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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096478
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】衣服
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/002 20060101AFI20230630BHJP
   A41D 27/00 20060101ALI20230630BHJP
   A41D 27/28 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
A41D13/002 105
A41D27/00 A
A41D27/28 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212281
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】506393422
【氏名又は名称】ハイドサイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】吉井 秀雄
【テーマコード(参考)】
3B011
3B035
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB01
3B011AC02
3B011AC18
3B011AC21
3B035AA03
3B035AA06
3B035AB03
3B035AB11
3B035AB14
3B035AC19
3B035AC21
(57)【要約】
【課題】電動ファンが着脱自在に装着される衣服の機能性を向上させる。
【解決手段】電動ファン6が着脱自在に装着される衣服1であって、衣服本体2には、電動ファン6を着脱自在に装着するための装着孔7が形成される。また、衣服本体2の裏面に一辺10aが接続するシート状部材10を備え、シート状部材10をめくることにより、装着孔7を開口した状態と、塞いだ状態とに変更する構成にした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動ファンが着脱自在に装着される衣服であって、
前記電動ファンを着脱自在に装着するための装着孔が設けられた衣服本体を備え、
前記装着孔が現れた状態と、前記装着孔が現れていない状態とに変更可能に構成したことを特徴とする衣服。
【請求項2】
前記衣服本体に前記装着孔が形成されており、
前記衣服本体に一辺が接続するシート状部材を備え、
前記シート状部材をめくることにより、前記装着孔を開口した状態と、塞いだ状態とに変更する構成にしたことを特徴とする請求項1に記載の衣服。
【請求項3】
前記衣服本体に少なくとも2つの前記装着孔が形成されており、
2つの前記装着孔の間の位置で、前記シート状部材の前記一辺が接続し、
前記シート状部材をめくることにより、2つの前記装着孔のうちの任意の一方を塞いだ状態にし、他方を開口した状態にする構成にしたことを特徴とする請求項2に記載の衣服。
【請求項4】
前記衣服本体に前記装着孔が形成されており、
前記衣服本体に対してシート状部材をスライドさせることにより、前記装着孔を開口した状態と、塞いだ状態とに変更する構成にしたことを特徴とする請求項1に記載の衣服。
【請求項5】
前記衣服本体に形成され、ファンカバーを着脱自在に取り付けるための取り付け孔と、
前記衣服本体に設けられ、前記装着孔が形成されたシート状部材とを備え、
前記シート状部材を動かすことにより、前記取り付け孔の位置に前記装着孔を位置させた状態と、前記取り付け孔の位置から前記装着孔をずらした状態とに変更する構成にしたことを特徴とする請求項1に記載の衣服。
【請求項6】
前記ファンカバーは、開口部が設けられたドーム形状を有し、
前記衣服本体の裏側から、前記取り付け孔を介して前記ファンカバーを外部に突出させることを特徴とする請求項5に記載の衣服。
【請求項7】
前記ファンカバーは、前記衣服本体の裏面であって前記取り付け孔の周縁部に固定するための固定部を有することを特徴とする請求項6に記載の衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ファンが着脱自在に装着される衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
EF(ELECTRIC FAN)ウェアと呼ばれる、電動ファンが装着される衣服が広く利用されている。EFウェアには、電動ファンが着脱自在にされたものもあり、この場合、例えば特許文献1にあるように、衣服本体には、電動ファンを着脱自在に装着するための装着孔が形成される。特許文献1もあるように、電動ファンは、フランジを有するファン本体と、固定リングとを有し、ファン本体を装着孔に挿入した状態で、ファン本体のフランジと固定リングとの間に衣服本体を挟み込む構成を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-12900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動ファンが着脱自在に装着される衣服では、電動ファンを取り外した状態で着用することも想定される。しかしながら、電動ファンを取り外した装着孔が開口したままでは、衣服としての機能性が落ちてしまう。
【0005】
また、衣服本体に複数の装着孔を形成して、電動ファンを装着する装着孔を選択することにより、電動ファンの位置を変更できる構成にすることが考えられる。しかしながら、電動ファンを装着してない装着孔が開口したままでは、衣服の内側の空気が流出して、EFウェアとしての機能性が落ちてしまう。
【0006】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであり、電動ファンが着脱自在に装着される衣服の機能性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の衣服は、電動ファンが着脱自在に装着される衣服であって、前記電動ファンを着脱自在に装着するための装着孔が設けられた衣服本体を備え、前記装着孔が現れた状態と、前記装着孔が現れていない状態とに変更可能に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電動ファンが着脱自在に装着される衣服の機能性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る衣服を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る衣服を示す図である。
図3】第1の実施形態に係る衣服の要部を模式的に示す図である。
図4】第2の実施形態に係る衣服を示す図である。
図5】第2の実施形態に係る衣服の要部を模式的に示す図である。
図6】第2の実施形態に係る衣服の要部を模式的に示す図である。
図7】第3の実施形態に係る衣服を示す図である。
図8】ファンカバーを示す図である。
図9】第3の実施形態に係る衣服の要部を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
[第1の実施形態]
図1及び図2は、第1の実施形態に係るEFウェアである衣服1を示す図であり、それぞれ(a)が正面図、(b)が背面図である。図1は、前身頃3に電動ファン6を装着した状態を示し、図2は、後身頃4に電動ファン6を装着した状態を示す。
第1の実施形態に係る衣服1は、ベストタイプの上着であり、その衣服本体2は、着用者の胴を被う前身頃3、後身頃4及び脇下部5を備えた胴部を有し、スライドファスナ等による前開き構造となっている。
【0011】
衣服本体2の腰まわりにおいて、前身頃3の左右と、後身頃4の左右とに、電動ファン6を着脱自在に装着するための装着孔7が形成される。電動ファン6は、例えば特許文献1にあるように、ファン本体のフランジと固定リングとの間に衣服本体を挟み込む構成を備える。装着孔7を含む領域は、電動ファン6を支持することから、芯地が設けられて、型くずれしにくくなっている。なお、図1及び図2において、装着孔7の周囲の矩形状をなす点線7aは芯地を縫い付ける糸を示し、本実施形態では、これが装着孔7を含む領域に相当する。
【0012】
衣服本体2のアームホール8は、二重袖仕様となっており、内側の袖部がゴム等により着用者の腕まわりに密着するようにし、衣服1の内側の空気の流出を抑えるようになっている。また、衣服本体2の裾9は、ゴム等により着用者の腰まわりに密着するようにし、衣服1の内側の空気の流出を抑えるようになっている。
【0013】
図3に、第1の実施形態に係る衣服1の要部を模式的に示す。図3は、衣服本体2の裏側(内側)であって、左右いずれか一方における、前身頃3の装着孔7(以下、便宜上符号7bを付すこともある)と、後身頃4の装着孔7(以下、便宜上符号7cを付すこともある)とを含む部分を示す。
図3に示すように、衣服本体2の裏面には、2つの装着孔7b、7cの間の位置で、矩形状のシート状部材10の一辺10aが接続される。シート状部材10は、例えば衣服本体2と同じ生地で作られ、その一辺10aが衣服本体2の裏面に縫い付けられる。また、シート状部材10は、次に述べるように、装着孔7b、7cを塞ぐことのできるサイズを有する。
【0014】
図3に示すように、シート状部材10を本のページのようにめくる、換言すれば方向A1又はA2に倒すように動かすことにより、装着孔7b、7cのうちの任意の一方を塞いだ状態にし、他方を開口した状態にすることができる。図1は、後身頃4の装着孔7を塞いだ状態を示し、図2は、前身頃3の装着孔7を塞いだ状態を示す。このように、装着孔7が現れた状態と、装着孔7が現れていない状態とに変更可能に構成されている。なお、図1及び図2に示すように、装着孔7をシート状部材10で塞いだ状態では、外側から見ると、装着孔7の奥側にシート状部材10が位置する格好になる。
【0015】
図3に示すように、衣服本体2の裏面には、装着孔7の周囲に、面ファスナ11が取り付けられる。また、シート状部材10の両面には、衣服本体2側の面ファスナ11の位置に対応させて、面ファスナ12が取り付けられる。面ファスナ11、12を接合することにより、シート状部材10を衣服本体2の裏面に固定して、装着孔7を塞いだ状態に維持することができる。なお、ここでは面ファスナ11、12を例示したが、シート状部材10を固定する固定手段はこれに限定されるものではなく、ボタン等であってもよい。
【0016】
なお、シート状部材10を袋状にしたり、シート状部材10にポケットを設けたりして、保冷剤や発熱剤、保冷ユニットや発熱ユニット等を収納できるようにしてもよい。
【0017】
以上のように、第1の実施形態に係る衣服1では、電動ファン6の位置を変更できる構成になっている。例えば、通常は、図2に示すように、後身頃4の装着孔7に電動ファン6を装着するとともに、前身頃3の装着孔7をシート状部材10で塞いだ状態にする。そして、背中側に電動ファン6があると邪魔なとき、例えば着座姿勢や寝そべる姿勢で作業する必要があるときには、図1に示すように、前身頃3の装着孔7に電動ファン6を装着するとともに、後身頃4の装着孔7をシート状部材10で塞いだ状態にすることができる。このように電動ファン6を装着してない装着孔7が開口したままになることがなく、衣服1の内側の空気の流出を抑えて、EFウェアとしての機能性が落ちないようになっている。
以上述べたように、電動ファン6が着脱自在に装着される衣服1の機能性を向上させることができる。
【0018】
なお、第1の実施形態では、衣服本体2の腰まわりにおいて、前身頃3の左右と、後身頃4の左右とに装着孔7が配置される例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば前身頃3や後身頃4の上下に装着孔7が配置されるようにしてもよい。この場合、上下2つの装着孔7の間の位置で、シート状部材10の一辺10aが接続するようにすればよい。
【0019】
また、第1の実施形態では、2つの装着孔7に対して1つのシート状部材10を配設する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば1つの装着孔7に対して1つのシート状部材10を配設するようにしてもよい。この場合は、装着孔7毎に独立して、開口した状態と、塞いだ状態とに変更する構成となる。したがって、電動ファン6の位置を変更できる構成であるとともに、例えばすべての装着孔7を塞いだ状態にすることも可能である。
【0020】
[第2の実施形態]
図4は、第2の実施形態に係るEFウェアである衣服21を示す図であり、(a)が後身頃4に電動ファン6を装着していない状態の背面図、(b)が後身頃4に電動ファン6を装着した状態の背面図である。衣服21の基本的構成は、第1の実施形態に係る衣服1と同様であり、以下では、第1の実施形態と共通する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、第2の実施形態では、後身頃4を中心に説明するが、前身頃3の装着孔7についても、以下に述べる後身頃4の装着孔7と同様の構成を採用すればよい。
【0021】
図5及び図6に、第2の実施形態に係る衣服21の要部を模式的に示す。図5は、衣服本体2の裏側(内側)であって、後身頃4の装着孔7を含む部分を示す。図6は、衣服本体2の表側(外側)であって、後身頃4の装着孔7を含む部分を示し、シート状部材22を引き出している途中の状態を示す。
図5及び図6に示すように、衣服本体2には、装着孔7に隣り合わせるようにして、縦長の開口部23が設けられる。この開口部23に、シート状部材22をスライドさせながら挿通させることができる。なお、図5に示すように、開口部23は、衣服本体2の裏側に設けられた帯状の布カバー24で覆われるようになっている。また、図6に示すように、開口部23は、衣服本体2の表側に設けられた帯状の布カバー25で覆われるようになっている。図5及び図6に示すように、布カバー24、25の内側を通して開口部23に対してシート状部材22を出し入れするようになっている。
シート状部材22は、例えば衣服本体2と同じ生地で作られる。また、シート状部材22は、次に述べるように、装着孔7を塞ぐことのできるサイズを有する。
【0022】
図5に示すように、シート状部材22を衣服本体2の裏側に位置させた収納状態で、装着孔7を開口した状態にすることができる。また、図6に示すように、シート状部材22を開口部23から衣服本体2の表側に引き出すことにより、装着孔7を塞いだ状態にすることができる。このように、装着孔7が現れた状態と、装着孔7が現れていない状態とに変更可能に構成されている。なお、図4に示すように、装着孔7をシート状部材22で塞いだ状態では、外側から見ると、装着孔7を外側から覆うようにシート状部材22が位置する格好になる。
【0023】
図1及び図6に示すように、衣服本体2の表面には、装着孔7の周囲に、面ファスナ26が取り付けられる。また、図5に示すように、シート状部材22のうちの着用者側の面には、衣服本体2側の面ファスナ26の位置に対応させて、面ファスナ27が取り付けられる。シート状部材22を開口部23から衣服本体2の表側に引き出した状態で、面ファスナ26、27を接合することにより、シート状部材22を衣服本体2の表面に固定して、装着孔7を塞いだ状態に維持することができる。
なお、図5に示すように、シート状部材22のうちの着用者側の面には、面ファスナ28が取り付けられる。面ファスナ28は、シート状部材22を開口部23から衣服本体2の表側に引き出した状態で、布カバー24の内側にある面ファスナ(不図示)に接合する。
また、図示しないが、衣服本体2の裏面と、シート状部材22のうちの着用者と反対側の面とには、対応する面ファスナが取り付けられており、シート状部材22を衣服本体2の裏面に固定して、シート状部材22の収納状態、すなわち装着孔7を開口した状態に維持することができる。
なお、ここでは面ファスナ26~28等を例示したが、シート状部材22を固定する固定手段はこれに限定されるものではなく、ボタン等であってもよい。
【0024】
なお、シート状部材22を袋状にしたり、シート状部材22にポケットを設けたりして、保冷剤や発熱剤、保冷ユニットや発熱ユニット等を収納できるようにしてもよい。
【0025】
以上のように、第2の実施形態に係る衣服21では、装着孔7毎に独立して、開口した状態と、塞いだ状態とに変更する構成となる。したがって、電動ファン6の位置を変更できる構成であるとともに、例えばすべての装着孔7を塞いだ状態にすることも可能である。
以上述べたように、電動ファン6が着脱自在に装着される衣服21の機能性を向上させることができる。
【0026】
[第3の実施形態]
第3の実施形態では、防爆エリアで着用するのに好適なEFウェアであって、ファンカバー36が着脱自在に取り付けられるようにした衣服31を説明する。
図7は、第3の実施形態に係るEFウェアである衣服31を示す図であり、(a)が正面図、(b)が背面図である。
第3の実施形態に係る衣服31は、ベストタイプの上着であり、その衣服本体32は、着用者の胴を被う前身頃33、後身頃34及び脇下部35を備えた胴部を有し、スライドファスナ等による前開き構造となっている。アームホールや裾が、ゴム等により着用者に密着するようになっていることは第1の実施形態に係る衣服1と同様である。
第3の実施形態に係る衣服31は、防爆エリアで着用するのに好適なEFウェアであり、衣服本体32をはじめとする各部には、制電性素材、自己消化性を有する素材、難燃素材等が用いられる。また、スライドファスナは、比翼仕立てで隠れるようになっている。
【0027】
衣服本体32の左右の脇下部35には、ファンカバー36を着脱自在に取り付けるための取り付け孔37が形成される。以下に詳述するように、この取り付け孔37を利用してファンカバー36が着脱自在に取り付けられ、ファンカバー36で電動ファン6を覆うことができる。
【0028】
まず、図8を参照して、ファンカバー36を説明する。図8(a)はファンカバー36の正面図であり、(b)はファンカバー36の斜視図である。ファンカバー36は、略楕円状のドーム形状を有し、その長手方向でカットされるようなかたちで開口部36aを有する。ファンカバー36は、例えば衣服本体32と同じ生地で作られ、湾曲させた樹脂製等のパーツを組み入れるとともに、芯地を使ってドーム形状が保持されるように構成される。或いは、ファンカバー36は、シリコーン樹脂等の樹脂製としてもよい。
【0029】
ファンカバー36のドーム形状の底部となる周縁部36bには、外側に向かって突出する、複数の固定部として平板状の固定片36cが設けられる。各固定片36cには、面ファスナ38が取り付けられる。
【0030】
次に、図9を参照して、衣服本体32を説明する。図9は、衣服本体32の裏側(内側)であって、取り付け孔37を含む部分を示す。
図9(a)に示すように、衣服本体32の脇下部35に形成された取り付け孔37は、ファンカバー36の周縁部36bと同形状で、開口部36aに対応する部分が下方に向く形状を有する。衣服本体32の裏面には、取り付け孔37の周縁部に、ファンカバー36の固定片36cの面ファスナ38の位置に対応させて、面ファスナ39が取り付けられる。衣服本体32の裏側から、取り付け孔37を介してファンカバー36を外部に突出させて、各固定片36cの面ファスナ38を衣服本体32の裏面の面ファスナ39に接合することにより、ファンカバー36を固定することができる。このように衣服本体32の裏側からファンカバー36を外部に突出させた取り付け状態では、ファンカバー36の周縁部36bが衣服本体32の表地に連続するような恰好になり、また、下方に向く開口部36aと衣服本体32の表地とが相まって空気導入口が構成される。
【0031】
ここで、図9(a)~(c)に示すように、衣服本体32の裏面には、取り付け孔37の左右いずれか一方に隣り合う位置で、矩形状のシート状部材40の一辺40aが接続され、また、他方に隣り合う位置で、矩形状のシート状部材41の一辺41aが接続される。これらシート状部材40、41は、例えば衣服本体32と同じ生地で作られ、その一辺40a、41aが衣服本体32の裏面に縫い付けられる。
シート状部材40には、電動ファン6を着脱自在に装着するための装着孔42が形成される。シート状部材40は、電動ファン6を支持することから、芯地が設けられて、型くずれしにくくなっている。一方、シート状部材41は、装着孔が形成されていない、フラット面を有する。
【0032】
図9(a)は、シート状部材40、41を取り付け孔37の位置からずらした状態を示す。すなわち、取り付け孔37の位置から装着孔42をずらした状態になっている。
【0033】
図9(a)の状態から、矢印a1に示すように、シート状部材40を本のページのようにめくることにより、図9(c)に示すように、取り付け孔37の位置に装着孔42を位置させた状態にすることができる。この場合、取り付け孔37にファンカバー36を取り付けるとともに、装着孔42に電動ファン6を装着することにより、図7に示すように、ファンカバー36で電動ファン6を覆うことができる。図7及び図9からわかるように、ファンカバー36は電動ファン6と正対するように配置され、電動ファン6を完全に覆うようになっている。ファンカバー36で覆われた状態でも、電動ファン6は、開口部36aにより構成される空気導入口から空気を導入して、衣服の内部に送り込むことができる。なお、空気導入口を構成する開口部36aには、異物の侵入を防ぐためにフィルタを設ける等してもよい。
【0034】
また、図9(a)の状態から、矢印a2に示すように、シート状部材41を本のページのようにめくることにより、図9(b)に示すように、取り付け孔37を塞いだ状態にすることができる。なお、シート状部材41を袋状にしたり、シート状部材41にポケットを設けたりして、保冷剤や発熱剤、保冷ユニットや発熱ユニット等を収納できるようにしてもよい。
このように、装着孔42が現れた状態と、装着孔42が現れていない状態とに変更可能に構成されている。
【0035】
図9(a)に示すように、衣服本体32の裏面には、取り付け孔37の周囲に、面ファスナ43が取り付けられる。また、シート状部材40のうちの取り付け孔37に向き合う面には、衣服本体32側の面ファスナ43の位置に対応させて、面ファスナ44が取り付けられる。同様に、シート状部材41のうちの取り付け孔37に向き合う面には、衣服本体32側の面ファスナ43の位置に対応させて、面ファスナ45が取り付けられる。面ファスナ43、44を接合することにより、シート状部材40を衣服本体32の裏面に固定して、取り付け孔37の位置に装着孔42を位置させた状態に維持することができる。また、面ファスナ43、45を接合することにより、シート状部材41を衣服本体32の裏面に固定して、取り付け孔37を塞いだ状態に維持することができる。
【0036】
また、図9(b)に示すように、衣服本体32の裏面には、取り付け孔37に隣り合う領域に、面ファスナ45が取り付けられる。また、シート状部材41のうちの取り付け孔37に向き合う面と反対側の面には、衣服本体32側の面ファスナ45の位置に対応させて、面ファスナ46が取り付けられる。面ファスナ45、46を接合することにより、図9(a)に示すように、シート状部材41を衣服本体32の裏面に固定して、シート状部材41の収納状態に維持することができる。
また、図9(c)に示すように、衣服本体32の裏面には、取り付け孔37に隣り合う領域に、面ファスナ47が取り付けられる。また、シート状部材40のうちの取り付け孔37に向き合う面と反対側の面には、衣服本体32側の面ファスナ47の位置に対応させて、面ファスナ48が取り付けられる。面ファスナ47、48を接合することにより、図9(a)に示すように、シート状部材40を衣服本体32の裏面に固定して、シート状部材41の収納状態に維持することができる。
【0037】
以上のように、第3の実施形態に係る衣服31では、電動モータ等を含む電動ファン6をファンカバー36で覆うことができるので、防爆対策として有効であり、また、雨等の浸入を防ぐ雨天対策として有効である。
また、装着孔42が現れた状態と、装着孔42が現れていない状態とに変更可能に構成されており、例えばすべての装着孔42が現れておらず、取り付け孔37を塞いだ状態にすることも可能である。
以上述べたように、電動ファン6が着脱自在に装着される衣服31の機能性を向上させることができる。
【0038】
また、衣服本体32の裏側から、取り付け孔37を介してファンカバー36を外部に突出させて、ファンカバー36を、固定片36cを介して、衣服本体32の裏面に固定する構成にした。したがって、ファンカバー36に衣服本体32の外側方向に引きはがすような力が作用したときにも、固定片36cが取り付け孔37から抜けにくいので、ファンカバー36が脱落しにくい。例えばファンカバーを、単に、衣服本体の表面に面ファスナ等を介して固定する構成も想定されるが、この場合、ファンカバーに衣服本体の外側方向に引きはがすような力が作用すると、ファンカバーが簡単に脱落してしまうおそれがある。
【0039】
なお、第3の実施形態では、防爆エリアで着用することを想定したEFウェアを説明したが、通常のEFウェアにファンカバー36を取り付ける場合にも、雨等の浸入を防ぐ雨天対策として有効である。
また、ファンカバー36の硬さは任意であるが、例えば着用者が背もたれや壁等に寄りかかったときにも、ドーム形状が保持され、空気導入口が確保される程度の硬さを有してもよい。
【0040】
以上、本発明を実施形態と共に説明したが、上述した実施形態は本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
例えば実施形態では、ベストタイプの上着を説明したが、本発明が適用可能な衣服の種類は限定されるものではなく、ベストタイプ以外の上着(長袖のブルゾン、シャツ等)でもよいし、ズボンでもよいし、つなぎでもよい。
また、実施形態で説明した装着孔7、42や取り付け孔37の位置や数等は一例であり、これに限定されるものではない。
また、実施形態では、特許文献1に開示されている電動ファン6を例示したが、これに限定されるものではなく、装着孔を利用して着脱自在に装着される電動ファンであればよい。
【符号の説明】
【0041】
1、21、31:衣服、2、32:衣服本体、7、42:装着孔、10、22、40、41:シート状部材、36:ファンカバー、37:取り付け孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9