(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000966
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】浮力駆動装置。
(51)【国際特許分類】
F03B 17/02 20060101AFI20221222BHJP
【FI】
F03B17/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021124813
(22)【出願日】2021-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】500015939
【氏名又は名称】橋口 真二
(72)【発明者】
【氏名】橋口 真二
【テーマコード(参考)】
3H074
【Fターム(参考)】
3H074AA10
3H074AA11
3H074BB19
3H074CC06
(57)【要約】
【課題】液体中における物体の体積増減による浮力の差を利用し、回転体を回転させようとする際に生じる、回転体の回転を阻害する回転方向とは反対のモーメント力を生じさせず、永続的に回転体を回転させることのできる装置を提供する。
【解決手段】液体の液圧のみで、物体の一部である可動部分を上方向へ押し上げ、その力を利用し体積増減方向を水平方向とすることにより、常に、可動部分の中心は固定部分の中心より上にあり、また、体積増減部分の中心と固定部分の中心とを一致させることができ、回転時における回転方向とは反対のモーメント力の発生をなくすことができることを特徴とする装置である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を空洞とし、1面に空洞部分から繋がる開口部を設けた、固定容器1と、
前述の固定容器1の1面に設けた開口部と相対する面に、前述の開口部、前述の空洞部分と一体空間となるように設置した、気体流出入管4と、
前述の固定容器1内に、固定容器1内に設けた前述の開口部、前述の空洞部分、前述の気体流出入管4からなる方向とは直角方向となる、相対する2面部分に取り付けた、複数の可動用ロッド貫通管5―1と、
前述の固定容器1内空洞部分に、前述の可動用ロッド貫通管5―1と向きを同じくする方向に取り付けた、対比歯車固定ロッド2と、
前述の対比歯車固定ロッド2の中央付近に取り付けた、大小の直径の歯車を持つ対比歯車3と、
前述の固定容器1に取り付けた前述の可動用ロッド貫通管5―1の貫通した2面と同じ面の中央付近に設置した、貫通部5-2からなる固定部分と、
前述の複数の可動用ロッド貫通管5―1に挿入した、可動用ロッド貫通管5―1よりも長い、複数の可動用ロッド8と、
前述の貫通部5-2に挿入し、前述の可動用ロッド8と同じ長さであり、前述の対比歯車3の直径大の歯車に作用するよう取り付けた、可動用液圧ロッド9と、
前述の可動用ロッド8と前述の可動用液圧ロッド9の両端に取り付けた、前述の固定容器1の可動用ロッド8、可動用液圧ロッド9の属する面と同じ大きさの各々の可動用プレート6と、
前述の各々の可動用プレート6の周囲と、可動用プレート6と相対する位置にある前述の固定容器1の外面周囲間に取り付けた、可動用伸縮自在板7―1と、
前述の各々の可動用プレート6と前述の各々の固定容器1外面間で、前述の可動用液圧ロッド9を内包する形で取り付けた、液圧ロッド用伸縮自在板7―2からなる液体比重比1以上の素材で作られた可動部分と、
前述の固定容器1開口部分より一回り程大きく、固定容器1開口部と相対する位置にある体積増減用プレート10と、
一端を前述の体積増減用プレート10の中央部分に取り付け、他端を前述の対比歯車3の直径小の歯車から作用を受ける位置に設置した、体積増減用液圧ロッド13と、
前述の固定容器1開口部縁部分と前述の体積増減用プレート10間に取り付けた、複数の体積増加用バネ12と、
前述の固定容器1開口部縁周囲部分と前述の体積増減用プレート10周囲部分間に取り付けた、体積増減用伸縮自在板11からなる体積増減部分とで構成され、
前述の固定部分における中心と体積増減部分の中心とを一致するように調整し組み立てた体積増減装置と、
基礎となる土台20と、
前述の土台20に取り付けた、2本の支柱19と、
前述の2本の支柱19間の上下部分2か所に取り付けた、各々のシャフト15と、
前述の各々のシャフト15に取り付けた、回転自由で同径の上側ホイール16,下側ホイール17と、
前述の上側ホイール16と前述の下側ホイール17間に巻き掛けた、中を中空とし、気体の流れを可能とした無端状の中空ベルト18と、
前述の中空ベルト18の等間隔位置部分に取り付けた、中空ベルト18からの気体の流れが可能な中空部21を持つ複数の接続プレート14とから構成される躯体部分とで、
前述の躯体部分の一部である接続プレート14に、前述の可動部分の一部である可動用プレート6および前述の体積増減部分の一部である体積増減用プレート10が上下方向および水平方向に動くよう前述の体積増減装置の一部である固定部分を取り付け、前述の固定部分の一部である気体流出入管4と前述の接続プレート14の一部である中空部21の位置を合致するよう調整したことを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体中にある物体の浮力の差を利用した、運動エネルギー発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液体中にある物体の体積を外力により増減させ、その物体の体積の増減に掛かる浮力の差により、回転体を回転させ、運動エネルギーを得ようとする考えがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭51-1848
【特許文献1】公開実用昭60-175873
【特許文献2】特願平11-536773
【非特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液体中にある物体の体積を増減しようとするには、対象物体の下側へ錘を取り付け、錘の自重で物体の一部を下側へ引っ張り、その物体の体積を増加させる。または、対象物体の上側へ浮子を取り付け、浮子の浮力で物体の一部を上側へ引っ張り、その物体の体積を増加させる等の考えがあった。
増加した物体の体積を減少させようとする場合は、その物体を反転させることにより、下側にあった錘は物体の上側の位置に、上側にあった浮子は下側の位置になり、錘の自重、浮子の浮力により、物体の増加した体積を減少させることができる。
体積の減少した物体の体積を再び増加させるには、その物体を再び反転させればよいことになる。
このような一連の動きをスムーズに行うには、回転自由な回転体にその物体を取り付け、回転体の回転により物体を反転させ、物体の体積の増減を図る必要がある。
【0006】
これらは、次のような欠点があった。
錘の自重又は浮子の浮力等外力により体積の増加した物体が、回転自由な回転体の上半円上を通過する際、次のような関係になる。
錘の場合、下側へ引っ張り体積を増加させるため、半回転時、想定回転方向とは反対の錘によるモーメント力が生じ、回転を妨げる。
浮子の場合、上側へ引っ張り体積を増加させるため、僅かな浮子の浮力で済むものの、半回転時、想定回転方向とは反対のモーメント力が生じ、回転を妨げる。
従って、これらの方法では、モーメント力は打ち消し合い、回転体を回転させることは出来ない。
本発明は、以上の様な欠点をなくすためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、固定容器1,対比歯車固定ロッド2,対比歯車3,気体流出入管4,可動用ロッド貫通管5―1、貫通部5-2からなる固定部分と、
可動用プレート6、可動用伸縮自在板7―1,液圧ロッド用伸縮自在板7―2,可動用ロッド8、可動用液圧ロッド9からなる液体比重比1以上の素材で作られた可動部分と、
体積増減用プレート10、体積増減用伸縮自在板11、体積増加用バネ12,体積増減用液圧ロッド13からなる体積増減部分とで構成される体積増減装置を、
接続プレート14、中空部21、シャフト15、上側ホイール16、下側ホイール17,中空ベルト18,支柱19、土台20からなる躯体部分に取り付け調整した構成よりなる。
【0008】
固定部分は、
図5で示す構成からなる。
固定容器1の内部を空洞とし、その1面に、空洞部分から繋がる開口部を設け、開口部と相対する面には気体流出入管4を設置し、気体流出入管4~固定容器1内部空洞~固定容器1の開口部面の空間を一体化する。
一体となった空間方向と直角方向となる、相対する2面部分に、その面を貫通する、複数の可動用ロッド貫通管5―1を設ける。
固定容器1内空洞部分に、可動用ロッド貫通管5―1と向きを同じくする対比歯車固定ロッド2を取り付け、その対比歯車固定ロッド2の中央付近に大小の直径の歯車を持つ対比歯車3を取り付ける。
固定容器1の可動用ロッド貫通管5―1の貫通した2面と同じ面の中央付近には、貫通部5-2を設ける。
【0009】
可動部分は、
図6で示す構成となり、液体比重比1以上の素材で作り、可動部分内は本装置の周囲にある液体と同じ液体を注入する。
固定容器1の可動用ロッド貫通管5―1よりも長い複数の可動用ロッド8および可動用ロッド8と同じ長さの可動用液圧ロッド9を、各々の可動用ロッド貫通管5-1および貫通部5-2に挿入し、固定容器1の両端面より外側にある複数の可動用ロッド8および可動用液圧ロッド9の両端に、各々可動用プレート6を取り付ける。
なお、貫通部5-2に挿入した可動用液圧ロッド9は、対比歯車3の直径大の歯車に作用するよう設置する。
各々の可動用プレート6の大きさは、相対する固定容器1の面と同じ大きさとする。
各々の可動用プレート6の周囲には、可動用プレート6が上下に移動しても、その動きに追随できるような伸縮自在の可動用伸縮自在板7―1で囲み、取り付ける。
なお、各々の可動用プレート6に取り付けた可動用液圧ロッド9の周囲にも、可動用プレート6が上下に移動しても、その動きに追随できるような伸縮自在の液圧ロッド用伸縮自在板7―2を、可動用液圧ロッド9を内包するように取り付ける。
【0010】
体積増減部分は、
図7に示す構成からなる。
固定容器1開口部分より一回り程大きな体積増減用プレート10の中央部分に体積増減用液圧ロッド13を取り付ける。体積増減用液圧ロッド13を取り付ける際、対比歯車3の直径小の歯車に作用するよう設置する。
体積増減用プレート10の縁周辺には、複数の体積増加用バネ12を取り付け、常に体積増減用プレート10を外側へ押し続けるように調整する。
体積増減用プレート10の周囲には、体積増減用プレート10が左右に移動してもその動きに追随できる伸縮自在な体積増減用伸縮自在板11を取り付ける。
【0011】
固定部分、可動部分、体積増減部分からなる体積増減装置は、以上のような構成からなり、可動部分の上下可動用プレート6が上側へ上昇した場合、可動用液圧ロッド9も同じく上昇し、対比歯車3の直径大の歯車は回り、対比歯車3の直径小の歯車も回る。そのことにより、体積増減用液圧ロッド13は左右に動くことになる。
つまり、可動部分が上方向へ移動する力を、対比歯車3により増幅された力を得た体積増減用液圧ロッド13と複数の体積増加用バネ12との力の関係により、体積増減部分の容積の増減を図ることとなる。
なお、体積増減部分の中心と固定部分の中心は一致させる。
【0012】
躯体部分は、
図9に示す構成からなる。
基礎となる土台20に2本の支柱19を取り付け、2本の支柱19間の上下部分2か所にシャフト15を取り付け、その各々のシャフト15に回転自由で同径の上側ホイール16,下側ホイール17を取り付ける。
上側ホイール16と下側ホイール17間には、中を中空とし、気体の流れが可能な無端状の中空ベルト18を巻きつけ、巻きつけた中空ベルト18の等間隔位置部分に、中空ベルト18からの気体の流れが可能な中空部21を持つ複数の接続プレート14を取り付ける。
【0013】
上述の体積増減装置を躯体部分の一部である接続プレート14に取り付ける際、可動用プレート6は上下方向に、体積増減用プレート10は水平方向に動くようにする。
体積増減部分の空間部分の容積の増減により、その内部の気体の量も増減する。しかし、各体積増減部分の空間部分は、中空ベルトの中空部分により繋がっており、一体となる空間を形成している。そのため、各体積増減部分の空間部分の容積の増減があったとしても、全ての体積増減部分の空間部分の容積は一定を保つことになる。
【0014】
以上のように、液体の液圧のみで可動部分を上方向へ押し上げ、その力を対比歯車3で数倍にし、体積増減用ロッド13を介し、体積増加用バネ12との関係で体積増減用プレート10を左右に移動させるため、可動部分を液体比重比1以上の素材で作ったとしても、
図1A側、B側において、常に、可動部分の中心は固定部分の中心より上にある。そのため、半回転時に生じる回転を阻害するモーメント力は生じない。
また、体積増減部分の中心と固定部分の中心とを一致させているため、体積増減部分による半回転時に生じる回転を阻害するモーメント力も生じない。
本発明は、物体の回転を阻害するモーメント力を生じさせないようにするために、物体の体積増減に液体の圧力を利用し、その体積増減方向を水平方向にしたことを特徴とする装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、液体の物体に対する液体の圧力(アルキメデスの原理)のみを利用しているため、物体の半回転時において、物体の体積増減に伴うモーメント力のみ生じさせ、想定モーメント力に反するモーメント力を生じさせない駆動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図4】
図3のC―C´、D―D´部分の断面図である。
【
図7】 体積増減装置の体積増減部分の断面図である。
【
図8】 固定部分と接続プレートと中空ベルトの接続部分の断面図および気体の流れ図である。
【
図10】 各位置における液体の圧力による体積増減装置に掛かる力の関係図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明は、固定部分、液体比重比1以上の素材で作られた可動部分、体積増減部分からなる体積増減装置部分と躯体部分で構成されるため、順次説明する。
【0018】
固定部分は、
図5で示す構成よりなる。
固定容器1の内部を空洞とし、その1面に、空洞部分から繋がる開口部を設け、開口部と相対する面には気体流出入管4を設置し、気体流出入管4~固定容器1内部空洞~固定容器1の開口部面の空間を一体化する。
一体となった空間方向と直角方向となる、相対する2面部分に、その面を貫通する、複数の可動用ロッド貫通管5―1を設ける。
固定容器1内空洞部分に、可動用ロッド貫通管5―1と向きを同じくする対比歯車固定ロッド2を取り付け、その対比歯車固定ロッド2の中央付近に大小の直径の歯車を持つ対比歯車3を取り付ける。
なお、固定部分内部は、気体のみとし、液体の注入はない。
【0019】
可動部分は、
図6で示す構成となり、液体比重比1以上の素材で作り、可動部分内は本装置の周囲にある液体と同じ液体を注入する。
固定容器1の可動用ロッド貫通管5―1よりも長い複数の可動用ロッド8および可動用ロッド8と同じ長さの可動用液圧ロッド9を、各々の可動用ロッド貫通管5-1および貫通部5-2に挿入し、固定容器1の両端面より外側にある複数の可動用ロッド8および可動用液圧ロッド9の両端に、各々可動用プレート6を取り付ける。
なお、貫通部5-2に挿入した可動用液圧ロッド9は、対比歯車3の直径大の歯車に作用するよう設置する。
各々の可動用プレート6の大きさは、相対する固定容器1の面と同じ大きさとする。
各々の可動用プレート6の周囲には、可動用プレート6が上下に移動しても、その動きに追随できるような伸縮自在の可動用伸縮自在板7―1で囲み、取り付ける。なお、各々の可動用プレート6に取り付けた可動用液圧ロッド9の周囲にも、可動用プレート6が上下に移動しても、その動きに追随できるような伸縮自在の液圧ロッド用伸縮自在板7―2を取り付ける。
【0020】
体積増減部分は、
図7に示す構成よりなる。
固定容器1開口部分より一回り程大きな体積増減用プレート10の中央部分に体積増減用液圧ロッド13を取り付ける。体積増減用液圧ロッド13を取り付ける際、対比歯車3の直径小の歯車に作用するよう設置する。
体積増減用プレート10の縁周辺には、複数の体積増加用バネ12を取り付け、常に体積増減用プレート10を外側へ押し続けるように調整する。
体積増減用プレート10および体積増減用プレート10の相対する固定容器1の外面の周囲には、体積増減用プレート10が左右に移動してもその動きに追随できる伸縮自在な体積増減用伸縮自在板11を取り付ける。
【0021】
固定部分、可動部分、体積増減部分からなる体積増減装置は
図3に示す構成となる。
固定部分の複数の可動用ロッド貫通管5-1および貫通部5-2に、可動用ロッド貫通管5-1より長い可動用ロッド8および可動用液圧ロッド9を挿入する。
可動用ロッド8および可動用液圧ロッド9の両端には、可動用プレート6を取り付け、各可動用プレート6と相対する位置にある固定容器1の外面の間の周囲を、可動用伸縮自在板7―1で囲み取り付ける。また、各々の可動用プレート6に取り付けた可動用液圧ロッド9部分の周囲にも、各可動用プレート6と相対する位置にある固定容器1の貫通部5-2間の可動用液圧ロッド9を内包するように、液圧ロッド用伸縮自在板7―2を取り付ける。
なお、可動用液圧ロッド9は、固定容器1空洞部分内にある対比歯車3の直径大の歯車に作用するように調整する。
体積増減用プレート10の周囲に取り付けた体積増減用伸縮自在板11を、体積増減用プレート10の相対する固定容器1外面に取り付ける。
体積増減用プレート10の縁周辺に取り付けた複数の体積増加用バネ12の他端は、体積増減用プレート10の相対する固定容器1の開口部周囲に取り付ける。なお、図面では、複数の体積増加用バネ12を内包する形で体積増減用伸縮自在板11を取り付けているが、体積増減用伸縮自在板11で囲った部分の外側に、複数の体積増加用バネ12を取り付けても効果は変わらない。
体積増減用液圧ロッド13は、固定容器1内に取り付けた対比歯車3の直径小の歯車の作用を受けるように設置し、調整する。なお、体積増減用プレート10と固定容器1外面側と体積増減用伸縮自在板11からなる空間の上下の中心を示す
図7点P7と、同じく固定容器1の上下の中心を示す
図5点P5は、
図8に示すとおり、同じレベルの位置とする。
【0022】
このことにより、上側の可動用プレート6、可動用伸縮自在板7―1,固定容器1で囲まれた空間と、複数の可動用ロッド貫通管5-1内と、下側の可動用プレート6、可動用伸縮自在板7―1,固定容器1で囲まれた空間は、上側下側の可動用液圧ロッド9を内包する様に取り付けた液圧ロッド用伸縮自在板7―2内の部分を除き、一体空間となる。なお、その空間内には、本発明装置周囲にある液体と同じ液体が注入されている。
また、気体流出入管4、固定容器1内部空洞、固定容器1の開口部、体積増減用プレート10と体積増減用伸縮自在板11で囲まれた空間および前述の液圧ロッド用伸縮自在板7―2内部は、前述の液体を注入した空間とは区画された別の一体的な空間となり、この空間の中への液体の侵入はない。
【0023】
固定部分の上下にある可動用プレート6は、可動用ロッド8にて一体的に動くことになる。可動用プレート6が上下に動いた場合、可動用プレート6の上下運動に伴い、可動用液圧ロッド9も上下に動くことになる。可動用液圧ロッド9は対比歯車3の直径大の歯車に作用するため、直径小の歯車も回転することになる。この対比歯車3の直径小の歯車が回転することにより、直径小の歯車の作用を受ける体積増減用液圧ロッド13は左右に動くことになり、複数の体積増加用バネ12の影響を受けながら、体積増減用プレート10と体積増減用伸縮自在板11で囲まれた内部容積は増減することになる。
図3において、対比歯車3の直径比を1:5にした場合、下側の可動用プレート6を1の力で上方向へ上げると、5の力で体積増減用プレート10は右側へ動き、体積増減用プレート10と体積増減用伸縮自在板11で囲まれた内部容積は増加、つまり、体積は増加することとなる。
【0024】
躯体部分は、
図9及び
図1、
図2に示す構成よりなる。
基礎となる土台20に2本の支柱19を取り付け、2本の支柱19間の上下部分2か所にシャフト15を取り付け、その各々のシャフト15に回転自由で同径の上側ホイール16,下側ホイール17を取り付ける。
上側ホイール16と下側ホイール17間には、中を中空とし、気体の流れが可能な無端状の中空ベルト18を巻きつけ、巻きつけた中空ベルト18の等間隔位置部分に、中空ベルト18からの気体の流れが可能な中空部21を持つ複数の接続プレート14を取り付ける。
【0025】
体積増減装置と躯体部分との接合(
図8)
接続プレート14の中空部21と固定容器1に設置した気体流出入管4部分を結合させ、可動用プレート6が上下方向になる様に接合させる。
複数の体積増減装置内の空洞空間部分は、中空ベルト18の中空部分を通じ一体となる。従って、複数の体積増減装置内の空洞空間部分内の総容積は一定量を保つこととなり、気体の圧力等による反力は生じない。
【0026】
【0027】
液中における体積増減用装置が受ける液体の圧力他を、
固定部分上側にある可動用プレート6部分=Fd(下向きの力)
固定部分下側にある可動用プレート6部分=Fu(上向きの力)
可動部分内にある液体の重量=W
可動部分の重量=G
体積増減用プレート10部分の液体の圧力=Hx、Hy(それぞれ、
図10におけるX位置、Y位置とする)
体積増加用バネ12の外側へ押す力をS、バネの個数をn
対比歯車の直径大の直径=M、対比歯車の直径小の直径=J、比率P=M/J
とした場合のある位置での力関係は次のようになる。
図10におけるX位置
(Fu―Fd―W―G)×P+Hx―S×n>0の場合、体積増減用プレート10は固定部分側へ移動し、体積増減部分の体積は減少する。
図10におけるY位置
(Fu―Fd―W―G)×P―Hy+S×n>0の場合、体積増減用プレート10は固定部分とは反対側へ移動し、体積増減部分の体積は増加する。
【0028】
図10は、各位置における体積増減装置に掛かる力の関係を表している。
Y点における体積増減装置の状態は、液圧等の影響により、可動部分は上側方向へ移動し、体積増減部分の体積は大となり、浮力も大となる。
X点における体積増減装置の状態は、液圧等の影響により、可動部分は上側方向へ移動し、体積増減部分の体積は小となり、浮力も小となる。
Y点、X点両位置における体積増減装置の各部分の中心は、固定部分の中心と体積増減部分の中心は同レベルであるが、可動部分の中心は固定部分の中心より上にある。
PX、PY点に対する体積増減装置のモーメント力は、前述のとおり可動部分は液体比重比1以上の素材で作られているため、本装置周囲の液体比重、可動部分内の液体の比重、可動部分の部材の密度は同じとなり、発生しない。若しくは、本装置周囲の液体比重比1より重い密度の素材で作られた場合、液体比重比1を超える素材で作られた可動部分の中心は、固定部分の中心より常に左側へ偏るため、PX、PY点に対する体積増減装置のモーメントは次の式で表すことができる。
PX点のモーメント
Mepx≧Mdpx
PY点のモーメント
Mepy≧Mdpy
従って、回転方向のモーメント力は発生しても、打ち消しあうモーメント力は生じることはない。なお、固定部分の中心と体積増減部分の中心は一致しているため、体積増減部分による偏ったモーメント力の発生はない。
【0029】
従って、
図1において、A側とB側では、A側の体積増減装置の浮力の方が大きく、A側の体積増減装置は上方向へ移動し、上側ホイール16を半回転し、B側へ移動する。B側へ移動した体積増減装置は、下側からの液圧の影響を受け、可動用プレート6は上方向へ移動し、体積増減用プレート10は固定部分側へ移動する。つまり、体積増減装置の体積は小となる、体積の小となった体積増減装置は下側ホイール17を半回転し、B側で上側だった可動用プレート6は下側の位置になり、下側からの液圧を強く受ける。下側からの液圧+体積増加用バネ12と体積増減用プレート10に掛かる液圧の関係により、体積増減用プレート10は固定部分とは反対の方向へ移動し、定積増減装置の体積は増となる。
この一連の行為を繰り返すことにより、本発明は、液体中において、液体の圧力のみで駆動することになる。
【実施例0030】
本発明を駆動させるには液体のみが必要であり、液体中に本発明を設置した場合、本発明は地球上どの場所においても季節等関係なく永続的に駆動する。従って、この永続的な駆動を発電機等に接続した場合、永続的に電気エネルギーの供給が可能となる。
電気エネルギーの需要が高まる中、脱炭素の一翼として安全で安定した地球に優しいエネルギーを供給することが出来る。