(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096639
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】エアゾール型毛髪化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/02 20060101AFI20230630BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20230630BHJP
A61K 8/33 20060101ALI20230630BHJP
A61K 8/29 20060101ALI20230630BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
A61K8/02
A61Q5/00
A61K8/33
A61K8/29
A61K8/81
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212530
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000113274
【氏名又は名称】ホーユー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】小林 紗也
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB172
4C083AB212
4C083AB242
4C083AB432
4C083AC102
4C083AC172
4C083AD092
4C083AD132
4C083BB26
4C083BB33
4C083BB35
4C083BB49
4C083CC31
4C083CC36
4C083DD08
4C083DD47
4C083EE26
(57)【要約】
【課題】色調が鮮やかで、見る角度によって色調が変化するカラートラベル効果を感じられるエアゾール型毛髪化粧料を提供すること。
【解決手段】
下記(A)~(C)を含有し、エアゾール型容器に充填される充填物全体に対する(B)噴射剤の配合率が、55質量%以上99質量%以下であることを特徴とするエアゾール型毛髪化粧料。
(A)メディアン径が1μm以上50μm以下であるカラートラベル顔料
(B)噴射剤
(C)被膜形成剤
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)~(C)を含有し、エアゾール型容器に充填される充填物全体に対する(B)噴射剤の配合率が、55質量%以上99質量%以下であることを特徴とするエアゾール型毛髪化粧料。
(A)メディアン径が1μm以上50μm以下であるカラートラベル顔料
(B)噴射剤
(C)被膜形成剤
【請求項2】
(A)カラートラベル顔料のメディアン径が10μm以上35μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のエアゾール型毛髪化粧料。
【請求項3】
化粧料原液に対する(A)カラートラベル顔料の配合率が、5質量%以上15質量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のエアゾール型毛髪化粧料。
【請求項4】
(C)被膜形成剤が、両性高分子、アニオン性高分子のいずれか、または両方を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のエアゾール型毛髪化粧料。
【請求項5】
エアゾール型容器に充填される充填物全体に対する(B)噴射剤の配合率が、65質量%以上90質量%以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のエアゾール型毛髪化粧料。
【請求項6】
エアゾール型容器に装着されるアクチュエータのノズル径(D(μm))の(A)カラートラベル顔料のメディアン径(d50(μm))に対する比(D/d50)が5以上500以下であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のエアゾール型毛髪化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール型毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪を一時的に着色する毛髪一時着色料は、ブリーチ処理をすることなく発色の良い髪色を楽しめる製品である。毛髪一時着色料は、一般的に着色のために染料ではなく顔料を用いている。毛髪一時着色料は、毛髪に付着した顔料により着色(発色)し、毛髪に付着した顔料を洗髪して洗い落とすことにより元の髪色に戻すことができる。毛髪一時着色料は、気軽に髪の色を変えられるため、様々なシーンで広く用いられている。
【0003】
顔料の中でも、パール顔料は、干渉色を呈し、独特で高発色な色調を提供することができる。また、近年、見る角度により色調が変化するカラートラベル効果を有するカラートラベル顔料が開発され(特許文献1)、その高い視覚効果が注目されている。カラートラベル顔料は、一般的な顔料と異なり、互いに重なりあうと白っぽい色調へと変化してしまうため、カラートラベル効果を感じにくくなるという欠点がある。また、カラートラベル顔料は、下地が黒色等の暗い場合は色の変化を感じやすく、下地が白色等の明るい場合は色の変化を感じにくい。
【0004】
顔料を含有する毛髪化粧料は、毛髪に大きな粒として付着してしまうと、乾燥後に顔料が重なり合ってしまう。また、顔料を含有する毛髪用化粧料が毛髪に大きな粒として付着すると、髪にごわつきを感じる場合もある。顔料を含有する毛髪用化粧料を小さな粒として毛髪に付着させるには、ノズル径の小さなアクチュエータから噴射することが考えられる。しかし、ノズル径を小さくすると、固形物である顔料がノズルに詰まりやすくなるため、均一な噴射が困難となる場合があり、さらには噴射できなくなる場合がある。
そのため、カラートラベル顔料を用いたエアゾール型毛髪化粧料は、鮮やかな色調を呈するために、ノズル径を小さくすることなく、小さな粒で噴射できることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
色調が鮮やかで、見る角度によって色調が変化するカラートラベル効果を感じられるエアゾール型毛髪化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明の主な構成は、次のとおりである。
1.下記(A)~(C)を含有し、エアゾール型容器に充填される充填物全体に対する(B)噴射剤の配合率が、55質量%以上99質量%以下であることを特徴とするエアゾール型毛髪化粧料。
(A)メディアン径が1μm以上50μm以下であるカラートラベル顔料
(B)噴射剤
(C)被膜形成剤
2.(A)カラートラベル顔料のメディアン径が10μm以上35μm以下であることを特徴とする1.に記載のエアゾール型毛髪化粧料。
3.化粧料原液に対する(A)カラートラベル顔料の配合率が、5質量%以上15質量%以下であることを特徴とする1.または2.に記載のエアゾール型毛髪化粧料。
4.(C)被膜形成剤が、両性高分子、アニオン性高分子のいずれか、または両方を含むことを特徴とする1.~3.のいずれかに記載のエアゾール型毛髪化粧料。
5.エアゾール型容器に充填される充填物全体に対する(B)噴射剤の配合率が、65質量%以上90質量%以下であることを特徴とする1.~4.のいずれかに記載のエアゾール型毛髪化粧料。
6.エアゾール型容器に装着されるアクチュエータのノズル径(D(μm))の(A)カラートラベル顔料のメディアン径(d50(μm))に対する比(D/d50)が5以上500以下であることを特徴とする1.~5.のいずれかに記載のエアゾール型毛髪化粧料。
【発明の効果】
【0008】
本発明のエアゾール型毛髪化粧料は、事前に髪をブリーチする必要がなく、また洗髪すれば元の髪色に戻るため、非常に気軽に短時間だけ髪色を変えることができる。
本発明のエアゾール型毛髪化粧料は、小さな粒で噴射することができるため、毛髪上にカラートラベル顔料を少ない重なりで付着させることできる。そのため、本発明のエアゾール型毛髪化粧料は、鮮やかな色調で高いカラートラベル効果を発揮することができる。本発明のエアゾール型毛髪化粧料は、角度によって色調が変化するため、髪が略水平方向に流れる頭頂部分と髪が略上下方向に流れる頭側部分とでは、異なる色調が表れ、また、歩行等の動きや風によって髪が動くだけで様々な色調に変化するため、幻想的で美しい雰囲気を醸し出すことができる。本発明のエアゾール型毛髪化粧料は、使用時のごわつき感が小さく、使用感に優れている。
本発明のエアゾール型毛髪化粧料は、ノズル径を小さくせずとも小さな粒で噴射することができるため、ノズルの目詰まりが起こりにくい。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、下記(A)~(C)を含有し、エアゾール型容器に充填される充填物全体に対する(B)噴射剤の配合率が、55質量%以上99質量%以下であるエアゾール型毛髪化粧料に関する。
(A)メディアン径が1μm以上50μm以下であるカラートラベル顔料
(B)噴射剤
(C)被膜形成剤
【0010】
(A)カラートラベル顔料
カラートラベル顔料とは、基体の上に、屈折率の異なる2以上の層が制御された厚さで積層されたものであり、各界面からの反射光が互いに干渉することにより、反射光が角度により異なる色調を示す顔料である。例えば、Xirona(登録商標、メルク社)は、視野角に応じてカラーシフト効果を示すカラートラベル顔料のブランドであり、様々なTiO2層でコーティングされた天然マイカ、SiO2、またはカルシウムアルミニウムホウケイ酸フレークのいずれかを主成分とする。カラートラベル顔料は、下地が光吸収性(黒色等の暗い色)である場合により鮮やかな色調を呈し、下地が光反射性(白色等の明るい色)である場合は白っぽくなってしまう。これは、下地が光反射性であると、カラートラベル顔料からの反射光に、下地表面からの反射光が混ざってしまうためである。そのため、本発明のエアゾール型毛髪化粧料は、暗い色調の毛髪に適用することが好ましく、黒髪に適用することがより好ましい。そのため、脱色、染毛等により毛髪が明るい色調の場合は、発色性の観点から、黒色等の暗色系の毛髪一時着色料を毛髪に適用し、その上に本発明のエアゾール型毛髪化粧料を適用することが好ましい。または、本発明のエアゾール型毛髪化粧料に、暗色系の色材を含ませることもできる。
【0011】
本発明で使用するカラートラベル顔料は、メディアン径(d50)が1μm以上50μm以下である。メディアン径がこの範囲内であると、発色性に優れ、髪のごわつきが抑えられ、ノズルの目詰まりが起こりにくい。カラートラベル顔料のメディアン径は、10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましい。また、このメディアン径は、35μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。なお、メディアン径とは、体積分布の50%粒子径であり、例えば、顔料の10%エタノール分散液をレーザー回折散乱式粒子径分布測定装置(マイクロトラック・ベル社製、マイクロトラックMT3000 EXII)で測定することにより、その値を得ることができる。
本発明において使用するカラートラベル顔料は特に制限されず、例えば、Xirona(登録商標、メルク社)、Firemist(登録商標、BASF社)等を用いることができる。
【0012】
カラートラベル顔料の配合量は、化粧料原液(噴射剤以外の充填物)に対して5質量%以上15質量%以下であることが、その発色性の点から好ましい。カラートラベル顔料の化粧料原液に対する配合量が5質量%以上であると、発色性に優れている。一方、この配合量が15質量%以下であると、カラートラベル顔料が重なり合い白っぽい色調となることを防止することができる。カラートラベル顔料の化粧料原液に対する配合量は、5.5質量%以上であることが好ましく、6質量%以上であることがより好ましい。また、14質量%以下であることが好ましく、13質量%以下であることがより好ましい。
【0013】
本発明のエアゾール型毛髪化粧料は、求める発色性等に応じて、二種以上のカラートラベル顔料を併用することができるが、カラートラベル顔料は1種のみを用いることが好ましい。二種以上のカラートラベル顔料を含む場合、二種以上のカラートラベル顔料は、いずれもメディアン径が1μm以上50μm以下である。また、配合する複数のカラートラベル顔料のメディアン径は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0014】
(B)噴射剤
噴射剤としては、エアゾール型化粧料に用いられるものを特に制限することなく使用することができ、例えば、ジメチルエーテル(DME)、液化石油ガス(LPG)、イソペンタン、炭酸ガス、窒素ガス、圧縮空気等が挙げられ、2種以上を併用することもできる。これらの中で、DMEまたはLPGが好ましく、DMEがより好ましい。DMEは、極性化合物であり、(C)被膜形成剤等の有機化合物の溶解性に優れるため、顔料の凝集が起こりにくい。LPGは、揮発性に優れるため、髪に付着した粒が素早く揮発するため、髪の上で粒同士が合体して大きくなりにくい。
【0015】
本発明のエアゾール化粧料は、(B)噴射剤を、エアゾール型容器に充填される充填物全体(化粧料原液と噴射剤の合計)に対して55質量%以上99質量%以下含有する。本発明のエアゾール化粧料は、(B)噴射剤を、充填物全体に対して55質量%以上99質量%以下の割合で含有することにより、ノズルから小さな粒で噴射することができる。この噴射剤の含有率は、噴射する粒を小さくする観点から60質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましい。また、この噴射剤の配合率は、発色性の観点から95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることがさらに好ましい。
【0016】
(C)被膜形成剤
被膜形成剤は、カラートラベル顔料とともに毛髪表面に付着し、カラートラベル顔料を毛髪に固定するための被膜を形成するものである。被膜形成剤は、カラートラベル顔料が分散した被膜を形成できるものであれば特に制限されず、例えば、アニオン性高分子、カチオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子等が挙げられる。
【0017】
アニオン性高分子としては、例えば、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム、ペクチン、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸アルキルコポリマー、アクリル酸アルキルコポリマーAMP、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸アルキルハーフエステル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/N-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン共重合体、酢酸ビニル/マレイン酸ビニル/アクリル酸イソボルニル共重合体、(アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミド)コポリマー、(アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP、(アクリル酸アルキル/オクチルアクリルアミド)コポリマー、(メタクリル酸エチルベタイン/アクリレーツ)コポリマー等が挙げられる。これらは、1種、または2種以上を併用することもできる。
【0018】
カチオン性高分子としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド、塩化ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウム、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、カエサルピニアスピノサヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ローカストビーンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、カッシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、コロハヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ビニルピロリドン・N、N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、ビニルピロリドン・メチルビニルイミダゾリウム共重合体、エチル[(メタクリロイルオキシ)エチル]ジメチルアンモニウムエチル硫酸塩・N、N-ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体等が挙げられる。これらは、1種、または2種以上を併用することもできる。
【0019】
ノニオン性高分子としては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、高重合ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン/メタクリル酸/メタクリル酸エステル共重合体、ビニルピロリドン/酢酸ビニル/アルキルアミノアクリレート共重合体、ビニルピロリドン/酢酸ビニル/ビニルプロピオネート共重合体、ジメチルヒダントインホルムアルデヒド樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸系共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、ポリ(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸アミド系共重合体、デキストリン、ガラクタン、プルラン等が挙げられる。これらは、1種、または2種以上を併用することもできる。
【0020】
両性高分子としては、例えば、N-メタクリロイルエチルN、N-ジメチルアンモニウムα-N-メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸ブチル共重合体、(メタクリル酸エチルベタイン/アクリレーツ)コポリマー、アクリル酸ヒドロキシプロピル・メタクリル酸ブチルアミノエチル・アクリル酸オクチルアミド共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド・アクリル酸の三元重合体、アクリル酸・アクリル酸メチル・塩化メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム共重合体、アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル/アクリル酸オクチルアミド共重合体等が挙げられる。これらは、1種、または2種以上を併用することもできる。
【0021】
被膜形成剤は、耐水性、耐摩擦性等の点から、アニオン性高分子、両性高分子のいずれか、または両方を含むことが好ましく、両性高分子を含むことがより好ましい。具体的には、アニオン性高分子としては、アクリル酸アルキルコポリマーAMP、(アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミド)コポリマー、(アクリレーツ/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP、(アクリル酸アルキル/オクチルアクリルアミド)コポリマー、(メタクリル酸エチルベタイン/アクリレーツ)コポリマーが特に好ましい。両性高分子としては、N-メタクリロイルエチルN、N-ジメチルアンモニウムα-N-メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸ブチル共重合体、(メタクリル酸エチルベタイン/アクリレーツ)コポリマー、アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル/アクリル酸オクチルアミド共重合体が特に好ましい。
被膜形成剤の配合量は、化粧料原液(噴射剤以外の充填物)に対して0.5質量%以上10質量%以下であることが、耐摩擦性と耐水性のバランスの観点から好ましい。被膜形成剤の化粧料原液に対する配合量は、1質量%以上であることが好ましく、1.5質量%以上であることがより好ましく、2質量%以上であることがさらに好ましい。また、8質量%以下であることが好ましく、6質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。
【0022】
本発明のエアゾール化粧料において、(A)カラートラベル顔料の(C)被膜形成剤に対する質量比(A/C)は、0.5以上5.0以下であることが好ましい。この質量比(A/C)が0.5以上であると、発色性に優れている。また、この質量比(A/C)が5.0以下であると、耐水性、耐摩擦性に優れている。この質量比(A/C)の下限値は1.0以上であることがより好ましく、また上限値は4.0以下であることがより好ましく、3.5以下であることがさらに好ましい。
【0023】
・その他の成分
本発明のエアゾール型毛髪化粧料は、(A)~(C)成分以外に、エアゾール型毛髪化粧料に用いられるその他の成分を、必要に応じて配合することができる。その他の成分としては、その他の顔料、有機溶媒、油性成分、界面活性剤等を任意に配合することができ、例えば、以下に挙げるものを例示することができる。
【0024】
(その他の顔料)
その他の顔料とはカラートラベル効果を奏さない顔料であり、無機顔料、有機顔料、染料樹脂固溶体、昼光蛍光顔料又は天然顔料等を例示することができ、1種または2種以上を配合することができる。
その他の顔料を配合する場合、その他の顔料もメディアン径が1μm以上50μm以下であることが好ましい。また、配合するカラートラベル顔料とその他の顔料のメディアン径は、同一であってもよく、異なっていてもよい。その他の顔料を配合する場合、全顔料に対するカラートラベル顔料の割合は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。
【0025】
無機顔料は、鉱物性顔料とも言われ、化学的に無機質な顔料のことである。天然鉱物のまま、又は、天然鉱物を加工や粉砕することにより作られるものや、亜鉛、チタン、鉛、鉄、銅、クロム等の化合物を原料として作られるものがある。耐光性、耐熱性がよく、有機溶媒に溶けない性質を有する。様々な種類があるが、色別に分けると、白色顔料(酸化チタン等)、赤色顔料(べんがら等)、黄色顔料(黄鉛等)、緑色顔料(エメラルド緑等)、青色顔料(コバルト青等)、紫色顔料(マンガン・バイオレット等)、黒色顔料(カーボンブラック等)、透明性白色顔料(シリカ白等)がある。無機顔料としては、特に制限されないが、例えば酸化亜鉛、酸化チタン、ベンガラ、酸化クロム、酸化コバルト、黒酸化鉄、黄酸化鉄、水酸化クロム、水酸化アルミニウム、紺青、硫酸バリウム、含水珪酸塩、無水珪酸、珪酸アルミニウム、タルク、カオリン、カルミン、雲母、炭酸マグネシウム、ベントナイト、群青、マンガンバイオレット、カーボンブラック、アルミニウム、銅、金、雲母チタン等が挙げられる。
【0026】
有機顔料は、有機化合物からなる色素を主体とする顔料である。有機顔料は、色素自身が水に不溶の有機色素顔料と、水溶性染料を何らかの手段、例えば、金属塩等を加える等して、不溶性としたレーキ顔料に大別される。有機顔料は、色相が豊富で鮮明であり、着色力や透明性も大きいという長所を有する。有機顔料としては、特に制限されないが、例えば赤色202、203、204、205、206、207、208、219、220、221、228、405の各号、だいだい色203、204、401の各号、黄色205、401の各号、青色404号等が挙げられる。
【0027】
昼光蛍光顔料とは、蛍光顔料の1種であって、有機質のものである。通常光下で鮮やかな発色をするのが特徴である。紫外線等による光の刺激で輝度が向上する。
天然顔料としては、特に制限されないが、例えばクレー等の鉱物顔料、マダーレーキやコチニールレーキ等の天然染料レーキ、アゾ顔料、フタロシアニン顔料等が挙げられ
る。
その他の顔料は、カラートラベル効果を発揮する観点から暗色系であることが好ましく、具体的には、カーボンブラック、黒酸化鉄、酸化チタンが好ましい。
【0028】
有機溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1、3-ブチレングリコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、酢酸メチル等を挙げることができる。
【0029】
(油性成分)
油性成分としては、炭化水素、ロウ類、油脂、高級アルコール、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル類、シリコーン類等が挙げられる。これらは、その1種類を単独に配合し、又は2種類以上を併せ配合することができる。
炭化水素としては、α-オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、流動イソパラフィン、パラフィン、流動パラフィン、スクワラン、ポリブテン、ポリエチレン末、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。
ロウ類としては、ミツロウ、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ等が挙げられる。
油脂としては、オリーブ油、ローズヒップ油、ツバキ油、シア脂、マカデミアナッツ油、アーモンド油、茶実油、サザンカ油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、牛脂、カカオ脂、トウモロコシ油、落花生油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、小麦胚芽油、ハトムギ油、ブドウ種子油、アボカド油、カロット油、ヒマシ油、アマニ油、ヤシ油、ミンク油、卵黄油等の各種の植物油、動物油等が挙げられる。
【0030】
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、ラノリンアルコール等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、リノール酸、リシノール酸、ラノリン脂肪酸等が挙げられる。
アルキルグリセリルエーテルとしては、バチルアルコール(モノステアリルグリセリルエーテル)、キミルアルコール(モノセチルグリセリルエーテル)、セラキルアルコール(モノオレイルグリセリルエーテル)、イソステアリルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0031】
エステル類としては、大豆油、オリーブ油、硬化ヒマシ油等のグリセリン系の各種の植物油やペンタエリスリトール系の脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸-2-ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソオクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、セバシン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ステアリル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸2-エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、脂肪酸(C10-30)(コレステリル/ラノステリル)、乳酸ラウリル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、乳酸オクチルドデシル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ラノリン誘導体等が挙げられる。
【0032】
シリコーン類としては、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、平均重合度が650~10000の高重合シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。
【0033】
(界面活性剤)
界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。これらは、その1種類を単独に配合し、又は2種類以上を併せて配合することができる。
【0034】
カチオン性界面活性剤としては、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(ステアルトリモニウムクロリド)、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化トリ(ポリオキシエチレン)ステアリルアンモニウム、クオタニウム-91(INCI名称)、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミドプロピルエチルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、N、N-ジ(アシロキシ)、N-(ヒドロキシエチル)、N-メチルアンモニウムメトサルフェート等が挙げられる。
【0035】
非イオン性界面活性剤としては、セテス-7、セテス-10、セテス-20等のポリオキシエチレン(以下、POEという)アルキルエーテル類、POEアルキルフェニルエーテル類、POE・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリソルベート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類、モノステアリン酸グリセリン等のグリセリン脂肪酸エステル類、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、脂肪族アルカノールアミド類等が挙げられる。
【0036】
アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、ラウレス硫酸Na等のPOEアルキル硫酸塩、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキル硫酸エステル塩、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、POEラウリルエーテルリン酸及びその塩、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ナトリウム等のN-ラウロイルグルタミン酸塩類、N-ラウロイルメチル-β-アラニン塩類等が挙げられる。
【0037】
両性界面活性剤としては、2-ウンデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、コカミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。
【0038】
また、本発明のエアゾール型毛髪化粧料には、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、1、3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ソルビトール、ヒアルロン酸等の保湿剤、フェノキシエタノール、安息香酸ナトリウム等の防腐剤、アスコルビン酸、無水亜硫酸ナトリウム等の酸化防止剤、香料、殺菌剤、紫外線吸収剤、動物抽出成分、植物抽出成分等を必要に応じて配合することができる。
【0039】
本発明のエアゾール型毛髪化粧料は、スプレー状に噴霧して毛髪に付着させ、毛髪を一時的に着色する。本発明のエアゾール型毛髪化粧料は、ノズルの目詰まりを防ぎながらも、小さな粒として噴霧するために、エアゾール型容器に装着されるアクチュエータのノズル径(D(μm))のカラートラベル顔料のメディアン径(d50(μm))に対する比(D/d50)が5以上500以下であることが好ましい。この比(D/d50)の下限は、10以上であることが好ましく、14以上であることがより好ましい。また、この比(D/d50)の上限は100以下であることが好ましく、50以下であることがより好ましい。なお、本明細書において、ノズル径とは、化粧料が通過する流路における最小の直径を意味し、通常、噴出口の径またはオリフィス径である。
また、ノズル径は、200μm以上600μm以下であることが好ましい。ノズル径は、250μm以上であることがより好ましく、300μm以上であることがさらに好ましい。また、ノズル径は、500μm以下であることがより好ましく、450μm以下であることがさらに好ましい。
【0040】
本発明のエアゾール型毛髪化粧料は、ガス圧が0.1MPa以上3MPa以下であることが好ましい。ガス圧がこの範囲内であると均一に噴射することが容易となるため、カラートラベル効果に優れ、また、ごわつきを軽減することができる。ガス圧は、0.2MPa以上であることがより好ましく、0.3MPa以上であることがさらに好ましい。また、ガス圧は、2MPa以下であることがより好ましく、1MPa以下であることがさらに好ましい。
本発明のエアゾール型毛髪化粧料は、噴射量が1g/10秒以上10g/10秒以下であることが好ましい。噴射量がこの範囲内であることにより、毛髪上に均一に付着させることが容易となり、乾燥に要する時間も短くなるため、カラートラベル効果に優れ、ごわつきを軽減することができ、また、液垂れを防止することができる。噴射量は、2g/10秒以上であることがより好ましく、2.5g/10秒以上であることがさらに好ましい。また、噴射量は、8g/10秒以下であることがより好ましく、6g/10秒以下であることがさらに好ましい。
【実施例0041】
以下、本発明のエアゾール型毛髪化粧料について、実施例を示して具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
・メディアン径測定
顔料をエタノールに10質量%濃度となるように加え、超音波を60秒照射して分散し、10質量%エタノール分散液を得た。10質量%エタノール分散液をサンプルとしてレーザー回折散乱式粒子径分布測定装置(マイクロトラック・ベル社製、マイクロトラックMT3000 EXII)を用い、透過性:透過、粒子形状:非球形、粒子屈折率:1.81、測定時間:30秒の条件で2回測定し、その平均値をメディアン径とした。
下記表1、2に示す質量比で各材料を配合して化粧料原液を調製し、この化粧料原液と(B)噴射剤を各表に示す異なる配合比でエアゾール型容器に充填し、エアゾール型毛髪化粧料を製造した。
これらについて、下記評価基準に従って、カラートラベル効果、感触、耐水性、耐摩擦性、洗い落とし性を評価した。結果を各表に示す。
【0042】
評価方法
・カラートラベル効果
毛束(ビューラックス社、品番:BS-B3N、黒毛100%)1gに対し、エアゾール型毛髪化粧料を、ノズル径350μmのアクチュエータ(三谷バルブ社製、ボタン:D94型、噴口:ND-13型)を用いて乾燥質量で0.1g付着するように塗布した後、十分乾燥させ、専門パネリスト5名の目視による官能試験を下記評価基準で行い、評価した。また、実施例2のエアゾール型毛髪化粧料については、白髪の毛束(ビューラックス社、品番:BM-W-A、白毛100%)についても、同様に評価を行った。
評価基準
5:実施例1と比較してカラートラベル効果(色調変化)がかなり感じられる。
4:実施例1と比較してカラートラベル効果(色調変化)が感じられる。
3:実施例1と同等のカラートラベル効果(色調変化)が感じられる。
2:実施例1と比較してカラートラベル効果(色調変化)が感じられにくい。
1:実施例1と比較してカラートラベル効果(色調変化)がほとんど感じられない。
結果は専門パネリスト5名の点数の平均値を四捨五入して整数値で示した。
【0043】
・耐水性
毛束(ビューラックス社、品番:BS-B-A、黒毛100%)1gに対し、エアゾール型毛髪化粧料を、ノズル径350μm(三谷バルブ社製、ボタン:D94型、噴口:ND-13型)のアクチュエータを用いて乾燥質量で0.1g付着するように塗布した後、十分乾燥させ、この毛束に対し霧吹きで常温水を吹きかけて濡らし、濡れた毛束を黒色布で挟み、5kgの荷重を15分間かけた後の布への色移りを専門パネリスト5名による目視にて観察し、下記評価基準で評価した。
評価基準
5:全く色移りがない。
4:ごくわずかに色移りがある。
3:やや色移りがある。
2:かなり色移りがある。
1:激しい色移りがある。
結果は専門パネリスト5名の点数の平均値を四捨五入して整数値で示した。
【0044】
・耐摩擦性
毛束(ビューラックス社、品番:BS-B-A、黒毛100%)1gに対し、エアゾール型毛髪化粧料を、ノズル径350μm(三谷バルブ社製、ボタン:D94型、噴口:ND-13型)のアクチュエータを用いて乾燥質量で0.1g付着するように塗布した後、十分乾燥させ、黒色布で当該毛束をこすったときの色移りを、専門パネリスト5名による目視で観察し、下記評価基準で評価した。
評価基準
5:全く色移りがない。
4:ごくわずかに色移りがある。
3:やや色移りがある。
2:かなり色移りがある。
1:激しい色移りがある。
結果は専門パネリスト5名の点数の平均値を四捨五入して整数値で示した。
【0045】
・洗い落とし性
毛束(ビューラックス社、品番:BS-B-A、黒毛100%)1gに対し、エアゾール型毛髪化粧料を、ノズル径350μm(三谷バルブ社製、ボタン:D94型、噴口:ND-13型)のアクチュエータを用いて乾燥質量で0.1g付着するように塗布した後、十分乾燥させ、シャンプー(ホーユー株式会社、ビゲントリートメントシャンプー)にて2回洗浄後の毛束における色残りを、専門パネリスト5名による目視で観察し、下記評価基準で評価した。
評価基準
5:全く色残りがない。
4:ごくわずかに色残りがある。
3:やや色残りがある。
2:かなり色残りがある。
1:激しい色残りがある。
結果は専門パネリスト5名の点数の平均値を四捨五入して整数値で示した。
【0046】
・感触
毛束(ビューラックス社、品番:BS-B3N、黒毛100%)1gに対し、エアゾール型毛髪化粧料を、ノズル径350μm(三谷バルブ社製、ボタン:D94型、噴口:ND-13型)のアクチュエータを用いて乾燥質量で0.1g付着するように塗布した後、十分乾燥させ、専門パネリスト10名の手の触感による官能試験を下記評価基準で行い、ごわつきのなさについて評価した。
評価基準
5:毛髪のごわつきを感じない。
4:毛髪のごわつきがほぼない。
3:毛髪のごわつきが少ない。
2:毛髪のごわつきがややある。
1:毛髪のごわつきが強い。
結果は専門パネリスト10名の点数の平均値を四捨五入して整数値で示した。
【0047】
【0048】
【0049】
本発明である実施例1~19のエアゾール型毛髪化粧料は、いずれも各評価結果が3以上であり、毛髪一時着色料として好適に用いられることが確かめられた。
実施例1~3、比較例1の結果より、(B)噴射剤の配合率が高くなるほど、噴射される粒が小さくなり髪の上にきれいに付着して、鮮やかなカラートラベル効果を呈し、感触も向上することが確認できた。特に、(B)噴射剤の配合率がそれぞれ70質量%、80質量%である実施例2、3のエアゾール型毛髪化粧料は、非常に鮮やかなカラートラベル効果が確認できた。それに対し、比較例1のエアゾール型毛髪化粧料は、噴射される粒が大きく、また、髪の上で粒が合体してより大きな粒が形成されるため、毛先に塊状の固形物が生じて汚くなってしまった。また、その色調は白っぽく、カラートラベル効果はほとんど確認できず、髪の感触も硬かった。
【0050】
実施例2と比較例2、実施例10、16、18~19の結果より、カラートラベル顔料のメディアン径が本発明の範囲内であることにより、鮮やかな色調変化が表出し、優れたカラートラベル効果が発揮できることが確認できた。
実施例9、10~12の結果より、耐水性、耐摩擦性の点から、(C)被膜形成剤としてアニオン性高分子または両性高分子が好ましく、両性高分子がより好ましいことが確かめられた。
【0051】
実施例2と比較例2のエアゾール型毛髪化粧料について、上記と同様にして、新品のエアゾール型毛髪化粧料を製造した。
これを30秒間噴射し、その噴射状態と、噴射後の噴出口とその内部を目視して、目詰まりの有無を評価した。
アクチュエータのノズル径(D)のカラートラベル顔料のメディアン径(d50)に対する比(D/d50)が14.6(=350/24)である実施例2は、30秒間安定して噴射することができ、噴射後の噴出口とその内部にも顔料の付着は見られず、目詰まりは生じなかった。
それに対し、アクチュエータのノズル径(D)のカラートラベル顔料のメディアン径(d50)に対する比(D/d50)が4.7(=350/75)である比較例2は、前半は順調に噴射することができたが、後半になるにつれて液体の噴射量が減少して気体である(B)噴射剤の割合が増加した。また、噴射後の噴出口に顔料の付着は見られなかったが、その内部に顔料の付着が見られ、目詰まりが発生していた。流路内で顔料が目詰まりしたことにより、液体が通過しにくくなり、気体の噴射量が増えたものであると推測される。