(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096670
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】冷却装置、冷却システム
(51)【国際特許分類】
F25D 17/08 20060101AFI20230630BHJP
【FI】
F25D17/08 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212584
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前川 龍之介
(72)【発明者】
【氏名】天野 直隆
(72)【発明者】
【氏名】若見 学司
(72)【発明者】
【氏名】藤原 弘之
【テーマコード(参考)】
3L345
【Fターム(参考)】
3L345AA02
3L345AA12
3L345AA14
3L345AA24
3L345BB01
3L345CC01
3L345DD12
3L345DD13
3L345DD18
3L345DD19
3L345KK04
3L345KK05
(57)【要約】
【課題】広範囲を冷却することができる冷却装置、及び、冷却システムを提供する。
【解決手段】本開示における冷却装置10は、蒸発器23と冷却用送風機25とを備える冷却装置において、冷気吐出ダクト27と、冷気吐出ダクト27の下方に設けられる冷気吸込ダクト21と、を備え、冷気吐出ダクト27及び冷気吸込ダクト21は、前方に突出し、冷気吐出ダクト27は、開口した冷気吐出部28を備え、冷気吸込ダクト21は、開口した冷気吸込部22を備え、冷却用送風機25の駆動により、冷気吸込部22、蒸発器23、冷気吐出部28の順に空気が流れる風路形成部20aを備え、冷気吐出部28は、冷気吐出ダクト27の上方に開口する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発器と冷却用送風機とを備える冷却装置において、
冷気吐出ダクトと、
前記冷気吐出ダクトの下方に設けられる冷気吸込ダクトと、を備え、
前記冷気吐出ダクト及び前記冷気吸込ダクトは、前方に突出し、
前記冷気吐出ダクトは、開口した冷気吐出部を備え、
前記冷気吸込ダクトは、開口した冷気吸込部を備え、
前記冷却用送風機の駆動により、前記冷気吸込部、前記蒸発器、前記冷気吐出部の順に空気が流れる風路形成部を備え、
前記冷気吐出部は、前記冷気吐出ダクトの上方に開口する
ことを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記冷気吐出ダクトの吐出ダクト底面は、吐出ダクト底面前部が吐出ダクト底面後部よりも上方に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記冷気吸込部は、前記冷気吸込ダクトの下方と、前方と、または側方との少なくとも一方に開口する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記冷気吐出ダクトの前端は、前記冷気吸込ダクトの前端よりも、前方に位置する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記冷気吸込ダクトは、傾斜面を備え、
前記傾斜面は、傾斜面前部が傾斜面後部よりも上方に位置するように傾斜し、
前記冷気吸込部は、前記傾斜面に設けられる
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記冷気吐出ダクトと前記冷気吸込ダクトとは、一体として形成される
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の冷却装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の冷却装置と、
内部に冷却対象物を格納可能であり、前記冷却装置が着脱可能に取り付けられる収納容器と、を含み、
前記冷却装置は、前記収納容器の容器側面に開口した冷気通風孔に前記冷却装置の前記冷気吐出ダクト及び前記冷気吸込ダクトが挿入されることで取り付けられ、前記収納容器の内部を冷却する
ことを特徴とする冷却システム。
【請求項8】
前記収納容器の高さ寸法は、前記冷却装置の高さ寸法よりも大きい
ことを特徴とする請求項7に記載の冷却システム。
【請求項9】
前記冷気吐出部は、前記冷気吐出ダクトの吐出ダクト後端から前方に第1の間隔を開けて配置され、
前記冷気吸込部は、前記冷気吸込ダクトの吸込ダクト後端から前方に第2の間隔を開けて配置され、
前記第1の間隔及び前記第2の間隔は、前記収納容器の前記冷気通風孔の辺縁部における前記容器側面の厚さ以上である
ことを特徴とする請求項7または8に記載の冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却装置、及び、冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、収納容器と、収納容器に着脱可能に取り付けられる冷却装置と、を備えた冷却システムを開示する。この冷却システムは、収納容器の内外を仕切る側面の外側から冷却装置を着脱自在に取り付けられるので、収納容器から冷却された空気が流出し難く、保冷機能を向上できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、広範囲を冷却することができる冷却装置、及び、冷却システムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における冷却装置は、蒸発器と冷却用送風機とを備える冷却装置において、冷気吐出ダクトと、前記冷気吐出ダクトの下方に設けられる冷気吸込ダクトと、を備え、前記冷気吐出ダクト及び前記冷気吸込ダクトは、前方に突出し、前記冷気吐出ダクトは、開口した冷気吐出部を備え、前記冷気吸込ダクトは、開口した冷気吸込部を備え、前記冷却用送風機の駆動により、前記冷気吸込部、前記蒸発器、前記冷気吐出部の順に空気が流れる風路形成部を備え、前記冷気吐出部は、前記冷気吐出ダクトの上方に開口する。
【0006】
また、本開示における冷却システムは、前記冷却装置と、内部に冷却対象物を格納可能であり、前記冷却装置が着脱可能に取り付けられる収納容器と、を含み、前記冷却装置は、前記収納容器の容器側面に開口した冷気通風孔に前記冷却装置の前記冷気吐出ダクト及び前記冷気吸込ダクトが挿入されることで取り付けられ、前記収納容器の内部を冷却する。
【発明の効果】
【0007】
本開示における冷却装置及び冷却システムは、冷気吐出ダクトの上方に開口した冷気吐出部から冷気を吐出する。従って、冷気吐出部から吐出された空気が冷気吸込口から直接的に吸い込まれることを抑制でき、広範囲を冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図6】実施の形態1に係る冷却装置の冷凍サイクル図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(発明の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、収納容器に着脱可能な冷却装置を備える冷却システムが開示されていた。そうした状況下において、発明者らは、冷却装置を小型化し、収納容器の寸法を大きくすることで、利便性を向上させるという着想を得た。そして、発明者らは、その着想を実現するには、収納容器の寸法が大きいと、収納容器内の広範囲を冷却装置で冷却することが難しくなるという課題を発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
そこで、本開示は、広範囲を冷却することができる冷却装置及び冷却システムを開示する。
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0011】
(実施の形態1)
以下、
図1~
図6を用いて、実施の形態1を説明する。
[1-1.構成]
[1-1-1.冷却システムの全体構成]
図1は、実施の形態1に係る冷却システム1の模式図である。冷却システム1は、冷却装置10と収納容器70とを備える。冷却装置10は、収納容器70に対して、着脱可能に取り付けられる。
以後は説明の都合上、図中のFR、LH、UPを、それぞれ冷却装置10の前方、左方、上方と対応させ、文章中で説明する前後、上下、左右といった方向については、これを基準として定義する。
【0012】
冷却装置10は、略直方体の筐体11に覆われ、筐体11の底部に設けられたキャスタ13によって移動可能に構成される。本実施の形態において、冷却装置10は、任意の外部電源に接続することで駆動する。なお、冷却装置10は、図示しないバッテリーを備え、バッテリーに蓄えられた電力によって駆動する構成としてもよい。
冷却装置10は、冷気吸込ダクト21と冷気吐出ダクト27とを備える。冷気吸込ダクト21及び冷気吐出ダクト27は、筐体11の前面である筐体前面11aから前方に突出する。冷却装置10は、冷気吸込ダクト21から吸い込んだ空気を冷却し、冷却した空気を冷気吐出ダクト27から吐出する。
【0013】
収納容器70は、内部の閉鎖空間Sに任意の冷却対象物Lを格納可能な容器である。収納容器70の一側面である容器側面70aには、略長方形に開口した冷気通風孔71が設けられている。なお、冷気通風孔71の辺縁部において、容器側面70aの厚さはTである。
本実施の形態において、収納容器70は、冷却対象物Lとして段ボール箱などを積載可能なかご台車に、冷気通風孔71を備えたカバーをかぶせることによって構成されている。
また、本実施の形態において、収納容器70の高さ寸法は冷却装置10の高さ寸法よりも大きく、冷気通風孔71は収納容器70の上下中心よりも下方に設けられている。
【0014】
冷却装置10は、冷気吸込ダクト21と冷気吐出ダクト27が収納容器70の冷気通風孔71に挿入されることで、収納容器70に取り付けられる。このとき、筐体前面11aと容器側面70aとは、密着することが望ましい。本実施の形態においては、冷気通風孔71の周囲に取り付けられた図示しないマグネットシートにより、筐体前面11aと容器側面70aとが密着されている。
冷却装置10は、冷気吸込ダクト21と冷気吐出ダクト27を冷気通風孔71に挿入した状態で駆動することで、冷気吸込ダクト21から収納容器70内部の閉鎖空間Sの空気を吸い込む。冷却装置10は、冷気吸込ダクト21から吸い込んだ空気を冷却し、冷却した空気を冷気吐出ダクト27から閉鎖空間Sに吐出する。このように空気を循環させることにより、冷却装置10は収納容器70内部の閉鎖空間Sの空気を冷却し、この冷却した空気により、閉鎖空間Sに載置された冷却対象物Lを冷却する。
【0015】
[1-1-2.冷却装置の構成]
図2は実施の形態1に係る冷却装置10の側面断面図である。冷却装置10は、冷凍サイクル装置であり、蒸発器23を有する冷却部20と、凝縮器33を有する放熱部30と、を備える。
【0016】
図1及び
図2に示すように、放熱部30は、圧縮機41と、外気吸込部31と、凝縮器33と、放熱用送風機35と、外気吐出部37と、を備える。
放熱部30は、放熱用送風機35を駆動させることで、筐体11の右側面に開口した外気吸込部31から空気を吸い込み、筐体11の左側面に開口した外気吐出部37から空気を吐出する。このとき、外気吸込部31から吸い込まれた空気は、凝縮器33内部を流れる冷媒と熱交換し、凝縮器33内部の冷媒を冷却して凝縮させる。
【0017】
図3は、冷却部20付近の側面断面図である。冷却部20は、冷気吸込ダクト21と、蒸発器23と、冷却用送風機25と、冷気吐出ダクト27と、を備える。冷却部20は、冷気吸込ダクト21から吸い込まれた空気が蒸発器23を介して冷気吐出ダクト27に送られる風路形成部20aを備える。なお、
図3における破線の矢印は、空気が流れる向きを示す。
冷気吸込ダクト21は、筐体前面11aから前方に突出するダクトである。冷気吸込ダクト21の内部空間は、前方及び下方に開口した冷気吸込部22を介して、冷気吸込ダクト21の外側と連通する。
蒸発器23は、内部に冷媒用の流路を備える熱交換器である。蒸発器23は、風路形成部20a内部の空気と冷媒とを熱交換させることで、風路形成部20a内部の空気を冷却する。
冷却用送風機25は、軸流ファンを備えた送風機であり、駆動することによって冷気吸込部22を介して外部の空気を風路形成部20aに吸い込み、蒸発器23を通過した空気を冷気吐出ダクト27に送り込む。
冷気吐出ダクト27は、筐体前面11aから前方に突出するダクトであり、冷気吸込ダクト21よりも上方に設けられている。冷気吐出ダクト27は、上方に開口した冷気吐出部28を備え、冷却用送風機25によって冷気吐出ダクト27に送り込まれた空気は、冷気吐出部28から上方に吹き出す。
【0018】
図4は、冷気吐出ダクト27の斜視図である。冷気吐出ダクト27は、例えば、板金などを折り曲げて形成される。本実施の形態において、冷気吐出ダクト27は、略四角柱形状のダクトである。
図3及び
図4に示すように、冷気吐出ダクト27は、筐体前面11aから、第1の間隔D1を開けて、複数の冷気吐出部28を備えている。冷気吐出部28は、長円状の細孔からなる多数の吐出口を冷気吐出ダクト27の幅方向に配列することで形成されている。言い換えれば、冷気吐出ダクト27の後端である吐出ダクト後端27dから第1の間隔D1を開けて、冷気吐出部28が形成されている。ここで、第1の間隔D1の大きさは、冷気通風孔71の辺縁部における容器側面70aの厚さT以上である。そのため、冷却装置10を収納容器70に取り付けた状態では、冷気吐出部28全体は、収納容器70内部の閉鎖空間Sに位置する。
【0019】
また、
図3及び
図4に示すように、冷気吐出ダクト27の底面である吐出ダクト底面27aは、前部である吐出ダクト底面前部27bが、後部である吐出ダクト底面後部27cよりも上方に位置するように傾斜している。
【0020】
図5は、実施の形態1に係る冷気吸込ダクト21の斜視図である。冷気吸込ダクト21は、例えば、板金などを折り曲げて形成される。本実施の形態において、冷気吸込ダクト21は、略直方体形状のダクトである。
図3及び
図5に示すように、冷気吸込ダクト21は、冷気吸込ダクト21の底面である吸込ダクト底面21bに、下方に開口した複数の冷気吸込部22を備える。また、冷気吸込ダクト21は、冷気吸込ダクト21の前面である吸込ダクト前面21aに、前方に開口した複数の冷気吸込部22を備える。
冷気吸込部22は、長円状の細孔からなる多数の吸込口を配列することで形成されている。
【0021】
また、冷気吸込ダクト21は、吸込ダクト底面21bと吸込ダクト前面21aとの両方に冷気吸込部22を備える。これにより、冷却対象物L等によって吸込ダクト底面21b又は吸込ダクト前面21aのどちらか一方が閉塞された場合でも、閉塞されていない一方に設けられた冷気吸込部22から空気を吸い込むことができる。
【0022】
また、
図3及び
図5に示すように、冷気吸込ダクト21は、筐体前面11aから、第2の間隔D2を開けて、冷気吸込部22を備えている。言い換えれば、冷気吸込ダクト21の後端である吸込ダクト後端21dから第2の間隔D2を開けて、冷気吸込部22が形成されている。ここで、第2の間隔D2の大きさは、冷気通風孔71の辺縁部における容器側面70aの厚さT以上である。そのため、冷却装置10を収納容器70に取り付けた状態では、冷気吸込部22全体は、収納容器70内部の閉鎖空間Sに位置する。
【0023】
[1-1-3.冷凍サイクルの構成]
図6は、実施の形態1に係る冷却装置10の冷凍サイクル図である。
冷却装置10は、蒸発器23と、圧縮機41と、凝縮器33と、キャピラリーチューブ43と、を順次接続してなる冷凍サイクルを備える。
【0024】
圧縮機41によって圧縮された高温高圧の気体冷媒は、放熱用送風機35によって送られる空気と凝縮器33において熱交換し、低温の液体冷媒となる。この低温の液体冷媒は、キャピラリーチューブ43において減圧され、低温低圧の液体冷媒となる。さらに、この低温低圧の液体冷媒は、冷却用送風機25によって送られる空気から蒸発器23で熱交換し、気体冷媒となって圧縮機41に戻る。このとき、冷却用送風機25によって送られる空気は、蒸発器23内部を流れる冷媒に熱を奪われて温度が下がり、収納容器70内部の閉鎖空間Sの冷却に使用される。
【0025】
[1-2.動作]
以上のように構成された冷却システム1について、その動作を説明する。
まず、冷却装置10は、圧縮機41を駆動することで、凝縮器33、キャピラリーチューブ43を順次通して低温低圧の液体冷媒を蒸発器23に送る。
【0026】
次に、低温低圧の液体冷媒が蒸発器23に流れている状態で、冷却用送風機25が駆動される。これにより、収納容器70内部の閉鎖空間Sの空気は冷気吸込部22から吸い込まれ、風路形成部20aに流入する。
【0027】
この時、冷気吸込部22は吸込ダクト底面21bと吸込ダクト前面21aとに設けられているので、どちらか一方の面に設けられた冷気吸込部22が閉塞されていたとしても、もう一方の面に設けられた冷気吸込部22から空気を吸い込むことができる。
【0028】
また、冷気吸込部22全体は、筐体前面11aから、第2の間隔D2を開けて備えられて閉鎖空間Sに位置するため、冷気吸込部22は収納容器70外部の空気を吸い込むことなく、閉鎖空間Sの空気を吸い込む。
【0029】
風路形成部20aに流入した空気は、蒸発器23の内部を流れる低温低圧の液体冷媒と熱交換する。
この熱交換により、風路形成部20a内を流れる空気は冷却されて冷気吐出部28から収納容器70内部に吐出され、低温低圧の液体冷媒は蒸発して圧縮機41に戻る。
【0030】
このとき、冷却された空気は、冷気吐出ダクト27を流れる際に、吐出ダクト底面後部27cから吐出ダクト底面前部27bに沿って上方に導かれる。
【0031】
また、冷気吐出部28は冷気吐出ダクト27の上方に開口するため、冷却された空気は上方に吹き出す。ここで、冷気吸込ダクト21は冷気吐出ダクト27の下方に位置し、吸込ダクト底面21bと吸込ダクト前面21aとに冷気吸込部22を備える。従って、冷気吐出部28から吹き出した空気は、冷気吸込部22から直接吸い込まれず、収納容器70内部の閉鎖空間Sの上部から広範囲に広がる。
【0032】
また、冷気吐出部28全体は、筐体前面11aから、第1の間隔D1を開けて備えられて収納容器70内部の閉鎖空間Sに位置するため、冷却された空気は収納容器70の外部に吹き出すことなく閉鎖空間Sに吹き出す。
【0033】
閉鎖空間Sに吹き出された空気は、広範囲に広がって冷却対象物Lを冷却する。その後、再び冷気吸込部22から再び風路形成部20aに吸い込まれる。
【0034】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、冷却装置10は、蒸発器23と冷却用送風機25とを備える冷却装置において、冷気吐出ダクト27と、冷気吐出ダクト27の下方に設けられる冷気吸込ダクト21と、を備え、冷気吐出ダクト27及び冷気吸込ダクト21は、前方に突出し、冷気吐出ダクト27は、開口した冷気吐出部28を備え、冷気吸込ダクト21は、開口した冷気吸込部22を備え、冷却用送風機25の駆動により、冷気吸込部22、蒸発器23、冷気吐出部28の順に空気が流れる風路形成部20aを備え、冷気吐出部28は、冷気吐出ダクト27の上方に開口する。
この構成によれば、冷気吸込ダクト21よりも上方に位置する冷気吐出ダクト27から、空気が上方に吐出される。これにより、冷気吐出ダクト27から吐出された空気が直接的に冷気吸込ダクト21に吸い込まれることを抑制でき、冷気吐出ダクト27及び冷気吸込ダクト21の付近でのみ空気が循環することを抑制できる。従って、冷却装置10は広範囲を冷却することができる。
【0035】
本実施の形態における冷却装置10のように、冷気吐出ダクト27の吐出ダクト底面27aは、吐出ダクト底面前部27bが吐出ダクト底面後部27cよりも上方に位置する構成としてもよい。
この構成によれば、冷却用送風機25の駆動によって冷気吐出ダクト27を空気が流れる際に、空気が吐出ダクト底面27aに沿って上方に導かれ、冷気吐出部28から吐出される。従って、空気が冷気吐出ダクト27を流れる際の圧力損失が少なくなり、冷却装置10による冷却の効率が向上する。
【0036】
本実施の形態における冷却装置10のように、冷気吸込部22は、冷気吸込ダクト21の下方と、略水平方向と、の少なくともどちらか一方に開口する構成としてもよい。
この構成によれば、冷気吸込ダクト21よりも上方に位置する冷気吐出ダクト27から上方に吐出される冷気を、冷気吸込部22が直接的に吸い込むことが抑制される。従って、冷却装置10は広範囲を冷却することができる。
【0037】
本実施の形態において、冷却システム1は、冷却装置10と、内部に冷却対象物Lを格納可能であり、冷却装置10が着脱可能に取り付けられる収納容器70と、を含み、冷却装置10は、収納容器70の容器側面70aに開口した冷気通風孔71に冷却装置10の冷気吐出ダクト27及び冷気吸込ダクト21が挿入されることで取り付けられ、収納容器70の内部を冷却する。
この構成によれば、冷気吐出ダクト27から吐出された空気が直接的に冷気吸込ダクト21に吸い込まれることを抑制できるため、収納容器70の内部における冷気通風孔71付近のみで空気が循環することを抑制できる。従って、冷却装置10によって収納容器70の広い範囲を冷却できる。
【0038】
本実施の形態のように、冷却システム1において、収納容器70の高さ寸法は、冷却装置10の高さ寸法よりも大きい構成としてもよい。
この構成によれば、冷却装置10が冷気吐出ダクト27から冷気を上方に吹き出すため、収納容器70の高さ寸法が冷却装置10の高さ寸法より大きい場合であっても、収納容器70の上部まで、広範囲に冷却することができる。従って、収納容器70の容積を大きくすることができる。
【0039】
本実施の形態のように、冷却システム1において、冷気吐出部28は、冷気吐出ダクト27の吐出ダクト後端27dから前方に第1の間隔D1を開けて配置され、冷気吸込部22は、冷気吸込ダクト21の吸込ダクト後端21dから前方に第2の間隔D2を開けて配置され、第1の間隔D1及び第2の間隔D2は、収納容器70の冷気通風孔71の辺縁部における容器側面70aの厚さT以上である構成としてもよい。
この構成によれば、冷却装置10が収納容器70に取り付けられた状態においては、冷気吐出部28及び冷気吸込部22は、その全体が収納容器70の内部空間に位置する。
従って、冷気吸込部22から収納容器70外部の空気を吸い込むことを抑制できるとともに、冷気吐出部28から冷却された空気を収納容器70外部に吹き出すことを抑制でき、冷却システム1の冷却効率が向上する。
【0040】
(実施の形態2)
以下、
図7を用いて、実施の形態2を説明する。なお、実施の形態1で説明した事項と同等の事項、および必要以上に詳細な事項については、その説明を省略する。
【0041】
[2-1.構成]
図7は、実施の形態2に係る冷却装置10の冷却部20を示した側方断面図である。
実施の形態2において、冷気吐出ダクト27は、側面視で三角形となる三角柱形状のダクトである。吐出ダクト底面27aは、前方下方に面するように傾斜し、吐出ダクト底面27aの吐出ダクト底面前部27bは吐出ダクト底面後部27cよりも上方に位置する。これにより、冷却用送風機25の駆動によって冷気吐出ダクト27を空気が流れる際の圧力損失が少なくなる。
【0042】
冷気吸込ダクト21は、側面視で三角形となる三角柱形状のダクトである。本実施の形態において、冷気吸込ダクト21の吸込ダクト底面21b全体は傾斜面21gであり、傾斜面前部21eが傾斜面後部21fよりも上方に位置するように傾斜している。また、傾斜面21gは、冷気吸込部22を備える。
【0043】
さらに、冷気吐出ダクト27の前端である吐出ダクト前端27eは、冷気吸込ダクト21の前端である吸込ダクト前端21hよりも、距離D3だけ前方に位置する。
【0044】
[2-2.動作]
以上のように構成された冷却システム1について、その動作、作用を説明する。なお、実施の形態1における冷却システム1と同様の動作、作用については、ここでは省略する。
【0045】
実施の形態2における冷却システム1について、冷却装置10が駆動する際には、傾斜面21gに設けられた冷気吸込部22から空気が吸い込まれる。ここで、傾斜面21gは傾斜面前部21eが傾斜面後部21fよりも上方に位置するように傾斜し、前方下方に面している。そのため、
図7に示すように、例えば、段ボール箱のように略直方体形状の冷却対象物Lが傾斜面21gに当接する場合でも、冷気吸込部22の大部分は閉塞されず、空気を吸い込むことができる。
【0046】
また、吐出ダクト前端27eは、吸込ダクト前端21hよりも、距離D3だけ前方に位置する。そのため、吐出ダクト前端27eが冷却対象物Lに当接してストッパーとなり、冷却対象物Lが冷気吸込ダクト21に当接することが抑制される。従って、冷気吸込ダクト21の前方を閉塞されにくくなる。
【0047】
[2-3.効果等]
以上のように、本実施の形態における冷却装置10において、冷気吐出ダクト27の吐出ダクト前端27eは、冷気吸込ダクト21の吸込ダクト前端21hよりも、前方に位置する。
この構成によれば、吐出ダクト前端27eが冷却対象物L等に当接してストッパーとなり、冷却対象物Lが冷気吸込ダクト21に当接することが抑制される。従って、冷気吸込ダクト21の前方を閉塞されにくくなり、冷却装置10の動作の安定性が向上する。
【0048】
本実施の形態における冷却装置10のように、冷気吸込ダクト21は、傾斜面21gを備え、傾斜面21gは、傾斜面前部21eが傾斜面後部21fよりも上方に位置するように傾斜し、冷気吸込部22は、傾斜面21gに設けられる構成としてもよい。
この構成によれば、例えば段ボール箱のような直方体等の冷却対象物Lによっては、冷気吸込部22が閉塞されにくくなる。従って、冷気吸込部22による空気の吸い込みができなくなることを抑制でき、冷却装置10の動作の安定性が向上する。
【0049】
(実施の形態3)
以下、
図8を用いて、実施の形態3を説明する。
【0050】
[3-1.構成]
図8は、実施の形態3に係る冷却装置10の冷却部20を示した側方断面図である。
実施の形態3において、冷気吐出ダクト27の側面である吐出ダクト側面27f(
図4参照)、及び、冷気吸込ダクト21の吸込ダクト側面21c(
図5参照)は、互いに共通の側面部材24によって形成されている。すなわち、冷気吐出ダクト27と冷気吸込ダクト21とは、一体として形成され、冷気吐出ダクト27の吐出ダクト底面27aによって内部の空間を仕切られている。
【0051】
[3-2.動作]
以上のように構成された冷却装置10について、その動作、作用を説明する。
【0052】
実施の形態2における冷却装置10について、冷気吐出ダクト27と冷気吸込ダクト21とは、一体として形成されているので、冷気吐出ダクト27と冷気吸込ダクト21とが独立して設けられる場合に比べ、部材点数を削減することができる。
また、冷気吐出ダクト27と冷気吸込ダクト21とが独立して設けられる場合に比べ、角となる部分が少なくなる。
【0053】
[3-3.効果等]
以上のように、本実施の形態における冷却装置10において、冷気吐出ダクト27と冷気吸込ダクト21とは、一体として形成される。
この構成によれば、冷気吐出ダクト27及び冷気吸込ダクト21を構成する部品点数を削減することができる。従って、冷却装置10を製造する費用を削減できる。
また、冷気吐出ダクト27と冷気吸込ダクト21とが独立して設けられる場合に比べ、角となる部分が少なくなる。従って、使用者の安全性が向上する。
【0054】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1および2を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1および2で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0055】
実施の形態1から3では、冷気吐出ダクト27の形状の一例として、側面視で台形または三角形となる冷気吐出ダクト27を説明した。冷気吐出ダクト27は、上方に開口した冷気吐出部28を有するものであればよい。また、冷気吐出ダクト27は、冷気吐出ダクト27の吐出ダクト底面27aは、吐出ダクト底面前部27bが吐出ダクト底面後部27cよりも上方に位置するものであればよい。例えば、
図9に示すように、冷気吐出ダクト27は、側面視で吐出ダクト底面27aを弧とする扇形となる形状としてもよい。この構成によれば、空気が冷気吐出ダクト27内部を流れる際の圧力損失をより低減することができる。ただし、側面視で台形または三角形となる冷気吐出ダクト27を用いれば、冷気吐出ダクト27の製造時の加工が容易であり、安価に製造可能である。
【0056】
実施の形態1から3では、側面視で台形又は三角形となる冷気吸込ダクト21を説明した。冷気吸込ダクト21は、少なくとも1つの面に冷気吸込部22を備えるものであればよい。例えば、
図9に示すように、冷気吸込ダクト21は、側面視で五角形であり、吸込ダクト前面21aと、吸込ダクト底面21bと、傾斜面21gと、のそれぞれに冷気吸込部22を備えてもよい。この構成によれば、冷気吸込部22がすべて閉塞されることを抑制できるので、冷却装置10動作の安定性が向上する。但し、側面視で台形または三角形となる冷気吐出ダクト27を用いれば、冷気吐出ダクト27の製造時の加工が容易であり、安価に製造可能である。
【0057】
実施の形態1では、吸込ダクト前面21aと吸込ダクト底面21bとに、それぞれ冷気吸込部22を備える冷気吸込ダクト21を説明した。冷気吸込ダクト21は、冷気吸込ダクト21の側面である吸込ダクト側面21cに、側方に開口した冷気吸込部22を備えてもよい。この構成によれば、冷気吸込ダクト21の前方及び底面が閉塞した場合であっても、吸込ダクト側面21cに設けられた冷気吸込部22から空気を吸い込むことができる。従って、冷却装置10の動作の安定性が向上する。
【0058】
実施の形態2では、吐出ダクト前端27eは、吸込ダクト前端21hよりも、距離D3だけ前方に位置すると説明した。この構成は、実施の形態2に係る冷却装置10以外にも適用が可能である。例えば、
図9に示すように、側面視で扇形となる形状の冷気吐出ダクト27が、側面視で五角形の冷気吸込ダクト21よりも前方まで突出するように構成されていてもよい。この場合であっても、冷気吐出ダクト27が冷却対象物Lに当接してストッパーとなり、冷気吸込ダクト27が冷却対象物Lによって前方から閉塞されることを抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本開示は、冷却装置及び冷却システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 冷却システム
10 冷却装置
11 筐体
11a 筐体前面
13 キャスタ
20 冷却部
20a 風路形成部
21 冷気吸込ダクト
21a 吸込ダクト前面
21b 吸込ダクト底面
21c 吸込ダクト側面
21d 吸込ダクト後端
21e 傾斜面前部
21f 傾斜面後部
21g 傾斜面
21h 吸込ダクト前端(前端)
22 冷気吸込部
23 蒸発器
24 側面部材
25 冷却用送風機
27 冷気吐出ダクト
27a 吐出ダクト底面
27b 吐出ダクト底面前部
27c 吐出ダクト底面後部
27d 吐出ダクト後端
27e 吐出ダクト前端(前端)
27f 吐出ダクト側面
28 冷気吐出部
30 放熱部
31 外気吸込部
33 凝縮器
35 放熱用送風機
37 外気吐出部
41 圧縮機
43 キャピラリーチューブ
70 収納容器
70a 容器側面
71 冷気通風孔
D1 第1の間隔
D2 第2の間隔
L 冷却対象物