(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096605
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】テープ貼付装置、樹脂成形システム、テープ貼付方法、および樹脂成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/56 20060101AFI20230630BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20230630BHJP
H01L 21/48 20060101ALI20230630BHJP
B29C 43/18 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
H01L21/56 R
H01L21/68 N
H01L21/96
B29C43/18
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212475
(22)【出願日】2021-12-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北 一平
【テーマコード(参考)】
4F204
5F061
5F131
【Fターム(参考)】
4F204AD05
4F204AD08
4F204AD19
4F204AD35
4F204AH37
4F204FA01
4F204FB01
4F204FB17
4F204FF05
4F204FN11
4F204FN15
4F204FN17
5F061AA01
5F061BA01
5F061CA22
5F061DA01
5F131BA54
5F131CA07
5F131EA07
5F131EC35
5F131EC63
(57)【要約】
【課題】弾性部材に対するテープの未接着部の発生を抑制する。
【解決手段】テープ貼付装置は、テープ保持機構21と、テープ保持機構21と間隔を空けて位置する撓機構23と、テープ保持機構21と撓機構23とを互いに相対的に移動可能に構成されている移動機構とを備えている。撓機構23は、弾性部材32の外周の少なくとも一部を保持可能に構成されている弾性部材保持機構22を備えている。撓機構23は、弾性部材保持機構22に保持された状態の弾性部材32をテープ保持機構21の側に凸に撓ませることが可能に構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ保持機構と、
前記テープ保持機構と間隔を空けて位置する撓機構と、
前記テープ保持機構と前記撓機構とを互いに相対的に移動可能に構成されている移動機構と、を備え、
前記撓機構は、弾性部材の外周の少なくとも一部を保持可能に構成されている弾性部材保持機構を備え、前記弾性部材保持機構に保持された状態の前記弾性部材を前記テープ保持機構の側に凸に撓ませることが可能に構成されている、テープ貼付装置。
【請求項2】
前記撓機構は、前記弾性部材を設置可能なステージを備え、
前記ステージは、前記ステージの外周に窪みを備える、請求項1に記載のテープ貼付装置。
【請求項3】
前記ステージの前記テープ保持機構の側と反対側に位置するベース部をさらに備える、請求項2に記載のテープ貼付装置。
【請求項4】
前記ベース部は、移動不能に構成されている、請求項3に記載のテープ貼付装置。
【請求項5】
前記撓機構は、前記テープ保持機構と前記ベース部とを連結する第1連結軸と、前記第1連結軸の周囲を取り囲むとともに前記テープ保持機構と前記ステージとの間で伸縮可能に構成されている第1弾性部材と、前記ステージと前記ベース部とを連結する第2連結軸と、前記第2連結軸の周囲を取り囲むとともに前記ステージと前記ベース部との間で伸縮可能に構成されている第2弾性部材とを備える、請求項3または請求項4に記載のテープ貼付装置。
【請求項6】
前記第1弾性部材のばね定数は、前記第2弾性部材のばね定数よりも小さい、請求項5に記載のテープ貼付装置。
【請求項7】
前記撓機構は、前記弾性部材の外周の少なくとも一部を前記テープ保持機構に対して前記テープ保持機構の側と反対側に相対的に移動させることにより、前記弾性部材を凸に撓ませることが可能に構成されている、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のテープ貼付装置。
【請求項8】
前記弾性部材の撓みを調節可能に構成されている、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のテープ貼付装置。
【請求項9】
前記テープ保持機構は、前記テープ保持機構と前記弾性部材保持機構とが接触しないように前記弾性部材保持機構の少なくとも一部を収容可能に構成されている凹部を備える、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のテープ貼付装置。
【請求項10】
前記弾性部材は、リードフレームを含む、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のテープ貼付装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のテープ貼付装置を備えた、樹脂成形システム。
【請求項12】
テープ貼付装置を用いたテープ貼付方法であって、
テープ保持機構がテープを保持する工程と、
撓機構のステージに弾性部材を設置する工程と、
前記撓機構が前記テープ保持機構側に凸となるように前記弾性部材を撓ませる工程と、
前記テープ保持機構により保持された前記テープを前記弾性部材の凸となるように撓んだ箇所に接触させる工程と、
前記弾性部材の撓みを解消しながら前記弾性部材に対する前記テープの接触面積を拡大する工程と、を含む、テープ貼付方法。
【請求項13】
前記テープ貼付装置は前記ステージの前記テープ保持機構と反対側に位置するベース部を備え、
前記撓機構は、前記テープ保持機構と前記ステージとの間で伸縮可能に構成されている第1弾性部材と、前記ステージと前記ベース部との間で伸縮可能に構成されている第2弾性部材とをさらに備え、
前記接触させる工程は、前記第1弾性部材が収縮する工程を含む、請求項12に記載のテープ貼付方法。
【請求項14】
前記テープの接触面積を拡大する工程は、前記第1弾性部材および前記第2弾性部材の両方が収縮する工程を含む、請求項13に記載のテープ貼付方法。
【請求項15】
請求項12から請求項14のいずれか1項に記載のテープ貼付方法を用いて前記テープが貼り付けられた前記弾性部材を樹脂成形する樹脂成形工程を含む、樹脂成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、テープ貼付装置、樹脂成形システム、テープ貼付方法、および樹脂成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば特許文献1の
図2Aには、従来のテープ貼付方法の一例が記載されている。この方法においては、まず、受け台の上にチップの搭載面を下にしてリードフレームを設置する。受け台は、リードフレームの外枠である押え部分においてのみリードフレームを支持する。次に、リードフレームのチップの搭載面と反対側の裏面にテープの接着面が位置するようにテープを設置する。
【0003】
次に、ゴム製のローラの円筒側面をテープの裏面(接着面と反対側の面)上に設置してテープをリードフレームの裏面に押し付ける。次に、ローラをテープの裏面に沿って回転させることによって、テープの全体をリードフレームに押し付け、リードフレームにテープを貼り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の従来のテープ貼付方法においては、以下の課題があった。すなわち、マウントおよびボンディング工程で受けた熱履歴や自重によりリードフレームに歪みが発生し、ローラがリードフレームの歪み形状に沿って変形できない場合には、ローラがテープをリードフレームに十分に押し付けることができないことがあった。この場合にはリードフレームにテープの未接着部が発生することがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここで開示された実施形態によれば、テープ保持機構と、テープ保持機構と間隔を空けて位置する撓機構と、テープ保持機構と撓機構とを互いに相対的に移動可能に構成されている移動機構と、を備え、撓機構は、弾性部材の外周の少なくとも一部を保持可能に構成されている弾性部材保持機構を備え、弾性部材保持機構に保持された状態の弾性部材をテープ保持機構側に凸に撓ませることが可能に構成されている、テープ貼付装置を提供することができる。
【0007】
ここで開示された実施形態によれば、上記のテープ貼付装置を備えた樹脂成形システムを提供することができる。
【0008】
ここで開示された実施形態によれば、テープ貼付装置を用いたテープ貼付方法であって、テープ保持機構がテープを保持する工程と、撓機構のステージに弾性部材を設置する工程と、撓機構がテープ保持機構側に凸となるように弾性部材を撓ませる工程と、テープ保持機構により保持されたテープを弾性部材の凸となるように撓んだ箇所に接触させる工程と、弾性部材の撓みを解消しながら弾性部材に対するテープの接触面積を拡大する工程と、を含む、テープ貼付方法を提供することができる。
【0009】
ここで開示された実施形態によれば、上記のテープ貼付方法を用いてテープが貼り付けられた弾性部材を樹脂成形する樹脂成形工程を含む、樹脂成形品の製造方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0010】
ここで開示された実施形態によれば、特許文献1に記載の従来のテープ貼付方法と比べて弾性部材に対するテープの未接着部の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態の樹脂成形システムの一例の機能ブロック図である。
【
図2】実施形態のテープ貼付装置の一例の模式的側面図である。
【
図3】実施形態のテープ貼付方法の一例について図解する模式的側面図である。
【
図4】(a)および(b)は、実施形態のテープ貼付方法の一例を図解する模式的側面図である。
【
図5】(a)~(d)は、実施形態のテープ貼付方法の一例を図解する模式的側面図である。
【
図6】実施形態のテープ貼付装置の他の一例の模式的側面図である。
【
図7】実施形態の樹脂成形装置の一例の模式的断面図である。
【
図8】実施形態の樹脂成形品の製造方法の一例を図解する模式的断面図である。
【
図9】実施形態の樹脂成形品の製造方法の一例を図解する模式的断面図である。
【
図10】実施形態の樹脂成形品の製造方法の一例を図解する模式的断面図である。
【
図11】実施形態の樹脂成形品の製造方法の一例を図解する模式的断面図である。
【
図12】実施形態の樹脂成形品の一例の模式的断面図である。
【
図13】テープ保持機構がなく、弾性部材が載置されていない状態の実施形態のテープ貼付装置の一例の模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態について説明する。なお、実施形態の説明に用いられる図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
【0013】
<樹脂成形システム>
図1は、実施形態の樹脂成形システムの一例の機能ブロック図を示す。
図1に示される樹脂成形システム1000は、樹脂材料を供給することが可能な樹脂供給モジュール1001と、弾性部材にテープを貼り付けることが可能なテープ貼付モジュール1002と、弾性部材を圧縮成形することによって樹脂成形品を製造することが可能な樹脂成形モジュール1003と、成形前の弾性部材を供給可能であるとともに成形後の樹脂成形品を収納可能な供給収納モジュール1004と、制御部1005とを備えている。制御部1005は、樹脂供給モジュール1001と、テープ貼付モジュール1002と、樹脂成形モジュール1003と、供給収納モジュール1004とを制御可能に構成されている。
【0014】
樹脂供給モジュール1001と、テープ貼付モジュール1002と、樹脂成形モジュール1003と、供給収納モジュール1004とは、互いに着脱可能であるとともに交換可能でもある。
【0015】
樹脂供給モジュール1001は、樹脂成形モジュール1003に樹脂材料を供給可能な樹脂材料供給装置を備えている。
【0016】
テープ貼付モジュール1002は、実施形態のテープ貼付装置を備えている。実施形態のテープ貼付装置の詳細については後述する。
【0017】
樹脂成形モジュール1003は、実施形態の樹脂成形装置を備えている。実施形態の樹脂成形装置の詳細については後述する。樹脂成形モジュール1003は複数設けられていてもよい。
【0018】
供給収納モジュール1004は、樹脂成形される前の弾性部材を供給可能な供給装置と、成形後の樹脂成形品を収納可能な収納装置とを備えている。実施形態の樹脂成形装置によって樹脂成形された樹脂成形品は、供給収納モジュール1004に収納される。
【0019】
<テープ貼付装置>
図2に、実施形態のテープ貼付装置の一例の模式的側面図を示す。
図2に示すように実施形態のテープ貼付装置は、テープ保持機構21と、テープ保持機構21と間隔を空けて位置する撓機構23と、テープ保持機構21と撓機構23とを互いに相対的に移動可能に構成されている移動機構(図示せず)とを備えている。撓機構23は、弾性部材(
図2においては図示せず)の外周の少なくとも一部を保持可能に構成されている弾性部材保持機構22を備えており、弾性部材保持機構22に保持された状態の弾性部材をテープ保持機構21の側に凸に撓ませることが可能に構成されている。撓機構23は、弾性部材を設置可能に構成されているステージ23bをさらに備えている。テープ貼付装置は、ステージ23bのテープ保持機構21の側と反対側に位置するベース部24をさらに備えている。
【0020】
テープ保持機構21は、弾性部材に貼り付けるためのテープを保持可能に構成されている。テープ保持機構21がテープを保持する方法は特に限定されないが、たとえば、テープを吸着可能な吸着機構を備えることによりテープを保持可能に構成することができる。
【0021】
テープ保持機構21は、テープ保持機構21と弾性部材保持機構22とが接触しないように、弾性部材保持機構22の少なくとも一部を収容可能に構成されている凹部21aを備えることができる。なお、本願の図面においては、凹部21aのすべてがテープ保持機構21の下面内に収容されている構成について記載されているが、凹部21aの一部がテープ保持機構21の側面から外側に開放されている構成とされてもよい。
【0022】
撓機構23は、テープ保持機構21とベース部24とを連結する第1連結軸23dと、第1連結軸23dの外周を取り囲みテープ保持機構21とステージ23bとの間で伸縮可能に構成されている第1弾性部材23aと、ステージ23bとベース部24とを連結する第2連結軸23eと、第2連結軸23eの外周を取り囲みステージ23bとベース部24との間で伸縮可能に構成されている第2弾性部材23cとをさらに備えている。ステージ23bの中央には空洞232bが設けられている。第1弾性部材23aのばね定数は、たとえば、第2弾性部材23cのばね定数よりも小さくすることができる。
【0023】
弾性部材保持機構22は、ステージ23b上に設置される弾性部材の外周の少なくとも一部を保持可能に構成されている。弾性部材保持機構22が弾性部材の外周の少なくとも一部を保持する方法は特に限定されないが、本実施形態において、弾性部材保持機構22は、たとえば、ステージ23bと向かい合う押さえ部22aを備えており、押さえ部22aが弾性部材の外周の少なくとも一部をステージ23bに押さえ付けることによって、ステージ23b上に設置される弾性部材の外周の少なくとも一部を保持可能に構成されている。弾性部材保持機構22は、また、たとえば、弾性部材の外周の少なくとも一部を把持する構成により弾性部材の外周の少なくとも一部を保持してもよい。また、弾性部材保持機構22は、テープ貼付装置に固定されている軸を中心として回転することにより、ステージ23bに対する押さえ部22aの角度を変更可能に構成されていてもよい。
【0024】
ベース部24は、テープ貼付装置において移動不能に構成されている。これにより、ベース部24は、第1連結軸23dおよび第2連結軸23eをテープ貼付装置に固定している。したがって、第1連結軸23dおよび第2連結軸23eも、テープ貼付装置において移動不能に構成されている。
【0025】
図13に、テープ保持機構がなく、弾性部材が載置されていない状態の実施形態のテープ貼付装置の一例の模式的な平面図を示す。
図13に示す例においては、第1連結軸23dとその外周を取り囲む第1弾性部材23aとのセットが4セット設けられており、第2連結軸23eとその外周を取り囲む第2弾性部材23cとのセットも4セット設けられている。また、
図13に示す例において、ステージ23bの空洞232bの平面形状は、たとえば、後述する弾性部材の矩形の平面形状に対応する矩形とすることができる。また、ステージ23bの下方にはベース部24が位置している。
【0026】
<テープ貼付方法>
以下、
図3、
図4(a)、
図4(b)および
図5(a)~
図5(d)の模式的側面図を参照して、実施形態のテープ貼付方法の一例について説明する。まず、
図3に示すように、テープ保持機構21がテープ31を保持する工程と、撓機構23のステージ23bに弾性部材32を設置する工程とを行う。
【0027】
テープ保持機構21がテープ31を保持する工程は、たとえば、テープ保持機構21がテープ31を吸着することにより行うことができる。テープ31としては、弾性部材32に接着可能であるテープを特に限定なく用いることができるが、たとえば、後述する樹脂成形時の樹脂漏れの発生および樹脂成形後の樹脂バリの発生を抑制することが可能なテープを用いることができる。
【0028】
撓機構23のステージ23bに弾性部材32を設置する工程は、たとえば、以下のように行うことができる。まず、弾性部材保持機構22の押さえ部22aがテープ貼付装置の外側に開くように押さえ部22aを回転させる。次に、弾性部材32の外周の少なくとも一部が弾性部材保持機構22の押さえ部22aとステージ23bとの間に位置するようにステージ23b上に弾性部材32を載置することにより行うことができる。弾性部材32としては、弾性を有する部材を特に限定なく用いることができるが、たとえば、一方の面に少なくとも1つのチップが固定されたリードフレームを用いることができる。弾性部材32としてのリードフレームは、ステージ23bの中央に設けられた空洞232bにチップ(図示せず)が位置するように、ステージ23b上に設置することができる。
【0029】
テープ保持機構21がテープ31を保持する工程と、撓機構23のステージ23bに弾性部材32を設置する工程との順序は特に限定されない。これらの工程においては、第1弾性部材23aはその上方に配置された部材の自重により収縮しているが、第2弾性部材23cは収縮していない。
【0030】
次に、
図4(a)に示すように、撓機構23がテープ保持機構21側に凸となるように弾性部材32を撓ませる工程を行う。この工程は、たとえば、押さえ部22が弾性部材32の外周の少なくとも一部を押さえるように押さえ部22をテープ貼付装置の内側に回転させること等により弾性部材32の外周の少なくとも一部をテープ保持機構21に対してテープ保持機構21の側と反対側に相対的に移動させることにより行うことができる。この工程においては、第1弾性部材23aはその上方に配置された部材の自重により収縮している状態のままであるが、第2弾性部材23cは収縮していない。なお、弾性部材32の撓みは、たとえば、押さえ部22の回転の程度を調節すること等によって調節することが可能である。
【0031】
このとき、
図4(b)に示すように、弾性部材32の外周の少なくとも一部は弾性部材保持機構22の押さえ部22aによってステージ23bの窪み230bの側に押さえ付けられており、押さえ部22aによって押さえ付けられていない弾性部材32の箇所がステージ23bの外周よりも内側の面231bに接触している。ステージ23bの窪み230bは、ステージ23bの外周よりも内側の面231bに対してベース部24側に窪むようにして構成されている。なお、
図4(b)、後述の
図5(b)および
図5(d)において、参照符号230bは、窪み230bの下面を図示している。
【0032】
次に、
図5(a)に示すように、テープ保持機構21により保持されたテープ31を弾性部材32の凸に撓んだ箇所に接触させる工程を行う。この工程は、たとえば、図示しない移動機構が、ステージ23bに向かってテープ保持機構21を移動させることによって行うことができる。この工程において、テープ31を接触させる箇所は弾性部材32の凸の頂点であってもよいが、凸の頂点である必要はなく、弾性部材32の凸に撓んでいる箇所のいずれかであればよい。この工程においても、弾性部材32の外周の少なくとも一部は、たとえば、
図5(b)に示すように、弾性部材保持機構22の押さえ部22aによってステージ23bの外周の窪み230bに押さえられたままである。この工程においては、テープ保持機構21の移動に伴って、第1弾性部材23aは上記の弾性部材32を撓ませる工程における状態からさらに収縮し、第2弾性部材23cはその上方に配置された部材の自重およびテープ保持機構21の移動に伴って収縮した第1弾性部材23aの力により収縮を開始する。なお、この工程において、弾性部材保持機構22は、ベース部24に対して相対的に静止した状態で維持される。
【0033】
次に、弾性部材32の凸の撓みを解消しながら弾性部材32に対するテープ31の接触面積を拡大する工程を行う。この工程は、たとえば、図示しない移動機構が、テープ保持機構21により保持されたテープ31を弾性部材32の凸に撓んだ箇所に接触させた状態からステージ23bに向かってテープ保持機構21をさらに移動させることによって行うことができる。この工程においては、テープ保持機構21の移動に伴って、第1弾性部材23aは上記の接触させる工程における状態からさらに収縮していくとともに、第2弾性部材23cもその上方に配置された部材の自重およびテープ保持機構21の移動に伴って収縮した第1弾性部材23aの力により上記の接触させる工程における状態からさらに収縮していく。なお、この工程においても、弾性部材保持機構22は、ベース部24に対して相対的に静止した状態で維持される。
【0034】
図5(c)は、弾性部材32に対するテープ31の貼り付けが完了した状態を示している。
図5(c)に示すように、弾性部材32に対するテープ31の貼り付けが完了した段階では、テープ保持機構21と弾性部材保持機構22とが接触しないように、弾性部材保持機構22の押さえ部22aはテープ保持機構21の凹部21a内に収容されている。また、
図5(d)に示すように、弾性部材32の外周の少なくとも一部は、弾性部材保持機構22の押さえ部22aおよびステージ23bの外周の窪み230bのいずれにも接していない。このとき、テープ31の貼り付け後の弾性部材32は、ステージ23bの外周の内側の面231bに支持されることになる。
【0035】
その後、テープ保持機構21およびステージ23bが
図3の位置に戻される。その後、弾性部材保持機構22からテープ31の貼り付け後の弾性部材32が取り出される。
【0036】
実施形態のテープ貼付装置およびテープ貼付方法の一例は、弾性部材32を凸に撓ませて、弾性部材32の凸に撓ませた箇所にテープ31を接触させて、弾性部材32の凸の撓みを解消しながら弾性部材32に対するテープ31の接触面積を拡大することによってテープ31を貼り付けていく。そのため、実施形態のテープ貼付装置およびテープ貼付方法の一例においては、テープ31と弾性部材32との間の空気を逃がしながらテープ31を弾性部材32に貼り付けていくことができることから、テープ31と弾性部材32との間の気泡の発生を抑制することができるとともに、貼り付けられたテープ31のシワの発生も抑制することができる。したがって、実施形態のテープ貼付装置およびテープ貼付方法の一例は、上述の特許文献1に記載の方法と比べて、弾性部材32に対するテープ31の未接着部の発生を抑制することができる。
【0037】
また、実施形態のテープ貼付装置およびテープ貼付方法の一例においては、弾性部材32の外周の少なくとも一部のみを保持してテープ31の貼り付けが可能となるため、弾性部材32のテープ31の貼り付け面と反対側にたとえばチップ固定領域等の他の部材と接触不可な領域がある場合でも、弾性部材32へのテープ31の貼り付けが可能となる。
【0038】
また、実施形態のテープ貼付装置およびテープ貼付方法の一例においては、自重により弾性部材32が撓む側(たとえばリードフレームのチップの固定側)と反対側に凸に撓ませてテープ31を貼り付けるため、弾性部材32の自重による撓みを考慮することなく、弾性部材32にテープ31を貼り付けることが可能となる。
【0039】
また、実施形態のテープ貼付装置およびテープ貼付方法の一例においては、第1弾性部材23aおよび第2弾性部材23cが上述のように収縮することによって、弾性部材32の凸の撓ませ時および弾性部材32へのテープ31の貼り付け時における弾性部材32の急激な変形を抑制することができる。そのため、弾性部材32に負担をかけることなく、弾性部材32にテープ31を貼り付けることが可能となる。
【0040】
なお、上述の実施形態においては、実施形態のテープ貼付装置の一例として、テープ保持機構21を上側に配置するとともに撓機構23を下側に配置した構成について説明したが、実施形態のテープ貼付装置の他の一例として、たとえば、
図6の模式的側面図に示すように、撓機構23を上側に配置するとともにテープ保持機構21を下側に配置した構成としてもよい。
【0041】
<樹脂成形装置>
図7に、実施形態の樹脂成形装置の一例の模式的断面図を示す。
図7に示す実施形態の樹脂成形装置1は、圧縮成形型10を備えている。圧縮成形型10は第1型110と、第1型110に向かい合って第1型110よりも上方に配置された第2型120とを備えている。
【0042】
第1型110は、側面部材111と、底面部材112とを備えている。側面部材111は、底面部材112の周囲を取り囲むように配置されている。
【0043】
底面部材112は、樹脂材料を配置可能な上面112aと、上面112aの周縁から下方に延在する摺動面112bとを備えている。底面部材112の摺動面112bは、側面部材111の内周面111aと接しており、側面部材111の内周面111aに対して摺動可能に構成されている。
【0044】
樹脂成形装置1は、上部固定盤121と、下部固定盤122と、可動盤115とをさらに備えている。上部固定盤121と下部固定盤122との間には、複数の支柱部116が鉛直方向に延在している。複数の支柱部116のそれぞれの一端が上部固定盤121に固定され、他端が下部固定盤122に固定されている。また、側面部材111と可動盤115との間には、弾性体114が設けられている。
【0045】
樹脂成形装置1は、下部固定盤122における複数の支柱部116の間に、第1駆動機構117をさらに備えている。第1駆動機構117は、可動盤115を、上方および下方に移動可能に構成されている。上部固定盤121および下部固定盤122は固定されて移動不能に構成されている。そのため、可動盤115は、上部固定盤121および下部固定盤122に対して相対的に移動可能である。また、第1駆動機構117は、可動盤115を介して、側面部材111および底面部材112を、上方および下方に移動可能、すなわち昇降可能に構成されている。
【0046】
樹脂成形装置1は、可動盤115の内部に、第2駆動機構118をさらに備えている。第2駆動機構118は、底面部材112を、上方および下方に移動可能、すなわち昇降可能に構成されている。これにより、底面部材112は、側面部材111に対して相対的に移動可能である。
【0047】
<樹脂成形品の製造方法>
以下、
図8~
図12の模式的断面図を参照して、実施形態の樹脂成形品の製造方法の一例について説明する。まず、
図8に示すように、第2型120に成形対象物201を設置する工程を行うとともに、樹脂材料202を供給する工程を行う。成形対象物201としては、上述の実施形態のテープ貼付装置およびテープ貼付方法の一例によってテープ31が貼り付けられた弾性部材32が用いられる。
【0048】
第2型120に成形対象物201を設置する工程は、たとえば、テープ31が貼り付けられた側の弾性部材32の面が第2型120側となるように、第2型120に成形対象物201を設置することにより行うことができる。
【0049】
樹脂材料202を供給する工程は、たとえば、側面部材111の内周面111aおよび底面部材112の上面112aで構成されたキャビティ内に樹脂材料202を供給することにより行なうことができる。
【0050】
なお、第2型120に成形対象物201を設置する工程と、樹脂材料202を供給する工程との順序は特に限定されない。
【0051】
次に、
図9に示すように、第2型120側に第1型110を移動させる工程を行なう。第2型120側に第1型110を移動させる工程は、たとえば、第1駆動機構117によって、可動盤115を第2型120の方向に移動させることにより行うことができる。
【0052】
次に、樹脂材料202を用いて成形対象物201を樹脂成形する工程を行なう。樹脂材料202を用いて成形対象物201を樹脂成形する工程は、たとえば、以下のように行うことができる。
【0053】
まず、
図10に示すように、樹脂材料202を加熱することにより溶融して溶融樹脂202aにするとともに、第2駆動機構118によって底面部材112の上面112aを押し上げる。このとき、底面部材112の摺動面112bが側面部材111の内周面111aに対して摺動しながら、底面部材112が側面部材111に対して相対的に上方に移動する。
【0054】
次に、
図11に示すように、底面部材112の上面112aを押し上げた状態で溶融樹脂202aの加熱をさらに進めて硬化させ、硬化樹脂202bとする。
【0055】
その後、たとえば
図12の模式的断面図に示されるように、圧縮成形型10から樹脂成形後の成形対象物201を取り出すことによって、テープが貼り付けられた弾性部材に固定されたチップが硬化樹脂202bで封止された樹脂成形品301を得ることができる。
【0056】
実施形態の樹脂成形品の製造方法の一例においては、弾性部材に対するテープの未接着部の発生が抑制された状態で、弾性部材のテープの貼り付け側と反対側に固定されたチップの樹脂封止が可能となる。そのため、実施形態の樹脂成形品の製造方法の一例においては、上述の特許文献1に記載の従来のテープ貼付方法と比べて、樹脂成形時におけるテープ31からの樹脂漏れの発生および樹脂成形後の樹脂バリの発生を抑制して樹脂成形品を製造することができる。
【0057】
なお、上記においては、実施形態の樹脂成形品の製造方法の一例として圧縮成形により樹脂成形品の製造を行う場合について説明したが、たとえば、トランスファー成形等の他の樹脂成形方法により樹脂成形品の製造を行ってもよい。
【0058】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0059】
ここで開示された実施形態によれば、テープ貼付装置、樹脂成形システム、テープ貼付方法、および樹脂成形品の製造方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 樹脂成形装置、10 圧縮成形型、21 テープ保持機構、21a 凹部、22 弾性部材保持機構、22a 押さえ部、23 撓機構、23a 第1弾性部材、23b ステージ、23c 第2弾性部材、23d 第1連結軸、23e 第2連結軸、24 ベース部、31 テープ、32 弾性部材、110 第1型、111 側面部材、111a 内周面、112 底面部材、112a 上面、112b 摺動面、114 弾性体、115 可動盤、116 支柱部、117 第1駆動機構、118 第2駆動機構、120 第2型、121 上部固定盤、122 下部固定盤、201 成形対象物、202 樹脂材料、202a 溶融樹脂、202b 硬化樹脂、230b 窪み、231b 面、232b 空洞、301 樹脂成形品、1000 樹脂成形システム、1001 樹脂供給モジュール、1002 テープ貼付モジュール、1003 樹脂成形モジュール、1004 供給収納モジュール、1005 制御部。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ保持機構と、
前記テープ保持機構と間隔を空けて位置する撓機構と、
前記テープ保持機構と前記撓機構とを互いに相対的に移動可能に構成されている移動機構と、を備え、
前記撓機構は、弾性部材の外周の少なくとも一部を保持可能に構成されている弾性部材保持機構を備え、前記弾性部材保持機構に保持された状態の前記弾性部材を前記テープ保持機構の側に凸に撓ませることが可能に構成されている、テープ貼付装置であって、
前記撓機構は、前記弾性部材を設置可能なステージを備え、
前記テープ貼付装置は、前記ステージの前記テープ保持機構の側と反対側に位置するベース部をさらに備え、
前記撓機構は、前記テープ保持機構と前記ベース部とを連結する第1連結軸と、前記第1連結軸の周囲を取り囲むとともに前記テープ保持機構と前記ステージとの間で伸縮可能に構成されている第1弾性部材と、前記ステージと前記ベース部とを連結する第2連結軸と、前記第2連結軸の周囲を取り囲むとともに前記ステージと前記ベース部との間で伸縮可能に構成されている第2弾性部材とをさらに備える、テープ貼付装置。
【請求項2】
前記ステージは、前記ステージの外周に窪みを備える、請求項1に記載のテープ貼付装置。
【請求項3】
前記ベース部は、移動不能に構成されている、請求項1または請求項2に記載のテープ貼付装置。
【請求項4】
前記第1弾性部材のばね定数は、前記第2弾性部材のばね定数よりも小さい、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のテープ貼付装置。
【請求項5】
前記撓機構は、前記弾性部材の外周の少なくとも一部を前記テープ保持機構に対して前記テープ保持機構の側と反対側に相対的に移動させることにより、前記弾性部材を凸に撓ませることが可能に構成されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のテープ貼付装置。
【請求項6】
前記弾性部材の撓みを調節可能に構成されている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のテープ貼付装置。
【請求項7】
前記テープ保持機構は、前記テープ保持機構と前記弾性部材保持機構とが接触しないように前記弾性部材保持機構の少なくとも一部を収容可能に構成されている凹部を備える、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のテープ貼付装置。
【請求項8】
前記弾性部材は、リードフレームを含む、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のテープ貼付装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のテープ貼付装置を備えた、樹脂成形システム。
【請求項10】
テープ貼付装置を用いたテープ貼付方法であって、
テープ保持機構がテープを保持する工程と、
撓機構のステージに弾性部材を設置する工程と、
前記撓機構が前記テープ保持機構側に凸となるように前記弾性部材を撓ませる工程と、
前記テープ保持機構により保持された前記テープを前記弾性部材の凸となるように撓んだ箇所に接触させる工程と、
前記弾性部材の撓みを解消しながら前記弾性部材に対する前記テープの接触面積を拡大する工程と、を含み、
前記テープ貼付装置は前記ステージの前記テープ保持機構と反対側に位置するベース部を備え、
前記撓機構は、前記テープ保持機構と前記ステージとの間で伸縮可能に構成されている第1弾性部材と、前記ステージと前記ベース部との間で伸縮可能に構成されている第2弾性部材とをさらに備え、
前記接触させる工程は、前記第1弾性部材が収縮する工程を含む、テープ貼付方法。
【請求項11】
前記テープの接触面積を拡大する工程は、前記第1弾性部材および前記第2弾性部材の両方が収縮する工程を含む、請求項10に記載のテープ貼付方法。
【請求項12】
請求項10または請求項11に記載のテープ貼付方法を用いて前記テープが貼り付けられた前記弾性部材を樹脂成形する樹脂成形工程を含む、樹脂成形品の製造方法。