(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096647
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20230630BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212545
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】杉山 圭司
(72)【発明者】
【氏名】岡山 裕昭
(72)【発明者】
【氏名】葛原 聡
【テーマコード(参考)】
2H199
3D344
【Fターム(参考)】
2H199DA03
2H199DA12
2H199DA14
2H199DA15
2H199DA26
2H199DA29
2H199DA33
2H199DA42
3D344AA08
3D344AA21
3D344AC25
(57)【要約】
【課題】表示装置内部への塵及び埃の侵入を抑制するとともに、運転者の目の位置に応じた迷光対策をすることができる表示装置を提供する。
【解決手段】開口部40は、移動体の進行方向の前方側に配置される第1縁部41と、移動体の進行方向の後方側に配置される第2縁部42と、を有している。また、当該表示装置1が移動体に搭載された場合において、第1縁部41の上端と第2縁部42の下端とを結ぶ直線を基準線とし、基準線に沿って通過する外光であって光透過部材33に入射する外光を基準外光とすると、開口部40が第1位置に配置された場合の基準外光は、開口部40が第2位置に配置された場合の基準外光よりも、基準外光が光透過部材33で反射した後の光路の少なくとも一部において、低い位置に到達する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の表示媒体に画像を投影してユーザに虚像を視認させる表示装置であって、
前記画像を生成し、前記表示媒体に前記画像が投影されるように生成した前記画像を示す画像光を出力する画像生成部と、
前記表示媒体と前記画像生成部との間における、出力された前記画像光の光路上に位置する光透過部材と、
開口が形成され、第1位置と前記第1位置よりも前記移動体の進行方向の後方にある第2位置との間を前記移動体の進行方向に沿って移動可能となるように配置される開口部と、を備え、
前記開口部は、前記移動体の進行方向の前方側に配置される第1縁部と、前記移動体の進行方向の後方側に配置される第2縁部と、を有し、
当該表示装置が前記移動体に搭載された場合において、前記第1縁部の上端と前記第2縁部の下端とを結ぶ直線を基準線とし、
前記基準線に沿って通過する外光であって前記光透過部材に入射する外光を基準外光とすると、
前記開口部が前記第1位置に配置された場合の前記基準外光は、前記開口部が前記第2位置に配置された場合の前記基準外光よりも、前記基準外光が前記光透過部材で反射した後の光路の少なくとも一部において、低い位置に到達する
表示装置。
【請求項2】
前記開口部が前記第1位置に配置された場合の前記基準線と前記光透過部材との成す鋭角の角度は、前記開口部が前記第2位置に配置された場合の前記基準線と前記光透過部材との成す鋭角の角度よりも大きい
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記光透過部材は、前記進行方向と反対方向に近づくにつれて反り上がる湾曲部を有する
請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記開口部が前記第1位置に配置された場合の前記基準外光は、前記開口部が前記第2位置に配置された場合の前記基準外光よりも、前記表示媒体で反射した後、低い位置に到達する
請求項1~3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記開口部が前記第1位置に配置された場合の前記基準外光は、前記開口部が前記第2位置に配置された場合の前記基準外光よりも、前記ユーザの位置において、低い位置に到達する
請求項1~4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記光透過部材は、前記開口部と接続しており、前記開口部とともに前記移動体の進行方向に沿って移動可能である
請求項1~5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記開口部は、前記移動体のダッシュボードの内部に配置される
請求項1~6のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1縁部は、前記光透過部材に対して立ち上がるように突出し、
前記第1縁部の先端は、前記光透過部材よりも高い位置に配置されている
請求項1~7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
前記画像生成部は、表示部と、投影部と、を有する
請求項1~8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記光透過部材は、ホログラムの画像を表示する出射光学素子を含む導光板を有する
請求項1~7のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、見栄え及び意匠性を高めたヘッドアップディスプレイが開示されている。このヘッドアップディスプレイは、投影部の投影方向を調節する調節部と、開口部に車両の前後方向に移動可能に設けられて表示画像を透過する開口を形成し、前方側のベゼルと後方側のベゼルとを有する蓋部と、蓋部を投影方向に応じて移動させる制御を行う制御部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のヘッドアップディスプレイでは、外光による迷光、及び、開口からの塵及び埃等の侵入を抑制する防塵について何ら対策はなされていない。ヘッドアップディスプレイの開口に光透過部材を設置することで防塵効果を高めることが考えられるが、外光が光透過部材で反射することで、迷光がユーザの目に到達してしまうという課題がある。
【0005】
そこで、本開示は、表示装置内部への塵及び埃の侵入を抑制するとともに、運転者の目の位置に応じた迷光対策をすることができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る表示装置は、移動体の表示媒体に画像を投影してユーザに虚像を視認させる表示装置であって、前記画像を生成し、前記表示媒体に前記画像が投影されるように生成した前記画像を示す画像光を出力する画像生成部と、前記表示媒体と前記画像生成部との間における、出力された前記画像光の光路上に位置する光透過部材と、開口が形成され、第1位置と前記第1位置よりも前記移動体の進行方向の後方にある第2位置との間を前記移動体の進行方向に沿って移動可能となるように配置される開口部と、を備え、前記開口部は、前記移動体の進行方向の前方側に配置される第1縁部と、前記移動体の進行方向の後方側に配置される第2縁部と、を有し、当該表示装置が前記移動体に搭載された場合において、前記第1縁部の上端と前記第2縁部の下端とを結ぶ直線を基準線とし、前記基準線に沿って通過する外光であって前記光透過部材に入射する外光を基準外光とすると、前記開口部が前記第1位置に配置された場合の前記基準外光は、前記開口部が前記第2位置に配置された場合の前記基準外光よりも、前記基準外光が前記光透過部材で反射した後の光路の少なくとも一部において、低い位置に到達する。
【0007】
なお、これらのうちの一部の具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータで読み取り可能なCD-ROM等の記録媒体を用いて実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせを用いて実現されてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の表示装置によれば、表示装置内部への塵及び埃の侵入を抑制するとともに、運転者の目の位置に応じた迷光対策をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】
図1Aは、実施の形態1に係る車両と表示装置とを示す図である。
【
図1B】
図1Bは、実施の形態1に係る表示装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る表示装置を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る表示装置の開口部を第1位置に配置した場合の表示装置の内部構造及びフロントウインドを示す断面図である。
【
図4A】
図4Aは、実施の形態1に係る表示装置の開口部を第2位置に配置した場合の表示装置の内部構造及びフロントウインドを示す断面図である。
【
図5】
図5は、従来の光透過部材を用いた場合に外光が到達する位置と、実施の形態の光透過部材を用いた場合に外光が到達する位置とを示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1の変形例に係る表示装置の開口部を第1位置に配置した場合の表示装置の内部構造及びフロントウインドを示す断面図である。
【
図7】
図7は、実施の形態1の変形例に係る表示装置の開口部を第2位置に配置した場合の表示装置の内部構造及びフロントウインドを示す断面図である。
【
図8A】
図8Aは、実施の形態2に係る表示装置を示す断面図である。
【
図8B】
図8Bは、実施の形態2に係る表示装置及びフロントウインドを示す断面図である。
【
図9】
図9は、その他変形例に係る表示装置の開口部を第1位置に配置した場合の表示装置の内部構造及びフロントウインドを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下で説明する実施の形態等は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また全ての実施の形態において、各々の内容を組み合わせることもできる。
【0011】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。また、以下の実施の形態において、略一致等の表現を用いている。例えば、略一致は、完全に一致することを意味するだけでなく、実質的に一致している、すなわち、例えば数%程度の誤差を含むことも意味する。また、略一致は、本開示による効果を奏し得る範囲においてと一致という意味である。他の「略」を用いた表現についても同様である。
【0012】
また、以下の実施の形態では、第1縁部に対する第2縁部側をX軸プラス方向と規定し、第1筐体に対する開口部側をZ軸プラス方向と規定し、X軸プラス方向とZ軸プラス方向と垂直な方向であり、
図1Bの左側をY軸プラス方向と規定する。
図2以降の図においても
図1Bの方向を適用する。
【0013】
以下、本開示の表示システムについて、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0014】
(実施の形態1)
<構成>
図1Aは、実施の形態1に係る車両2と表示装置1とを示す図である。
図1Bは、実施の形態1に係る表示装置1を示す斜視図である。
図2は、実施の形態1に係る表示装置1を示す分解斜視図である。
【0015】
図1A、
図1B及び
図2に示すように、表示装置1は、例えば、車両2のダッシュボード(インストルメントパネルともいう)に配置される。車両2のダッシュボードの上方には、フロントウインド3(フロントシールドともいう)が配置されている。表示装置1は、ダッシュボードとフロントウインド3との間に配置されている。
【0016】
ここで、フロントウインド3は、表示媒体の一例である。また、車両2は、移動体の一例である。また、移動体は、車両2の他にも、航空機、船舶等であってもよい。
【0017】
表示装置1は、運転者又は同乗者等であるユーザに対して、画像生成部20から出射された画像を表す画像光をフロントウインド3に反射させることで、画像光により表される画像に対応する虚像を表示することができる。つまり、表示装置1は、画像生成部20が出射する画像を構成する画像光をフロントウインド3の前方に投影させることで、画像光が示す画像をフロントウインド3に表示する。これにより、表示装置1は、車両2のフロントウインド3に画像を投影してユーザに虚像を視認させることができる。
【0018】
ここで画像光は、数字、文字及び図形等を含む画像の情報を表す光であり、フロントウインド3の前方に虚像として表示される。画像は、静止画像又は動画像であり、数字、文字及び図形等の画像である。
【0019】
図3は、実施の形態1に係る表示装置1の開口部40を第1位置に配置した場合の表示装置1の内部構造及びフロントウインド3を示す断面図である。
図4Aは、実施の形態1に係る表示装置1の開口部40を第2位置に配置した場合の表示装置1の内部構造及びフロントウインド3を示す断面図である。
【0020】
図3及び
図4Aに示すように、表示装置1は、第1筐体10と、画像生成部20と、第1反射ミラー31及び第2反射ミラー32と、光透過部材33と、開口部40とを備えている。
【0021】
[第1筐体10]
第1筐体10は、画像生成部20、光透過部材33を収容する収容体である。第1筐体10は、表示装置1の外殻を構成している。第1筐体10は、ダッシュボードに取付けられた状態で、車両2に固定されている。
【0022】
第1筐体10のZ軸プラス方向側には、光透過部材33を配置するための筐体開口11が形成されている。筐体開口11は、湾曲した光透過部材33の形状に応じて、X軸プラス方向側がZ軸プラス方向側に反り上がっている。つまり、第1筐体10のX軸プラス方向側の一部は、Z軸プラス方向側に延びている。
【0023】
[画像生成部20]
画像生成部20は、画像を生成し、フロントウインド3に画像が投影されるように生成した画像を示す画像光を出力する。具体的には、画像生成部20は、表示部25から画像光を出射する。画像生成部20の表示部25から出射した画像光は、第1反射ミラー31で反射された後に、第2反射ミラー32でも反射され、光透過部材33に入射して透過した後に、開口部40の開口を通過して、表示装置1から出射されることで、フロントウインド3に投影される。つまり、画像生成部20は、画像を示す画像光を出射することで、所定の画像を、フロントウインド3に投影することができる。画像光がフロントウインド3に反射されることで、ユーザは、虚像を認識することができる。画像生成部20は、例えば、液晶ディスプレイ等を有する液晶表示装置である。
【0024】
画像生成部20は、表示部25と、第2筐体22と、発光モジュール23と、集光レンズ24とを有する。
【0025】
表示部25は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)等の液晶表示素子である。例えば、表示部25は、光透過型又は光半透過型のTFT液晶(Thin Film Transistor Liquid Crystal Display)等である。表示部25では、裏面側から光が照射されることで、透過した光によって出射面が発光する。表示部25は、
図1Aの車両2に搭載された制御部からの制御指示に応じて数字、文字及び図形等を含む画像を示す画像光を、出射面から出射させる。表示部25は、車両2側から得られる交流電力により駆動する。
【0026】
また、表示部25は、規定方向と平行な方向に光軸を有する。本実施の形態では、光軸は、X軸プラス方向に対してZ軸プラス方向側に上り傾斜している。
【0027】
また、表示部25は、発光モジュール23の光軸と直交する平面に対して傾斜している。具体的には、表示部25は、光軸と直交するように第2筐体22に固定されている。
【0028】
第2筐体22は、発光モジュール23、集光レンズ24等を収容する収容体である。第2筐体22は、第1筐体10の底板部に配置されている。第2筐体22は、例えば、ネジ等の固定部材によって第1筐体10の底部に固定されている。
【0029】
発光モジュール23は、光源と、基板とを有する。発光モジュール23は、投影部の一例である。
【0030】
光源は、集光レンズ24を介して、表示部25の裏側から表示部25に向けて光を照射する姿勢で、基板に実装される。光源は、例えば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)で構成される。例えば、光源は、車両2内の電源(不図示)から得られる直流電力により駆動する。光源は、制御部からのON信号又はOFF信号に応じて、点灯又は消灯する。
【0031】
基板は、集光レンズ24及び表示部25側の面に光源を実装している。基板は、Z-Y平面に対してX軸プラス方向に下り傾斜する姿勢で第2筐体22に支持される。
【0032】
集光レンズ24は、光源の光の出射方向側に配置され、光源と表示部25との間の光路上に配置されている。本実施の形態では、集光レンズ24は、集光レンズ24の中心軸が光源の光軸と略一致する姿勢で第2筐体22に支持されている。
【0033】
集光レンズ24は、光源から出射された光を表示部25に向けて出射する集光するレンズである。集光レンズ24から出射された光は、表示部25の裏面全体に照射される。
【0034】
集光レンズ24は、ガラス及び透明樹脂等の透光性の部材で構成されている。本実施の形態では、集光レンズ24は、凸レンズである。なお、集光レンズ24は、凹レンズであってもよい。
【0035】
[第1反射ミラー31及び第2反射ミラー32]
第1反射ミラー31は、画像生成部20が出射した画像光を、第2反射ミラー32に向けて反射する。また、第2反射ミラー32は、画像生成部20が出射した画像光を、光透過部材33に向けて反射する。
【0036】
具体的には、第1反射ミラー31及び第2反射ミラー32は、所定距離離間した状態で互いに向き合うように、第1筐体10に配置されている。
【0037】
より具体的には、第1反射ミラー31は、第1筐体10のX軸マイナス方向側に配置された画像生成部20の出射面と対向するように、第1筐体10のX軸プラス方向側に配置されている。また、第1反射ミラー31は、画像生成部20よりもZ軸プラス方向側に配置されている。また、第2反射ミラー32は、第1筐体10のX軸プラス方向側に配置された第1反射ミラー31と対向するように、第1筐体10のX軸マイナス方向側に配置されている。つまり、第2反射ミラー32は、X軸方向に沿って第1反射ミラー31と並ぶように配置されている。また、第2反射ミラー32は、Z軸方向において画像生成部20よりも、Z軸プラス方向側に配置されている。
【0038】
つまり、第1反射ミラー31及び第2反射ミラー32は、Z軸方向において、画像生成部20と、光透過部材33との間に配置される。
【0039】
このように第1反射ミラー31及び第2反射ミラー32が第1筐体10に配置されているため、画像生成部20が出射した画像光は、第1反射ミラー31に入射して第1反射ミラー31で反射した後に、第2反射ミラー32に入射して第2反射ミラー32で反射し、光透過部材33に入射する。つまり、第1反射ミラー31は画像生成部20と第2反射ミラー32との間の光路上に配置され、第2反射ミラー32は第1反射ミラー31と光透過部材33との間の光路上に配置されている。
【0040】
その後、光透過部材33に入射した画像光は光透過部材33を透光し、フロントウインド3に画像が投影される。
【0041】
第1反射ミラー31及び第2反射ミラー32は、凸面鏡又は凹面鏡である。本実施の形態では、第1反射ミラー31及び第2反射ミラー32のそれぞれは、湾曲した凹面鏡である。また、本実施の形態では、第1反射ミラー31及び第2反射ミラー32のそれぞれは、Z軸方向に長尺な矩形状の鏡である。なお、第1反射ミラー31及び第2反射ミラー32の形状は、特に限定されず、多角形状、及び、円形状であってもよい。
【0042】
また、第2反射ミラー32は、Y軸方向を軸心として揺動することができてもよい。この場合、フロントウインド3に投影する画像の位置を調節することができる。第2反射ミラー32は、手動操作又は駆動機構による電動操作によって揺動することができてもよい。
【0043】
[光透過部材33]
光透過部材33は、少なくとも一部が湾曲した薄板である。光透過部材33は、透光性を有する。このため、光透過部材33を透光した画像光は、フロントウインド3に投影される。
【0044】
また、光透過部材33は、第1筐体10の筐体開口11を覆う(塞ぐ)ように、第1筐体10に固定されている。また、光透過部材33は、X-Y平面と略平行となる姿勢で、第2反射ミラー32のZ軸プラス方向側に配置されている。つまり、光透過部材33は、フロントウインド3と画像生成部20との間における、画像光の光路上に位置する。具体的には、光透過部材33は、第2反射ミラー32とフロントウインド3との間の光路上に配置されている。このため、光透過部材33は、画像生成部20が出射した画像光をフロントウインド3に向けて透光させることができる。
【0045】
また、光透過部材33は、第1筐体10内に侵入する塵及び埃を抑制する防汚カバーとしての役割も果たす。例えば、光透過部材33におけるフロントウインド3側の表面には、ハードコート処理が行われていてもよい。この場合、この表面に塵及び埃が付着しても、汚れを拭き取り易くなる。また、光透過部材33におけるフロントウインド3側の表面は、光透過部材33のX軸プラス方向側の面であり、画像光を出射する出射面である。
【0046】
また、光透過部材33は、進行方向と反対方向に近づくにつれて反り上がる湾曲部33aを有している。つまり、筐体開口11のX軸プラス方向側がZ軸プラス方向側に延びているため、光透過部材33は、筐体開口11の形状に対応するように、X軸プラス方向側がZ軸プラス方向側に反り上がっている。湾曲部33aは、断面視で円弧状をなしている。
【0047】
また、光透過部材33は、全てが湾曲していてもよく、一部が湾曲していてもよい。光透過部材33の一部が湾曲している場合、光透過部材33は、湾曲部33aの他に、湾曲部33aのX軸マイナス方向側に位置する平面部を有していてもよい。
【0048】
[開口部40]
開口部40は、開口40aが形成された枠状体である。開口40aでは、光透過部材33を透光した画像光が通過する。また、開口40aでは、フロントウインド3の外側から入射した外光が通過したり、光透過部材33で反射された外光が通過したりする。
【0049】
また、開口部40は、光透過部材33を覆うように、光透過部材33のフロントウインド3側に配置されている。つまり、開口40aは、光透過部材33と対向する位置に配置される。また、開口40aは、Z軸方向に沿って、光透過部材33の少なくとも一部と重なるように配置されている。
【0050】
また、開口部40は、第1位置と第1位置よりも車両2の進行方向の後方にある第2位置との間を車両2の進行方向に沿って移動可能となるように配置されている。つまり、開口部40は、光透過部材33に対してX軸マイナス方向側に配置される第1位置と、光透過部材33に対してX軸プラス方向側に配置される第2位置との間で、X軸方向に沿って移動可能である。本実施の形態では、開口部40が第1位置の場合、開口40aは、Z軸方向に沿って、光透過部材33の湾曲部33aと重ならない位置に配置される。また、開口部40が第2位置の場合、開口40aは、Z軸方向に沿って、光透過部材33の湾曲部33aと重なる位置に配置される。
【0051】
開口部40が第1位置から第2位置に移動した場合、光透過部材33の表面に沿って移動するため、開口部40の第2縁部42が第1縁部41より高くなるように持ち上がってもよい。つまり、第2位置に移動した開口部40は、第2縁部42が第1縁部41よりも肩上がりの姿勢となる。一方、開口部40が第2位置から第1位置に移動した場合、光透過部材33の表面に沿って移動するため、開口部40の第1縁部41と第2縁部42とが同等の高さとなってもよい。つまり、第1位置に移動した開口部40は、第1縁部41と第2縁部42とがX-Y平面に沿って並ぶ姿勢となってもよい。
【0052】
また、第1筐体10の筐体開口11を開口部40の開口40aに挿入可能な程度に大きい場合、開口部40は、第1位置でも第2位置でも第1縁部41と第2縁部42とがX-Y平面に沿って並ぶ姿勢となってもよい。
【0053】
開口部40は、手動操作によって移動することができてもよい。また、開口部40は、電動モータ、ギア、ベルト等の駆動機構によって移動することができてもよい。この場合、開口部40は、車両2に搭載される入力装置によって入力操作されてもよい。また、開口部40は、車両に搭載されたセンサがユーザの目の位置を検知することで、駆動機構及び駆動機構を制御する制御部によって駆動制御されてもよい。つまり、制御部は、センサがユーザの目の位置を検知することで、駆動機構を制御して開口部40を移動させてもよい。これにより、開口部40は、ユーザの目の位置に連動して自動的に移動することができる。なお、制御部は、プログラムを実行することができるプロセッサ等である。
【0054】
このような開口部40は、第1縁部41と、第2縁部42と、一対の第3縁部43とを有している。
【0055】
第1縁部41は、移動体の進行方向の前方側、つまり第2縁部42よりもX軸マイナス方向側で、第2縁部42と対向して配置されている。第1縁部41は、開口部40の移動とともにX軸方向に沿って移動可能である。
【0056】
また、第1縁部41は、光透過部材33に対して立ち上がるようにZ軸プラス方向に延びている。第1縁部41の先端は、光透過部材33よりも高い位置に配置されている。具体的には、第1縁部41の先端は、湾曲部33aよりも高い位置に配置されている。これにより、第1縁部41は、外光を遮光することができる。つまり、開口部40は、遮光性能を有している。
【0057】
第2縁部42は、車両2の進行方向の後方側、つまり第1縁部41よりもX軸プラス方向側に配置されている。第2縁部42は、開口部40の移動とともにX軸方向に沿って移動可能である。
【0058】
一対の第3縁部43のそれぞれは、第1縁部41と第2縁部42との両端に配置され、第1縁部41と第2縁部42とに接続されている。
【0059】
本実施の形態では、当該表示装置1が車両2に搭載された場合において、第1縁部41の上端と第2縁部42の下端とを結ぶ直線を基準線とする。また、本実施の形態では、基準線に沿って通過する外光であって光透過部材33に入射する外光を基準外光とする。この場合、開口部40が第1位置に配置された場合の基準線と光透過部材33との成す鋭角の角度γ1は、開口部40が第2位置に配置された場合の基準線と光透過部材33との成す鋭角の角度γ2よりも大きくなってもよい。
【0060】
ここで、第1縁部41の上端と第2縁部42の下端とについて説明する。
図4Bは、第1縁部41の上端を説明する説明図である。
図4Cは、第2縁部42の下端を説明する説明図である。なお、
図4B及び
図4Cでは、第1縁部41、第2縁部42及び光透過部材33の断面のみを示している。
【0061】
まず、第1縁部41の上端とは、第1縁部41における鉛直上方の端部である。しかしこれには限定されない。
図4Bに示すように、第1縁部41の上端が湾曲した形状の場合、第2縁部42の下端を含み、かつ第1縁部41に接する直線が基準線となる。この場合、直線が接する第1縁部41の接点を第1縁部41の上端と定義してもよい。
【0062】
次に、第2縁部42の下端とは、第2縁部42における鉛直下方の端部である。しかしこれには限定されない。
図4Cに示すように、開口部40の第2縁部42が光透過部材33と接しない場合、つまり第2縁部42と光透過部材33との間に隙間がある場合、第2縁部42の壁面に沿う二点鎖線の延長線と光透過部材33とが交わる交点を第2縁部42の下端と定義してもよい。
【0063】
開口部40が第1位置に配置された場合、基準外光は、目の配置位置においてアイボックスが高い位置にあっても、アイボックスよりも所定距離だけ低い位置に到達する。また、開口部40が第2位置に配置された場合、基準外光は、目の配置位置においてアイボックスが低い位置にあっても、アイボックスよりも所定距離だけ低い位置に到達する。
【0064】
また、開口部40が第1位置に配置された場合の基準外光は、開口部40が第2位置に配置された場合の基準外光よりも、基準外光が光透過部材33で反射した後の光路の少なくとも一部において、低い位置に到達する。本実施の形態では、開口部40が第1位置に配置された場合の基準外光は、開口部40が第2位置に配置された場合の基準外光よりも、フロントウインド3で反射した後、低い位置に到達する。具体的には、開口部40が第1位置に配置された場合の基準外光は、開口部40が第2位置に配置された場合の基準外光よりも、ユーザの位置において、低い位置に到達する。このように、開口部40を移動させることで、ユーザの目の位置に合わせてユーザに到達する基準外光の位置を最適化することができる。
【0065】
次に、基準外光をユーザの位置において、低い位置に到達させるための計算式について説明する。
【0066】
図5は、従来の光透過部材を用いた場合に外光が到達する位置と、実施の形態の光透過部材33を用いた場合に外光が到達する位置とを示す図である。
図5では、開口部が第2位置に配置されている場合を例示している。また、
図5では、第2縁部、第1筐体等の図示を省略している。本実施の形態の光透過部材33に入射した基準外光を実線で示し、従来の光透過部材を二点鎖線で示し、従来の光透過部材に入射した基準外光を二点鎖線で示している。
【0067】
光透過部材33の第1縁部41側の表面端縁を通過する水平線から第1縁部41の先端までの高さをD1、当該水平線からフロントウインド3の内面(車室側の面)に実線の基準外光が入射した地点までの高さをD2、フロントウインド3の内面に実線の基準外光が入射した地点から二点鎖線の基準外光が到達したユーザにおける位置までの高さをD3、実線の基準外光が到達したユーザにおける位置から二点鎖線で示す目の配置領域の鉛直下端までの高さをD4、二点鎖線で示す目の配置領域の鉛直下端から当該水平線までの高さをD5で示す。また、従来の光透過部材の表面と光透過部材33の表面との交点から光透過部材33のユーザ側の端縁までの幅をL1、光透過部材33のユーザ側の端縁からフロントウインド3の内面に実線の基準外光が入射した地点までの幅をL2、フロントウインド3に入射した地点からユーザまでの幅をL3で示す。
【0068】
当該水平線と車室側のフロントウインド3の内面との角度をdで示す。また、従来の光透過部材に入射した地点を通過する水平線と従来の光透過部材に入射した二点鎖線の基準外光との鋭角の角度をθで示す。また、従来の光透過部材に入射した地点を通過する水平線と従来の光透過部材の表面(接線)との角度をaで示す。また、従来の光透過部材に入射した地点を通過する水平線と二点鎖線の基準外光が従来の光透過部材で反射した光との角度をθ+2aで示す。また、実線の基準外光が光透過部材33に入射した地点と二点鎖線の基準外光が従来の光透過部材に入射した地点との幅をΔTで示す。また、光透過部材33の第1縁部41側の表面端縁を通過する水平線と実線の基準外光が光透過部材33に入射した表面(地点の接線)との角度をgで示す。二点鎖線の基準外光が従来の光透過部材で反射した光と当該光がフロントウインド3の内面に入射した地点を含む鉛直方向に平行な直線との角度をcで示す。フロントウインド3の内面で反射した二点鎖線の基準外光と当該基準外光がフロントウインド3の内面に入射した地点を含む鉛直方向に平行な直線との角度をc+2dで示す。
【0069】
この場合、以下の関係式である式(1)~式(6)が成り立つ。
【0070】
tan(θ+2a)=D2/L2 式(1)
tan(c+2d)=L3/D3 式(2)
c=90-(θ+2a) 式(3)
D3=L3/tan(c+2d)=L3/tan(90-(θ+2a-2d))=L3×tan(θ+2a-2d) 式(4)
D4=D3-D5 式(5)
ΔT=L1×(tan(a)-tan(g)) 式(6)
【0071】
このように、本実施の形態では、従来の光透過部材に比べて光透過部材33の湾曲部33aの曲率を小さくすることができるようになる。つまり、従来の光透過部材に比べて光透過部材33の全体の高さを小さくすることができる。このため、従来の光透過部材を搭載した表示装置よりも、本実施の形態の光透過部材33を搭載した表示装置1の方が大型化を抑制し、かつ、表示装置1への搭載性の低下を抑制することができる。
【0072】
<動作>
このような表示装置1では、画像生成部20から出射された画像光は、第1反射ミラー31に入射して反射し、第2反射ミラー32に入射する。第2反射ミラー32に入射した画像光は、第2反射ミラー32で反射し、光透過部材33に入射して光透過部材33を透光し、光透過部材33から出射されてフロントウインド3に入射する。フロントウインド3に画像光が入射することで、画像がフロントウインド3に投影される。
【0073】
また、開口部40の位置が第1位置でも第2位置の場合でも、フロントウインド3を透光した外光は、開口部40の開口40aを通過して光透過部材33に入射する。光透過部材33に入射した外光は、光透過部材33で反射してフロントウインド3に入射する。フロントウインド3に入射した外光は、反射してユーザのアイボックスよりも低い位置に到達する。アイボックスの位置に応じて開口部40の位置を調節することで、ユーザのアイボックスに光が到達することを抑制できる。
【0074】
<作用効果>
次に、本実施の形態における表示装置1の作用効果について説明する。
【0075】
上述したように、本実施の形態に係る表示装置1は、移動体(車両2)の表示媒体(フロントウインド3)に画像を投影してユーザに虚像を視認させる表示装置1であって、画像を生成し、表示媒体に画像が投影されるように生成した画像を示す画像光を出力する画像生成部20と、表示媒体と画像生成部20との間における、出力された画像光の光路上に位置する光透過部材33と、開口40aを形成し、第1位置と第1位置よりも移動体の進行方向の後方にある第2位置との間を移動体の進行方向に沿って移動可能となるように配置される開口部40と、を備えている。また、開口部40は、移動体の進行方向の前方側に配置される第1縁部41と、移動体の進行方向の後方側に配置される第2縁部42と、を有している。また、当該表示装置1が移動体に搭載された場合において、第1縁部41の上端と第2縁部42の下端とを結ぶ直線を基準線とし、基準線に沿って通過する外光であって光透過部材33に入射する外光を基準外光とすると、開口部40が第1位置に配置された場合の基準外光は、開口部40が第2位置に配置された場合の基準外光よりも、基準外光が光透過部材33で反射した後の光路の少なくとも一部において、低い位置に到達する。
【0076】
これによれば、開口40aと対向する位置に光透過部材33を配置することができるため、開口40aから塵及び埃の侵入を抑制することができる。
【0077】
また、開口部40を移動させることで、基準外光が光透過部材33で反射した後の光路をずらすことができる。つまり、ユーザの目に外光が到達しないように開口部40の位置を調節することができるため、ユーザは外光による眩しさを感じ難くなる。
【0078】
したがって、表示装置1によれば、表示装置1内部への塵及び埃の侵入を抑制するとともに、運転者の目の位置に応じた迷光対策をすることができる。その結果、外光による迷光がユーザの目に到達してしまうことを抑制することができるため、ユーザは外光による眩しさを感じ難くなる。
【0079】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、光透過部材33は、進行方向と反対方向に近づくにつれて反り上がる湾曲部33aを有する。
【0080】
これによれば、開口部40が第2位置に配置された場合、基準外光を湾曲部33aに入射させることができる。これにより、開口部40が第2位置に配置された場合、アイボックスよりも低い位置に湾曲部33aに外光を入射させることができる。
【0081】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、開口部40が第1位置に配置された場合の基準外光は、開口部40が第2位置に配置された場合の基準外光よりも、表示媒体で反射した後、低い位置に到達する。
【0082】
これによれば、開口部40が第2位置にある場合、外光によってユーザが眩しさを感じても、開口部40を第1位置側に移動させることで、外光をアイボックスの位置よりも低い位置に到達させることができる。つまり、ユーザの目に外光が到達しないように開口部40の位置を調節することができるため、ユーザは外光による眩しさを感じ難くなる。
【0083】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、開口部40が第1位置に配置された場合の基準外光は、開口部40が第2位置に配置された場合の基準外光よりも、低い位置に到達する。
【0084】
これによれば、身長の低い人が車両2に乗車していても、開口部40を第1位置に移動させることで、ユーザの目に外光が到達しないようにすることができる。
【0085】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、第1縁部41は、光透過部材33に対して立ち上がるように突出している。そして、第1縁部41の先端は、光透過部材33よりも高い位置に配置されている。
【0086】
これによれば、開口部40を移動させることで、光透過部材33に入射する外光の光量を減少させることができる。つまり、第1縁部41によって外光を遮光することができるため、表示装置1の内部に取り込まれる外光の光量を減らすことができる。このため、光透過部材33に入射して透光した外光が集光されて画像生成部20の内部に到達してしまい、画像生成部20の内部の温度上昇を抑制することができる。その結果、画像生成部20の劣化を抑制することができる。
【0087】
また、本実施の形態に係る表示装置1において、画像生成部20は、表示部25と、投影部(発光モジュール23)と、を有する。
【0088】
これによれば、画像生成部20は画像光を出力することで、フロントウインド3に画像を投影することができる。
【0089】
(実施の形態1の変形例)
本変形例の表示装置1では、光透過部材33が開口部140に設けられている点で実施の形態1の表示装置と相違する。本変形例における他の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態1と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0090】
図6は、実施の形態1の変形例に係る表示装置1の開口部140を第1位置に配置した場合の表示装置1の内部構造及びフロントウインド3を示す断面図である。
図7は、実施の形態1の変形例に係る表示装置1の開口部140を第2位置に配置した場合の表示装置1の内部構造及びフロントウインド3を示す断面図である。
【0091】
本変形例の表示装置1では、
図6及び
図7に示すように、光透過部材33は、開口部140と接続している。具体的には、光透過部材33は、開口部140の開口40a全体を覆うように、開口部140に配置されている。このため、光透過部材33は、開口部140とともに車両2の進行方向に沿って移動可能である。この場合、本変形例の第1筐体10の筐体開口11には、別の光透過部材が配置されていてもよく、別の光透過部材が配置されていなくてもよい。
【0092】
また、光透過部材33は、開口40aにおいて、進行方向と反対方向に近づくにつれて反り上がるように配置される。つまり、光透過部材33の湾曲部33aは、第2縁部42に連結され、光透過部材33の湾曲部33aとは反対側の部分(X軸マイナス方向側の部分)が第1縁部41に連結されている。
【0093】
ここで、本実施の形態の第2縁部42の下端について説明する。本実施の形態では、光透過部材33が開口部140に配置されているため、光透過部材33と第2縁部42の壁面とが交わる交点を第2縁部42の下端と定義してもよい。
【0094】
このような、本変形例に係る表示装置1において、光透過部材33は、開口部140と接続しており、開口部140とともに移動体の進行方向に沿って移動可能である。
【0095】
また、光透過部材33を開口部140に一体的に設けることができるため、光透過部材33を開口部140とともに移動させることができる。
【0096】
(実施の形態2)
本実施の形態における表示装置1の光透過部材33が導光板60を有する点で実施の形態1の表示装置と相違する。本実施の形態における他の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態1と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0097】
<構成>
図8Aは、実施の形態2に係る表示装置1を示す断面図である。
図8Bは、実施の形態2に係る表示装置1及びフロントウインド3を示す断面図である。
【0098】
本実施の形態の表示装置1では、
図8Aに示すように、光透過部材33は、ホログラムの画像を表示する出射光学素子62を含む導光板60を有している。導光板60は、画像生成部20の表示部25から出射された画像を構成する画像光をフロントウインド3に投影させることで、画像光が示すホログラムの画像をユーザに表示することができる。
【0099】
具体的には、導光板60は、導光体61と、出射光学素子62とを有している。
【0100】
導光体61は、透光性を有し、入射面61aから所定方向に延びた長尺な板である。導光体61は、入射面61aと、出射面61bとを有している。
【0101】
入射面61aは、反射ミラー63で反射した画像光が入射する面である。入射面61aは、反射ミラー63と対向するように配置されている。入射面61aは、導光板60の裏面の一部であり、導光板60の一端側の面である。裏面は、導光体61の画像生成部20側の面である。なお、入射面61aは、導光板60の側面であってもよい。このため、入射面61aは導光体61の裏面に限定されない。
【0102】
出射面61bは、入射面61aから入射した画像光であり、内部を導光した画像光をフロントウインド3に向けて出射する。出射面61bは、フロントウインド3と対向し、フロントウインド3と所定距離離れている。出射面61bは、導光体61の表面の一部である。表面は、導光体61のフロントウインド3側の面である。
【0103】
出射光学素子62は、導光体61の内部に内包され、板状をなした光透過型の回折ホログラムである。出射光学素子62は、導光体61の長手方向であり、導光体61の表面及び裏面に沿って配置されている。
【0104】
出射光学素子62には、反射ミラー63で反射した画像光であって、入射面61aから入射した画像光が入射する。画像光が出射光学素子62を所定の向きから入射(透過)するたびに、出射光学素子62は、画像光を回折することで画像光のうちの一部の画像光を、導光体61を介して所定の出射角をもって出射面61bから出射させる。具体的には、出射光学素子62で回折した画像光の一部は、導光体61を介して出射面61bから出射されるとともに、残りの画像光が導光体61を導光しながら、出射光学素子62で回折して出射面61bから出射される。出射角は、出射光学素子62の表面の法線に対して出射する光の角度である。
【0105】
また、出射光学素子62は、出射光学素子62の所定の領域において、画像光の出射角のそれぞれが異なるように、出射する画像光を発散させる。出射光学素子62は、入射する画像光を回折させる際に、回折させる出射光学素子62上の位置(部分)によって出射角を異ならせる。これにより、出射光学素子62は、出射光学素子62が回折した画像光のうちの一部の画像光の出射角をそれぞれ異ならせる。
【0106】
本実施の形態の導光体61は湾曲している。このため、出射光学素子62も湾曲している。具体的には導光体61及び出射光学素子62は、画像生成部20に近づくにつれて上側に反り上がっている。また、導光体61の表面及び裏面は、湾曲した面である。
【0107】
なお、導光板60は、光透過部材として、開口部の開口全体を覆うように、開口部に配置されていてもよい。このため、光透過部材33は、開口部とともに車両2の進行方向に沿って移動可能であってもよい。また、導光板60は、第1筐体の筐体開口に配置されていてもよい。
【0108】
<作用効果>
次に、本実施の形態における表示装置1の作用効果について説明する。
【0109】
上述したように、本実施の形態に係る表示装置1において、光透過部材33は、ホログラムの画像を表示する出射光学素子62を含む導光板60を有している。
【0110】
これによれば、ホログラムの画像をフロントウインド3に投影することができる。このため、ユーザは、立体的に画像を視認することができる。このため、車両2の走行に関する情報を表示すれば、ユーザは、車両2の走行に関する情報を把握し易くなるため、車両2を安全に運転することができるようになる。
【0111】
(その他変形例等)
以上、本開示について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これら実施の形態等に限定されるものではない。
【0112】
例えば、上記各実施の形態に係る表示装置1において、
図9に示すように、開口部40は、車両2のダッシュボード50の内部に配置されていてもよい。
図9は、その他変形例に係る表示装置1の開口部40を第1位置に配置した場合の表示装置1の内部構造及びフロントウインド3を示す断面図である。これによれば、光透過部材33を開口部140と一体化することで、光透過部材33と開口部140との組付けのバラツキを抑制することができる。また、光透過部材33がダッシュボード50よりも下側に配置されることで、小さい角度で光透過部材33に入射する外光がダッシュボード50によって遮光されるため、基準外光と光透過部材33との鋭角の角度をできるだけ大きくすることができるようになる。このため、外光がユーザの位置において、ユーザの目より低い位置に到達するようになる。その結果、ユーザは眩しさを感じ難くなる。
【0113】
また、
図9のようにダッシュボード50の内部に開口部40を配置しても、開口部40が第1位置に配置された場合の基準線と光透過部材33との成す鋭角の角度は、開口部40が第2位置に配置された場合の基準線と光透過部材33との成す鋭角の角度よりも大きくなってもよい。これによれば、開口部40を第1位置に配置した場合の基準線と光透過部材33との成す鋭角の角度は、開口部40を第2位置に配置した場合の角度よりも大きく設定されている。このため、開口部40の位置を移動させることで、フロントウインド3で反射した外光を、ユーザのアイボックスの位置よりも低い位置に到達させるように調節することができる。例えば、開口部40が第1位置に配置された場合の基準外光は、開口部40が第2位置に配置された場合の基準外光よりも、基準外光が光透過部材33で反射した後の光路の少なくとも一部において、低い位置に到達する。また、当然のことながら、ダッシュボード50の開口50aにおけるX軸マイナス方向側の縁部と第2縁部42の下端とを結ぶ直線を基準線とした場合、開口部40が第1位置に配置された場合の当該基準線と光透過部材33との成す鋭角の角度は、開口部40が第2位置に配置された場合の基準線と光透過部材33との成す鋭角の角度よりも大きくなってもよい。
【0114】
また、上記各実施の形態に係る表示装置では開口部を構成要素に備えているが、開口部が車両に搭載されている場合、表示装置は、構成要件から開口部を除いた構成であってもよい。
【0115】
また、上記各実施の形態に係る表示装置において、開口部は、開口部の開口及び光透過部材を覆う蓋を有していてもよい。つまり、表示装置を使用しない場合、蓋によって開口及び光透過部材の全てを覆うことで、表示装置内部に外光が入射して画像生成部内部の温度が上昇してしまうことを抑制することができる。
【0116】
その他、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本開示は、例えば車両等の移動体に利用可能である。
【符号の説明】
【0118】
1 表示装置
2 車両(移動体)
3 フロントウインド(表示媒体)
20 画像生成部
23 発光モジュール(投影部)
25 表示部
33 光透過部材
33a 湾曲部
40、140 開口部
40a 開口
41 第1縁部
42 第2縁部
50 ダッシュボード
60 導光板
62 出射光学素子