両Vが進入辺として定められた辺からポリゴンエリアに進入し、且つ、退出辺として定められた辺からポリゴンエリアを退出した場合に、所定条件を満たしたと判定する。
【0093】
このようにすることで、通過判定装置20は、対象車両Vがポリゴンエリアに進入および退出したときに通過した辺の組み合わせから、対象車両Vが判定対象エリアを通過したか否かを精度よく判定することができる。また、通過判定装置20は、例えば複数の道路が隣接して設けられている判定対象エリアであっても、ポリゴンエリアの進入辺および退出辺を道路の形状等に合わせて設定することにより、これら複数の道路のうち、特定の道路に対応する判定対象エリアを通過したかを精度よく判定することができる。
【0094】
また、通過判定部212は、対象車両Vが進入辺として定められた辺からポリゴンエリアに進入した場合、または、退出辺として定められた辺からポリゴンエリアを退出した場合に、所定条件を満たしたと判定する。
【0095】
このようにすることで、通過判定装置20は、ポリゴンエリアに設定されている進入辺または退出辺を通過したか否かに基づいて、対象車両Vが判定対象エリアを通過したか否かを精度よく判定することができる。
【0096】
また、通過判定部212は、新たに受信したプローブ情報に示される対象車両Vの測位位置の平均誤差半径が所定の閾値を超える場合に、新たに受信した前記プローブ情報をポリゴンエリアの進入および退出の判定から除外する。
【0097】
このようにすることで、通過判定装置20は、測位誤差の可能性が大きい測位位置を判定の対象から除外して、判定精度の低下を抑制することができる。
【0098】
また、通過判定部212は、新たに受信したプローブ情報に示される測位位置と、前回のプローブ情報に示される測位位置とを結ぶ線の長さが所定距離より大きい場合に、新たに受信したプローブ情報をポリゴンエリアの進入および退出の判定から除外する。
【0099】
このようにすることで、通過判定装置20は、測位位置間の距離が離れすぎている場合は、この測位位置を判定の対象から除外して、判定精度の低下を抑制することができる。
【0100】
また、判定対象エリアは複数のポリゴンエリアを含み、通過判定部212は、対象車両Vが定められた順番で複数のポリゴンエリアに進入および退出した場合に、所定条件を満たしたと判定する。
【0101】
このようにすることで、通過判定装置20は、例えば二つの道路が並行して設けられているような判定対象エリアであっても、複数のポリゴンエリアを正しい順番で通過しているかに基づいて、対象車両Vが判定対象エリアに対応する道路を通過したか否かを精度よく判定することができる。
【0102】
以上のとおり、本開示に係るいくつかの実施形態を説明したが、これら全ての実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態及びその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0103】
<付記>
上述の実施形態に記載の通過判定装置、通過判定方法、およびプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0104】
(1)本開示の第1の態様によれば、通過判定装置(20)は、判定対象エリアについて多角形で地図上に規定された仮想領域であって、多角形の一つ以上の辺について進入辺および退出辺が定められたポリゴンエリアの情報を取得するエリア情報取得部(210)と、対象車両のプローブ情報を逐次受信する受信部(211)と、プローブ情報に示される対象車両の測位位置の時刻歴から、対象車両がポリゴンエリアに進入および退出したか判定し、進入および退出の判定結果の組み合わせが所定条件を満たした場合に、対象車両が判定対象エリアを通過したと判定する通過判定部(212)と、を備える。通過判定部(212)は、新たに受信したプローブ情報及び前回受信したプローブ情報に示される対象車両の測位位置から構成される測位軌跡が、進入辺と交差してポリゴンエリアに含まれることとなった場合に、対象車両がポリゴンエリアに進入したと判定し、新たに受信したプローブ情報および前回受信したプローブ情報に示される対象車両の測位位置から構成される測位軌跡が、退出辺と交差してポリゴンエリアから外れることとなった場合に、対象車両がポリゴンエリアを退出したと判定する。
【0105】
このようにすることで、通過判定装置は、判定対象エリアに規定されたポリゴンエリアに正しく進入または退出したかに基づいて、対象車両が判定対象エリアを通過したか否かを精度よく判定することができる。
【0106】
(2)本開示の第2の態様によれば、第1の態様に係る通過判定装置(20)において、通過判定部(212)は、対象車両が進入辺として定められた辺からポリゴンエリアに進入し、且つ、退出辺として定められた辺からポリゴンエリアを退出した場合に、所定条件を満たしたと判定する。
【0107】
このようにすることで、通過判定装置は、対象車両がポリゴンエリアに進入および退出したときに通過した辺の組み合わせから、対象車両が判定対象エリアを通過したか否かを精度よく判定することができる。また、通過判定装置は、例えば複数の道路が隣接して設けられている判定対象エリアであっても、ポリゴンエリアの進入辺および退出辺を道路の形状等に合わせて設定することにより、これら複数の道路のうち、特定の道路に対応する判定対象エリアを通過したかを精度よく判定することができる。
【0108】
(3)本開示の第3の態様によれば、第1の態様に係る通過判定装置(20)において、通過判定部(212)は、対象車両が進入辺として定められた辺からポリゴンエリアに進入した場合、または、退出辺として定められた辺からポリゴンエリアを退出した場合に、所定条件を満たしたと判定する。
【0109】
このようにすることで、通過判定装置は、ポリゴンエリアに設定されている進入辺または退出辺を通過したか否かに基づいて、対象車両が判定対象エリアを通過したか否かを精度よく判定することができる。
【0110】
(4)本開示の第4の態様によれば、第1から第3の何れか一の態様に係る通過判定装置(20)において、通過判定部(212)は、新たに受信したプローブ情報に示される対象車両の測位位置の平均誤差半径が所定の閾値を超える場合に、新たに受信したプローブ情報をポリゴンエリアの進入および退出の判定から除外する。
【0111】
このようにすることで、通過判定装置は、測位誤差の可能性が大きい測位位置を判定の対象から除外して、判定精度の低下を抑制することができる。
【0112】
(5)本開示の第5の態様によれば、第1から第4の何れか一の態様に係る通過判定装置(20)において、通過判定部(212)は、新たに受信したプローブ情報に示される測位位置と、前回のプローブ情報に示される測位位置とを結ぶ線の長さが所定距離より大きい場合に、新たに受信したプローブ情報をポリゴンエリアの進入および退出の判定から除外する。
【0113】
このようにすることで、通過判定装置は、測位位置間の距離が離れすぎている場合は、この測位位置を判定の対象から除外して、判定精度の低下を抑制することができる。
【0114】
(6)本開示の第6の態様によれば、第1から第5の何れか一の態様に係る通過判定装置(20)において、判定対象エリアは複数のポリゴンエリアを含み、通過判定部(212)は、対象車両が定められた順番で複数のポリゴンエリアに進入および退出した場合に、所定条件を満たしたと判定する。
【0115】
このようにすることで、通過判定装置は、例えば二つの道路が並行して設けられているような判定対象エリアであっても、複数のポリゴンエリアを正しい順番で通過しているかに基づいて、対象車両が判定対象エリアに対応する道路を通過したか否かを精度よく判定することができる。
【0116】
(7)本開示の第7の態様によれば、通過判定方法は、判定対象エリアについて多角形で地図上に規定された領域であって、多角形の一つ以上の辺について進入辺および退出辺が定められたポリゴンエリアの情報を取得するステップと、対象車両のプローブ情報を逐次受信するステップと、プローブ情報に示される対象車両の測位位置の時刻歴から、対象車両がポリゴンエリアに進入および退出したか判定し、進入および退出の判定結果の組み合わせが所定条件を満たした場合に、対象車両が判定対象エリアを通過したと判定するステップと、を有する。対象車両が判定対象エリアを通過したか判定するステップにおいて、新たに受信したプローブ情報および前回受信した前記プローブ情報に示される対象車両の測位位置から構成される測位軌跡が、進入辺と交差してポリゴンエリアに含まれることとなった場合に、対象車両がポリゴンエリアに進入したと判定し、新たに受信したプローブ情報および前回受信した前記プローブ情報に示される対象車両の測位位置から構成される測位軌跡が、退出辺と交差してポリゴンエリアから外れることとなった場合に、対象車両がポリゴンエリアを退出したと判定する。
【0117】
(8)本開示の第8の態様によれば、プログラムは、判定対象エリアについて多角形で地図上に規定された領域であって、多角形の一つ以上の辺について進入辺および退出辺が定められたポリゴンエリアの情報を取得するステップと、対象車両のプローブ情報を逐次受信するステップと、プローブ情報に示される対象車両の測位位置の時刻歴から、対象車両がポリゴンエリアに進入および退出したか判定し、進入及び退出の判定結果の組み合わせが所定条件を満たした場合に、対象車両が判定対象エリアを通過したと判定するステップと、を通過判定装置(20)に実行させるプログラムであって、対象車両が判定対象エリアを通過したか判定するステップにおいて、新たに受信したプローブ情報および前回受信した前記プローブ情報に示される対象車両の測位位置から構成される測位軌跡が、進入辺と交差してポリゴンエリアに含まれることとなった場合に、対象車両がポリゴンエリアに進入したと判定し、新たに受信したプローブ情報および前回受信した前記プローブ情報に示される対象車両の測位位置から構成される測位軌跡が、退出辺と交差してポリゴンエリアから外れることとなった場合に、対象車両がポリゴンエリアを退出したと判定する。
【符号の説明】
【0118】
1 通過判定システム
10 車載器
20 通過判定装置
21 プロセッサ
210 エリア情報取得部
211 受信部
212 通過判定部
22 メインメモリ
23 ストレージ
24 通信インタフェース