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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096420
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】車両用後方確認装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/07 20060101AFI20230630BHJP
   B60R 1/26 20220101ALI20230630BHJP
【FI】
B60R1/07
B60R1/26 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212182
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000222934
【氏名又は名称】東洋電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】キン エイ
(72)【発明者】
【氏名】ヌリーン アキラ ビンティ シャール リズワン
(72)【発明者】
【氏名】冨山 幸一郎
(72)【発明者】
【氏名】成田 裕史
【テーマコード(参考)】
3D053
【Fターム(参考)】
3D053FF18
3D053GG05
3D053GG06
3D053GG12
3D053GG15
3D053HH52
3D053MM08
3D053MM37
(57)【要約】
【課題】車両用後方確認装置における良好な後方視界の確保が困難であること。
【解決手段】本発明の車両用後方確認装置は、車両の後方を確認可能な後方確認部材と、記後方確認部材を収容し車両の側方に設けられた支持部11に支持されたケース12と、ケース12を支持部11において、後方確認部材を後方に向けた開状態と、後方確認部材を車両側に向けるよう折り畳まれた閉状態と、に回転させる開閉機構と、を備え、さらに、ケース12を、支持部11において後方確認部材を後方に向けた状態で開状態から所定角度に回転させた回転状態とする回転機構を備える。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後方を確認可能な後方確認部材と、
前記後方確認部材を収容し、車両の側方に設けられた支持部に支持されたケースと、
前記ケースを、前記支持部において、前記後方確認部材を後方に向けた開状態と、前記後方確認部材を車両側に向けるよう折り畳まれた閉状態と、に回転させる開閉機構と、
を備えた車両用後方確認装置であって、
前記ケースを、前記支持部において、前記後方確認部材を後方に向けた状態で前記開状態から所定角度に回転させた回転状態とする回転機構を備えた、
車両用後方確認装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用後方確認装置であって、
前記回転機構は、前記支持部において、車両の進行方向と略平行な回転軸を中心として、前記ケースを前記開状態から所定角度に回転させた前記回転状態とする、
車両用後方確認装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両用後方確認装置であって、
前記回転機構は、前記支持部において、前記開状態における前記ケースの先端側が上方を向くよう当該ケースを回転させた前記回転状態とする、
車両用後方確認装置。
【請求項4】
請求項1に記載の車両用後方確認装置であって、
前記ケースは、前記開状態において当該ケースの長手方向が車両の幅方向に位置するよう設置されており、
前記回転機構は、前記回転状態において前記ケースの長手方向が車両の高さ方向に位置するよう当該ケースを回転させる、
車両用後方確認装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の車両用後方確認装置であって、
前記回転機構は、前記開状態及び前記回転状態にある前記ケースに対して車両の前方側から後方側に向かう所定の外力が印加されたときに、前記支持部において前記後方確認部材を車両側に向けて前記ケースが折り畳まれた状態に回転可能なよう構成されている、
車両用後方確認装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両用後方確認装置であって、
前記ケースに収容された前記後方確認部材の確認方向を可動させる可動機構を備え、
前記可動機構は、前記ケースが前記開状態である場合に、当該開状態に対応する第1の方向に前記後方確認部材の確認方向を可動させ、前記ケースが前記回転状態である場合に、当該回転状態に対応する第2の方向に前記後方確認部材の確認方向を可動させる、
車両用後方確認装置。
【請求項7】
請求項6に記載の車両用後方確認装置であって、
前記可動機構は、前記ケースが前記開状態である場合における前記第1の方向に基づいて前記第2の方向を算出し、前記ケースが前記回転状態である場合に、前記第2の方向に前記後方確認部材の確認方向を可動させる、
車両用後方確認装置。
【請求項8】
請求項7に記載の車両用後方確認装置であって、
前記回転機構は、前記ケースを、車両に対する所定の入力に応じて、前記開状態から前記回転状態となるよう回転させ、あるいは、前記回転状態から前記開状態となるよう回転させる、
車両用後方確認装置。
【請求項9】
請求項8に記載の車両用後方確認装置であって、
車両の周囲の状況を検出する検出部を備え、
前記回転機構は、前記検出部による検出値の車両に対する入力に応じて、前記開状態から前記回転状態となるよう回転させ、あるいは、前記回転状態から前記開状態となるよう回転させる、
車両用後方確認装置。
【請求項10】
請求項9に記載の車両用後方確認装置であって、
前記可動機構を操作可能な操作部材を備え、
前記開状態と前記回転状態とにおける前記操作部材の操作による操作者に対する前記後方確認部材の確認方向の作動方向を略同一とする制御を行う、
車両用後方確認装置。
【請求項11】
請求項5に記載の車両用後方確認装置であって、
前記後方確認部材より得られる情報を表示する表示部材を備え、
前記開状態と前記回転状態とにおける操作者に対する前記表示部材の表示を略同一とする制御を行う、
車両用後方確認装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される後方確認装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の運転者が側方の後方視界を得るために、車両の前方ドアや前方側面には、側方外部に突出したサイドミラーが搭載されている。一般的に、サイドミラーは、走行時には鏡面を後方に向けた開状態とされ、駐車時や道幅が狭い箇所では、鏡面を車両側に向けるよう折り畳まれた閉状態とされる。ここで、サイドミラーを閉状態とすると、鏡面が車両側に向いているため、後方視界を得ることが困難となる。このため、駐車領域や道幅が狭いためにサイドミラーを閉状態とした場合には、後方視界を得ることが困難となる、という問題が生じていた。
【0003】
一方で、上述した問題を解決するための技術が、特許文献1,2に開示されている。特許文献1では、サイドミラーの突出端面に副ミラーを設けており、サイドミラーが折り畳まれたときに副ミラーの鏡面が後方を向くよう構成されている。特許文献2では、サイドミラーの上面に補助ミラーを収納し、サイドミラーが折り畳まれているときに起立させた補助ミラーの鏡面が後方を向くよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61-152538号公報
【特許文献2】特開2003-40037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1,2に記載のサイドミラーでは、サイドミラーが開状態であるときに鏡面が後方を向くよう装備されたメインミラーとは別に、補助ミラーを別途搭載する必要があり、コストが増加する、という問題が生じる。さらに、特許文献1,2では、補助ミラーの鏡面方向を可動させることができないため、運転者の体格や乗車姿勢により良好な後方視界を確保することが困難となる、という問題が生じる。
【0006】
このため、本発明の目的は、上述した課題である、車両に搭載された後方確認装置における良好な後方視界の確保が困難であることと、コストが増加すること、を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態である車両用後方確認装置は、
車両の後方を確認可能な後方確認部材と、
前記後方確認部材を収容し、車両の側方に設けられた支持部に支持されたケースと、
前記ケースを、前記支持部において、前記後方確認部材を後方に向けた開状態と、前記後方確認部材を車両側に向けるよう折り畳まれた閉状態と、に回転させる開閉機構と、
を備えた車両用後方確認装置であって、
前記ケースを、前記支持部において、前記後方確認部材を後方に向けた状態で前記開状態から所定角度に回転させた回転状態とする回転機構を備えた、
という構成をとる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、以上のように構成されることにより、車両に搭載された後方確認装置における良好な後方視界の確保を、低コストにて実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態における車両に搭載されるサイドミラーの構成及び可動の様子を示す図である。
図2図1に開示したサイドミラーの構成を示すブロック図である。
図3図1に開示したサイドミラーの可動の様子を示す図である。
図4図1に開示したサイドミラーの動作を示すフローチャートである。
図5図1に開示したサイドミラーの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態1>
本発明の第1の実施形態を、図1乃至図5を参照して説明する。図1乃至図3は、車両用サイドミラーの構成と可動の様子を説明するための図であり、図4乃至図5は、サイドミラーの動作を説明するための図である。
【0011】
[構成]
本発明における車両用後方確認装置は、車両に乗車する運転者などのユーザが、後方視界を確認するためのものであり、本実施形態では、サイドミラーを一例に挙げて説明する。但し、本発明における車両用後方確認装置は、サイドミラーであることに限定されず、実施形態2で説明するように、カメラといった撮影装置を用いて構成されるものであってもよい。
【0012】
まず、本実施形態におけるサイドミラーの構成の概略を、図1を参照して説明する。本実施形態におけるサイドミラーは、鏡面を有するミラー本体(後方確認部材)を収容するケース12を備えている。そして、サイドミラーは、車両の側方、例えば、ドアに装備されるものであり、図1の符号1Aに示すように、ドアに設けられた支持部11にケース12が支持されている。図1の符号1Aは、ミラー本体の鏡面を後方に向けており、運転者等が後方を視認することができるようケース12が車両に対して開いた状態である開状態の場合を示している。なお、サイドミラーは、後述する図2及び図3に示すように、ミラー本体及びケース12が略長方形形状に形成されており、開状態においてケース12の長手方向が車両の幅方向に位置するよう設置されていることとする。
【0013】
そして、本実施形態におけるサイドミラーは、図1の符号1Aに示す開状態から、図1の符号1Bに示すように、ミラー本体の鏡面を後方に向けたままの状態で所定の角度だけ回転した回転状態となるよう構成される。図1の例では、サイドミラーのケース12の長手方向が、開状態では車両の幅方向に位置しているが、回転状態では車両の高さ方向に位置するようになるため、車両の全体の幅が狭くなることとなる。
【0014】
次に、本実施形態におけるサイドミラーの詳細な構成について、図2乃至図3を参照して説明する。なお、図2は、サイドミラーの全体構成を示しており、図3は、サイドミラーを車両の後方側から見た図であり、サイドミラーの可動の様子を示している。
【0015】
図2に示すように、サイドミラーは、サイドミラー本体10として、車両のドアなどの側方に装備される支持部11と、ミラー本体13を収容したケース12と、を備えている。また、サイドミラーは、サイドミラー本体10を作動させる構成として、制御装置20と、操作装置30と、障害物センサ40と、を備えている。
【0016】
サイドミラー本体10、特に支持部11は、ケース12を、図3の符号3Aに示すミラー本体13の鏡面を後方に向けた開状態と、図3の符号3Cに示すミラー本体13の鏡面を車両側に向けるよう折り畳まれた閉状態と、に回転させる開閉機構を備えている。例えば、開閉機構は、図3の一点鎖線で示す車両の高さ方向に延びる回転軸を中心に、支持部11においてケース12を回転可能なよう構成されている。そして、開閉機構に併せて、サイドミラー本体は開閉駆動部14を備えており、開閉機構を駆動してケース12を開閉させるよう構成されている。
【0017】
さらに、開閉機構は、開閉駆動部14によってケース12を開閉させるだけでなく、外力によっても開閉可能なよう構成されている。特に、開閉機構は、ケース12に対して、車両の前方側から後方側に向かう所定の外力が印加されたとき、例えば、車両が前方に進行しているときにケース12に物体が接触したり、停車時に人物が押したりすると、開状態であるケース12を閉状態に回転させるよう構成されている。
【0018】
また、サイドミラー本体10、特に支持部11は、支持しているケース12を、図3の符号3Aに示す開状態と、図3の符号3Bに示すミラー本体13の鏡面を後方に向けたまま回転させた回転状態と、に回転させる回転機構を備えている。例えば、回転機構は、車両の進行方向と略平行な回転軸を中心にケース12を回転可能なよう構成されている。つまり、回転機構は、図3の符号3Bの矢印に示すように、開状態であるケース12を、その先端側が上方を向くように回転させた回転状態とすることができ、その逆方向にも回転可能である。そして、回転機構に併せて、サイドミラー本体10は回転駆動部15を備えており、回転機構を駆動してケース12を回転させることができるよう構成されている。
【0019】
なお、上述した開閉機構は、ケース12が回転状態にあるときにおいても、外力によって開閉可能なよう構成されている。つまり、開閉機構は、図3の符号3Bに示すようにケース12が回転状態であるときに、車両の前方側から後方側に向かう所定の外力が印加されたされると、回転状態であるケース12を図3の符号3Dに示すように閉状態に回転させるよう構成されている。
【0020】
また、サイドミラー本体10は、ミラー本体13の鏡面の向き、つまり、ミラー本体13の鏡面が車両の後方を映し出す方向である確認方向、を可動させる方向可動機構及び方向駆動部16を備えている。方向可動機構及び方向駆動部16は、ケース12の向きを可動することなく、ケース12に収容されたミラー本体13の向きのみを可動させるよう構成されている。
【0021】
制御装置20は、上述したように構成されたサイドミラー本体10の動作を制御するものであり、演算装置と記憶装置とを備えて構成される。そして、制御装置20は、図2に示すように、操作受付部21、検出部22、駆動制御部23、を備える。操作受付部21、検出部22、駆動制御部23の各機能は、演算装置が記憶装置に格納された各機能を実現するためのプログラムを実行することにより実現することができる。また、制御装置20は、方向記憶部24を備える。方向記憶部24は、記憶装置により構成される。
【0022】
操作受付部21は、運転者など操作者による操作装置30を介したサイドミラー本体10に対する操作を受け付ける。このとき、操作装置30(操作部材)には、図3の符号3A,3Cに示すようにケース12を開状態あるいは閉状態とする操作を入力する開閉操作部と、図3の符号3A,3Bに示すようにケース12を回転状態とする操作あるいは開状態に戻す操作を入力する回転操作部と、ミラー本体13の鏡面の向きを可動させる操作を入力する鏡面操作部と、が設けられている。このため、操作受付部21は、操作者による操作装置30の操作に応じて、開閉操作、回転操作、鏡面操作の入力を受け付ける。そして、操作受付部21は、受け付けた操作入力の内容に応じた指令を駆動制御部23に出力する。
【0023】
検出部22は、車両に設置された各種センサによって検出された検出値を取得し、車両の周囲の状況を検出する機能を有する。例えば、検出部22は、車両に設置された障害物センサ40による検出値から、車両の側方の障害物の存在や障害物との距離を検出することにより、車幅方向の駐車領域が狭いことや道幅が狭いことなどを検出する。すると、検出部22は、駐車領域や道幅が狭いことに応じて、車両の幅を狭くすべくケース12を回転状態とする指令を駆動制御部23に出力する。また、検出部22は、逆に駐車領域や道幅が狭い状態から広い状態になったことを検出し、車両の幅を広く戻すべくケース12を回転状態から開状態とする指令を駆動制御部23に通知してもよい。
【0024】
駆動制御部23は、操作受付部21又は検出部22からの指令に応じて、サイドミラー本体10を駆動制御する。つまり、駆動制御部23は、開閉操作の指令を受けたときには、開閉駆動部14を駆動制御してケース12を開閉させる。また、駆動制御部23は、回転操作の指令を受けたときや回転状態から開状態に戻す指令を受けたときには、回転駆動部15を駆動制御してケース12を回転させる。また、駆動制御部23は、鏡面操作の指令を受けたときには、方向駆動部16を駆動制御してミラー本体13の鏡面の向きを可動する。
【0025】
具体的に、駆動制御部23は、ケース12を開閉したり回転させる際には、以下のように制御する。まず、方向記憶部24には、図3の符号3Aに示すようなケース12が開状態であるときに適切に車両の後方を映し出す方向となるよう設定されたミラー本体13の鏡面の向きを表す開状態方向(第1の方向)が記憶されている。併せて、方向記憶部24には、図3の符号3Bに示すようなケース12が回転状態であるときに適切に車両の後方を映し出す方向となるよう設定されたミラー本体13の鏡面の向きを表す回転状態方向(第2の方向)を記憶している。そして、駆動制御部23は、ケース12を開状態とする指令を受けると、図3の符号3Aに示すようにケース12を開状態とするよう開閉駆動部14を駆動制御すると共に、併せて、ミラー本体13の鏡面の向きが記憶されている開状態方向となるよう方向駆動部16を駆動制御する。また、駆動制御部23は、ケース12を回転状態とする通知を受けると、図3の符号3Bに示すようにケース12を回転状態とするよう回転駆動部15を駆動制御すると共に、併せて、ミラー本体13の鏡面の向きが記憶されている回転状態方向となるよう方向駆動部16を駆動制御する。
【0026】
また、駆動制御部23は、ケース12を回転させる際には、上述したような予め設定された開状態方向と回転状態方向を事前に記憶せず、以下のように制御してもよい。まず、図3の符号3Aに示すようにケース12が開状態である場合に、駆動制御部23は、ミラー本体13の鏡面の向きを表す開状態方向を検出して方向記憶部24に記憶しておく。そして、駆動制御部23は、ケース12を回転状態とする指令を受けると、図3の符号3Bに示すようにケース12を回転状態とするよう回転駆動部15を駆動制御すると共に、併せて、記憶している開状態方向から回転状態方向を算出する。つまり、駆動制御部23は、ケース12が開状態のときにミラー本体13の鏡面が向いている方向である開状態方向と同一方向となるように、ケース12が回転状態のときのミラー本体13の鏡面の向きである回転状態方向を算出する。例えば、駆動制御部23は、車両あるいは支持部11を基準とした座標軸上において、開状態方向と回転状態方向とが一致するように、回転状態方向を算出する。そして、駆動制御部23は、回転状態となったケース12に収容されたミラー本体13の向きが、算出した回転状態方向となるよう方向駆動部16を駆動制御する。
【0027】
なお、駆動制御部23は、上記とは逆に、ケース12を回転状態から開状態に戻す際にも、上述同様に制御する。まず、図3の符号3Bに示すように、ケース12が回転状態である場合に、駆動制御部23は、ミラー本体13の鏡面の向きを表す回転状態方向を検出して方向記憶部24に記憶しておく。そして、駆動制御部23は、ケース12を開状態とする指令を受けると、図3の符号3Aに示すようにケース12を開状態とするよう回転駆動部15を駆動制御すると共に、併せて、記憶している回転状態方向から開状態方向を算出する。つまり、駆動制御部23は、ケース12が回転状態のときにミラー本体13の鏡面が向いている方向である回転状態方向と同一方向となるよう、ケース12が開状態のときのミラー本体13の鏡面の向きである開状態方向を算出する。そして、駆動制御部23は、開状態となったケース12に収容されたミラー本体13の向きが、算出した開状態方向となるよう方向駆動部16を駆動制御する。なお、駆動制御部23は、ケース12が開状態であった時の開状態方向が記憶されている場合には、ミラー本体13の向きが記憶されている開状態方向となるよう方向駆動部16を駆動制御してもよい。
【0028】
また、駆動制御部23は、上述した操作装置30に入力された操作に応じてミラー本体13の鏡面の向きを可動させる際には、以下のように制御する。まず、操作装置30には、ミラー本体13の鏡面を可動させる方向が操作方向として入力される。このとき、駆動制御部23は、操作者による操作方向に対して、図3の符号3Aに示すケース12が開状態である場合と、図3の符号3Bに示すケース12が回転状態である場合とで、操作者に対するミラー本体13の鏡面の向きの可動方向が略同一となるよう制御する。つまり、ケース12が回転状態である場合のミラー本体13は、開状態に対しておよそ90度回転していることとなるため、駆動制御部23は、回転状態では、操作方向に対するミラー本体13の鏡面の向きの可動方向を、開状態のときとはおよそ90度回転させた方向となるよう制御する。例えば、図3の符号3Aに示すケース12が開状態である場合に、操作者がミラー本体13の鏡面の向きを上方に向ける操作を行った場合には、駆動制御部23は、そのままミラー本体13の鏡面の向きを上方に向けるよう、つまり、ミラー本体13の短手方向に沿って傾けるよう駆動制御する。一方で、図3の符号3Bに示すケース12が回転状態である場合に、操作者がミラー本体13の鏡面の向きを上方に向ける操作を行った場合には、駆動制御部23は、回転状態でミラー本体13の鏡面の向きを上方に向けるよう駆動制御することとなり、開状態に対応させると、ミラー本体13の左方向、つまり、ミラー本体13の長手方向に沿って傾けるよう駆動制御することとなる。このように、駆動制御部23は、ケース12が開状態である場合と回転状態である場合とでは、同一の操作方向に対してミラー本体13の鏡面の向きをそれぞれ異なる方向に駆動制御することとなるが、操作者にとっては略同一方向に鏡面の向きが変化するよう駆動制御することとなる。
【0029】
[動作]
次に、上述した制御装置20によるサイドミラーの制御動作を、主に図4乃至図5のフローチャートを参照して説明する。まず、図4を参照して、ケース12を、図3の符号3Aに示す開状態から、図3の符号3Bに示す回転状態に可動するときの場合を説明する。
【0030】
制御装置20は、サイドミラーのケース12が開状態であるとき、ミラー本体13の鏡面の向きを表す開状態方向を検出して記憶しておく(ステップS1)。なお、このとき、操作者から操作装置30を介してミラー本体13の鏡面の向きを可動させる操作が入力されると、制御装置20は、入力された方向にミラー本体13の鏡面の向きを可動するよう制御し、可動後のミラー本体13の鏡面の向きを表す開状態方向を検出して更新記憶しておく。
【0031】
その後、操作者から操作装置30を介してサイドミラーのケース12を回転状態とする操作が入力されたり、障害物センサ40にて駐車領域や道幅が狭いことが検出されると、制御装置20は、サイドミラーのケース12を回転状態とする指令を受ける(ステップS2でYes)。すると、制御装置20は、ケース12を回転させて図3の符号3Bに示すように回転状態となるよう駆動制御する(ステップS3)。併せて、制御装置20は、ケース12が開状態であるときのミラー本体13の鏡面が向いている方向である開状態方向を読み出し、当該開状態方向からケース12が回転状態となったときのミラー本体13の鏡面の向きである回転状態方向を算出する(ステップS4)。このとき、制御装置20は、開状態方向と回転状態方向とが同一方向となるように算出する。そして、制御装置20は、回転状態となったケース12に収容されたミラー本体13の鏡面の向きが、算出した回転状態方向となるよう駆動制御する(ステップS5)。
【0032】
なお、制御装置20は、事前に、回転状態におけるミラー本体13の鏡面の向きを表す回転状態方向が記憶されている場合には、当該記憶されている回転状態方向にミラー本体13の鏡面の向きを可動してもよい。
【0033】
その後、回転状態となったサイドミラーに対して、操作者から操作装置30を介してミラー本体13の鏡面の向きを可動させる操作が入力されると(ステップS6でYes)、制御装置20は、入力された方向にミラー本体13の鏡面の向きを可動するよう制御する(ステップS7)。このとき、制御装置20は、操作者による操作方向に対して、ケース12が回転状態であるときのミラー本体13の鏡面の向きの可動方向が略同一となるように可動する。
【0034】
なお、図3の符号3Bに示すように、ケース12が回転状態である場合のサイドミラーに対して、車両の前方側から後方側に向かう所定の外力が印加されると、図3の符号3Dに示すように、回転状態のままケース12が閉状態に回転される。
【0035】
次に、図5を参照して、ケース12を、図3の符号3Bに示す回転状態から、図3の符号3Aに示す開状態に可動するときの場合を説明する。
【0036】
制御装置20は、サイドミラーのケース12が回転状態であるとき、ミラー本体13の鏡面の向きを表す回転状態方向を検出して記憶しておく(ステップS11)。なお、このとき、操作者から操作装置30を介してミラー本体13の鏡面の向きを可動させる操作が入力されると、制御装置20は、入力された方向にミラー本体13の鏡面の向きを可動するよう制御し、可動後のミラー本体13の鏡面の向きを表す回転状態方向を検出して更新記憶しておく。特に、制御装置20は、操作者による操作方向に対して、ケース12が回転状態であるときのミラー本体13の鏡面の向きの可動方向が略同一となるように可動する。
【0037】
その後、操作者から操作装置30を介してサイドミラーのケース12を開状態とする操作が入力されたり、あるいは、障害物センサ40にて駐車領域や道幅が広いことが検出されると、制御装置20は、サイドミラーのケース12を開状態とする指令を受ける(ステップS12でYes)。すると、制御装置20は、ケース12を回転させて図3の符号3Aに示すように開状態となるよう駆動制御する(ステップS13)。併せて、制御装置20は、ケース12が回転状態であるときのミラー本体13の鏡面が向いている方向である回転状態方向を読み出し、当該回転状態方向からケース12が開状態となったときのミラー本体13の鏡面の向きである開状態方向を算出する(ステップS14)。このとき、制御装置20は、回転状態方向と開状態方向とが同一方向となるように算出する。そして、制御装置20は、開状態となったケース12に収容されたミラー本体13の鏡面の向きが、算出した開状態方向となるよう駆動制御する(ステップS15)。
【0038】
なお、制御装置20は、事前に、開状態におけるミラー本体13の鏡面の向きを表す開状態方向が記憶されている場合には、当該記憶されている開状態方向にミラー本体13の鏡面の向きを可動してもよい。
【0039】
そして、開状態となったサイドミラーに対して、操作者から操作装置30を介してミラー本体13の鏡面の向きを可動させる操作が入力されると(ステップS16でYes)、制御装置20は、入力された方向にミラー本体13の鏡面の向きを可動するよう制御する(ステップS17)。
【0040】
なお、図3の符号3Aに示すように、ケース12が開状態である場合のサイドミラーに対して、車両の前方側から後方側に向かう所定の外力が印加されると、図3の符号3Cに示すように、ケース12が開状態から閉状態に回転される。
【0041】
本発明は、以上のように構成されることにより、ミラー本体13の鏡面を後方に向けたままの状態でケース12を所定の角度だけ回転した回転状態となるよう構成されている。このため、車両の全体の幅を狭くしつつ、運転者等が良好な後方視界を確保することができると共に、簡易な構成でコストの削減を図ることができる。
【0042】
また、ケース12を回転した回転状態において、ミラー本体13の鏡面の向きが開状態のときと同一の方向となるよう制御している。このため、回転状態であっても、より良好な後方視界を確保することができる。
【0043】
<実施形態2>
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。本実施形態では、後方確認装置として撮影装置であるカメラを用いて構成される。具体的に、本実施形態における後方確認装置は、実施形態1で説明したミラー本体13の代わりにカメラ(後方確認部材)を備えている。カメラは、実施形態1のサイドミラーと同様に、撮影方向つまりカメラの撮影面を車両の後方に向けており、撮影した画像を車両内に搭載されたディスプレイ(表示部材)に表示することで、後方画像を運転者等に提供するよう構成されている。
【0044】
そして、本実施形態におけるケース12を可動する構成は、実施形態1とほぼ同様である。例えば、カメラを収容したケース12は、実施形態1と同様に支持部11に支持されており、開閉機構及び開閉駆動部14や回転機構及び回転駆動部15により、図3に示すような開状態、閉状態、回転状態となるよう可動可能である。また、ケース12に収容されたカメラの向きである撮影方向は、上述したミラー本体13の鏡面の向きに対応して運転者等が後方を確認する確認方向となり、上述した方向駆動部16によって可動可能である。
【0045】
ここで、制御装置20は、カメラにて撮影した画像をディスプレイに表示する際には、ケース12が開状態と回転状態とにおいて、操作者に対してディスプレイから出力する画像の表示が略同一となるように制御する。つまり、ケース12が回転状態である場合のカメラは、開状態に対しておよそ90度回転していることとなるため、制御装置20は、開状態では撮影した画像をそのままディスプレイに表示することに対して、回転状態では、撮影した画像をおよそ90度回転させてディスプレイに表示するよう制御する。
【0046】
また、制御装置20の駆動制御部23は、操作装置30に入力された操作に応じてカメラの向きを可動させる際には、以下のように制御する。まず、操作装置30には、カメラの向きを可動させる方向が操作方向として入力される。このとき、駆動制御部23は、操作者による操作方向に対して、ケース12が開状態である場合と回転状態である場合とで、操作者に対するカメラの向きの可動方向が略同一となるよう制御する。つまり、ケース12が回転状態である場合のカメラは、開状態に対しておよそ90度回転していることとなるため、駆動制御部23は、回転状態では、操作方向に対するカメラの向きの可動方向を、開状態のときとはおよそ90度回転させた方向となるよう制御する。このように、駆動制御部23は、ケース12が開状態である場合と回転状態である場合とでは、同一の操作方向に対してカメラの向きをそれぞれ異なる方向に駆動制御することとなるが、操作者にとっては略同一方向にカメラの向きが変化するよう駆動制御することとなる。なお、駆動制御部23は、カメラの向きを可動させる方向が操作方向として入力された場合には、カメラの向きを実際に可動させることなく、カメラにて撮影した画像をディスプレイに表示する際に、その表示範囲を変更してもよい。つまり、駆動制御部23は、操作者による操作方向に対して、ケース12が開状態である場合と回転状態である場合とで、ディスプレイに映し出される画像が略同一となるよう表示状態を制御してもよい。
【0047】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明における車両用後方確認装置の概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない。
(付記1)
車両の後方を確認可能な後方確認部材と、
前記後方確認部材を収容し、車両の側方に設けられた支持部に支持されたケースと、
前記ケースを、前記支持部において、前記後方確認部材を後方に向けた開状態と、前記後方確認部材を車両側に向けるよう折り畳まれた閉状態と、に回転させる開閉機構と、
を備えた車両用後方確認装置であって、
前記ケースを、前記支持部において、前記後方確認部材を後方に向けた状態で前記開状態から所定角度に回転させた回転状態とする回転機構を備えた、
車両用後方確認装置。
(付記2)
付記1に記載の車両用後方確認装置であって、
前記回転機構は、前記支持部において、車両の進行方向と略平行な回転軸を中心として、前記ケースを前記開状態から所定角度に回転させた前記回転状態とする、
車両用後方確認装置。
(付記3)
付記1又は2に記載の車両用後方確認装置であって、
前記回転機構は、前記支持部において、前記開状態における前記ケースの先端側が上方を向くよう当該ケースを回転させた前記回転状態とする、
車両用後方確認装置。
(付記4)
付記1乃至3のいずれかに記載の車両用後方確認装置であって、
前記ケースは、前記開状態において当該ケースの長手方向が車両の幅方向に位置するよう設置されており、
前記回転機構は、前記回転状態において前記ケースの長手方向が車両の高さ方向に位置するよう当該ケースを回転させる、
車両用後方確認装置。
(付記5)
付記1乃至4のいずれかに記載の車両用後方確認装置であって、
前記回転機構は、前記開状態及び前記回転状態にある前記ケースに対して車両の前方側から後方側に向かう所定の外力が印加されたときに、前記支持部において前記後方確認部材を車両側に向けて前記ケースが折り畳まれた状態に回転可能なよう構成されている、
車両用後方確認装置。
(付記6)
付記1乃至5のいずれかに記載の車両用後方確認装置であって、
前記ケースに収容された前記後方確認部材の確認方向を可動させる可動機構を備え、
前記可動機構は、前記ケースが前記開状態である場合に、当該開状態に対応する第1の方向に前記後方確認部材の確認方向を可動させ、前記ケースが前記回転状態である場合に、当該回転状態に対応する第2の方向に前記後方確認部材の確認方向を可動させる、
車両用後方確認装置。
(付記7)
付記6に記載の車両用後方確認装置であって、
前記可動機構は、前記ケースが前記開状態である場合における前記第1の方向に基づいて前記第2の方向を算出し、前記ケースが前記回転状態である場合に、前記第2の方向に前記後方確認部材の確認方向を可動させる、
車両用後方確認装置。
(付記8)
付記1乃至7のいずれかに記載の車両用後方確認装置であって、
前記回転機構は、前記ケースを、車両に対する所定の入力に応じて、前記開状態から前記回転状態となるよう回転させ、あるいは、前記回転状態から前記開状態となるよう回転させる、
車両用後方確認装置。
(付記9)
付記1乃至8のいずれかに記載の車両用後方確認装置であって、
車両の周囲の状況を検出する検出部を備え、
前記回転機構は、前記検出部による検出値の車両に対する入力に応じて、前記開状態から前記回転状態となるよう回転させ、あるいは、前記回転状態から前記開状態となるよう回転させる、
車両用後方確認装置。
(付記10)
付記1乃至9のいずれかに記載の車両用後方確認装置であって、
前記可動機構を操作可能な操作部材を備え、
前記開状態と前記回転状態とにおける前記操作部材の操作による操作者に対する前記後方確認部材の確認方向の作動方向を略同一とする制御を行う、
車両用後方確認装置。
(付記11)
付記1乃至10のいずれかに記載の車両用後方確認装置であって、
前記後方確認部材より得られる情報を表示する表示部材を備え、
前記開状態と前記回転状態とにおける操作者に対する前記表示部材の表示を略同一とする制御を行う、
車両用後方確認装置。
【0048】
以上、上記実施形態等を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0049】
10 サイドミラー本体
11 支持部
12 ケース
13 ミラー本体
14 開閉駆動部
15 回転駆動部
16 方向駆動部
20 制御装置
21 操作受付部
22 検出部
23 駆動制御部
24 方向記憶部
30 操作装置
40 障害物センサ
図1
図2
図3
図4
図5