IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リンテック株式会社の特許一覧

特開2023-96521環状接着シート形成装置および環状接着シート形成方法
<>
  • 特開-環状接着シート形成装置および環状接着シート形成方法 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096521
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】環状接着シート形成装置および環状接着シート形成方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20230630BHJP
   B65C 9/26 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
H01L21/68 N
B65C9/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212342
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120592
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 崇裕
(74)【代理人】
【識別番号】100184712
【弁理士】
【氏名又は名称】扇原 梢伸
(74)【代理人】
【識別番号】100192223
【弁理士】
【氏名又は名称】加久田 典子
(72)【発明者】
【氏名】丸山 政徳
【テーマコード(参考)】
3E095
5F131
【Fターム(参考)】
3E095AA06
3E095CA01
3E095DA22
3E095DA33
3E095DA45
3E095DA52
3E095FA08
5F131AA02
5F131BA53
5F131CA62
5F131CA70
5F131EC32
5F131EC64
5F131EC68
5F131EC69
5F131EC77
(57)【要約】
【課題】接着シートの保持不良が発生することを極力防止して、環状接着シートを形成することができる環状接着シート形成装置および環状接着シート形成方法を提供すること。
【解決手段】先端部ASFおよび後端部ASRの一方から他方に向かう延出方向SDに延びる接着シートASを当該先端部ASF側から供給する供給手段10と、供給手段10で供給された接着シートASの先端部ASF側を保持する先端部保持手段20と、接着シートASを保持可能なシート保持部材32を先端部保持手段20と共に移動させ、接着シートASの接着面AS1を外側にして当該接着シートASを環状にした状態で保持するシート保持手段30とを備え、供給手段10は、先端部保持手段20のシート保持位置HPに接着シートASの先端部ASF側を案内する案内手段18を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部および後端部の一方から他方に向かう延出方向に延びる接着シートを当該先端部側から供給する供給手段と、
前記供給手段で供給された前記接着シートの先端部側を保持する先端部保持手段と、
前記接着シートを保持可能なシート保持部材を前記先端部保持手段と共に移動させ、前記接着シートの接着面を外側にして当該接着シートを環状にした状態で保持するシート保持手段とを備え、
前記供給手段は、前記先端部保持手段のシート保持位置に前記接着シートの先端部側を案内する案内手段を備えていることを特徴とする環状接着シート形成装置。
【請求項2】
前記接着シートは、剥離シートに仮着された状態で前記供給手段に供給され、
前記供給手段は、前記剥離シートから前記接着シートを剥離する剥離手段を備え、
前記剥離手段は、第1の剥離手段と第2の剥離手段とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の環状接着シート形成装置。
【請求項3】
前記接着シートは、弾性変形が可能に設けられ、
前記シート保持部材は、前記接着シートにおける前記延出方向に沿う一方の側端部側に当接して当該接着シートを保持する第1のシート保持面と、当該第1のシート保持面に直接または間接的に連なる第2のシート保持面とを備え、
前記供給手段は、前記シート保持部材との間に位置する前記接着シートに所定の張力を付与して前記接着シートを前記シート保持部材に保持させることで、前記接着シートにおける前記延出方向に沿う他方の側端部側を前記第2のシート保持面に接近するように屈曲させ、被着体の被着面に貼付可能な貼付面を備えた環状接着シートを形成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の環状接着シート形成装置。
【請求項4】
前記接着シートは、所定のエネルギーによって軟化可能に設けられ、
前記接着シートに前記所定のエネルギーを付与するエネルギー付与手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の環状接着シート形成装置。
【請求項5】
前記シート保持手段は、前記シート保持部材で保持した前記接着シートの保持状態を維持する中間保持手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の環状接着シート形成装置。
【請求項6】
先端部および後端部の一方から他方に向かう延出方向に延びる接着シートを当該先端部側から供給する供給工程と、
前記供給工程で供給された前記接着シートの先端部側を先端部保持手段で保持する先端部保持工程と、
前記接着シートを保持可能なシート保持部材を前記先端部保持手段と共に移動させ、前記接着シートの接着面を外側にして当該接着シートを環状にした状態で保持するシート保持工程とを実施し、
前記供給工程では、前記先端部保持工程でのシート保持位置に前記接着シートの先端部側を案内する案内工程を実施することを特徴とする環状接着シート形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状接着シート形成装置および環状接着シート形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
接着面を外側にして環状の接着シートを形成する環状接着シート形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-206757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたシート貼付装置1(環状接着シート形成装置)では、繰出手段3(供給手段)から供給される接着シートS(接着シート)は、供給方向先端部が不安定な状態で吸着孔28(先端保持手段)に供給されるため、当該先端保持手段での供給方向先端部の保持が確実に行われないことがある。そのため、特許文献1の環状接着シート形成装置では、貼付ヘッド2(シート保持手段)で保持した接着シートが位置ずれを起こしたり、シート保持手段での接着シートの保持ができなくなったりするといった接着シートの保持不良が発生する。
【0005】
本発明の目的は、接着シートの保持不良が発生することを極力防止して、環状接着シートを形成することができる環状接着シート形成装置および環状接着シート形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項に記載した構成を採用した。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、先端部保持手段のシート保持位置に接着シートの先端部側を案内するので、当該先端部が不安定な状態で先端部保持手段に供給されることがなくなる。従って、接着シートの保持不良が発生することを極力防止して、環状接着シートを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(A)~(H)は、本発明の一実施形態に係る環状接着シート形成装置の説明図および同装置の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態におけるX軸、Y軸、Z軸は、それぞれが直交する関係にあり、X軸およびY軸は、所定平面内の軸とし、Z軸は、前記所定平面に直交する軸とする。さらに、本実施形態では、Y軸と平行なDR方向から観た場合を基準とし、図を指定することなく方向を示した場合、「上」がZ軸の矢印方向で「下」がその逆方向、「左」がX軸の矢印方向で「右」がその逆方向、「前」がY軸と平行な図1中手前方向で「後」がその逆方向とする。
【0010】
本発明の環状接着シート形成装置EAは、先端部ASFおよび後端部ASR(図1(A)中AAを付した図参照)の一方から他方に向かうに向かう延出方向SDに延びる接着シートASを当該先端部ASF側から供給する供給工程を実施する供給手段10と、供給手段10で供給された接着シートASの先端部ASF側を保持する先端部保持工程を実施する先端部保持手段20と、接着シートASを保持可能なシート保持部材32を先端部保持手段20と共に移動させ、接着シートASの接着面AS1を外側にして当該接着シートASを環状(本実施形態では円環形状)にした状態で保持するシート保持工程を実施するシート保持手段30と、接着シートASに所定のエネルギーとしての熱を付与するエネルギー付与工程を実施するエネルギー付与手段40と、前記接着シートASを延出方向SDに沿って切断する幅調整手段50とを備えている。
なお、本実施形態の接着シートASは、弾性変形が可能に設けられるとともに、所定のエネルギーとしての熱によって軟化可能に設けられ、剥離シートRLに仮着された状態で供給手段10に供給されるようになっている。
【0011】
供給手段10は、当該供給手段10を構成する構成物を直接的または間接的に支持するベースプレート11と、帯状の接着シート基材ASBが帯状の剥離シートRLに仮着された反RSを支持する支持ローラ12と、原反RSを案内するガイドローラ13と、駆動機器としての回動モータ14Aの図示しない出力軸に支持され、ピンチローラ14Bとで原反RSを挟み込む駆動ローラ14と、剥離シートRLを折り返し、当該剥離シートRLから接着シートASを剥離する剥離手段15と、駆動機器としての回動モータ16Aの図示しない出力軸に支持され、ピンチローラ16Bとで剥離シートRLを挟み込む駆動ローラ16と、図示しない駆動機器の出力軸に支持され、環状接着シート形成装置EAの自動運転が行われている間、ピンチローラ16Bとの間に存在する剥離シートRLに常に所定の張力を付与し、当該剥離シートRLを回収する回収手段としての回収ローラ17と、先端部保持手段20のシート保持位置HPに接着シートASの先端部ASF側を案内する案内手段18と、接着シート基材ASBを所定の長さに切断して接着シートASを形成する長さ調整手段19とを備えている。なお、本明細書において、接着シート基材ASBが切断されて接着シートASが形成される前であっても、当該接着シート基材ASBのことを接着シートASとして説明する場合もある。
剥離手段15は、駆動機器としてのリニアモータ15Aのスライダ15Bに支持され、剥離縁15Cで剥離シートRLを折り返し、当該剥離シートRLから接着シートASを剥離する第1の剥離手段としての剥離板15Dと、駆動機器としての直動モータ15Eの出力軸15Fに回転可能に支持された第2の剥離手段としての剥離ローラ15Gとを備えている。
本実施形態では、剥離板15Dは、剥離シートRLから接着シートASの先端部を剥離し、剥離ローラ15Gは、先端部が剥離された後の接着シートASを剥離するようになっている。
案内手段18は、駆動機器としてのリニアモータ18Aのスライダ18Bに支持され、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段によって吸着保持が可能な案内面18C(保持手段)を有する案内部材18Dを備えている。
長さ調整手段19は、駆動機器としてのエアシリンダ19Aと、その出力軸19Bに支持され、図1(A)中AAを付した図に示すように、段部CU1を備えた切込CUを形成して接着シート基材ASBから接着シートASを形成する切断手段としての切断刃19Cと、切断刃19Cの押圧を受ける受け台19Dとを備えている。
なお、本実施形態の供給手段10は、シート保持部材32との間に位置する接着シートASに所定の張力を付与して接着シートASをシート保持部材32に保持させることで、接着シートASにおける延出方向SDに沿う他方の側端部AS4側を第2のシート保持面32Bに接近するように屈曲させ、被着体WKの被着面WK1に貼付可能な貼付面AS5を備えた環状接着シートASL(図1(F)参照)を形成するようになっている。
【0012】
先端部保持手段20は、シート保持部材32に支持された駆動機器としての直動モータ21と、その出力軸21Aに支持されるとともに、シート保持部材32とで接着シートASの先端部ASF側を保持する先端部保持部材22とを備えている。
【0013】
シート保持手段30は、駆動機器としての回動モータ31と、その出力軸31Aに支持されたシート保持部材32と、シート保持部材32で保持した接着シートASの保持状態を維持する中間保持手段33とを備えている。
シート保持部材32は、接着シートASにおける延出方向SDに沿う一方の側端部AS3側に当接して当該接着シートASを保持する第1のシート保持面32Aと、当該第1のシート保持面32Aに直接連なる第2のシート保持面32Bとを備えている。
シート保持部材32には、先端部保持部材22とで接着シートASの先端部ASF側を保持する凹部32Cが形成されている。また、第2のシート保持面32Bには、切断刃52(図1(H)参照)が入り込む凹溝32Dが形成されている。
中間保持手段33は、シート保持部材32の凹部32E内に支持された駆動機器としての直動モータ33Aと、その出力軸33Bに支持された駆動機器としての直動モータ33Cと、その出力軸33Dに支持され、第1のシート保持面32Aとで接着シートASを保持する中間保持部材33E(保持手段)とを備えている。
【0014】
エネルギー付与手段40は、駆動機器としての直動モータ41と、その出力軸41Aに支持されたコイルヒータやヒートパイプの加熱側等の加熱機器42とを備えている。
【0015】
幅調整手段50は、駆動機器としての直動モータ51と、その出力軸51Aに支持された切断手段としての切断刃52とを備えている(図1(G)参照)。
【0016】
以上の環状接着シート形成装置EAの動作を説明する。
先ず、図1(A)中実線で示す初期位置に各部材が配置された環状接着シート形成装置EAに対し、当該環状接着シート形成装置EAの使用者(以下、単に「使用者」という)が同図のように原反RSをセットした後、操作パネルやパーソナルコンピュータ等の図示しない操作手段を介して自動運転開始の信号を入力する。すると、供給手段10が回動モータ14Aを駆動し、原反RSを繰り出して図1(A)に示すように、接着シートASの先端部ASFが剥離板15Dの剥離縁15Cで所定長さ剥離されると、回動モータ14Aの駆動を停止する。
【0017】
次いで、供給手段10が図示しない減圧手段を駆動し、案内面18Cでの接着シートASの吸着保持を開始した後、回動モータ14Aおよびリニアモータ18Aを駆動し、原反RSを繰り出して接着シートASを供給する。これにより、接着シートASが剥離シートRLから剥離され、当該剥離シートRLから剥離された接着シートASは、図1(B)に示すように、その先端部ASF側が案内部材18Dによって保持されて凹部32C内のシート保持位置HPに案内される。その後、先端部ASFがシート保持位置HPに到達すると、供給手段10が回動モータ14Aおよびリニアモータ18Aの駆動を停止した後、図示しない減圧手段の駆動を停止し、案内面18Cでの接着シートASの吸着保持を解除する。次に、供給手段10がリニアモータ18Aを駆動し、案内部材18Dを初期位置に復帰させると、先端部保持手段20が直動モータ21を駆動し、図1(C)に示すように、先端部保持部材22と凹部32Cの側壁とで先端部ASF側を保持する。
【0018】
そして、供給手段10がリニアモータ15Aを駆動し、図1(D)に示すように、剥離板15Dをシート保持部材32から離間させた後、直動モータ15Eを駆動し、剥離ローラ15Gをシート保持部材32に接近させる。この際、接着シートASは、図1(E)に示すように、他方の側端部AS4側が第1のシート保持面32Aよりも上方に位置するように配置される。なお、剥離ローラ15Gは、第1のシート保持面32Aに接着シートASを押し付けてもよいし、押し付けなくてもよい。
【0019】
次いで、エネルギー付与手段40が直動モータ41を駆動し、図1(A)中二点鎖線で示すように、第1のシート保持面32Aの上方に加熱機器42を配置させた後、当該加熱機器42を駆動する。その後、シート保持手段30が回動モータ31を駆動し、シート保持部材32を時計回転方向R1に回転させ、図1(D)中二点鎖線で示すように、一方の側端部AS3側を第1のシート保持面32Aに巻き付ける。この際、供給手段10が回動モータ14Aを駆動し、駆動ローラ14を介して原反RSから加わるトルクを検知し、当該トルクが常に所定の値となるようにしながら接着シートASをシート保持部材32に供給することで、接着シートASに対して延出方向SDに沿う方向の張力を付与する。供給手段10によって上記のように張力が付与され、シート保持部材32に巻き付けられた弾性変形が可能な接着シートASは、内在する弾性復元力により、図1(F)に示すように、他方の側端部AS4側が第2のシート保持面32Bに接近するように屈曲し、屈曲した他方の側端部AS4側の接着面AS1が被着体WKの被着面WK1に貼付可能な貼付面AS5となっていく。なお、接着シートASは、加熱機器42の下部を通過する際、当該加熱機器42によって加熱されるので弾性変形し易くなり、その分弾性復元量も大きくなって他方の側端部AS4側が第2のシート保持面32Bにより近付くように屈曲し易くなる。
【0020】
次に、シート保持部材32に巻き付けられた接着シートASが中間保持部材33Eの上方を通過すると、シート保持手段30が直動モータ33A、33Cを駆動し、図1(F)中二点鎖線で示すように、当該中間保持部材33Eと第1のシート保持面32Aとで接着シートASを保持し、当該接着シートASが第2のシート保持面32B方向に移動することを抑制する。そして、供給手段10がエアシリンダ19Aを駆動し、切断刃19Cを進退させて受け台19Dとで接着シート基材ASBに切込CUを形成し、シート保持部材32を1周できる長さの接着シートASを形成する(図1(A)中AAを付した図参照)。次いで、接着シートASの後端縁が剥離シートRLから剥離され、次の接着シートASの先端縁が剥離ローラ15Gの上方所定位置に到達すると、供給手段10が回動モータ14Aの駆動を停止する。その後、接着シートASの後端部ASR側の反接着面AS2が、シート保持部材32に巻き付けられた接着シートASの先端部ASF側の接着面AS1に接着し、当該後端部ASRが加熱機器42の下部を通過すると、シート保持手段30およびエネルギー付与手段40が回動モータ31および加熱機器42の駆動を停止する。これにより、図1(G)に示すように、被着体WKの被着面WK1に貼付可能な貼付面AS5を備えた環状接着シートASLが形成される。次に、供給手段10およびエネルギー付与手段40がリニアモータ15A、直動モータ15Eおよび直動モータ41を駆動し、剥離板15D、剥離ローラ15Gおよび加熱機器42を初期位置に復帰させる。
【0021】
そして、使用者または図示しない搬送手段が、図1(H)に示すように、被着面WK1が貼付面AS5に当接するように、被着体WKを環状接着シートASLに貼付させると、幅調整手段50が直動モータ51を駆動し、同図中二点鎖線で示すように、切断刃52を凹溝32D内に入り込ませる。次いで、シート保持手段30が回動モータ31を駆動し、シート保持部材32を時計回転方向R1に1回転以上回転させ、接着シートASを延出方向SDに沿って切断し、被着体WKの外縁に環状接着シートASLの一部が貼付された一体物UPを形成する。その後、使用者または図示しない搬送手段が一体物UPを次工程に搬送すると、各手段がそれぞれの駆動機器を駆動し、各部材を初期位置に復帰させた後、使用者または図示しない駆動機器等の後処理手段がシート保持部材32に残された接着シートASの残存部を取り去り、以降上記同様の動作が繰り返される。
【0022】
以上のような実施形態によれば、先端部保持手段20のシート保持位置HPに接着シートASの先端部ASF側を案内するので、当該先端部ASFが不安定な状態で先端部保持手段20に供給されることがなくなる。従って、接着シートASの保持不良が発生することを極力防止して、環状接着シートASLを形成することができる。
【0023】
本発明における手段および工程は、それら手段および工程について説明した動作、機能または工程を果たすことができる限りなんら限定されることはなく、まして、前記実施形態で示した単なる一実施形態の構成物や工程に全く限定されることはない。例えば、先端部保持手段は、供給手段で供給された接着シートの先端部側を保持可能なものであればどんなものでもよく、出願当初の技術常識に照らし合わせてその技術範囲内のものであればなんら限定されることはない(その他の手段および工程も同じ)。
【0024】
供給手段10は、剥離シートRLが仮着されていない原反を繰り出して接着シートASを供給してもよいし、接着シート基材ASBに予め切込CUが形成されることで接着シートASが形成された原反から当該接着シートASを供給してもよいし、他方の側端部AS4側が第2のシート保持面32Bに当接するように、シート保持部材32との間に位置する接着シートASに張力を付与してもよいし、他方の側端部AS4側が第2のシート保持面32Bに当接しないように、シート保持部材32との間に位置する接着シートASに張力を付与してもよいし、接着シートASの特性、特質、性質、材質、組成、構成、形状、寸法および重量や、雰囲気の条件、その他の要因等の諸条件を考慮して当該着シートASに付与する所定の張力の大きさや方向等を任意に変更することができるし、例えば、シート保持部材32およびベースプレート11のうち少なくとも一方を相手方から遠ざけたり、接着シートASを摺動可能に把持したりすることで、シート保持部材32との間に位置する接着シートASに所定の張力を付与してもよいし、接着シートASに張力を付与しなくてもよいし、他方の側端部AS4側を第2のシート保持面32Bに接近するように接着シートASを屈曲させなくてもよいし、剥離手段15が剥離板15D、剥離ローラ15Gまたは、その他のものによって1体だけで構成されていてもよいし、3体以上で構成されていてもよいし、剥離手段15が移動しない構成でもよいし、剥離ローラ15Gが剥離シートRLから接着シートASの先端部を剥離し、剥離板15Dが先端部が剥離された後の接着シートASを剥離するようになっていてもよいし、長さ調整手段19が備わっていてもよいし、備わっていなくてもよい。
案内手段18は、接着シートASの接着面AS1側、反接着面AS2側の他、接着シートASの一方の側端部AS3側や他方の側端部AS4側を保持して、シート保持位置HPに接着シートASの先端部ASF側を案内してもよいし、案内面18Cでの吸着保持を行わず、当該案内部材18Dでシート保持位置HPに先端部ASF側を案内してもよいし、チャックモータやチャックシリンダ等の把持手段で接着シートASの先端部ASF側を把持して、シート保持位置HPに先端部ASF側を案内してもよいし、空気やガス等の気体を接着シートASの先端部ASF側に吹き付けて、シート保持位置HPに先端部ASF側を案内してもよい。
【0025】
先端部保持手段20は、シート保持部材32に支持されることなく、例えば、回動モータ等の駆動機器の出力部に支持され、当該シート保持部材32と共に移動する構成でもよいし、使用者がスイッチ等を押して直動モータ21を駆動させ、先端部ASF側を保持する構成でもよいし、第1のシート保持面32Aと先端部保持部材22とで接着シートASの先端部ASF側を保持する構成でもよいし、第1のシート保持面32Aに吸引孔を形成し、当該吸引孔を介して減圧ポンプや真空エジェクタ等の減圧手段によって先端部ASF側を吸着保持する構成でもよいし、クリップやねじ止め部材等で先端部ASF側を把持する構成でもよい。
【0026】
シート保持手段30は、シート保持部材32を移動させることなくまたは、移動させつつ供給手段10を移動させ、当該シート保持部材32で接着シートASを環状にした状態で保持してもよい。
シート保持部材32は、円錐台形状、角錐台形状、円柱形状、楕円柱形状、三角形や四角形等の多角柱形状、平板形状、球形状、半球形状またはその他の形状でもよいし、第2のシート保持面32Bの外縁形状が、例えば、円形、楕円形、三角形や四角形等の多角形またはその他の形状であっていてもよいし、第1のシート保持面32Aと第2のシート保持面32Bとの間に他の面が1又は複数存在することによって、第2のシート保持面32Bが第1のシート保持面32Aに間接的に連なっていてもよいし、第2のシート保持面32Bがゴムや樹脂等の弾性変形が可能な部材で構成されていたり、金属や硝子等の弾性変形が不能な部材で構成されていたりしてもよいし、第2のシート保持面32Bが減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段(保持手段)によって吸着保持が可能であったり、吸着保持ができなかったりしてもよいし、凹部32Cが形成されていなくてもよいし、凹溝32Dが形成されていなくてもよい。
中間保持手段33は、シート保持部材32に支持されることなく、例えば、回動モータ等の駆動機器の出力部に支持され、当該シート保持部材32と共に移動する構成でもよいし、使用者がスイッチ等を押して直動モータ33A、33Cを駆動させ、接着シートASを保持する構成でもよいし、第1のシート保持面32Aに吸引孔を形成し、当該吸引孔を介して減圧ポンプや真空エジェクタ等の減圧手段によって接着シートASを吸着保持する構成でもよいし、クリップやねじ止め部材等で接着シートASを把持する構成でもよいし、本発明の環状接着シート形成装置EAに備わっていてもよいし、備わっていなくてもよい。
【0027】
エネルギー付与手段40は、シート保持部材32の内部やその他の位置に配置されていてもよいし、駆動機器に支持されていなくてもよいし、所定のエネルギーとしての紫外線、赤外線、可視光線、音波、X線またはガンマ線等の電磁波を付与するものや、熱湯、熱風、冷水、冷風等を付与するものでもよく、接着シートASの特性、特質、性質、材質、組成および構成等を考慮して当該接着シートASを軟化可能なものを任意に選択することができるし、接着シートASの特性、特質、性質、材質、組成、構成、形状、寸法および重量や、雰囲気の条件、その他の要因等の諸条件を考慮して当該着シートASに付与する所定のエネルギーの量や強さ等を任意に変更することができるし、本発明の環状接着シート形成装置EAに備わっていてもよいし、備わっていなくてもよい。
【0028】
幅調整手段50は、例えば、シート保持部材32の内部から切断手段としての切断刃を進退させて接着シートASを延出方向SDに沿って切断してもよいし、駆動機器としての多関節ロボットやその他の部材で切断手段を支持し、第1のシート保持面32A上で接着シートASを延出方向SDに沿って切断してもよいし、円盤形状、円環形状または直線形状の切断刃の他、その他の形状の切断手段を昇降させたり、所定の軌道に沿って移動させたりして接着シートASを延出方向SDに沿って切断してもよいし、被着体WKに貼付する前段(例えば、シート保持部材32に支持された状態)で接着シートASを延出方向SDに沿って切断してもよいし、被着体WKの外縁と同じ形状に接着シートASを切断したり、被着体WKの外縁よりも大きく接着シートASを切断したり、被着体WKの外縁よりも小さく接着シートASを切断したりしてもよいし、本発明の環状接着シート形成装置EAに備わっていてもよいし、備わっていなくてもよい。
【0029】
環状接着シート形成装置EAは、例えば、楕円環形状、三角環形状や四角環形状等の多角環形状または、その他の環状形状の環状接着シートASLを形成してもよいし、環状接着シートASLを形成したシート保持部材32を移動させ、環状接着シートASLの貼付面AS5を被着体WKの被着面WK1に貼付してもよいし、被着体WKの外縁よりも大きく切断した接着シートASの接着面AS1に樹脂シートや金属板等の他の部材を貼付してもよいし、環状接着シートASLを被着体WKに貼付しなくてもよいし、当該環状接着シート形成装置EAを構成する各部材における接着面AS1に接する面に、フッ素樹脂やシリコン等による不接着処理が施されていてもよいし、不接着処理が施されていなくてもよい。
【0030】
接着シートASは、弾性変形しないものでもよいし、紫外線、赤外線、可視光線、音波、X線またはガンマ線等の電磁波や、熱湯、熱風、冷水、冷風等の熱を所定のエネルギーとして軟化可能に設けられていてもよいし、所定のエネルギーによって軟化しないものでもよいし、段部CU1に代えてまたは段部CU1と共に、例えば、円弧状部、凸状部、凹状部等の他、その他の形状部を備えた切込CUによって先端部ASFや後端部ASRが形成されていてもよいし、先端部ASFや後端部ASRに段部CU1、円弧状部または凸状部等のない直線状の切込CUによって、正方形形状、長方形形状、菱形形状、台形形状等の外形形状とされてもよいし、円形形状や楕円形形状等どのような外形形状とされてもよい。
接着シートASは、所定の第2エネルギーによって変形が可能に設けられていてもよい。この場合、環状接着シート形成装置EAは、接着シートASに所定の第2エネルギーを付与する第2エネルギー付与手段を設け、当該接着シートASに第2エネルギーを付与することで、接着シートASにおける延出方向SDに沿う他方の側端部AS4側を第2のシート保持面32Bに接近するように屈曲させ、被着体WKの被着面WK1に貼付可能な貼付面AS5を備えた環状接着シートASLを形成することができる。なお、接着シートASを変形させる所定の第2エネルギーとしては、紫外線、赤外線、可視光線、音波、X線またはガンマ線等の電磁波や、熱湯、熱風、冷水、冷風等の熱等が例示できる。また、所定の第2エネルギーによって変形が可能に設けられた接着シートASは、所定の第2エネルギーによって変形が可能に設けられていればどのようなものでもよく、例えば、所定の第2エネルギーによって収縮を伴って変形するものや、所定の第2エネルギーによって膨張を伴って変形するものや、所定の第2エネルギーによって収縮も膨張も伴うことなく変形するものでもよい。
被着体WKは、被着面WK1およびその反対側の面の少なくとも一方に、例えば、別の接着シートや、金属、ガラス、樹脂等の被着体支持部材が貼付されていたり、何も貼付されていなくてもよい。
【0031】
本発明における接着シートAS、別の接着シート、他の部材および被着体WKの材質、種別、形状等は、特に限定されることはない。例えば、接着シートAS、別の接着シート、他の部材および被着体WKは、円形、楕円形、三角形や四角形等の多角形、その他の形状であってもよいし、接着シートASや別の接着シートは、感圧接着性、感熱接着性等の接着形態のものであってもよく、感熱接着性の接着シートASや別の接着シートが採用された場合は、エネルギー付与手段40を構成する加熱機器42の他、コイルヒータやヒートパイプの加熱側等の加熱手段を設けるといった適宜な方法で接着されればよい。また、このような接着シートASや別の接着シートは、例えば、接着剤層だけの単層のもの、基材と接着剤層とが積層された2層のもの、基材と接着剤層との間に1または複数の中間層が積層された3層または3層以上のもの、基材の上面に1または複数のカバー層が積層された3層または3層以上のもの、基材、中間層またはカバー層が剥離可能に設けられたもの、接着剤層のみからなる単層の両面接着シート、1または複数の中間層の両最外面に接着剤層が積層された両面接着シート等、どのようなものでもよい。さらに、他の部材や被着体WKとしては、例えば、食品、樹脂容器、シリコン半導体ウエハや化合物半導体ウエハ等の半導体ウエハ、回路基板、光ディスク等の情報記録基板、ガラス板、鋼板、陶器、木板または樹脂等の単体物であってもよいし、それら2つ以上で形成された複合物であってもよく、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。なお、接着シートASや別の接着シートは、機能的、用途的な読み方に換え、例えば、情報記載用ラベル、装飾用ラベル、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルム、ダイボンディングテープ、記録層形成樹脂シート等の任意のシート、フィルム、テープ等でもよい。
【0032】
前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、2軸または3軸以上の関節を備えた多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダおよびロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる。
前記実施形態において、ローラ等の回転部材が採用されている場合、当該回転部材を回転駆動させる駆動機器を備えてもよいし、回転部材の表面や回転部材自体をゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、回転部材の表面や回転部材自体を変形しない部材で構成してもよいし、ローラの代わりに回転するまたは回転しないシャフトやブレード等の他の部材を採用してもよいし、剥離板や剥離ローラ等の剥離手段や剥離部材といった被剥離物を剥離するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、板状部材、丸棒、ローラ等の部材を採用してもよいし、剥離するものをゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、変形しない部材で構成してもよいし、支持(保持)手段や支持(保持)部材等の被支持部材(被保持部材)を支持(保持)するものが採用されている場合、メカチャックやチャックシリンダ等の把持手段、クーロン力、接着剤(接着シート、接着テープ)、粘着剤(粘着シート、粘着テープ)、磁力、ベルヌーイ吸着、吸引吸着、駆動機器等で被支持部材を支持(保持)する構成を採用してもよいし、切断手段や切断部材等の被切断部材を切断または、被切断部材に切込や切断線を形成するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、カッター刃、レーザカッタ、イオンビーム、火力、熱、水圧、電熱線、気体や液体等の吹付け等で切断するものを採用したり、適宜な駆動機器を組み合わせたもので切断するものを移動させて切断するようにしたりしてもよい。
【符号の説明】
【0033】
EA…環状接着シート形成装置
10…供給手段
15…剥離手段
15D…剥離板(第1の剥離手段)
15G…剥離ローラ(第2の剥離手段)
18…案内手段
20…先端部保持手段
30…シート保持手段
32…シート保持部材
32A…第1のシート保持面
32B…第2のシート保持面
33…中間保持手段
40…エネルギー付与手段
AS…接着シート
ASF…先端部
ASL…環状接着シート
ASR…後端部
AS1…接着面
AS3…一方の側端部
AS4…他方の側端部
AS5…貼付面
HP…シート保持位置
RL…剥離シート
SD…延出方向
WK…被着体
WK1…被着面
図1