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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096608
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】ホエイ蛋白含有食品の品質調整方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/00 20160101AFI20230630BHJP
   A23L 33/19 20160101ALN20230630BHJP
   A23L 2/66 20060101ALN20230630BHJP
   A23L 2/52 20060101ALN20230630BHJP
【FI】
A23L5/00 M
A23L33/19
A23L2/00 J
A23L2/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212482
(22)【出願日】2021-12-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】513289558
【氏名又は名称】株式会社NKホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100178331
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 宏二
(72)【発明者】
【氏名】岡田 信樹
【テーマコード(参考)】
4B018
4B035
4B117
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LB10
4B018MD04
4B018MD05
4B018MD09
4B018MD10
4B018MD20
4B018MD71
4B018ME02
4B018ME14
4B035LC16
4B035LE02
4B035LE03
4B035LG01
4B035LG02
4B035LG06
4B035LG08
4B035LG11
4B035LG15
4B035LG44
4B035LK13
4B117LC02
4B117LC04
4B117LK01
4B117LK15
4B117LK18
4B117LL06
(57)【要約】
【課題】本発明は、上記の未達の問題に鑑みてなされたものであり、特にホエイ蛋白濃縮物を含有する食品を摂取しやすくした酸性飲食品において、泡立ちがなく、ダマのない高品質の調製がされ、摂取時のストレスを無くした堅牢性の良い技術を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明によれば、ホエイ蛋白濃縮物を含む調製液に対し、グリセリン脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪酸エステルから選ばれた少なくとも1種類の消泡剤を添加し、さらに二酸化ケイ素又は乳清カルシウムから選ばれた少なくとも1種類の溶解剤を添加してなるホエイ含有食品の品質調製方法が提供され、当該調製方法によって得られるホエイ蛋白含有食品は、食感の良い所望の品質を有するものである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホエイ蛋白含有食品の品質調製方法であって、ホエイ蛋白濃縮物を含む調製液に対し、グリセリン脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪酸エステルから選ばれた少なくとも1種類の消泡剤を添加し、さらに二酸化ケイ素又は乳清カルシウムから選ばれた少なくとも1種類の溶解剤を添加してなるホエイ蛋白含有食品の品質調製方法。
【請求項2】
ホエイ蛋白濃縮物を含む調製液には、クエン酸及び/又はその塩を含む請求項1に記載されたホエイ蛋白含有食品の品質調製方法。
【請求項3】
ホエイ蛋白濃縮物1に対し、グリセリン脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪酸エステルから選ばれた少なくとも1種類の消泡剤0.1~6重量%を添加し、さらに二酸化ケイ素又は乳清カルシウムから選ばれた少なくとも1種類の溶解剤0.1~6重量%を添加してなる請求項1乃至2のいずれかに記載のホエイ蛋白含有食品の品質調製方法。
【請求項4】
請求項1~3いずれかに記載の調製方法によって製造された食感の良いホエイ蛋白含有食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホエイ蛋白に由来する気泡性と溶解性の問題を解決し、食味食感の改善にも寄与する特定の組成物とその品質調製方法に関するものである。
【0002】
さらに詳細には、ホエイ蛋白含有食品の品質調製方法であって、ホエイ蛋白濃縮物を含む調製液に対し、グリセリン脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪酸エステルから選ばれた少なくとも1種類の消泡剤を添加し、さらに二酸化ケイ素又は乳清カルシウムから選ばれた少なくとも1種類の溶解剤を添加してなるホエイ含有食品の品質調製方法と当該方法によって製造されたホエイ蛋白含有食品に関するものである。
【背景技術】
【0003】
ヒトのカラダは、水分と脂質を除くとほとんどがタンパク質でできており、その種類は3万にも及ぶとされている。タンパク質は、胃と腸で消化されアミノ酸に分解されたのち腸から吸収される。吸収されたアミノ酸は、体内でさまざまなアミノ酸と再び結合して再合成タンパク質となり、筋肉、臓器や皮膚、爪などの主成分も蛋白質で構成される。筋肉は水分を除くと約80%がタンパク質からできている。
【0004】
タンパク質は、日常生活の活動源として必須の栄養素であり、日々、バランス良く摂取することが重要であるが、その摂取方法は、ライフスタイルや年齢によっても様々である。
【0005】
また、いわゆる必須アミノ酸は、人体の構成上不可欠であるが、体外から補充する必要があることから、健康維持のために、食事を通じて必須アミノ酸が含まれるタンパク質食品を補給することが欠かせない。この点、肉、魚、卵、納豆等の大豆食品や乳製品といったタンパク質に分類される食品は、必須アミノ酸が豊富に含まれており良質なタンパク質源であることから栄養補給源の中心である。
【0006】
よって、一般健常人の日常生活においては、高タンパク食品を偏りなく組合せるのが良いが、例えば、強い筋肉運動を必要とするスポーツ選手にとっては、エネルギー消費と供給の関係で、適時の量供給とそのタイミング、及び摂取後の利用効率を加味した吸収の良い素材選択等の課題があり、アスリート用に特別デザインされた栄養源の商品開発と提供が必要である。
【0007】
このようなニーズにおいては、プロテインサプリメントが汎用されている。プロテインといっても様々なものがあるが、中でもホエイプロテインがよく使われている。その理由は、筋肉でエネルギーとなる必須アミノ酸BCAA(必須アミノ酸「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」の総称)を豊富に含み、これらは、消化吸収が早く利用効率にも優れている点で、アスリート用の補給栄養源として理に適っているからである。
【0008】
一方、ホエイプロテインに限らずとも、プロテイン一般においては、摂取時におけるいくつかの問題がある。
すなわち、特にタンパク質は、食感と呈味におとり、直接の摂取には、まずさゆえの苦痛を伴う。飲食形態としては、摂取時にパウダーを水やお湯に溶かして行なうが、食味改善のために香料や甘味料添加、あるいは果汁の配合によって味付けをし、摂取しやすい加工を施したサプリメントの提供がおこなわれている。
【0009】
しかしながら、呈味上の改善はされても、添加物の組み合わせによっては栄養剤全体で酸性を帯びることが多く、あるいは一定の防腐効果を期待して敢えて酸性に調整することも多い。このような酸性飲食料品を上記飲食形態で摂取する場合には、摂取時を含めた用時調製時の溶解性が問題となる。特に、ダマができていわゆるママコになることが多い。撹拌が過ぎると気泡が増え、例えば、舌触りや喉ごしにも影響が大きく、一層の飲みづらさも発生する。
【0010】
このような問題に対して、特定の添加物を利用した試みがあり、ある程度の改善はみられるものの、上記全ての問題を同時に解決する技術としては未だ不十分である。
例えば、特許文献1によれば、栄養補助食品等に好適な、タンパク質及び/又はタンパク加水分解物を含有する酸性飲食品の製造方法に関する技術が開示されている。
当該技術は、(1)タンパク質及び/又はタンパク加水分解物を含有する原料と、(2)大豆多糖類を含有する原料と、(3)酸味料を含有する原料とを配合して成る酸性飲食品を製造する際、それらの原料の添加順序を制御することで 、凝集、沈殿、相分離などによる酸性飲食品中の成分の不均一化を防ぐものであるが、その目的は、当該技術を、栄養価が高く消化吸収性に優れたタンパク質又はタンパク加水分解物補給用飲食品の製造方法として利用することにある。
【0011】
特許文献2によれば、酸性媒体中で安定な、乳タンパク質を含有する粉末および液体の製造方法が開示されている。具体的には、水、乳またはジュースと混合して安定で高タンパク質の酸性化飲料を形成しうる粉末の製造方法を開示する。
また、当該特許技術は、酸性媒体中で安定な、炭酸入りの香味付き乳飲料または炭酸入りの香味付き酸性化乳飲料の製造方法にも応用できるものである。
さらには、安定化した酸成分と安定化したタンパク質成分とをブレンドして酸性化したタンパク質成分を形成することによる、ヨーグルトスタイルの飲料およびクリームチーズを製造する方法をも開示する。
【0012】
しかしながら、特許文献1及び2のいずれにおいても、ホエイ蛋白質濃縮物を含む酸性化飲食料の摂取の問題、味、溶解性および消泡性を加味した技術提供については不十分である。
【0013】
特許文献3によれば、栄養強化用の粉末食品が開示され、当該粉末食品は、消化器外科手術患者や高齢者あるいは低栄養状態などの患者に対し、多量の良たんぱく質を暖かな食事として効率的に摂取すべく提供されるものである。
特には、70~100℃の水に難溶解性の乳清たんぱく質にレシチンを含有させることにより、「ままこ」や「だま」と呼ばれる塊になることなく溶解することができる技術を提供することで、上記対象者に対して経口摂取しやすい栄養強化用粉末食品を提供するものである。
当該技術は、対象が嚥下機能の低下した患者や老人であることから、緊急的な栄養補給を重視し、その点においては貢献する技術であるが、日常、食の基本であるより美味しく摂取するという点が不十分である。
【0014】
コロナ禍という有事においては、ホエイ蛋白含有食品は、日常の健康志向の高まりとともに需要は拡大し、平時とは異なる市場拡大も期待できるものである。
上記のとおり、BCAAを含み消化吸収に優れた点を損なうことなく、いつでも手軽に素早く摂取することができる栄養剤として、ホエイ蛋白含有食品のさらなる開発が待たれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2007-215474号公報
【特許文献2】特表2011-500015号公報
【特許文献3】特開2013-128418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記の未達の問題に鑑みてなされたものであり、特にホエイ蛋白濃縮物を含有する食品を摂取しやすくした酸性飲食品において、泡立ちがなく、ダマ発生のない高品質の調製がされ、摂取時のストレスを無くした堅牢性の良い技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者は、上記の課題を解決すべく、ホエイ蛋白含有の食品につき、酸性調製下において、呈味を損なわず、かつ、主素材のホエイ蛋白に起因する起泡が抑制できる素材および溶解性を向上する素材のスクリーニングを実施し、各機能素材の組合せを検討した。
その結果、特定の成分組成で構成される組成物が所望の効果を発揮することを見出し、本発明を完成した。具体的には以下のとおりである。
【0018】
本発明者らは、まず、起泡の問題に着手した。一般的に泡とは、液体や固体の中にかたまりとして入り込んだ気体やその気体が、薄い膜で隔てられた状態でいくつも集まった状態のことを指し、液体や固体の間に入り込んだ気体の塊を気泡、その気泡が集積したものを泡沫とも呼ぶ。
泡は周りを囲んでいる液体の表面張力の影響を大きく受ける。よって、液体の場合、純水な液体では一般的に大きな泡立ちは認められない。
一方で液体に他の液体や固体などの物質等が混ざった混合溶液になると泡立ちやすい傾向になることから、用途に応じ、最適な消泡剤の選択が求められる。
【0019】
一般に、消泡剤には主にオイルタイプや界面活性剤タイプ、エマルションタイプ、特殊細粒タイプといった種類が存在し、それぞれ異なる特徴を持っているが、本発明においては、表面張力のバランス調整という点に鑑み、食品を構成する全体に電荷の影響を与えず、かつ、食品添加物として選択可能な非イオン性界面活性剤の中からスクリーニングを行なった。
その結果、ホエイ蛋白由来の起泡抑制の好ましい消泡剤として脂肪酸エステル系の界面活性剤が見いだされ、特に好ましいものとして、グリセリン脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルを選択するに至った。
【0020】
上記消泡剤として選択したグリセリン脂肪酸エステル及びソルビタン脂肪酸エステルは、ホエイ蛋白の溶解性を向上する機能も認められたが食感や配合濃度に対する適用範囲が狭いことから、発明者は、当該機能をさらに安定に発揮させるべく、他の食品素材の併用を試みた。
【0021】
その結果、驚いたことに、二酸化ケイ素または乳清カルシウムを一定量比で組み合わせることによって、消泡効果および溶解性に相乗効果が見いだされ、本発明の品質調製法とその方法による特定組成物を完成するに至った。
【0022】
すなわち本発明の請求項1によれば、ホエイ蛋白含有食品の品質調製方法であって、ホエイ蛋白濃縮物を含む調製液に対し、グリセリン脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪酸エステルから選ばれた少なくとも1種類の消泡剤を添加し、さらに二酸化ケイ素又は乳清カルシウムから選ばれた少なくとも1種類の溶解剤を添加してなるホエイ含有食品の品質調製方法が提供される。
【0023】
また当該発明によれば、ホエイ蛋白由来の呈味を調整し酸性飲食品を構成しても効果を保持することができ、堅牢性の高い品質調製法とその組成物を提供できることがみいだされ本発明を完成するに至った。
【0024】
すなわち、本発明に係る請求項2よれば、ホエイ蛋白濃縮物を含む調製液には、クエン酸及び/又はその塩を含む請求項1に記載されたホエイ蛋白含有食品の品質調製方法が提供される。
【0025】
発明者は、本発明の堅牢性を高めるために、ホエイ蛋白と消泡剤及び溶解剤の量比を特定すべく鋭意検討を継続した。
その結果、ホエイ蛋白濃縮物1に対し、グリセリン脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪酸エステルから選ばれた少なくとも1種類の消泡剤0.1~6重量%を添加し、さらに二酸化ケイ素又は乳清カルシウムから選ばれた少なくとも1種類の溶解剤0.1~6重量%を添加して構成する調整方法が好ましいという知見を得、本発明を完成するに至った。
【0026】
すなわち、本発明に係る請求項3によれば、ホエイ蛋白濃縮物1に対し、グリセリン脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪酸エステルから選ばれた少なくとも1種類の消泡剤0.01~3重量%を添加し、さらに二酸化ケイ素又は乳清カルシウムから選ばれた少なくとも1種類の溶解剤0.01~6重量%を添加してなる請求項1乃至2のいずれかに記載のホエイ蛋白含有食品の品質調製方法が提供される。
【0027】
以上の品質調製方法によって得られるホエイ蛋白含有食品は、摂取時の呈味、喉ごしや舌触りが大変良好である。
また、嗜好により、味覚調整を要する場合には、食味改善剤として、特定の甘味料を添加することも許容される。当該甘味料は、糖アルコールが好ましいが、その中でも、本発明の要求水準である起泡や溶解性に関する機能性を損なわない素材が選択され、代表てきなものを例示すれば、エリスリトール、マルチトール、トレハロース、ソルビトール、マンニトール等が挙げられる。
【発明の効果】
【0028】
本発明のホエイ蛋白含有食品は、上記のとおり、ホエイ蛋白と特定の消泡剤及び溶解剤で構成された品質調製方法によって提供されるものであり、適宜、消泡及び溶解性効果の点で許容され得る任意の食味改善剤の添加によって、所望の食感の良い組成物を提供し得るものである。
【0029】
そして、本発明のホエイ蛋白含有食品の調製方法により得られる特定の組成物、すなわち、ホエイ蛋白濃縮物1に対し、グリセリン脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪酸エステルから選ばれた少なくとも1種類の消泡剤「0.1~6重量%」を添加し、さらに二酸化ケイ素又は乳清カルシウムから選ばれた少なくとも1種類の溶解剤「0.1~6重量%」を添加してなる構成による組成物を利用すれば、用時調製で摂取する場合に、例えば、当該組成の配合粉末を所望の液体に混ぜることでストレスなく飲食することが可能である。
ここで、消泡剤は、添加量が0.1重量部%より少ないと充分な効果が期待できない場合がある一方、6重量%より多くなると、苦味が強くなり、食品全体の呈味を損なうため、好ましくない。
【発明を実施するための形態】
【0030】
前述のとおり、本発明は、特にホエイ蛋白濃縮物を含有する食品を摂取しやすくした酸性飲食品において、特定の成分構成・配合組成によって、品質調製がされ、栄養摂取時のストレスを無くした堅牢性の良い技術を提供すること、そして当該技術によって食感の良い組成物を提供するものである。
【0031】
すなわち、本発明によれば、第一に、ホエイ蛋白含有食品の品質調製方法であって、ホエイ蛋白濃縮物を含む調製液に対し、グリセリン脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪酸エステルから選ばれた少なくとも1種類の消泡剤を添加し、さらに二酸化ケイ素又は乳清カルシウムから選ばれた少なくとも1種類の溶解剤を添加してなるホエイ含有食品の品質調製方法が提供される。
【0032】
本発明におけるホエイ蛋白含有食品は、ホエイ蛋白濃縮物である。ここでホエイ蛋白質とは、牛乳由来の蛋白質である。牛乳は、約87%が水分であり、残り13%に糖質、蛋白質、脂質、ミネラル及びビタミンの五大栄養素を含むが、牛乳の重量の約3.5%が蛋白質である。そしてその蛋白質は、カゼイン80%及びホエイ蛋白質20%の2種類で構成される。ホエイ蛋白質は液体である。本発明で対象とするものは、WPC製法による濃縮物であり、当該濃縮物は、ホエイから乳糖、ミネラルビタミンを分離し蛋白質を回収・粉末化したものである。
ここで、WPC(Whey Protein Concentrate・ホエイプロテインコンセントレート)は、濃縮乳清たんぱく質、濃縮膜処理法とも呼ばれ、ホエイの中で最も定番である。原料の乳清をフィルターろ過し、さらに濃縮する製法で、タンパク質のみならずビタミンやミネラルなどの栄養素も取ることができるのは、上記のとおりである。
【0033】
本発明で消泡剤として使用する使用するグリセリン脂肪酸エステルは、例えば、アラキン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、オレイン酸グリセリン(1)、小麦胚芽油脂肪酸グリセリド、混合脂肪酸トリグリセリド、ジイソパルミチン酸グリセリル、ジオレイ ン酸グリセリル、ジ水素添加大豆油脂肪酸グリセリル、ジミリスチン酸グリセリル、ジ綿実脂肪酸グリセリル、ジヤシ油脂肪酸グリセリル、水素添加大豆油脂肪酸グリセリル、ステアリン酸リンゴ酸グリセリル、セスキオレイン酸グリセリル、トリ(カプリル、カプリン酸)グリセリン、トリ牛脂脂肪酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリン、トリヤシ油脂肪酸グリセリル、飽和脂肪酸グリセリド、飽和脂肪酸グリセリド(2)などのグリセリン脂肪酸エステル、イソステアリン酸ジグリセリル、オレイン酸ジグリセリル、ステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、オレイン酸テトラグリセリル、ラウリン酸テトラグリセリル、オレイン酸ヘキサグリセリル、ラウリン酸ヘキサグリセリル、ラウリン酸デカグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリル、デカオレイン酸デカグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸エステル、イソステアリン酸ポリオキシエチレ ングリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ポリオキシエチレンオレイン酸グリセリ ル、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリンな どのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルが好適なものとして挙げられるが、その中でも炭素数6ないし12の中鎖脂肪酸モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリド類が最も好ましく、これらは単独または二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0034】
また、本発明の消泡剤として使用するソルビタン脂肪酸エステルは、例えば、セスキイソステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ヤシ油脂 肪酸ソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステル、イソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E. 0.)、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン (20E.0.)、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.0.)、ヘキサステアリン酸ポ リオキシエチレンソルビット、ポリオキシエチレンソル ビットミツロウ、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソル ビタン(20E.0.)、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(6E.0.)などのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが好適なものとして例示できる。
【0035】
上記の2種の消泡剤は、ホエイ蛋白濃縮物の溶解助剤としてもある程度の効果が認められているが、液体量によっては飲みづらさが払拭できない場合があり、その効果を安定にすべく、更に溶解賦活剤として乳清カルシウム及び/又は二酸化ケイ素の組合せによる組成物が好適である。乳清カルシウム、二酸化ケイ素ともに単独配合では消泡効果や溶解助剤効果は認められないが、グリセリン脂肪酸エステルまたはソルビタン脂肪酸エステルとの併用においては、予期せぬことに消泡効果及び溶解性改善効果のいずれについても改善効果が見いだされた。
【0036】
なおここで、本発明の溶解賦活剤である乳清カルシウム及び二酸化ケイ素を添加する大事な意義がある。それは設計製剤全体のパウダー性の向上による食感改善である。
すなわち、ホエイ蛋白濃縮物にグリセリン脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪酸エステルのみを添加した場合には、細粒度、パウダー性が落ち、配合量によってはさらさら感が低下する。その結果、摂取時の舌触りや喉ごし等の食感に支障が生じる場合があるが、乳清カルシウム又は二酸化ケイ素の適宜配合によって、その改善をみる。
【0037】
なお、摂取時前のパウダー性状を、製剤全体の安息角で外観比較すると、乳清カルシウム又は二酸化ケイ素を添加した製剤の方が安息角は低い測定値を示し、細粒度が向上していることが確認できたが、当該安息角の数値低減化の効果は、発明品の製造時においてその充填のし易さにも及び、明らかな配合効果が認められた。
【0038】
ホエイ蛋白濃縮物は、もともと呈味が悪く、通常、フレーバーや酸味成分、クエン酸及び/又はナトリウム等の塩を加え摂取しやすく加工するが、このような場合においては、ダマやままこ状態となり、喉ごしはおろか、混合のための無駄な撹拌によって一層泡立ちが激しくなり、用時の飲食には適さない。しかしながら、上記、消泡剤及び特定の溶解剤で構成された本発明の組成物によれば、その問題も解消できることが認められた。
【0039】
液体が純水の場合には、上記発明の構成によって、課題の解決が図れるが、水以外の液体、例えば果汁飲料や嗜好性の飲料等に溶かす場合には、その効果が十分に発揮されないこともある。そこで、この点を解消すべく堅牢性の良い配合比率を検討したところ、ホエイ蛋白濃縮物1に対し、グリセリン脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪酸エステルから選ばれた少なくとも1種類の消泡剤「0.1~6重量%」を添加し、さらに二酸化ケイ素又は乳清カルシウムから選ばれた少なくとも1種類の溶解剤「0.1~6重量%」を添加してなる構成で組成物を利用すれば、例えば、用時調製で摂取する場合に、当該組成の配合粉末を所望の液体に混ぜることでストレスなく飲食することが可能である。
【0040】
上記技術により、所望の食感を有するホエイ蛋白含有食品が提供されるが、味覚に関しては個人差があり、嗜好が関係する。この点、甘味の調整によってほぼ最適な食品が提供できる。本発明においては、上記、起泡性や溶解性の機能を損なわない範囲で、糖アルコールを任意に併用することができ、例えば、果糖、キシリット、D-キシロース、D-ソルビトール、ブドウ糖、マルチトール、マルトース、D-マンニット、エリスリトール、トレハロースなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
この場合、量比としては、本発明の効果との兼ね合いから、ホエイ蛋白濃縮物1に対し、概ね「0.2~2重量%」を添加して食味を調整することができる。
【0041】
その他、本発明のホエイ蛋白含有食品には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、ビタミン剤、保湿剤、機能性素材および香料等を添加することができる。
【実施例0042】
以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲は当該実施例に限定されるものではない。
【0043】
<試験例1> 溶解性改善の基礎実験
(試験方法)
WPC(ホエイ蛋白濃縮物)27gに対し、消泡剤または溶解剤を一定量添加し、「泡の高さ(量)」及び「ダマ残りの量」をそれぞれ以下の条件・基準で測定し、データを記録した。
(1)供試試料
消泡剤;ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル
溶解剤;乳清カルシウム、二酸化ケイ素
(2)水温;9℃乃至12度(冷水)
(3)室温;20℃
(4)溶解方法;シェイカーに水200mlを入れ、粉体(ホエイ蛋白濃縮物、消泡剤、溶解剤の混合物)を入れる。蓋を閉め、蓋を把持しながら10回まわした後、縦方向に20回シェイクする。
(5)記録データ
泡の高さ;(4)の方法でシェイクした後、30秒放置し、水面から泡の先端までの高さを計測し、記録する。
ダマ残り;泡の高さを計測後、目開きが20メッシュのふるいに通し、残った溶け残りを計測器で計量し、記録する。
【0044】
(結果と考察)
結果を表1に示した。ホエイ蛋白単独での予備実験(n=5)によれば、基準値(平均値)は、それぞれ起泡性が5.3cmであり、溶け残り指標のダマ重量は1.609gであった。
【0045】
これに対して、ソルビタン脂肪酸エステル及びグリセリン脂肪酸エステルを単独で添加した場合の実測値はいずれも基準値を下回り、明らかに消泡効果が認められた。
一方の二酸化ケイ素及び乳清カルシウムの単独添加はいずれもその効果が認められなかった。
【0046】
ダマ改善効果についてもほぼ同じ傾向がみられた。すなわち、ソルビタン脂肪酸エステル及びグリセリン脂肪酸エステルを単独で添加した場合にはダマ重量の低減の傾向が確認でき、溶解性の改善効果が認められた。但し、その効果は緩やかであり、顕著ではなかった。
一方の二酸化ケイ素及び乳清カルシウムの単独添加はいずれもその効果が認められなかった。
【0047】
次に、ホエイ蛋白水溶液に、消泡剤及び溶解剤を併用し、その効果を確認したのが表2である。この結果から明らかなように、併用による改善効果が認められた。消泡効果を維持または改善する効果がある一方、ダマ発生の改善効果が認められた。
総合評価としては、消泡剤としてソルビタン脂肪酸エステルよりもグリセリン脂肪酸エステルを選択し併用した方が溶解剤併用の効果は高い傾向が認められたが、製剤全体の性状はいずれも同程度に細粒度が向上していることが認められ、配合組成物として提供価値は高い。
【表1】
【表2】

【表3】
【表4】
【0048】
<試験例2> 製品処方での効果確認試験
(試験方法)
表5の各組成物を、表中に記載した特定量で調製したものにつき、溶解性、起泡性及び食感の観点から個別に評価し、相互に比較した。
溶解性と起泡性については外観による目視評価を行なう一方、食感につき官能評価で客観的な評価を行なった。
特に溶解性については、当該官能試験において、舌触りやざらつきの有無により、ダマの状態を確認することでも可能であり、特に本発明における乳清カルシウム又は二酸化ケイ素の添加効果を評価するのに有効である。
なお、表5の組成物(供試試料)は、いずれも本発明によって見出した調製法を基準にして得たものである。
【0049】
(結果と考察)
結果を表5に示した。この結果から明らかなように、本発明品は、溶解性が良好で、起泡もおさえられ、食感に優れていた。
一方の比較品は、それぞれに評価項目で課題を残し、飲みづらさ、食感の悪さも際立った。
以上から、本発明によって見出された、ホエイ蛋白含有食品の品質調製方法としても堅牢性の良い手法であることが確認され、当該手法で得た製造物は発明の目的に叶う効果を有していることが確認できた。
【表5】
【手続補正書】
【提出日】2022-04-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホエイ蛋白含有食品の品質調整方法であって、ホエイ蛋白濃縮物を含む調整液におい て、当該ホエイ蛋白濃縮物1に対し、グリセリン脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪 酸エステルから選ばれた少なくとも1種類の消泡剤0.1~6重量%を添加し、さら に二酸化ケイ素又は乳清カルシウムから選ばれた少なくとも1種類の溶解剤0.1~ 6重量%を添加してなる泡立ち及びダマ発生防止に優れたホエイ蛋白含有食品の品質調整方法。
【請求項2】
前項に記載の調整方法によって製造された摂取時食感の良いホエイ蛋白含有食品。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、ホエイ蛋白に由来する気泡性と溶解性の問題を解決し、食味食感の改善にも寄与する特定の組成物とその品質調整方法に関するものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
さらに詳細には、ホエイ蛋白含有食品の品質調整方法であって、ホエイ蛋白濃縮物を含む調整液に対し、グリセリン脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪酸エステルから選ばれた 少なくとも1種類の消泡剤を添加し、さらに二酸化ケイ素又は乳清カルシウムから選ばれた少なくとも1種類の溶解剤を添加してなるホエイ含有食品の品質調整方法と当該方法によって製造されたホエイ蛋白含有食品に関するものである。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
本発明は、上記の未達の問題に鑑みてなされたものであり、特にホエイ蛋白濃縮物を含有する食品を摂取しやすくした酸性飲食品において、泡立ちがなく、ダマ発生のない高品質の調整がされ、摂取時のストレスを無くした堅牢性の良い技術を提供することを目的とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
すなわち本発明の請求項1によれば、ホエイ蛋白含有食品の品質調整方法であって、ホエイ蛋白濃縮物を含む調整液において、当該ホエイ蛋白濃縮物1に対し、グリセリン脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪 酸エステルから選ばれた少なくとも1種類の消泡剤0.1~6重量%を添加し、さら に二酸化ケイ素又は乳清カルシウムから選ばれた少なくとも1種類の溶解剤0.1~ 6重量%を添加してなる泡立ち及びダマ発生防止に優れたホエイ蛋白含有食品の品質調整方法が提供される。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
また当該発明によれば、ホエイ蛋白由来の呈味を調整し酸性飲食品を構成しても効果を保持することができ、堅牢性の高い品質調整法とその組成物を提供できることがみいだされ本発明を完成するに至った。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
すなわち、本発明に係る請求項2よれば、請求項1に記載の調整方法によって製造された摂取時食感の良いホエイ蛋白含有食品が提供される。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
以上の品質調整方法によって得られるホエイ蛋白含有食品は、摂取時の呈味、喉ごしや舌触りが大変良好である。また、嗜好により、味覚調整を要する場合には、食味改善剤として、特定の甘味料を添加することも許容される。当該甘味料は、糖アルコールが好ましいが、その中でも、本発明の要求水準である起泡や溶解性に関する機能性を損なわない素材が選択され、代表てきなものを例示すれば、エリスリトール、マルチトール、トレハロース、ソルビトール、マンニトール等が挙げられる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
本発明のホエイ蛋白含有食品は、上記のとおり、ホエイ蛋白と特定の消泡剤及び溶解剤で構成された品質調整方法によって提供されるものであり、適宜、消泡及び溶解性効果の点で許容され得る任意の食味改善剤の添加によって、所望の食感の良い組成物を提供し得るものである。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
そして、本発明のホエイ蛋白含有食品の調整方法により得られる特定の組成物、すなわち、ホエイ蛋白濃縮物1に対し、グリセリン脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪酸エステルから選ばれた少なくとも1種類の消泡剤「0.1~6重量%」を添加し、さらに二酸化 ケイ素又は乳清カルシウムから選ばれた少なくとも1種類の溶解剤「0.1~6重量%」を添加してなる構成による組成物を利用すれば、用時調製で摂取する場合に、例えば、当該組成の配合粉末を所望の液体に混ぜることでストレスなく飲食することが可能である。ここで、消泡剤は、添加量が0.1重量部%より少ないと充分な効果が期待できない場合がある一方、6重量%より多くなると、苦味が強くなり、食品全体の呈味を損なうため 、好ましくない。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
前述のとおり、本発明は、特にホエイ蛋白濃縮物を含有する食品を摂取しやすくした酸性飲食品において、特定の成分構成・配合組成によって、品質調整がされ、栄養摂取時のストレスを無くした堅牢性の良い技術を提供すること、そして当該技術によって食感の良い組成物を提供するものである。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
すなわち、本発明によれば、第一に、ホエイ蛋白含有食品の品質調整方法であって、ホエイ蛋白濃縮物を含む調整液において、当該ホエイ蛋白濃縮物1に対し、グリセリン脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪 酸エステルから選ばれた少なくとも1種類の消泡剤0.1~6重量%を添加し、さら に二酸化ケイ素又は乳清カルシウムから選ばれた少なくとも1種類の溶解剤0.1~ 6重量%を添加してなる泡立ち及びダマ発生防止に優れたホエイ蛋白含有食品の品質調整方法が提供される。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
<試験例2> 製品処方での効果確認試験 (試験方法)表5の各組成物を、表中に記載した特定量で調製したものにつき、溶解性、起泡性及び 食感の観点から個別に評価し、相互に比較した。溶解性と起泡性については外観による目視評価を行なう一方、食感につき官能評価で客観的な評価を行なった。特に溶解性については、当該官能試験において、舌触りやざらつきの有無により、ダマの状態を確認することでも可能であり、特に本発明における乳清カルシウム又は二酸化ケイ素の添加効果を評価するのに有効である。なお、表5の組成物(供試試料)は、いずれも本発明によって見出した調整法を基準にして得たものである。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0049
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0049】
(結果と考察) 結果を表5に示した。この結果から明らかなように、本発明品は、溶解性が良好で、起泡もおさえられ、食感に優れていた。一方の比較品は、それぞれに評価項目で課題を残し、飲みづらさ、食感の悪さも際立った。以上から、本発明によって見出された、ホエイ蛋白含有食品の品質調整方法としても堅牢性の良い手法であることが確認され、当該手法で得た製造物は発明の目的に叶う効果を有していることが確認できた。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホエイ蛋白含有食品の品質調整方法であって、ホエイ蛋白濃縮物を含む調整液において、当該ホエイ蛋白濃縮物1に対し、グリセリン脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪酸エステルから選ばれた少なくとも1種類の消泡剤0.1~6重量%を添加し、さらに二酸化ケイ素又は乳清カルシウムから選ばれた少なくとも1種類の溶解剤0.1~6重量%を添加してなる泡立ち及びダマ発生防止に優れたホエイ蛋白含有食品の品質調整方法。
【請求項2】
請求項1に記載の調整方法によって製造された摂取時食感の良いホエイ蛋白含有食品。