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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096515
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】繊維処理剤組成物
(51)【国際特許分類】
   D06M 15/227 20060101AFI20230630BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20230630BHJP
   D06M 15/647 20060101ALI20230630BHJP
   D06M 13/224 20060101ALI20230630BHJP
   D06M 13/00 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
D06M15/227
C11B9/00 Z
D06M15/647
D06M13/224
D06M13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212336
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100136249
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 貴光
(72)【発明者】
【氏名】新保 美咲
(72)【発明者】
【氏名】渡瀬 寛也
【テーマコード(参考)】
4H059
4L033
【Fターム(参考)】
4H059BA01
4H059BA02
4H059BA12
4H059BA14
4H059BA17
4H059BA19
4H059BA20
4H059BA22
4H059BA23
4H059BA35
4H059BA36
4H059BA37
4H059BC23
4H059DA09
4H059EA35
4L033AB04
4L033AC10
4L033AC15
4L033BA00
4L033BA21
4L033CA12
4L033CA48
(57)【要約】
【課題】べたつき発生を抑制しつつ肌保湿性及び嗜好性の高い残香性を繊維製品へ付与できる繊維処理剤を提供する。
【解決手段】(A)炭化水素油、(B)アルキレンオキシド付加型ノニオン界面活性剤及び(C)香料を含有し、(A)成分と(B)成分との質量比(A/B)が0.5~25である繊維処理剤組成物。該繊維処理剤組成物は希釈された後に繊維処理に用いられ、希釈後の繊維処理剤組成物における(A)成分の濃度((A)成分の体積/希釈後の繊維処理剤組成物の体積)は100~1000ppmであり、(A)成分と(C)成分との質量比(A/C)は3~100である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維処理剤組成物であって、以下の(A)~(C)成分:
(A)炭化水素油、
(B)アルキレンオキシド付加型ノニオン界面活性剤、及び
(C)香料
を含有し、
(A)成分と(B)成分との質量比(A/B)が0.5~25であり、
繊維処理剤組成物は、希釈された後に繊維処理に用いられ、
希釈後の繊維処理剤組成物における(A)成分の濃度((A)成分の体積/希釈後の繊維処理剤組成物の体積)が100~1000ppmであり、
(A)成分と(C)成分との質量比(A/C)が3~100である、繊維処理剤組成物。
【請求項2】
(A)成分と(C)成分との質量比(A/C)が7~70である、請求項1に記載の繊維処理剤組成物。
【請求項3】
(A)成分が、20℃以下の融点を有する、請求項1又は2に記載の繊維処理剤組成物。
【請求項4】
(A)成分が、流動パラフィン、イソパラフィン、スクワラン、スクワレン及びテトラデカンからなる群より選ばれる、請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維処理剤組成物。
【請求項5】
(B)成分が、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油及びポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステルからなる群より選ばれる、請求項1~4のいずれか一項に記載の繊維処理剤組成物。
【請求項6】
(B)成分が、8.5~16.5のHLBを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の繊維処理剤組成物。
【請求項7】
(A)成分と(B)成分との質量比(A/B)が0.5~25である、請求項1~6のいずれか一項に記載の繊維処理剤組成物。
【請求項8】
500~3000倍に希釈された後に繊維処理に用いられる、請求項1~7のいずれか一項に記載の繊維処理剤組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の繊維処理剤組成物の希釈液に繊維製品を浸漬する工程を含む、繊維製品の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維処理剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維処理剤の市場は年々拡大している。柔軟性、抗菌性や静電気防止効果を繊維製品へ付与するという基本的機能に加えて、近年は香りが重視され、様々な香りを持つ繊維処理剤が販売されている。一方で、繊維製品に残る香り(残香性)が強すぎる(スメハラ)の懸念も存在する。
また、化粧品で採用されているスキンケア成分を配合することで、処理した繊維製品にスキンケア機能(例えば、肌への優しさや着用時の涼感)を付与するという、新たな機能を訴求した繊維処理剤も展開されている(特許文献1~2)。
肌の保湿は重要なスキンケア機能の一つである。肌へ直接塗布する保湿用スキンケア化粧品(化粧水、乳液やクリーム等)は高い保湿効果を容易に得られるが、手のべたつきを生じやすい、全身に塗るには手間がかかる、手の届かない部位(背中等)を保湿できないという課題もある。この課題を解決するために、保湿成分を練りこんだスキンケア繊維採用した繊維製品も発売されている。しかし、スキンケア繊維には、適用できる繊維製品の種類が制限される、洗濯耐久性に劣る等の課題がある。
繊維製品の種類を問わず、その全体へ肌保湿機能を付与できる繊維処理剤では、これらの課題が解決されている。
その他、炭化水素油を含む繊維処理剤が知られている(特許文献3~6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-82915号公報
【特許文献2】特開2017-57549号公報
【特許文献3】特開2020-23776号公報
【特許文献4】特許第4425664号公報
【特許文献5】特開2006-219793号公報
【特許文献6】特開平2-251676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、香りと保湿を訴求した繊維処理剤を開発するにあたり、処理された繊維製品における(1)強すぎない香りの持続性(嗜好性の高い残香性)、(2)肌保湿性、及び(2)べたつき発生の低減を課題として設定した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を鋭意検討した結果、本発明者は、香料を含む繊維処理剤へ炭化水素油と特定種類のノニオン界面活性剤とを特定の質量比で配合しつつ、炭化水素油が特定の濃度になるように希釈してから繊維製品を処理すると、処理された繊維製品におけるべたつき発生を抑制しつつ、嗜好性の高い残香性及び肌保湿性を付与できることを見いだした。本発明は、この知見に基づいてなされたものである。
【0006】
すなわち、本発明は、以下の〔1〕~〔9〕に関するものである。
〔1〕繊維処理剤組成物であって、以下の(A)~(C)成分:
(A)炭化水素油、
(B)アルキレンオキシド付加型ノニオン界面活性剤、及び
(C)香料
を含有し、
(A)成分と(B)成分との質量比(A/B)が0.5~25であり、
繊維処理剤組成物は、希釈された後に繊維処理に用いられ、
希釈後の繊維処理剤組成物における(A)成分の濃度((A)成分の体積/希釈後の繊維処理剤組成物の体積)が100~1000ppmであり、
(A)成分と(C)成分との質量比(A/C)が3~100である、繊維処理剤組成物。
〔2〕(A)成分と(C)成分との質量比(A/C)が7~70である、前記〔1〕に記載の繊維処理剤組成物。
〔3〕(A)成分が、20℃以下の融点を有する、前記〔1〕又は〔2〕に記載の繊維処理剤組成物。
〔4〕(A)成分が、流動パラフィン、イソパラフィン、スクワラン、スクワレン及びテトラデカンからなる群より選ばれる、前記〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の繊維処理剤組成物。
〔5〕(B)成分が、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油及びポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステルからなる群より選ばれる、前記〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の繊維処理剤組成物。
〔6〕(B)成分が、8.5~16.5のHLBを有する、前記〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の繊維処理剤組成物。
〔7〕(A)成分と(B)成分との質量比(A/B)が0.5~25である、前記〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載の繊維処理剤組成物。
〔8〕500~3000倍に希釈された後に繊維処理に用いられる、前記〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の繊維処理剤組成物。
〔9〕前記〔1〕~〔8〕のいずれか一項に記載の繊維処理剤組成物の希釈液に繊維製品を浸漬する工程を含む、繊維製品の処理方法。
【発明の効果】
【0007】
後述の実施例に示すように、本発明の繊維処理剤組成物は、べたつき発生を抑制しつつ肌保湿性及び嗜好性の高い残香性を繊維製品へ付与できる。したがって、本発明は、従来製品にはない付加価値を有する繊維処理剤を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔(A)成分:炭化水素油〕
(A)成分は、肌を保湿する機能(肌保湿性)及び嗜好性の高い残香性を繊維製品へ付与するために配合する。
(A)成分を構成する炭化水素(以下、「炭化水素」)は飽和又は不飽和のいずれでもよいが、飽和が好ましい。炭化水素は脂肪族又は芳香族のいずれでもよいが、脂肪族が好ましい。炭化水素は直鎖状、分岐鎖又は環状のいずれでもよい。
(A)成分は、単一種類の炭化水素から構成されていてもよく、複数種類の炭化水素からなる混合物であってもよい。
(A)成分の常圧下の融点(以下、「融点」ともいう)は、好ましくは40℃以下、より好ましくは20℃以下ある。融点は、炭化水素について慣用の測定方法、例えば示差走査熱量測定法(DSC)法で測定できる。具体的には、示差走査熱量計(例えば、DSC120(セイコーインスツル(SII)社製))を用いて測定できる。
(A)成分の例としては、流動パラフィン(融点:-10℃以下)、イソパラフィン(融点:0℃)、スクワラン(融点:-38℃)、スクワレン(融点:-75℃)やテトラデカン(融点:6℃)が挙げられる。これらのうち、融点が20℃以下である流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、イソパラフィン及びテトラデカンが好ましく、流動パラフィン及びスクワランがより好ましく、流動パラフィンが更に好ましい。
(A)成分は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか、又は調製可能である。
(A)成分は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
【0009】
繊維処理剤組成物は、希釈された後に繊維処理に用いられる。希釈後の繊維処理剤組成物における(A)成分の濃度(体積基準。すなわち(A)成分の体積/繊維処理剤組成物の体積)は100~1000ppm、好ましくは150~800ppm、より好ましくは200~500ppmである。濃度が100ppm以上であると配合目的を達成できる。濃度が1000ppm以下であると、処理後の繊維製品のべたつき発生を抑制できる。
繊維処理剤組成物における(A)成分の含量は、希釈後に前述の濃度を達成できる限り特に制限されないが、例えば、750倍に希釈して繊維処理に供される繊維処理剤組成物の(A)成分の含量は、繊維処理剤組成物の総質量に対して、好ましくは7.5~75質量%、より好ましくは7.5~37.5質量%である。
【0010】
〔(B)成分:アルキレンオキシド付加型ノニオン界面活性剤〕
(B)成分は、(A)成分及び(C)成分の繊維製品への吸着性を向上させ、その配合効果を高めるために配合する。更に(B)成分は、べたつき発生を更に低減するためにも配合されうる。
(B)成分としては、繊維処理剤分野で公知のアルキレンオキシド付加型ノニオン界面活性剤(例えば、多価アルコール、高級アルコール、高級アミン又は高級脂肪酸から誘導されるもの)を特に制限なく使用できる。
アルキレンオキシドとしては、炭素数2~4のアルキレンオキシドが好ましく、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドがより好ましく、エチレンオキシドが特に好ましい。
(B)成分1分子あたりのアルキレンオキシドの平均付加モル数は、好ましくは7~100モル、より好ましくは10~80モル、さらに好ましくは10~60モル、特に好ましくは20~60モル、最も好ましくは20~40モルである。アルキレンオキシドの平均付加モル数が7~100モルであると、(A)成分の分散性を高めて繊維製品への吸着性をより向上させることができる。
(B)成分の例としては、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンひまし油、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミンや、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド等が挙げられる。前記の化合物名中の「オキシアルキレン」は、アルキレンオキシド付加物であることを示す。
これらのなかでも、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油及びポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステルが好ましく、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル及びポリオキシアルキレン硬化ひまし油が特に好ましい。
【0011】
ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルについて詳述する。構成脂肪酸は、好ましくは炭素数10~20の飽和又は不飽和脂肪酸、より好ましくはオレイン酸である。ソルビトールとエステル結合する脂肪酸の数は、好ましくは1~4、より好ましくは4(テトラエステル)である。付加するポリオキシアルキレンは、好ましくはエチレンオキシド(EO)である。1分子あたりのアルキレンオキシドの平均付加モル数は、好ましくは4~100、より好ましくは4~40である。
【0012】
(B)成分のHLB(Hydrophilic-Lipophilic Balance)は、好ましくは8.5~16.5、より好ましくは10~13、最も好ましくは11~13である。HLBが8.5~16.5であると化繊へのべたつきを抑制できる。
【0013】
(B)成分は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか、又は調製可能である。
(B)成分は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
【0014】
希釈後の繊維処理剤組成物における(B)成分の濃度(体積基準。すなわち(B)成分の体積/繊維処理剤組成物の体積)は、好ましくは50~500ppm、より好ましくは50~300ppmである。濃度が50~500ppmであるとより高い配合効果が得られる。
繊維処理剤組成物における(B)成分の含量は、希釈後に前述の濃度を達成できる限り特に制限されないが、例えば、750倍に希釈して繊維処理に供される繊維処理剤組成物の(B)成分の含量は、繊維処理剤組成物の総質量に対して、好ましくは3.0~40質量%、さらに好ましくは3.75~22.5質量%である。
【0015】
〔(A)成分と(B)成分の配合比〕
繊維処理剤組成物における(A)成分と(B)成分との質量比(A/B)は0.5~25、好ましくは0.7~20、より好ましくは1.0~10である。A/Bが0.5以上であると、(A)成分の繊維製品への吸着性を向上させ、優れた肌保湿性を繊維製品へ付与できる。A/Bが25以下であると、処理後の繊維製品のべたつき発生を抑制できる。
【0016】
〔(C)成分:香料〕
(C)成分は、繊維処理剤組成物自体の香り付け、及び/又は、同組成物による処理後の繊維製品の香り付けのために配合する。
(C)成分としては、繊維処理剤分野で公知の物質を特に制限なく使用できるが、使用できる香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals」,Vol.I and II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)および「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)および「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)および「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等に記載されている。
香料の例としては、アルデヒド類、フェノール類、アルコール類、エーテル類、エステル類、ハイドロカーボン類、ケトン類、ラクトン類、ムスク類、テルペン骨格を有する香料、天然香料や、動物性香料などが挙げられる。各香料の具体例は以下の通りである。
アルデヒド類の例としては、ウンデシレンアルデヒド、ラウリルアルデヒド、アルデヒドC-12MNA、ミラックアルデヒド、α-アミルシンナミックアルデヒド、シクラメンアルデヒド、シトラール、シトロネラール、エチルバニリン、ヘリオトロピン、アニスアルデヒド、α-ヘキシルシンナミックアルデヒド、オクタナール、リグストラール、リリアール、リラール、トリプラール、バニリンや、ヘリオナールなどが挙げられる。
フェノール類の例としては、オイゲノールや、イソオイゲノールなどが挙げられる。
アルコール類の例としては、シトロネロール、ジハイドロミルセノール、ジハイドロリナロール、ゲラニオール、リナロール、ネロール、サンダロール、サンタレックス、ターピネオール、テトラハイドロリナロール、メントール、ボルネオール、1-デカナール、バクダノールや、フェニルエチルアルコールなどが挙げられる。
エーテル類の例としては、セドランバー、グリサルバ、メチルオイゲノールや、メチルイソオイゲノールなどが挙げられる。
エステル類の例としては、シス-3-ヘキセニルアセテート、シス-3-ヘキセニルプロピオネート、シス-3-ヘキセニルサリシレート、p-クレジルアセテート、p-t-ブチルシクロヘキシルアセテート、アミルアセテート、メチルジヒドロジャスモネート、アミルサリシレート、ベンジルサリシレート、ベンジルベンゾエート、ベンジルアセテート、セドリルアセテート、シトロネリルアセテート、デカハイドロ-β-ナフチルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、エリカプロピオネート、エチルアセトアセテート、エリカアセテート、ゲラニルアセテート、ゲラニルフォーメート、ヘディオン、リナリルアセテート、β-フェニルエチルアセテート、ヘキシルサリシレート、スチラリルアセテート、ターピニルアセテート、ベチベリルアセテート、o-t-ブチルシクロヘキシルアセテート、マンザネートや、アリルヘプタノエートなどが挙げられる。
ハイドロカーボン類の例としては、リモネン(特に、d-リモネン)、α-ピネン、β-ピネン、ミルセン、カンフェンや、テルピノーレン等が挙げられる。
ケトン類の例としては、α-ヨノン、β-ヨノン、メチル-β-ナフチルケトン、α-ダマスコン、β-ダマスコン、δ-ダマスコン、ダマセノン、シス-ジャスモン、メチルヨノン、アリルヨノン、カシュメラン、ジハイドロジャスモン、イソイースーパー、ベルトフィックス、イソロンジフォラノン、コアボン、カルボン、ローズフェノン、ラズベリーケトン、ダイナスコンやマルトールなどが挙げられる。
ラクトン類の例としては、γ-デカラクトン、γ-ウンデカラクトン、γ-ノナラクトン、γ-ドデカラクトン、クマリンや、アンブロキサンなどが挙げられる。
ムスク類の例としては、シクロペンタデカノライド、エチレンブラシレート、ガラクソライド、ムスクケトン、トナリッド、トナライドや、ニトロムスク類などが挙げられる。
テルペン骨格を有する香料の例としては、ゲラニオール(ゼラニオール)、ネロール、リナロール、シトラール、シトロネロール、メントール、ミント、シトロネラール、ミルセン、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、テレピネロール、カルボン、ヨノン(例えばβ-ヨノン)、カンフェンや、ボルネオールなどが挙げられる。
天然香料の例としては、オレンジ油、レモン油、ライム油、プチグレン油、ユズ油、ネロリ油、ベルガモット油、ラベンダー油、ラバンジン油、アビエス油、アニス油、ベイ油、ボアドローズ油、イランイラン油、シトロネラ油、ゼラニウム油、ペパーミント油、ハッカ油、スペアミント油、ユーカリ油、レモングラス油、パチュリ油、ジャスミン油、ローズ油、シダー油、ベチバー油、ガルバナム油、オークモス油、パイン油、樟脳油、白檀油、芳樟油、テレピン油、クローブ油、クローブリーフ油、カシア油、ナツメッグ油、カナンガ油や、タイム油などの精油が挙げられる。
動物性香料の例としては、じゃ香、霊猫香、海狸香や、竜涎香などが挙げられる。
【0017】
(C)成分は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか、又は調製可能である。
(C)成分は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用(香料組成物)してもよい。
【0018】
香料組成物には、繊維処理剤で一般的に使用される溶剤を配合してもよい。香料用溶剤の例としては、ジプロピレングリコール(DPG)やイソプロピルミリステレート(IPM)等が挙げられる。
香料組成物には、繊維処理剤で一般的に使用される酸化防止剤を配合してもよい。香料用酸化防止剤の例としては、2,6-ジ-t-ジブチル-4-ヒドロキシトルエン(BHT)、t-ブチル-p-ヒドロキシアニソール(BHA)、p-メトキシフェノール、β-ナフトール、フェニル-α-ナフチルアミン、テトラメチルジアミノジフェニルメタン、γ-オリザノール、ビタミンE(α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール)、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェノール)、トリス(テトラメチルヒドロキシピペリジノール)・1/3クエン酸塩、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、クェルセチンや、4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等が挙げられる。好ましくは2,6-ジ-t-ジブチル-4-ヒドロキシトルエンである。
香料用酸化防止剤の含量は、香料組成物の総質量に対して、例えば0.001~10質量%、好ましくは0.01~5質量%である。
【0019】
希釈後の繊維処理剤組成物における(C)成分の濃度(体積基準。すなわち(C)成分の体積/繊維処理剤組成物の体積)は、好ましくは1~100ppm、より好ましくは5~50ppmである。濃度が1~100ppmであるとより高い配合効果が得られる。
繊維処理剤組成物における(C)成分の含量は、希釈後に前述の濃度を達成できる限り特に制限されないが、例えば、750倍に希釈して繊維処理に供される繊維処理剤組成物の(C)成分の含量は、繊維処理剤組成物の総質量に対して、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.5~5.0質量%である。
【0020】
〔(A)成分と(C)成分の配合比〕
繊維処理剤組成物における(A)成分と(C)成分との質量比(A/C)は3~100、好ましくは7~70、さらに好ましくは10~40である。A/Cが3~100であると「嗜好性の高い残香性」が得られる。
【0021】
〔任意成分〕
本発明の効果を損なわない範囲で、(A)~(C)の必須成分以外の任意成分を繊維処理剤組成物へ配合してもよい。
任意成分としては、繊維処理剤に一般的に配合される成分(水、柔軟性付与基剤、カチオン性ポリマー、スキンケア成分、抗菌剤、安定剤など)が挙げられる。以下、いくつかの任意成分について詳細に説明する。
【0022】
〔水〕
繊維処理剤組成物は、好ましくは水を含む水性組成物である。
水としては、水道水、精製水、純水、蒸留水や、イオン交換水を使用できる。なかでもイオン交換水が好適である。
水の含量は特に限定されないが、繊維処理剤組成物の総質量に対して、好ましくは20~70質量%、より好ましくは25~60質量%、更に好ましくは30~50質量%である。
【0023】
〔カチオン界面活性剤〕
カチオン界面活性剤は、繊維製品へ柔軟性(風合い)を付与するために配合する。
カチオン界面活性剤としては、繊維処理剤へ一般的に配合されるものを特に制限なく使用できる。カチオン界面活性剤は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか、又は調製可能である。カチオン界面活性剤の具体例としてはN,N-ジステアロイルオキシエチル-N-メチル-N-ヒドロキシエチルアンモニウムメチルサルフェートが挙げられる。
カチオン界面活性剤の含量は、繊維処理剤組成物の総質量に対して、好ましくは4~25質量%、より好ましくは5~18質量%、特に好ましくは6~15質量%、最も好ましくは9~12質量%である。含量が4質量%以上であると、より優れた配合効果が得られる。含量が25質量%以下であると、繊維処理剤組成物の保存安定性を向上させることができる。
【0024】
〔柔軟性付与基剤〕
柔軟性付与基剤は、繊維製品へ柔軟性を付与するために配合する。
柔軟性付与基剤としては、繊維処理剤へ一般的に配合されるものを特に制限なく使用できる。柔軟性付与基剤は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか、又は調製可能である。市販品としては、Dowsil SH 3775M(成分名:ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、東レ・ダウ社製)等が挙げられる。
柔軟性付与基剤の含量は、繊維処理剤組成物の総質量に対して、好ましくは0.5~3質量%、より好ましくは1~2.5質量%、さらに好ましくは1.5~2質量%である。含量が0.5~3質量%であると、より優れた配合効果が得られる。
【0025】
〔カチオン性ポリマー〕
カチオン性ポリマーは、繊維製品へしっとり感やきしみのなさを付与するために配合する。
カチオン性ポリマーとしては、繊維処理剤へ一般的に配合されるものを特に制限なく使用できる。カチオン性ポリマーは公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか、又は調製可能である。市販品としては、マーコート100(成分名:塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体)等が挙げられる。
カチオン性ポリマーの含量は、繊維処理剤組成物の総質量に対して、好ましくは0.2~3質量%、より好ましくは0.3~1質量%である。含量が0.2~3質量%であると、より優れた配合効果が得られる。
【0026】
〔(A)成分以外のスキンケア成分〕
(A)成分以外のスキンケア成分としては、化粧品へ一般的に配合されるものを特に制限なく使用できる。このスキンケア成分は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか、又は調製可能である。
市販品としては、2-エチルヘキサン酸セチル、2-オクチルドデカノール、N-ラウロイル―L―グルタミン酸ジ(コレステリル・オクチルドデシル)、アーモンド油、アボカド油等の植物性油脂や、水添パーム油、馬油、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル等が挙げられる。これらを配合すると、肌からの水分の蒸散を抑制できる。
アミノ酸、1,3-ブチレングリコール、PEG、PG、グリセリン、トレハロース、ソルビットや尿素等を配合すると、肌の吸湿性(外界から水分を取り込む機能)、吸湿性や保湿性(取り込んだ水分を保持する機能)を改善できる。
BG、ヒアルロン酸やコラーゲン等を配合すると、角層の水分量を増加させ皮膚を柔軟化できる。
N-ステアロイルジヒドロスフィンゴシン、グリコシルセラミド、セラミドやユーカリエキス等を配合すると、肌のバリア機能を改善できる。
スキンケア成分の含量は、繊維処理剤組成物の総質量に対して、好ましくは5~75質量%、より好ましくは20~60質量%である。
【0027】
〔抗菌剤〕
抗菌剤としては、繊維処理剤へ一般的に配合されるものを特に制限なく使用できる。抗菌剤は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか、又は調製可能である。抗菌剤としては、ダイクロサン、トリクロサン、ビス-(2-ピリジルチオ-1-オキシド)亜鉛、ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩、8-オキシキノリンや、ポリリジン等が挙げられる。
【0028】
〔水溶性溶剤〕
水溶性溶剤としては、繊維処理剤へ一般的に配合されるものを特に制限なく使用できる。水溶性溶剤は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか、又は調製可能である。水溶性溶剤の例としては、炭素数2~3の1級アルコール(エタノール、イソプロパノール等);炭素数2~6のグリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等)や;炭素数3~8の多価アルコール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル等)等が挙げられる。なかでも、香気や価格に優れた1級アルコールと多価アルコールが好ましく、エタノールが更に好ましい。
水溶性溶剤は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
【0029】
〔防腐剤〕
防腐剤としては、繊維処理剤へ一般的に配合されるものを特に制限なく使用できる。
防腐剤は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか、又は調製可能である。市販品としては、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(クラリアントジャパン株式会社製、商品名:Nipacide BIT20)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体(ダイドールEC-004、大同化成工業(株)や、ブチル化ヒドロキシトルエン(SUMILIZER BHT、住友化学(株))等が挙げられる。
【0030】
〔着色剤〕
着色剤としては、繊維処理剤へ一般的に配合されるものを特に制限なく使用できる。
着色剤は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか、又は調製可能である。市販品としては、例えば、アシッドレッド27、アシッドイエロー203、アシッドブルー74、ブリリアントブルー、青色205号、緑色3号、赤色106号、黄色203号、(いずれも商品名)等の汎用の色素や顔料などが挙げられる。
【0031】
〔紫外線吸収剤〕
紫外線吸収剤としては、繊維処理剤へ一般的に配合されるものを特に制限なく使用できる。紫外線吸収剤は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか、又は調製可能である。紫外線吸収剤の例としては、アミノ安息香酸誘導体(p-アミノ安息香酸、p-アミノ安息香酸エチル、p-アミノ安息香酸グリセリル、p-ジメチルアミノ安息香酸アミル等);サリチル酸誘導体(サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸オクチル、サリチル酸ミリスチル等);ケイ皮酸誘導体(ジイソプロピルケイ皮酸メチル、p-メトキシケイ皮酸エチル、p-メトキシケイ皮酸イソプロピル、p-メトキシケイ皮酸-2-エチルヘキシル、p-メトキシケイ皮酸ブチル等);ベンゾフェノン誘導体(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸、2、2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン等);アゾール系化合物(ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル等)や;4-t-ブチル-4'-メトキシベンゾイルメタン等が挙げられる。
【0032】
〔その他の任意成分〕
前記の成分以外に、酸化防止剤や消泡剤、減粘剤等の添加剤を含有してもよい。
【0033】
〔繊維処理剤組成物のpH〕
繊維処理剤組成物のpHは特に限定されないが、保存安定性の観点から、25℃におけるpHを、好ましくは4.5~8.0の範囲へ調整する。pHは、公知のpH調整剤(例えば、クエン酸等)の添加により調整できる。pHは、pHメーター(例えば、Mettler Toledo社製 型番MP230)で測定できる。
【0034】
〔繊維処理剤組成物の粘度〕
繊維処理剤組成物の粘度は、その使用性を損なわない限り特に限定されないが、25℃における粘度が1000mPa・s未満であることが好ましい。粘度が1000mPa・s未満であると使用性(洗濯機への投入の際のハンドリング性等)が良好である。
繊維処理剤組成物の粘度は、B型粘度計(TOKIMEC社製)を用いて測定できる。
【0035】
〔繊維処理剤組成物の製造方法〕
繊維処理剤組成物は、公知の方法に従い製造できる。繊維処理剤組成物が柔軟性付与基剤を含む場合、主剤としてポリエーテル変性シリコーンを用いる従来の液体柔軟剤の製造方法と同様の方法により製造できる。
例えば、(A)成分及び(B)成分及び(C)成分を含む油相と、水相とを、(A)成分の融点以上の温度条件下で混合して乳化物を調製し、必要に応じて他の成分を添加、混合することにより繊維処理剤組成物を製造することができる。
【0036】
〔繊維処理剤組成物の使用方法〕
繊維処理剤組成物を用いた繊維製品の処理方法は特に制限されず、例えば、柔軟剤、芳香剤(繊維製品の香りづけ)や、しわとり剤として使用できる。
柔軟剤として使用する方法としては、洗濯機でのすすぎ段階ですすぎ水に繊維処理剤組成物を溶解させて処理を行う方法や、たらいのような容器中で繊維処理剤組成物を水に溶解させ、更に繊維製品を入れて浸漬処理する方法が挙げられる。いずれも場合も、水への溶解により繊維処理剤組成物は希釈されて、前述した(A)~(C)成分の濃度になった後、繊維製品への処理に供される。
芳香剤やしわとり剤として使用する場合、繊維製品への適用方法は特に限定されない。例えば、繊維製品を繊維処理剤組成物中に浸漬した後風乾してもよい。
繊維製品の種類は特に限定されないが、例えば、ワイシャツ、Tシャツ、ポロシャツ、ブラウス、チノパン、スーツ、スラックス、スカート、ジャケット、コート、ニット、ジーンズ、パジャマ、テーブルクロス、ランチョンマット、カーテン、クッション、座布団、ソファ、枕カバー、シーツ、ベッドパッド、枕、布団、ベッドカバー、毛布、マットレス、靴、トイレマット、バスマット、玄関マット、カーペット、ラグや、絨毯等が挙げられる。
繊維製品の素材も特に限定されないが、例えば、綿、ウール、麻等の天然繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル等の合成繊維、アセテート等の半合成繊維、レーヨン、テンセル、ポリノジック等の再生繊維及びこれら各種繊維の混紡品、混織品、混編品等が挙げられる。
【0037】
繊維処理に用いる際の繊維処理剤組成物の希釈倍率は、前述した希釈後の各成分(特に(A)成分)の濃度と、希釈前の各成分の含量とに応じて適宜設定できるが、洗濯機でのすすぎ段階ですすぎ水に繊維処理剤組成物を溶解させて処理を行う場合の希釈倍率は、好ましくは500~3000倍、より好ましくは600~2000倍、特に好ましくは700~1000倍である。たらいのような容器中で繊維処理剤組成物を水に溶解させ、更に繊維製品を入れて浸漬処理する場合の希釈倍率は、好ましくは150~1000倍、より好ましくは200~700倍、特に好ましくは250~350倍である。希釈倍率が上記上限以下または下限以上であれば投入量が多すぎず少なすぎず投入しやすい適量となる。
【実施例0038】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
尚、実施例及び比較例において、各成分の含量(%)はすべて質量%(指定のある場合を除き、純分換算)を示す。
【0039】
〔(A)成分:炭化水素油〕
下記のa-1~a-2を使用した。

a-1:流動パラフィン(流動パラフィン350-S。三光化学工業株式会社)

a-2:スクワラン(商品名:スクアラン。純正化学株式会社)
【0040】
〔(B)成分:アルキレンオキシド付加型ノニオン界面活性剤〕
下記のb-1~b-3を使用した。

b-1:テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(30EO)(NIKKOL GO-430NV、日光ケミカルズ株式会社製)。b-1のエチレンオキシド(EO)の平均付加モル数は30モルである。b-1のHLBは11.5であった。

b-2:テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(6EO)(NIKKOL GO-4V、日光ケミカルズ株式会社製)。b-2のエチレンオキシド(EO)の平均付加モル数は6モルである。b-2のHLBは8.5であった。

b-3:ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40EO)(NIKKOL HCO-40、日光ケミカルズ株式会社製)。b-3のエチレンオキシド(EO)の平均付加モル数は40モルである。b-3のHLBは12.5であった。

b-4:ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(100EO)(NIKKOL HCO-100、日光ケミカルズ株式会社製)。b-4のエチレンオキシド(EO)の平均付加モル数は100モルである。b-4のHLBは16.5であった。
【0041】
〔(C)成分:香料〕
下記の表に示す組成を有する香料組成物c-1を使用した。表中の含量の値は、香料組成物の総質量に対する含量(質量%)である。
【0042】
c-1
【0043】
〔繊維処理剤組成物の調製方法〕
後記の表1-1に示す組成を有する繊維処理剤組成物を調製した。
表1-1中、「希釈前含量」は、希釈前の繊維処理剤組成物の総質量に対する(A)~(C)の各成分の質量の比(質量%)である。
表1-1中の「A/B」は、希釈前の繊維処理剤組成物における(A)成分と(B)成分との質量比を示す。「A/C」は、希釈前の繊維処理剤組成物における(A)成分と(C)成分との質量比を示す。
【0044】
繊維処理剤組成物は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含む油相と、イオン交換水からなる水相とを、(A)成分の融点以上の温度条件下で混合して乳化させることで調製した。
調製した繊維処理剤組成物を水で750倍に希釈したものを、希釈後の繊維処理剤組成物として繊維製品の処理に供した。
表1-2中、「希釈後濃度」は、希釈後の繊維処理剤組成物の体積に対する(A)~(C)の各成分の体積の比(ppm)を示す。
【0045】
〔繊維処理剤組成物の評価〕
「肌保湿性の繊維製品への付与」、「処理された繊維製品のべたつき」及び「残香性」の観点で繊維処理剤組成物を評価した。
【0046】
〔肌保湿性の繊維製品への付与〕
肌の保湿性を、繊維処理剤組成物で処理した評価布の着用前後の肌水分量の変化を指標として評価した。
3枚の評価布(素材:38% ポリエステル,31% アクリル,21% レーヨン,10% ポリウレタン。ユニクロ社製)を、希釈後の繊維処理剤組成物30Lを含む洗濯機へ投入して3分間のすすぎ処理に供した。すすぎ後に、二層式洗濯機(東芝製VH-30S)で1分間脱水し、更に一晩乾燥させたものを処理評価布とした。繊維処理剤組成物で処理しなかった評価布(未処理評価布)を対照とした。
評価者の「肌水分量(初期)」を下記手順に従い測定した。被験者の前腕部の皮膚を界面活性剤AES(アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム)で洗浄し、恒温室(20℃、40%RH)内で30分間安静にした後、コルネオメーター((株)インテグラル製)で肌水分量を測定した。次に、評価布を6時間着用した後の評価者の前腕部の「肌水分量(6時間後)」を、恒温室(20℃、40%RH)内で30分間安静にした後、コルネオメーター((株)インテグラル製)で測定した。この手順を評価者4名の前腕部にて実施した。測定値を下記式に当てはめて肌の水分変化率(%)を算出した。

肌水分変化率(%)=肌水分量(6時間後)/肌水分量(初期)×100

各評価者の肌水分変化率について、未処理評価布(対照)の値を100%としたときの、処理評価布の変化率Xを算出した。次いで、評価者全員の変化率Xの平均値をt検定に供し、得られたt値を下記の判定基準へ適用して、「肌保湿機能を繊維製品へ付与する性能」の評価とした。結果を、表1-2の「肌保湿効果」欄に示す。○○及び○を合格とした。

<判定基準>
○○:t値が0.05未満
○:t値が0.05以上0.1未満
×:t値が0.1以上
【0047】
〔処理された繊維製品のべたつき〕
3枚の評価布(素材:38% ポリエステル,31% アクリル,21% レーヨン,10% ポリウレタン。ユニクロ社製)を、希釈後の繊維処理剤組成物30Lを含む洗濯機へ投入して3分間のすすぎ処理に供した。すすぎ後に、二層式洗濯機(東芝製VH-30S)で1分間脱水して一晩乾燥させたものを処理評価布とした。
処理評価布を指で触ったときのべたつき感を、下記の基準に従い官能評価した。評価者4名の平均点(小数点第1位まで算出)を、下記の判定基準に適用して、「処理された繊維製品のべたつき」の評価とした。結果を、表1-2の「べたつき」欄に示す。○○及び○を合格とした。

<評価基準>
5点:非常にべたつきがある
4点:かなりべたつきがある
3点:べたつきがある
2点:ややべたつきがある
1点:べたつきがない

<判定基準>
○○:平均点が2.0点未満
○:平均点が2.0点以上4.0点未満
×:平均点が4.0点以上
【0048】
〔処理された繊維製品の残香性〕
3枚の評価布(素材:38% ポリエステル,31% アクリル,21% レーヨン,10% ポリウレタン。ユニクロ社製)を、希釈後の繊維処理剤組成物30Lを含むバケツ洗濯機へ投入して3分間のすすぎ処理に供した。すすぎ後に、二層式洗濯機(東芝製VH-30S)で1分間脱水し、更に一晩乾燥させたものを処理評価布とした。
評価用処理布3枚の香気強度を、下記の基準に従い官能評価した。評価者4名の平均点(小数点第1位まで算出)を、下記の判定基準に適用して、「処理された繊維製品の残香性」の評価とした。結果を、表1-2の「残香性」欄に示す。○○及び○を合格(強すぎない香りの持続性(嗜好性の高い残香性))とした。

<評価基準>
0点:無臭。
1点:やっと検知できる程度の香り。
2点:何の香りか分かる程度の香り。
3点:楽に感知できる香り。
4点:強い香り。
5点:強烈な香り。

<判定基準>
○○:平均点が2.5点以上3.5点以下
○:平均点が1.5点を上回り、2.5点未満、または、3.5点を上回り、4.5点未満
×:平均点が1.5点以下、または、4.5点以上
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、繊維処理剤分野で利用可能である。
【0050】
【表1-1】
【表1-2】