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特開2023-96400電動日射遮蔽装置及び電動日射遮蔽システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096400
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】電動日射遮蔽装置及び電動日射遮蔽システム
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/264 20060101AFI20230630BHJP
【FI】
E06B9/264 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212135
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】喜多 祥吾
【テーマコード(参考)】
2E043
【Fターム(参考)】
2E043AA01
2E043AA04
2E043BE00
(57)【要約】
【課題】待機電力の低減を可能とした電動日射遮蔽装置及び電動日射遮蔽システムを提供する。
【解決手段】遮蔽材制御部7は、日射遮蔽材を動作させるモータ10と、モータ10の動作を制御するマイコン31と、マイコン31に接続されるコンデンサ50と、商用交流電源17の供給に基づいて、モータ10、マイコン31及びコンデンサ50に電力供給する電源回路28と、電源回路28に接続されるリレー27と、を備える。マイコン31は、リレー27を制御可能に構成される。リレー27は、マイコン31の制御によって、電源回路28への商用交流電源17の供給を可能とする導通状態と、電源回路28への商用交流電源17の供給を遮断する不導通状態のいずれかの状態とされる。コンデンサ50は、リレー27が不導通状態にあるとき、自らが蓄電した電力をマイコン31に供給する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
日射遮蔽材と、
指令元から出力される指令信号に基づいて前記日射遮蔽材の動作を制御する遮蔽材制御部と、を備える電動日射遮蔽装置であって、
前記遮蔽材制御部は、
前記日射遮蔽材を動作させるモータと、
前記モータの動作を制御するモータ制御部と、
前記モータ制御部に接続される蓄電部材と、
電源の供給に基づいて、前記モータ、前記モータ制御部及び前記蓄電部材に電力供給する電源回路と、
前記電源回路に接続されるリレーと、を備え、
前記リレーは、前記電源回路への前記電源の供給を可能とする導通状態と、前記電源回路への前記電源の供給を遮断する不導通状態のいずれかの状態とされ、
前記蓄電部材は、前記リレーが前記不導通状態にあるとき、自らが蓄電した電力を前記モータ制御部に供給し、
前記モータ制御部は、前記リレーを制御可能であり、前記指令元から出力される信号に基づいて、前記不導通状態にある前記リレーを前記導通状態とする、
電動日射遮蔽装置。
【請求項2】
前記指令元からの指令信号が前記遮蔽材制御部に入力されない時間が予め設定された規定時間に達したとき、前記モータ制御部は、前記導通状態にある前記リレーを前記不導通状態とする、
請求項1に記載の電動日射遮蔽装置。
【請求項3】
前記蓄電部材は、前記リレーが前記導通状態にあるとき、前記電源回路から供給される電力を蓄電する、
請求項1または請求項2に記載の電動日射遮蔽装置。
【請求項4】
前記電源回路からの給電により前記モータが駆動されるとき、前記蓄電部材にも前記電源回路からの給電がなされるように構成されている、
請求項3に記載の電動日射遮蔽装置。
【請求項5】
前記モータ制御部は、前記蓄電部材の電圧が予め設定された規定値を下回ったとき、前記リレーを前記導通状態にして前記電源回路から前記蓄電部材への給電が可能な状態にする、
請求項3または請求項4に記載の電動日射遮蔽装置。
【請求項6】
日射遮蔽材、及び、指令信号に基づいて前記日射遮蔽材の動作を制御する遮蔽材制御部を各々有する複数の電動日射遮蔽装置と、
前記指令信号を出力する指令元と、
を備える電動日射遮蔽システムであって、
前記各電動日射遮蔽装置の前記遮蔽材制御部は、
前記日射遮蔽材を動作させるモータと、
前記モータの動作を制御するモータ制御部と、
前記モータ制御部に接続される蓄電部材と、
電源の供給に基づいて、前記モータ、前記モータ制御部及び前記蓄電部材に電力供給する電源回路と、
前記電源回路に接続されるリレーと、を備え、
前記リレーは、前記電源回路への前記電源の供給を可能とする導通状態と、前記電源回路への前記電源の供給を遮断する不導通状態のいずれかの状態とされ、
前記蓄電部材は、前記リレーが前記不導通状態にあるとき、自らが蓄電した電力を前記モータ制御部に供給し、
前記モータ制御部は、前記リレーを制御可能であり、前記指令元から出力される信号に基づいて、前記不導通状態にある前記リレーを前記導通状態とする、
電動日射遮蔽システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動日射遮蔽装置及び電動日射遮蔽システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電動日射遮蔽装置は、日射遮蔽材と、日射遮蔽材の動作を制御する遮蔽材制御部とを備える(例えば特許文献1参照)。遮蔽材制御部は、日射遮蔽材を動作させるモータと、モータの動作を制御するマイコンと、例えば商用電源の供給に基づいてモータとマイコンに電力供給する電源回路と、を備える。電源回路は、例えば、電源トランス、整流回路、安定化回路などを備えている。このような電動日射遮蔽装置では、操作スイッチなどからの指令信号の入力に基づくモータの駆動によって日射遮蔽材を動作させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-163577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電動日射遮蔽装置では、電源回路においてモータへ電源を供給する大電力用トランスの一次側コイルに供給される電源を、待機時に遮断して待機電力を低減している。しかしながら、電源回路において前記マイコンに電源を供給する小電力用トランスの一次側コイルには、待機時にも給電し続ける必要があるため、待機電力を十分に低減することができないという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する電動日射遮蔽装置は、日射遮蔽材と、指令元から出力される指令信号に基づいて前記日射遮蔽材の動作を制御する遮蔽材制御部と、を備える電動日射遮蔽装置であって、前記遮蔽材制御部は、前記日射遮蔽材を動作させるモータと、前記モータの動作を制御するモータ制御部と、前記モータ制御部に接続される蓄電部材と、電源の供給に基づいて、前記モータ、前記モータ制御部及び前記蓄電部材に電力供給する電源回路と、前記電源回路に接続されるリレーと、を備え、前記リレーは、前記電源回路への前記電源の供給を可能とする導通状態と、前記電源回路への前記電源の供給を遮断する不導通状態のいずれかの状態とされ、前記蓄電部材は、前記リレーが前記不導通状態にあるとき、自らが蓄電した電力を前記モータ制御部に供給し、前記モータ制御部は、前記リレーを制御可能であり、前記指令元から出力される信号に基づいて、前記不導通状態にある前記リレーを前記導通状態とする。
【0006】
上記電動日射遮蔽装置において、前記指令元からの指令信号が前記遮蔽材制御部に入力されない時間が予め設定された規定時間に達したとき、前記モータ制御部は、前記導通状態にある前記リレーを前記不導通状態とする構成としてもよい。
【0007】
上記電動日射遮蔽装置において、前記蓄電部材は、前記リレーが前記導通状態にあるとき、前記電源回路から供給される電力を蓄電する構成としてもよい。
上記電動日射遮蔽装置において、前記電源回路からの給電により前記モータが駆動されるとき、前記蓄電部材にも前記電源回路からの給電がなされるように構成してもよい。
【0008】
上記電動日射遮蔽装置において、前記モータ制御部は、前記蓄電部材の電圧が予め設定された規定値を下回ったとき、前記リレーを前記導通状態にして前記電源回路から前記蓄電部材への給電が可能な状態にしてもよい。
【0009】
上記課題を解決する電動日射遮蔽システムは、日射遮蔽材、及び、指令信号に基づいて前記日射遮蔽材の動作を制御する遮蔽材制御部を各々有する複数の電動日射遮蔽装置と、前記指令信号を出力する指令元と、を備える電動日射遮蔽システムであって、前記各電動日射遮蔽装置の前記遮蔽材制御部は、前記日射遮蔽材を動作させるモータと、前記モータの動作を制御するモータ制御部と、前記モータ制御部に接続される蓄電部材と、電源の供給に基づいて、前記モータ、前記モータ制御部及び前記蓄電部材に電力供給する電源回路と、前記電源回路に接続されるリレーと、を備え、前記リレーは、前記電源回路への前記電源の供給を可能とする導通状態と、前記電源回路への前記電源の供給を遮断する不導通状態のいずれかの状態とされ、前記蓄電部材は、前記リレーが前記不導通状態にあるとき、自らが蓄電した電力を前記モータ制御部に供給し、前記モータ制御部は、前記リレーを制御可能であり、前記指令元から出力される信号に基づいて、前記不導通状態にある前記リレーを前記導通状態とする。
【発明の効果】
【0010】
本開示の電動日射遮蔽装置及び電動日射遮蔽システムは、待機電力を低減させる効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態の電動日射遮蔽システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】同形態の電動日射遮蔽装置における遮蔽材制御部の電気的構成を示すブロック図である。
図3】同形態の遮蔽材制御部における電源回路を示すブロック図である。
図4】同形態における遮蔽材制御部の動作を示すフローチャートである。
図5】同形態における遮蔽材制御部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、電動日射遮蔽装置及び電動日射遮蔽システムの一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の電動日射遮蔽システムSは、フロアコントローラ1と、パソコン等の中央制御装置3と、複数の電動日射遮蔽装置5と、操作スイッチ8と、を備える。電動日射遮蔽装置5は、例えば、ビルの複数のフロアにそれぞれ複数設置されるものである。電動日射遮蔽装置5は、例えば横型電動ブラインドである。フロアコントローラ1は、前記フロア毎に設置される。各フロアのフロアコントローラ1は、通信線2aを介して中央制御装置3に接続される。
【0013】
複数の電動日射遮蔽装置5はそれぞれ、ヘッドボックス6と、日射遮蔽材11と、日射遮蔽材11の動作を制御する遮蔽材制御部7と、を備える。日射遮蔽材11は、例えば、ヘッドボックス6から吊下支持されるスラットである。遮蔽材制御部7は、ヘッドボックス6内に収容されている。
【0014】
フロアコントローラ1は、通信線2cを介して当該フロアに複数設置される電動日射遮蔽装置5の遮蔽材制御部7に接続される。操作スイッチ8は、通信線2dを介して当該フロアに複数設置される電動日射遮蔽装置5の遮蔽材制御部7に接続される。フロアコントローラ1と、遮蔽材制御部7とには、分電盤9を介して商用交流電源17が供給される。各電動日射遮蔽装置5の遮蔽材制御部7は、中央制御装置3あるいは操作スイッチ8から入力される指令信号に基づいて日射遮蔽材11の動作を制御する。
【0015】
中央制御装置3は、各電動日射遮蔽装置5に対する自動日射制御を行う。詳しくは、中央制御装置3は、予め設定されたプログラムに基づいて、対象となる電動日射遮蔽装置5に対して指令信号を出力する。前記プログラムは、電動日射遮蔽装置5が設置される場所や方角、時間などに基づいて設定される。このため、太陽の光が当たらない時間が長い場所に設置された電動日射遮蔽装置5に対しては、自動日射制御による指令信号の入力頻度は少なくなる。また、日没から日の出までの時間帯では、各電動日射遮蔽装置5に対して自動日射制御による指令信号の入力頻度は少なくなる。なお、中央制御装置3による上記自動日射制御は、予め設定されたプログラムに基づくものに限定されるものではない。例えば、日照センサなどからのセンサ信号や天空撮影画像解析の解析結果などに基づく制御、もしくはそれらと予め設定されたプログラムを組み合わせた制御等としてもよい。
【0016】
(遮蔽材制御部7の構成)
図2に示すように、遮蔽材制御部7は、日射遮蔽材11を動作させるモータ10と、リレー27と、電源回路28と、モータ制御部としてのマイコン31と、蓄電部材としてのコンデンサ50と、を備える。モータ10は例えば直流モータである。モータ10は、ヘッドボックス6内に設けられている。
【0017】
マイコン31は、指令元12から出力される指令信号に基づいてモータ10の動作を制御する。なお、図2において、指令元12は中央制御装置3もしくは操作スイッチ8である。日射遮蔽材11は、モータ10の作動により昇降あるいは角度調節される。
【0018】
電源回路28は、商用交流電源17の供給に基づいて直流電源をモータ10、マイコン31及びコンデンサ50に供給する。詳しくは、電源回路28には、商用交流電源17がコネクタ26及びリレー27を介して供給される。電源回路28は商用交流電源17を所要電圧の直流電源に変換する。そして、電源回路28は、マイコン31、モータ駆動回路32、及びコンデンサ50にそれぞれ直流電源を供給する。モータ駆動回路32はマイコン31から出力されるモータ制御信号に基づいてモータ10の動作を制御する。
【0019】
リレー27は、例えば無接点リレーである。なお、無接点リレーは、ソリッドステートリレー(SSR)とも言われる。リレー27は、電源回路28に接続されている。なお、リレー27は無接点リレーに限らず、例えば有接点リレー(メカニカルリレー)としてもよい。
【0020】
マイコン31は、リレー27を制御可能に構成される。リレー27は、マイコン31の制御によって、電源回路28への商用交流電源17の供給を可能とする導通状態と、電源回路28への商用交流電源17の供給を遮断する不導通状態のいずれかの状態とされる。詳しくは、リレー27は、マイコン31から制御信号PSが入力されたとき、導通状態となり、制御信号PSが入力されないとき、接点を開く常開接点として動作する不導通状態となる。すなわち、リレー27は、制御信号PSが入力されたとき、コネクタ26に供給される商用交流電源17を電源回路28に供給し、制御信号PSが入力されないとき、電源回路28への商用交流電源17の供給を遮断する。なお、リレー27は、交流電源のゼロクロスポイント、すなわち交流電源電圧が中間電圧となるタイミングで電源回路28に交流電源の供給を開始する公知の機能を備えている。
【0021】
コンデンサ50は、マイコン31に接続される。コンデンサ50には、マイコン31を動作させるのに必要な静電容量を有するものが用いられる。なお、マイコン31の動作電圧は例えば5V以下である。コンデンサ50は、電源回路28から供給される直流電源によって充電される。コンデンサ50は、リレー27が不導通状態にあるとき、すなわち電源回路28への商用交流電源17の供給が遮断されているとき、自らが蓄電した電力をマイコン31に供給する。
【0022】
指令元12から遮蔽材制御部7の通信ポート34に供給される指令信号は、通信インターフェース35を介してマイコン31に入力される。マイコン31には、ROM36、RAM37及びEEPROM38がそれぞれ接続されている。マイコン31は、ROM36に格納されているプログラムに基づいて動作する。RAM37には、マイコン31の処理結果を一時的に格納される。EEPROM38には、当該電動日射遮蔽装置5における日射遮蔽材11の位置や角度等の現在データが格納される。
【0023】
マイコン31に接続された状態表示用LED39は、当該電動日射遮蔽装置5の動作モード、すなわち通常モードであるか省エネモードであるかを表示する。また、マイコン31に接続されたディップスイッチ40は、当該電動日射遮蔽装置5のアドレス情報等を設定可能となっている。
【0024】
(電源回路28の具体的構成)
図3は、遮蔽材制御部7の電源回路28の具体的構成を示す。電源回路28は、モータ駆動回路32に動作電流を供給する大電力用トランス41と、マイコン31等に動作電流を供給する小電力用トランス42を備えている。そして、大電力用トランス41と小電力用トランス42の一次側コイルには、商用交流電源17がリレー27を介して供給される。
【0025】
コンデンサ50は、マイコン31と並列に接続されている。詳しくは、コンデンサ50のマイナス側端子はグランドに接続され、コンデンサ50のプラス側端子は安定化回路46及びマイコン31に接続される。
【0026】
リレー27は、マイコン31から制御信号PSが入力されるとき、大電力用トランス41と小電力用トランス42の一次側コイルに商用交流電源17を供給する。また、リレー27は、制御信号PSが入力されないとき、大電力用トランス41と小電力用トランス42の一次側コイルへの商用交流電源17の供給を遮断する。したがって、リレー27に制御信号PSが入力されないときには、大電力用トランス41と小電力用トランス42での電力消費がなくなるようになっている。
【0027】
大電力用トランス41は、商用交流電源17を所要の電圧に降圧して出力する。そして、大電力用トランス41の交流出力電圧が整流回路43及び安定化回路44で直流電圧に変換されて、モータ駆動回路32に供給される。
【0028】
小電力用トランス42は、商用交流電源17を所要の電圧に降圧して出力する。そして、小電力用トランス42の交流出力電圧が整流回路45及び安定化回路46で直流電圧に変換されて、コンデンサ50及びマイコン31に供給される。
【0029】
(遮蔽材制御部7の動作)
各電動日射遮蔽装置5の遮蔽材制御部7は、指令元12から出力される指令信号に基づいて、日射遮蔽材11を通常モードもしくは省エネモードのいずれかで制御する。なお、指令元12は、複数の電動日射遮蔽装置5のうち、制御対象となる電動日射遮蔽装置5に対して選択的に指令信号を出力、または複数の電動日射遮蔽装置5に対して指令信号を一括出力する。
【0030】
通常モードでは、リレー27に制御信号PSが入力され、大電力用トランス41及び小電力用トランス42の一次側コイルに商用交流電源17が供給される。そして、指令元12から出力される指令信号に基づいてモータ駆動回路32が動作して、日射遮蔽材11の昇降操作あるいは角度調節操作が行われる。また、モータ駆動回路32が動作してモータ10が駆動されるとき、電源回路28からコンデンサ50にも電力供給がなされるため、コンデンサ50が充電される。
【0031】
図4に示すように、通常モードにおいて、マイコン31は、指令元12からの指令信号の受信の有無を監視している(ステップS1)。
次いで、ステップS2において、マイコン31は、省エネモードに移行する条件を満たしているかを判定する。省エネモードに移行する条件としては、例えば、指令元12からの指令信号が入力されない時間が予め設定された規定時間に達することなどが挙げられる。なお、前記規定時間は、例えば、数十秒から数分の間の時間に設定される。
【0032】
ステップS2で省エネモードに移行する条件を満たしていない場合には、ステップS1に戻る。ステップS2で省エネモードに移行する条件を満たした場合には、ステップS3に移行する。
【0033】
ステップS3において、マイコン31は、日射遮蔽材11の位置や角度等の現在データをスキャンし、そのスキャン結果をEEPROM38に格納する。なお、ステップS3において、マイコン31は、日射遮蔽材11が動作中である場合には、その動作が停止された後、前記現在データをスキャンする。
【0034】
次のステップS4において、マイコン31は、リレー27に対する制御信号PSの出力を停止する。すると、リレー27が不導通状態となり、大電力用トランス41及び小電力用トランス42の一次側コイルへの商用交流電源17の供給が遮断される。
【0035】
次のステップS5において、マイコン31は、ステップS3でスキャンした現在データを、フロアコントローラ1を介して中央制御装置3へ送信して、省エネモードへの移行処理を終了する。省エネモードでは、マイコン31は、コンデンサ50からの給電により動作する。
【0036】
図5は、省エネモード時及び省エネモードから通常モードに移行する際のマイコン31の動作を示す。
同図に示すように、ステップS11において、マイコン31は、指令元12からの指令信号の受信の有無を監視している。この状態で指令元12から遮蔽材制御部7に指令信号が入力されたとき、当該指令信号がデータスキャンを指令する信号であると(ステップS12,13)、マイコン31は、EEPROM38に格納されている現在データを読み出す(ステップS14)。そして、マイコン31は、ステップS15において、当該現在データを、フロアコントローラ1を介して中央制御装置3へ送信する。
【0037】
ステップS12で省エネモードの解除を指令する信号が入力されると、マイコン31は、ステップS16に移行して指令信号に日射遮蔽材11の操作指令信号も含まれているか否かを判別する。
【0038】
そして、操作指令信号が含まれている場合には、マイコン31は、その操作指令信号をRAM37に一時的に格納する(ステップS17)。
次いで、ステップS18に移行して、マイコン31は、リレー27を導通状態とする制御を行う。すなわち、マイコン31は、リレー27に対して制御信号PSを入力する。すると、リレー27が導通状態となり、大電力用トランス41及び小電力用トランス42の一次側コイルへ商用交流電源17が供給される。この結果、モータ駆動回路32、マイコン31及びコンデンサ50に電源が供給される通常モードとなる。
【0039】
次のステップS19において、マイコン31は、ステップS17でRAM37に格納した操作指令信号に基づいて日射遮蔽材11を駆動させる。このとき、電源回路28からモータ駆動回路32に電源供給がなされてモータ10が駆動されると同時に、電源回路28からコンデンサ50にも電源供給がなされてコンデンサ50が充電される。
【0040】
また、マイコン31は、日射遮蔽材11の制御動作が終了すると、日射遮蔽材11の現在データをEEPROM38に格納する。その後、ステップS15に移行して、マイコン31は、当該現在データを、フロアコントローラ1を介して中央制御装置3へ送信する。
【0041】
なお、ステップS16において、指令信号に日射遮蔽材11の操作指令信号が含まれていない場合には、ステップS18に移行するが、ステップS19の処理を行わない。
各電動日射遮蔽装置5の遮蔽材制御部7において、マイコン31は、コンデンサ50の電圧を監視している。省エネモードにおいて、マイコン31は、コンデンサ50の電圧が予め設定された規定値を下回ったとき、リレー27に制御信号PSを出力する。すると、リレー27が導通状態となり、電源回路28からマイコン31及びコンデンサ50への給電がなされる。これにより、コンデンサ50は、電圧が前記規定値以上となるように充電される。
【0042】
本実施形態の効果について説明する。
(1)リレー27が不導通状態のとき、商用交流電源17から電源回路28への電源供給が遮断されるため、電源回路28での電力消費を削減することが可能となる。そして、リレー27が不導通状態にあるとき、コンデンサ50は自らが蓄電した電力をマイコン31に供給する。これにより、商用交流電源17から電源回路28への電源供給を遮断した状態としつつも、コンデンサ50の電力によってマイコン31を動作させることが可能となる。また、マイコン31は、指令元12から出力される信号に基づいて、不導通状態にあるリレー27を導通状態とする。これにより、指令元12からの指令信号に基づいて日射遮蔽材11を動作させる際には、リレー27が導通状態となることでモータ10への給電が可能となる。
【0043】
また、本実施形態の電動日射遮蔽システムSは、日射遮蔽材11及び遮蔽材制御部7を有する電動日射遮蔽装置5を複数備える。これにより、電動日射遮蔽システムSが備える電動日射遮蔽装置5の数が多いほど、省エネ効果をより顕著に得ることができる。
【0044】
なお、上記実施形態とは異なる比較構成として、電源コントローラを各電動日射遮蔽装置5とは別に備える構成を考える。当該比較構成では、前記電源コントローラを各電動日射遮蔽装置5にそれぞれ接続し、当該電源コントローラが指令元12からの指令信号に基づいて各電動日射遮蔽装置5のリレー27を制御する。当該比較構成に比べて上記実施形態では、前記電源コントローラ及び電源コントローラと各電動日射遮蔽装置5とを接続する電源線が不要となるとともに、当該電源線を各電動日射遮蔽装置5に接続する作業をなくすことができる。
【0045】
(2)指令元12からの指令信号が入力されない時間が予め設定された規定時間に達したとき、マイコン31は、導通状態にあるリレー27を不導通状態とする。これにより、例えば、夜間など自動日射制御による中央制御装置3からの指令信号の入力頻度が少ないときに、長時間にわたってリレー27を不導通状態として電源回路28での電力消費を抑えることが可能となる。
【0046】
(3)コンデンサ50は、リレー27が導通状態にあるとき、電源回路28から供給される電力を蓄電する。これにより、コンデンサ50の電圧を維持することが可能となる。
(4)電源回路28からの給電によりモータ10が駆動されるとき、コンデンサ50にも電源回路28からの給電がなされる。これにより、コンデンサ50の電圧を好適に維持することが可能となる。
【0047】
(5)マイコン31は、コンデンサ50の電圧が予め設定された規定値を下回ったとき、リレー27を導通状態にして電源回路28からコンデンサ50への給電が可能な状態にする。これにより、例えば、リレー27の不導通状態が長く続いてコンデンサ50の電圧が下がってきたときに、コンデンサ50を充電することが可能となる。
【0048】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態の遮蔽材制御部7では、マイコン31に接続される蓄電部材にコンデンサ50を用いているが、これに特に限らず、例えば、電気二重層キャパシタやリチウムイオン電池などを蓄電部材として用いてもよい。
【0049】
・上記実施形態における遮蔽材制御部7の動作は一例であり、適宜変更可能である。
・上記実施形態において、遮蔽材制御部7への前記操作指令信号の入力に基づき、マイコン31が、不導通状態にあるリレー27を導通状態に変更するように構成してもよい。この場合、操作スイッチ8における1回のボタン押下によって、前記操作指令信号が複数出力されるようにしてもよい。これにより、前記操作指令信号に基づく日射遮蔽材11の動作を確実に実行させることが可能となる。
【0050】
また、中央制御装置3から前記操作指令信号を出力する際には、操作指令信号の前に予備信号を出力し、その予備信号の入力に基づいてマイコン31がリレー27を導通状態にする構成としてもよい。これによっても、前記操作指令信号に基づく日射遮蔽材11の動作を確実に実行させることが可能となる。
【0051】
・上記実施形態において、制御信号PSが入力されないときにリレー27が導通状態となり、制御信号PSが入力されるとリレー27が不導通となる構成としてもよい。
・上記実施形態において、モータ10に交流モータを使用してもよい。
【0052】
・上記実施形態において、中央制御装置3もしくはフロアコントローラ1が、各電動日射遮蔽装置5におけるコンデンサ50の電圧を監視する構成としてもよい。
・上記実施形態の電動日射遮蔽システムSは、複数の電動日射遮蔽装置5を備えるが、これに特に限らず、電動日射遮蔽装置5を1つのみ備える電動日射遮蔽システムに適用してもよい。
【0053】
・上記実施形態では、電源回路28にリレー27を介して接続された電源を商用交流電源17としたが、これに特に限定されるものではない。例えば、電源回路28にリレー27を介して接続された電源が、太陽電池や、太陽電池で生じた電力を蓄電したバッテリであってもよい。
【0054】
・上記実施形態では、指令元12を中央制御装置3もしくは操作スイッチ8としたが、これに限らず、例えば、指令元12が後述の外部連動ユニットを含んでいてもよい。例えば、電動日射遮蔽システムSが、他機器からの信号(緊急信号など)を受信する外部連動ユニットを備える構成とする。なお、当該他機器からの信号は、例えば、RS485規格やRS232C規格などのシリアル信号もしくは接点信号によるものである。当該外部連動ユニットは、他機器からの信号に基づいて各電動日射遮蔽装置5の遮蔽材制御部7に指令信号を出力する。
【0055】
・上記実施形態において、電源回路28及びモータ駆動回路32に接続された蓄電部材をコンデンサ50とは別に設けてもよい。例えば、当該蓄電部材は、電源回路28における大電力用トランス41に接続された安定化回路44とモータ駆動回路32に接続される。当該蓄電部材は、リレー27が不導通状態にあるとき、モータ駆動回路32に電力を供給する。すなわち、モータ10は、リレー27が不導通状態にあるとき、当該蓄電部材の電力によって駆動される。なお、当該蓄電部材は、モータ10を駆動させるのに必要な電力を蓄電可能なものであって、当該蓄電部材としては、例えば、電気二重層キャパシタやリチウムイオン電池などを用いることができる。
【0056】
このような構成によれば、リレー27が不導通とされて電源回路28への電源供給が遮断された状態においても、蓄電部材の電力でモータ10を駆動させることが可能となる。したがって、電源回路28での電力消費をより一層削減することが可能となる。
【0057】
また、リレー27が不導通状態にあるときに、1つの蓄電部材からマイコン31への給電とモータ駆動回路32への給電の両方を行う構成としてもよい。
・上記実施形態の電動日射遮蔽装置5の構成を、電動縦型ブラインド、電動シェード、電動ロールブラインド、電動カーテン、電動オーニング等に使用してもよい。
【0058】
・今回開示された実施形態及び変更例はすべての点で例示であって、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。すなわち、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0059】
S…電動日射遮蔽システム
5…電動日射遮蔽装置
7…遮蔽材制御部
10…モータ
11…日射遮蔽材
12…指令元
17…商用交流電源(電源)
27…リレー
28…電源回路
31…マイコン(モータ制御部)
50…コンデンサ(蓄電部材)
図1
図2
図3
図4
図5