(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096458
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】建物用煙突及びその脚部
(51)【国際特許分類】
E04F 17/02 20060101AFI20230630BHJP
E04B 1/58 20060101ALI20230630BHJP
F23J 13/00 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
E04F17/02 B
E04B1/58 511H
F23J13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212248
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】591029921
【氏名又は名称】フジモリ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中澤 元宏
(72)【発明者】
【氏名】江水 友弘
(72)【発明者】
【氏名】栃下 裕也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 芳宣
【テーマコード(参考)】
2E125
3K070
【Fターム(参考)】
2E125AA02
2E125AG03
2E125BB01
2E125BB22
2E125CA05
2E125CA16
3K070AC01
3K070AC12
(57)【要約】
【課題】建物用煙突の脚部の軽量化を図るとともに、水がクラックから脚部の内部に浸み込むのを防止する。
【解決手段】建物用煙突10の脚部20を、建物1の躯体床4に据え付ける。脚部20から煙突本体11を立ち上げる。脚部20の周壁22の内側に煙突底パン30を張り渡す。煙突底パン30を金属板によって構成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の躯体床に据え付けられる脚部と、前記脚部から立ち上がる煙突本体と、を備え、
前記脚部が、周壁と、前記周壁の内側に張り渡された金属板からなる煙突底パンとを含むことを特徴とする建物用煙突。
【請求項2】
前記脚部には、前記煙突底パンを、面内方向の熱変位を許容するように支持する支持手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建物用煙突。
【請求項3】
前記脚部には、前記周壁から内側へ突出されるとともに前記煙突本体の下端部が載せられる本体受けが設けられており、
前記煙突底パンの外周部が、前記本体受けの下面に宛がわれてボルトによって連結され、前記外周部には前記ボルトを挿通する挿通孔が形成され、前記挿通孔がルーズ孔であることを特徴とする請求項1又は2に記載の建物用煙突。
【請求項4】
前記支持手段が、前記周壁から内側へ突出されたパン受けを有し、前記煙突底パンの外周部が、前記パン受けの上に載せられ、前記周壁の内面と前記煙突底パンの外周部とが、前記熱変位を許容するように離間されていることを特徴とする請求項2に記載の建物用煙突。
【請求項5】
建物用煙突における、建物の躯体床に据え付けられる脚部であって、
周壁と、
前記周壁の内側に張り渡された金属板からなる煙突底パンと、
を含むことを特徴とする建物用煙突の脚部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、煙突に関し、特に建物に付属される煙突の底部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ボイラーや発電機等が有る建物には、排ガスを放出するための煙突が備えられている(特許文献1等参照)。この種の煙突の底部を構成する脚部が建物の躯体床に据え付けられている。脚部から煙突本体が立ち上がっている。
【0003】
前記脚部の外周は、鋼製の周壁によって構成されている。周壁の内部には、キャスタブル耐火物が装填されている。該キャスタブル耐火物の上面すなわち脚部の上面には、排水口へ向かって下がる排水勾配が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
建物用煙突の脚部におけるキャスタブル耐火物は、比重が大きいうえに、脚部の内部のほぼ全体を占める体積を有している。このため、脚部が重く、工場からの搬出や施工現場での据え付けが容易でないだけでなく、据え付けられた脚部を支える躯体床への負荷が大きい。躯体床を構成するコンクリートスラブの鉄筋数を増やしたり厚みを大きくしたりする必要が生じることもある。
また、キャスタブル耐火物は、経年劣化によってクラックが入りやすい。すると、水がクラックからキャスタブル耐火物の内部に浸み込み易くなって内部に溜まり、周辺の鋼材を錆びやすくするおそれがある。
本発明は、かかる事情に鑑み、建物用煙突の脚部の軽量化を図るとともに、水が脚部の内部に溜まるのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る建物用煙突は、建物の躯体床に据え付けられる脚部と、前記脚部から立ち上がる煙突本体と、を備え、
前記脚部が、周壁と、前記周壁の内側に張り渡された金属板からなる煙突底パンとを含むことを特徴とする。
本発明に係る建物用煙突の脚部は、建物用煙突における、建物の躯体床に据え付けられる脚部であって、周壁と、前記周壁の内側に張り渡された金属板からなる煙突底パンと、を含むことを特徴とする。
金属製の煙突底パンを設けることによって、煙突脚部からキャスタブル耐火物を省略でき、金属製の煙突底パンを薄肉にすることで脚部を軽量化できる。
金属製の煙突底パンはキャスタブル耐火物よりクラック等の劣化損傷部が出来にくい。したがって、水が脚部の内部に溜まるのを防止できる。前記煙突底パンの金属材質は、ステンレスなどの耐食性金属が好ましい。
脚部の内部には、耐熱グラスフェルトなどの軽比重断熱材が装填されており、該断熱材の上面に前記煙突底パンが被せられていることが好ましい。
【0007】
前記脚部には、前記煙突底パンを面内方向の熱変位を許容するように支持する支持手段が設けられていることが好ましい。
前記支持手段によって、煙突底パンを支持するとともに煙突底パンの熱膨張を吸収できる。
【0008】
前記脚部には、前記周壁から内側へ突出されるとともに前記煙突本体の下端部が載せられる本体受けが設けられており、
前記煙突底パンの外周部が、前記本体受けの下面に宛がわれてボルトによって連結され、前記外周部には前記ボルトを挿通する挿通孔が形成され、前記挿通孔がルーズ孔であることが好ましい。
これによって、煙突本体用の本体受けが、煙突底パン用の支持手段として提供される。 前記ルーズ孔の内周縁とボルトとの間のクリアランスによって、煙突底パンの熱膨張を吸収できる。
【0009】
前記支持手段が、前記周壁から内側へ突出されたパン受けを有し、前記煙突底パンの外周部が、前記パン受けの上に載せられ、前記周壁の内面と前記煙突底パンの外周部とが、前記熱変位を許容するように離間されていることが好ましい。
前記パン受けによって、煙突底パンを支持できるとともに、煙突底パンの外周部がパン受け上で変位でき、煙突底パンの熱膨張を吸収できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、建物用煙突の脚部の軽量化を図るとともに、水が脚部の内部に浸み込んで脚部の内部に溜まるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る建物用煙突の下側部分の正面断面図である。
【
図2】
図2は、
図1の円部IIを拡大して示す正面断面図である。
【
図3】
図3は、前記建物用煙突の脚部の斜視図である。
【
図5】
図5は、
図2のV-V線に沿う、前記建物用煙突の平面断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第2実施形態に係る建物用煙突の下側部分の拡大正面断面図である。
【
図7】
図7は、
図6の円部VIIを拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
<第1実施形態(
図1~
図5)>
図1に示すように、建物1の躯体1a内に吹き抜け空間2が設けられている。吹き抜け空間2は、建物1を鉛直に吹き抜けている。吹き抜け空間2内に建物用煙突10が設置されている。建物用煙突10は、煙突本体11と、脚部20を含む。
図2に示すように、煙突本体11は、断熱壁13と、外壁14と、内壁15を含み、軸線を鉛直(上下)に向けた平面視四角形(
図3)の筒状(角筒形)になっている。断熱壁13は、珪酸カルシウム等の硬質の断熱材料にて構成されている。断熱壁13の外面に外壁14が設けられている。断熱壁13の内面に内壁15が設けられている。外壁14及び内壁15は、鋼板等の金属板によって構成されている。
詳細な図示は省略するが、煙突本体11は、複数の煙突ユニットに分割されている。これら煙突ユニットが、上下へ一列に積層されることによって、煙突本体11が構成されている。各煙突ユニットは、支持アームを介して吹き抜け空間2のまわりの建物躯体1aに支持されている。
【0013】
図1に示すように、建物1内におけるボイラーや発電機等のガス排出を伴う設備(図示省略)からの排気ダクト3が、煙突本体11の下端部近くの側部に接続されている。煙突10の上端部(図示は省略)は、建物1の屋上等に突出されている。
【0014】
建物用煙突10の底部構造は、次のように構成されている。
図1に示すように、建物1の吹き抜け空間2の底部には、煙突基礎4が設けられている。煙突基礎4は、建物1の躯体床の一部を構成するコンクリートスラブからなる。煙突基礎4上に脚部20が据え付けられている。脚部20から煙突本体11が立ち上げられている。
【0015】
図2及び
図3に示すように、脚部20は、底板21と、周壁22を含み、平面視で四角形の箱状ないしは台盤状に形成されている。底板21は、四角形の鋼板によって構成されている。底板21の外周部は、周壁22の4辺から外方へ延び出て、底フランジ21fとなっている。底フランジ21fが、アンカーボルト5によって、煙突基礎4に固定されている。これによって、脚部30が煙突基礎4(躯体床)に定着されている。アンカーボルト5は、基礎4のコンクリート打設時にコンクリートに埋設する埋め込みアンカーであるが、これに限らず、後煙突10の設置時に打設する後施工アンカーでもよい。
【0016】
図3に示すように、底板21上に周壁22が設けられている。
図1及び
図2に示すように、周壁22は、煙突本体11の外壁14と一体になっている。外壁14を構成する鋼板の下側部分が、脚部20の周壁22となっている。周壁22が底板21の上面に突き当てられて溶接されている。周壁22の外面と底フランジ21fとで作る外側隅角部には、鉛直をなす複数の外側縦リブ24が、周壁22の外周に沿って間隔を置いて設けられている。
図2及び
図5に示すように、周壁22の内面と底板21とで作る内側隅角部には、鉛直をなす複数(図では1つだけ図示)の内側縦リブ25が、周壁22の内周に沿って間隔を置いて設けられている。内側縦リブ25の上端部は、周壁22の中間高さに配置されている。
【0017】
図2及び
図3に示すように、周壁22の内面(
図2において左側面)には、本体受け41が、脚部20の内側(
図2において左方)へ突出されるように設けられている。本体受け41は、厚肉の鋼板によって四角形の枠状に形成されている。本体受け41の外周縁が、周壁22の内面に突き当てられて溶接されている。かつ、内側縦リブ25の上端部が、本体受け41の下面に突き当てられて溶接されることによって、本体受け41が内側縦リブ25(支持リブ)によって下側から支持されている。
【0018】
煙突本体11の断熱壁13が、本体受け41に載せられて支持されている。
なお、脚部20の周壁22と煙突本体11の外壁14とが別体であってもよい。外壁14とは別体の周壁22に煙突本体11の下端部が差し込まれていてもよい。
【0019】
図1及び
図2に示すように、脚部20の内部空間における、本体受け41より下側の部分には、軽比重断熱材23が充填されている。軽比重断熱材23の比重は、好ましくは1以下であり、砂を主成分とするキャスタブル耐火物と比べると十分に軽い。軽比重断熱材23の材質は、好ましくは耐熱グラスフェルトであるが、これに限らず、耐熱発泡樹脂などが用いられていてもよい。
【0020】
図2及び
図3に示すように、軽比重断熱材23の上面に、煙突底パン30が被せられている。煙突底パン30は、外周部を除くパン部分31と、前記外周部からなる被保持部32を含み、脚部20の断面形状に合わせた四角形の板状に形成されている。
図3に示すように、パン部分31の中央部には、排水口35が設けられている。パン部分31には、排水口35へ向かって下がる排水勾配が形成されている。
なお、排水口35の位置は、パン部分31の中央部に限らず、パン部分31の端部又はコーナー部であってもよい。
【0021】
図2に示すように、パン部分31の外周に被保持部32が設けられている。被保持部32は、排水勾配を有さず、水平になっている。被保持部32とパン部分31との連続部には、屈曲部36が形成されている。
【0022】
図3に示すように、パン部分31及び被保持部32からなる煙突底パン30は、4つの角と排水口35とを結ぶ対角線状の分割線33において4枚の分割板34に分割されている。各分割板34におけるパン部分31を構成する部分が、排水口35へ向かって下へ傾けられている。隣接する分割板34の対向縁どうしが突き当てられて溶接されている。その溶接ビードが分割線33となっている。
【0023】
各分割板34ひいては煙突底パン30の材質は、好ましくはステンレス鋼などの耐食性金属にて構成されている。煙突底パン30は、排水勾配を保持し得る保形性があればよく、建物用煙突10の構造強度を担う必要はない。したがって、煙突底パン30は薄肉でよい。例えば、煙突底パン30の厚みは、1mm程度~数mm程度であるが、1mm未満であってもよい。
【0024】
図2及び
図3に示すように、煙突底パン30が、周壁2の内側に張り渡されている。煙突底パン30は、脚部20の内部における、本体受け41付近の高さ、ないしは本体受け41より少し下の高さに配置されている。パン部分31が、本体受け41の内側に露出した軽比重断熱材23を覆うとともに、本体受け41の内側空間を塞いでいる。
【0025】
図2に示すように、被保持部32が、本体受け41の下面に宛がわれるとともに、ボルト42及びナット43によって、本体受け41と連結されている。
図3に示すように、ボルト42は、本体受け41の周方向に互いに間隔を置いて配置されている。
【0026】
本体受け41と、ボルト42及びナット43によって、支持手段40が構成されている。被保持部32が、支持手段40を介して周壁22に支持されている。煙突本体11を受ける本体受け41が、煙突底パン30の支持部材として提供されている。
【0027】
図2に示すように、煙突本体11の断熱壁13の下端面には、逃げ凹部13dが形成されている。逃げ凹部13d内にボルト42の頭部が入り込んでいる。
ボルト42の頭部は、本体受け41の上面に溶接されていてもよい。
【0028】
図5に示すように、被保持部32の外端部(
図5において右端部)は、周壁22には達しておらず、内側縦リブ25からも脚部中央側(
図5において左側)へ離れている。
図4及び
図5に示すように、被保持部32におけるボルト42を通す挿通孔32dは、ボルト42の首下部の外径より十分に大径のルーズ孔になっている。煙突底パン30とナット43との間のワッシャ44は、挿通孔32dより大径になっている。これによって、煙突底パン30の面内方向の熱変位(熱膨張及び熱収縮)が許容されている。言い換えると、支持手段40は、煙突底パン30を、当該煙突底パン30の面内方向の熱変位を許容するように支持している。
【0029】
建物用煙突10においては、脚部20の上面が排水勾配付きの煙突底パン30によって構成されることによって、脚部20上の水を排水口35へ流下させて排水できる。
金属製の煙突底パン30は、排水勾配を保持できる程度の最低限の保形強度を有していればよく、極力薄肉にして軽量化できる。煙突底パン30の下側の脚部内空間には、重比重のキャスタブル耐火物に代えて、軽比重断熱材23を充填できる。これによって、キャスタブル耐火物を有する煙突脚部に比べて、脚部20を十分に軽量化することができる。したがって、煙突製造工場からの脚部20の搬出作業や、建物1の施工現場での脚部20の据え付け作業のための揚重機を小型化でき、作業を容易化できる。
さらには、脚部20の静荷重を受ける煙突基礎4(躯体床)への定常的な負荷を低減できる。したがって、建物1の構築にあたって、煙突基礎4を構成するコンクリートスラブの鉄筋数を増やしたり厚みを大きくしたりする必要を回避できる。
【0030】
煙突底パン30は、キャスタブル耐火物と比べて経年劣化しにくく、クラックなどの劣化損傷部が出来にくい。したがって、そのような劣化損傷部から、水が、脚部20の内部に浸み込んで溜まるおそれを低減でき、脚部20の周壁部22や底板21等の鋼材が錆びるおそれを低減できる。
金属製の煙突底パン30は、線膨張係数が比較的大きいため、排出ガスの熱で大きく熱膨張される。一方、挿通孔32dがボルト42より十分に大径のルーズ孔になっているため、煙突底パン30の熱膨張変位を吸収できる。また、被保持部32の外端部と内側縦リブ25との間に十分な離間距離が設定されているため、煙突底パン30が熱膨張しても、被保持部32が内側縦リブ25に突き当たって熱膨張が拘束されることがない。もちろん、被保持部32が周壁22に突き当たって熱膨張が拘束されることはない。
【0031】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において既述の形態と重複する構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を省略する。
<第2実施形態(
図6~
図7)>
図6に示すように、本発明の第2実施形態に係る建物用煙突10Bにおいては、脚部20の上端部にフランジ26が設けられている。フランジ26は、周壁22の上端部から外方(
図6において右方)へ突出されている。周壁22の外面の上側部分には支持リブ27が設けられており、フランジ26が支持リブ27によって下側から支持されている。フランジ26の上面は、周壁22の上端面と面一になっている。
【0032】
煙突本体11の下端部には、フランジ16が、外方(
図6において右方)へ突出するように設けられている。フランジ16の上面には補強リブ17が設けられている。フランジ16の下面は、煙突本体11の下端の断熱壁13を受ける底板18の下面と面一になっている。底板18の外周部(
図6において右側部)が、外壁14よりも延び出て、フランジ16を構成していてもよい。
【0033】
脚部20の上に煙突本体11が載せられている。底板18及びフランジ16の下面が、周壁22の上端面及びフランジ26の上面に突き当てられている。フランジ16,26どうしが、ボルト28によって連結されている。
【0034】
図6に示すように、建物用煙突10Bにおける、脚部20の煙突底パン50は、排水勾配が付けられたパン部分51と、水平な被支持部53(外周部)との間に、堰部52が設けられている。堰部52は、パン部分51を囲むとともに、パン部分51から垂直に立ち上がる段差になっている。被支持部53が堰部52の上端部から外方(
図6において右方)へ水平に突出されている。
【0035】
図6に示すように、建物用煙突10Bの脚部20の周壁22の内面には、本体受け41(
図2)に代えて、パン受け61(煙突底パンの支持手段)が設けられている。パン受け61は、周壁22から内側へ突出されている。詳細な図示は省略するが、パン受け61は、周壁22の内周に沿う枠板状に形成されている。パン受け61の外周部が周壁22に溶接されている。
【0036】
図6に示すように、煙突底パン50の被保持部53が、パン受け61の上に載せられている。これによって、煙突底パン50が、パン受け61に支持されている。
図7に示すように、被保持部53とパン受け61との間には、パッキン62が介在されている。被保持部53の上に煙突本体11の底板18が被さっている。底板18と被保持部53との間には、パッキン63が介在されている。
【0037】
図7に示すように、被保持部53の外端部53eは、周壁22の内面まで達しておらず、周壁22の内面から離間されている。これによって、被保持部53がパン受け61の上面に沿って内外方向(
図7において左右)へ変位でき、煙突底パン50の熱膨張が許容されている。
【0038】
第2実施形態の煙突底パン50によれば、パン部分51に排水勾配が形成されているだけでなく、パン部分51と被保持部53(外周部)との間には段差状の堰部52が形成されているため、パン部分51上の水が、被保持部53へ流れ込むのを阻止できる。さらに、パッキン62,63によって、水が、煙突底パン50の外端部を回り込むのを防止できる。これによって、軽比重断熱材23に水が浸み込むのを確実に防止でき、脚部20の周壁部22や底板21等の鋼材が錆びるのを抑えることができる。
【0039】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、建物用煙突ひいては脚部の断面形状は、四角形に限らず、円形でもよく、四角形以外の多角形であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、例えば商業ビル、工場などの建物に付属された煙突に適用できる。
【符号の説明】
【0041】
1 建物
1a 躯体
2 吹き抜け空間
3 排気ダクト
4 煙突基礎(躯体床)
10,10B 建物用煙突
11 煙突本体
13 断熱壁
13d 逃げ凹部
14 外壁
15 内壁
16 フランジ
17 補強リブ
18 底板
20 脚部
21 底板
22 周壁
23 軽比重断熱材
24 外側縦リブ
25 内側縦リブ
26 フランジ
27 支持リブ
28 ボルト
30 煙突底パン
31 パン部分
32 被保持部(外周部)
32d 挿通孔
33 分割線
34 分割板
35 排水口
36 屈曲部(連続部)
40 支持手段
41 本体受け
42 ボルト
43 ナット
44 ワッシャ
50 煙突底パン
51 パン部分
53 被支持部(外周部)
52 堰部
61 パン受け(煙突底パンの支持手段)
62,63 パッキン