(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096489
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】ロボットシステム
(51)【国際特許分類】
H05K 5/03 20060101AFI20230630BHJP
H01R 13/447 20060101ALI20230630BHJP
H05K 7/12 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
H05K5/03 A
H01R13/447
H05K7/12 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212301
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 良太
【テーマコード(参考)】
4E353
4E360
5E087
【Fターム(参考)】
4E353AA05
4E353AA12
4E353BB02
4E353BB04
4E353CC02
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4E353GG25
4E360AB02
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4E360BA03
4E360BA08
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4E360ED18
4E360GA22
4E360GA29
4E360GA44
4E360GB99
5E087LL02
5E087LL17
5E087LL23
5E087MM08
5E087QQ03
5E087RR17
(57)【要約】
【課題】感電防止カバーを備えるロボットシステムにおいて、感電防止カバーを取り外した場合にユーザが感電することを抑制する。
【解決手段】ロボットシステムは、動力を供給するケーブルに取り付けられた第1コネクタ(60)と、第1コネクタを接続可能である第2コネクタ(40)と、第2コネクタに接続され、ケーブルから第1コネクタ及び第2コネクタを介して動力が供給される被供給部(20)と、第2コネクタに対して第1コネクタを接続及び取り外し可能な状態で被供給部を覆う感電防止カバー(70)と、感電防止カバーを固定する固定部材(76、77)と、を備え、固定部材は、第2コネクタから第1コネクタが取り外されていない状態で取り外し不能となり、第2コネクタから第1コネクタが取り外された状態で取り外し可能となる所定固定部材(76)を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力を供給するケーブルに取り付けられた第1コネクタと、
前記第1コネクタを接続可能である第2コネクタと、
前記第2コネクタに接続され、前記ケーブルから前記第1コネクタ及び前記第2コネクタを介して動力が供給される被供給部と、
前記第2コネクタに対して前記第1コネクタを接続及び取り外し可能な状態で前記被供給部を覆う感電防止カバーと、
前記感電防止カバーを固定する固定部材と、
を備え、
前記固定部材は、前記第2コネクタから前記第1コネクタが取り外されていない状態で取り外し不能となり、前記第2コネクタから前記第1コネクタが取り外された状態で取り外し可能となる所定固定部材を含む、ロボットシステム。
【請求項2】
前記所定固定部材は、取り外し方向が所定方向に設定されており、
前記第1コネクタは、前記第2コネクタに接続された状態において前記所定固定部材の前記所定方向を覆い、前記第2コネクタから取り外された状態において前記所定固定部材の前記所定方向を開放する、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記第1コネクタは、前記第2コネクタから前記第1コネクタが外れることを規制する規制部を備え、
前記規制部は、前記所定方向又は前記所定方向と反対方向から操作されることにより前記規制を解除する、請求項2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記第1コネクタ、前記第2コネクタ、前記被供給部、前記感電防止カバー、及び前記固定部材を内部に収納する筐体を備え、
前記筐体は、前記所定固定部材を囲み且つ前記所定固定部材の近傍に配置された所定壁部と、前記所定壁部に取り付け及び取り外し可能であり且つ前記所定固定部材の前記所定方向を覆う蓋とを備える、請求項2又は3に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記第1コネクタは、前記第2コネクタに接続された状態において前記所定固定部材を外すための工具を前記所定固定部材に使用不能とし、前記第2コネクタから取り外された状態において前記工具を前記所定固定部材に使用可能とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記第1コネクタは、取り外し方向が前記所定方向に交差する方向に設定されている、請求項2~4のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記所定固定部材の近傍には、前記所定固定部材の位置を示す表示が行われている、請求項1~6のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感電防止カバーを備えるロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動力(電力)を供給するケーブルを接続するコネクタを側面に備え、内部に端子台を備え、端子台の1次側とコネクタとが所定の結線により接続された接続箱を備えるロボットシステムがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のロボットシステムでは、端子台への配線作業等を行う際に、コネクタが取り外されていない状態で接続箱のカバー(感電防止カバー)が取り外されるおそれがある。その場合、動力が供給されている端子台にユーザが接触して感電するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、感電防止カバーを備えるロボットシステムにおいて、感電防止カバーを取り外した場合にユーザが感電することを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の手段は、ロボットシステムであって、
動力を供給するケーブルに取り付けられた第1コネクタと、
前記第1コネクタを接続可能である第2コネクタと、
前記第2コネクタに接続され、前記ケーブルから前記第1コネクタ及び前記第2コネクタを介して動力が供給される被供給部と、
前記第2コネクタに対して前記第1コネクタを接続及び取り外し可能な状態で前記被供給部を覆う感電防止カバーと、
前記感電防止カバーを固定する固定部材と、
を備え、
前記固定部材は、前記第2コネクタから前記第1コネクタが取り外されていない状態で取り外し不能となり、前記第2コネクタから前記第1コネクタが取り外された状態で取り外し可能となる所定固定部材を含む。
【0007】
上記構成によれば、ロボットシステムは、動力を供給するケーブルに取り付けられた第1コネクタと、前記第1コネクタを接続可能である第2コネクタと、を備えている。そして、被供給部は、前記第2コネクタに接続され、前記ケーブルから前記第1コネクタ及び前記第2コネクタを介して動力が供給される。このため、被供給部からロボットシステムの各部へ動力を供給することができる。感電防止カバーは、前記被供給部を覆っている。そして、固定部材は、前記感電防止カバーを固定している。このため、感電防止カバーが取り付けられた状態では、ユーザが被供給部に触れて感電することを抑制することができる。
【0008】
ここで、前記固定部材のうちの所定固定部材は、前記第2コネクタから前記第1コネクタが取り外されていない状態で取り外し不能となる。このため、前記第2コネクタから前記第1コネクタが取り外されておらず、被供給部へ動力が供給されている状態では、所定固定部材を取り外し不能であり、感電防止カバーを取り外しできなくすることができる。
【0009】
一方、感電防止カバーは、前記第2コネクタに対して前記第1コネクタを接続及び取り外し可能な状態で前記被供給部を覆っている。そして、前記固定部材のうちの所定固定部材は、前記第2コネクタから前記第1コネクタが取り外された状態で取り外し可能となる。このため、前記第2コネクタから前記第1コネクタが取り外されており、被供給部へ動力が供給されていない状態では、所定固定部材を取り外し可能であり、感電防止カバーを取り外すことができる。
【0010】
したがって、感電防止カバーを備えるロボットシステムにおいて、感電防止カバーを取り外した場合にユーザが感電することを抑制することができる。そして、被供給部に動力が供給されていない安全な状態で、被供給部に配線作業等を行うことができる。
【0011】
第2の手段では、前記所定固定部材は、取り外し方向が所定方向に設定されており、前記第1コネクタは、前記第2コネクタに接続された状態において前記所定固定部材の前記所定方向を覆い、前記第2コネクタから取り外された状態において前記所定固定部材の前記所定方向を開放する。
【0012】
上記構成によれば、前記所定固定部材は、取り外し方向が所定方向に設定されている。このため、所定固定部材を所定方向へ取り外すことにより、感電防止カバーを取り外し可能となる。ここで、前記第1コネクタは、前記第2コネクタに接続された状態において、前記所定固定部材の前記所定方向を覆う。このため、第1コネクタが第2コネクタに接続されており、被供給部へ動力が供給されている状態では、所定固定部材を所定方向へ取り外し不能にすることができる。一方、前記第1コネクタは、前記第2コネクタから取り外された状態において、前記所定固定部材の前記所定方向を開放する。このため、第1コネクタが第2コネクタから取り外されており、被供給部へ動力が供給されていない状態では、所定固定部材を取り外し可能にすることができる。
【0013】
前記第1コネクタが、前記第2コネクタから前記第1コネクタが外れることを規制する規制部を備えている場合、前記第2コネクタから前記第1コネクタが意図せず外れることを規制部により規制することができる。ただし、この場合、前記規制部を操作して前記規制を解除する際に、第1コネクタが所定固定部材の前記所定方向からずれて所定固定部材の所定方向を開放するおそれがある。その場合、第1コネクタが第2コネクタに接続されており、被供給部へ動力が供給されている状態で、所定固定部材を所定方向へ取り外し可能になるおそれがある。
【0014】
この点、第3の手段では、第2の手段を前提として、前記第1コネクタは、前記第2コネクタから前記第1コネクタが外れることを規制する規制部を備え、前記規制部は、前記所定方向又は前記所定方向と反対方向から操作されることにより前記規制を解除する。このため、前記規制部が操作された際に第1コネクタが動く方向は所定方向又は所定方向と反対方向になり、第1コネクタが所定固定部材の前記所定方向からずれることを抑制することができる。したがって、第1コネクタが第2コネクタに接続されており、被供給部へ動力が供給されている状態で、所定固定部材を所定方向へ取り外し可能になることを抑制することができる。
【0015】
第4の手段では、前記第1コネクタ、前記第2コネクタ、前記被供給部、前記感電防止カバー、及び前記固定部材を内部に収納する筐体を備え、前記筐体は、前記所定固定部材を囲み且つ前記所定固定部材の近傍に配置された所定壁部と、前記所定壁部に取り付け及び取り外し可能であり且つ前記所定固定部材の前記所定方向を覆う蓋とを備える。
【0016】
上記構成によれば、筐体は、前記第1コネクタ、前記第2コネクタ、前記被供給部、前記感電防止カバー、及び前記固定部材を内部に収納している。このため、第1コネクタと第2コネクタとの接続箇所は、筐体により保護されている。したがって、前記第1コネクタ及び前記第2コネクタとして、衝撃等により破損しにくい特殊なコネクタを採用する必要がなく、一般的なコネクタを採用することができる。
【0017】
さらに、前記筐体は、前記所定固定部材を囲み且つ前記所定固定部材の近傍に配置された所定壁部と、前記所定壁部に取り付け及び取り外し可能であり且つ前記所定固定部材の前記所定方向を覆う蓋とを備えている。このため、蓋を取り外した場合に、前記所定固定部材の近傍に配置された所定壁部の方向から所定固定部材に工具等を使用しにくくすることができる。したがって、取り外し方向が所定方向に設定された所定固定部材に対して、所定方向以外から工具等を使用しにくくなる。その結果、第2コネクタから第1コネクタを取り外していない状態において、所定固定部材をさらに取り外しにくくすることができる。
【0018】
第5の手段では、前記第1コネクタは、前記第2コネクタに接続された状態において前記所定固定部材を外すための工具を前記所定固定部材に使用不能とし、前記第2コネクタから取り外された状態において前記工具を前記所定固定部材に使用可能とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のロボットシステム。
【0019】
上記構成によれば、前記第1コネクタは、前記第2コネクタに接続された状態において、前記所定固定部材を外すための工具を前記所定固定部材に使用不能とする。このため、第1コネクタが第2コネクタに接続されており、被供給部へ動力が供給されている状態では、工具を所定固定部材に使用不能、すなわち所定固定部材を取り外し不能にすることができる。一方、前記第1コネクタは、前記第2コネクタから取り外された状態において、前記工具を前記所定固定部材に使用可能とする。このため、第1コネクタが第2コネクタから取り外されており、被供給部へ動力が供給されていない状態では、工具を所定固定部材に使用可能、すなわち所定固定部材を取り外し可能にすることができる。
【0020】
第6の手段では、前記第1コネクタは、取り外し方向が前記所定方向に交差する方向に設定されている。こうした構成によれば、所定固定部材を取り外し不能な状態と、所定固定部材を取り外し可能な状態とを、前記第2コネクタに対して前記第1コネクタを接続及び取り外しすることにより実現しやすくなる。
【0021】
前記第2コネクタから前記第1コネクタが取り外されていない状態で所定固定部材を取り外し不能とした場合は、所定固定部材がユーザから見えにくくなり、ユーザが所定固定部材に気付きにくくなるおそれがある。その場合、ユーザが所定固定部材以外の固定部材を取り外して所定固定部材を取り外していない状態で感電防止カバーを取り外そうとして、感電防止カバーを損傷するおそれがある。
【0022】
この点、第7の手段では、前記所定固定部材の近傍には、前記所定固定部材の位置を示す表示が行われている。このため、所定固定部材がユーザから見えにくい場合であっても、ユーザが所定固定部材に気付きやすくすることができる。したがって、ユーザが所定固定部材を取り外していない状態で感電防止カバーを取り外そうとすることを抑制することができ、感電防止カバーを損傷することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】感電防止カバーを取り外した状態のコントローラ内部を示す斜視図。
【
図2】感電防止カバーを取り付けた状態のコントローラ内部を示す斜視図。
【
図3】感電防止カバー及び外側コネクタを示す正面図。
【
図4】外側コネクタ及び内側コネクタ40を示す拡大斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、ロボットシステムにおけるロボットのコントローラ(制御装置)に具現化した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0025】
図1に示すように、コントローラ10は、筐体11、挿入部12、載置台13、取付部材14、端子台20、ヒューズ台30、内側コネクタ40等を備えている。なお、
図1では、コントローラ10が備えるその他の構成、及び筐体11の前面側の壁部の表示を省略している。
【0026】
筐体11は、中空の直方体状に形成されている。筐体11は、底部11a、壁部11b,11c,11d,11e(11eは非表示)、蓋11f(図示略)等を備えている。壁部11b(所定壁部)には、開口11gが形成されている。壁部11bにおいて、開口11gに対応する位置に挿入部12が取り付けられている。壁部11b,11c,11d,11eの上端に蓋11fが取り付けられている。壁部11b,11c,11d,11eは、載置台13、取付部材14、端子台20、ヒューズ台30、内側コネクタ40等を囲んでいる。壁部11bの近傍に、載置台13、取付部材14、端子台20、ヒューズ台30、内側コネクタ40が配置されている。なお、筐体11は、中空の直方体状に限らず、中空の任意形状を採用することができる。
【0027】
挿入部12には、複数の開口12aが形成されている。開口12aには、ケーブルグランド(挿入シール部材、図示略)が取り付けられている。ケーブルグランドは、筐体11の外部から内部へケーブルを挿入可能とし、且つケーブルを固定して、開口12aから粉塵や、水、油等が入ることを抑制する。
【0028】
載置台13は、溝13aが形成された矩形板状に形成されている。載置台13は、溝13aの底部13bが上を向くように、筐体11の底部11aに取り付けられている。載置台13の4隅近傍には、4つのねじ孔13d,13e,13f,13gがそれぞれ形成されている。載置台13の底部13bの上面には、取付部材14、端子台20、及びヒューズ台30が並んで取り付けられている。
【0029】
取付部材14は、「L」字形の板状に形成されている。取付部材14には、開口14aが形成されている。取付部材14の開口14aに、内側コネクタ40が取り付けられている。
【0030】
図4を併せて参照して、内側コネクタ40(第2コネクタ)は、ケーブル接続部41とコネクタ接続部42とを備えている。ケーブル接続部41には、ケーブル51,52(配線)が接続されている。コネクタ接続部42は、後述する外側コネクタ60を接続可能である。ケーブル接続部41とコネクタ接続部42とで取付部材14を挟み込むことで、取付部材14に内側コネクタ40が取り付けられている。
【0031】
端子台20(被供給部)は、ケーブル接続用の部品であり、ケーブルの接続・分岐・中継のために、集合した複数の端子(図示略)を備えている。ケーブル51,52は、端子台20の動力供給用の端子(所定端子)にそれぞれ接続されている。すなわち、端子台20は、ケーブル51,52を介して内側コネクタ40のケーブル接続部41に接続されている。
【0032】
ヒューズ台30(被供給部)には、ヒューズ(図示略)が搭載されている。ケーブル53,54(配線)は、端子台20の動力供給用の各端子と、ヒューズ台30の各ヒューズとを接続している。各ヒューズを介して、ケーブル53,54とケーブル55,56とが接続されている。ケーブル55,56(配線)は、ロボット(図示略)に接続されている。なお、ヒューズ台30は、ケーブル53,54、端子台20、及びケーブル51,52を介して、内側コネクタ40のケーブル接続部41に接続されている。
【0033】
図2は感電防止カバー70を取り付けた状態のコントローラ10内部を示す斜視図であり、
図3は感電防止カバー70及び外側コネクタ60を示す正面図である。
【0034】
感電防止カバー70は、底面のない中空の直方体状に形成されている。感電防止カバー70は、外側に張り出した4つの張出部71,72,73,74(73は見えていない)を備えている。張出部71,72,73,74には、載置台13の上記ねじ孔13d,13e,13f,13gに対応する位置に、それぞれ孔71a,72a,73a,74a(貫通孔又はねじ孔、図示略)が形成されている。孔71a,72a,73a,74aにそれぞれねじ76,77,78,79(78,79は見えていない)が通され、ねじ孔13d,13e,13f,13gに締結されている。すなわち、ねじ76,77,78,79(固定部材)により、載置台13に感電防止カバー70が取り付けられ(固定され)ている。
【0035】
感電防止カバー70には、内側と外側との間でケーブルを通すことのできる切欠70a,70bが形成されている。切欠70aを通じて感電防止カバー70の内側と外側との間で、ケーブル55,56が通されている。
【0036】
挿入部12の1つの開口12a(所定開口)を通じて、筐体11の外部から内部へケーブル81,82が通されている。ケーブル81,82は、動力(電力)を供給するケーブルである。ケーブル81,82の先端には、外側コネクタ60(第1コネクタ)が取り付けられている。内側コネクタ40に外側コネクタ60が接続されることにより、ケーブル81,82とケーブル51,52とが導通する。すなわち、ケーブル81,82から外側コネクタ60及び内側コネクタ40を介して、動力が端子台20及びヒューズ台30へ供給される。外側コネクタ60は、感電防止カバー70が端子台20及びヒューズ台30を覆った状態において、内側コネクタ40に対して水平方向(所定方向に交差する方向)に接続及び取り外し可能である。
【0037】
外側コネクタ60が内側コネクタ40に接続された状態において、ねじ76(所定固定部材)は外側コネクタ60の真下に位置している。この状態において、ねじ76の頭部と外側コネクタ60との隙間(間隔)は、ねじ76を外すためのドライバー(工具)の先端を、ねじ76の頭部に形成されたねじ山に係合させることができない所定隙間(所定間隔)に設定されている。ねじ76,77,78,79は、取り外し方向が上方向(所定方向)に設定されている。外側コネクタ60は、内側コネクタ40に接続された状態においてねじ76の上方向を覆い、内側コネクタ40から取り外された状態においてねじ76の上方向を開放する。
【0038】
すなわち、外側コネクタ60は、内側コネクタ40に接続された状態においてねじ76を外すためのドライバーをねじ76に使用不能とし、内側コネクタ40から取り外された状態においてドライバーをねじ76に使用可能とする。換言すれば、ねじ76は、内側コネクタ40から外側コネクタ60が取り外されていない状態で取り外し不能となり、内側コネクタ40から外側コネクタ60が取り外された状態で取り外し可能となる。
【0039】
感電防止カバー70の上面において、外側コネクタ60及びねじ76の近傍にはシール75が貼り付けられている。
図2(b)に
図2(a)のX部分を拡大して示すように、シール75には、外側コネクタ60の下にねじ76があることを示す記号及び文字が記載されている。すなわち、ねじ76の近傍には、ねじ76の位置を示す表示が行われている。このため、ユーザがねじ76に気付かず、ねじ77,78,79だけを取り外した状態で感電防止カバー70を取り外そうとして、感電防止カバー70を損傷することが抑制される。
【0040】
図4に示すように、外側コネクタ60は、本体61と規制爪62とを備えている。本体61には、嵌合溝61aが形成されている。
【0041】
規制爪62(規制部)は、支点部62a、先端部62b、及び操作部62cを備えている。支点部62aは、嵌合溝61aに嵌合している。支点部62aが嵌合溝61aに嵌合した状態において、規制爪62の弾性変形により、支点部62aを中心として操作部62cを本体61から離す方向へ回転させるように先端部62bが付勢されている。内側コネクタ40のコネクタ接続部42に外側コネクタ60が接続された状態において、コネクタ接続部42に形成された係合溝42aに先端部62bが係合している。これにより、規制爪62は、コネクタ接続部42から外側コネクタ60が外れることを規制している。
【0042】
ユーザが操作部62cを下方向(本体61へ近づける方向)へ押すことにより、先端部62bがコネクタ接続部42の係合溝42aから外れる。これにより、外側コネクタ60をコネクタ接続部42から取り外すことが可能となる。すなわち、規制爪62は、上方向(所定方向)から操作されることにより上記規制を解除する。
【0043】
次に、ユーザが端子台20やヒューズ台30に配線作業を行う際に、感電防止カバー70を取り外す手順を説明する。以下の作業はユーザによって行われる。
【0044】
コントローラ10が使用されている状態において、筐体11は、載置台13、取付部材14、外側コネクタ60、内側コネクタ40、端子台20、ヒューズ台30、感電防止カバー70、及びねじ76,77,78,79を内部に収納している。そして、蓋11fは、壁部11b,11c,11d,11eの上端に取り付けられ、筐体11の内部に収納された上記部材の上方向を覆っている。
【0045】
まず、壁部11b,11c,11d,11eの上端から蓋11fを取り外す。この状態では、端子台20及びヒューズ台30は、感電防止カバー70により覆われている。そして、感電防止カバー70は、ねじ76,77,78,79により載置台13に固定されている。このため、端子台20及びヒューズ台30に触れて感電することを抑制することができる。
【0046】
続いて、シール75の表示により、外側コネクタ60の下にねじ76があることを確認する。内側コネクタ40に外側コネクタ60が接続された状態では、ねじ76を取り外すことができないため、内側コネクタ40から外側コネクタ60を取り外す。これにより、ケーブル81,82から端子台20及びヒューズ台30へ動力が供給されなくなる。
【0047】
このとき、操作部62cを操作して規制爪62による規制を解除する際に、操作部62cの操作方向が例えば横方向であると、外側コネクタ60がねじ76の上方向からずれてねじ76の上方向を開放するおそれがある。その場合、外側コネクタ60が内側コネクタ40に接続されており、端子台20及びヒューズ台30へ動力が供給されている状態で、ねじ76を上方向へ取り外し可能になるおそれがある。
【0048】
この点、外側コネクタ60の規制爪62の操作部62cを下側へ押して、先端部62bをコネクタ接続部42の係合溝42aから外してから外側コネクタ60を横方向に引き抜く。このため、操作部62cが操作された際に、外側コネクタ60は横方向へ動かず、下方向へ動くため、外側コネクタ60がねじ76の上方向からずれることが抑制される。
【0049】
続いて、感電防止カバー70からねじ76,77,78,79を取り外し、載置台13から感電防止カバー70を取り外す。そして、端子台20やヒューズ台30に配線作業を行う。その後、上記と逆の手順で、コントローラ10を組み立てる。
【0050】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
【0051】
・ねじ76,77,78,79のうちのねじ76は、内側コネクタ40から外側コネクタ60が取り外されていない状態で取り外し不能となる。このため、内側コネクタ40から外側コネクタ60が取り外されておらず、端子台20及びヒューズ台30へ動力が供給されている状態では、ねじ76を取り外し不能であり、感電防止カバー70を取り外しできなくすることができる。
【0052】
・感電防止カバー70は、内側コネクタ40に対して外側コネクタ60を接続及び取り外し可能な状態で端子台20及びヒューズ台30を覆っている。そして、ねじ76,77,78,79のうちのねじ76は、内側コネクタ40から外側コネクタ60が取り外された状態で取り外し可能となる。このため、内側コネクタ40から外側コネクタ60が取り外されており、端子台20及びヒューズ台30へ動力が供給されていない状態では、ねじ76を取り外し可能であり、感電防止カバー70を取り外すことができる。
【0053】
・感電防止カバー70を備えるロボットシステムにおいて、感電防止カバー70を取り外した場合にユーザが感電することを抑制することができる。そして、端子台20及びヒューズ台30に動力が供給されていない安全な状態で、端子台20及びヒューズ台30に配線作業等を行うことができる。
【0054】
・ねじ76は、取り外し方向が上方向に設定されている。このため、ねじ76を上方向へ取り外すことにより、感電防止カバー70を取り外し可能となる。ここで、外側コネクタ60は、内側コネクタ40に接続された状態において、ねじ76の上方向を覆う。このため、外側コネクタ60が内側コネクタ40に接続されており、端子台20及びヒューズ台30へ動力が供給されている状態では、ねじ76を上方向へ取り外し不能にすることができる。一方、外側コネクタ60は、内側コネクタ40から取り外された状態において、ねじ76の上方向を開放する。このため、外側コネクタ60が内側コネクタ40から取り外されており、端子台20及びヒューズ台30へ動力が供給されていない状態では、ねじ76を取り外し可能にすることができる。
【0055】
・外側コネクタ60は、内側コネクタ40から外側コネクタ60が外れることを規制する規制爪62を備え、規制爪62は、上方向から操作されることにより規制を解除する。このため、規制爪62が操作された際に外側コネクタ60が動く方向は下方向になり、外側コネクタ60がねじ76の上方向からずれることを抑制することができる。したがって、外側コネクタ60が内側コネクタ40に接続されており、端子台20及びヒューズ台30へ動力が供給されている状態で、ねじ76を上方向へ取り外し可能になることを抑制することができる。
【0056】
・筐体11は、外側コネクタ60、内側コネクタ40、端子台20及びヒューズ台30、感電防止カバー70、及びねじ76,77,78,79を内部に収納している。このため、外側コネクタ60と内側コネクタ40との接続箇所は、筐体11により保護されている。したがって、外側コネクタ60及び内側コネクタ40として、衝撃等により破損しにくい特殊なコネクタを採用する必要がなく、一般的なコネクタを採用することができる。
【0057】
・筐体11は、ねじ76を囲み且つねじ76の近傍に配置された壁部11bと、壁部11bに取り付け及び取り外し可能であり且つねじ76の上方向を覆う蓋11fとを備えている。このため、蓋11fを取り外した場合に、ねじ76の近傍に配置された壁部11bの方向からねじ76にドライバーを使用しにくくすることができる。したがって、取り外し方向が上方向に設定されたねじ76に対して、上方向以外からドライバーを使用しにくくなる。その結果、内側コネクタ40から外側コネクタ60を取り外していない状態において、ねじ76をさらに取り外しにくくすることができる。
【0058】
・外側コネクタ60は、内側コネクタ40に接続された状態において、ねじ76を外すためのドライバーをねじ76に使用不能とする。このため、外側コネクタ60が内側コネクタ40に接続されており、端子台20及びヒューズ台30へ動力が供給されている状態では、ドライバーをねじ76に使用不能、すなわちねじ76を取り外し不能にすることができる。一方、外側コネクタ60は、内側コネクタ40から取り外された状態において、ドライバーをねじ76に使用可能とする。このため、外側コネクタ60が内側コネクタ40から取り外されており、端子台20及びヒューズ台30へ動力が供給されていない状態では、ドライバーをねじ76に使用可能、すなわちねじ76を取り外し可能にすることができる。
【0059】
・外側コネクタ60は、取り外し方向が上方向に交差する方向(水平方向、横方向)に設定されている。こうした構成によれば、ねじ76を取り外し不能な状態と、ねじ76を取り外し可能な状態とを、内側コネクタ40に対して外側コネクタ60を接続及び取り外しすることにより実現しやすくなる。
【0060】
・ねじ76の近傍には、ねじ76の位置を示す表示がシール75により行われている。このため、ねじ76がユーザから見えにくい場合であっても、ユーザがねじ76に気付きやすくすることができる。したがって、ユーザがねじ76を取り外していない状態で感電防止カバー70を取り外そうとすることを抑制することができ、感電防止カバー70を損傷することを抑制することができる。
【0061】
なお、上記実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。上記実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0062】
・ねじ76の位置を示す表示は、シール75に限らず、感電防止カバー70への印字(印刷)や、LED等の点灯により行うこともできる。
【0063】
・規制爪62の操作部62cは、上方向から操作されることにより規制を解除する構成に限らず、横方向から操作されることにより規制を解除する構成であってもよい。また、外側コネクタ60において規制爪62を省略することもできる。
【0064】
・外側コネクタ60の取り外し方向を上方向に設定し、外側コネクタ60から横方向に延びる覆い部により、ねじ76の上方向を覆うこともできる。
【0065】
・内側コネクタ40は、ケーブル51,52を介さず、端子台20に直接接続されていてもよい。
【0066】
・載置台13は、筐体11の内部において壁部11bの近傍に限らず、筐体11の中央に設けることもできる。
【0067】
・蓋11fは、筐体11において上部に限らず、側部に取り付けることもできる。
【0068】
・ねじ76,77,78,79は、ドライバーで回すものに限らず、ユーザが手で回すことができるものであってもよい。その場合であっても、外側コネクタ60は、内側コネクタ40に接続された状態において、ユーザがねじ76を手で回すことをできなくすればよい。また、ねじ76に代えて、ボルト、ナット、可動爪等を採用することもできる。
【0069】
・ねじ77,78,79に代えて、感電防止カバー70の張出部72,73,74をスライドさせるスライド部や、張出部72,73,74を係合させる係合部を採用することもできる。
【0070】
・外側コネクタ60がねじ76の上方向を覆う構成に限らず、ケーブル81,82がねじ76の上方向を覆う構成であってもよい。その場合であっても、内側コネクタ40から外側コネクタ60が取り外されていない状態で、ユーザがねじ76を取り外し不能となればよい。
【0071】
・感電防止カバー70の形状は、底面のない中空の直方体状に限らず、任意である。
【0072】
・ロボットシステムにおいてコントローラ10からロボットへ動力を供給する部分に、上記実施形態を適用することもできる。具体的には、コントローラ10からロボットへ動力を供給するケーブル81,82に外側コネクタ60を取り付け、ロボットのベース(基台)の内部に載置台13、端子台20、ヒューズ台30、取付部材14、内側コネクタ40、感電防止カバー70等を収納することもできる。
【0073】
なお、上記の各変更例を組み合わせて実施することもできる。
【符号の説明】
【0074】
20…端子台、30…ヒューズ台、40…内側コネクタ、60…外側コネクタ、70…感電防止カバー、76…ねじ、77…ねじ、78…ねじ、79…ねじ、81…ケーブル、82…ケーブル。