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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096410
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】水流垂下膜の多重展張方法
(51)【国際特許分類】
   E02B 15/00 20060101AFI20230630BHJP
   C02F 1/40 20230101ALI20230630BHJP
   E02B 15/06 20060101ALN20230630BHJP
【FI】
E02B15/00 Z
C02F1/40 L
E02B15/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212155
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000229162
【氏名又は名称】日本ソリッド株式会社
(72)【発明者】
【氏名】波多野 倫
【テーマコード(参考)】
2D025
4D051
【Fターム(参考)】
2D025AA00
2D025BA03
4D051AA01
4D051AB07
4D051CA27
4D051CA29
(57)【要約】
【課題】
水流垂下膜を多重展張した時の垂下膜の吹き上りを防止する展張方法を提供する。
【解決手段】
フロートと、該フロートの下部に設けられた垂下膜からなる水流垂下膜を連結し、かつ水流に対向して多重展張するに当り、水流の最上流側に設置された水流垂下膜の下縁部に重錘を設け、かつ前記垂下膜の下縁部から係留ロープを付け、該係留ロープの他端部を固定することからなる、水流垂下膜の多重に展張方法。
【選択図】 図7


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロートと、該フロートの下部に設けられた垂下膜からなる水流垂下膜を連結し、かつ水流に対向して多重展張するに当り、水流の最上流側に設置された水流垂下膜の下縁部に重錘を設け、かつ前記垂下膜の下縁部から係留ロープを付け、該係留ロープの他端部を固定することを特徴とする水流垂下膜の多重展張方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚濁防止や流出油の回収等に用いる水流垂下膜の多重展張方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フロートに垂下膜を吊下したオイルフェンス等は、一般的にフロートの下部に垂下膜を設け、両端のフロートに係留ロープを取り付けて現場水面上に展張していた。しかしながら、現場の水流速度が20cm/秒以上になると、垂下膜下部が流されて捲れ上がって、垂下膜下端の水深(有効水深)が浅くなり、流出油が垂下膜の下を潜り抜けてしまう欠点があった。
【0003】
これらの欠点を解消する方法として、例えば水面に浮かべるためのフロートと、油等の浮遊物が河川、湖、海等の水面上に拡散することを防止するため、フロート下部に取り付けた不透水性のスカートと、からなるオイルフェンスであって、スカート下端部の延長方向に連続して緊張材を設け、前記緊張材に係留ロープを取り付けたことを特徴とするオイルフェンスが提案されている。(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010―159563
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記のように一条展張であれば特許文献1の発明で充分であるが固定して多重展張する場合、特許文献1に記載の発明方法では設置に莫大な労力と費用を費す必要があった。
そこで本発明者は、水流垂下膜を多重に設けて固定する方法について簡便な方法を種々検討した結果本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、フロートと該フロートの下部に設けられた垂下膜からなる水流垂下膜を連結し、かつ水流に対向して多重展張するに当り、水流の最上流側に設置された水流垂下膜の下縁部に重錘を設け、かつ前記垂下膜の下縁部から係留ロープを付け、該係留ロープの他端部を固定することからなる水流傾斜膜の多重展張方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明方法によれば、水流速度が20cm/秒以上の速い水流でも、水流の最上流側の水流垂下膜を固定するのみで、多重展張された垂下膜の吹き上りがなく、かつ設置も短時間に行うことができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】水流垂下膜の正面図
図2】他の態様を示す水流垂下膜の正面図
図3図1の水流垂下膜を連結した状態を示す正面図
図4図2の水流垂下膜を連結した状態を示す正面図
図5図4の水流垂下膜の下縁部に重錘を設けた状態を示す正面図
図6図4の水流垂下膜の下縁部に重錘を連結した状態を示す正面図
図7】水流垂下膜を多重展張した時の側面図
図8】干潮時の水流垂下膜を多重展張した時の側面図
図9】満潮時の水流垂下膜を多重展張した時の側面図
図10】水流垂下膜を多重展張したときの水の流れを示す側面図
図11】他の多重展張を示す水流垂下膜の側面図
図12】多重展張された水流垂下膜の平面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明方法に使用される水流垂下膜としては、図1に示すように一枚の横長の垂下膜1の上部に複数のフロート2を設け、かつ下縁部に重錘3を設けたいわゆるオイルフェンス型のものと、図2に示すような縦長の垂下膜4の上部にフロート5が設けられかつ下縁部に重錘6が設けられたいわゆる汚濁防止フェンス型等が知られている。
【0010】
図1に示すオイルフェンス型の水流垂下膜を連結するには、隣接する水流垂下膜の互の側縁部を適宜の手段を用いて結合させることによって図3のように一条の水流垂下膜を構成させることができる。
また図2に示す汚濁防止フェンス型の水流垂下膜を連結するにはフロート5にロープ挿通口を設け、(図示せず)かつ該ロープ挿通口にロープを挿通することによって図4に示すような一条の水流垂下膜を形成させることができる。また図2に示す水流垂下膜を個々に下縁部に重錘7を設けることもできるが、図5に示すように複数枚の垂下膜の下縁部に一つの長尺型の重錘を設けることもできる。さらに図6に示すように長尺型の重錘の代わりに個々の重錘6をチェーン8およびシャックルまたはロープ等で連結することもできる。
これらの一条の水流垂下膜の二列目以降のものは、例えば一条の水流垂下膜上部の両端部からアンカーを取ることによって固定することができる。
図7は、図2に示した水流垂下膜を多重に展張した状態の一例を示す側面図である。図7に示すように水流の最上流側に設置された一条の水流垂下膜列9の水流垂下膜の下縁部に設けられた重錘に係留ロープ10を設け、その他端部を例えば水底等に固定する。
また二列目以降の水流垂下膜列の固定は、前後の水流垂下膜列とスペーサーSによって固定することもできる。
本発明の水流垂下膜を河口や港湾等に設置する場合には、干潮や満潮によって流れが双方向にある場所においては、最初と最後の一条の水流垂下膜列9の下縁部に設けられた重錘に係留ロープ9を設けることが好ましい。図8は干潮時における水流垂下膜を多重に展張したときの状態を示す側面図であり、図9は満潮時における水流垂下膜を多重に展張したときの状態を示す側面図である。
【0011】
本発明方法によれば、図10に示すように水流速度が早い場合でも水流の最上流側に設けられた水流垂下膜を係留ロープで固定することによって、最上流側の水流垂下膜が円弧状に湾曲することから水流が上昇流に変えられる結果水流を弱めることができ、後列の水流垂下膜の垂下膜の吹き上りを防止することができる。従って二列目以降の水流垂下膜の垂下膜を固定する必要がないので設置作業を簡単に行うことができる利点がある。
【0012】
また本発明方法は、図11に示すように、最上流側に設けられた水流垂下膜の垂下膜の鉛直方向の長さを二列目以降の水流垂下膜の垂下膜より長くすることによって、さらに2列目以降の垂下膜の吹き上りの防止効果が向上する。
【0013】
本発明方法は、前記したように図12のように前後の水流垂下膜列の間隔を保持するために例えばフロート等のスペーサーSを設けることが好ましい。またこのように区画部12を設けることによって河口や港湾等の干潮や満潮によって流れが双方向にある場所においても、区画部12に蓄積させた浮遊物を拡散させない。
またこのように区画部12を設けることによって該区画部12に例えば軽石等の浮遊物を蓄積させることができる。
本発明方法は、特に水路、湖沼、河川、海洋等に好適に施工することができる。
【符号の説明】
【0014】
1・・・垂下膜
2・・・フロート
3・・・重錘
10・・・係留ロープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12