(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096387
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】硬質表面用の液体洗浄剤組成物及び硬質表面の洗浄方法
(51)【国際特許分類】
C11D 17/08 20060101AFI20230630BHJP
C11D 1/88 20060101ALI20230630BHJP
C11D 1/72 20060101ALI20230630BHJP
C11D 3/33 20060101ALI20230630BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
C11D17/08
C11D1/88
C11D1/72
C11D3/33
C11D3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212104
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】溝田 志織
(72)【発明者】
【氏名】友松 翼
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 千尋
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AC08
4H003AC15
4H003AD04
4H003BA12
4H003BA21
4H003DA05
4H003DA06
4H003DA17
4H003DB01
4H003DC02
4H003EB04
4H003EB07
4H003EB08
4H003EB13
4H003EB16
4H003ED02
4H003ED28
4H003FA04
4H003FA07
4H003FA18
4H003FA28
(57)【要約】
【課題】硬質表面用の液体洗浄剤組成物における、拭き取り性及び洗浄力の向上を図る。
【解決手段】(A)成分:両性界面活性剤及び半極性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種と、(B)成分:下記(b)式で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルと、(C)成分:キレート剤と、を含有し、粘度が10mPa・s以下であることよりなる。R-(OC2H4)n-OH ・・・(b)
((b)式中、Rは炭素数8~18の脂肪族炭化水素基であり、nは(OC2H4)の平均繰り返し数を表す数であり、nは31~70である。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:両性界面活性剤及び半極性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種と、
(B)成分:下記(b)式で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルと、
(C)成分:キレート剤と、
を含有し、
粘度が10mPa・s以下である、硬質表面用の液体洗浄剤組成物。
R-(OC2H4)n-OH ・・・(b)
((b)式中、Rは炭素数8~18の脂肪族炭化水素基であり、nは(OC2H4)の平均繰り返し数を表す数であり、nは31~70である。)
【請求項2】
前記(A)成分/前記(B)成分で表される質量比は0.5~4である、請求項1に記載の硬質表面用の液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記(C)成分は、下記(c1)成分及び下記(c2)成分を含み、
前記(c1)成分/前記(c2)成分で表される質量比は、1.5~10である、請求項1又は2に記載の硬質表面用の液体洗浄剤組成物。
(c1)成分:アミノカルボン酸系キレート剤。
(c2)成分:多価カルボン酸系キレート剤。
【請求項4】
前記(A)成分と前記(B)成分と前記(C)成分との合計は、硬質表面用の液体洗浄剤組成物の総質量に対して、0.8~13質量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の硬質表面用の液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の硬質表面用の液体洗浄剤組成物を処理対象に吹き付け、吹き付けた前記硬質表面用の液体洗浄剤の一部又は全部を拭き取る、硬質表面の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質表面用の液体洗浄剤組成物及び硬質表面の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トイレの便座、床及び壁、家具、浴槽等、衣料等に比べて硬質物の表面(硬質表面)の洗浄方法としては、液体洗浄剤組成物を泡状又は霧状にして洗浄剤対象に吹き付け、吹き付けた液体洗浄剤組成物を拭き取る方法が挙げられる。このような洗浄方法に用いられる液体洗浄剤組成物には、洗浄力に加え、拭き取りやすいこと(良好な拭き取り性)が求められる。
例えば、特許文献1には、界面活性剤と、特定のグリコール型溶剤と、アミノカルボン酸系キレート剤と、多価カルボン酸系キレート剤と、を含有するトイレ用の液体洗浄剤組成物が提案されている。特許文献1の発明によれば、洗浄力の向上と拭き取り性の向上とが図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
硬質表面に対する洗浄力の向上を図るため、液体洗浄剤組成物を泡状にして洗浄対象に吹き付け、この状態で放置し、その後に拭き取る洗浄方法(浸け置き洗浄)を採用することがある。浸け置き洗浄において洗浄力を高めるには、吹き付けた液体洗浄剤組成物を泡状に維持することが有効である。
液体洗浄剤組成物中の界面活性剤を増量すると、泡状に維持する時間を長くできる(泡持続性に優れる)。
しかしながら、液体洗浄剤組成物中の界面活性剤を単に増量すると、拭き取り性が損なわれるという問題がある。
そこで、本発明は、浸け置き洗浄に用いても、拭き取り性が良好でかつ洗浄力に優れる硬質表面用の液体洗浄剤組成物を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は以下の態様を有する。
<1>
(A)成分:両性界面活性剤及び半極性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種と、
(B)成分:下記(b)式で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルと、
(C)成分:キレート剤と、
を含有し、
粘度が10mPa・s以下である、硬質表面用の液体洗浄剤組成物。
R-(OC2H4)n-OH ・・・(b)
((b)式中、Rは炭素数8~18の脂肪族炭化水素基であり、nは(OC2H4)の平均繰り返し数を表す数であり、nは31~70である。)
<2>
前記(A)成分/前記(B)成分で表される質量比は0.5~4である、<1>に記載の硬質表面用の液体洗浄剤組成物。
<3>
前記(C)成分は、下記(c1)成分及び下記(c2)成分を含み、
前記(c1)成分/前記(c2)成分で表される質量比は、1.5~10である、請求項1又は2に記載の硬質表面用の液体洗浄剤組成物。
(c1)成分:アミノカルボン酸系キレート剤。
(c2)成分:多価カルボン酸系キレート剤。
<4>
前記(A)成分と前記(B)成分と前記(C)成分との合計は、硬質表面用の液体洗浄剤組成物の総質量に対して、0.8~13質量%である、<1>~<3>のいずれかに記載の硬質表面用の液体洗浄剤組成物。
【0006】
<5>
<1>~<4>のいずれかに記載の硬質表面用の液体洗浄剤を処理対象に吹き付け、吹き付けた前記硬質表面用の液体洗浄剤の一部又は全部を拭き取る、硬質表面の洗浄方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の硬質表面用の液体洗浄剤組成物によれば、浸け置き洗浄に用いても、拭き取り性が良好でかつ洗浄力に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(硬質表面用の液体洗浄剤組成物)
本発明の硬質表面用の液体洗浄剤組成物(以下、単に「液体洗浄剤組成物」ということがある)は、(A)~(C)成分を含有する。
【0009】
液体洗浄剤組成物の粘度は、10mPa・s以下であり、6mPa・s以下が好ましくい。粘度が上記上限値以下であれば、拭き取り性を高め、吹き付ける際に良好に起泡できる(起泡性が高い)。粘度の下限値は、実質的に1mPa・s以上であり、2mPa・s以上が好ましい。
粘度は、測定対象を25℃とし、B型(ブルックフィールド型)粘度計を用い、60rpmで60秒後に読み取った値である。
【0010】
液体洗浄剤組成物のpHは、例えば、5~9が好ましく、6~8がより好ましい。
pHは、測定対象を25℃とし、pHメーター(ポータブルpH/ORP/IONメーター D-73、株式会社堀場製作所製)で測定した値である。
【0011】
<(A)成分>
(A)成分は、両性界面活性剤((a1)成分)及び半極性界面活性剤((a2)成分)から選ばれる少なくとも1種である。本発明の液体洗浄剤組成物は、(A)成分を含有することで、吹き付ける際の起泡性が高まり、拭き取り性が高まる。
【0012】
(a1)成分としては、例えば、カルボベタイン系両性界面活性剤、アミドベタイン系両性界面活性剤、スルホベタイン系(ヒドロキシスルホベタイン系、アミドスルホベタイン系)両性界面活性剤、イミダゾリニウムベタイン系両性界面活性剤、ホスホベタイン系両性界面活性剤、アミノプロピオン酸系両性界面活性剤が挙げられる。
【0013】
カルボベタイン系両性界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸ジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタインが挙げられる。
アミドベタイン系両性界面活性剤としては、例えば、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(コカミドプロピルベタイン)、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、イソステアラミドプロピルベタインが挙げられる。
【0014】
これらの中でも、(a1)成分としては、カルボベタイン系両性界面活性剤、アミドベタイン系両性界面活性剤が好ましく、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインがより好ましい。
【0015】
(a2)成分は、半極性結合(無極性結合及び極性結合の中間の性質を有する結合)を有する界面活性剤である。(a2)成分は、溶解する溶液又は分散する分散系のpHにより、カチオン性、又は非極性を示す。
(a2)成分としては、例えば、アルキルアミンオキシド型半極性界面活性剤、アルキルアミドアミンオキシド型半極性界面活性剤が挙げられる。
アルキルアミンオキシド型半極性界面活性剤としては、炭素数8~18のアルキル基を有するアルキルジメチルアミンオキシドが好ましく、炭素数12~14のアルキル基を有するアルキルジメチルアミンオキシドがより好ましい。アルキルアミンオキシド型半極性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ヤシ油ジメチルアミンオキシド等が挙げられる。
【0016】
上述の(A)成分は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。(A)成分としては、(a1)成分を含むことが好ましく、(a1)成分が好ましい。
【0017】
(A)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、0.15~5質量%が好ましく、0.25~4質量%がより好ましく、0.3~4質量%がさらに好ましい。(A)成分の含有量が上記下限値以上であれば、起泡性をより高め、浸け置き洗浄における洗浄力がより高まる。(A)成分の含有量が上記上限値以下であれば、浸け置き洗浄における拭き取り性がより高まる。
【0018】
<(B)成分>
(B)成分は、(b)式で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルである。本発明の液体洗浄剤組成物は、(B)成分を含有することで、吹き付ける際の起泡性が高まり、吹き付けた後の泡持続性が高まる。
【0019】
R-(OC2H4)n-OH ・・・(b)
【0020】
(b)式中、Rは炭素数8~18の脂肪族炭化水素基である。
Rは、直鎖でもよく、分岐鎖でもよい。
Rは、飽和炭化水素でもよいし、不飽和炭化水素でもよい。
Rの炭素数は、12~18が好ましい。
【0021】
(b)式中、nは、オキシエチレン基(OC2H4)の平均繰り返し数を表す31~70の数である。nは、31~60が好ましい。nが上記下限値以上であれば、起泡性がより高まって泡の量が多くなり、泡持続性がより高まる。nが上記上限値以下であれば、泡持続性がより高まり、泡の量がより多くなり、浸け置き洗浄における洗浄力がより高まる。
【0022】
(B)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、0.1~5質量%が好ましく、0.1~4質量%がより好ましく、0.25~2質量%がさらに好ましい。(B)成分の含有量が上記下限値以上であれば、泡持続性がより高まり、浸け置き洗浄における洗浄力がより高まる。(B)成分の含有量が上記上限値以下であれば、泡の量がより増大し、泡持続性がより高まり、浸け置き洗浄における洗浄力がより高まる。
【0023】
(A)成分と(B)成分との合計量(A+B量)は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、0.3~10質量%が好ましく、0.8~8質量%がより好ましい。A+B量が上記下限値以上であれば、起泡性がより高まり、泡持続性がより高まる。A+B量が上記上限値以下であれば、拭き取り性がより高まる。
【0024】
(B)成分の質量に対する(A)成分の質量の比であり、(A)成分/(B)成分で表される質量比(A/B比)は、0.5~4が好ましく、1~4がより好ましく、2~4がさらに好ましい。A/B比が上記範囲内であれば、泡の量がより増大し、泡持続性がより高まる。
【0025】
<(C)成分>
(C)成分は、キレート剤である。本発明の液体洗浄剤組成物は、(C)成分を含有することで、洗浄力が高まる。(C)成分は、浸け置き洗浄における洗浄力の向上に特に有効である。
【0026】
(C)成分としては、例えば、アミノカルボン酸系キレート剤((c1)成分)、多価カルボン酸系キレート剤((c2)成分)、ホスホン酸系キレート剤、ホスホノカルボン酸系キレート剤、リン酸類等が挙げられる。
【0027】
(c1)成分としては、例えば、DEG(ジヒドロキシエチルグリシン:N-(2-hydroxylethyl)glycine)、HEIDA(N-(2-ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸:N-(2-hydroxyethyl)iminodiacetic acid)、HEDTA(ヒドロキシエチルエチレンジアミン四酢酸:N-(hydroxyethyl)ethylenediamine tetraacetic acid)、NTA(ニトリロ三酢酸:Nitrilo Triacetic Acid)、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸:Diethylene Triamine Pentaacetic Acid)、HEDTA(ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸:Hydroxyethyl Ethylene Diamine Triacetic Acid)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸:Ethylene Diamine Tetraacetic Acid)、MGDA(メチルグリシン二酢酸:MethylGlycineDiacetic Acid)、GLDA(Lグルタミン酸二酢酸:Dicarboxymethyle Glutamic Acid)、ASDA(アスパラギン酸二酢酸:Aspartate Diacetic Acid)、EDDS(エチレンジアミンコハク酸:Ethylenediamine Disuccinic Acid)、HIDS(ヒドロキシイミノジコハク酸:Hydroxye Iminodisuccinic Acid)、IDS(イミノジコハク酸:Iminodisuccinic Acid)及びこれらの塩(例えば、アルカリ金属塩)や水和物等が挙げられる。
中でも、(c1)成分としては、MGDA、GLDA、EDTA及びこれらのアルカリ金属塩が好ましい。これらの(c1)成分であれば、浸け置き洗浄における洗浄力がより高まる。
上述の(c1)成分は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0028】
(c2)成分としては、例えば、酢酸、アジピン酸、モノクロル酢酸、シュウ酸、コハク酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、グリコール酸、ジグリコール酸、乳酸、酒石酸、カルボキシメチル酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、もしくはグルコン酸及びこれらのアルカリ金属塩等が挙げられる。
中でも、(c2)成分としては、クエン酸、リンゴ酸、乳酸が好ましい。これらの(c2)成分であれば、浸け置き洗浄における洗浄力がより高まる。
上述の(c2)成分は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0029】
(C)成分は、(c1)成分及び(c2)成分の双方を含有してもよいし、いずれか一方のみを含有してもよい。
浸け置き洗浄における洗浄力をより高める観点から、(C)成分は、(c1)成分及び(c2)成分の双方を含有することが好ましい。
(C)成分が(c1)成分及び(c2)成分の双方を含有する場合、(c2)成分の質量に対する(c1)成分の質量の比であり、(c1)成分/(c2)で表される質量比(c1/c2比)は、1.5~10が好ましく、1.9~6がより好ましい。c1/c2比が上記範囲内であれば、浸け置き洗浄における洗浄力がより高まる。
【0030】
(C)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、0.1~4質量%が好ましく、0.5~3質量%がより好ましく、0.5~2.5質量%がさらに好ましい。(C)成分の含有量が上記下限値以上であれば、浸け置き洗浄における洗浄力がより高まる。(C)成分の含有量が上記上限値以下であれば、浸け置き洗浄における拭き取り性がより高まる。
【0031】
(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計量(A+B+C量)は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、0.8~13質量%が好ましく、1~11質量%がより好ましく、4~8質量%がさらに好ましい。A+B+C量が上記下限値以上であれば、液体洗浄剤組成物中の有効成分の含有量が高まり、洗浄力、起泡性がより高まる。A+B+C量が上記上限値以下であれば、液体洗浄剤組成物中の有効成分の含有量が適度に抑えられて、拭き取り性がより高まる。加えて、A+B+C量が上記上限値以下であれば、粘度が適度に抑えられて、起泡性がより高まる。
【0032】
<任意成分>
本発明の液体洗浄剤組成物は、(A)~(C)成分以外の任意成分を含有してもよい。
任意成分としては、(A)成分以外の界面活性剤(任意界面活性剤)、(B)成分以外の有機溶剤(任意溶剤)、水溶性高分子、水、pH調整剤、防腐剤、着色剤、香料等が挙げられる。
【0033】
任意界面活性剤としては、例えば、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。
任意界面活性剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、0.01~5質量%が好ましい。
【0034】
任意溶剤としては、1価のアルコール、グリコールエーテル等が挙げられる。
1価のアルコールとしては、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。
グリコールエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエチレングリコール系エーテル類、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコール系エーテル類等のジアルキルグリコールエーテル系溶剤、モノエチレングリコールモノフェニルエーテル等が挙げられる。
任意溶剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、0.5~30質量%が好ましい。
【0035】
水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、カチオン性ポリビニルアルコール、アニオン性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0036】
防腐剤としては、ベンズイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン、ブチルベンズイソチアゾリノン、クロロメチルイソチアゾリノン、オクチルイソチアゾリノン、ジクロロオクチルイソチアゾリノン等のイソチアゾリン系防腐剤が挙げられる。中でも、防腐剤としては、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンが好ましい。
これらの防腐剤は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
防腐剤の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、2~1000質量ppmが好ましい。
【0037】
pH調整剤としては、アルカリ剤、酸剤のいずれでもよい。アルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア及びその誘導体、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等から選ばれるアルカリ剤が挙げられる。酸剤としては、硫酸、塩酸等が挙げられる。
pH調整剤は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0038】
水は、液体洗浄剤組成物の分散媒として機能する。
水の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、50~98質量%が好ましく、53~95質量%がより好ましい。水の含有量が下限値以上であれば、液体洗浄剤組成物の粘度を適度に低下して、起泡性をより高められる。加えて、水の含有量が上記下限値以上であれば、水以外の成分の含有量を適度に低めて、拭き取り性をより高められる。水の含有量が上記上限値以下であれば、A+B+C量を適度に高めて、泡の量をより増大し、泡持続性、起泡性及び洗浄力をより高められる。
【0039】
(製造方法)
本発明の液体洗浄剤は、従来公知の製造方法によって製造される。
製造方法としては、例えば、水の一部に(A)~(C)成分、及び必要に応じて任意成分を加え、pHを調整した後、水の残部を加えて、全量を100質量%とする方法が挙げられる。
【0040】
本発明の液体洗浄剤組成物は、容器に充填されて、液体洗浄剤製品とされてもよい。容器としては、洗浄対象に対して、トリガー式スプレイヤーにより吐出する方式のもの、泡状もしくは霧状のエアゾールより噴霧する方式のもの、ボトル口より洗浄剤組成物を吐出する方式のものが挙げられる。中でも、本発明の液体洗浄剤組成物の容器としては、泡状に吐出するトリガー式スプレイヤーが特に好ましい。トリガー式スプレイヤーは、蓄圧式でもよいし、直圧式でもよい。
蓄圧式トリガー式スプレイヤーとしては、例えば、特開2017-214464号公報の段落[0009]~[0014]に記載のものが挙げられる。
直圧式トリガー式スプレイヤーとしては、例えば、特開2012-131951号公報の
図1に記載のもの、特開2018-199771号公報に記載のものが挙げられる。
【0041】
(使用方法)
液体洗浄剤組成物の使用方法(即ち、硬質表面の洗浄方法)としては、例えば、液体洗浄剤組成物を処理対象に吹き付け、吹き付けた前記硬質表面用の液体洗浄剤の一部又は全部を拭き取る方法が挙げられる。
【0042】
本実施形態の硬質表面の洗浄方法は、例えば、トリガー式スプレイヤー等に充填された液体洗浄剤組成物を泡状に吐出し、処理対象である硬質表面上に泡状の液体洗浄剤組成物を吹き付け、次いで、泡状に吹き付けた液体洗浄剤組成物を清掃具で拭き取る。
【0043】
処理対象は、硬質表面を有するものであればよい。処理対象は、便器、便座、床面、壁面、壁、窓、バスタブ、食器、調理器具、シンク等が挙げられる。
処理対象の材質としては、プラスチック、繊維強化プラスチック(FRP)、ガラス、石、陶磁器、金属等が挙げられる。
清掃具としては、例えば、布、紙、不織布、スクレーパー等が挙げられる。
【0044】
処理対象に吹き付ける液体洗浄剤組成物の量は、例えば、10~120mg/cm2とされる。
【0045】
液体洗浄剤組成物を泡状に吹き付ける場合、泡の密度は、例えば、10~45mg/cm3とされる。泡の密度は、液体洗浄剤組成物の粘度とトリガー式スプレイヤーの種類との組み合わせで調節できる。
【0046】
泡状の液体洗浄剤組成物を硬質表面に吹き付けた後、直ちに液体洗浄剤組成物を拭き取ってもよいし、泡状の液体洗浄剤組成物を硬質表面に吹き付け、任意の時間(放置時間)が経過した後に液体洗浄剤組成物を拭き取ってもよい(浸け置き洗浄)。浸け置き洗浄における放置時間は、0.5~10分間が好ましく、1~5分間がより好ましい。放置時間が上記下限値以上であれば、洗浄力をより高められる。放置時間が上記上限値以下であれば、拭き取り性をより高められる。
【0047】
以上、本発明によれば、(A)~(C)成分を含有するため、起泡性に優れ、洗浄力を高め、かつ拭き取り性を高められる。
本発明の液体洗浄剤組成物は、トイレ用、浴室用、台所用品用として好適であり、特にトイレ用として好適である。
【実施例0048】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0049】
(使用原料)
<(A)成分:両性界面活性剤及び半極性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種>
・A-1:両性界面活性剤、ラウリン酸アミドプロピルベタイン(表中、「LPB」と記載。ライオン株式会社製、「エナジコールL-30B」)。
・A-2:両性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(表中、「LDB」と記載。三洋化成工業株式会社製、「レボンLD-36」)。
・A-3:両性界面活性剤、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(表中、「SDB」と記載。花王株式会社製、「アンヒトール86B」。
・A-4:半極性界面活性剤、n-ドデシルジメチルアミンオキシド(表中、「C12AX」と記載。ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、「カデナックスDM12D-W」)。
【0050】
<(B)成分:ポリオキシアルキレンエーテル>
・B-1:POE(ポリオキシエチレン)ステアリルエーテル(表中、「C18EO40」と記載。EO(オキシエチレン基の平均繰り返し数)40)(日本エマルジョン株式会社製、「エマレックス640」)。
・B-2:POEラウリルエーテル(EO50)(表中、「C12EO50」と記載。日本エマルジョン株式会社製、「エマレックス750」)。
・B-3:POEイソトリデシルエーテル(EO60)(表中、「C13EO60」と記載。ライオンケミカル株式会社製、「TA600-75」)。
【0051】
<(B’)成分:(B)成分の比較品>
・B’-1:POEステアリルエーテル(EO5)(表中、「C18EO5」と記載。日本エマルジョン株式会社製、「エマレックス605」)。
・B’-2:POEステアリルエーテル(EO20)(表中、「C18EO20」と記載。日本エマルジョン株式会社製、「エマレックス620」)。
【0052】
<(C)成分:キレート剤>
≪(c1)成分:アミノカルボン酸系キレート剤≫
・C1-1:エチレンジアミン四酢酸(表中、「EDTA」と記載。アクゾノーベル社製、「ディゾルビンNA2」)。
・C1-2:メチルグリシン二酢酸三ナトリウム(表中、「MGDA」と記載。BASF社製、「トリロンM」)。
・C1-3:グルタミン酸ジ酢酸4ナトリウム(表中、「GLDA-Na」と記載。アクゾノーベル社製)。
【0053】
≪(c2)成分:多価カルボン酸系キレート剤≫
・C2-1:クエン酸(扶桑化学工業株式会社、「精製クエン酸(無水)」)。
・C2-2:乳酸(和光純薬工業株式会社製、試薬)。
・C2-3:リンゴ酸(和光純薬工業株式会社製、試薬)。
【0054】
<任意成分>
・pH調整剤:硫酸(関東化学株式会社)、水酸化カリウム:液体苛性カリ(旭硝子株式会社)。
・エタノール:日本アルコール販売株式会社製、「合成95」。
【0055】
(評価方法)
<泡持続性>
各例の液体洗浄剤組成物を100mLのガラスビーカーに収容した。ガラスビーカー中の液体洗浄剤に、内径10mmの輪の針金を浸し、引き揚げた。引き上げた後に、輪の内部に形成された泡膜が割れるまでの時間を測定し、下記評価基準に基づいて泡膜安定性を評価した。◎◎、◎、〇を合格とした。
【0056】
≪評価基準≫
◎◎:40秒以上。
◎:35秒以上40秒未満。
○:30秒以上35秒未満。
△:20秒以上30秒未満。
×:20秒未満。
【0057】
<泡量>
各例の液体洗浄剤を吐出容器(株式会社吉野工業所製「TA-FA」、泡状トリガースプレイヤー容器(蓄圧式タイプ)、1ストローク(約0.8g/ストローク))に収容した。この吐出容器を用いて200mLトールビーカーに液体洗浄剤を5ストローク吐出し、泡の高さを定規で測定後、吐出重量当たりの泡高さを算出し、下記評価基準に基づいて起泡性を評価した。◎◎、◎、及び〇を合格とした。
【0058】
≪評価基準≫
◎◎:泡の高さが1.8cm/g以上。
◎:泡の高さが1.5cm/g以上1.8cm/g未満。
〇:泡の高さが1.2cm/g以上1・5cm/g未満。
×:泡の高さが1.2cm未満。
【0059】
<拭き取り性>
各例の液体洗浄剤各例の液体洗浄剤を吐出容器(株式会社吉野工業所製「TA-FA」、泡状トリガースプレイヤー容器(蓄圧式タイプ)、1ストローク(約0.8g/ストローク))に収容した。この吐出容器を用いて、汚れのないタイル(15cm×15cm)に乗せた。その5分放置後、3つ折りにしたトイレットペーパーで拭き取った時の拭き取りやすさ(抵抗が少ない)について評価した。◎◎、◎、及び〇を合格とした。
【0060】
≪評価基準≫
◎◎:拭き跡が全く残らず、ベタつきも全く感じない。
◎:極わずかに細い線状の拭き跡が残るが、ベタつきもなく気にならない。
○:わずかに細い線状の拭き跡が残るが、ベタつきは気にならない。
△:部分的に拭き跡が残り、ベタつきも感じられる。
×:全面に拭き跡が残り、べたつきも感じられる。
【0061】
<洗浄力>
成人男性5名の尿をPP板上に100μLのせ、室温で24時間放置し、乾燥させた。乾燥後、各例の液体洗浄剤各例の液体洗浄剤を吐出容器(株式会社吉野工業所製「TA-FA」、泡状トリガースプレイヤー容器(蓄圧式タイプ)、1ストローク(約0.8g/ストローク))に収容し、この吐出容器を用いて汚れの付着したPP板上に洗浄液を乗せた。その5分放置後、3つ折りにしたトイレットペーパーで拭き取り、汚れの残り具合を下記評価基準に従い、評価した。◎◎、◎、及び〇を合格とした。
【0062】
≪評価基準≫
◎◎:完全に汚れが落ちている。
◎:ほとんど汚れが落ちている。
〇:半分程度汚れが落ちている。
△:やや汚れが落ちている。
×:全く汚れが落ちていない。
【0063】
(実施例1~59、比較例1~6)
表1~7の組成に従い、各成分を水に分散して、pH7の液体洗浄剤組成物を調製した。各例の液体洗浄剤組成物について、泡持続性、泡量、拭き取り性及び洗浄力を評価し、その結果を表中に示す。
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
表1~7に示すように、本発明を適用した実施例1~59は、泡持続性、泡量、拭き取り性及び洗浄力の評価において、いずれも「〇」、「◎」又は「◎◎」であった。
(B)成分に代えてB’-1成分を含有する比較例1は、泡持続性、泡量、拭き取り性及び洗浄力の評価において、いずれも「×」であった。
(B)成分に代えてB’-2成分を含有する比較例2は、泡持続性が「△」、拭き取り性が「△」、洗浄力が「△」であった。
(A)成分を含有しない比較例3は、泡持続性が「×」、拭き取り性が「×」、泡量が「×」、洗浄力が「△」であった。
(B)成分を含有しない比較例4は、泡持続性が「×」、拭き取り性が「△」、洗浄力が「△」であった。
(C)成分を含有しない比較例5は、洗浄力が「×」であった。
粘度が50mPa・sである比較例6は、起泡できず、泡持続性、泡量、拭き取り性及び洗浄力の評価において、いずれも「×」であった。
以上の結果から、本発明を適用することで、硬質表面用の液体洗浄剤組成物における、拭き取り性及び洗浄力の向上を図れることを確認できた。