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特開2023-96593水門開度通知装置、水門開度通知システム、水門開度通知方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096593
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】水門開度通知装置、水門開度通知システム、水門開度通知方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   E02B 7/20 20060101AFI20230630BHJP
   E02B 7/26 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
E02B7/20 107
E02B7/20 111
E02B7/26 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212457
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000192
【氏名又は名称】岩崎電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160967
【弁理士】
【氏名又は名称】▲濱▼口 岳久
(72)【発明者】
【氏名】豊福 悟
(72)【発明者】
【氏名】杉尾 匠史郎
【テーマコード(参考)】
2D019
【Fターム(参考)】
2D019AA52
2D019AA64
2D019BA21
(57)【要約】
【課題】水門開度に関する開度通知の出力頻度を適正化する門開度通知装置を提供する。
【解決手段】水門開度通知装置4は、水門2の開度ペイロードから変換される開度データを逐次取得し、最新の開度変化の変化率の絶対値を最新変化幅v1と定義し、最新の開度変化の直前の開度変化の変化率の絶対値を直前変化幅v2と定義し、最新変化幅v1及び直前変化幅v2をメモリ47に記憶するデータ収集部42と、直前変化幅v2が閾値th1以上でありかつ最新変化幅v1が閾値th1未満である場合に、最新変化幅v1を与えた最新の開度データを示す開度通知を出力する開閉減速検出部43と、直前変化幅v2及び最新変化幅v1が閾値th1未満でありかつ最後に出力された開度通知に含まれる開度データから最新の開度データへの変化率の絶対値が閾値th1未満の閾値th2以上である場合に、最新の開度データを示す開度通知を出力する微開閉検出部44と、を含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水門開度通知装置であって、
水門の開度に関する開度ペイロードから変換される開度データを逐次取得し、最新の開度変化の変化率の絶対値を最新変化幅と定義し、前記最新の開度変化の直前の開度変化の変化率の絶対値を直前変化幅と定義し、前記最新変化幅及び前記直前変化幅をメモリに記憶するデータ収集部と、
前記直前変化幅が第1の閾値以上であり、かつ前記最新変化幅が前記第1の閾値未満である場合に、前記最新変化幅を与えた最新の開度データを示す開度通知を出力する開閉減速検出部と、
前記直前変化幅及び前記最新変化幅が前記第1の閾値未満であり、かつ最後に出力された開度通知に含まれる開度データから前記最新の開度データへの変化率の絶対値が前記第1の閾値未満の第2の閾値以上である場合に、前記最新の開度データを示す開度通知を出力する微開閉検出部と、
を備える水門開度通知装置。
【請求項2】
水門開度通知装置であって、
水門の開度に関する開度ペイロードから変換される開度データを逐次取得し、最新の開度変化の変化率の絶対値を最新変化幅と定義し、前記最新の開度変化の直前の開度変化の変化率の絶対値を直前変化幅と定義し、前記最新変化幅及び前記直前変化幅をメモリに記憶するデータ収集部と、
前記最新変化幅が前記直前変化幅未満である場合に、前記最新変化幅を与えた最新の開度データを示す開度通知を出力する開閉減速検出部と、
最後に出力された開度通知に含まれる開度データから前記最新の開度データへの変化率の絶対値が所定範囲内にある場合に、前記最新の開度データを示す開度通知を出力する微開閉検出部と、
を備える水門開度通知装置。
【請求項3】
前記開度通知に基づいて、少なくとも、前記水門の地理的位置を示すマップ、前記水門の識別情報、及び前記最新の開度データに基づく開度情報を出力する通知処理部をさらに備える請求項1又は2に記載の水門開度通知装置。
【請求項4】
前記開度データの最新の開度変化の変化率の極性に基づいて前記水門の開閉動作方向を判定し、該開閉動作方向を示す開閉方向情報を生成する開閉方向判定部をさらに備え、
前記通知処理部が、前記開閉方向情報を出力するように構成された、請求項3に記載の水門開度通知装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の水門開度通知装置と、
前記水門に取付けられて開度測定値を取得する開度センサと、
前記開度測定値を含む開度ペイロードを生成する開度ペイロード生成部と、
前記開度ペイロードを発信する通信機と、
を備える水門開度通知システム。
【請求項6】
CPU及びメモリを備える水門開度通知装置における水門開度通知方法であって、前記CPUが、
水門の開度に関する開度ペイロードから変換される開度データを逐次取得し、最新の開度変化の変化率の絶対値を最新変化幅と定義し、前記最新の開度変化の直前の開度変化の変化率の絶対値を直前変化幅と定義し、前記最新変化幅及び前記直前変化幅をメモリに記憶するステップと、
前記直前変化幅が第1の閾値以上であり、かつ前記最新変化幅が前記第1の閾値未満である場合に、前記最新変化幅を与えた最新の開度データを示す開度通知を生成するステップと、
前記開度通知を出力するステップと、
前記直前変化幅及び前記最新変化幅が前記第1の閾値未満であり、かつ最後に出力された開度通知に含まれる開度データから前記最新の開度データへの変化率の絶対値が前記第1の閾値未満の第2の閾値以上である場合に、前記最新の開度データを示す開度通知を生成するステップと、
前記開度通知を出力するステップと、
を備える水門開度通知方法。
【請求項7】
CPU及びメモリを備える水門開度通知装置における水門開度通知方法であって、前記CPUが、
水門の開度に関する開度ペイロードから変換される開度データを逐次取得し、最新の開度変化の変化率の絶対値を最新変化幅と定義し、前記最新の開度変化の直前の開度変化の変化率の絶対値を直前変化幅と定義し、前記最新変化幅及び前記直前変化幅をメモリに記憶するステップと、
前記最新変化幅が前記直前変化幅未満である場合に、前記最新変化幅を与えた最新の開度データを示す開度通知を生成するステップと、
前記開度通知を出力するステップと、
最後に出力された開度通知に含まれる開度データから前記最新の開度データへの変化率の絶対値が所定範囲内にある場合に、前記最新の開度データを示す開度通知を生成するステップと、
前記開度通知を出力するステップと、
を備える水門開度通知方法。
【請求項8】
前記CPUが、前記開度通知に基づいて、少なくとも、前記水門の地理的位置を示すマップ、前記水門の識別情報、及び前記最新の開度データに基づく開度情報を出力するステップをさらに備える請求項6又は7に記載の水門開度通知方法。
【請求項9】
前記CPUが、前記開度データの最新の開度変化の変化率の極性に基づいて前記水門の開閉動作方向を判定し、該開閉動作方向を示す開閉方向情報を生成するステップと、
前記CPUが、前記開閉方向情報を出力するステップと、
をさらに備える請求項8に記載の水門開度通知方法。
【請求項10】
コンピュータに、請求項6から9のいずれか一項に記載の水門開度通知方法の各ステップを実行させるためのプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水門開度通知装置、水門開度通知システム、水門開度通知方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
水門の開閉動作に関して、その動作状況を遠隔のユーザに通知することが知られている。例えば、特許文献1の水利用施設の管理システムは、河川、水路などに設置された水門に設けられた水位検知装置、流速検知装置、撮影装置などの情報取得手段と、水門の動作状況に関する情報及び情報取得手段で得られた情報を処理する情報処理装置を備える。情報処理装置は、開閉手段の動作状況に関する情報及び情報取得手段で得られた情報を管理者に通信手段を介して伝達するための管理情報配信手段と、開閉手段の動作状況に関する情報及び情報取得手段で得られた情報を管理支援者に通信手段を介して伝達する支援情報配信手段とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-209544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水門の開閉に伴う開度通知において、その出力頻度に関して種々の問題がある。第1の問題は、通常の水門の開閉動作における多過ぎる開度通知に関するものである。一般に、水門の開閉動作は、時間を要するものである。仮に全開と全閉の間での所要時間が数十分程度(例えば、30分)であり、水門からの開度データの送信間隔が数分程度(例えば、3分)であり、送信される全ての開度データが出力されると、その開閉動作中に多数(例えば、10回)の開度通知が出力されることになる。このような高頻度の開度通知はユーザ(作業者、管理者など)において煩わしく、作業効率の低下をもたらし得る。特に、開閉動作中の複数の水門からこのような頻度で開度通知が出力されると、ユーザにおける情報の誤認の原因ともなり得る。
【0005】
第2の問題は、上記のような大きな変化とも関連して、微小又は極微小な開度変化に伴う開度通知の出力可否に関するものである。水門には長時間(日、月、年単位)をかけて泥などが堆積し、このような経年変化によって微小な開度変化がもたらされる。このような微小な開度変化は、保守管理の観点から検知及び通知されるべきである。ここで上記の第1の問題を解消するために開度通知の出力頻度を低下させると、微小な開度変化に関する開度通知が出力されなくなる可能性があり、好ましくない。また、水門の開度を微調整する際に、微小な開度変化を検知するために検知感度が高く設定されることが望ましい。一方、検知感度が高過ぎると、水門側の開度センサの誤差、水流などに起因する極微小な開度変化が実際の開閉動作であるかのように誤検知されてしまい、この場合も開度通知の頻度が無用に高くなってしまう。したがって、水門の通常の開閉動作に伴う多過ぎる開度通知を減少させ、水門の経年変化及び微調整に起因する微小な開度変化の開度通知を行い、かつ誤検知に起因する極微小な開度変化の開度通知を回避することが望まれる。
【0006】
そこで、本発明は、水門の開度に関して開度通知の出力頻度の適正化が可能な水門開度通知装置、水門開度通知システム、水門開度通知方法及びプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様による水門開度通知装置は、水門の開度に関する開度ペイロードから変換される開度データを逐次取得し、最新の開度変化の変化率の絶対値を最新変化幅と定義し、最新の開度変化の直前の開度変化の変化率の絶対値を直前変化幅と定義し、最新変化幅及び直前変化幅をメモリに記憶するデータ収集部と、直前変化幅が第1の閾値以上であり、かつ最新変化幅が第1の閾値未満である場合に、最新変化幅を与えた最新の開度データを示す開度通知を出力する開閉減速検出部と、直前変化幅及び最新変化幅が第1の閾値未満であり、かつ最後に出力された開度通知に含まれる開度データから最新の開度データへの変化率の絶対値が第1の閾値未満の第2の閾値以上である場合に、最新の開度データを示す開度通知を出力する微開閉検出部と、を備える。
【0008】
本発明の第1の態様による、CPU及びメモリを備える水門開度通知装置における水門開度通知方法は、CPUが、水門の開度に関する開度ペイロードから変換される開度データを逐次取得し、最新の開度変化の変化率の絶対値を最新変化幅と定義し、最新の開度変化の直前の開度変化の変化率の絶対値を直前変化幅と定義し、最新変化幅及び直前変化幅をメモリに記憶するステップと、直前変化幅が第1の閾値以上であり、かつ最新変化幅が第1の閾値未満である場合に、最新変化幅を与えた最新の開度データを示す開度通知を生成するステップと、当該開度通知を出力するステップと、直前変化幅及び最新変化幅が第1の閾値未満であり、かつ最後に出力された開度通知に含まれる開度データから最新の開度データへの変化率の絶対値が第1の閾値未満の第2の閾値以上である場合に、最新の開度データを示す開度通知を生成するステップと、当該開度通知を出力するステップと、を備える。
【0009】
上記第1の態様の水門開度通知装置又は水門開度通知方法によると、直前変化幅が第1の閾値以上でありかつ最新変化幅が第1の閾値未満である場合に、最新の開度データを示す開度通知が出力される。また、直前変化幅及び最新変化幅が第1の閾値未満でありかつ直近の変化幅が(第1の閾値未満の)第2の閾値以上である場合に、最新の開度データを示す開度通知が出力される。これにより、水門が大きく開閉される場合には、開閉速度が第1の閾値未満に減速するまで開度通知は出力されず、その後に開度通知が出力されるため、水門の開閉中の無駄な開度通知の出力が回避される。また、水門の大きな開閉がないことが判定される場合、開閉速度が(第1の閾値未満の)第2の閾値以上の場合に開度通知が出力される。これにより、第2の閾値以上の変化をもたらす微小な開度変化(経年変化又は微調整などによるもの)の開度通知が出力される一方で、第2の閾値未満の変化しかもたらさない極微小な開度変化(誤差、水流などに起因する誤検出によるもの)の開度通知は出力されない。したがって、水門の開度に関して開度通知の出力頻度の適正化が可能となる。
【0010】
本発明の第2の態様による水門開度通知装置は、水門の開度に関する開度ペイロードから変換される開度データを逐次取得し、最新の開度変化の変化率の絶対値を最新変化幅と定義し、最新の開度変化の直前の開度変化の変化率の絶対値を直前変化幅と定義し、最新変化幅及び直前変化幅をメモリに記憶するデータ収集部と、最新変化幅が直前変化幅未満である場合に、最新変化幅を与えた最新の開度データを示す開度通知を出力する開閉減速検出部と、最後に出力された開度通知に含まれる開度データから最新の開度データへの変化率の絶対値が所定範囲内にある場合に、最新の開度データを示す開度通知を出力する微開閉検出部と、を備える。
【0011】
本発明の第2の態様による、CPU及びメモリを備える水門開度通知装置における水門開度通知方法は、CPUが、水門の開度に関する開度ペイロードから変換される開度データを逐次取得し、最新の開度変化の変化率の絶対値を最新変化幅と定義し、最新の開度変化の直前の開度変化の変化率の絶対値を直前変化幅と定義し、最新変化幅及び直前変化幅をメモリに記憶するステップと、最新変化幅が直前変化幅未満である場合に、最新変化幅を与えた最新の開度データを示す開度通知を生成するステップと、当該開度通知を出力するステップと、最後に出力された開度通知に含まれる開度データから最新の開度データへの変化率の絶対値が所定範囲内にある場合に、最新の開度データを示す開度通知を出力するステップと、を備える。
【0012】
上記第2の態様の水門開度通知装置又は水門開度通知方法によると、最新変化幅が直前変化幅未満である場合に、最新変化幅を与えた最新の開度データを示す開度通知が出力される。また、直近の変化幅が第1の閾値から第2の閾値の範囲内にある場合に、最新の開度データを示す開度通知が出力される。これにより、水門が大きく開閉される場合には、開閉速度が減速を開始するまで開度通知は出力されず、その後に開度通知が出力されるため、水門の開閉中の無駄な開度通知の出力が回避される。また、水門の開閉に減速がないことが判定される場合、開閉速度が第1の閾値から第2の閾値の所定範囲内にある場合に開度通知が出力される。これにより、第1の閾値から第2の閾値の変化をもたらす微小な開度変化(経年変化又は微調整によるもの)の開度通知が出力される一方で、第2の閾値未満の変化しかもたらさない極微小な開度変化(誤差、水流などに起因する誤検出によるもの)の開度通知は出力されない。したがって、水門の開度に関して開度通知の出力頻度の適正化が可能となる。
【0013】
上記第1及び第2の態様の水門開度通知装置は、開度通知に基づいて、少なくとも、水門の地理的位置を示すマップ、水門の識別情報、及び最新の開度データに基づく開度情報を出力する通知処理部をさらに備える。また、上記第1及び第2の態様の水門開度通知方法は、CPUが、開度通知に基づいて、少なくとも、水門の地理的位置を示すマップ、水門の識別情報、及び最新の開度データに基づく開度情報を出力するステップをさらに備える。これにより、水門の開閉管理に関する表示の視認性及び情報性が向上する。
【0014】
上記第1及び第2の態様の水門開度通知装置は、開度データの最新の開度変化の変化率の極性に基づいて水門の開閉動作方向を判定し、開閉動作方向を示す開閉方向情報を生成する開閉方向判定部をさらに備え、通知処理部は、開閉方向情報を出力するように構成される。また、上記第1及び第2の態様の水門開度通知方法は、CPUが、開度データの最新の開度変化の変化率の極性に基づいて水門の開閉動作方向を判定し、開閉動作方向を示す開閉方向情報を生成するステップと、CPUが、開閉方向情報を出力するステップと、をさらに備える。これにより、水門の開閉管理に関する表示の直感性が向上する。
【0015】
本発明の水門開度通知システムは、上記いずれかの水門開度通知装置と、水門に取付けられて開度測定値を取得する開度センサと、開度測定値を含む開度ペイロードを生成する開度ペイロード生成部と、開度ペイロードを発信する通信機と、を備える。これにより、上記効果を奏する水門開度通知システムが実現される。
【0016】
本発明は、コンピュータに上記水門開度通知方法の各ステップを実行させるためのプログラムも含む。このように、本発明は、プログラムとしての実施にも適する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施形態による水門開度通知システムのブロック図である。
図2】第1の実施形態における水門の構成を説明する概略図である。
図3】第1の実施形態による表示部の画面の一例を示す図である。
図4】第1の実施形態による水門開度通知方法のフローチャートである。
図5】第1の実施形態による水門開度通知の動作を説明する図である。
図6】第2の実施形態による水門開度通知方法のフローチャートである。
図7】第2の実施形態による水門開度通知の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1の実施形態>
図1に、本発明の実施形態による水門開度通知システム1のブロック図を示す。水門開度通知システム1は、水門2、サーバ3及び水門開度通知装置4を含む。水門2において生成された水門2の門扉の開度に関するペイロード(以下、「開度ペイロード」という)が、サーバ3を介して水門開度通知装置4に送信される。水門開度通知装置4は、この開度ペイロードから変換される開度データに基づいて、開度を示す開度通知を出力するか否かを決定する。なお、サーバ3は、複数のサーバを含み得る。水門2とサーバ3とは基地局(不図示)を介して無線接続され、サーバ3と水門開度通知装置4とはインターネットなどの通信ネットワークNを介して通信接続される。図1に示すように、水門開度通知システム1は複数の水門2を含み得るが、以下では、1つの水門2についての構成及び動作を代表して説明を行う。
【0019】
図2に、水門2の構成の概略図を示す。水門2は、構造物として、門柱20、上部戸当り21、水叩き22、門扉23及び開閉器24を備える。門柱20は、支柱、塔、枠体などである。上部戸当り21は門柱20の両柱間の梁状の構造物であり、水叩き22はコンクリートの底面である。本実施形態では、門扉23は、スライドゲート(スルースゲート)又はローラーゲートであり、門柱20の枠内で摺動的に上下動することができる。門扉23は、その上端が上部戸当り21に当接する全開位置と、その下端が水叩き22に当接する全閉位置との間で開閉器24によって開閉される。開閉器24は、モーターによって又は手動で駆動される。
【0020】
水門2は、電気構成要素として、開度センサ25、開度ペイロード生成部26、通信機27及び電源装置28を備える。開度センサ25は上部戸当り21に固定され、開度センサ25に接続された可変長のセンサワイヤ25wが門扉23に固定される。開度センサ25は、センサワイヤ25wの伸縮長に応じて開度測定値(例えば、電圧値、電流値、伸縮長など)を取得する。開度ペイロード生成部26は、通信機27に内蔵される。ただし、開度ペイロード生成部26は、通信機27の外部の任意の場所に接続されてもよい。開度ペイロード生成部26は、開度センサ25が取得した開度測定値に対応する開度ペイロードを生成する。具体的には、開度ペイロード生成部26は、開度測定値を開度ペイロードに含める(埋め込む)。これにより、後に開度データに変換される開度ペイロードは、水門設置場所、水門識別ID又はアドレス、開度測定値などを含む。通信機27は、開度ペイロード生成部26によって生成された開度ペイロードをサーバ3に送信する。
【0021】
通信機27からサーバ3への無線通信は、例えば、LPWA(Low Power Wide Area)の通信規格に準拠するものである。LPWAに関する無線通信規格として、例えば、ELTRES(登録商標)、SigFox(登録商標)などが用いられてもよい。なお、上記無線通信の通信規格は、LPWAに限られず、セルラー通信(例えば、LTE、5G)、Wi-Fi(登録商標)(例えば、Wi-Fi HaLow)、衛星通信(例えば、HAPS、Starlink、One web)などであってもよい。なお、通信機27とサーバ3との間の無線通信は有線通信に代替されてもよく、この場合の通信規格は、例えば、Ethernet(登録商標)、光ケーブルなどによるものであり得る。電源装置28は商用AC電圧をDC電圧に変換するDC電源であり、開度センサ25、開度ペイロード生成部26及び通信機27は電源装置28から直流給電される。なお、通信機27及び電源装置28は、門柱20上又は門柱20外の適宜の箇所にそれぞれ設置される。
【0022】
本開示において、水門2の開度とは門扉23の開放割合の百分率をいい、門扉23が全開位置にある場合には開度は100%であり、門扉23が全閉位置にある場合には開度は0%である。また、開度+閉度=100%であり、門扉23が全閉位置にある場合には閉度は100%であり、門扉23が全開位置にある場合には閉度は0%である。なお、本開示において、門扉23の開度、閉度、開閉状態、開閉動作などと、水門2の開度、閉度、開閉状態、開閉動作などとは、それぞれ同義である。また、本開示では、水門2の開閉状態を開度によって表現するが、当業者であれば、水門2の開閉状態は閉度でも同様にして表現可能であり、開度通知(又は後述の開度情報)が開度を示す場合もあれば閉度を示す場合もあり得ることが理解可能なはずである。
【0023】
本実施形態は、概略として、水門2が大きく開閉される場合には、水門開度通知装置4は、開閉開始後、開閉速度が第1の閾値未満に減速するまで開度通知を出力せず、その後に開度通知を出力する。これにより、水門2の大きな開閉中の無駄な開度通知の出力が回避される。また、水門開度通知装置4は、水門2の大きな開閉がないことを判定した上で、開閉速度が第2の閾値(第1の閾値>第2の閾値)以上の場合に開度通知を出力する。これにより、第2の閾値以上の変化をもたらす微小な開度変化に関する開度通知が出力される一方で、第2の閾値未満の変化しかもたらさない極微小な開度変化に関する開度通知は出力されない。なお、本開示において、微小な開度変化とは、水門2の経年変化(泥の付着など)又は水門2の開度の微調整に起因する開度変化をいい、極微小な開度変化とは、開度センサ25の誤差、水流の影響などに起因する誤検知に対応する開度変化をいうものとする。
【0024】
水門開度通知装置4は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレット端末、スマートフォンなどの情報通信端末(コンピュータ)であり、通信部40、CPU41、メモリ47、表示部48及び入力インターフェース(I/F)49を備える。通信部40は、通信ネットワークNを介してサーバ3と通信することができる。CPU41は一般的なコンピュータを構成するプロセッサであり、メモリ47はプログラムなどを記憶するROM、及びデータ、プログラムなどを一時的に記憶するRAMを含む。メモリ47には必要なアプリケーションのプログラムが既にインストールされているものとし、CPU41はそのプログラムを実行可能であるものとする。表示部48は、水門開度通知装置4がタブレット又はスマートフォンである場合にはタッチパネルであり、水門開度通知装置4がPCである場合にはディスプレイ装置である。入力I/F49は、水門開度通知装置4がPCである場合にはマウス、キーボードなどであり、水門開度通知装置4がタブレット端末又はスマートフォンである場合には表示部48(タッチパネル)である。
【0025】
CPU41はデータ収集部42、開閉減速検出部43、微開閉検出部44、開閉方向判定部45及び通知処理部46を含み、これらはバスを介して相互にデータ、信号などを転送できるように接続されている。CPU41は、この各部の機能以外にもCPUとして一般的な各種機能(計時機能、通信制御機能、演算処理機能など)を適宜実行し得る。
【0026】
データ収集部42は、通信部40を介して水門の開度ペイロードを取得し、その開度ペイロードに含まれる開度測定値(例えば、電圧値、電流値、伸縮長など)から変換される水門2の開度データ(以下、「開度データ」という)を逐次取得する。ただし、開度ペイロードから開度データへの変換はサーバ3において行われてもよく、この場合にはデータ収集部42はサーバ3から開度データを逐次取得する。いずれの場合であっても、データ収集部42は、開度ペイロードから変換された開度データを逐次取得することになる。データ収集部42で収集される開度データについて、本開示では、最新の開度データを開度データd1として、それ以前の開度データを、新しい順に開度データd2、d3、d4・・・として示す。なお、一連の開度データは等間隔(時間的に同じインターバル)で取得されるものとする。そして、最新の開度変化の変化率(d2-d1)の絶対値(|d2-d1|)を最新変化幅v1として定義し、その直前の開度変化の変化率(d3-d2)の絶対値(|d3-d2|)を直前変化幅v2として定義する。データ収集部42は、最新変化幅v1及び直前変化幅v2をメモリ47に記憶させる。なお、メモリ47は、データベースを含む概念のものである。
【0027】
開閉減速検出部43は、水門2の開閉速度が所定閾値未満に低下したか否かを判定し、開閉速度が所定閾値未満に低下した場合には開度通知を生成する。具体的には、直前変化幅v2(=|d3-d2|)が閾値th1以上であり、かつ最新変化幅v1(=|d2-d1|)が閾値th1未満である場合に、開閉減速検出部43は、最新の開度データd1を示す開度通知を生成する。開閉減速検出部43は、生成した開度通知を表示部48に出力する。
【0028】
微開閉検出部44は、開閉減速検出部43によって大きな開度変化が検出されない場合に、微小な開度変化があるか否かを検出する。微開閉検出部44は、微小な開度変化を検出した場合には開度通知を生成する。具体的には、直前変化幅v2及び最新変化幅v1が閾値th1未満であり、かつ所定の開度データdxから最新の開度データd1への開度変化の変化率(dx-d1)の絶対値(|dx-d1|)が閾値th2以上である場合に、最新の開度データd1を示す開度通知を生成する。なお、|dx-d1|を直近変化幅v3ともいう。所定の開度データdxは、開度通知が過去に出力されている場合には最新の出力開度通知によって示される開度データ(実質的には、前回の最新の開度データ)であり、開度通知が過去に出力されていない場合には開度データの初期値である。微開閉検出部44は、生成した開度通知を表示部48に出力する。
【0029】
閾値th2は、閾値th1未満である。ここで、閾値th1を適宜設定することにより、水門2の開閉動作中の開度通知の高すぎる頻度を低減することができる。また、閾値th2を適宜設定することにより、微小な開度変化(経年変化又は微調整)の開度通知の出力を可能としつつ、極微小な開度変化(誤検知)の開度通知の出力を回避することができる。言い換えると、閾値th2は、微少な開度変化と極微小な開度変化とを判別するための閾値である。閾値th1及び閾値th2は、デフォルトの設定であってもよいし、入力I/F49からユーザによって設定されてもよいし、サーバ3から管理者によって設定されてもよい。
【0030】
開閉方向判定部45は、開度データの最新の開度変化の変化率(d2-d1)の極性に基づいて水門2の開閉動作方向を判定する。開度データと開度値が比例関係にあり又は等しいものとして、d2-d1<0(すなわち、d2<d1)である場合には水門2は開放方向にあり、d2-d1>0(すなわち、d2>d1)である場合には水門2は閉鎖方向にあることになる。開閉方向判定部45は、判定した開閉動作方向を示す開閉方向情報を生成する。なお、d2-d1=0(すなわち、d2=d1)の場合には、水門2は停止していることになるので開閉方向情報は生成されない。
【0031】
通知処理部46は、表示部48に表示すべき開度通知の内容、通知タイミング、通知態様などを決定する。通知処理部46は、開度通知に、少なくとも、水門2の識別情報及び最新の開度データd1に基づく開度情報を含める。水門2の識別情報は、水門2の地理的位置、アドレスなどである。開度情報は、開度データに対応する開度又は閉度の百分率である。通知処理部46は、開度情報を水門2の地理的位置を示すマップとともに表示部48に表示させることが好ましい。また、通知処理部46は、開閉方向判定部45によって生成された開閉方向情報を開度情報と併せて開度通知に含めてもよい。さらに、通知処理部46は、開閉動作の達成度の直感的認識をユーザに与えるために、開閉方向情報が開放方向を示す場合には開度情報を開度で表示し、開閉方向情報が閉鎖方向を示す場合には開度情報を閉度で表示するようにしてもよい。
【0032】
通知処理部46は、定時に又は周期的に開度通知を出力する設定を適用することができる。また、通知処理部46は、指定された通知先(メールアドレス、ショートメールアドレスなど)に開度通知を出力する設定を適用することができ、その際にメール本文、メール件名などに適宜の設定を適用することができる。これらの設定は、デフォルトの設定であってもよいし、入力I/F49からユーザによって設定されてもよいし、サーバ3から管理者によって設定されてもよい。
【0033】
図3に、開度情報などが出力される表示部48の画面480の一例を示す。本例では、水門2を含むマップ481及び吹き出し482が画面480に表示され、吹き出し482には、水門2の地理的位置(「Abc市Defg町」)、水門2のアドレス(「0123」)及び開度情報(「100%」)が表示される。なお、地理的位置又はアドレスの代わりに又はそれに加えて、水門2の通称(例えば、「Abc第3水門」)などが表示されてもよい。開度情報として、開度が100%の場合には数値に代えて又はそれと併せて「全開」などの文字、開度が0%の場合にも数値に代えて又はそれと併せて「閉鎖」の文字などが表示されてもよい。また、開度情報と併せて開閉方向情報が表示されてもよく、例えば、開放方向に関しては「開放動作中」、「上昇中」、「↑」などが表示され、閉鎖方向に関しては「閉鎖動作中」、「降下中」、「↓」などが表示され得る。なお、図3のマップ表示は一例であり、複数の水門2に関する開度情報のテキスト一覧表示が画面480に表示されてもよい。
【0034】
なお、本開示において、「開度通知を出力する」とは、水門開度通知装置4が開度通知を表示部48に出力すること(すなわち、表示させること)に限られない。例えば、水門開度通知装置4が他の情報通信端末(不図示)に開度通知を送信すること、他の情報通信端末(不図示)の表示部に開度通知の内容を表示させることなど、広く開度通知の内容をユーザに提供することが、「開度通知を出力する」ことに含まれる。
【0035】
図4に、水門開度通知装置4(CPU41)によって実行される本実施形態の水門開度通知方法のフローチャートを示す。なお、ステップS1の前に、メイン処理及び初期化処理のステップS0が、実行済みであるものとする。
【0036】
ステップS1は、送信間隔待ち処理である。この送信間隔は、水門2の通信機27の送信間隔(例えば、数分程度)に対応する。ステップS1において、CPU41は、開度ペイロードの送信間隔(すなわち、開度通知装置4における受信間隔)の経過を待機する。
【0037】
ステップS2は、データ取得処理である。ステップS2において、CPU41(データ収集部42)は、サーバ3に対して開度ペイロードを要求することにより能動的に開度データを取得してもよいし、サーバ3から受信される開度ペイロードを待機して受動的に開度データを取得してもよい。CPU41(データ収集部42)は、例えば、現在のフロー(巡回)で取得したデータを最新のデータd1と定義し、前回のフローで取得したデータをデータd2と定義し、前々回のフローで取得したデータをデータd3と定義する。また、データ収集部42は、最新の開度変化の変化率の絶対値(|d2-d1|)を最新変化幅v1と定義し、直前の開度変化の変化率の絶対値(|d3-d2|)を直前変化幅v2と定義し、最新変化幅v1及び直前変化幅v2をメモリ47に記憶する。データ収集部42は、この最新変化幅v1及び直前変化幅v2の定義付けをフロー毎(すなわち、送信間隔毎)に行う。
【0038】
ステップS3は、通知判定処理である。ステップS3において、CPU41(開閉減速検出部43、微開閉検出部44)は、開度通知を生成及び出力するか否かを決定する。ステップS3は、ステップS300~S330を含む。
【0039】
ステップS300において、CPU41は、開度通知の要/不要を示す戻り値R=不要(0)をセットする。なお、戻り値Rは、開度通知の要(1)又は不要(0)の値を取り得る。処理は、ステップS301に進む。
【0040】
ステップS301において、CPU41(開閉減速検出部43)は、3個以上の開度データ(すなわち、少なくとも開度データd1~d3)がメモリ47に格納されているか否かを判定する。3個以上の開度データが格納されている場合(ステップS301、Yes)、処理はステップS302に進む。一方、格納されている開度データが2個未満である場合(ステップS301、No)、処理はステップS1に戻る。
【0041】
ステップS302において、CPU41(開閉減速検出部43)は、最新変化幅v1(=|d2-d1|)が閾値th1未満であるか否かを判定する。最新変化幅v1が閾値th1未満である場合、すなわち、最新の送信間隔において開度に大きな変化がない場合(ステップS302、Yes)、処理はステップS303に進む。一方、最新変化幅v1が閾値th1以上である場合、すなわち、最新の送信間隔において開度に大きな変化がある場合(ステップS302、No)、処理はステップS1に戻る。
【0042】
ステップS303において、CPU41(開閉減速検出部43)は、直前変化幅v2(=|d3-d2|)が閾値th1以上であるか否かを判定する。直前変化幅v2が閾値th1以上である場合、すなわち、前回の送信間隔において開度に大きな変化があった場合(ステップS303、Yes)、処理はステップS310に進む。一方、最新変化幅v1が閾値th1未満である場合、すなわち、前回の送信間隔において開度に大きな変化がなかった場合(ステップS303、No)、処理はステップS320に進む。
【0043】
ステップS302及びS303をまとめると、直前変化幅v2が閾値th1以上でありかつ最新変化幅v1が閾値th1未満である場合(ステップS310に進む場合)には、開閉速度の所定量以上の減速が判定されたことになる。一方、直前変化幅v2及び最新変化幅v1の双方が閾値th1未満である場合(ステップS320に進む場合)には、開閉速度が所定量以上減速された後の状態又はそもそも開閉動作が行われていない状態が判定されることになる。それ以外の場合、開閉速度が上昇中であるか、又は開閉動作が所定以上の速度で実質的に等速的に行われていることが推定される。
【0044】
ステップS310において、CPU41(開閉減速検出部43)は、戻り値R=開度通知要(1)をセットする。そして、処理はステップS4(S400)に進む。
【0045】
ステップS320において、CPU41(微開閉検出部44)は、開度通知が過去に1回以上行われているか否かを判定する。開度通知が1回も行われていない場合(ステップS320、No)、処理はステップS321に進む。一方、開度通知が1回以上行われている場合(ステップS320、Yes)、処理はステップS322に進む。
【0046】
ステップS321では、CPU41(微開閉検出部44)は、微小開閉検出において最新の開度データd1と比較される対象となる開度データdxを初期開度データとして定義する。一方、ステップS322では、CPU41(微開閉検出部44)は、微小開閉検出において最新の開度データd1と比較される対象となる開度データdxを、最後に出力した開度通知に含まれる開度データとして定義する。ステップS321及びS322の後、処理は、ステップS323に進む。
【0047】
ステップS323において、CPU41(微開閉検出部44)は、直近変化幅v3(=|dx-d1|)が閾値th2以上であるか否かを判定する。直近変化幅v3が閾値th2以上である場合、すなわち、直近のところ開度に大きな変化はないが微小な変化がある場合(ステップS323、Yes)、処理はステップS310に進む。一方、直近変化幅v3が閾値th2未満である場合、すなわち、直近のところ開度に大きな変化も微小な変化もない場合(ステップS323、No)、処理はステップS4(S400)に進む。
【0048】
ステップS4は、通知出力処理である。ステップS4において、CPU41(開閉減速検出部43及び微開閉検出部44)は開度通知の送信を実行する。ステップS4は、ステップS400~S420を含む。
【0049】
ステップS400において、CPU41(開閉減速検出部43及び微開閉検出部44)は、戻り値R=1であるか否かを判定する。戻り値R=1の場合(ステップS400、Yes)、処理はステップS410に進み、戻り値R=0の場合(ステップS400、No)、処理はステップS1に戻る。
【0050】
ステップS410において、CPU41(開閉方向判定部45)は、開度データの最新の開度変化の変化率(d2-d1)の極性に基づいて水門2の開閉動作方向を判定する。d2-d1<0(すなわち、d2<d1)である場合(ステップS410、Yes)、ステップS411において、開閉方向判定部45は開放方向を示す開閉方向情報を生成する。一方、d2-d1>0(すなわち、d2>d1)である場合(ステップS410、No)、ステップS412において、開閉方向判定部45は閉鎖方向を示す開閉方向情報を生成する。そして、処理は、ステップS420に進む。なお、ステップS410~S412が省略される場合、ステップS400において戻り値R=1の場合に処理はステップS420に進む。
【0051】
ステップS420において、CPU41(開閉減速検出部43及び微開閉検出部44)は、最新の開度データd1を示す開度通知を表示部48に出力する。また、開度通知には、上述した開度情報、及びステップS411又はS412で生成された開閉方向情報が含まれ得る。また、上述したように、通知処理部46は、開度情報が適宜のマップ表示とともに表示されるように開度通知を構成してもよい。
【0052】
図4のフローチャート及び図5のグラフを参照して、本実施形態の水門開度通知の動作を説明する。図5のグラフにおいて、実線は水門2の開度を示し、●印は各データ取得時刻における水門2の変化幅v(本例では開放速度)を示し、横軸は時間を示し、左縦軸は変化幅に対応し、右縦軸は開度(%)に対応する。この例では、水門2(門扉23)が全閉位置(開度0%)から全開位置(開度100%)まで開放するものとし、グラフの開始時点t0において既に3個以上の開度データが取得済みであるものとする。なお、説明の簡明化のために、図4のステップS410~S412は省略されるものとする。
【0053】
時刻t0と時刻t1の間の時刻に水門2の開放動作が開始される。開放開始後の最初の送信間隔後の時刻t1において、変化幅v1(=|d2-d1|)≧閾値th1であり、変化幅v2(=|d3-d2|)<閾値th1である。本例では、変化幅v3(|dx-d1|)≧閾値th2であるものとする。したがって、時刻ta1の開度データ取得に起因して、ステップS2→S300→S301(Yes)→S302(No)→S323(Yes)→S310→S400(Yes)→S420→S1の処理が実行される。ステップS420では、時刻t1で取得した開度データd1を示す開度通知が出力される。
【0054】
時刻t2において、水門2の開放動作は等速動作状態にある。この時点で、変化幅v1(=|d2-d1|)≧閾値th1である。したがって、時刻t2の開度データ取得に起因して、ステップS2→S300→S301(Yes)→S302(No)→S400(No)→S1の処理が実行される。これと同じ処理が、時刻t3~t8の開度データ取得に起因して実行される。なお、時刻t7と時刻t8の間の時刻に水門2の開放動作が減速を開始するものとする。
【0055】
時刻t9において、水門2の開放動作は減速後の等速運動状態にある。この時点で、変化幅v1(=|d2-d1|)<閾値th1であり、変化幅v2(=|d3-d2|)≧閾値th1である。したがって、時刻t9の開度データ取得に起因して、ステップS2→S300→S301(Yes)→S302(Yes)→S303(Yes)→S310→S400(Yes)→S420→S1の処理が実行される。ステップS420では、時刻t9で取得した開度データd1を示す開度通知が出力される。
【0056】
時刻t10において、水門2の開放動作は完了している。この時点で、変化幅v1(=|d2-d1|)<閾値th1であり、変化幅v2(=|d3-d2|)<閾値th1であり、変化幅v3(=|dx-d1|)≧閾値th2である。したがって、時刻t10の開度データ取得に起因して、ステップS2→S300→S301(Yes)→S302(Yes)→S303(No)→S320(Yes)→S322→S323(Yes)→S310→S400(Yes)→S420→S1の処理が実行される。ステップS420では、時刻t10で取得した開度データd1を示す開度通知が出力される。
【0057】
時刻t11において、時刻t10に引き続き、水門2の開放動作は停止状態にある。この時点で、変化幅v1(=|d2-d1|)<閾値th1であり、変化幅v2(=|d3-d2|)<閾値th1であり、変化幅v3(=|dx-d1|)<閾値th2である。したがって、時刻t11の開度データ取得に起因して、ステップS2→S300→S301(Yes)→S302(Yes)→S303(No)→S320(Yes)→S322→S323(No)→S400(No)→S1の処理が実行される。
【0058】
このように、図5の例では、時刻t0の後において、時刻t2~t8及びt11の開度データ取得に関しては開度通知の出力は行われず、時刻t1、t9及びt10の開度データ取得に関してのみ開度通知の出力が行われる。ただし、図5の例は説明のために減速を誇張した例であり、実際には、時刻t8と時刻t9の間又は時刻t9と時刻t10の間に開閉の減速が開始され得る。いずれの場合も、時刻t10の変化幅vが閾値th1~th2の範囲に入ることになる。したがって、図4のフローに従うと、時刻t0の後において、時刻t2~t9及びt11の開度データ取得に関しては開度通知の出力は行われず、時刻t1及びt10の開度データ取得に関してのみ開度通知の出力が行われる。
【0059】
以上のように、本実施形態の水門開度通知装置4は、水門2の開度に関する開度ペイロードから変換される開度データを逐次取得し、最新の開度変化の変化率の絶対値(|d2-d1|)を最新変化幅v1と定義し、最新の開度変化の直前の開度変化の変化率の絶対値(|d3-d2|)を直前変化幅v2と定義し、最新変化幅v1及び直前変化幅v2をメモリ47に記憶するデータ収集部42と、直前変化幅v2が閾値th1以上であり、かつ最新変化幅v1が閾値th1未満である場合に、最新変化幅v1を与えた最新の開度データd1を示す開度通知を出力する開閉減速検出部43と、直前変化幅v2及び最新変化幅v1が閾値th1未満であり、かつ最後に出力された開度通知に含まれる開度データから最新の開度データへの変化率の絶対値(v3=|dx-d1|)が閾値th1未満の閾値th2以上である場合に、最新の開度データd1を示す開度通知を出力する微開閉検出部44と、を備える。
【0060】
また、CPU41によって実行される本実施形態の水門開度通知方法は、水門2の開度データを逐次取得し、最新の開度変化の変化率の絶対値(|d2-d1|)を最新変化幅v1と定義し、最新の開度変化の直前の開度変化の変化率の絶対値(|d3-d2|)を直前変化幅v2と定義し、最新変化幅v1及び直前変化幅v2をメモリ47に記憶するステップ(S2)と、直前変化幅v2が閾値th1以上であり、かつ最新変化幅v1が閾値th1未満である場合に、最新変化幅v1を与えた最新の開度データd1を示す開度通知を生成するステップ(S3)と、その開度通知を出力するステップ(S4)と、直前変化幅v2及び最新変化幅v1が閾値th1未満であり、かつ最後に出力された開度通知に含まれる開度データから最新の開度データへの変化率の絶対値(v3=|dx-d1|)が閾値th1未満の閾値th2以上である場合に、最新の開度データd1を示す開度通知を生成するステップ(S3)と、その開度通知を出力するステップ(S4)と、を備える。
【0061】
すなわち、本実施形態によると、直前変化幅v2が閾値th1以上でありかつ最新変化幅v1が閾値th1未満である場合に、最新の開度データd1を示す開度通知が出力される。また、直前変化幅v2及び最新変化幅v1が閾値th1未満でありかつ直近変化幅v3が(閾値th1未満の)閾値th2以上である場合に、最新の開度データd1を示す開度通知が出力される。これにより、水門2が大きく開閉される場合には、開閉速度が閾値未満th1に減速するまで開度通知は出力されず、その後に開度通知が出力されるため、水門2の開閉中の無駄な開度通知の出力が回避される。また、水門2の大きな開閉がないことが判定される場合、開閉速度が(閾値th1未満の)閾値th2以上の場合に開度通知が出力される。これにより、閾値th2以上の変化をもたらす微小な開度変化(経年変化又は微調整)の開度通知が出力される一方で、閾値th2未満の変化しかもたらさない極微小な開度変化(誤検出)の開度通知は出力されない。したがって、水門開度に関してユーザへの開度通知の出力頻度の適正化が可能となる。
【0062】
また、水門開度通知装置4は、開度通知に基づいて、少なくとも、水門2の地理的位置を示すマップ、水門2の識別情報、及び最新の開度データに基づく開度情報を出力する通知処理部46をさらに備える。これにより、水門2の開閉管理に関する表示の視認性及び情報性が向上する。
【0063】
また、水門開度通知装置4は、開度データの最新の開度変化の変化率(d2-d1)の極性に基づいて水門2の開閉動作方向を判定し、その開閉動作方向を示す開閉方向情報を生成する開閉方向判定部45をさらに備え、通知処理部46が、開閉方向情報を出力するように構成される。これにより、水門2の開閉管理に関する表示の直感性が向上する。
【0064】
本実施形態の水門開度通知システム1は、上記の水門開度通知装置4と、水門2に取付けられて開度測定値を取得する開度センサ25と、開度測定値を含む開度ペイロードを生成する開度ペイロード生成部26と、開度ペイロードを発信する通信機27と、を備える。これにより、上記効果を奏する水門開度通知システム1が実現される。
【0065】
<第2の実施形態>
上記第1の実施形態では、水門2の開閉速度が第1の閾値未満まで減速されたことに応じて開度通知を出力する構成を示したが、本実施形態では水門2の開閉速度が減速を開始したことに応じて開度通知を出力する構成を示す。
【0066】
本実施形態による水門開度通知システム1のブロック図は、第1の実施形態のブロック図と同じである。したがって、本実施形態において、第1の実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。本実施形態の水門開度通知装置4では、開閉減速検出部43及び微開閉検出部44の動作が、第1の実施形態のものと異なる。
【0067】
本実施形態の開閉減速検出部43は、最新変化幅v1(|d2-d1|)が直前変化幅v2(|d3-d2|)未満、具体的には、v2-α>v1(α≧0)である場合に、最新変化幅v1を与えた最新の開度データd1を示す開度通知を生成する。開閉減速検出部43は、生成した開度通知を表示部48に出力する。値αは、センサ25の測定誤差を考慮した遊びの範囲に相当する。なお、本開示において、「最新変化幅v1が直前変化幅v2未満である」とは、上記のv2-α>v1(α≧0)を意味するものとする。
【0068】
本実施形態の微開閉検出部44は、直近変化幅v3=|dx-d1|が閾値th2以上閾値th3未満である場合に、最新の開度データd1を示す開度通知を生成する。ここで、閾値th2は、第1の実施形態の閾値th2と同じである。閾値th3は、th2<th3≦th1のいずれかの値であり、デフォルトの設定であってもよいし、入力I/F49からユーザによって設定されてもよいし、サーバ3から管理者によって設定されてもよい。また、第1の実施形態と同様に、開度データdxは、開度通知が過去に生成されている場合には最新の開度通知によって示される開度データ(実質的には、前回の最新の開度データ)であり、開度通知が過去に出力されていない場合には開度データの初期値である。微開閉検出部44は、生成した開度通知を表示部48に出力する。
【0069】
図6に、水門開度通知装置4(CPU41)によって実行される本実施形態の水門開度通知方法のフローチャートを示す。本実施形態のステップS0(メイン、初期化処理)、ステップS1(送信間隔待ち処理)及びステップS2(データ取得処理)は、第1の実施形態のものと同様である。
【0070】
ステップS3(通知判定処理)において、CPU41(開閉減速検出部43、微開閉検出部44)は、開度通知を生成及び出力するか否かを決定する。
【0071】
ステップS300において、CPU41は、開度通知の要/不要を示す戻り値R=不要(0)をセットする。処理は、ステップS301に進む。
【0072】
ステップS301において、CPU41(開閉減速検出部43)は、3個以上の開度データ(すなわち、少なくとも開度データd1~d3)がメモリ47に格納されているか否かを判定する。3個以上の開度データが格納されている場合(ステップS301、Yes)、処理はステップS304に進む。一方、格納されている開度データが2個未満である場合(ステップS301、No)、処理はステップS1に戻る。
【0073】
ステップS304において、CPU41(開閉減速検出部43)は、水門2の開閉動作が減速開始後の状態であるか否か(減速フラグF=1であるか否か)を判定する。なお、ステップS0において、減速フラグFの初期値は0に設定される。減速フラグF=1である場合(ステップS304、Yes)、処理はステップS320に進む。一方、減速フラグF=0である場合(ステップS304、No)、処理はステップS305に進む。
【0074】
ステップS305において、CPU41(開閉減速検出部43)は、最新変化幅v1(=|d2-d1|)が直前変化幅v2(=|d3-d2|)未満であるか否かを判定する。最新変化幅v1が直前変化幅v2未満である場合、すなわち、開閉動作が既に減速した場合(S305、Yes)、処理はステップS306に進む。ステップS306において、開閉減速検出部43は減速フラグFをF=1に設定し、処理はステップS310に進む。一方、最新変化幅v1が直前変化幅v2以上である場合、すなわち、開閉動作が未だ減速していない場合(S305、No)、処理はステップS320に進む。
【0075】
ステップS310において、CPU41(開閉減速検出部43)は、戻り値R=開度通知要(1)をセットする。そして、処理はステップS4(S400)に進む。
【0076】
ステップS320~S322の処理は、第1の実施形態のものと同様である。本実施形態では、ステップS323に代えてステップS324が実行される。
【0077】
ステップS324において、CPU41(微開閉検出部44)は、変化幅v3=|dx-d1|)が閾値th2以上閾値th3未満であるか否かを判定する。変化幅v3が閾値th2以上閾値th3未満である場合、すなわち、開度に微小な変化がある場合(ステップS324、Yes)、処理はステップS325に進む。ステップS325において、微開閉検出部44は減速フラグFをF=0に戻し、処理はステップS310に進む。一方、変化幅v3が閾値th2未満である場合、すなわち、開度に微小な変化がない場合(ステップS324、No)、処理はステップS4(S400)に進む。
【0078】
ステップS400において、CPU41(開閉減速検出部43及び微開閉検出部44)は、戻り値R=1であるか否かを判定する。戻り値R=1の場合(ステップS400、Yes)、処理はステップS410に進み、戻り値R=0の場合(ステップS400、No)、処理はステップS1に戻る。なお、ステップS410~S412における開閉方向判定の処理は、第1の実施形態のものと同様である。
【0079】
ステップS420において、CPU41(開閉減速検出部43及び微開閉検出部44)は、最新の開度データd1を示す開度通知を表示部48に出力する。また、上述したように、通知処理部46は、開度情報が適宜のマップ表示とともに表示されるように開度通知を構成してもよいし、ステップS410~S412において生成された開閉方向情報を開度通知に含めてもよい。
【0080】
図6のフローチャート及び図7のグラフを参照して、本実施形態の水門開度通知の動作を説明する。図7のグラフにおいて、実線は水門2の開度を示し、●印は各データ取得時刻における水門2の変化幅v(本例では開放速度)を示し、横軸は時間を示し、左縦軸は変化幅に対応し、右縦軸は開度(%)に対応する。この例では、水門2(門扉23)が全閉位置(開度0%)から全開位置(開度100%)まで開放するものとし、グラフの開始時点t0において既に3個以上の開度データが取得済みであるものとする。なお、説明の簡明化のために、図6のステップS410~S412は省略されるものとする。
【0081】
時刻t0と時刻t1の間の時刻に水門2の開放動作が開始される。開放開始後の最初の送信間隔後の時刻t1において、減速フラグF=0であり、変化幅v2(=|d3-d2|)<変化幅v1(=|d2-d1|)である。本例でも、変化幅v3(|dx-d1|)≧閾値th3であるものとする。したがって、時刻t1の開度データ取得に起因して、ステップS2→S300→S301(Yes)→S304(No)→S305(No)→S320(Yes)→S322→S324(No)→S400(No)→S1の処理が実行される。
【0082】
時刻t2において、水門2の開放動作は等速動作状態にある。この時点で、減速フラグF=0であり、変化幅v2(=|d3-d2|)=変化幅v1(=|d2-d1|)であり、変化幅v3(|dx-d1|)≧閾値th3である。したがって、時刻t1の時点と同様に、時刻t2の開度データ取得に起因して、ステップS2→S300→S301(Yes)→S304(No)→S305(No)→S320(Yes)→S322→S324(No)→S400(No)→S1の処理が実行される。これと同じ処理が、時刻t3~t7の開度データ取得に起因して実行される。なお、時刻t7と時刻t8の間の時刻に水門2の開放動作が減速を開始するものとする。
【0083】
時刻t8において、水門2の開放動作は減速されている。この時点で、減速フラグF=0であり、変化幅v2(=|d3-d2|)>変化幅v1(=|d2-d1|)である。したがって、時刻t8の開度データ取得に起因して、ステップS2→S300→S301(Yes)→S304(No)→S305(Yes)→S306→S310→S400(Yes)→S420→S1の処理が実行される。ステップS420では、時刻t8で取得した開度データd1を示す開度通知が出力される。
【0084】
時刻t9において、水門2の開放動作は減速後の等速運動状態にある。この時点で、減速フラグF=1であり、閾値th2≦変化幅v3(=|dx-d1|)<閾値th3である。したがって、時刻t9の開度データ取得に起因して、ステップS2→S300→S301(Yes)→S304(Yes)→S320(Yes)→S322→S324(Yes)→S325→S310→S400(Yes)→S420→S1の処理が実行される。ステップS420では、時刻t9で取得した開度データd1を示す開度通知が出力される。
【0085】
時刻t10において、水門2の開放動作は完了されている。この時点で、減速フラグF=0である。また、変化幅v2(=|d3-d2|)>変化幅v1(=|d2-d1|)となるか、又は閾値th2≦変化幅v3(=|dx-d1|)<閾値th3となる。したがって、いずれの場合でも、処理は、時刻t10の開度データ取得に起因して、ステップS2→S300→S301(Yes)→S304(Yes)からステップS310に到達する。そして、S400(Yes)→S420→S1の処理が実行される。ステップS420では、時刻t10で取得した開度データd1(開度100%)を示す開度通知が出力される。
【0086】
時刻t11において、時刻t10に引き続き、水門2の開放動作は停止状態にある。この時点で、減速フラグF=0であり、変化幅v2(=|d3-d2|)=変化幅v1(=|d2-d1|)であり、変化幅v3(=|dx-d1|)<閾値th2である。したがって、時刻t11の開度データ取得に起因して、ステップS2→S300→S301(Yes)→S304(No)→S320(Yes)→S322→S324(No)→S400(No)→S1の処理が実行される。
【0087】
このように、図7の例では、時刻t0の後において、時刻t1~t7及びt11の開度データ取得に関しては開度通知の出力は行われず、時刻t8~t10の開度データ取得に関してのみ開度通知の出力が行われる。ただし、図7の例は説明のために減速を誇張した例であり、実際には、時刻t8と時刻t9の間に開閉の減速が開始され得る。この場合、時刻t9に変化幅v2>変化幅v1となる。したがって、図6のフローに従うと、時刻t0の後において、時刻t2~t8及びt11の開度データ取得に関しては開度通知の出力は行われず、時刻t9及びt10の開度データ取得に関してのみ開度通知の出力が行われる。また、時刻t9と時刻t10の間に開閉の減速が開始され得る。この場合、時刻t10において変化幅v2>変化幅v1となる。したがって、図6のフローに従うと、時刻t0の後において、それぞれ、時刻t2~t9及びt11の開度データ取得に関しては開度通知の出力は行われず、時刻t10の開度データ取得に関してのみ開度通知の出力が行われる。
【0088】
以上のように、本実施形態の水門開度通知装置4は、水門2の開度に関する開度ペイロードから変換される開度データを逐次取得し、最新の開度変化の変化率の絶対値(|d2-d1|)を最新変化幅v1と定義し、最新の開度変化の直前の開度変化の変化率の絶対値(|d3-d2|)を直前変化幅v2と定義し、最新変化幅v1及び直前変化幅v2をメモリ47に記憶するデータ収集部42と、最新変化幅v1が直前変化幅v2未満である場合に、最新変化幅v1を与えた最新の開度データd1を示す開度通知を出力する開閉減速検出部43と、最後に出力された開度通知に含まれる開度データdxから最新の開度データd1への変化率の絶対値(v3=|dx-d1|)が所定範囲(th2~th3)である場合に、最新の開度データd1を示す開度通知を出力する微開閉検出部44と、を備える。
【0089】
また、CPU41によって実行される本実施形態の水門開度通知方法は、水門2の開度データを逐次取得し、最新の開度変化の変化率の絶対値(|d1-d2|)を最新変化幅v1と定義し、最新の開度変化の直前の開度変化の変化率の絶対値(|d3-d2|)を直前変化幅v2と定義し、最新変化幅v1及び直前変化幅v2をメモリ47に記憶するステップ(S2)と、最新変化幅v1が直前変化幅v2未満である場合に、最新変化幅v1を与えた最新の開度データd1を示す開度通知を生成するステップ(S3)と、その開度通知を出力するステップ(S4)と、最後に出力された開度通知に含まれる開度データから最新の開度データへの変化率の絶対値(v3=|dx-d1|)が所定範囲内(th2~th3)にある場合に、最新の開度データd1を示す開度通知を生成するステップ(S3)と、その開度通知を出力するステップ(S4)と、を備える。
【0090】
すなわち、本実施形態によると、最新変化幅v1が直前変化幅v2未満である場合に、最新変化幅v1を与えた最新の開度データd1を示す開度通知が出力される。また、直近変化幅v3が閾値th2~th3の所定範囲にある場合に、最新の開度データd1を示す開度通知が出力される。これにより、水門2が大きく開閉される場合には、開閉速度が減速を開始するまで開度通知は出力されず、その後に開度通知が出力されるため、水門2の開閉中の無駄な開度通知の出力が回避される。また、水門2の開閉に減速がないことが判定される場合、開閉速度が所定範囲(閾値th2~th3)にある場合に開度通知が出力される。これにより、閾値th2~th3の変化をもたらす微小な開度変化(経年変化又は微調整)の開度通知が出力される一方で、閾値th2未満の変化しかもたらさない極微小な開度変化(誤検出)の開度通知は出力されない。したがって、水門開度に関してユーザへの開度通知の出力頻度の適正化が可能となる。
【0091】
また、第1の実施形態と同様に、通知処理部46の作用によって、水門2の開閉管理に関する表示の視認性及び情報性が向上し得る。また、第1の実施形態と同様に、開閉方向判定部45の作用によって、水門2の開閉管理に関する表示の直感性が向上し得る。
【0092】
<プログラム>
なお、上述した各実施形態における水門開度通知装置4を実現する各構成要素及び処理の各ステップは、メモリ47のROMなどに記憶されたプログラムをCPU41が実行することによって実現される。
【0093】
また、上記各実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(図4又は図6に示すフローチャートのステップS0~S4に対応したプログラム)が、水門開度通知装置4に直接に、又は遠隔から供給され得る。したがって、本発明の機能処理を実現するために、水門開度通知装置4にインストールされるプログラムコード自体も本発明に含まれる。すなわち、本発明には、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラムも含まれる。そのプログラムは、コンピュータである水門開度通知装置4を、上記のCPU41(データ収集部42、開閉減速検出部43、微開閉検出部44、開閉方向判定部45及び通知処理部46)の全部又は一部として機能させることができる。このように、本発明は、上記実施形態に示したような作用効果をソフトウェアの導入によって実現できるので、水門開度通知システム1(特に、水門開度通知装置4)の導入容易性を向上することができる。
【0094】
<変形例>
以上に本発明の好適な実施形態を示したが、本発明は、例えば以下に示すように種々の態様に変形可能である。
【0095】
(1)水門の種類
上記各実施形態では、図2に示すような形態の水門2を「水門」として説明したが、本開示において使用される用語「水門」は、樋門、樋管、堰、閘門(閘門を構成する水門)なども含む概念のものである。すなわち、本発明は、水門2だけでなく樋門、樋管、堰、閘門などのための開度通知にも適用可能である。また、上記各実施形態では、スライドゲート(スルースゲート)又はローラーゲートである門扉23が鉛直方向に移動される構成を示したが、本発明は、門扉が水平方向に移動される横引きゲートを有する水門のための開度通知にも適用可能である。
【0096】
(2)開閉方向に応じた閾値の変更
上記第1の実施形態では、水門2の開閉方向にかかわらず同じ閾値th1用いたが、開閉器24の駆動能力(モーター又は作業員の能力)などを考慮して、水門2が開放方向にある場合の閾値th1と閉鎖方向にある場合の閾値th1とを異ならせてもよい。また、上記第1及び第2実施形態では、水門2の開閉方向にかかわらず同じ閾値th2を用いたが、開度センサ25の特性、水流の特徴、気象条件などを考慮して、水門2が開放方向にある場合の閾値th2と閉鎖方向にある場合の閾値th2とを異ならせてもよい。また、上記第2実施形態では、水門2の開閉方向にかかわらず同じ閾値th3を用いたが、開閉器24の駆動能力、開度センサ25の特性、水流の特徴、気象条件などを考慮して、水門2が開放方向にある場合の閾値th3と閉鎖方向にある場合の閾値th3とを異ならせてもよい。
【0097】
(3)実施形態の組合せ
上記では第1の実施形態と第2の実施形態とを別個の実施形態として説明したが、それぞれの実施形態の構成要素を組み合わせて本発明を実施することもできる。すなわち、第1の実施形態のステップS302及びS303に基づく判定結果(戻り値R)及び第2の実施形態のステップS304~S306に基づく判定結果(戻り値R)の論理積又は論理和に基づいて、ステップS400において開度通知出力の可否が決定されてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 水門開度通知システム
2 水門
20 門柱
21 上部戸当り
22 水叩き
23 門扉
24 開閉器
25 開度センサ
26 開度ペイロード生成部
27 通信機
28 電源装置
3 サーバ
4 水門開度通知装置
40 通信部
41 CPU
42 データ収集部
43 開閉減速検出部
44 微開閉検出部
45 開閉方向判定部
46 通知処理部
47 メモリ
48 表示部
480 画面
481 マップ
482 吹き出し
49 入力インターフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7