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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096559
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 25/00 20060101AFI20230630BHJP
   F25D 17/08 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
F25D25/00 E
F25D17/08 307
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212403
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】徐 暁ハン
【テーマコード(参考)】
3L345
【Fターム(参考)】
3L345AA02
3L345AA18
3L345BB01
3L345CC01
3L345DD05
3L345DD18
3L345DD55
3L345EE14
3L345EE37
3L345EE53
3L345FF12
3L345FF37
3L345KK02
3L345KK04
3L345KK05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】着脱可能であるとともに、貯蔵室内での取り付け位置を容易に変更可能な収納容器を備えた冷蔵庫を提供する。
【解決手段】貯蔵室(冷蔵室)7内に設置された棚30Aと、棚30Aの下側に着脱可能な状態で取り付けられる収納容器50と、収納容器50の後側の領域と棚30Aまたは貯蔵室(冷蔵室)7の内壁7Aとを係合させる後側係合機構60と、収納容器50の前側の領域と棚30Aとを着脱可能な状態で係合させる前側着脱機構70とを備え、収納容器50の横方向の長さは棚30Aの横方向の長さより短く、収納容器50の横方向の取り付け位置を変更可能な冷蔵庫を提供する。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室内に設置された棚と、
前記棚の下側に着脱可能な状態で取り付けられる収納容器と、
前記収納容器の後側の領域と前記棚または前記貯蔵室の内壁とを係合させる後側係合機構と、
前記収納容器の前側の領域と前記棚とを着脱可能な状態で係合させる前側着脱機構と、
を備え、
前記収納容器の横方向の長さは前記棚の横方向の長さより短く、前記収納容器の横方向の取り付け位置を変更可能なことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
冷却流路内を流れる気体が前記貯蔵室内に流入する吹出口が前記棚の下側に配置され、
前記収納容器の一方の側面の前記吹出口に近接した後側上方に気体が流入する入側開口が設けられ、
前記収納容器の他方の側面の前側下方に、前記収納容器内を流れた気体が流出する出側開口が設けられることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記収納容器の前記入側開口及び前記出側開口に沿って、横方向に延びたリブが形成されていることを特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記収納容器が冷気の吹出口に近接して取り付けられているか否かを検出するセンサを備え、
前記センサからの情報に基づき前記収納容器が冷気の吹出口に近接して取り付けられていると判断したとき、前記貯蔵室の冷却を強める制御を行うことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
蒸発器を通過した気体が流れ、前記気体が前記貯蔵室内に流入する高さ方向の位置が異なる複数の吹出口を有する冷却流路を備え、
前記収納容器が前記吹出口に近接して取り付けられたとき、前記収納容器が取り付けられた領域に設けられた前記吹出口よりも下流側の前記冷却流路が狭まるように動作する冷却流路調整機構を備えることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵室内に着脱可能な収納容器を備えた冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
貯蔵室内に着脱可能な収納容器を備えた冷蔵庫が知られている。その中には、前面扉を有する引き出し式の支持枠に着脱可能な収納容器が収められた冷蔵庫が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の冷蔵庫では、容器着脱時に上方の部分と干渉するのを回避するため、収納容器の側壁上部に切り欠きが設けられている。これにより、収納容器の収納容量の増大を図れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-52809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された収納容器の設置位置は、引き出し式の支持枠の中に定まっており、貯蔵室内で収納容器の設置位置を変更することはできない。このため、用途に応じて、収納容器の収納位置を用途に適した位置に変更するといった使い方はできない。
【0005】
そこで、本発明は、着脱可能であるとともに、貯蔵室内での取り付け位置を容易に変更可能な収納容器を備えた冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の冷蔵庫は、
貯蔵室内に設置された棚と、
前記棚の下側に着脱可能な状態で取り付けられる収納容器と、
前記収納容器の後側の領域と前記棚または前記貯蔵室の内壁とを係合させる後側係合機構と、
前記収納容器の前側の領域と前記棚とを着脱可能な状態で係合させる前側着脱機構と、
を備え、
前記収納容器の横方向の長さは前記棚の横方向の長さより短く、前記収納容器の横方向の取り付け位置を変更可能なことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、後側係合機構により、収納容器の後側の領域を棚または貯蔵室の内壁と係合させ、前側着脱機構により、収納容器の前側の領域を棚に係合させることにより、収納容器を棚の下側に取り付けることができる。特に、使用者は、手前側から前側着脱機構を操作して、収納容器を容易に着脱することができる。更に、収納容器の横方向の長さが棚の横方向の長さより短く、使用者は、前側着脱機構を操作して、収納容器の横方向の取り付け位置を容易に変更できる。
【0008】
これにより、着脱可能であるとともに、貯蔵室内での取り付け位置を容易に変更可能な収納容器を備えた冷蔵庫を提供することができる。
【0009】
また、本発明の冷蔵庫では、
冷却流路内を流れる気体が前記貯蔵室内に流入する吹出口が前記棚の下側に配置され、
前記収納容器の一方の側面の前記吹出口に近接した後側上方に気体が流入する入側開口が設けられ、
前記収納容器の他方の側面の前側下方に、前記収納容器内を流れた気体が流出する出側開口が設けられることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、冷却流路内から貯蔵室内に気体が流入する吹出口が、棚の下側に配置され、収納容器の一方の側面の吹出口に近接した後側上方に、入側開口が配置されているので、吹出口から流入した気体をそのまま収納容器内に取り込むことができる。一方、出側開口が他方の側面の前側下方に設けられているので、収納容器内に流入した気体は、収納容器内の概ね全域を流れて、出側開口から流出する。これにより、収納容器内の収納物を効果的に冷却することができる。
【0011】
また、本発明の冷蔵庫では、
前記収納容器の前記入側開口及び前記出側開口に沿って、横方向に延びたリブが形成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、収納容器の外面の入側開口や出側開口に沿って、横方向に延びたガイドリブが形成されている場合には、収納容器に流入する気体や収納容器から流出する気体の流れをガイドして、気体の効率的な流れを実現できる。更に、収納容器の内面の入側開口や出側開口に沿って、横方向に延びた風路遮断防止用リブが形成されている場合には、収納容器の中の入側開口や出側開口の近傍に収納物が存在する場合でも、風路遮断防止用リブにより、入側開口や出側開口が収納物で塞がれて収納容器内の気体の流れが遮断されるのを塞ぐことできる。
【0013】
また、本発明の冷蔵庫では、
前記収納容器が冷気の吹出口に近接して取り付けられているか否かを検出するセンサを備え、
前記センサからの情報に基づき前記収納容器が冷気の吹出口に近接して取り付けられていると判断したとき、前記貯蔵室の冷却を強める制御を行うことを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、収納容器が冷気の吹出口に近接して取り付けられていると判断したとき、貯蔵室の冷却を強める制御を行うので、収納容器内の収納物を更に効果的に冷却することができる。
【0015】
また、本発明の冷蔵庫では、
蒸発器を通過した気体が流れ、前記蒸発器を通過した気体が前記貯蔵室内に流入する高さ方向の位置が異なる複数の吹出口を有する冷却流路を備え、
前記収納容器が前記吹出口の近傍に取り付けられたとき、前記収納容器が取り付けられた領域に設けられた前記吹出口よりも下流側の前記冷却流路が狭まるように動作する冷却流路調整機構を備える。
【0016】
本発明によれば、収納容器が吹出口に近接して取り付けられたとき、冷却流路調整機構が、収納容器が取り付けられた領域に設けられた吹出口よりも下流側の冷却流路が狭まるように動作する。これにより、収納容器が取り付けられた領域により多くの気体を供給することができるので、収納容器内の収納物を更に効果的に冷却することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、着脱可能であるとともに、貯蔵室内での取り付け位置を容易に変更可能な収納容器を備えた冷蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫を模式的示す側面断面図である。
図2A】冷蔵室内に設置された棚の下に取り付けられた本発明の1つの実施形態に係る収納容器を模式的に示す図であって、一方の側面から見た側面図である。
図2B図2Aに示す入側開口の周囲を拡大して模式的に示す斜視図である。
図2C】冷蔵室内に設置された棚の下に取り付けられた本発明の1つの実施形態に係る収納容器を模式的に示す図であって、他方の側面から見た側面図である。
図2D図2Cに示す出側開口の周囲を拡大して模式的に示す斜視図である。
図3A】冷蔵室内における収納容器の取り付け位置の一例を模式的に示す平面図である。
図3B】冷蔵室内における収納容器の取り付け位置のその他の例を模式的に示す平面図である。
図4】本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫の冷却に関する制御システムを示す線図である。
図5A】本発明の1つの実施形態に係る冷却流路調整機構を模式的に示す図であって、流路が狭められていない状態を示す平面図である。
図5B図5Aの矢視A-Aを示す側面図である。
図5C】本発明の1つの実施形態に係る冷却流路調整機構を模式的に示す図であって、流路が狭められた状態を示す平面図である。
図5D図5Cの矢視B-Bを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための実施形態を説明する。以下に説明する冷蔵庫は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。図面では、冷蔵庫が水平な床面に載置され、使用者が扉に向いたときの上下、前後、左右を矢印で示し、下記でも同様に記載する。図面では、庫内の気体の流れを、点線の矢印で模式的に示す。
【0020】
図1は、本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫1を模式的示す側面断面図である。はじめに図1を参照しながら、本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫1の概要を説明する。
【0021】
冷蔵庫1は筐体2を有し、水平な床面に載置された状態において、筐体2の前方部分に回転可能に取り付けられた上扉3及び下扉4を備える。筐体2の内部には、貯蔵室として、冷凍室6及び冷蔵室7が配置されている。筐体2の内面と冷凍室6、冷蔵室7の外面との間には、断熱材が配置されている。
【0022】
<冷却流路>
図1に示すように、冷凍室6及び冷蔵室7の後方には、それぞれ仕切部材11A,11Bで仕切られた下側冷却流路10A及び上側冷却流路10Bで構成された冷却流路10が設けられている。冷却流路10(詳細に述べれば下側冷却流路10A)には、蒸発器(エバポレータ)24が配置されている。蒸発器24は、冷蔵庫1の冷却回路の一部を構成する。
【0023】
冷却回路は、圧縮機(コンプレッサ)21と、凝縮器(コンデンサ)22と、キャピラリチューブと、蒸発器24とを備える。冷却回路の各構成要素間は、配管によって上記の順で流体的に接続されており、冷却回路内で冷媒が循環することにより、蒸発器24が冷却される。圧縮機21の回転数が可変になっており、圧縮機21の回転数が高くなると、より多くの冷媒が循環して蒸発器24の冷却を強めることができる。
【0024】
冷却流路10内の蒸発器24の上方には、ファン12が配置されている。ファン12により、庫内の気体を流動させることができ、蒸発器24のフィンの間を通過して冷却された気体を、冷却流路10から冷凍室6や冷蔵室7に供給することができる。ファン12の回転数も可変になっており、ファン12の回転数が高くなると、冷凍室6や冷蔵室7に供給する気体の流量を増やすことができる。
【0025】
下側仕切り板11Aの上側の開口には、冷凍室ダンパ13が配置されている。冷凍室ダンパ13が開の状態では、蒸発器24を通過した気体が、下側冷却流路10Aから冷凍室6に流れる。一方、冷凍室ダンパ13が閉の状態では、蒸発器24を通過した気体が、下側冷却流路10Aから冷凍室6に流れないようになる。図1では、冷凍室ダンパ13が閉の状態を示す。
【0026】
ファン12が稼働し、冷凍室ダンパ13が開の場合には、下側冷却流路10Aから冷凍室6に流入した気体は、冷凍室6内を循環して、下側仕切部材11Aの下側の開口から、下側冷却流路10Aの蒸発器24の入側に戻る。これにより、気体は再び蒸発器24を通過して冷却され、同様な流動サイクルを繰り返す。これを冷凍室冷却サイクルと称する。冷凍室冷却サイクルで蒸発器24を通過した気体が冷凍室6内を循環する間に、冷凍室6内の貯蔵物を冷却することができる。
【0027】
ただし、冷凍室6への気体を流入させるか否かの切り替えは、冷凍室ダンパ13を用いる場合に限られるものではない。例えば、ファン12の外側を覆う可動式のファンカバーを有する遮蔽装置を用いることもできる。ファンカバーが開の場合には、ファン12から吐出された気体が冷凍室6に流入し、ファンカバーが閉の場合には、ファン12から吐出された気体が冷凍室6に流入しないようにすることができる。
【0028】
更に、下側冷却流路10A及び上側冷却流路10Bの間には、冷蔵室ダンパ14が配置されている。冷蔵室ダンパ14が開の状態では、蒸発器24を通過した気体が、下側冷却流路10Aから上側冷却流路10Bに流れる。更に、上側冷却流路10Bに流入した気体は、複数の高さ位置に設けられた第1~第3の吹出口16A~16Cを介して、上側冷却流路10Bから冷蔵室7に流入する。本実施形態では、仕切部材11Bは、前板と左右両側の側板とで構成され、上側から見てコの字形の形状を有する(例えば、図5A参照)。仕切部材11Bの前板の巾寸法は、冷蔵室7の巾寸法より小さく、横方向で中央の位置に配置されている。第1~第3の吹出口16A~16Cは、それぞれ、前板に設けられた気体を前側に吹き出す開口と、両側の側板に設けられた気体を横側に吹き出す開口とを有する。一方、冷蔵室ダンパ14が閉の状態では、蒸発器24を通過した気体が、下側冷却流路10Aから上側冷却流路10Bに流れないようになる。図1では、冷蔵室ダンパ14が開の状態を示し、そのときの気体の流れを点線の矢印で模式的に示す。
【0029】
ファン12が稼働し、冷蔵室ダンパ14が開の場合には、上側冷却流路10Bから、第1~第3の吹出口16A~16Cを介して冷蔵室7に流入した気体は、冷蔵室7内を循環して、冷蔵室7の下側に開口した戻り流路15の入口15Aへ流入する。
【0030】
戻り流路15は、冷蔵室7を循環した気体が、冷凍室6内を流れることなく、下側冷却流路10Aの下側に流入するようにする流路である。戻り流路15は、冷却流路10から仕切られて配置されている。上側冷却流路10Bから冷蔵室7に流入し、冷蔵室7内を循環した気体は、入口15Aから戻り流路15に流入する。そして、流入した気体は、戻り流路15内を流れて、下側の出口15Bから、下側冷却流路10Aの下側に流入し、蒸発器24の入側に戻る。これにより、気体は再び蒸発器24を通過して冷却され、同様な流動サイクルを繰り返す。これを冷蔵室冷却サイクルと称する。冷蔵室冷却サイクルで蒸発器24を通過した気体が冷蔵室7内を循環する間に、冷凍室6の貯蔵物を冷却することができる。
【0031】
本実施形態の冷蔵庫1では、冷蔵室7に2つの棚30A,30Bが設置されている。第1の吹出口16A及び第2の吹出口16Bは、棚30A,Bのすぐ下側に開口しており、第3の吹出口16Cは、冷蔵室7の上部に開口している。上記のように、何れの吹出口16A,16B,16Cも、前側、左側、右側の三方向に開口を有する。第1の吹出口16Aのすぐ上に位置する棚30Aの下側に、収納容器50が取り付けられる。更に詳細に述べれば、収納容器50の中に気体を取り入れる収納容器50の入側開口54が、第1の吹出口16Aの右側へ気体を吹き出す開口と対向するように配置される。後側係合機構60により、収納容器50の後側の領域が棚30Aと係合し、前側着脱機構70により、収納容器50の前側の領域が棚30Aと着脱可能な状態で係合する。これにより、収納容器50は、着脱可能な状態で棚30Aから吊り下げられるように取り付けられる。第1の吹出口16Aを介して、気体が冷蔵室7に流入するとともに、収納容器50の中にも流入して、収納容器50の中を流れた後、収納容器50から流出する。これにより、収納容器50内の収納物を冷却することができる。
【0032】
図1では、一例として、収納容器50が下側の棚30Aに着脱可能な状態で取り付けられているのが示されているが、これに限られるものではない、上側の棚30Bに着脱可能な状態で取り付けられることもあり得るし、冷凍室6内の棚に着脱可能な状態で取り付けられることもあり得る。つまり、収納容器50は、冷蔵庫1の貯蔵室の任意の領域に設置された棚の下側に取り付けられる可能性がある。この収納容器50については、追って詳細に説明する。
【0033】
筐体2の後方かつ下部には、機械室40が配置され、圧縮機21、凝縮器22、蒸発皿(図示せず)等が配置されている。また、上側冷却流路10Bの第1の吹出口16Aのすぐ上に、上側冷却流路10Bの流路面積を変更する冷却流路調整機構80が設置されている。冷却流路調整機構80についても、追って詳細に説明する。
【0034】
(収納容器)
図2Aは、冷蔵室7内に設置された棚30Aの下に取り付けられた本発明の1つの実施形態に係る収納容器50を模式的に示す図であって、一方の側面50Aから見た側面図である。図2Aは、図1の収納容器回りを拡大して示した図に該当する。図2Bは、図2Aに示す入側開口54の周囲を拡大して模式的に示す斜視図である。図2Cは、冷蔵室7内に設置された棚30Aの下に取り付けられた本発明の1つの実施形態に係る収納容器50を模式的に示す図であって、他方の側面50Bから見た側面図である。図2Dは、図2Cに示す出側開口56の周囲を拡大して模式的に示す斜視図である。図2Aは、冷蔵庫1の仕切部材11Bの右側の位置から、収納容器50の一方の側面(左側の側面)50Aを見た図である。
【0035】
収納容器50は、上面が開口した略矩形の筐体であり、上側の開口が蓋52で覆われるようになっている。ただし、収納容器50の形状は矩形に限られず、その他の任意の形状を採用できる。収納容器50における収納物の出し入れは、原則として、冷蔵庫1の外で蓋52を収納容器50から取り外して行う。収納物の出し入れが終了した後、蓋52を収納容器50に取り付ける。そして、収納容器50の後側に位置する後側係合機構60と、収納容器50の前側に位置する前側着脱機構70とを用いて、蓋52が取り付けられた収納容器50を棚30Aの下側に着脱可能な状態で取り付けることができる。
【0036】
<後側係合機構>
冷蔵庫1の棚30Aは、冷蔵室7の内壁7Aに取り付けられた棚サポート32により取り付けられている。棚サポート32は、冷蔵室7の後側の内壁7A(図2A参照)及び両側の内壁に取り付けられている。棚サポート32には凹形状の棚保持部34が設けられ、棚30Aの端部が棚保持部34に挿入されている。よって、棚30Aは、前側を除く3方向で棚サポート32により支持されており、十分な強度で冷蔵室7の内壁(7A等)に固定されている。
【0037】
棚サポート32の棚保持部34の下側には、凹形状の受部64が形成されている。また、収納容器50の後端には、載置部62が後方に延びて形成されている。後側係合機構60は、載置部62及び受部64から構成される。載置部62は、収納容器50の後端の横方向全体に連続的に設けられる場合もあり得るし、横方向の所定の位置に所定の幅の載置部62が複数設けられる場合もあり得る。収納容器50を棚30Aの下側に取り付けるには、まず、収納容器50の後端に形成された載置部62を、受部64の上面に載置する。これにより、棚サポート32を介して、収納容器50の後側の領域と棚30Aとを係合させることができる。
【0038】
受部64の前側は、載置部62を受ける面より少し上方に膨らんで形成されており、載置された載置部62が受部64から外れるのを防ぐようになっている。ただし、着脱時においては、収納容器50を少し持ち上げて、載置部62を受部64の前側よりも上方まで持ち上げることにより、容易に載置部62を受部64から取り外すことができる。棚サポート32は、冷蔵室7の内壁7Aに取り付けられているので、収納容器50の後側の領域と冷蔵室7の内壁7Aとを係合させると表現することもできる。
【0039】
本実施形態では、棚30Aを保持する棚保持部34と、収納容器50と係合する受部64とが同一の部材(棚サポート32)に形成されているが、これに限られるものではない。例えば、棚保持部34と受部64とが個別の部材で形成されている場合もあり得る。その場合、受部64を有する部材が、棚サポート32を有する部材とは個別に、直接、内壁7Aに取り付けられている場合があり得る。また、受部64を有する部材が、棚サポート32で支持
された棚30Aに直接取り付けられている場合もあり得る。何れの場合であっても、後側係合機構60により、収納容器50の後側の領域と棚30Aまたは貯蔵室(冷蔵室)7の内壁7Aとが係合すると表現することができる。また、棚30Aが筐体2の内面(つまり冷蔵室7の内壁7A)に形成された棚受けに載っている形態もあり得る。
【0040】
収納容器50と、蓋52と、後側係合機構60を構成する載置部62及び棚サポート32(受部64)とは、軽量で製造コストの低い樹脂材料で形成することが好ましい。ただし、これに限られるものではなく、少なくとも一部に金属材料等を用いる場合もあり得る。
【0041】
<前側着脱機構>
収納容器50の前側の上方には、回転ベース72が取り付けられ、回転ベース72には、スナップアーム74が回転自在に取り付けられている。回転ベース72及びスナップアーム74により、前側着脱機構70が構成される。回転ベース72及びスナップアーム74により構成された前側着脱機構70は、収納容器50の前側に少なくとも1つ設けられる。ただし、安定性を考慮すると、収納容器50の前側の横方向に複数個(例えば、左右に1つずつ)設けられるのが好ましい。
【0042】
スナップアーム74は弾性を有し、図2Aの矢印に示すように、スナップアーム74を回転させて、棚30Aの上面とスナップフィットさせることができる。スナップフィットとは、材料の弾性を利用してはめ込むことにより、着脱可能な状態で固定する方式である。前側着脱機構70を構成する回転ベース72及びスナップアーム74は、樹脂材料で形成することが好ましい。
【0043】
<収納容器の着脱方法>
収納容器50を棚30Aの下側に取り付けるには、収納容器50を第1の棚30Aの下側の後方まで押し込んで、収納容器50の後端に形成された載置部62を、冷蔵室7の内壁7Aに取り付けられた棚サポート32の受部64の上面に載せる。その後、図2Aの矢印に示すように、前側のスナップアーム74を回転させて、棚30Aにスナップフィットさせる。これにより、収納容器50は、前側と後側が固定され、着脱可能な状態で棚30Aの下側に吊り下げられるように取り付けられる。
【0044】
棚30Aの下側に取り付けられた収納容器50を取り外すには、図2Aの矢印に示すように、前側のスナップアーム74を回転させて、棚30Aから取り外す。その後、収納容器50を手前やや上側に引くことにより、後側で受部64に載置されていた載置部62を受部64から外すことができる。更に、収納容器50を前側に引き出すことにより、収納容器50を容易に冷蔵庫の1の外に取り出すことができる。
【0045】
<収納容器の位置の移動>
図3Aは、冷蔵室7内における収納容器50の取り付け位置の一例を模式的に示す平面図である。図3Bは、冷蔵室7内における収納容器50の取り付け位置のその他の例を模式的に示す平面図である。次に、図3A,3Bを参照しながら、前側着脱機構70を操作して、収納容器50の取り付け位置を変更する場合を示す。図3Aの左下には、ガイドリブ52,54A,検出リブ54Bの領域を拡大して示した斜視図が示されている。
【0046】
収納容器50の横方向の長さ(つまり巾寸法)は棚30Aの横方向の長さより短く形成されている。本実施形態では、特に、収納容器50の横方向の長さ(つまり巾寸法)は、冷蔵室7の仕切部材11Bより右側の領域の横方向の長さより短く形成されている。これにより、冷蔵室7の仕切部材11Bより右側の領域において、収納容器50の設置位置を横方向に移動させることができる。具体的な収納容器50の横方向の長さは、収納容器50に必要とされる収納容量や、冷蔵室7の仕切部材11Bより右側の領域の横方向の長さ等に基づいて適宜定められる。図3Aでは、収納容器50が冷蔵室7の右側の領域に取り付けられた場合を示し、図3Bでは、収納容器50が中央の仕切部材11Bの近傍に取り付けられた場合を示す。
【0047】
収納容器50の取り付け位置を、例えば、図3Aに示す位置から図3Bに示す位置に変更する場合、下記の手順で実行できる。図3Aに示す状態から、前側着脱機構70のスナップアーム74の上側を手前に引くことにより、スナップフィットされていたスナップアーム74を棚30Aから外すことができる。その状態で、収納容器50の前側の領域を手で支えて、収納容器50の後側の載置部62が受部64に載った状態のまま、左方向にスライドさせて、図3Bに示す位置まで移動させることができる。そして、再びスナップアーム74を回転させて、スナップアーム74を棚30Aにスナップフィットさせる。このような手順により、収納容器50の設置位置を、図3Aに示す位置から図3Bに示す位置に容易に変更できる。
【0048】
もし、冷蔵室7の棚30Aの下側の領域に収納物があって、収納容器50を横にスライドさせることができない場合には、上記のように、一度、収納容器50を冷蔵庫1から外に取り出し、その後、図3Bに示す位置に収納容器50を取り付け直すこともできる。
【0049】
本実施形態では、スナップフィットにより前側着脱機構70を構成しているが、これに限られるものではない。例えば、凸部を有するクランプピンと、凸部に対応する凹部を有する、クランプピンが挿入される穴部を備え、クランプピンを回転させることにより、クランプピンと穴部との係合及び係合解除を行う着脱機構を用いることもできる。更に、その他の既知の任意の簡易着脱機構を採用することができる。
【0050】
<入側開口、出側開口>
図2Aから図4Dを参照した説明に戻ると、収納容器50の一方の側面(ここでは、左側の側面)50Aの後側上方に気体が流入する入側開口54が設けられている。収納容器50の他方の側面(ここでは、右側の側面)50Bの前側下方に、収納容器50内を流れた気体が流出する出側開口56が設けられている。
【0051】
図2Bに示すように、入側開口54に沿って、収納容器50の外面50Aには横方向に延びたガイドリブ54Aが形成されている。更に、蓋52にも、横方向に延びたガイドリブ52Aが形成されている。図3Bに示すように、収納容器50が仕切部材11Bの右側に近接して取り付けられたとき、ガイドリブ52A,54Aで囲まれた開口が、第1の吹出口16Aの右側の開口と近接して対向するように配置される。収納容器50における入側開口54の位置は、上記のような配置が実現できるように、第1の吹出口16Aの位置に対応して定められる。
【0052】
これにより、第1の吹出口16Aの右側の開口から吐出した冷気を、直接、収納容器50内に取り込むことができる。特に、ガイドリブ52A,54Aにより、第1の吹出口16Aからの気体の流れをガイドして、効率的に気体を収納容器50内に流入させることができる。また、図3Aに示すように、入側開口54が第1の吹出口16Aから離間している場合であっても、第1の吹出口16Aから流出した気体を、ガイドリブ52A,54Aでガイドして、効率的に気体を収納容器50内に流入させることができる。
【0053】
更に、図3Aに示す場合において、仮に、収納容器50の左側に収納物が存在したとしても、ガイドリブ52A,54Aで囲まれた空間は後方が開口しているので、入側開口54が完全に塞がれるのを防ぐことができる。これにより、収納容器50内の収納物を確実に冷却することができる。
【0054】
また、収納容器50の平面視においても側面視においても、入側開口54と出側開口56とが略対角線上に配置されている。これにより、入側開口54から収納容器50内に流入した気体は、収納容器50内の概ね全域を流れて、出側開口56から流出する。これにより、収納容器50内の収納物を効果的に冷却することができる。
【0055】
図2D示すように、出側開口56には、小さな物が収納容器50内に入るのを防ぐように、スリットが設けられている。収納容器50の内面の出側開口56に沿って、横方向に延びた風路遮断防止用リブ56Aが形成されている。収納容器50の中の出側開口56の近傍に収納物が存在する場合でも、風路遮断防止用リブ56Aにより、出側開口56が収納物で塞がれて収納容器50内の気体の流れが遮断されるのを塞ぐことできる。同様に、収納容器50の内面の入口開口54に沿って、横方向に延びた風路遮断防止用リブを形成することもできる。これにより、収納容器50の中の入口開口54の近傍に収納物が存在する場合でも、風路遮断防止用リブにより、入口開口54が収納物で塞がれて収納容器50内の気体の流れが遮断されるのを塞ぐことできる。更に、収納容器50の外面50Bの出側開口56に沿って、気体の流れをガイドする横方向に延びたガイドリブを設けることもできる。これにより、収納容器50から流出する気体の流れをガイドすることができる。
【0056】
本実施形態では、入側開口54が収納容器50の左側上方に設けられ、出側開口56が収納容器50の右側下方に設けられているが、これに限られるものでない。逆に、入側開口が収納容器50の右側上方に設けられ、出側開口が収納容器50の左側下方に設けられている
場合もあり得る。その場合には、図3A,3Bにおいて、収納容器50を第1の吹出口16Aの左側に配置するのに適している。上記のように、収納容器50は、冷蔵室7に設けられた棚30A,30Bの下側だけでなく、冷凍室6に設けられた棚の下側を含む、貯蔵室内の任意の領域に設けられた棚の下に取り付けることができる。
【0057】
以上のように、本実施形態に係る冷蔵庫1は、貯蔵室(冷蔵室)7内に設置された棚30Aと、棚30Aの下側に着脱可能な状態で取り付けられる収納容器50と、収納容器50の後側の領域と棚30Aまたは貯蔵室(冷蔵室)7の内壁7Aとを係合させる後側係合機構60と、収納容器50の前側の領域と棚30Aとを着脱可能な状態で係合させる前側着脱機構70とを備える。そして、収納容器50の横方向の長さは棚30Aの横方向の長さより短く、収納容器50の横方向の取り付け位置を変更可能になっている。
【0058】
本実施形態によれば、後側係合機構60により、収納容器50の後側の領域を棚30Aまたは貯蔵室(冷蔵室)7の内壁7Aと係合させ、前側着脱機構70により、収納容器50の前側の領域を棚30Aに係合させることにより、収納容器50を棚30Aの下側に取り付けることができる。特に、使用者は、手前側から前側着脱機構70を操作して、収納容器50を容易に着脱することができる。更に、収納容器50の横方向の長さが棚の横方向の長さより短く、使用者は、前側着脱機構70を操作して、収納容器50の横方向の取り付け位置を容易に変更できる。
【0059】
これにより、着脱可能であるとともに、貯蔵室(冷蔵室)7内での取り付け位置を容易に変更可能な収納容器50を備えた冷蔵庫を1提供することができる。
【0060】
また、本実施形態に係る冷蔵庫1では、(上側)冷却流路10B内を流れる気体が貯蔵室(冷蔵室)7内に流入する(第1の)吹出口16Aが棚30Aの下側に配置され、収納容器50の一方の側面50Aの(第1の)吹出口16Aに近接した後側上方に気体が流入する入側開口54が設けられ、収納容器50の他方の側面50Bの前側下方に、収納容器50内を流れた気体が流出する出側開口56が設けられている。
【0061】
(上側)冷却流路10B内から貯蔵室(冷蔵室)7内に気体が流入する(第1の)吹出口16Aが、棚30Aの下側に配置され、収納容器50の一方の側面50Aの(第1の)吹出口16Aに近接した後側上方に、入側開口54が配置されているので、(第1の)吹出口16Aから流入した気体をそのまま収納容器50内に取り込むことができる。一方、出側開口56が他方の側面50Bの前側下方に設けられているので、収納容器50内に流入した気体は、収納容器50内の概ね全域を流れて、出側開口56から流出する。これにより、収納容器50内の収納物を効果的に冷却することができる。
【0062】
また、本実施形態に係る冷蔵庫1では、収納容器50の入側開口54及び出側開口56に沿って、横方向に延びたリブ52A,54A,56A等が形成されている。収納容器50の外面の入側開口54や出側開口56に沿って、横方向に延びたガイドリブ52A,54A等が形成されている場合には、収納容器50に流入する気体や収納容器50から流出する気体の流れをガイドして、気体の効率的な流れを実現できる。更に、収納容器50の内面の入側開口54や出側開口56に沿って、横方向に延びた風路遮断防止用リブ56A等が形成されている場合には、収納容器50の中の入側開口54や出側開口56の近傍に収納物が存在する場合でも、風路遮断防止用リブ56A等により、入側開口54や出側開口56が収納物で塞がれて収納容器50内の気体の流れが遮断されるのを塞ぐことできる。
【0063】
(収納容器に基づく冷却制御)
図4は、本発明の1つの実施形態に係る冷蔵庫の冷却に関する制御システムを示す線図である。次に、図3A図3B及び図4を参照しながら、収納容器50に基づく冷蔵庫1の冷却制御の説明を行う。
【0064】
図3A図3Bに示すように、収納容器50のガイドリブ54Aの左側の端部には、磁石92が内蔵された検出用リブ54Bが形成されている。一方、冷蔵庫1側の第1の吹出口16Aの右側の開口の近傍には、近接センサ90が取り付けられている。図3Bに示すように、収納容器50を第1の吹き出し口16Aに近接して取り付けた場合、ガイドリブ52A,54Aで囲まれた開口が第1の吹出口16Aの右端の開口と近接して対向するように配置される。本実施形態では、収納容器50を吹き出し口16Aに近接するように取り付けたとき、近接センサ90は磁石92の磁力を感知して信号を発信する。ただし、磁石92を、収納容器50のその他の領域に設置することもできる。その場合、近接センサ90を、新たな磁石92の設置位置に対応した位置に取り付けることにより、収納容器50が第1の吹出口16Aの近傍の位置に取り付けられたことを適切に検出できる。
【0065】
本実施形態に係る近接センサ90として、磁石92の磁力でスイッチのリード片を動作させてリードスイッチがオンになる磁気近接センサが用いられている。ただし、これに限られるものではなく、金属を検出する誘導形近接センサや、検出体及びセンサの間に生じる静電容量の変化を検出する静電容量形近接センサを用いることもできる。更に、物理的に接触してスイッチをオンにするリミットスイッチを用いることもできる。
【0066】
図4に示すように、冷蔵庫の制御システムの一部を構成する制御部100は、近接センサ90と電気的に繋がり、検出データ(信号)を受けるようになっている。収納容器50が第1の吹出口16Aの近傍に取り付けられたとき、近接センサ90から検出データ(信号)を受ける。
【0067】
また、制御部100は、制御信号を送信して、圧縮機21及びファン12の稼働を制御することができる。圧縮機21の回転数は可変であり、制御部100は、圧縮機21の回転数を変更することができる。冷凍室6または冷蔵室7の冷却を強化する場合には、制御部100は、よりも高い回転数で圧縮機21を稼働するように制御する。同様に、ファン12の回転数は可変であり、制御部100は、ファン12の回転数を変更することができる。冷凍室6または冷蔵室7の冷却を強化する場合には、制御部100は、よりも高い回転数でファン12を稼働するように制御する。
【0068】
また、制御部100は、冷凍室ダンパ13や冷蔵室ダンパ14に制御信号を送信して、開閉を制御することができる。圧縮機21及びファン12を稼働し、冷凍室ダンパ13を開にする制御を行うことにより、蒸発器24を通過した気体を冷凍室6に供給して冷凍室6を冷却できる。同様に、圧縮機21及びファン12を稼働し、冷蔵室ダンパ14を開にする制御を行うことにより、蒸発器24を通過した気体を冷蔵室7に供給して冷蔵室7を冷却できる。
【0069】
本実施形態では、ガイドリブ52A,54Aで囲まれた開口が第1の吹出口16Aの右端の開口と近接して対向するように、収納容器50を第1の吹出口16Aに近接して取り付けたとき、(近接)センサ90からの情報に基づき、制御部100は冷蔵室7の冷却を強める制御を行う。これにより、収納容器50内に低温の気体を多く流入させることができるので、収納容器50内の収納物を急速に冷却することができる。以上のように、本実施形態に係る冷蔵庫1は、収納容器50が冷気の吹出口に近接して取り付けられているか否かを検出する(近接)センサ90を備え、(近接)センサ90からの情報に基づき、収納容器50が冷気の吹出口16Aに近接して取り付けられていると判断したとき、貯蔵室(冷蔵室)7の冷却を強める制御を行う。これにより、収納容器50内の収納物を更に効果的に冷却することができる。
【0070】
(冷却流路調整機構)
図5Aは、本発明の1つの実施形態に係る冷却流路調整機構80を模式的に示す図であって、流路が狭められていない状態を示す平面図である。図5Bは、図5Aの矢視A-Aを示す側面図である。図5Cは、本発明の1つの実施形態に係る冷却流路調整機構80を模式的に示す図であって、流路が狭められた状態を示す平面図である。図5Dは、図5Cの矢視B-Bを示す側面図である。次に、図5Aから図5Dを参照しながら、本発明の1つの実施形態に係る冷却流路調整機構80の説明を行う。
【0071】
下記に示すように、本実施形態に係る冷却流路調整機構80は、ウイング82、移動部材84及び引張バネ86から構成される。上側冷却流路10Bには、第1の吹出口16Aの位置のすぐ上側に、回転ベース82Aが取り付けられ、回転ベース82Aにはウイング82が回転自在に取り付けられている。図5B図5Dに示すように(図5A図5Cでは図示を省略している)、ウイング82には、引張バネ86が取り付けられている。引張バネ86の一端はウイング82に取り付けられ、引張バネ86の他端は上側冷却流路10Bを形成する上側仕切部材11Bに取り付けられている。これにより、ウイング82に何も接触していない状態では、図5A図5Bに示すように、引張バネ86の付勢力により、ウイング82は略垂直な方向を向いている。この場合、上側冷却流路10Bは狭まっていない状態になっている。
【0072】
ウイング82の右横側には、カム面84Aを有する移動部材84が配置されている。移動部材84は、横方向に移動可能になっている。図5Aの矢印に示すように、収納容器50を第1の吹出口16Aの近傍に取り付けようとすると、ガイドリブ54Aの左端に取り付けられた検出リブ54Bが移動部材84に接触して、移動部材84を左側に押す。これにより、移動部材84のカム面84Aがウイング82に当接して、ウイング82を押す。左側に移動する移動部材84のカム面84Aにより、ウイング82の先端側に下向きの力が加わる。よって、引張バネ86の付勢力に抗して、ウイング82の先端が下方に向かうように回転する。収納容器50が第1の吹出口16Aの近傍の位置に取り付けられたときには、ウイング82は、図5C,5Dに示すように傾斜した状態となる。この場合、上側冷却流路10Bは狭まった状態になる。
【0073】
これにより、蒸発器24を通過し、上側冷却流路10Bを流れる気体は、第1の吹出口16Aより上側には流れにくくなる。よって、より多くの流量の気体を、第1の吹出口16Aから収納容器50内に供給することができる。収納容器50を第1の吹出口16Aの近傍から取り外すと、引張バネ86の付勢力により、ウイング82は、図5A図5Bに示すような略垂直な方向に戻り、ウイング82でカム面84Aが押されて、移動部材84も右側の位置に戻る。
【0074】
冷却流路調整機構80は、引張バネ86でなく、圧縮バネや捻りバネを用いて、ウイング82を付勢することもできる。また、カム面84Aを有する移動部材84ではなく、歯車等を使ったその他の機構を用いて、ウイング82を回転させることもできる。
【0075】
更に、ウイング82をモータ等のアクチュエータで回転させることもできる。その場合には、上記の近接センサ90を用いることも可能である。近接センサ90からの情報に基づき、収納容器50が第1の吹出口16Aに近接して取り付けられていると判断したとき、制御部100がアクチュエータを制御して、上側冷却流路10Bが狭まるようにウイング82を回転させることもできる。
【0076】
以上のように、本実施形態に係る冷蔵庫1では、蒸発器24を通過した気体が流れ、気体が貯蔵室(冷蔵室)7内に流入する高さ方向の位置が異なる複数の吹出口16A~16Cを有する(上側)冷却流路10Bを備え、収納容器50が(第1の)吹出口16Aの近傍に取り付けられたとき、収納容器50が取り付けられた領域に設けられた(第1の)吹出口16Aよりも下流側の(上側)冷却流路10Bが狭まるように動作する冷却流路調整機構80を備える。
【0077】
本実施形態では、収納容器50が(第1の)吹出口16Aに近接して取り付けられたとき、冷却流路調整機構80が、収納容器50が取り付けられた領域に設けられた(第1の)吹出口16Aよりも下流側の(上側)冷却流路10Bが狭まるように動作する。これにより、収納容器50が取り付けられた領域により多くの気体を供給することができるので、収納容器50内の収納物を更に効果的に冷却することができる。
【0078】
上記の実施形態では、吹出口16Aが前側、左側、右側の三方向に開口を有している場合を例示したが、これに限られるものではない。例えば、冷却流路が、冷蔵室の幅方向いっぱいまで延びた平板状の仕切板で冷蔵室と仕切られ、吹出口が前側の開口のみを有する場合もあり得る。その場合であっても、収納容器を吹出口の近傍に配置して、収納容器のガイドリブで囲まれた入側の空間が、吹出口の前側の開口と対向するように近接して配置されれば、同様な作用効果を得ることができる。
【0079】
本発明の実施の形態、実施の態様を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態、実施態様における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲及び思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【符号の説明】
【0080】
1 冷蔵庫
2 筐体
3 上扉
4 下扉
6 冷凍室
7 冷蔵室
7A 内壁
10 冷却流路
10A 下側冷却流路
10B 上側冷却流路
11A 下側仕切部材
11B 上側仕切部材
12 ファン
13 冷凍室ダンパ
14 冷蔵室ダンパ
15 戻り流路
15A 入口
15B 出口
16A 第1の吹出口
16B 第2の吹出口
16C 第3の吹出口
21 圧縮機
22 凝縮器
24 蒸発器
30 棚
32 棚サポート
34 棚保持部
40 機械室
50 収納容器
50A 一方の側面
50B 他方の側面
52 蓋
52A ガイドリブ
54 入側開口
54A ガイドリブ54B 検出用リブ
56 出側開口
56A 風路遮断防止用リブ
60 後側係合機構
62 載置部
64 受部
70 前側着脱機構
72 回転ベース
74 スナップアーム
80 冷却流路調整機構
82 ウイング
82A 回転ベース
84 移動部材
84A カム面
86 引張バネ
90 近接センサ
92 磁石
100 制御部
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図5D