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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096660
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】収納ユニット及び収納家具装置
(51)【国際特許分類】
   A47B 55/00 20060101AFI20230630BHJP
   A47B 57/40 20060101ALI20230630BHJP
   A47B 96/04 20060101ALI20230630BHJP
   A47B 87/00 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
A47B55/00
A47B57/40 B
A47B96/04 B
A47B87/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212569
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(71)【出願人】
【識別番号】390005452
【氏名又は名称】伊藤喜オールスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 博
(72)【発明者】
【氏名】島田 美樹雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 昇
(72)【発明者】
【氏名】白野 克明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 総
【テーマコード(参考)】
3B067
3B260
【Fターム(参考)】
3B067AA05
3B067AA07
3B260BA01
3B260BB01
3B260BB02
3B260BD02
3B260BF02
(57)【要約】
【課題】ユーザーの要望にきめ細かく対応できる収納家具を提供する。
【解決手段】複数の収納ユニットによって収納家具装置を構成している。各収納ユニット1~4は内部が左右の縦長収納部8に仕切られており、各縦長収納部8は、棚板18を配置して上下複数段の単位収納部9に仕切り可能になっている。各単位収納部9は、水平回動式の扉10で塞がれている。各収納ユニット1~4のうち少なくとも1つの収納ユニットは、内部を4種類以上の単位収納部9に仕切ることが可能になっている。これにより、各収納ユニットの単体としても収納家具装置としても、ユーザーの要望にきめ細かく対応できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板、背板、及び左右の側板で構成された函体を備え、
前記函体の内部が複数列の縦長収納部に区画されており、
前記各縦長収納部は、1枚又は複数枚の棚板によって仕切られることで、複数段の単位収納部を形成可能であり、
前記各単位収納部は、鉛直軸に対して水平回動する扉を有しており、
前記縦長収納部毎に、高さが異なる4種類以上の扉を選択して組み合わせることで、全体として4種類以上の単位収納部を構成可能である、
収納ユニット。
【請求項2】
前記函体は、1枚の前記天板及び、1枚の前記背板と、及び左右1枚ずつの前記側板で構成される、
請求項1に記載した収納ユニット。
【請求項3】
上下に隣り合う前記単位収納部は、前記縦長収納部において配置される棚板で仕切られ、
前記棚板には、前記扉を水平回動自在に連結するヒンジが設けられている、
請求項1又は2に記載した収納ユニット。
【請求項4】
前記縦長収納部同士を仕切る仕切り板をさらに備え、
前記側板は、内側板と外側板とを有し、
前記内側板と前記仕切り板とに、前記棚板を支持するブラケットが取り付く係止穴を形成している、
請求項3に記載した収納ユニット。
【請求項5】
前記内側板と前記仕切り板とに、前記棚板を支持するブラケットが取り付いた既使用係止穴と、前記ブラケットが取り付いていない非使用係止穴とが上下に間隔を隔てて形成されている、
請求項4に記載の収納ユニット。
【請求項6】
本体が、左右の側板と天板と背板とを有する函体と、前記函体の内部を左右の縦長収納部に仕切る仕切り体と、を備え、
前記左右の縦長収納部のうち少なくとも一方の縦長収納部は、扉が水平回動自在に連結された1枚又は複数枚の棚板によって複数段の単位収納部に仕切られるようになっており、
前記左右側板は中空に形成され、
前記仕切り体は中空に形成され、
前記少なくとも一方の縦長収納部を構成する内側板と仕切り板には、前記棚板を支持するブラケットが取り付く係止穴を多段に形成され、
任意の段の前記係止穴に前記ブラケットを係止可能になっている、
収納ユニットであって、
前記係止穴は、高さが異なる複数種類の単位収納部から特定高さの単位収納部を選択して形成できるように上下ピッチが異なる複数群で構成されており、
実際に取り付けられる棚板の段数よりも多い段数の係止穴が予め形成されている、
収納ユニット。
【請求項7】
複数種類の収納ユニットを備え、少なくとも1つの前記収納ユニットは請求項1~6に記載された収納ユニットのうちのいずれか1つであり、
各前記収納ユニットは高さが異なっており、
全体として4列以上の縦長収納部を有している、
収納家具装置。
【請求項8】
前記収納ユニットの群として、高さが600mm以上1000mm未満の第1収納ユニット、高さが1000mm以上1200mm未満の第2収納ユニット、高さが1200mm以上1400mm未満の第3収納ユニット、高さが1400mm以上1800mm未満の第4収納ユニットの4種類の高さのものがあり、
前記各収納ユニットは、左右の縦長収納部に仕切られていて、
前記左右の縦長収納部に異なる高さの単位収納部が形成可能である、
請求項7に記載した収納家具装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ロッカーのように水平回動式扉を備えた収納ユニット(収納家具)、及び、複数の収納ユニットから成る収納家具装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水平回動式扉を備えた収納家具の一例としてロッカーがあり、ロッカーは様々な形態で様々な用途に使用されている。例えば、大きさについて見ると、コインロッカーに代表されるように、高さと間口が数十センチの単位収納部が上下左右に多連に配置されたものや、コート類も収納できる180センチの程度の高さの単位収納部が左右に複数連接されたものなどがある。
【0003】
他方、近年、オフィスにおいてワーキングスタイルが大きく変化しており、デスクはあるものの個々のワーカーは自席を持たないフリーアドレス方式(ノンテリトリアル方式)が広く普及している。特定の曜日又は必要なときだけ出勤する勤務方式も広く普及しているが、この場合は、基本的にフリーアドレス方式になっていることが多い。いずれにしても、勤務時間中に私物を保管したり退社後に支給品を保管したりする必要があり、従って、各人のためのロッカーは必要であることが多い。
【0004】
個人用のロッカーはオフィスの必需品といえるが、問題は、使用者の事情や業種・職種等によって必要とする容積が異なることである。すなわち、簡単な私物を収納できるだけで足りる人もいるし、例えば出張のためのトランクを収納したいと欲する人もいる。この場合、小容量、中容量、大容量といった複数のロッカーを用意しておいて、必要な容量の収納部を有するロッカーを選択することが考えられるが、この場合は、1つのロッカーで使用されない収納部が増えるおそれがある。
【0005】
この点について、特許文献1には、ネットワーク機器類収納用ラックに関して、1つのラックを左右に並んだ2つの枠体で仕切ることによって、ラックの内部を3つの縦長収納部に構成し、3つの縦長収納部を、棚板を備えておらずに全体を1つの単位収納部と成したものと、1段の棚板で仕切って上下2段の単位収納部を有するものと、3段の棚板で仕切って4段の単位収納部を有するものとに区分し、全体として3種類の高さの単位収納部を有するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4472207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、1つのラックの内部が、高さが異なる複数種類の単位収納部で構成されているため、ロッカーに転用すると、容量について異なる要望にある程度は応えることができるため、ロッカーの内部の空間の有効利用に貢献できると云える。
【0008】
しかし、特許文献1では単位収納部は3種類の高さしか選択できないため、ロッカーに転用しても、ユーザーの多彩な要望に応えることが十分とは言い難い。また、特許文献1は、ロッカーは、左右に並列した4列の枠体で骨組みを構成して、各枠体に前後長手の3段の横桟を配置し、横桟で棚板を支持可能とすることにより、各縦長収納部を3種類の高さの縦長収納部に選択可能としていると共に、扉は枠体に取り付けているため、部材点数が多くて構造が複雑化するという問題もある。
【0009】
本願発明は、このような現状を改善しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は様々な構成を含んでおり、その典型を各請求項で特定している。請求項1の発明は収納ユニットに関するもので、この収納ユニットは、
「天板、背板、及び左右の側板で構成された函体を備え、
前記函体の内部が複数列の縦長収納部に区画されており、
前記各縦長収納部は、1枚又は複数枚の棚板によって仕切られることで、複数段の単位収納部を形成可能であり、
前記各単位収納部は、鉛直軸に対して水平回動する扉を有しており、
前記縦長収納部毎に、高さが異なる4種類以上の扉を選択して組み合わせることで、全体として4種類以上の単位収納部を構成可能である」
という構成になっている。
【0011】
請求項2の発明は請求項1の展開例であり、
「前記函体は、1枚の前記天板及び、1枚の前記背板と、及び左右1枚ずつの前記側板で構成される」
という構成になっている。
【0012】
請求項3の発明は請求項1又は2の展開例であり、
「上下に隣り合う前記単位収納部は、前記縦長収納部において配置される棚板で仕切られ、
前記棚板には、前記扉を水平回動自在に連結するヒンジが設けられている」
という構成になっている。
【0013】
請求項4の発明は請求項3の展開例であり、
「前記縦長収納部同士を仕切る仕切り板をさらに備え、
前記側板は、内側板と外側板とを有し、
前記内側板と前記仕切り板とに、前記棚板を支持するブラケットが取り付く係止穴を形成している」
という構成になっている。
【0014】
請求項5の発明は請求項4の展開例であり、
「前記内側板と前記仕切り板とに、前記棚板を支持するブラケットが取り付いた既使用係止穴と、前記ブラケットが取り付いていない非使用係止穴とが上下に間隔を隔てて形成されている」
という構成になっている。
【0015】
請求項6の発明は収納ユニットに関する独立項であり、
「本体が、左右の側板と天板と背板とを有する函体と、前記函体の内部を左右の縦長収納部に仕切る仕切り体と、を備え、
前記左右の縦長収納部のうち少なくとも一方の縦長収納部は、扉が水平回動自在に連結された1枚又は複数枚の棚板によって複数段の単位収納部に仕切られるようになっており、
前記左右側板は中空に形成され、
前記仕切り体は中空に形成され、
前記少なくとも一方の縦長収納部を構成する内側板と仕切り板には、前記棚板を支持するブラケットが取り付く係止穴を多段に形成され、
任意の段の前記係止穴に前記ブラケットを係止可能になっている、
収納ユニットであって、
前記係止穴は、高さが異なる複数種類の単位収納部から特定高さの単位収納部を選択して形成できるように上下ピッチが異なる複数群で構成されており、
実際に取り付けられる棚板の段数よりも多い段数の係止穴が予め形成されている」
という構成になっている。
【0016】
請求項7の発明は収納家具装置に関するもので、この収納家具装置は、
「複数種類の収納ユニットを備え、少なくとも1つの前記収納ユニットは請求項1~6に記載された収納ユニットのうちのいずれか1つであり、
各前記収納ユニットは高さが異なっており、
全体として4列以上の縦長収納部を有している」
という構成になっている。
【0017】
請求項8の発明は請求項7の展開例であり、
「前記収納ユニットの群として、高さが600mm以上1000mm未満の第1収納ユニット、高さが1000mm以上1200mm未満の第2収納ユニット、高さが1200mm以上1400mm未満の第3収納ユニット、高さが1400mm以上1800mm未満の第4収納ユニットの4種類の高さのものがあり、
前記各収納ユニットは左右の縦長収納部に仕切られていて、
前記左右の縦長収納部に異なる高さの単位収納部が形成可能である」
という構成になっている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明では、1つの収納ユニットに高さが相違する4種類以上の単位収納部で構成できるため、ユーザーの多彩な要望に応える収納ユニットを迅速に提供できる。すなわち、ユーザーの要望に応じて、本体は変更することなく内部の区分態様を4種類以上から選択して迅速に提供できる。従って、ユーザーの要望への対応性に優れている。
【0019】
特許文献1のラックは、3つの収納部を左右に連接した構造になっており、天板は各縦長収納部の箇所に分離しており、このため構造が複雑であって組み立てに手間がかかると共に美観もよいとは云えない。これに対して、本願請求項2の構成では、函体の外周面はそれぞれ1枚板になっているため、組み立ての手間を軽減できると共に、すっきりとした外観になって体裁もよい。
【0020】
特許文献1では枠体にヒンジを設けているが、この構成では、内部の仕切り構造を変える場合、棚板を高さ調節可能に構成することに加えて、ヒンジの取り付け位置も棚板の高さに応じて変更せねばならないため、構造が複雑化して加工コストが嵩む問題がある。
【0021】
これに対して本願請求項3のように棚板にヒンジを設けると、収納ユニットの本体に特段の加工を施すことなく扉を取り付けできるため、縦長収納部の内部の区分態様の変更を迅速に行えると共に、加工コストも抑制できる。
【0022】
棚板の支持手段として請求項4の構成を採用すると、ブラケットの係止位置を変えるだけで棚板の高さを変更できるため、収納ユニットの組み立てを迅速に行える。また、係止穴は内側板及び仕切り板に打ち抜くだけで形成できるため、部材の加工性にも優れている。
【0023】
請求項5では、1つの縦長収納部に高さが異なる複数種類の単位収納部で構成可能とするにおいて、各種類の単位収納部に対応して配置される棚板の高さに対応して予め係止穴を空けているため、どの高さの単位収納部に対応した棚板も即座に配置できる。従って、縦長収納部の内部の仕切り態様が相違する複数種類の収納ユニットを速やかに提供できる。すなわち、本体が共用されて仕切り構造が相違する多種類の収納ユニットを、迅速に提供できる。これにより、ユーザーの要望に対応した収納ユニットを速やかに提供できる。請求項6の発明も同様である
請求項7のように高さが異なる複数種類の収納ユニットを組合せると、全体として単位収納部の高さの種類を容易に増大できる。従って、ユーザーのきめ細かな要望に的確に対応できる。また、各収納ユニットは左右幅と奥行きが共通させることが普通であるため、左右に並べたり上下に重ねたりすることも容易である。従って、オフィス等においてレイアウトを行いやすい。
【0024】
高さが相違する複数種類の収納ユニットを組み合わせる場合、各収納ユニットの高さは任意に設定できるが、請求項8のような4種類の高さの展開を採用すると、全体として単位収納部の種類や数を多彩に展開できるため、ユーザーの要望にきめ細かく対応できる。また、ロッカーやキャビネット等の既存の収納家具の高さにも対応できるため、家具群として調和させてすっきりとさせることができる。
【0025】
第1収納ユニットの高さを第4収納ユニットの高さの半分に設定しておくと、2台の第1収納ユニットを上下に重ねた状態で、第4収納ユニットと同じ高さに揃えることができて美麗にレイアウトできる。また、第1収納ユニットと第2収納ユニットとの高さの総和を第4収納ユニットの高さと同じに設定しておくと、第1収納ユニットと第2収納ユニットとを上下に重ねた状態で、全体の高さを第4収納ユニットと揃えることができて美麗にレイアウトできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態に係る収納家具装置の斜視図である。
図2】(A)は収納ユニットの本体の正面図、(B)は扉の高さの種類を示す正面図である。
図3】収納ユニットにおける扉の展開例を示す図であり、(A)は第4収納ユニットの展開例、(B)は第3収納ユニットの展開例、(C)は第2収納ユニットの展開例、(D)は第1収納ユニットの展開例である。
図4】(A)は収納ユニットの部分的な正面図、(B)は(A)のB-B視平断面図である。
図5】(A)は図4(A)の VA-VA視断面図、(B)は(A)のB-B視断面図、(C)はヒンジの配置を示す斜視図、(D)はブラケットの斜視図である。
図6】第3収納ユニットにおける係止穴の配置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本願発明をロッカーに適用した実施形態を図面に基づいて説明する。以下では、方向を特定するため前後・左右の文言を使用するが、前後方向は奥行き方向であり、左右方向は間口方向である。
【0028】
(1).基本構成
図1に明示するように、本実施形態では、高さが異なる4種類の収納ユニット1~4によって収納家具装置を構成している。すなわち、高さが最も低い第1収納ユニット1、高さが2番目に低い第2収納ユニット2、2番目に高さが高い第3収納ユニット3、高さが最も高い第4収納ユニット4によって収納家具装置が構成されている。
【0029】
各収納ユニット1~4は、図2(A)に示すように、本体5a~5dとベース6とを有しており、本体5a~5dの高さは、第1収納ユニット1の高さH1は700mm弱、第2収納ユニット2の高さH2は1000mm強、第3収納ユニット3の高さH3は1400mm弱、第4収納ユニット4の高さH4は1700mm強になっている。また、H3はH1の2倍、H1+H2=H4になっている。以下では、本体5a~5dを個別に特定する必要がある場合は、符号5に添え字a~dを付して表示し、特定する必要がない場合は、添え字a~dは付さずに符号5のみを使用する。
【0030】
図2(A)に示すように、各収納ユニット1~4の本体5a~5dは仕切り体7によって左右等幅の縦長収納部8に仕切られている。それぞれ縦長収納部8は、1つ又は複数段の単位収納部9で構成されて、各単位収納部9の前面には水平回動式の扉10を配置している。
【0031】
各収納ユニット1~4の縦長収納部8は、高さが異なる複数種類の単位収納部9を選択することが可能であり、単位収納部9の高さの種類を、図2(B)において扉10の高さh1~h7の種類として表示している(単位収納部9の高さは扉10の高さとは相違するが、両者は不離一体の関係にあるので、単位収納部9の高さの種類は扉10の高さの種類として代替できる。)。扉10についても、個別に特定する必要がある場合は符号10に添え字a~gを付して表示し、個別に特定する必要がない場合は符号10のみを使用する。
【0032】
本実施形態では、収納家具装置全体として、扉10は、低いものから順に、第1高さh1から第7高さh7までの7種類ある。具体的には、第1扉10aの高さh1は210mm強、第2扉10bの高さh2はH3と等しい340mm強、第3扉10cの高さh3は430mm強、第4扉10dの高さh4は520mm弱、第5扉10eの高さh5はH1と等しい700mm弱、第6扉10fの高さh6は860mm強、第7扉10gの高さh7はH2と等しい1000mm強になっている。
【0033】
図3において、各収納ユニット1~4での単位収納部9の高さ(扉10の高さ)の展開パターンを示している。
【0034】
最も高い第4収納ユニット4は11の展開パターンがあり、紙面において左から順に、a:第2扉10bのみの1種類、b:第2扉10bと第6扉10fの2種類、c:第2扉10bと第3扉10cの2種類、d:第1扉10aと第2扉10bの2種類、e:第1扉10aと第2扉10bと第6扉10fの3種類、f:第2扉10bと第3扉10cと第6扉10fの3種類、g:第1扉10a と第2扉10bと第3扉10cと第6扉10fの4種類、h:第2扉10bと第5扉10eの2種類、i:第2扉10bと第4扉10dと第5扉10eの3種類、j:第2扉10bと第5扉10eと第7扉10gの3種類、k:第2扉10bと第7扉10gの2種類、というパターンになっている。
【0035】
従って、第4収納ユニット4は、全体として第1~第7の扉10a~10gの7種類の扉10(換言すると、高さが相違する7種類の単位収納部9)を選択可能である。
【0036】
次に、2番目に高い第3収納ユニット3は、紙面において左から順に、a:第2扉10bのみ、b:第1扉10aと第2扉10bの2種類、c:第2扉10bと第4扉10dと第5扉10eの3種類、d:第4扉10dと第5扉10eと第6扉10fの3種類、e:第4扉10dと第5扉10eと第6扉10fの3種類、f:第2扉10bと第3扉10cと第4扉10dの3種類、g:第1扉10aと第2扉10bと第3扉10cと第4扉10dの4種類、h:第2扉10bと第7扉10gとの2種類、というパターンになっている。従って、第3収納ユニット3も、全体として7種類の高さの扉10(7種類の高さの単位収納部9)を選択可能である。
【0037】
2番目に低い第2収納ユニット2は、紙面において左から順に、a:第2扉10bのみの1種類、b:第2扉10bと第4扉10dとの2種類、c:第2扉10bと第5扉10eとの2種類、d:第2と第7扉10gとの2種類、というパターンになっている。従って、第3収納ユニット3は、全体として4種類の高さの扉10(4種類の高さの単位収納部9)を選択できる。
【0038】
最も低い第1収納ユニット1は、a:第2扉10bのみの1種類、b:第2扉10bと第5扉10eとの2種類、というパターンになっている。従って、第4収納ユニット4は、全体として2種類の高さの扉10(2種類の高さの単位収納部9)を選択可能である。
【0039】
このように、4種類の高さの収納ユニット1~4より成る収納家具装置は、7種類の扉10の高さ(7種類の高さの単位収納部9)を選択可能であり、かつ、同じ高さの扉10を複数個備えている。従って、収容容積についてユーザーが持っている種々の要望に的確に応えることができる。すなわち、要望が多い容積の単位収納部9は多数形成しつつ、要望が少ない単位収納部9は少ない数で形成することにより、多彩な要望に応えつつ容積を有効利用できる。
【0040】
実施形態では、第3収納ユニット3と第4収納ユニット4とはそれぞれ独立して7種類の単位収納部9を選択できるが、2種類又は3種類の高さの収納ユニットによって7種類以上のパターンを選択ことも可能である。また、最大選択パターンは7種類には限らず、5種類や6種類、8種類以上であってもよい。
【0041】
(2).構造の具体例
図2(A)のとおり、本体5は、左右の側板11と天板12と底板13と背板14とを有しており、これらで函体が構成されている。そして、函体の内部は仕切り体7によって左右の縦長収納部8に分けられている。
【0042】
図4(B)に示すように、側板11の大部分は外側板11aと内側板11bとで中空構造になっており、外側板11aの前端を内向きに折り返してフロント枠部15を形成している。仕切り体7も大部分は左右2枚の仕切り板7aを有して中空に形成されており、一方の仕切り板7aの前端にフロント枠部16を折り曲げ形成している。
【0043】
図4(B)に示すように、扉10はスチール製であって四周を後ろ向きに折り返しており(袋状に折り返しており)、右端がブラケット状の固定側ヒンジ(固定側連結部)17によって水平回動自在に連結されている。固定側ヒンジ17は、本体5の上框と下框との前端部、及び、各棚板18の前端部に固定されており、扉10に設けた可動側ヒンジがピン(いずれも図示せず)で連結されている。敢えて述べるまでもないが、縦長収納部8は棚板18によって複数の単位収納部9に区分されている。縦長収納部8が単一の単位収納部9になっていて1枚の扉10しか備えていない場合は、当然ながら棚板18は配置されていない。
【0044】
図示していないが、各扉10の自由端部には、閉じた状態を保持するためのラッチ爪を後ろ向きに突設して、本体5の左フロント枠部15と仕切り体7のフロント枠部16には、ラッチ爪が係合するラッチ受けを設けている。
【0045】
また、各扉10には、一般に、キー式やダイアル式、或いは電子式等の錠を設けることが多い。各錠のデッドボルトは、例えば、本体5における左フロント枠部15の後ろ及び仕切り体7のフロント枠部16の後ろに配置したロックボルトに係脱させることができる。或いは、フロント枠部15,16に設けたロック穴に嵌脱させることもできる。図1図2(A)、図3では各扉10に引手19を表示しているが、錠を設けている場合は、引手19の箇所にダイアルや鍵穴、プッシュボタンなどが配置される。
【0046】
図5(A)(B)に示すように、棚板18の四周は下水平片を有する略コ字形に折り返されて、左右側部を構成する折り返し部20の前後2か所の部位が、ブラケット(支持金具)21を介して内側板11b及び仕切り板7aに支持されている。
【0047】
図5(D)に明示するように、ブラケット21は、水平部を挟んだ両側に上向きの係止爪21aとストッパー21bとを設けた上向き開口コ字状に形成されており、係止爪21aが、内側板11b及び仕切り板7aに形成された角形の係止穴22に下方から嵌め込まれて、水平部で棚板18の折り返し部20を支持している。係止爪21aは水平部よりも幅狭になっているため、ブラケット21が内側板11b及び仕切り板7aの裏側に落ち込むことはない。
【0048】
なお、ブラケットは様々な態様を採用できる。例えば、係止穴22に落とし込まれる下向き鉤部と、棚板18の折り返し部20が載るL形の支持部とを有する形態を採用できる。或いは、折り返し部20が載るL形の支持部に下向き片を設けてクランク状に形成しつつ、
下向き片に、係止穴22に嵌まり込む係止爪を形成した態様も採用できる。
【0049】
棚板18は高さを変えて縦長収納部8に配置できる。従って、本体5を構成する函体の内側板11bと仕切り体7の仕切り板7aとには、係止穴22の群が多段に形成されている。図5(A)では、係止穴22の群を前後3列表示しているが、手前側に位置した2列の係止穴22はいずれか一方を使用したらよい。
【0050】
棚板18は、各種の配置パターンのうちの1つのパターンが選択されるため、他のパターンでの配置のときに使用される係止穴22は開口したままになっている。すなわち、全てのパターンに対応した係止穴22を予め空けておいて、ユーザーの注文等によって特定されたパターンで棚板18を配置するようになっており、従って、使用されずに開口したままの係止穴22が存在している。
【0051】
美観の面からは、使用していない係止穴22をカバーで塞ぐことも可能である。或いは、内側板11b及び仕切り板7aの裏面に、それら内側板11b及び仕切り板7aと同じ色の弾性テープを貼り付けて、弾性テープで全ての係止穴22を裏から覆うことも可能である(ブラケット21は、弾性テープを変形させて取り付けできる。)。
【0052】
図6では、第3収納ユニット3を例にとって、係止穴22の配置状態を模式的に表示している。既述のとおり、第3収納ユニット3は全体として7種類の仕切り態様を選択可能であるが、実際に選択したパターンは図3(B)の左端のものと仮定して、実際に使用されている棚板18には平行斜線を付して、実際に使用されている係止穴22は黒く塗り潰している。
【0053】
第3収納ユニット3において、左の縦長収納部8では、棚板18は6段の配置態様の中から選択されて、右の縦長収納部8では、5段の配置態様から選択される。複数のパターンで棚板18の高さが共通している場合もあるので、8つのパターンを選択できるにもかかわらず係止穴22の段数は少なくなっている。図5(A)では、第4収納ユニット4の内側板11b又は仕切り板7aを示している。第4収納ユニット4では、棚板18の配置態様は多彩なパターンになるため、使用されずに開口したままの係止穴22の数は多くなっている。
【0054】
第1収納ユニット1や第2収納ユニット2では、左右縦長収納部8の両方を1つの単位収納部9と成して、1枚のみの扉10を配置することも可能である。また、例えば、図3で表示した第2収納ユニット2のうちの右端のパターンのように、1つの縦長収納部8を1つの単位収納部9と成して1枚の扉10で塞ぐ場合、内部に、係止穴22を利用して着脱式の棚板を配置することも可能である。すなわち、1つの縦長収納部8に、ヒンジ17が固定された棚板18と、ヒンジ17が存在しない棚板とを選択して取り付けることも可能である。
【0055】
本願発明は、上記の実施形態の他にも様々に具体化できる。例えば、函体の内部を3列以上に仕切ることも可能である。2列に仕切られた収納ユニットと3列に仕切られた各収納ユニットとを併設することも可能である。また、高さや左右幅、奥行きなどの寸法は任意に設定できる。各収納ユニットの内部をどのように仕切るかも、任意に選択できる。
【0056】
実施形態では、第2~4の3つの各収納ユニット2~4は、全体として4種類以上の単位収納部を選択できるが、4種類の収納ユニットで一群の収納家具装置を構成する場合、4種類の収納ユニットの全部において4種類以上の単位収納部を選択できる態様とすることも可能である。また、収納家具装置は、少なくとも2種類の高さの各収納ユニットで構成したらよい。また、引出し付きキャビネットのような他の収納家具を組合せて使用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本願発明は、収納ユニット及び収納家具装置に具体化できる。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0058】
1~4 収納家具装置を構成する収納ユニット
5(5a~d) 本体
6 ベース
7 仕切り体
7a 仕切り板
8 縦長収納部
9 単位収納部
10(10a~10g) 扉
11 側板
11a 外側板
11b 内側板
15,16 フロント枠部
17 ヒンジ
18 棚板
21 ブラケット
22 係止穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6