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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096452
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】キャップ開閉具
(51)【国際特許分類】
   B67B 7/18 20060101AFI20230630BHJP
【FI】
B67B7/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212240
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三野 宏
(72)【発明者】
【氏名】梅永 健登
【テーマコード(参考)】
3E081
【Fターム(参考)】
3E081AA14
3E081AB06
3E081AC02
3E081BB16
3E081BB31
3E081EE21
3E081FF02
(57)【要約】
【課題】持ち忘れを軽減可能なキャップ開閉具を提供する。
【解決手段】容器のキャップに対して嵌合可能かつキャップを開閉させる回転方向に対して係合可能な第1の開口部(貫通孔110)を有する環状部材100と、環状部材110を収納可能な第2の開口部210を有し、かつ携帯品に取り付けられる収納部材200と、第2の開口部210に対して環状部材110を収納した状態と第2の開口部210から環状部材100を離間させた状態とを取り得ることを可能としつつ、環状部材100と収納部材200とを繋ぐヒンジ部300と、を備え、第2の開口部210の内周面は、環状部材100の外周面120に対し前記回転方向に対して係合可能に構成されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器のキャップに対して嵌合可能かつキャップを開閉させる回転方向に対して係合可能な第1の開口部を有する環状部と、
前記環状部を収納可能な第2の開口部を有し、かつ携帯品に取り付けられる収納部と、
前記第2の開口部に対して前記環状部を収納した状態と前記第2の開口部から前記環状部を離間させた状態とを取り得ることを可能としつつ、前記環状部と前記収納部とを繋ぐ繋ぎ部と、
を備え、
前記第2の開口部の内周面は、前記環状部の外周面に対し前記回転方向に対して係合可能に構成されていることを特徴とするキャップ開閉具。
【請求項2】
前記環状部のうち前記第2の開口部に収納される被収納部の外周面の平面形状は非円形であり、前記第2の開口部の内周面の平面形状は前記被収納部の外周面の平面形状と相似形状であることを特徴とする請求項1に記載のキャップ開閉具。
【請求項3】
前記被収納部の外周面の平面形状は多角形であることを特徴とする請求項2に記載のキャップ開閉具。
【請求項4】
前記第1の開口部には、キャップ外周面に周方向に亘って複数形成されたナール部に対し、前記回転方向に係合可能な複数のローレット部が設けられていることを特徴とする請求項1,2または3に記載のキャップ開閉具。
【請求項5】
前記繋ぎ部はヒンジ部であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載のキャップ開閉具。
【請求項6】
前記ヒンジ部は、軸部材と、前記環状部と前記収納部のそれぞれに設けられ前記軸部材が挿通される軸孔とから構成されることを特徴とする請求項5に記載のキャップ開閉具。
【請求項7】
前記繋ぎ部は自在継手部であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載のキャップ開閉具。
【請求項8】
所定重量以下の携帯品に前記収納部が取り付けられ、かつ前記環状部が水平面状の設置面に置かれた容器のキャップに対して嵌合された状態で、前記環状部と前記収納部とが任意の位置関係で保持可能であることを特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載のキャップ開閉具。
【請求項9】
前記環状部は少なくとも一つの取っ手部を有することを特徴とする請求項1~8のいずれか一つに記載のキャップ開閉具。
【請求項10】
前記環状部と前記収納部とが所定の位置関係にある場合に、平面状の設置面に対して同時に接する複数の取っ手部を有することを特徴とする請求項9に記載のキャップ開閉具。
【請求項11】
前記収納部は、前記少なくとも一つの取っ手部における各先端の一部を除く部位をそれぞれ収納する少なくとも一つの溝部を有することを特徴とする請求項9または10に記載のキャップ開閉具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器のキャップを開閉するキャップ開閉具に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者など握力の低い者でも、ペットボトルなどの容器のキャップを容易に開閉できるようにするためのキャップ開閉具(キャップオープナー)が知られている。このようなキャップ開閉具は、一般的には、生活必需品としては捉え難く、外出の際などに持ち忘れしやすく、外出先で容器のキャップを開けるのに苦労する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6530045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、持ち忘れを軽減可能なキャップ開閉具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0006】
すなわち、本発明のキャップ開閉具は、
容器のキャップに対して嵌合可能かつキャップを開閉させる回転方向に対して係合可能な第1の開口部を有する環状部と、
前記環状部を収納可能な第2の開口部を有し、かつ携帯品に取り付けられる収納部と、
前記第2の開口部に対して前記環状部を収納した状態と前記第2の開口部から前記環状部を離間させた状態とを取り得ることを可能としつつ、前記環状部と前記収納部とを繋ぐ繋ぎ部と、
を備え、
前記第2の開口部の内周面は、前記環状部の外周面に対し前記回転方向に対して係合可能に構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、収納部が携帯品に取り付けられることで、キャップ開閉具が携帯品に取り付けられる。これにより、キャップ開閉具の持ち忘れを軽減することができる。また、繋ぎ部によって環状部は収納部に繋がれているため、環状部における第1の開口部に指を掛けるようにすることで、携帯品を手で持って使用する際に携帯品の落下を抑制することができる。更に、第2の開口部の内周面が、環状部の外周面に対し回転方向に対して係合可能に構成されているため、キャップを開閉する際に、繋ぎ部に作用する応力を軽減することができる。また、キャップを開閉する際に、携帯品を握りながら携帯品に力を加えてキャップを開閉できるため、手による回転方向の力をキャップに伝達し易くすることができる。
【0008】
前記環状部のうち前記第2の開口部に収納される被収納部の外周面の平面形状は非円形であり、前記第2の開口部の内周面の平面形状は前記被収納部の外周面の平面形状と相似形状であるとよい。
【0009】
これにより、第2の開口部の内周面を、環状部の外周面に対し回転方向に対して係合可能に構成することができる。
【0010】
前記被収納部の外周面の平面形状は多角形であるとよい。
【0011】
これにより、第2の開口部の内周面と、被収納部の外周面との回転方向に対する係合箇所を複数個所に形成することができ、キャップの開閉時に応力が作用する箇所を複数個所に分散することができる。
【0012】
前記第1の開口部には、キャップ外周面に周方向に亘って複数形成されたナール部に対し、前記回転方向に係合可能な複数のローレット部が設けられているとよい。
【0013】
前記繋ぎ部はヒンジ部であるとよい。
【0014】
前記ヒンジ部は、軸部材と、前記環状部と前記収納部のそれぞれに設けられ前記軸部材が挿通される軸孔とから構成されるとよい。
【0015】
前記繋ぎ部は自在継手部であることも好適である。
【0016】
所定重量以下の携帯品に前記収納部が取り付けられ、かつ前記環状部が水平面状の設置面に置かれた容器のキャップに対して嵌合された状態で、前記環状部と前記収納部とが任意の位置関係で保持可能であるとよい。
【0017】
これにより、携帯品を容器に取り付けることができ、かつ、容器に対する携帯品の向きを所望の状態で保持させることができる。
【0018】
前記環状部は少なくとも一つの取っ手部を有するとよい。
【0019】
これにより、収納部への環状部の収納作業と、収納部から環状部を離間させる作業を容易に行うことができる。
【0020】
前記環状部と前記収納部とが所定の位置関係にある場合に、平面状の設置面に対して同時に接する複数の取っ手部を有するとよい。
【0021】
これにより、平面状の設置面に対して安定した状態で、携帯品を保持させることができる。
【0022】
前記収納部は、前記少なくとも一つの取っ手部における各先端の一部を除く部位をそれぞれ収納する少なくとも一つの溝部を有するとよい。
【0023】
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、キャップ開閉具の持ち忘れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は本発明の実施例1に係るキャップ開閉具の斜視図である。
図2図2は本発明の実施例1に係るキャップ開閉具の平面図である。
図3図3は本発明の実施例1に係る環状部材の概略図である。
図4図4は本発明の実施例1に係る収納部材の概略図である。
図5図5は本発明の実施例1に係るキャップ開閉具の使用例を示す外観図である。
図6図6は本発明の実施例2に係るキャップ開閉具の平面図である。
図7図7は自在継手の説明図である。
図8図8は本発明の実施例2に係るキャップ開閉具の使用例を示す外観図である。
図9図9は本発明の実施例に係る環状部の形状例を示す平面図である。
図10図10は本発明の実施例に係る収納部の変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0027】
(実施例1)
図1図5を参照して、本発明の実施例1に係るキャップ開閉具について説明する。図1は本発明の実施例1に係るキャップ開閉具の斜視図である。図2は本発明の実施例1に係るキャップ開閉具の平面図であり、環状部(環状部材)を収納部(収納部材)に収納した状態の平面図である。図3は本発明の実施例1に係る環状部材の概略図であり、同図(a)は環状部材の平面図であり、同図(b)は同図(a)中のAA断面図である。図4は本発明の実施例1に係る収納部材の概略図であり、同図(a)は収納部材の平面図であり、同図(b)は同図(a)中のBB断面図である。図5は本発明の実施例1に係るキャップ開閉具の使用例を示す外観図であり、同図(a)はキャップを開閉する際の使用状態の一部を示し、同図(b)は携帯品を容器に設置した状態の一部を示している。
【0028】
<キャップ開閉具の構成>
本実施例に係るキャップ開閉具10は、環状部としての環状部材100と、収納部としての収納部材200と、環状部材100と収納部材200とを繋ぐ繋ぎ部としてのヒンジ部300とを備えている。環状部材100と収納部材200の材料としては、金属や硬質の樹脂材料(高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートなど)を好適に用いることができる。
【0029】
環状部材100には、容器700の容器本体710に取り付けられたキャップ720に対して嵌合可能かつキャップ720を開閉させる回転方向に対して係合可能な第1の開口部としての貫通孔110が設けられている。本実施例においては、貫通孔110の内周面は略円柱面により構成されている。そして、貫通孔110の内周面には、キャップ外周面に周方向に亘って複数形成されたナール部721に対し、キャップ720を開閉させる回転方向に係合可能な複数のローレット部111が設けられている。
【0030】
収納部材200には、環状部材100を収納可能な第2の開口部210が設けられている。この収納部材200は、背面(図4(b)中、下側の面)が携帯品600に取り付けられる。これにより、キャップ開閉具10は携帯品600に取り付けられる。収納部材200の携帯品600への取り付け方については、各種公知技術を適用し得る。例えば、接着剤や両面テープによる取付方法を採用することができ、予め、収納部材200の背面に接着剤等を設けておくこともできるし、別途、接着剤や両面テープを用いて取り付けることもできる。また、携帯品600に対して一度接着したら剥がさないことを前提とする接着方法を採用してもよいし、粘着と引き剥がしを繰り返し行うことを前提とする接着(粘着)方法を採用してもよい。
【0031】
環状部材100には突出部130が設けられ、収納部材200には突出部130を両側
から挟み込むように設けられる一対の挟持部230が設けられている。突出部130と一対の挟持部230には、それぞれ軸孔131,231が連通するように設けられている。これらの軸孔131,231に軸部材310が挿通するように設けられている。なお、軸部材310は金属などの硬質の材料を採用するのが望ましい。これら軸孔131を有する突出部130と、軸孔231を有する一対の挟持部230と、軸部材310とによって、ヒンジ部300が構成されている。これにより、環状部材100は、軸部材310の中心軸線を中心に、収納部材200に対して、回動させることができる。従って、第2の開口部210に対して環状部材100を収納した状態と第2の開口部210から環状部材100を離間させた状態とを取り得ることが可能となる。図2は前者の状態を示し、図1は後者の状態を示している。
【0032】
また、本実施例に係る環状部材100には、単一の取っ手部140が設けられている。そして、収納部材200には、取っ手部140における先端の一部を除く部位を収納する溝部240が設けられている。
【0033】
そして、環状部材100のうち第2の開口部210に収納される被収納部(環状部材100のうち突出部130と取っ手部140を除く部分)の外周面120の平面形状は非円形である。より具体的には、当該平面形状は多角形である。また、第2の開口部210の内周面の平面形状は、上記の被収納部の外周面の平面形状と相似形状である。つまり、この平面形状も多角形である。以上の構成により、第2の開口部210の内周面は、環状部材100における外周面(被収納部の外周面)に対しキャップ720を開閉させる回転方向に対して係合可能となっている。すなわち、環状部材100及び収納部材200の少なくともいずれか一方に上記回転方向の力が作用すると、第2の開口部210の内周面における隅の両側の部位211の一方が、被収納部の外周面120における角部121に係合する。本実施例においては、角部121は8か所に設けられており、複数の箇所において係合する。また、本実施例においては、取っ手部140も溝部240の側面に係合するように構成されている。
【0034】
<本実施例に係るキャップ開閉具の優れた点>
本実施例に係るキャップ開閉具10は携帯品600に取り付けられるため、キャップ開閉具10の持ち忘れを軽減することができる。すなわち、使用者は、自己が常時持ち歩くような携帯品600にキャップ開閉具10を取り付けておくことで、キャップ開閉具10の持ち忘れを軽減することができる。携帯品600の具体例としては、スマートフォン、携帯電話、携帯ゲーム機、手鏡、コンパクトミラー、カードケース、テレビやエアコンなどのリモコンを挙げることができる。また、スマートフォン等のケースにキャップ開閉具10を取り付けることも好適である。
【0035】
また、繋ぎ部であるヒンジ部300によって、環状部材100は収納部材200に繋がれている。そのため、環状部材100における貫通孔110に指を掛けるようにすることで、携帯品600を手で持って使用する際に携帯品600の落下を抑制することができる。これにより、例えば携帯品600がスマートフォンの場合に、キャップ開閉具10をスマホリングとして機能させることができる。また、貫通孔110をフックなどに引っ掛けることで、携帯品600を壁などにぶら下げておくこともできる。
【0036】
本実施例に係るキャップ開閉具10を用いて、ペットボトルなどの容器700のキャップ720を開閉する場合には、第2の開口部210に対して環状部材100を収納した状態でキャップ720の開閉を好適に行うことができる。図5(a)はキャップ720の開閉を行う際の状態を示している。図示の状態で、容器700の容器本体710を片手で持ち、携帯品600を反対側の片手で持ちながら回転させることで、キャップ720の開閉を行うことができる。従って、手による回転方向の力をキャップ720に効率的に伝達さ
せることができるので、容易にキャップ720を開閉することができる。上記の通り、第2の開口部210の内周面は、環状部材100における外周面120に対しキャップ720を開閉させる回転方向に対して複数の箇所で係合するため、応力が作用する箇所を複数個所に分散することができる。従って、キャップ720を開閉する際に、ヒンジ部300に作用する応力を軽減することができる。
【0037】
また、本実施例においては、取っ手部140が設けられているため、収納部材200への環状部材100の収納作業と、収納部材200から環状部材100を離間させる作業を容易に行うことができる。
【0038】
更に、所定重量以下の携帯品600に収納部材200が取り付けられ、かつ環状部材100が水平面状の設置面に置かれた容器700のキャップ720に対して嵌合された状態で、環状部材100と収納部材200とが任意の位置関係で保持可能に構成することも好適である。より具体的には、軸部材310の外周面と、環状部材100と収納部材200のそれぞれに設けられた軸孔131,231の内周面との間で生ずる摩擦力を、収納部材200に対する環状部材100の回動動作を妨げない範囲内で、高めに設定するとよい。
【0039】
以上の構成を採用すれば、携帯品600を容器700に取り付けることができ、かつ、容器700に対する携帯品600の向きを所望の状態で保持させることができる。図5(b)には、容器700に携帯品600を設置し、かつ、携帯品600を所定角度の傾きで保持させた様子を示している。例えば、携帯品600がスマートフォンの場合、重量は最大で300g程度である。従って、上記の「所定重量」を300gとして、上記の摩擦力を設定すれば、スマートフォンを所望の傾きとなる状態で、容器700に設置することが可能となる。すなわち、容器700をスマホスタンドとして利用することができる。勿論、携帯品600が携帯ゲーム機や手鏡などの場合でも、容器700をスタンドとして利用することができる。なお、上記の摩擦力を上記のように設定しておけば、携帯品600を所望の傾きとなる状態で、テーブルなどの設置面上に直接置くことができることは言うまでもない。
【0040】
(実施例2)
図6図8には、本発明の実施例2が示されている。上記実施例1では、繋ぎ部をヒンジ部で構成する場合を示したが、本実施例においては、繋ぎ部が自在継手部である場合を示す。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。
【0041】
図6は本発明の実施例2に係るキャップ開閉具の平面図であり、環状部(環状部材)を収納部(収納部材)に収納した状態の平面図である。図7は自在継手の説明図である。図8は本発明の実施例2に係るキャップ開閉具の使用例を示す外観図であり、携帯品を設置面上に直接置いた状態を示している。
【0042】
本実施例に係るキャップ開閉具10Aにおいても、上記実施例1と同様に、環状部としての環状部材100Aと、収納部としての収納部材200Aと、環状部材100Aと収納部材200Aとを繋ぐ繋ぎ部300Aとを備えている。繋ぎ部300Aに関する構成以外の構成については、実施例1で説明した通りであるので、その説明は省略する。
【0043】
本実施例に係る環状部材100Aには、支持軸部321と、支持軸部321の先端に設けられる球形部322とが設けられている。なお、支持軸部321及び球形部322は、環状部材100Aの本体部分と一体に設けても良いし、別部材を固定してもよい。また、収納部材200Aにおける一対の挟持部230の間には、球形部322の軸受330が固定されている。これら支持軸部321と、球形部322と、軸受330によって、自在継
手としての繋ぎ部300Aが構成されている。本実施例に係る自在継手は、いわゆるボールジョイントである。
【0044】
自在継手(ボールジョイント)の構成及びメカニズムについて、特に、図7を参照して説明する。図7(a)は、支持軸部321の中心軸線を収納部材200Aの表面に対して垂直にした状態で、支持軸部321を中心軸線に垂直な面で切断した状態における自在継手の平面図である。また、図7(b)は同図(a)中のCC断面図であり、同図(c)は同図(a)中のDD断面図である。
【0045】
軸受330は、球形部322の曲率半径と略同径の球形状の面で構成された軸受面331と、一対の溝部332とを備えている。これにより、支持軸部321を、軸受330に対して、支持軸部321の中心軸線を中心にして正逆回転させることができる(図7(b)中の矢印R参照)。また、支持軸部321を、軸受330に対して、支持軸部321の中心軸線を傾ける方向に回動させることができる。特に、一対の溝部332が設けられた方向に対しては、支持軸部321を約180°の範囲で回動させることができる(図7(c)中の矢印S参照)。
【0046】
以上のような自在継手を繋ぎ部300Aに採用することで、収納部材200Aに対する環状部材100Aの動作を、実施例1と同様に行える他、環状部材100Aを支持軸部321の中心軸線を中心にして正逆回転させることができる。これにより、実施例1の場合に比べて、キャップ開閉具10Aの使用態様の幅を拡げることができる。
【0047】
例えば、携帯品600をテーブルなどの設置面上に直接置く場合に、図8に示すように、環状部材100Aの外周面120を設置面に接するように携帯品600を置くことができる。なお、図中点線に示すように、環状部材100Aと収納部材200Aとが所定の位置関係にある場合に、平面状の設置面に対して同時に接する複数の取っ手部141,142を有する構成を採用してもよい。これにより、より安定的に携帯品600を置くことができる。
【0048】
なお、本実施例においては、自在継手がボールジョイントの場合を示したが、ボールジョイントに限らず、各種自在継手を採用し得る。
【0049】
また、本実施例に係るキャップ開閉具10Aの場合にも、所定重量以下の携帯品600に収納部材200Aが取り付けられ、かつ環状部材100Aが水平面状の設置面に置かれた容器700のキャップ720に対して嵌合された状態で、環状部材100Aと収納部材200Aとが任意の位置関係で保持可能に構成することも好適である。より具体的には、球形部322の外周面と、軸受面331の内周面との間で生ずる摩擦力を、収納部材200Aに対する環状部材100Aの正逆回転動作や回動動作を妨げない範囲内で、高めに設定するとよい。自在継手として、ボールジョイント以外の構成を採用する場合においても、自在継手を構成する各部材同士の摩擦力を適宜設定すればよい。
【0050】
以上のように構成されるキャップ開閉具10Aにおいても、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0051】
(環状部と収納部の変形例)
環状部と収納部については、上記実施例1,2に示す構成に限らず、各種構成を採用することができる。上記実施例においては、環状部(環状部材)と収納部(収納部材)が別部材で構成される場合を示したが、環状部と収納部をヒンジ部によって一体に設ける構成を採用することができる。この場合には軸部材は不要となり、環状部と収納部とヒンジ部とを一体に成形することができる。
【0052】
また、上記実施例1では、単一の取っ手部140を設ける構成を示したが、取っ手部を設けない構成を採用することもできるし、複数の取っ手部を設ける構成を採用することもできる。また、上記実施例では、環状部材100のうち第2の開口部210に収納される被収納部の外周面120の平面形状と、第2の開口部210の内周面の平面形状が相似形状の場合を示した。しかしながら、第2の開口部210の内周面が、環状部材100における外周面(被収納部の外周面)に対しキャップ720を開閉させる回転方向に対して係合可能であれば、上記平面形状を相似形状にする必要はない。更に、上記実施例では、被収納部の外周面120の平面形状及び第2の開口部210の内周面の平面形状が多角形の場合を示したが、当該平面形状は各種の形状を採用し得る。被収納部の外周面120の平面形状及び第2の開口部210の内周面の平面形状は非円形状とするのが望ましいが、係合部を設ければ円形状を採用することもできる。なお、収納部材200の外周面220の平面形状についても、図示の例に限らず、各種の形状(楕円、多角形、星形等)を採用し得る。
【0053】
以下、図9及び図10を参照して、環状部の形状例と収納部の変形例の具体例をいくつか説明する。図9(a)に示す環状部としての環状部材100Bの外周面120Bの平面形状は楕円である。収納部材については、特に図示しないが、収納部材の第2の開口部の平面形状も相似形状である楕円にするのが望ましい。ただし、この第2の開口部の平面形状については、上記の通り、必ずしも相似形状にする必要はない。また、図9(a)では繋ぎ部の構成部については省略しているが、環状部材100Bには繋ぎ部の機構に応じた構成が設けられる。また、環状部材100Bには、少なくとも一つの取っ手部を設けるのが望ましい。
【0054】
図9(b)に示す環状部としての環状部材100Cの外周面120Cの平面形状はトラック形状であり、直線と曲線を有する形状である。収納部材については、特に図示しないが、収納部材の第2の開口部の平面形状も相似形状にするのが望ましいものの、上記の通り、必ずしも相似形状にする必要はない。また、図9(b)では繋ぎ部の構成部については省略しているが、環状部材100Cには繋ぎ部の機構に応じた構成が設けられる。また、環状部材100Cには、少なくとも一つの取っ手部を設けるのが望ましい。
【0055】
図9(c)に示す環状部としての環状部材100Dの外周面120Dの平面形状は複数の直線と複数の曲線を有する形状である。収納部材については、特に図示しないが、収納部材の第2の開口部の平面形状も相似形状にするのが望ましいものの、上記の通り、必ずしも相似形状にする必要はない。また、図9(c)では繋ぎ部の構成部については省略しているが、環状部材100Dには繋ぎ部の機構に応じた構成が設けられる。また、環状部材100Dには、少なくとも一つの取っ手部を設けるのが望ましい。
【0056】
図9(d)に示す環状部としての環状部材100Eは、繋ぎ部を構成する突出部130Eと、3か所の取っ手部140Eとを備えている。そして、環状部材100Eのうち不図示の収納部材に設けられる第2の開口部に収納される被収納部(環状部材100Eのうち突出部130Eと3か所の取っ手部140Eを除く部分)の外周面120Eの平面形状は円形である。そして、不図示の収納部材に、実施例1と同様に、3箇所の取っ手部140Eにおける先端の一部を除く部位を収納する溝部をそれぞれ設けるとよい。これにより、環状部材100E及び収納部材の少なくともいずれか一方にキャップを開閉させる回転方向の力が作用すると、取っ手部140Eと溝部の側面が係合する。従って、外周面120Eの平面形状が円形であっても、上記実施例と同様の効果が得られる。
【0057】
図9(e)に示す環状部としての環状部材100Fの外周面120Fの平面形状は円形である。また、収納部としての収納部材200Fの第2の開口部210Fの内周面の平面
形状も円形である。このような構成を採用した場合でも、環状部材100Fの外周面120Fに複数のナール部を設けて、第2の開口部210Fの内周面に、ナール部に対してキャップを開閉させる回転方向に係合可能な複数のローレット部を設けるとよい。これにより、キャップの開閉が可能となる。この構成を採用した場合には、収納部材200Fの第2の開口部210Fに設けられた複数のローレット部をキャップに設けられた複数のナール部に係合可能に構成することもできる。従って、小サイズのキャップの場合には、環状部材100Fの貫通孔110を用いてキャップを開閉し、大サイズのキャップの場合には、収納部材200Fの第2の開口部210Fを用いてキャップを開閉することができる。従って、2種類のサイズのキャップを開閉するキャップ開閉具として利用することができる。また、図9(e)では繋ぎ部の構成部については省略しているが、環状部材100F及び収納部材200Fには繋ぎ部の機構に応じた構成が設けられる。また、環状部材100Fには、少なくとも一つの取っ手部を設けるのが望ましい。
【0058】
図9(f)に示す環状部としての環状部材100Gにおいては、第1の開口部としての貫通孔110Gの内周面は、上記実施例と異なり、略円柱面ではない。図示のような構成であっても、平面形状で円弧となる部位に複数のローレット部を設けることで、キャップを開閉することができる。
【0059】
図10には実施例1で示した収納部材をスマホケースに一体に設ける場合の構成を示している。図10(a)はスマホケースの平面図であり、同図(b)は同図(a)中のEE断面図である。このスマホケース800は、ケース本体810に収納部200Xが一体に設けられている。収納部200X自体の構成は、実施例1で示した収納部材200の構成と同一であるので、その説明は省略する。なお、本実施例の場合には、第2の開口部210は表裏方向に貫通していない点では実施例1の場合と異なる。
【0060】
以上の構成に対して、軸部材310を用いて、実施例1で示した環状部材100を収納部200Xに繋ぐことで、実施例1で示したキャップ開閉具10がケース本体810に一体的に設けられるスマホケースを得ることができる。
【符号の説明】
【0061】
10,10A…キャップ開閉具
100,100A,100B,100C,100D,100E,100F,100G…環状部材
110,110G…貫通孔(第1の開口部)
111…ローレット部
120,120B,120C,120D,120E,120F…外周面
121…角部
130,130E…突出部
131…軸孔
140,140E,141,142…取っ手部
200,200A,200F…収納部材 200X…収納部
210,210F…第2の開口部
211…隅の両側の部位
220…外周面
230…挟持部
231…軸孔
240…溝部
300…ヒンジ部 300A…繋ぎ部
310…軸部材
321…支持軸部 322…球形部
330…軸受
331…軸受面 332…溝部
600…携帯品
700…容器
710…容器本体
720…キャップ
721…ナール部
800…スマホケース
810…ケース本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10