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特開2023-96508給与決定方法、情報処理装置及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096508
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】給与決定方法、情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20230630BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212327
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】500523814
【氏名又は名称】株式会社ワイズマート
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】吉野 秀行
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 辰弥
(72)【発明者】
【氏名】須藤 雅彦
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA08
(57)【要約】
【課題】被評価者の給与を客観的に決定できる給与決定方法、情報処理装置及びプログラムを提供すること。
【解決手段】給与決定方法は、複数の評価者それぞれによる被評価者に対する評価結果を取得する評価結果取得ステップと、評価結果取得ステップにおいて取得された被評価者に対する評価結果を数値化する数値化ステップと、数値化ステップにおいて数値化された評価結果を反映して被評価者の給与を決定する給与決定ステップと、をコンピュータが実行し、複数の評価者には、少なくとも被評価者よりも職位が同等以下の者が含まれる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の評価者それぞれによる被評価者に対する評価結果を取得する評価結果取得ステップと、
前記評価結果取得ステップにおいて取得された前記被評価者に対する前記評価結果を数値化する数値化ステップと、
前記数値化ステップにおいて数値化された前記評価結果を反映して前記被評価者の給与を決定する給与決定ステップと、をコンピュータが実行し、
複数の前記評価者には、前記被評価者よりも職位が同等以下の者が含まれる給与決定方法。
【請求項2】
前記評価結果には、前記被評価者による前記評価者の成長に対する貢献度が少なくとも含まれる請求項1に記載の給与決定方法。
【請求項3】
複数の前記被評価者に対する数値化された前記評価結果を比較し、該比較結果に基づいて複数の前記被評価者それぞれの順位を決定し、出力する出力ステップを更に含む請求項1又は2に記載の給与決定方法。
【請求項4】
前記被評価者が所属するグループの財務実績を取得する実績取得ステップと、
前記財務実績に対する前記被評価者の貢献度を取得するステップであって、前記貢献度が前記被評価者よりも職位が高い前記評価者によって決定された値である貢献度取得ステップと、
前記財務実績と該財務実績に対する前記貢献度に基づいて数値化された前記被評価者の財務実績ポイントを決定する財務実績ポイント決定ステップと、を更に含み、
前記給与決定ステップでは、前記数値化ステップにおいて数値化された前記評価結果と前記財務実績ポイントを反映して前記被評価者の給与を決定する請求項1から3の何れかに記載の給与決定方法。
【請求項5】
前記財務実績は、売上実績又は粗利実績を少なくとも含む請求項4に記載の給与決定方法。
【請求項6】
前記財務実績ポイント決定ステップでは、評価対象時期における前記財務実績と前記評価対象時期よりも過去の複数の時期のそれぞれにおける前記財務実績とを比較し、比較した複数の前記財務実績における前記評価対象時期の前記財務実績の順位を決定し、決定した前記財務実績の順位を用いて前記被評価者の前記財務実績ポイントを決定する請求項4又は5に記載の給与決定方法。
【請求項7】
複数の評価者それぞれによる被評価者に対する評価結果を取得する評価結果取得部と、
前記評価結果取得部によって取得された前記被評価者に対する前記評価結果を数値化する数値化処理部と、
前記数値化処理部によって数値化された前記評価結果を反映して前記被評価者の給与を決定する給与決定処理部と、を備え、
複数の前記評価者には、前記被評価者よりも職位が同等以下の者が含まれる情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータに、
情報処理装置に、複数の評価者それぞれによる被評価者に対する評価結果を取得する評価結果取得機能と、
前記評価結果取得機能によって取得された前記被評価者に対する前記評価結果を数値化する数値化処理機能と、
前記数値化処理機能によって数値化された前記評価結果を反映して前記被評価者の給与を決定する給与決定処理機能と、を実行させ、
複数の前記評価者には、前記被評価者よりも職位が同等以下の者が含まれるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給与決定方法、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の評価者による評価結果を考慮して従業員等の被評価者の給与を決定する方法が知られている。この種の技術が記載されているものとして例えば特許文献1がある。特許文献1には、例えば被評価者の直属の上司やその上の上司等の複数の考課者によって被考課者を評価する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-161396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では全評価者の評価者別の考課点の平均値や標準偏差等を算出し、甘辛の度合いを考慮して被評価者の給与を決定できるものの、より客観的に被評価者の給与を決定するという点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、被評価者の給与をより客観的に決定できる給与決定方法、情報処理装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の評価者それぞれによる被評価者に対する評価結果を取得する評価結果取得ステップと、前記評価結果取得ステップにおいて取得された前記被評価者に対する前記評価結果を数値化する数値化ステップと、前記数値化ステップにおいて数値化された前記評価結果を反映して前記被評価者の給与を決定する給与決定ステップと、をコンピュータが実行し、複数の前記評価者には、前記被評価者よりも職位が同等以下の者が含まれる給与決定方法に関する。
【0007】
前記評価結果には、前記被評価者による前記評価者の成長に対する貢献度が少なくとも含まれていてもよい。
【0008】
複数の前記被評価者に対する数値化された前記評価結果を比較し、該比較結果に基づいて複数の前記被評価者それぞれの順位を決定し、出力する出力ステップを更に含んでいてもよい。
【0009】
前記被評価者が所属するグループの財務実績を取得する実績取得ステップと、前記財務実績に対する前記被評価者の貢献度を取得するステップであって、前記貢献度が前記被評価者よりも職位が高い前記評価者によって決定された値である貢献度取得ステップと、前記財務実績と該財務実績に対する前記貢献度に基づいて数値化された前記被評価者の財務実績ポイントを決定する財務実績ポイント決定ステップと、を更に含み、前記給与決定ステップでは、前記数値化ステップにおいて数値化された前記評価結果と前記財務実績ポイントを反映して前記被評価者の給与を決定してもよい。
【0010】
前記財務実績は、売上実績又は粗利実績を少なくとも含んでいてもよい。
【0011】
前記財務実績ポイント決定ステップでは、評価対象時期における前記財務実績と前記評価対象時期よりも過去の複数の時期のそれぞれにおける前記財務実績を比較し、比較した複数の前記財務実績における前記評価対象時期の前記財務実績の順位を決定し、決定した前記財務実績の順位を用いて前記被評価者の前記財務実績ポイントを決定してもよい。
【0012】
また本発明は、複数の評価者それぞれによる被評価者に対する評価結果を取得する評価結果取得部と、前記評価結果取得部によって取得された前記被評価者に対する前記評価結果を数値化する数値化処理部と、前記数値化処理部によって数値化された前記評価結果を反映して前記被評価者の給与を決定する給与決定処理部と、を備え、複数の前記評価者には、前記被評価者よりも職位が同等以下の者が含まれる情報処理装置に関する。
【0013】
また本発明は、コンピュータに、情報処理装置に、複数の評価者それぞれによる被評価者に対する評価結果を取得する評価結果取得機能と、前記評価結果取得機能によって取得された前記被評価者に対する前記評価結果を数値化する数値化処理機能と、前記数値化処理機能によって数値化された前記評価結果を反映して前記被評価者の給与を決定する給与決定処理機能と、を実行させ、複数の前記評価者には、前記被評価者よりも職位が同等以下の者が含まれるプログラムに関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被評価者の給与をより客観的に決定できる給与決定方法、情報処理装置及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る給与決定システムの構成を示すシステム構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係る給与決定システムによって出力される冬季賞与の支給明細の電子文書の一例を示す模式図である。
図3】本発明の一実施形態に係るユーザ端末のハードウェアの構成を示すブロック図である。
図4】本発明の一実施形態に係る管理サーバのハードウェアの構成を示すブロック図である。
図5】本発明の一実施形態に係る管理サーバの機能的構成の一部を示す機能ブロック図である。
図6】本発明の一実施形態に係る給与決定システムで用いられる被評価者に関する評価項目等の一例を示す概略図である。
図7】本発明の一実施形態に係る給与決定システムで用いられる被評価者に関する評価項目等の一例を示す概略図である。
図8】本発明の一実施形態に係る給与決定システムにおける評価結果の数値化処理の一例を示す概略図である。
図9】本発明の一実施形態に係る管理サーバによる給与決定処理の一例を示すフローチャートである。
図10A】ユーザ端末の表示画面に表示される給与決定システムへのログイン用画面の一例を示す模式図である。
図10B】ユーザ端末の表示画面に表示される給与決定システムの被評価者選択用画面の一例を示す模式図である。
図10C】ユーザ端末の表示画面に表示される給与決定システムの選択された被評価者の情報を表示する画面の一例を示す模式図である。
図10D】ユーザ端末の表示画面に表示される給与決定システムの被評価者に対する評価項目の内容を表示する画面の一例を示す模式図である。
図11】本発明の一実施形態に係る給与決定システムによって出力される被評価者の自己申告用の電子文書の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る給与決定システムSを示すシステム構成図である。図2は、給与決定システムSによって出力される被評価者の冬季賞与の支給明細の電子文書の一例を示す模式図である。給与決定システムSは、法人や個人事業主等の組織に所属する従業員としての被評価者の給与を決定するためのシステムである。給与決定システムSは、同じく従業員である複数の評価者による被評価者に対する評価結果を反映して該被評価者に支給される給与を決定する。給与としては、例えば月給や賞与等が挙げられる。本実施形態では、スーパーマーケットを経営する企業における従業員の賞与を決定する場合を例に説明する。
【0018】
図1に示すように、給与決定システムSは、管理サーバ1とユーザ端末4を含む。管理サーバ1とユーザ端末4は、ネットワークNを介して相互に通信可能である。
【0019】
ネットワークNは、例えば、インターネットや、LAN(Local Area Network)や、携帯電話網の何れか又はこれらを組み合わせたネットワークにより実現される。なお、図1において便宜上、本実施形態に係る給与決定システムSは、ユーザ端末4を1台ずつ含むものとして説明するが、複数台含んでいても良い。
【0020】
ユーザ端末4は、演算処理機能や通信機能、情報表示機能を有する通信機器である。ユーザ端末4は、例えば、デスクトップ等の据え置き型のコンピュータであってもよく、ユーザにより携帯可能なスマートフォン、タブレット、スマートウォッチ等のウェアラブルデバイスであってもよい。例えば評価者は、ユーザ端末4の表示画面40に表示される評価項目を確認しながら、被評価者に対する評価結果を入力することができる。
【0021】
管理サーバ1は、演算処理機能や通信機能を有する情報処理装置である。管理サーバ1は、例えばサーバ装置やパーソナルコンピュータ等の電子機器により実現される。管理サーバ1は、ユーザ端末4の表示画面40に表示される画像の選択やユーザ端末4から受信したデータの保存、数値化、演算、演算結果の出力等の処理を実行する。図2に示すように、例えば管理サーバ1は、複数の評価者それぞれによる被評価者に対する評価結果に基づいて算出された人事考課ポイント、財務実績ポイント、業務実績ポイント、管理者査定賞与支給額等を用いて被評価者の賞与支給額を決定する。管理サーバ1による給与決定処理の詳細については後述する。
【0022】
次に、ユーザ端末4のハードウェアの構成の一例について説明する。図3は、本発明の一実施形態に係るユーザ端末4のハードウェアの構成を示すブロック図である。
【0023】
ユーザ端末4は、プロセッサ41と、ROM(Read Only Memory)42と、RAM(Random Access Memory)43と、バス44と、入出力インターフェース45と、表示部46と、入力部47と、記憶部48と、通信部49とを備える。
【0024】
プロセッサ41は、ROM42に記録されているプログラム、又は、記憶部48からRAM43にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM43には、プロセッサ41が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0025】
プロセッサ41は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、SoC(System on a Chip)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)などである。あるいは、プロセッサ41は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。また、プロセッサ41は、これらにハードウェアアクセラレーターなどを組み合わせたものであっても良い。
【0026】
プロセッサ41、ROM42及びRAM43は、バス44を介して相互に接続されている。このバス44にはまた、入出力インターフェース45も接続される。入出力インターフェース45には、表示部46、入力部47、記憶部48、通信部49が接続される。
【0027】
表示部46は、画像を表示するディスプレイによって構成される。ディスプレイは、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescent)ディスプレイで構成される。表示部46は、ディスプレイの表示画面40にユーザによるタッチ位置を検出するタッチパネルが設けられ、ユーザがディスプレイの表示画面40にタッチすることで情報の入力を行うことができるものであってもよい。即ち、ディスプレイは、表示部46としての機能と入力部47としての機能を備えていてもよい。
【0028】
入力部47は、例えばキーボード等の各種ボタンやマウス、上述したタッチパネルが設けられるディスプレイ等で構成され、ユーザ操作に応じて各種情報を入力する。
【0029】
記憶部48は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリで構成され、ユーザ端末4の種々のデータを保存する装置である。
【0030】
通信部49は、ネットワークNを介して管理サーバ1又はユーザ端末4との間でデータを送受信するための通信装置である。
【0031】
次に、管理サーバ1のハードウェアの構成の一例について説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る管理サーバ1のハードウェアの構成を示すブロック図である。図4に示すように、管理サーバ1は、プロセッサ11と、ROM12と、RAM13と、バス14と、入出力インターフェース15と、記憶部16と、通信部17と、を備える。管理サーバ1のプロセッサ11と、ROM12と、RAM13と、バス14と、入出力インターフェース15と、通信部17については、上述したユーザ端末4が含む同名の機能ブロックと同様の構成であり、その説明を省略する。
【0032】
記憶部16は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリで構成され、管理サーバ1の種々のデータを保存する装置である。記憶部16は、例えば、給与決定システムSによって決定された各被評価者の給与支給額や査定の結果、これまで企業や企業内の各グループの財務実績や業務実績の結果等を保存する。
【0033】
次に、管理サーバ1の機能的構成について説明する。図5は、管理サーバ1の機能的構成の一部を示す機能ブロック図である。
【0034】
管理サーバ1の各種の制御を行う制御部20は、演算処理を実行するプロセッサ11によって実現される。本実施形態の制御部20は、表示処理部21と、評価結果取得部22と、財務実績取得部23と、貢献度取得部24と、業務実績取得部25と、原資情報取得部26と、管理者査定結果取得部27と、数値化処理部28と、財務実績ポイント決定部29、業務実績ポイント決定部30と、給与決定部31と、出力処理部32と、を備える。
【0035】
表示処理部21は、被評価者に関する評価項目をユーザ端末4の表示画面40に表示する処理を実行する。具体的には、表示処理部21はユーザ端末4を操作する評価者のユーザ操作により、通信部17を介して受信した入力信号に基づいて評価項目を表示画面40に表示する。
【0036】
評価結果取得部22は、複数の評価者それぞれによる被評価者に対する評価結果を取得する。具体的には、評価結果取得部22は、複数の評価者のユーザ操作により表示画面40上の評価項目に入力されたデータを評価結果として取得する。複数の評価者には、被評価者よりも職位が同等以下の評価者が少なくとも含まれる。即ち、評価結果取得部22によって取得される複数の評価結果には、被評価者よりも職位が同等以下の評価者によって評価された結果が含まれる。これにより、職位が同等以下の評価者によって被評価者が評価されるので、より多面的に被評価者の能力を評価することができる。なお、より客観的に被評価者を評価するという観点から、一人の被評価者を評価する評価者には、被評価者よりも職位が高い評価者、職位が同等の評価者、職位が低い評価者が含まれることがより好ましい。
【0037】
ここで、給与決定システムSによる評価結果を取得する処理の一例について図6及び図7を参照しながら説明する。被評価者に対する評価結果の取得処理の方法としては、例えば図6に示す投票方式による方法や図7に示す評定尺度法による方法等が挙げられる。
【0038】
投票方式は、複数の評価者それぞれが複数の被評価者の中から評価項目の質問に該当する被評価者を選択し、選択結果を集計する方法である。図6には、評価項目A1~A11とコメント記載用項目B1が示されている。例えば図6に示す例では、各評価者によって評価項目A1~A9に該当する被評価者が選択され、選択された被評価者を集計する処理が評価結果取得部22によって実行される。そして、評価結果取得部22は、一人の被評価者の評価結果を、評価項目A1~A9のそれぞれに対して該被評価者を選択した評価者数として取得する。
【0039】
評定尺度法は、各評価者が予め設定された評価段階に従って被評価者一人一人を評価する方法である。図7には、各従業員に対する評価項目A12~A15が示されている。例えば図7に示す例では、評価項目A12~A15のそれぞれに対して評価者が10段階で被評価者を評価することになる。評価結果取得部22は、各評価者によって評価項目A12~A15に入力された各被評価者の10段階評価の結果を評価結果として取得する。なお、図7に示す例では、評価者である回答者Aが被評価者B,C,D,Eを評価するだけでなく、自己評価も行う。これにより、評価者が自身と比較して被評価者を評価できるので、より正確な被評価者の評価結果を取得できる。また自己評価に比べ、他者評価が厳しい等といった評価者の人間性も把握できる。
【0040】
評価項目としては、例えば図6及び図7に示すように、挨拶や部下の育成、好感度、衛生意識、処理能力(与えられた業務の処理スピードと品質)等の職場における被評価者の他者からの印象や被評価者の能力に関する項目等が挙げられる。例えば図6の評価項目A3に示す「(恩師のような方)と感じる人を1名挙げてください」等のように評価者自身の成長に対する被評価者の貢献度を問うような項目が挙げられる。評価者の成長に対する被評価者の貢献度とは、被評価者の能力の向上に対する評価者の貢献の度合いを意味している。評価項目A3の評価結果を給与の決定に反映することで、例えば部下の育成への被評価者の貢献度を把握できるので、被評価者の部下の育成の能力を反映した給与を決定できる。また例えば図7の評価項目A15に示す「一緒に仕事をしたい」等のように評価者の被評価者に対する再び同じチームで一緒に働きたいという意思(例えば、再び一緒にタッグを組みたいという意思や飲食店に対する再来店意思と同様の概念)の度合いを問うような項目が挙げられる。この項目の評価結果を取得することで、被評価者に対する該被評価者と一緒に働くチームメイト全体の満足度をより正確に把握することができる。即ち、被評価者と一緒に働く同僚や上司、部下から求められる度合いを把握することができる。
【0041】
財務実績取得部23は、被評価者が所属するグループの財務実績を取得する。財務実績は、例えば経営指標を分離独立して計上し、比較できるチームやグループ等のユニットが属する業界における財務上の重要業績評価指数に対する実績である。本実施形態では、財務実績として売上実績、粗利実績、及び人時売上高を用いている。財務実績は、所定の期間における合計値であってもよく、平均値であってもよい。財務実績取得部23は、例えばユーザ操作によってユーザ端末4を介して入力されたデータや記憶部16に蓄積されたデータを財務実績として取得してもよい。
【0042】
貢献度取得部24は、被評価者が所属するグループの財務実績に対する被評価者の貢献度としての職位係数を取得する。職位係数は、被評価者がグループの財務実績に対して貢献した度合いを示す。財務実績に対する被評価者の職位係数は、例えば同じグループに所属し、職位が被評価者よりも高い評価者によって決定される。これにより、財務実績に対する貢献度の決定権を職位が高い従業員が持つことになるので、例えば上司の部下に対する権限を担保できる。貢献度取得部24は、例えばユーザ操作によってユーザ端末4を介して入力されたデータを被評価者による職位係数として取得してもよい。
【0043】
業務実績取得部25は、被評価者が所属するグループの業務実績を取得する。業務実績としては、例えば衛生調査結果や売価変更ミス件数、苦情返品件数等の実績が挙げられる。衛生調査結果は、職場環境の衛生管理状況に対する目視調査の結果である。売価変更ミス件数はPOPやプライスカードの売価とレジに登録された売価が異なることによって消費者から返金を要求された件数である。苦情返品件数は、消費者が購入した商品の品質劣化や異物混入等の苦情を原因として販売済の商品に対して返金処理した件数である。業務実績取得部25は、例えばユーザ操作によってユーザ端末4を介して入力されたデータや記憶部16に記憶されたデータを業務実績として取得してもよい。
【0044】
原資情報取得部26は、賞与支給対象である全従業員への賞与の原資に関する原資情報を取得する。原資情報は、例えば賞与支給対象である全従業員に対する支給予定金額の総額である。原資情報取得部26は、例えばユーザ操作によってユーザ端末4を介して入力されたデータを原資情報として取得してもよい。
【0045】
管理者査定結果取得部27は、例えば被評価者の直属の上司やその上の上司が被評価者の賞与支給額を決定する方法により決定された被評価者の賞与支給額(以下、管理者査定賞与支給額という)を取得する。これにより、各組織が伝統的に査定し、決定してきた給与システムを活かしながら、職位が同等以下の複数の評価者による評価結果を反映した賞与の決定が可能となる。
【0046】
数値化処理部28は、評価結果取得部22によって取得された被評価者に対する複数の評価結果を人事考課ポイントとして数値化する。数値化処理部28は、評価項目に応じて設定された重み係数を用いて評価結果を数値化してもよい。数値化処理部28は、例えば評価結果が評定尺度法によって評価された場合、評価結果をその段階に応じて点数化し、該点数に重み係数を掛けることによって数値化してもよい。そして、対象となる全評価者による被評価者に対する点数の平均値を人事考課ポイントとしてもよい。また数値化処理部28は、例えば評価結果が投票方式によって評価された結果である場合、各評価項目に対して被評価者を選択した評価者の人数に評価項目に応じて設定した重み係数を掛けることで数値化してもよい。
【0047】
数値化処理部28が投票方式による評価結果を数値化する処理について図8を用いて説明する。図8は、図6に示す投票方式によって取得された一人の被評価者の評価結果に対する数値化処理の例を示す模式図である。図8に示す項目F1には、賞与支給対象の全被評価者に給付される原資の総額が示されている。図8に示す評価項目A1~A11は図6に示す評価項目A1~A11に相当し、評価項目C1には部門長、店長、本部長等の職位が高い評価者による評価結果が示され、評価項目C2,C3には上得意のカスタマーアンケート結果が示され、評価項目C4~C7には規律違反の有無や衛生調査結果等が示されている。評価項目A1~A11、C1~C7の左端の列から右端の列に向かって評価項目名、評価項目の説明、各評価項目において被評価者が獲得した素点、各評価項目に設定された重み係数、各評価項目の数値化された人事考課ポイント等の各種ポイント、全従業員の平均ポイントの順に示されている。なお、図8の左から3列目や5列目の欄に示す〇〇及び□□は数値が入る。
【0048】
数値化処理部28は、各評価項目で得られた素点のそれぞれに対して設定された重み係数を掛けることで評価項目毎に評価結果を数値化し、数値化された評価結果を集計することで人事考課ポイントを算出している。例えば図8に示す評価項目A1~A9における被評価者の素点としては、例えば各評価項目A1~A9に対して該被評価者を選択した評価者数が素点となり、上得意のカスタマーアンケートの評価項目C2では該被評価者の所属部門に対する点数に該被評価者による貢献度としての職位係数を掛けた値が該被評価者の素点となる。
【0049】
財務実績ポイント決定部29は、被評価者が所属するグループの財務実績と該財務実績に対する被評価者の職位係数を反映した点数である財務実績ポイントを決定する。本実施形態では、財務実績ポイント決定部29は、財務実績取得部23によって取得された粗利実績、売上実績、及び人時売上高実績からそれぞれのポイントを算出し、それらのポイントを合算した後に、貢献度取得部24によって取得された職位係数を掛けることで各被評価者の財務実績ポイントを決定する。財務実績ポイントを決定する処理の詳細については、表1~表4を参照しながら説明する。
【0050】
まず、粗利実績ポイントを決定する処理について説明する。表1は被評価者が所属するグループの2019年、2020年、及び2021年の3月度~8月度における1日平均粗利額や粗利実績ポイント等を示している。表1の左側から右側に向かって2019年、2020年、2021年における月毎の1日平均粗利額、評価対象時期である評価対象月を含む過去61ヵ月間での各月の1日平均粗利額の順位、順位に基づいて決定された各月の素点、2年前対比、各月の粗利実績ポイント及び上半期の粗利実績ポイントの平均値が示されている。なお、表1に示す1日平均粗利額と2年前対比については具体的な数値の記載を省略している。
【0051】
【表1】
【0052】
財務実績ポイント決定部29は、被評価者の給与を決定するための評価対象月と評価対象月よりも過去の期間(評価対象月から61ヵ月前)における粗利実績を財務実績取得部23及び記憶部16から取得する。次に財務実績ポイント決定部29は、61ヵ月の月毎の1日平均粗利額を算出する。次に財務実績ポイント決定部29は、61ヵ月の月毎の1日平均粗利額を比較し、比較した61ヵ月における評価対象月の1日平均粗利額の順位を決定する。そして、61から評価対象月の順位を引いた数値に財務実績の種類に応じて設定された重み係数を掛けた値を評価対象月の粗利実績ポイントとする。表1に示すように、例えば2021年3月度では、1日平均粗利額の61ヵ月間の歴代順位は5位であり、素点は61から5を引いた56となり、粗利実績ポイントは素点に粗利実績の重み係数である1.0を掛けた56となる。そして、表1に示すように、2021年上半期(3月度~8月度)における粗利実績ポイントの平均値が53.2となる。なお、営業日数の差異を排除するために1日平均粗利額を指標として採用している。また、本実施形態において、過去5年間の単月実績を比較するために評価対象月を含む過去の60ヵ月ではなく、61ヵ月の実績を比較している。この理由としては、例えば6月度の単月実績を判定する場合、60ヵ月では5年前の6月度の実績が比較対象から外れてしまうので、6月度についても5年分の単月実績を比較できるように61ヵ月としている。なお、財務実績ポイント決定部29は、評価対象月を含む過去61ヵ月以上の財務実績を用いて財務実績ポイントを決定してもよく、評価対象月を含む過去61ヵ月未満の財務実績を用いて財務実績ポイントを決定してもよい。例えば評価対象月を含む過去37ヵ月の財務実績を用いれば、各月の過去3年間の単月実績を比較できる。
【0053】
売上実績ポイントを決定する処理について説明する。表2は被評価者が所属するグループの2019年、2020年、及び2021年の3月度~8月度における1日平均売上高や売上実績ポイント等を示している。表2の左側から右側に向かって2019年、2020年、2021年における月毎の1日平均売上高、評価対象月を含む過去61ヵ月間での各月の1日平均売上高の順位、順位に基づいて決定された各月の素点、2年前対比、各月の売上実績ポイント及び上半期の売上実績ポイントの平均値が示されている。なお、表2に示す1日平均売上高と2年前対比については具体的な数値の記載を省略している。
【0054】
【表2】
【0055】
本実施形態では、財務実績ポイント決定部29は、上述した粗利実績ポイントを算出する処理と同様の処理により売上実績ポイントを算出する。表2に示すように、例えば2021年3月度では、1日平均売上高の61ヵ月間の歴代順位は5位であり、素点は61から5を引いた56となり、売上実績ポイントは素点に売上実績の重み係数である0.2を掛けた11.2となる。そして、表2に示すように、2021年上半期(3月度~8月度)における売上実績ポイントの平均値が10.6となる。
【0056】
人時売上高実績ポイントを決定する処理について説明する。表3は被評価者が所属するグループの2019年、2020年、及び2021年の3月度~8月度における人時売上高や人時売上高実績ポイント等を示している。表3の左側から右側に向かって2019年、2020年、2021年における月毎の人時売上高、評価対象月を含む過去61ヵ月間での各月の人時売上高の順位、順位に基づいて決定された各月の素点、2年前対比、各月の人時売上高実績ポイント及び上半期の人時売上高実績ポイントの平均値が示されている。なお、表3に示す人時売上高と2年前対比については具体的な数値の記載を省略している。
【0057】
【表3】
【0058】
本実施形態では、財務実績ポイント決定部29は、上述した粗利実績ポイント及び売上実績ポイントを算出する処理と同様の処理により人時売上高実績ポイントを算出する。表3に示すように、例えば2021年3月度では、人時売上高の61ヵ月間の歴代順位は3位であり、素点は61から3を引いた58となり、人時売上高実績ポイントは素点に売上実績の重み係数である0.5を掛けた29となる。そして、表3に示すように、2021年上半期(3月度~8月度)における人時売上高実績ポイントの平均値が27となる。
【0059】
次に、財務実績ポイント決定部29は、算出した粗利実績ポイント、売上実績ポイント、及び人時売上高実績ポイントを用いて被評価者の上半期の財務実績ポイントを算出する。表4は、被評価者が所属するグループの2021年3月度~8月度までの財務実績ポイント、被評価者の職位係数、被評価者に付与される財務実績ポイント等を示している。具体的には、表1の上側から下側の行に向かって被評価者が所属するグループの粗利実績ポイント、売上実績ポイント、人時売上高ポイント、粗利実績ポイントと売上実績ポイントと人時売上高ポイントの合算値、被評価者の職位係数、被評価者の財務実績ポイントが示されている。
【0060】
【表4】
【0061】
財務実績ポイント決定部29は、算出した粗利実績ポイントと売上実績ポイントと人時売上高ポイントを月毎に合算し、合算値に各月における被評価者の職位係数を掛けて各月における被評価者の財務実績ポイントを算出する。そして、算出した各月における被評価者の財務実績ポイントから一月当たりの被評価者の財務実績ポイントの平均値を算出し、該平均値に予め定められたポイント化係数を掛けることで、上半期の被評価者の財務実績ポイントを算出する。表4に示すように、例えば2021年5月度では、3種類の財務実績ポイントの合算値は88.1となり、被評価者の財務実績ポイントは職位係数である0.9を掛けた79.3となる。そして、表1に示すように、2021年上半期における被評価者の財務実績ポイントは、一月当たりの被評価者の財務実績ポイントの平均値84.8にポイント化係数である2を掛けた169.7となる。
【0062】
本実施形態では、財務実績ポイント決定部29は評価対象時期における財務実績と評価対象時期よりも過去の複数の時期における財務実績を比較し、比較した複数の財務実績における評価対象期間の財務実績の順位を決定し、決定した財務実績の順位を用いて財務実績ポイントを決定している。評価対象期間の財務実績の順位とは、比較した過去の複数の期間を含む財務実績の中で評価対象期間の財務実績が何番目に優れているかを示す序列である。例えば、粗利実績では粗利額が高いほど順位が上位になり、売上実績では売上高が高いほど順位が上位になり、人時売上高実績では人時売上高が高いほど順位が上位になる。これにより、目標達成率等の設定者の主観が入る数値を用いず、自らの過去実績と比較結果が客観的な数値として示される順位を用いるので、財務実績をより客観的に評価できる。
【0063】
業務実績ポイント決定部30は、被評価者が所属するグループの業務実績を反映した点数である業務実績ポイントを決定する。具体的には、業務実績ポイント決定部30は、業務実績取得部25によって取得された職場環境の衛生調査結果や売価変更ミス件数、返品件数等からそれぞれのポイントを業務実績ポイントとして算出する。
【0064】
業務実績ポイント決定部30による衛生調査結果の業務実績ポイントを算出処理について説明する。衛生調査結果の業務実績ポイントは、例えば複数の項目からなるチェックリストに基づいて被評価者が所属するグループの点数を採点し、採点した点数を所定の基準でポイント化してもよい。
【0065】
業務実績ポイント決定部30による売価変更ミス件数の業務実績ポイントを算出処理について説明する。表5は被評価者が所属するグループの2020年及び2021年の3月度~8月度における月毎の売価変更ミス件数と業務実績ポイントを示している。
【0066】
【表5】
【0067】
業務実績ポイント決定部30は、被評価者の給与を決定するための評価対象月における被評価者が所属するグループと企業内に存在する該グループと同種の部門の売価変更ミス件数のデータを業務実績取得部25や記憶部16から取得する。次に業務実績ポイント決定部30は、被評価者が所属するグループと同種の部門の売価変更ミス件数の平均値を算出し、算出した平均値を用いて被評価者が所属するグループの部門内偏差を業務実績ポイントとして算出する。例えば表5に示すように、2021年3月度では、売価変更ミス件数が5件であり、部門内偏差が-1.17であり、売価変更ミス件数の業務実績ポイントが-1.17となる。
【0068】
業務実績ポイント決定部30による苦情返品件数の業務実績ポイントを算出処理について説明する。表6は被評価者が所属するグループの2020年及び2021年の3月度~8月度における月毎の苦情返品件数と業務実績ポイントを示している。
【0069】
【表6】
【0070】
業務実績ポイント決定部30は、被評価者の給与を決定するための評価対象月における被評価者が所属するグループと企業内に存在する該グループと同種の部門の苦情返品件数のデータを業務実績取得部25や記憶部16から取得する。次に業務実績ポイント決定部30は、被評価者が所属するグループと同種の部門の平均値を算出し、算出した平均値を用いて被評価者が所属するグループの部門内偏差を業務実績ポイントとして算出する。例えば表5に示すように、2021年3月度では、苦情返品件数が4件であり、部門内偏差が-1.14であり、苦情返品件数の業務実績ポイントが-1.14となる。
【0071】
給与決定部31は、数値化処理部28によって決定された人事考課ポイントと、財務実績ポイント決定部29によって決定された財務実績ポイントと、業務実績ポイント決定部30によって決定された業務実績ポイントを反映して被評価者の給与を決定する。具体的には、図2に示すように給与決定部31は、被評価者の人事考課ポイント、財務実績ポイント、業務実績ポイント等を合算して被評価者の総獲得ポイント(図2の例では260.6ポイント)を算出する。そして、賞与支給対象である全被評価者の総獲得ポイントの合計(図2の例では55524.5ポイント)を算出し、原資情報取得部26によって取得された原資情報を用いて総獲得ポイントのポイント単価(図2の例では540.3ポイント)を算出する。そして、被評価者の総獲得ポイントにポイント単価を掛けることでB項目の賞与支給額(図2の例では140,821円)を算出する。そして、算出したB項目の賞与支給額に管理者査定結果取得部27によって取得された被評価者の管理者査定賞与支給額(図2の例では452,500円)を足すことで、被評価者に対する2021年冬季賞与支給額の小計(図2の例では593,321円)が算出される。
【0072】
出力処理部32は、給与決定部31によって決定された被評価者の給与支給額や被評価者に対する数値化された評価結果等に関するデータ、図2に示すような賞与支給明細の電子文書等を出力する。より具体的には、出力処理部32は、給与支給額等とともに評価項目の内容や素点等の給与決定に至ったプロセスを一枚の用紙にまとめて被評価者にフィードバックするための電子文書を出力する。これにより、多岐にわたる評価結果と賞与支給額との関連性の把握が容易な賞与支給明細書を被評価者に提供することができる。
【0073】
また例えば出力処理部32は、複数の被評価者に対する数値化された評価結果を比較し、該比較結果に基づいて複数の被評価者それぞれの順位を決定し、出力する。本実施形態では、支給対象である全従業員における各被評価者の順位を決定し、出力する。出力処理部32は、例えば被評価者が所定の以上の順位を獲得したことを認定する認定証のような電子文書を生成し、出力してもよく、人事考課ポイントや財務実績ポイント、業務実績ポイント等の被評価者に対して客観的に数値化された指標が記載された自己申告用電子文書を生成し、出力してもよい。
【0074】
次に、管理サーバ1が実行する被評価者の給与決定処理の流れの一例について説明する。図9は、管理サーバ1による給与決定処理の流れを示すフローチャートである。
【0075】
図9に示すように、評価結果取得部22は、被評価者に対する評価結果を取得する(ステップS11)。具体的には、評価者のユーザ操作によりユーザ端末4の表示画面40に入力されたデータを評価結果として取得する。
【0076】
制御部20は、予め選択された全評価者による被評価者に対する評価結果を取得したか否かを判定する(ステップS12)。制御部20は、予め選択された全評価者による評価結果を取得していないと判定した場合(ステップS12;No)、処理をステップS11に戻す。一方、制御部20は、全評価者による評価結果を取得したと判定した場合(ステップS12;Yes)、処理をステップS13に移行させる。なお、評価者には、被評価者よりも職位が同等以下の従業員が少なくとも含まれる。
【0077】
数値化処理部28は、ステップS11で取得した被評価者に対する全ての評価結果を人事考課ポイントとして数値化する処理を実行する(ステップS13)。
【0078】
給与決定部31は、ステップS13で数値化された評価結果としての人事考課ポイント等を反映して被評価者の給与を決定する(ステップS14)。給与決定部31は、例えば人事考課ポイント以外に、財務実績ポイント決定部29によって決定された被評価者の財務実績ポイントや業務実績ポイント決定部30によって決定された業務実績ポイント等も反映して被評価者の給与を決定してもよい。
【0079】
出力処理部32は、給与決定部31によって決定された被評価者の給与支給額や被評価者に対する数値化された評価結果等に関するデータを出力する。(ステップS15)。ステップS15の処理の後、被評価者の給与決定処理において管理サーバ1が実行する処理が終了する。
【0080】
次に、本実施形態に係る給与決定システムSは、ユーザ端末4を用いた被評価者に関する評価項目への評価結果の入力手順について図10A図10Dを参照しながら説明する。図10Aは、ユーザ端末4の表示画面40に表示されるログイン用画面を示す図である。図10Bは、ユーザ端末4の表示画面40に表示される被評価者の選択用画面を示す図である。図10Cは、選択された被評価者の情報を表示する画面を示す図である。図10Dは、被評価者に対する評価項目を表示する画面を示す図である。
【0081】
評価者がユーザ端末4の給与決定システムSのアプリケーションを起動すると、表示画面40に図10Aに示すログイン画面が表示される。評価者は、入力項目50に自身の名前を入力し、入力項目51に所定のパスワードを入力し、ログイン用アイコン52をクリックする。
【0082】
評価者がログイン用アイコン52をクリックすると、表示画面40に図10Bに示す被評価者の選択用画面が表示される。図10Bに示すように選択用画面には、ログインした評価者が表示される項目54と、ログイン画面に戻るための評価者選択用アイコン55と、被評価者リスト56が表示される。被評価者リスト56には、ログインした評価者が評価する必要のある被評価者の社員番号、名前、及び所属先が表示される。
【0083】
評価者が評価対象である被評価者選択用アイコン57をクリックすると、図10Cに示すように選択された被評価者の情報が表示画面40に表示される。具体的には、図10Cに示すように、ログインした評価者が表示される項目58と、ログイン画面に戻るための評価者選択用アイコン59と、選択され被評価者の社員番号を表示する項目60と、名前を表示する項目61と、選択された被評価者に対する評価項目や評価結果を表示するための評価項目表示アイコン61が表示される。
【0084】
評価者が評価項目表示アイコン61をクリックすると、図10Dに示す被評価者に対する評価項目63~66が表示画面40に表示される。評価項目63~66をクリックすることで、図7に示すような10段階評価の選択項目が表示画面40に表示される。図10Dに示すアイコン67をクリックすると、評価者が入力した被評価者に対する評価結果がユーザ端末4から管理サーバ1に送信される。
【0085】
次に、出力処理部32によって生成された自己申告用電子文書の一例について説明する。図11に示すように、自己申告用電子文書の自己評価記入欄には、その内容に対応する被評価者の獲得した人事考課ポイント、財務実績ポイント等の各種ポイントと、被評価者が所属する部門内における被評価者が獲得した各種ポイントの順位が表示される。これにより、被評価者は数値化され、順位付けされた自身の成績を確認しながら、各種評項目に対する自己評価を行うことができる。特に数値化された多面評価の結果から職場における他の従業員の評価を把握できるので、より客観的に自己評価を行うことができる。
【0086】
以上説明した実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
【0087】
本実施形態に係る給与決定方法は、複数の評価者それぞれによる被評価者に対する評価結果を取得する評価結果取得ステップと、評価結果取得ステップにおいて取得された被評価者に対する評価結果を数値化する数値化ステップと、数値化ステップにおいて数値化された評価結果を反映して被評価者の給与を決定する給与決定ステップと、をコンピュータが実行し、複数の評価者には、被評価者よりも職位が同等以下の者が含まれる。
【0088】
これにより、被評価者よりも職位が同等以下の評価者を含む複数の評価者による数値化された評価結果を用いるので、部下や同僚の視点から評価した評価結果がより正確に給与に反映される。よって、客観的な評価に基づいて被評価者の給与を決定できる。また、上司だけでなく部下や同僚等の様々な視点から被評価者を評価できるので、評価者の被評価者に対する甘辛の度合いを調整せずに、より客観的に被評価者の給与を決定できる。評価者の被評価者に対する甘辛の度合いを調整しないことで、予め設定された評価項目や素点を被評価者にフィードバックできる効果も奏される。
【0089】
本実施形態に係る給与決定方法において、評価結果には、被評価者による評価者の成長に対する貢献度が少なくとも含まれる。
【0090】
これにより、評価者自身の成長に対する被評価者の貢献度を把握できるので、被評価者の部下の育成能力やリーダーシップを反映した給与を決定できる。よって、企業にとって価値の高い被評価者に対してより高い給与を支給することが容易になる。
【0091】
本実施形態に係る給与決定方法において、複数の被評価者に対する数値化された評価結果を比較し、該比較結果に基づいて複数の被評価者それぞれの順位を決定し、出力する出力ステップを更に含む。
【0092】
これにより、被評価者が他者からの評価結果を組織内における順位として把握することができるので、順位が高い場合は被評価者の承認欲求を満たすことができる。また高い順位を取得するという被評価者の承認欲求を刺激できるので、被評価者のパフォーマンスの向上が期待できる。
【0093】
本実施形態に係る給与決定方法において、被評価者が所属するグループの財務実績を取得する実績取得ステップと、財務実績に対する被評価者の貢献度を取得するステップであって、貢献度が被評価者よりも職位が高い評価者によって決定された値である貢献度取得ステップと、財務実績と該財務実績に対する貢献度に基づいて数値化された被評価者の財務実績ポイントを決定する財務実績ポイント決定ステップと、を更に含み、給与決定ステップでは、数値化ステップにおいて数値化された評価結果と財務実績ポイントを反映して被評価者の給与を決定する。
【0094】
これにより、被評価者よりも職位が高い評価者が決定した財務実績に対する貢献度を考慮して被評価者への財務実績からの利益の配分が決定され、給与に反映される。これにより、部下や同僚による被評価者に対する評価を反映しつつ、職位が高い従業員の権限を担保できる。
【0095】
本実施形態に係る給与決定方法において、財務実績は、売上実績又は粗利実績を少なくとも含む。
【0096】
これにより、より正確にグループの利益を評価した上で被評価者の給与を決定できる。
【0097】
本実施形態に係る給与決定方法において、財務実績ポイント決定ステップでは、評価対象時期における財務実績と評価対象時期よりも過去の複数の時期のそれぞれにおける財務実績とを比較し、比較した複数の財務実績における評価対象時期の財務実績の順位を決定し、決定した財務実績の順位を用いて被評価者の財務実績ポイントを決定する。
【0098】
これにより、設定者の主観が入る目標達成率等ではなく、過去のデータとの比較に基づいて評価対象時期における財務実績を評価するので、より客観的に被評価者の給与を決定できる。例えば、従来の財務実績等の業績評価では、予算達成率、前年対比、又はそれらの複合型で優劣が判定されているが、予算設定者の主観次第で予算の高低が生じてしまう。競合環境や市況等様々な要因を取り入れ協議を重ねて決定された予算であっても、被評価者にとっては「与えられた予算」の意識となり得る。仮に予算設定が低めであった場合、これに連動して評価が決まると被評価者は運が良いと感じ、逆に高めの予算であると感じて業務に当たると、「運が悪い。そもそも達成できる訳がない」と感じてしまい、モチベーションの低下の要因にもなり得る。評価に競合要因や外部環境の要素を取り入れようとすれば、判定に曖昧さが残り、客観性と公平性が失われる。仮に判定から曖昧さを取り除いたとしても、例えば最終評定として「S評価・A評価・B評価・C評価・D評価」等の5段階評価とした場合、それぞれの段階の境界線を例えば予算達成率110%以上をS、100%~110%をA等と設定せざるを得ず、99.9%と100.1%では評価ランクが変わってしまうことになり得る。そうした経験を被評価者が味わうことによって、ますます予算設定は低めに誘導される誘惑となる。これに対して、本実施形態によれば、評価者の判断基準が一切不要であり、被評価者全員に対して評価のプロセスも含めてオープンに開示することもできる。また、他人や予算と比べるのではなく、自らの数値の過去実績と比較することで「自己ベストを狙おう」というモチベーションにも繋がることになる。
【0099】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0100】
上記実施形態では、給与決定システムSの管理サーバ1とユーザ端末4がネットワークNを介して相互に通信する構成であったが、管理サーバ1とユーザ端末4がネットワークNを介さずに相互に通信可能な構成であってもよい。即ち、給与決定システムはスタンドアローン型であってもよい。
【0101】
上記実施形態では、管理サーバ1が給与決定システムSによって決定された各被評価者の給与支給額や評価結果、企業の財務実績や業務実績等の各種データを保存する記憶部16を備えていたが、記憶部16が管理サーバ1とは別個に設けられ、管理サーバ1とネットワークNを介して接続される構成であってもよい。
【0102】
上記実施形態では、管理サーバ1がユーザ端末4の表示画面40に被評価者に関する評価項目を表示する処理を実行し、該評価項目に入力された評価結果を取得し、数値化し、被評価者の給与を算出する処理を行う制御部20備える情報処理装置としていたが、ユーザ端末4を、上記処理を行う制御部20を備える情報処理装置としてもよい。また例えば、管理サーバ1とユーザ端末4の両方が上記処理を行う構成としてもよく、管理サーバ1とユーザ端末4が分担して上記処理を行う構成としてもよい。
【0103】
上記実施形態では、給与決定システムSが財務実績として粗利実績、売上実績、人時売上高実績を用いて賞与支給額を決定していたが、粗利実績、売上実績、人時売上高実績以外に例えば部門の経常利益実績等を用いてもよい。
【0104】
また例えば、管理サーバ1の制御部20は評価結果取得部22と数値化処理部28と給与決定部31以外の構成を備えなくてもよい。即ち、管理サーバ1は財務実績や業務実績、管理者査定賞与支給額を反映させず、複数の評価者による数値化された評価結果のみを反映した給与を決定してもよい。
【0105】
また例えば、管理サーバ1の制御部20は、被評価者との人間関係が破綻しているか破綻している可能性がある評価者を特定するための非友好評価者判定処理部を有してもよい。具体的には、非友好評価者判定処理部は、複数の評価者それぞれによる同一の被評価者に対する評価結果を比較して、比較した複数の評価結果のうち所定の基準から外れた評価結果が存在する場合に、該評価結果の評価者を非友好評価者として判定する。例えば非友好評価者判定処理部は、複数の評価結果の平均値を算出し、該平均値との差が所定の基準よりも大きい評価結果の評価者を非友好評価者として判定してもよい。これにより、同一の被評価者に対する複数の評価者の評価結果を比較できるので、被評価者と評価者の人間関係の破綻を特定できる。
【0106】
また上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。換言すると、図4の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が管理サーバ1に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に図4の例に限定されない。また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0107】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0108】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布されるリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。リムーバブルメディアは、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、又は光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk),Blu-ray(登録商標) Disc(ブルーレイディスク)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini-Disk)等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されている図2のROM42や図3のROM12、図2の記憶部48、図3の記憶部16に含まれるハードディスク等で構成される。
【0109】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【0110】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0111】
1 管理サーバ(情報処理装置)
4 ユーザ端末
11 プロセッサ
12 ROM
13 RAM
16 記憶部
22 評価結果取得部
28 数値化処理部
31 給与決定部
S 給与決定システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11