(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096537
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】カーテンポールのプレーンキャップ構造
(51)【国際特許分類】
A47H 13/02 20060101AFI20230630BHJP
A47H 1/02 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
A47H13/02
A47H1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212370
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】江上 達也
(72)【発明者】
【氏名】秋元 修
【テーマコード(参考)】
2E182
【Fターム(参考)】
2E182AA01
2E182AC01
2E182DE21
2E182DE41
2E182DF49
2E182DG01
2E182DH15
2E182EE01
(57)【要約】
【課題】 カーテンポールの端部に装着させるプレーンキャップであって、装着させた状態で、リングランナーのカーテンポールから抜けることを阻止できるカーテンポールのプレーンキャップ構造を提供する。
【解決手段】 プレーンキャップ3の閉塞頭部31にカーテンポール1aに沿った方向と平行な舌片支持部31aを設け、その先端部にカーテンポール1aの外方に突出さえて係止舌片部31bを設ける。この係止舌片部31bとカーテンポール1aとを含む、カーテンポール1aの径方向の最大寸法を端部用リングランナー1beの内径よりも大きくする。プレーンキャップ3の挿入案内部32に弾性により撓む挿入部32cをカーテンポール1aに挿入して、弾性による復元力でプレーンキャップ3をカーテンポール1aに固定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーテン装置のリングランナーを遊嵌させて、該リングランナーの移動を案内するカーテンポールの端部に装着されるプレーンキャップであって、
前記カーテンポールの内側に挿入される挿入案内部と、
前記挿入案内部の基端部に配され、この挿入案内部と一体の筒状の閉塞頭部と、
前記閉塞頭部の筒の端部の一部をカーテンポールの長手方向と平行な方向に伸長させた舌片支持部と、
前記舌片支持部の先端にカーテンポールの外方向に突出させた係止舌片部と、
を備え、
前記挿入案内部をカーテンポールの内側に挿入した状態で、閉塞頭部の筒の内側にカーテンポールが挿入され、前記舌片支持部がカーテンポールの外面に沿って位置し、前記係止舌片部がカーテンポールの側方に突出して位置することを特徴とするカーテンポールのプレーンキャップ構造。
【請求項2】
請求項1に記載のカーテンポールのプレーンキャップ構造であって、
前記係止舌片部の先端からカーテンポールの外周面までの距離とカーテンポールの外径との和がリングライナーの内径よりも大きいことを特徴とするカーテンポールのプレーンキャップ構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のカーテンポールのプレーンキャップ構造であって、
前記係止舌片部のカーテンポールの端部側の面であって、舌片支持部との接続部から閉塞頭部の外側面までの距離がリングランナーの内径よりも大きいことを特徴とするカーテンポールのプレーンキャップ構造。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のカーテンポールのプレーンキャップ構造であって、
前記挿入案内部をカーテンポールに挿入した状態で、挿入案内部がカーテンポールに固定されることを特徴とするカーテンポールのプレーンキャップ構造。
【請求項5】
請求項4に記載のカーテンポールのプレーンキャップ構造であって、
前記挿入案内部に弾性部を設け、
カーテンポールへの挿入時に弾性部が撓んでこの挿入を許容し、
挿入案内部をカーテンポールに挿入した状態で、前記弾性部が原位置に復帰しようとする際に生じる復元力で、該弾性部がカーテンポールの内面を押圧して、プレーンキャップがカーテンポールに固定されることを特徴とするカーテンポールのプレーンキャップ構造。
【請求項6】
請求項5に記載のカーテンポールのプレーンキャップ構造であって、
カーテンポールの内周面であって、180°の位置関係で、該カーテンポールの軸方向に沿った方向に、内側に膨出させた一対の上側縮径部と下側縮径部とを設け、
挿入案内部をカーテンポールに挿入した状態で、前記弾性部が原位置に復帰しようとする際に生じる復元力で、該弾性部が前記上側縮径部と下側縮径部とを押圧して、挿入案内部がカーテンポールに固定されることを特徴とするカーテンポールのプレーンキャップ構造。
【請求項7】
請求項6に記載のカーテンポールのプレーンキャップ構造であって、
前記弾性部の外側面には、前記上側縮径部と下側縮径部とをそれぞれ挟む位置に係合山部が設けられていることを特徴とするカーテンポールのプレーンキャップ構造。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載のカーテンポールのプレーンキャップ構造であって、
前記係止舌片部の最外端を通り、閉塞頭部の径方向を軸として線対称であることを特徴とするカーテンポールのプレーンキャップ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カーテンポールの端部に取り付けられるプレーンキャップ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
窓などに設けられるカーテンは、水平方向に配されたカーテンポールに遊嵌されてカーテンポールに案内されて移動するリングランナーに、フック等の金具を介して吊り下げられる。このカーテンポールは、壁面や天井面に取り付けられたブラケットに支持される。また、カーテンポールの端部はブラケットよりも外側に突出して配される。
ところで、窓などの大きさの大小にも容易に対応できるよう、あるいはカーテンのデザインに合わせられるように、カーテンポールは所望の長さに切断して用いられる。また、カーテンポールは軽量であり取扱いが容易である等の理由によってカーテンポール用に加工されたアルミニウム製等のパイプが用いられる。このパイプ状のカーテンポールを切断すると端部に開口が形成され、この開口を閉塞するためにプレーンキャップが取り付けられる。なお、このプレーンキャップに替えて、適宜な意匠が施されて見栄えを良くしたフィニアルが取り付けられる場合がある。
【0003】
一方、プレーンキャップはカーテンポールの開口を閉塞するものであるのでフィニアルとは異なり、小型なものが用いられる。
リングランナーのうちの端部に位置するリングランナーは、ブラケットよりも外側に配されて、カーテンを閉めた際に、カーテンの端部がブラケットよりも内側に移動することが阻止され、不用意にカーテンの端部が開いてしまうことがないようにしてある。すなわち、端部のリングランナーはプレーンキャップとブラケットとの間に遊嵌されている。また、カーテンポールの端部とブラケットとの間の距離を、カーテンのヒダを形成するためのリングランナー同士の距離よりも大きくすると、カーテンからカーテンポールが大きく突出してしまって、見栄えが損なわれる。
ところで、プレーンキャップの外径がリングランナーの内径よりも小径である場合には、リングランナーがカーテンポールの端部から抜けてしまう虞がある。リングランナー同士の距離が、端部のカーテンポールとブラケットとの間の距離よりも大きい場合には、端部のリングランナーが容易に脱落してしまう虞がある。
このため、リングランナーが抜けてしまうことを防止するためカーテンポールにリングランナーストッパを設けて、リングランナーがカーテンポールの端部に移動することが阻止されている。
しかし、リングランナーストッパは、カーテンの端部よりも外側に設けられているため目立ってしまい、カーテンポール端部、ひいてはカーテンの意匠性を損なう虞がある。
【0004】
そこで、例えば、端部のリングランナーとブラケットとに規制部材を掛け渡して連結し、リングランナーの移動を規制するようにしたカーテンレール構造が提案されている(特許文献1参照)。
また、カーテンレールに取り付けた状態で、カーテンレールと協働してリングランナの一部を脱抜不能に囲うように構成されたリングランナーストッパが提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
また、弾性的に開脚してカーテンポールに嵌合可能な樹脂製の嵌合部と、嵌合部の上部に配設されて上からリングランナを嵌めることができる係止部とを備え、嵌合部は、前記カーテンポールに上方から弾性的に嵌合し、係止部は、上から嵌めたリングランナをカーテンポールに摺動不能に係止するリングランナストッパが提案されている(特許文献3参照)。
また、リングランナーリング本体の内周面に形成される環状溝に嵌め込まれるインナーリングとから形成し、そのインナーリングの内周面に少なくとも1つの突起を形成してインナーリングに内接する最大円の直径をカーテンポールの外径以上、エンドキャップの外径以下とするカーテン装置のリングランナーが提案されている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-196719号公報
【特許文献2】特開2016-116825号公報
【特許文献3】特開2016-116825号公報
【特許文献4】特開2006-305023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1に開示されたカーテンレール構造の規制部材と、特許文献2に開示されたリングランナーストッパとは、いずれも構成部品が目立つものであるため、見栄えを損なう虞がある。また、特許文献2に開示されたリングランナーストッパでは、構造が複雑で、取付作業に手間がかかる虞がある。
【0008】
また、特許文献3に開示されたリングランナストッパに嵌められているリングランナや、特許文献4に開示されたリング本体の内周面にはめ込まれているインナーリングに、不用意に外からの力が加えられると、リングランナがリングランナストッパから外れてしまったり、インナーリングがリング本体から外れたりしてしまう虞がある。これらリングランナが外れたりインナーリングが外れたりした場合には、リングランナーの移動を阻止できなくなってしまうから、カーテンポールから抜けてしまう虞が生じることになる。
【0009】
上述した問題点に鑑みて、この発明は、カーテンポールやカーテンの意匠性を損なうことなく、不用意な外力が加えられた場合であっても脱落してしまう部品等がなく、リングランナーがカーテンポールから抜けてしまうことを確実に阻止できるカーテンポールのプレーンキャップ構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するための技術的手段として,この発明に係るカーテンポールのプレーンキャップ構造は、カーテン装置のリングランナーを遊嵌させて、リングランナーの移動を案内するカーテンポールの端部に装着されるプレーンキャップであって、カーテンポールの内側に挿入される挿入案内部と、挿入案内部の基端部に配され、この挿入案内部と一体の筒状の閉塞頭部と、閉塞頭部の筒の端部の一部をカーテンポールの長手方向と平行な方向に伸長させた舌片支持部と、舌片支持部の先端にカーテンポールの外方向に突出させた係止舌片部とを備え、挿入案内部をカーテンポールの内側に挿入した状態で、閉塞頭部の筒の内側にカーテンポールが挿入され、舌片支持部がカーテンポールの外面に沿って位置し、前記係止舌片部がカーテンポールの側方に突出して位置することを特徴としている。
【0011】
また、上述のカーテンポールのプレーンキャップ構造であって、係止舌片部の先端からカーテンポールの外周面までの距離とカーテンポールの外径との和がリングライナーの内径よりも大きくすることが好ましい。
【0012】
また、上述のカーテンポールのプレーンキャップ構造であって、係止舌片部の先端部のカーテン側の端縁部から、舌片支持部が設けられていない反対側であってプレーンキャップの外周縁部までの距離が、リングランナーの内径よりも大きくすることが好ましい。
【0013】
また、上述のカーテンポールのプレーンキャップ構造であって、挿入案内部をカーテンポールに挿入した状態で、挿入案内部がカーテンポールに固定されることが好ましい。
【0014】
また、上述のカーテンポールのプレーンキャップ構造であって、挿入案内部に弾性部を設け、カーテンポールへの挿入時に弾性部が撓んでこの挿入を許容し、挿入案内部をカーテンポールに挿入した状態で、前記弾性部が原位置に復帰しようとする際に生じる復元力で、該弾性部がカーテンポールの内面を押圧して、プレーンキャップがカーテンポールに固定されるようにすることが好ましい。
【0015】
また、上述のカーテンポールのプレーンキャップ構造であって、カーテンポールの内周面であって、180°の位置関係で、カーテンポールの軸方向に沿った方向に、内側に膨出させた一対の上側縮径部と下側縮径部とを設け、挿入案内部をカーテンポールに挿入した状態で、弾性部が原位置に復帰しようとする際に生じる復元力で、弾性部が上側縮径部と下側縮径部とを押圧して、挿入案内部がカーテンポールに固定されるようにすることが好ましい。
【0016】
また、上述のカーテンポールのプレーンキャップ構造であって、弾性部の外側面には、上側縮径部と下側縮径部とをそれぞれ挟む位置に係合山部が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係るカーテンポールのプレーンキャップ構造によれば、ブラケットの外側に配されたリングランナーがカーテンポールから抜けてしまうことを確実に防止できるとともに、部品点数が増加することなく、しかも、見栄えが損なわれず、カーテンポールの端部やカーテンの意匠性を良好に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】この発明に係るカーテンポールのプレーンキャップ構造を示す斜視図で、プレーンキャップを正面側から見た斜視図である。
【
図2】
図1に示すプレーンキャップを背面側から見た斜視図である。
【
図3】
図8におけるA-A線に沿って切断した断面図である。
【
図4】
図8におけるB-B線に沿って切断した断面図である。
【
図5】この発明に係るプレーンキャップとリングランナーとの関係を示す正面図である。
【
図6】この発明に係るプレーキャップとリングランナーとの関係を示す平面図であり、リングランナーがプレーンキャップに当接した状態を示している。
【
図7】カーテンポールとプレーンキャップとの関係を示す図で、プレーンキャップとカーテンポールとを分離して示す分解斜視図である。
【
図8】カーテンポールとプレーンキャップとの関係を示す図で、プレーンキャップがカーテンポールに装着された状態を示す斜視図ある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明に係るカーテンポールのプレーンキャップ構造の一実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。なお、この実施形態では、多角形の筒状をしているカーテンポールが用いられている場合について説明する。
【0020】
図8にこの発明に係る構造を備えたプレーンキャップを用いたカーテンレール装置1が示してある。このカーテンレール装置1は、主として、カーテンレールを構成するカーテンポール1aと、図示しないカーテンを吊り下げるためにカーテンポール1aに遊嵌された必要な数の環状のリングランナー1bと、カーテンポール1aを支持するために壁面に取り付けられたブラケット2と、カーテンポール1aの端部に取り付けられるプレーンキャップ3とから構成されている。リングランナー1bには、図示しないカーテンに設けられたフックを掛止させる掛止リング1cが具備されている。また、リングランナー1bには樹脂製のものが用いられているが、木製や金属製でも構わない。
カーテンポール1aの端部は、ブラケット2よりも外側に突出しており、この突出した部分には少なくとも1個のリングランナー1bが遊嵌されている。なお、この突出したカーテンポール1aの端部に遊嵌されたリングランナー1bを端部用リングランナー1beとして説明する。すなわち、この端部用リングランナー1beは、カーテンポール1aの終端とブラケット2との間に配されている。なお、カーテンポール1aは左右一対のブラケット2によって支持されており、カーテンポール1aの両端部はブラケット2から外側に突出して、これら両方の突出した部分に端部用リングランナー1beが遊嵌されている。そして、カーテンの両端に配されたフックのそれぞれがこれらの端部用リングランナー1beに掛止される。このため、カーテンの両端は、両端のフックが連繋している端部用リングランナー1beが、ブラケット2によってカーテンの中央側に移動することが阻止されるので、カーテンが中央に寄ってしまうことが防止される。
プレーンキャップ3は、
図7に示すように、カーテンポール1aの終端に装着されている。このプレーンキャップ3の装着は、カーテンポール1aの終端に、カーテンポール1aの長手方向に挿入することによって行われる。
【0021】
図1と
図2にプレーンキャップ3が示してある。
プレーンキャップ3は、有底の円筒による閉塞頭部31の底面に、挿入案内部32が一体的に設けられている。すなわち、底板31dに円筒の胴部31eが設けられた構造とされている。そして、挿入案内部32がカーテンポール1aの内部に挿入されて、プレーンキャップ3がカーテンポール1aに装着される。
閉塞頭部31の胴部31eの軸は、カーテンポール1aの軸と一致しており、挿入案内部32は閉塞頭部31の中心部に設けられている。また、閉塞頭部31の胴部31eの内径はカーテンポール1aの外径とほぼ等しくして、挿入案内部32をカーテンポール1aの内部に挿入した際には、閉塞頭部31の内面にカーテンポール1aの外面が嵌合するようになされている。
閉塞頭部31の胴部31eの先端面の一部には、閉塞頭部31の円弧と等しい円弧の断面形状による舌片支持部31aが、胴部31eの軸方向に伸長させて設けられている。そして、この舌片支持部31aの先端部にカーテンポール1aの外方向に突出させて係止舌片部31bが設けられている。また、舌片支持部31aの内面はカーテンポール1aの外面と並行させてある。また、舌片支持部31aと係止舌片部31bとに掛けてリブ部31cが設けられて、係止舌片部31bが補強されている。
なお、この係止舌片部31bの突出寸法については後述する。
【0022】
挿入案内部32は、閉塞頭部31と同心の円弧で形成された一対の円弧部32aと、この円弧部32aの一部同士が平板部32bによって連結されて、台形に近似する形状に形成された一対の挿入部32cとを備えている。一対の挿入部32cは内側面を対向させて、それぞれの基端部が円筒状の基端環部32dに接続されている。一対の挿入部32cの間の部分には、先端部から基端環部32dにかけて切込部32eが形成されている。そして、一対の挿入部32cは、これらを接近させる方向に外力が加えられると、これら一対の挿入部32cが接近する方向に撓み、外力が取り除かれると原位置に復帰するよう弾性を備えた弾性部となっている。
また、挿入部32cの先端側は、先端部にかけて徐々に縮径することで傾斜部32c1が形成されている。
さらに、挿入部32cの平板部32bの外側面には、閉塞頭部31の軸と平行な方向を長手方向として、連続して円弧状に膨出した係合山部32fが、基端環部32dから傾斜部32c1にかけて形成されている。
【0023】
図3には、
図8においてA-A線で示すカーテンポール1aの軸直角面で切断した断面が示してあり、アルミニウム等の金属製の筒状の主体部1a1にシートラッピング加工が施されて樹脂層部1a2が設けられている。主体部1a1は、
図3に示されているように、ほぼ正十角形の筒形に形成されている。主体部1a1の外周側の一辺は外側に適宜に突出させて、樹脂層部1a2から金属製の主体部1a1が露出した突出部1a3が形成されている。この突出部1a3の外側面が案内面1a4とされている。
なお、この実施形態では、カーテンポール1aの主体部1a1をほぼ正十角形として示してあるが、正十角形に限らず、円筒形やその他の多角形でもよく、例えば、正方形とする場合には、辺の部分を円弧状に形成し角部に丸みの面取りを形成することが好ましい。
この突出部1a3に対応した主体部1a1の内周側の辺には、内側に突出させた上側縮径部1a5が形成されており、この上側縮径部1a5に対向した部分に下側縮径部1a6が形成されている。なお、これら上側縮径部1a5と下側縮径部1a6は、主体部1a1の内側に断面がほぼ台形で突出させてある。
【0024】
以上に説明した構造を備えたプレーンキャップ3の作用について、以下に説明する。
【0025】
プレーンキャップ3はカーテンポール1aの端部に、挿入案内部32を差し込むことにより装着する。
挿入案内部32を差し込む際には、挿入部32cに設けられた係合山部32fの間にカーテンポール1aの内周部の上側縮径部1a5と下側縮径部1a6のそれぞれを位置させる共に、係止舌片部31bをブラケット2が取り付けられた壁面側に位置させる。なお、プレーンキャップ3は閉塞頭部31の胴部31eの径方向であって、係止舌片部31bの中央を通る直線を軸として線対称の形状としてあるので、カーテンポール1aのいずれの端部に装着した場合でも、係止舌片部31bを壁面側に位置させることができる。
挿入案内部32を差し込むと、傾斜部32c1がカーテンポール1aの内面に案内されるから、挿入案内部32の一対の挿入部32cの先端側が互いに接近する方向に徐々に撓みながら挿入される。そして、一対の係合山部32fが上側縮径部1a5と下側縮径部1a6の側面を滑りながら差し込まれると、係合山部32fと上側縮径部1a5、下側縮径部1a6との係合によって、さらに一対の挿入部32cが先端を接近させる方向に撓む。撓んだ状態にある挿入案内部32がその弾性によって原位置に復帰しようとする際の復元力によって係合山部32fを挟持しながらカーテンポール1aの内面を押圧することで、プレーンキャップ3がカーテンポール1aに固定される。
すなわち、係合山部32fの高さは、上側縮径部1a5と下側縮径部1a6の形状との関係で、挿入案内部32が差し込まれる際に、挿入案内部32が撓んでその復元力でカーテンポール1aの内面を押圧することができる大きさとしてある。
【0026】
また、挿入案内部32を差し込んだ状態で、閉塞頭部31の胴部31eが、
図4に示すように、カーテンポール1aの外側に被さって位置し、底部がカーテンポール1aの端部の開口を閉鎖する。また、舌片支持部31aがカーテンポール1aに沿ってブラケット2側に伸長し、係止舌片部31bが側方に突出した状態となる。
【0027】
図5はカーテンポール1aに装着されたプレーンキャップ3と、カーテンポール1aに遊嵌された端部用リングランナー1beとの関係を説明する図である。
図5において、符号Lは係止舌片部31bの最先端からカーテンポール1aの径方向で、カーテンポール1aの直近の外周までの距離を示し、符号Dはカーテンポール1aの外径を示している。また、符号dは端部用リングランナー1beの内径を示している。これらが、(式1)に示す不等式を満たすものとしてある。
L+D>d ・・・(式1)
また、端部用リングランナー1beの内側縁部が係止舌片部31bの先端部に当接した状態で端部用リングランナー1beが傾いた際に、当接した部分と180°にある部分がカーテンポール1aの端部から外側に外れる場合には、端部用リングランナー1beが上記当接した部分を中心に回動してしまってカーテンポール1aから抜けてしまう虞がある。このため、
図6において、係止舌片部31bのカーテンポール1aの端部側の面であって、舌片支持部31aとの接続部から閉塞頭部31の外側面までの距離mが端部用リングランナー1beの内径dよりも大きくしてある。すなわち、
m>d・・・(式2)
を満たすものとしてある。
【0028】
以上のように、端部用リングランナー1beがカーテンポール1aの端部側に移動した場合に、係止舌片部31bに当接することによりカーテンポール1aから抜けてしまうことが阻止される。特に、端部用リングランナー1beと隣接するリングランナー1bとの間隔が大きい場合には、カーテンを開放した際に、端部用リングランナー1beがカーテンポール1aの端部にまで移動することがあるが、係止舌片部31bに当接するのでカーテンポール1aから抜けてしまうことがない。また、この係止舌片部31bをカーテンポール1aの裏側、すなわちブラケット2が取り付けられている壁面の側に位置するようにプレーンキャップ3をカーテンポール1aに装着すれば、係止舌片部31bが表側、すなわち室内側から視認できないので、カーテンポール1aやカーテンの意匠性を損なうことがない。
また、プレーンキャップ3は上下で対称となる形状としてあるから、カーテンポール1aの左右のいずれの端部にも、係止舌片部31bを裏側にして装着することができ、プレーンキャップ3を共通化することができる。しかも、プレーンキャップ3を装着することでカーテンポール1aから端部用リングランナー1beが抜けることを防止できるので、リングランナストッパ等のようなプレーンキャップ3以外の部品を必要とせず、部品点数を減じることができ、コストを削減することができる。
【0029】
また、この実施形態では、突出部1a3には樹脂層部1a2が設けられておらず、案内面1a4は金属面が露出している。樹脂製のリングランナー1bはこの案内面1a4に接触して移動するため、円滑に移動させることができると共に、静音性や操作性が良好である。
【0030】
すなわち、このプレーンキャップ3の構造は、カーテンレールであるカーテンポール1aの内側に挿入される挿入案内部32と、この挿入案内部32の基端部に配された筒状の閉塞頭部31と、この閉塞頭部31の一部にカーテンポール1aの長手方向と平行な方向に伸長させた舌片支持部31aと、この舌片支持部31aの先端部にカーテンポール1aの外方向に突出させた係止舌片部31bとを備えており、挿入案内部32をカーテンポール1aの内側に挿入した状態で、閉塞頭部31の筒の内側にカーテンポール1aが挿入され、舌片支持部31aがカーテンポール1aの外面に沿って位置して係止舌片部31bがカーテンポール1aの側方に突出して位置するようにしたものである。
【0031】
挿入案内部32をカーテンポール1aに挿入すると、プレーンキャップ3がカーテンポールに固定され、筒状の閉塞頭部31がプレーンキャップ3の外面に被さる。プレーンキャップ3がカーテンポール1aに固定された状態で係止舌片部31bがカーテンポール1aの側方に突出した状態となる。係止舌片部31bはカーテンポール1aの側方に突出し、リングランナー1bは内面の上部でカーテンポール1aに接触している。このため、リングランナー1bが移動した場合には、リングランナー1bの上部から中央部にかけた間の部分が係止舌片部31bに当接して、リングランナー1bの移動が阻止される。リングランナー1bがカーテンポール1aから抜けることがない。なお、係止舌片部はカーテンポールの後ろ側に位置させることで、正面から視認できず、カーテンポールやカーテンの意匠性を損なうことがない。
【0032】
また、式1で示すように、係止舌片部31bの先端からカーテンポール1aの外周面までの距離Lとカーテンポール1aの直径Dとの和がリングランナー1bの内径dよりも大きくしてある。
【0033】
カーテン生地をリングランナー1bに取り付ける際など、リングランナー1bが不用意にカーテンポール1aから跳ね上がり、内面がカーテンポール1aと離れてしまう場合には、カーテンポール1aの内径dが係止舌片部31bを超えてしまい、カーテンポール1aから抜けてしまう虞がある。そこで、係止舌片部31bの先端から係止舌片部31bが設けられた位置に対向したカーテンポール1aの外周面までの距離Lとカーテンポール1aの直径との距離Dの和をリングランナー1bの内径dよりも大きくしたものである。
【0034】
また、式2で示すように、係止舌片部31bのカーテンポール1aの端部側の面であって、舌片支持部31aとの接続部から閉塞頭部31の外側面までの距離mがリングランナーの内径dよりも大きくすることが好ましい。
【0035】
係止舌片部の先端にリングランナーの一部が当接した状態で、リングランナー1bが傾き、傾いた状態でリングランナーの上記当接した部分に対向した部分がカーテンポールの先端部よりも外側に位置する場合には、リングランナーが係止舌片部との当接した位置を中心に回動してカーテンポールから抜けてしまう虞がある。この際に抜けてしまうことを防止するため、リングランナーの内径を規定するものである。すなわち、リングランナー1bが当接する係止舌片部31bの先端の縁部と、プレーンキャップ3の一部であって係止舌片部31bが配された側と反対側の外周縁部との間の距離をリングランナー1bの内径よりも大きくしたものである。
【0036】
また、プレーンキャップ3はカーテンポール1aに固定されることが好ましく、そのため、挿入案内部32をカーテンポール1aの端部に挿入した状態で、挿入案内部32がカーテンポール1aに固定されることが好ましい。
【0037】
プレーンキャップ3の挿入案内部32がカーテンポール1aに挿入された状態で、挿入案内部32がカーテンポール1aに固定されるようにしたものである。
なお、プレーンキャップ3の固定は、閉塞頭部31の胴部31eとカーテンポール1aの外径とがしまりばめとなる状態で行わせることもできる。
【0038】
また、挿入案内部32に弾性部を設け、カーテンポール1aにはこの弾性部が撓んで挿入され、挿入案内部32をカーテンポール1aに挿入した状態で、弾性部がその弾性によって撓んだ状態から原位置に復帰しようとする際に生じる復元力で、弾性部がカーテンポール1aの内面を押圧することで、プレーンキャップ3をカーテンポール1aに固定させることができる。
プレーンキャップ3をカーテンポール1aの端部の開口に挿入することで、プレーンキャップ3が固定されるので、プレーンキャップ3の取付作業を簡便に行える。
【0039】
また、カーテンポール1aの内面であって、180°の位置関係で、カーテンポール1aの軸方向に沿った方向に、内側に膨出させた一対の上側縮径部1a5と下側縮径部1a6とを設け、挿入案内部32に弾性部を設け、カーテンポール1aへの挿入時に弾性部が撓んで挿入を許容し、挿入案内部32をカーテンポール1aに挿入した状態で、弾性部が原位置に復帰しようとする際に生じる復元力で、弾性部が上側縮径部1a5と下側縮径部1a6とを押圧することで、挿入案内部32がカーテンポール1aに固定されるようにすることが好ましい。
【0040】
筒状のカーテンポール1aの内面の上下部に縮径した縮径部1a5、1a6を設けて、この縮径部1a5、1a6に挿入案内部32の弾性部を係合させ、その復元力により縮径部1a5、1a6を押圧するようにしたものである。なお、テーパ状にして挿入しやすいようにすることが好ましい。
【0041】
また、弾性部の外側面に上側縮径部1a5と下側縮径部1a6とをそれぞれ挟む位置に係合山部32fを設けることが好ましい。
【0042】
挿入案内部32がカーテンポール1aに挿入された際に、係合山部32fで縮径部1a5、1a6を挟むことで、カーテンポール1aが円筒形であっても、プレーンキャップ3がカーテンポール1aに対して確実に位置決めされる。
【0043】
なお、この実施形態では、1本のカーテンポール1aを備えたカーテンレール装置1を示してあるが、2本のカーテンポール1aを備えたカーテンレール装置であっても同様の構造を備えることができる。
【0044】
以上に説明したとおり、この発明に係るカーテンポールのプレーンキャップ構造によれば、プレーンキャップはカーテンポールに挿入することで装着することができ、しかも、リングランナストッパ等を必要としないため部品点数を減じて取付作業が簡便であり、カーテンの意匠性を損なうことがないカーテン装置の普及に寄与する。
【符号の説明】
【0045】
1 カーテンレール装置
1a カーテンポール
1a1 主体部
1a2 樹脂層部
1a3 突出部
1a4 案内面
1a5 上側縮径部
1a6 下側縮径部
1b リングランナー
1be 端部用リングランナー
1c 掛止リング
2 ブラケット
3 プレーンキャップ
31 閉塞頭部
31a 舌片支持部
31b 係止舌片部
31c リブ部
32c1 傾斜部
31d 底板
31e 胴部
32 挿入案内部
32a 円弧部
32b 平板部
32c 挿入部
32d 基端環部
32e 切込部
32f 係合山部