(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096693
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】改装建具及び改装建具の施工方法
(51)【国際特許分類】
E06B 1/56 20060101AFI20230630BHJP
E06B 7/10 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
E06B1/56 A
E06B7/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212617
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】小山 晋一郎
【テーマコード(参考)】
2E011
2E036
【Fターム(参考)】
2E011JA02
2E011KB02
2E011KB04
2E011KC01
2E011KC07
2E011KD23
2E011KD27
2E011KH01
2E036JA06
2E036JB01
2E036JC02
2E036KA01
2E036KA05
2E036KB01
2E036LA01
2E036MA01
(57)【要約】
【課題】既設枠の状態に影響されずに新設枠の施工性を向上できるとともに、室内の空気を強制的に室外に排気する機能を備えた改装建具を提供すること。
【解決手段】建物の開口部に設けられた既設枠に取り付けられる改装建具であって、四周を組んで構成された新設枠と、新設枠の外周に取り付けられ、室内の空気を室外に強制的に排気する排気機能部と、排気機能部を含む新設枠の外周側に四周を組んで取り付けられた状態で、既設枠の内周側に取り付けられるアタッチメント枠と、を備える。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部に設けられた既設枠に取り付けられる改装建具であって、
四周を組んで構成された新設枠と、
前記新設枠の外周に取り付けられ、室内の空気を室外に強制的に排気する排気機能部と、
前記排気機能部を含む前記新設枠の外周側に四周を組んで取り付けられた状態で、前記既設枠の内周側に取り付けられるアタッチメント枠と、
を備える、改装建具。
【請求項2】
前記アタッチメント枠は、アタッチメント上枠、アタッチメント下枠及び一対のアタッチメント縦枠が四周に配置されて矩形に組んで構成され、
前記アタッチメント上枠、前記アタッチメント下枠及び一対の前記アタッチメント縦枠において、いずれか2つの枠の組み付け部分において、互いが、締結部材により固定される、請求項1に記載の改装建具。
【請求項3】
建物の開口部に設けられた既設枠に取り付けられる改装建具の施工方法であって、
四周を組んで構成された新設枠の外周に、室内の空気を室外に強制的に排気する排気機能部を取り付け、
前記排気機能部を含む前記新設枠の外周側に、四周を組むようにアタッチメント枠を取り付け、
前記アタッチメント枠が取り付けられた後の前記新設枠及び前記排気機能部を、前記既設枠の内周側に取り付ける、改装建具の施工方法。
【請求項4】
前記アタッチメント枠は、アタッチメント上枠、アタッチメント下枠及び一対のアタッチメント縦枠が、前記排気機能部が取り付けられた前記新設枠の外周側の四周に配置されて矩形に組んで構成され、
前記アタッチメント上枠、前記アタッチメント下枠及び一対の前記アタッチメント縦枠において、いずれか2つの枠の組み付け部分において、互いを締結部材により固定する、請求項3に記載の改装建具の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、改装建具及び改装建具の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の開口部をリフォーム等で改装する方法として開口部に新たな建具を設置するカバー工法が採用されている。このカバー工法によって改装された改装建具では、建物の開口部に取り付けられた既設枠に対して、その内周側に新設枠が取り付けられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の改装建具においては、建物の開口部に取り付けられている既設枠の内周側に対して、新設枠を直接取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の改装建具は、既設枠の内周側に新設枠を直接取り付けているため、新設枠の取り付け状態が、既設枠の歪み等の影響を受け易く、施工性を向上させる余地がある。
【0006】
さらに、近年、室内の換気のために、窓に室内の空気を室外に強制的に排気させる機能を持たせることも要望されている。
【0007】
本開示は、既設枠の状態に影響されずに新設枠の施工性を向上できるとともに、室内の空気を強制的に室外に排気する機能を備えた改装建具及びその改装建具の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の改装建具は、建物の開口部に設けられた既設枠に取り付けられる改装建具であって、四周を組んで構成された新設枠と、前記新設枠の外周に取り付けられ、室内の空気を室外に強制的に排気する排気機能部と、前記排気機能部を含む前記新設枠の外周側に四周を組んで取り付けられた状態で、前記既設枠の内周側に取り付けられるアタッチメント枠と、を備える。
【0009】
本開示の改装建具の施工方法は、建物の開口部に設けられた既設枠に取り付けられる改装建具の施工方法であって、四周を組んで構成された新設枠の外周に、室内の空気を室外に強制的に排気する排気機能部を取り付け、前記排気機能部を含む前記新設枠の外周側に、四周を組むようにアタッチメント枠を取り付け、前記アタッチメント枠が取り付けられた後の前記新設枠及び前記排気機能部を、前記既設枠の内周側に取り付ける。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】引違い窓タイプの改装建具を室外側から見た正面図である。
【
図4】
図2の上側の既設上枠とアタッチメント上枠と新設上枠との取付部位を示す拡大図である。
【
図5】
図2の下側の新設下枠と排気機能部との取付部位を示す拡大図である。
【
図6】
図2の下側の排気機能部とアタッチメント下枠と既設枠との取付部位を示す拡大図である。
【
図7】
図3の右側の既設縦枠とアタッチメント縦枠と新設縦枠との取付部位を示す拡大図である。
【
図8】
図3の左側の既設縦枠とアタッチメント縦枠と新設縦枠との取付部位を示す拡大図である。
【
図9】アタッチメント枠を取り付けた新設枠及び排気機能部を既設枠に取り付けた状態を室外側から見た斜視図である。
【
図10】アタッチメント枠を取り付けた新設枠及び排気機能部を既設枠に取り付けた状態を室内側から見た斜視図である。
【
図11】排気機能部を取り付けた新設枠の外周側の四周にアタッチメント枠を取り付ける状態を室外側から見た示す斜視図である。
【
図12】アタッチメント枠を取り付けた新設枠及び排気機能部を既設枠に取り付ける状態を室外側から見た示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。本実施形態に係る改装建具1は、建物100に固定されている既設枠7を建物100に取り付けたままの状態で、新たな部材を新設して形成するリフォーム用の改装建具1である。
【0012】
本明細書において、「見付方向」とは、建物100の壁に形成された開口部に納められた改装建具1における障子10の面材の面方向を意味し、「見込方向」とは、上記面材の厚さ方向(即ち、奥行き方向)を意味する。「見込方向」は室内外方向でもある。図面において、改装建具1の室外側を室外側X1とし、改装建具1の室内側を室内側X2とする。改装建具1の横方向を「左右方向」という。
【0013】
本実施形態に係る改装建具1は、建物100の開口部に納められた引違い窓タイプの改装サッシである。改装建具1は、建物100の開口部に設けられた既設枠7に取り付けられる。
【0014】
改装建具1は、
図1~
図12に示すように、新設枠2と、新設枠2の外周に取り付けられる排気機能部3と、排気機能部3を含む新設枠2の外周側に取り付けられた状態で既設枠7の内側に取り付けられるアタッチメント枠4と、室内側化粧部材51,52,53と、室外側化粧部材61,62,63と、新設枠2内にスライド可能に納められる障子10、10と、障子10,10の室外側X1に納められる網戸11と、を備える。網戸11は、
図1では省略されている。
【0015】
既設枠7は、建物100の開口部に既に設けられている窓枠である。既設枠7の室内側には、四周に亘って額縁部材101が配置されている。新設枠2及び排気機能部3は、アタッチメント枠4が新設枠2及び排気機能部3の外周側に取り付けられた状態で、既設枠7の内側に取り付けられる。排気機能部3は、新設枠2とアタッチメント枠4との間に配置される。アタッチメント枠4は、既設枠7と新設枠2及び排気機能部3との間に配置される。
【0016】
既設枠7は、
図2~
図4及び
図6~
図8に示すように、建物100の開口部の内側に設けられ、矩形に組まれた枠状に形成されている。既設枠7は、既設上枠71と、既設下枠72と、左右の既設縦枠73と、を備える。
【0017】
既設上枠71は、
図2及び
図4に示すように、建物100の開口部の上部側に取り付けられており、下方に向けて立設される既設障子用のガイドレール711、712と、既設網戸用のガイドレール713と、を有する。既設上枠71の室内側X2の部分は、建物100(躯体)に固定されている。
【0018】
既設下枠72は、建物100の開口部の下部側に取り付けられており、それぞれ上方に向けて立設される既設障子用のガイドレール721、722と、既設網戸用のガイドレール723と、を有する。既設下枠72の室内側X2の部分は、建物100(躯体)に固定されている。
【0019】
既設縦枠73は、
図3に示すように、建物100の開口部の室外側X1の左右縦部側にそれぞれ取り付けられている。既設縦枠73の室内側X2の部分は、建物100(躯体)に固定されている。
【0020】
新設枠2は、四周を組んで構成され、後述する排気機能部3とともに、既設枠7の内周側にアタッチメント枠4を介して取り付けられる。新設枠2は、新設上枠21と、新設下枠22と、左右の新設縦枠23と、を備える。新設枠2は、四周を組んだ状態において、新設上枠21、新設下枠22及び左右の新設縦枠23が組み合う部分でネジ固定されている。アタッチメント枠4は、アタッチメント上枠41と、アタッチメント下枠42と、左右のアタッチメント縦枠43と、を備える。
【0021】
新設上枠21は、アタッチメント枠4を外周に取り付けた新設枠2が既設枠7に取り付けられた状態において、
図2及び
図4に示すように、アタッチメント上枠41を間に挟んで、既設上枠71の内周側(下面側)に取り付けられる。新設上枠21は、例えば、金属材料や樹脂材料により形成され、それぞれ下方に向けて立設される障子10,10の上部側のガイドレール211、212と、網戸11の上部側のガイドレール213と、を有する。新設上枠21の室内側X2には、樹脂アングル部材214が設けられる。上部側の室内側化粧部材51は、樹脂アングル部材214と上側の額縁部材101の内周面との間の空間を覆うように設けられている。
【0022】
新設上枠21は、
図4に示すように、室外側枠部21Aと室内側枠部21Bとに見込方向に2分割され、室外側枠部21Aと室内側枠部21Bとの間が、樹脂ブリッジ材215によって一体に連結された構造を有する。樹脂ブリッジ材215によって、新設上枠21における室内外方向の熱の伝達が遮断される。そのため、新設上枠21は、断熱性に優れる。
【0023】
新設下枠22は、アタッチメント枠4を外周に取り付けた新設枠2が既設枠7に取り付けられた状態において、
図2及び
図5に示すように、排気機能部3及びアタッチメント下枠42を間に挟んで、既設下枠72の内周側に取り付けられる。新設下枠22は、例えば、金属材料や樹脂材料により形成され、それぞれ上方に向けて立設される障子10,10の下部側のガイドレール221,222と、網戸11の下部側のガイドレール223と、を有する。新設下枠22の室内側X2には、樹脂アングル部材224が設けられる。下部側の室内側化粧部材52は、樹脂アングル部材224と下側の額縁部材101の内周面との間の空間を覆うように設けられている。
【0024】
新設下枠22は、
図5に示すように、室外側枠部22Aと室内側枠部22Bとに見込方向に2分割され、室外側枠部22Aと室内側枠部22Bとの間が、樹脂ブリッジ材225によって一体に連結された構造を有する。樹脂ブリッジ材225によって、新設下枠22における室内外方向の熱の伝達が遮断される。そのため、新設下枠22は、断熱性に優れる。
【0025】
新設縦枠23は、アタッチメント枠4を外周に取り付けた新設枠2及び排気機能部3が既設枠7に取り付けられた状態において、
図3、
図7及び
図8に示すように、アタッチメント縦枠43を間に挟んで、既設縦枠73の内周側に取り付けられる。新設縦枠23は、例えば、金属材料や樹脂材料により形成される。新設縦枠23の室内側X2には、樹脂アングル部材233が設けられる。左右の室内側化粧部材53は、樹脂アングル部材233と縦側の額縁部材101の内周面との間の空間を覆うように設けられている。
【0026】
新設枠2(新設上枠21、新設下枠22及び左右の新設縦枠23)は、排気機能部3とともに、アタッチメント枠4(アタッチメント上枠41、アタッチメント下枠42及び左右のアタッチメント縦枠43)が新設枠2及び排気機能部3の外周側において四周を組んで設けられた状態で、既設枠7(既設上枠71、既設下枠72及び左右の既設縦枠73)の内周側に取り付けられる。
【0027】
排気機能部3は、新設下枠22とアタッチメント下枠42との間に配置され、室内側X2の空気を室外側X1に強制的に排気する機能を有する。排気機能部3は、
図1及び
図2に示すように、筐体31と、筐体31の内部に収容される排気ファン32と、筐体31の室外側X1に配置される化粧カバー33と、を有する。
【0028】
筐体31は、新設枠2の左右方向(横方向)である新設下枠22の延び方向の全長に亘って延び、新設下枠22と略同一の長さを有する。筐体31は、排気ファン32の室外側X1を仕切る室外側仕切り板311と、排気ファン32の室内側X2を仕切る室内側仕切り板312と、長手方向の両端部を仕切る側部仕切り板313(
図11、
図12参照)と、を有する。室外側仕切り板311、室内側仕切り板312及び側部仕切り板313は、例えば、金属材料や樹脂材料により形成される。
【0029】
室外側仕切り板311は、排気ファン32の室外側X1を、新設下枠22の延び方向の全長に亘って覆うように配置される。室外側仕切り板311は、排気ファン32の室外側X1を垂直方向に延びる前面板311aと、前面板311aの下端部付近から室外側X1に向けて下り傾斜するように延びる傾斜板311bと、傾斜板311bの室外端から下方に向けて垂直に延びる垂下板311cと、を有する。前面板311aには、排気ファン32から排出される空気を室外側X1に吹き出す開口を有する吹き出し部314が形成されている。吹き出し部314には、図示しない開閉可能な蓋部材が設けられる。蓋部材は、排気ファン32の非駆動時に外気が室内側X2に流入しないように吹き出し部314を閉鎖し、排気ファン32の駆動時に吹き出し部314を開放するように構成される。
【0030】
室内側仕切り板312は、排気ファン32の室内側X2の上方を覆う上面板312aと、排気ファン32の室内側X2を覆う背面板312bと、排気ファン32の室内側X2の下方を覆う下面板312cと、下面板312cの室外側X1の端部から下方の額縁部材101に向けて延びる垂下板312dと、を有する。下面板312cには、室内側X2の空気を筐体31内に取り込むための吸い込み部315が形成されている。吸い込み部315には、開口あるいは網状部材等が設けられる。
【0031】
排気ファン32は、筐体31の室外側仕切り板311と室内側仕切り板312との間に配置される。排気ファン32は、回転することによって空気を強制的に室外側X1に吹き出す図示しない回転翼を有し、図示しないモータによって駆動される。排気ファン32は、回転翼の回転によって吸い込み部315から吸い込んだ室内側X2の空気を、
図2中に矢印で示すように、室外側仕切り板311に形成された吹き出し部314から、筐体31の室外側X1に向けて吹き出す。
【0032】
化粧カバー33は、室外側仕切り板311の前面板311aに略平行に配置される前面カバー331と、前面カバー331の上下端部からそれぞれ室内側X2に向けて延び、前面板311aに対して係合して取り付けられる取付板332、333と、を有する。前面カバー331は、新設枠2及び既設枠7の室外側X1の見付け面とほぼ同一面となるように配置されている。化粧カバー33は、室外側仕切り板311の傾斜板311bの上面との間に間隔を有して配置される。化粧カバー33の下側の取付板333には、空気が通過可能な開口あるいは網状部材等が設けられている。前面カバー331及び取付板332、333は、例えば、アルミニウム材料で形成される。
【0033】
化粧カバー33の前面カバー331と筐体31の前面板311aとの間には、吹き出し部314から吹き出された空気を下方に指向させる排気空間S1が形成される。化粧カバー33と傾斜板311bとの間には、取付板333を介して排気空間S1から連続する排気空間S2が形成される。排気空間S2は、取付板333を介して排気空間S1から流入する空気を室外側X1に指向させて排出する。
【0034】
図1に示すように、障子10,10のうちの室内側X2に配置される障子10の上框10aには、外気を室内側X2に供給可能な給気部の一態様である多数のスリット10bが設けられている。スリット10bは、
図2中に矢印で示すように、障子10の室外側X1の外気を室内側X2に供給する給気経路を形成する。排気ファン32の駆動によって室内側X2の空気を強制的に排気する際に、スリット10bを通して室内側X2に新鮮な外気を流入させることができるため、室内において改装建具1以外の部位に給気部を設ける必要がなく、効率的な換気を行うことができる。上框10aには、スリット10bを開閉するための図示しない開閉機構が設けられている。
【0035】
筐体31は、新設下枠22の下面に、複数の固定ネジ30a,30bによって固定される。これによって、排気機能部3は、四周に組まれた新設枠2における新設下枠22の外周に取り付けられる。
【0036】
アタッチメント枠4は、
図11及び
図12に示すように、新設枠2と排気機能部3とを既設枠7の内周側に取り付ける前に、排気機能部3を含む新設枠2の外周に四周を組んで取り付けられる。すなわち、アタッチメント枠4は、新設下枠22に排気機能部3が取り付けられた状態で、新設上枠21、新設縦枠23及び排気機能部3の外周側の四周に亘って取り付けられる。アタッチメント枠4は、新設枠2及び排気機能部3の一体物の四周を組んで取り付けられた状態で、新設枠2及び排気機能部3とともに既設枠7の内周側に取り付けられる。
【0037】
アタッチメント枠4は、
図11及び
図12に示すように、アタッチメント上枠41、アタッチメント下枠42及び一対のアタッチメント縦枠43が四周に配置されて矩形に組んで構成される。アタッチメント上枠41、アタッチメント下枠42及び左右のアタッチメント縦枠43は、それぞれ、例えば、アルミニウム材料で形成される。
【0038】
アタッチメント上枠41は、アタッチメント枠4の上部に配置され、新設枠2の左右方向(横方向)に延びる。アタッチメント下枠42は、アタッチメント枠4の下部側に配置され、新設枠2の左右方向(横方向)に延びる。アタッチメント縦枠43は、アタッチメント枠4の左右方向の端部側に配置され、新設枠2の上下方向に延びる。
【0039】
アタッチメント枠4は、
図9及び
図12に示すように、アタッチメント上枠41及びアタッチメント下枠42の長手方向の端部の外側に、アタッチメント上枠41及びアタッチメント下枠42の長手方向の端部を覆うように、アタッチメント縦枠43の長手方向の端部が配置される、いわゆる縦勝ち構造により構成される。
【0040】
アタッチメント枠4は、既設枠7の内周側に取り付けられた状態においては、新設枠2及び排気機能部3と既設枠7との間に配置される。アタッチメント上枠41は、
図4に示すように、新設上枠21の上面側に、新設上枠21に対して室外側X1から引っ掛けた状態で取り付けられた後、新設上枠21からアタッチメント上枠41に亘って上向きに貫通する固定ネジ41aによって、新設上枠21に固定される。アタッチメント下枠42は、
図6に示すように、排気機能部3の下面側に、筐体31の室外側仕切り板311に対して室内側X2から引っ掛けた状態で取り付けられた後、アタッチメント下枠42から排気機能部3の室外側仕切り板311に亘って室内側X2から室外側X1に横向きに貫通する固定ネジ42aによって、室外側仕切り板311に固定される。アタッチメント縦枠43は、
図7及び
図8に示すように、新設縦枠23の外面側に、新設縦枠23に対して室内側X2から引っ掛けた状態で取り付けられた後、新設縦枠23からアタッチメント縦枠43に亘って横向きに貫通する固定ネジ43aによって、新設縦枠23に固定される。
【0041】
アタッチメント枠4は、
図12に示すように、アタッチメント上枠41、アタッチメント下枠42及び一対のアタッチメント縦枠43が、新設枠2及び排気機能部3の一体化物の外周に取り付けられた状態で、締結部材であるネジ44によって固定される。具体的には、アタッチメント上枠41、アタッチメント下枠42及び一対のアタッチメント縦枠43は、四周に組んだ状態で、隣接する2つの枠の組み付け部分において、アタッチメント縦枠43からアタッチメント上枠41及びアタッチメント下枠42に向けてそれぞれ貫通するネジ44によって固定される。一対のアタッチメント縦枠43のそれぞれの上端部は、アタッチメント上枠41の長手方向の両端部にネジ44によって固定される。一対のアタッチメント縦枠43のそれぞれの下端部は、アタッチメント下枠42の長手方向の両端部にネジ44によって固定される。
【0042】
アタッチメント上枠41は、
図4に示すように、新設上枠21の上面側を室内外方向に被覆するように延びる本体枠部411と、本体枠部411の室外側X1の端部から上方に延びる前壁部412と、本体枠部411の室内側X2の端部付近から下方に延びる後壁部413と、を有する。前壁部412は、既設上枠71の網戸用のガイドレール713を覆い隠すように、網戸用のガイドレール713の室外側X1の面に沿って配置されている。
【0043】
アタッチメント上枠41の上面側には、本体枠部411と前壁部412とによって、略L字状の既設上枠収容空間41Sが形成される。アタッチメント上枠41は、既設上枠71の下面側に室外側X1から挿入される。これによって、既設上枠71を既設上枠収容空間41S内に容易に収容することができる。既設上枠収容空間41S内に既設上枠71を収容したアタッチメント上枠41は、本体枠部411の室内側X2の端部において、固定ネジ41bによって上側の額縁部材101に固定される。室内側化粧部材51は、固定ネジ41bによる固定部位を室内側X2から覆い隠している。室外側化粧部材61は、アタッチメント上枠41の前壁部412を被覆するように、前壁部412に室外側X1から取り付けられている。
【0044】
アタッチメント下枠42は、
図6に示すように、排気機能部3の下面側を室内外方向に被覆するように延びる本体枠部421と、本体枠部421の室外側X1の端部から下方に延びる前壁部422と、本体枠部421の室内側X2の端部付近から上方に延びる後壁部423と、を有する。前壁部422は、既設下枠72の網戸用のガイドレール723に近接するように延びている。アタッチメント下枠42を新設下枠22に固定する固定ネジ42aは、アタッチメント下枠42の後壁部423を室内側X2から貫通している。
【0045】
アタッチメント下枠42の下面側には、本体枠部421と前壁部422とによって、略L字状の既設下枠収容空間42Sが形成される。アタッチメント下枠42は、既設下枠72の上面側に室外側X1から挿入される。これによって、既設下枠72を既設下枠収容空間42S内に容易に収容することができる。既設下枠収容空間42S内に既設下枠72を収容したアタッチメント下枠42は、本体枠部421の室内側X2の端部において、固定ネジ42bによって下側の額縁部材101に固定される。前壁部422の室内側X2の面には、既設下枠72の上面に向けて延びる脚板部材424が、ネジ42cによって固定されている。本体枠部421の室外側X1の端部は、脚板部材424が既設下枠72の上面に載置されることによって、既設下枠72の上面に支持されている。排気機能部3の筐体31の垂下板312dは、固定ネジ42a,42bによる固定部位を目隠ししている。室外側化粧部材62は、アタッチメント下枠42の前壁部422を被覆するように、前壁部412に室外側X1から取り付けられている。
【0046】
アタッチメント縦枠43は、
図7及び
図8に示すように、新設縦枠23の外面側を室内外方向に被覆するように延びる本体枠部431と、本体枠部431の室外側X1の端部から見付方向の外側に延びる前壁部432と、本体枠部431の室内側X2の端部付近から見付方向の内側に延びる後壁部433と、を有する。前壁部432は、既設下枠72を室外側X1から覆い隠すように延びている。
【0047】
アタッチメント縦枠43の外面側には、本体枠部431と前壁部432とによって、略L字状の既設縦枠収容空間43Sが形成される。アタッチメント縦枠43は、既設縦枠73の内面側に室外側X1から挿入される。これによって、既設縦枠73を既設縦枠収容空間43S内に容易に収容することができる。既設縦枠収容空間43S内に既設縦枠73を収容したアタッチメント縦枠43は、本体枠部431の室内側X2の端部において、固定ネジ43bによって縦側の額縁部材101に固定される。室内側化粧部材53は、固定ネジ43bによる固定部位を目隠ししている。室外側化粧部材63は、アタッチメント縦枠43の前壁部432を被覆するように、前壁部432に室外側X1から取り付けられている。
【0048】
次に、改装建具1の施工方法について説明する。まず、
図11に示すように、四周を組んで構成された新設枠2における新設下枠22の下面側に、排気機能部3を取り付ける。その後、排気機能部3を含む新設枠2の外周側に、四周を組むようにアタッチメント枠4を取り付ける。具体的には、新設上枠21の上面側及び排気機能部3の下面側に、アタッチメント上枠41及びアタッチメント下枠42をそれぞれ取り付ける。その後、新設縦枠23の外面側に、アタッチメント縦枠43をそれぞれ取り付ける。アタッチメント縦枠43は、長手方向の両端部において、アタッチメント上枠41及びアタッチメント下枠42の両端部にそれぞれネジ44によって固定される。これによって、排気機能部3を含む新設枠2の外周側に、アタッチメント枠4が四周を組んで取り付けられる。
【0049】
排気機能部3を含む新設枠2の外周側にアタッチメント枠4を取り付けた後、
図12に示すように、新設枠2、排気機能部3及びアタッチメント枠4の一体化物を、既設枠7の内周側に室外側X1から挿入する。これによって、既設上枠71は、アタッチメント上枠41の既設上枠収容空間41S内に収容される。既設下枠72は、アタッチメント下枠42の既設下枠収容空間42S内に収容される。既設縦枠73は、アタッチメント縦枠43の既設縦枠収容空間43S内に収容される。挿入後、アタッチメント枠4を、固定ネジ41b,42b,43bによって室内側X2から額縁部材101に固定する。これによって、既設枠7の内周側に排気機能部3を含む新設枠2が取り付けられる。
【0050】
本実施形態に係る改装建具1によれば、以下の効果を奏する。すなわち、建物100の開口部に設けられた既設枠7に取り付けられる改装建具1であって、四周を組んで構成された新設枠2と、新設枠2の外周に取り付けられ、室内の空気を室外に強制的に排気する排気機能部3と、排気機能部3を含む新設枠2の外周側に四周を組んで取り付けられた状態で、既設枠7の内周側に取り付けられるアタッチメント枠4と、を備える。これによれば、排気機能部3を含む新設枠2の外周に取り付けられるアタッチメント枠4によって、既設枠7の状態に影響されずに新設枠2及び排気機能部3を容易に取り付けることができるため、新設枠2の施工性を向上することができる。新設枠2と排気機能部3とを一体化物として既設枠7に取り付けることができるため、室内の空気を強制的に室外に排気する機能を備えた改装建具1を容易に構築することができる。
【0051】
本実施形態において、アタッチメント枠4は、アタッチメント上枠41、アタッチメント下枠42及び一対のアタッチメント縦枠43が四周に配置されて矩形に組んで構成され、アタッチメント上枠41、アタッチメント下枠42及び一対のアタッチメント縦枠43において、いずれか2つの枠の組み付け部分において、互いが、ネジ44により固定される。これによれば、アタッチメント枠4を、アタッチメント上枠41、アタッチメント下枠42及び一対のアタッチメント縦枠43の互いの組付け部分において、ネジ44により強固に固定できる。よって、排気機能部3を含む新設枠2の四周の外周に、強固に組み付けられたアタッチメント枠4を設けることができる。
【0052】
本実施形態に係る改装建具1の施工方法は、建物100の開口部に設けられた既設枠7に取り付けられる改装建具1の施工方法であって、四周を組んで構成された新設枠2の外周に、室内の空気を室外に強制的に排気する排気機能部3を取り付け、排気機能部3を含む新設枠2の外周側に、四周を組むようにアタッチメント枠4を取り付け、アタッチメント枠4が取り付けられた後の新設枠2及び排気機能部3を、既設枠7の内周側に取り付ける。これによれば、排気機能部3を含む新設枠2の外周に取り付けられるアタッチメント枠4によって、既設枠7の状態に影響されずに新設枠2及び排気機能部3を容易に取り付けることができるため、排気機能部3を含む新設枠2を容易に施工性することができる。新設枠2と排気機能部3とを一体化物として既設枠7に取り付けることができるため、室内の空気を強制的に室外に排気する機能を備えた改装建具1を容易に構築することができる。
【0053】
本実施形態において、アタッチメント枠4は、アタッチメント上枠41、アタッチメント下枠42及び一対のアタッチメント縦枠43が、排気機能部3が取り付けられた新設枠2の外周側の四周に配置されて矩形に組んで構成され、アタッチメント上枠41、アタッチメント下枠42及び一対のアタッチメント縦枠43において、いずれか2つの枠の組み付け部分において、互いをネジ44により固定する。これによれば、アタッチメント枠4を、アタッチメント上枠41、アタッチメント下枠42及び一対のアタッチメント縦枠43の互いの組付け部分において、ネジ44により強固に固定できる。よって、排気機能部3を含む新設枠2の四周の外周に、アタッチメント枠4を強固に安定して取り付けることができる。
【0054】
以上、本開示の好ましい一実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、アタッチメント枠4は、アタッチメント上枠41及びアタッチメント下枠42の長手方向の端部が、アタッチメント縦枠43の長手方向の端部の上側及び下側を覆うように、アタッチメント上枠41及びアタッチメント下枠42の長手方向の端部が配置される、いわゆる横勝ち構造により構成されてもよい。
【0055】
排気機能部3は、新設上枠21とアタッチメント上枠41との間、あるいは新設縦枠23とアタッチメント縦枠43との間に取り付けられてもよい。
【0056】
前記実施形態においては、改装建具1を引違い窓タイプの改装サッシに適用した場合について説明したが、これに限定されない。改装建具を、例えば、回転軸を中心に戸体が回転して開閉する開閉式の改装建具や、縦辷り出し式の改装建具に適用してもよい。また、改装建具を、例えば、枠に対して開閉しないで固定して取り付けられるFIX式の改装建具に適用してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 改装建具、 2 新設枠、 3 排気機能部、 4 アタッチメント枠、 41 アタッチメント上枠、 42 アタッチメント下枠、 43 アタッチメント縦枠、 44 ネジ(締結部材)、 7 既設枠、 100 建物