(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000967
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】液体圧力エンジン
(51)【国際特許分類】
F03G 3/00 20060101AFI20221222BHJP
F03G 7/00 20060101ALI20221222BHJP
F03G 7/10 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
F03G3/00 B
F03G7/00 B
F03G7/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021124814
(22)【出願日】2021-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】500015939
【氏名又は名称】橋口 真二
(72)【発明者】
【氏名】橋口 真二
(57)【要約】
【課題】 地球温暖化等環境の悪化や枯渇問題のある化石燃料を使用する駆動装置から生ずるエネルギーではなく、場所、時間を問わず、地球環境に優しい、安価で安定したエネルギーの供給出来る装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、液体中の物体に対する液圧およびその物体の自重、その物体の内部にある液体の重量のみを利用し、物体の上昇下降運動等往復運動を行わせ、永続的に運動エネルギーを得ることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部分に出力口4を設けた、固定容器上側プレート1と、
前記固定容器上側プレート1と同じ大きさの、固定容器下側プレート2と、
前記固定容器上側プレート1と前記固定容器下側プレート2の間で、固定容器上側プレート1と固定容器下側プレート2の周囲を囲むように取り付けた、固定容器側面プレート3と、
前記固定容器上側プレート1と前記固定容器下側プレート2と前記固定容器側面プレート3とで囲まれた空間内の固定容器上側プレート1と固定容器下側プレート2の間で、固定容器上側プレート1と固定容器下側プレート2の周辺部に取り付けた、複数の可動部分移動用ガイド5と、
前記固定容器上側プレート1と前記固定容器下側プレート2と前記固定容器側面プレート3とで囲まれた空間内の固定容器側面プレート3中央付近に取り付けた、浮力増幅ロッド6からなる固定部分内に、
周辺部分に複数の開口部および中央付近に開口部を設けた、可動容器上側プレート7と、
前記可動容器上側プレート7の中央付近に設けた開口部に取り付けた、開閉弁11と、
周辺部分に複数の開口部および中央付近に開口部を設けた、可動容器下側プレート8と、
前記可動容器下側プレート8の中央付近に設けた開口部に取り付けた、開閉弁12と、
前記可動容器上側プレート7と前記可動容器下側プレート8の間で、可動容器上側プレート7と可動容器下側プレート8の周辺部分に設けた開口部を内包しないように可動容器上側プレート7と可動容器下側プレート8の周囲に取り付けた、可動容器側面プレート9からなる液体比重比1を超える素材で作られた可動部分を配置させたもので、
前記固定部分内部における前記可動部分の配置を、
前記の可動部分内部に、前記の固定部分に取り付けた浮力増幅ロッド6の一部を内包させ、
前記の可動部分の一部である可動容器側面プレート9と前記の固定部分の一部である浮力増幅ロッド6の取り合い部分で、可動容器側面プレート9の外側部分における前記の可動部分の一部である可動容器上側プレート7と浮力増幅ロッド6の間および同じく前記の可動部分の一部である可動容器下側プレート8と浮力増幅ロッド6間に、可動容器側面プレート9の浮力増幅ロッド6に対する動きに追随することのできる伸縮自在な伸縮自在膜10を隙間なく取り付け、
前記の固定部分内に取り付けた、前記の複数の可動部分移動用ガイド5に、前記の可動容器上側プレート7周辺部に設けた開口部および前記の可動容器下側プレート8周辺部に設けた開口部内を合わせるようにした装置で、
前記の固定部分内を、前記の可動部分が、前記の開閉弁11および前記の開閉弁12の開閉状況により、同じ空間となるか、別空間となるかの状態が決められ、前記の複数の可動部分移動用ガイド5に沿い、自由に上下運動のできるように構成した装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の圧力を利用したエンジン(駆動装置)の開発に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、主な駆動装置として、石炭や石油等、化石燃料による内燃機関や蒸気機関等が主流となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、これらの装置には次のような欠点があった。
内燃機関を駆動させるためには、ガソリンや軽油等、石油類を燃料とし、燃焼爆発させ駆動させている。蒸気機関も同じで、石油石炭等を燃焼させ、蒸気をつくり、その蒸気の圧力により機関を駆動させることとなる。
これら化石燃料は、燃料燃焼後、窒素酸化物、硫黄酸化物、二酸化炭素等を排出し、地球温暖化等環境の悪化に繋がっている。また、化石燃料は有限の資源であり、枯渇問題が危惧されるところである。
本発明は、以上の様な欠点をなくすためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
図4に示す、中央部分に出力口4を設けた固定容器上側プレート1と、固定容器上側プレート1と同じ大きさの固定容器下側プレート2と、固定容器上側プレート1と固定容器下側プレート2の間の周囲を囲むように取り付けた固定容器側面プレート3と、固定容器上側プレート1と固定容器下側プレート2と固定容器側面プレート3とで囲まれた空間内で固定容器上側プレート1と固定容器下側プレート2の間の周辺部に取り付けた複数の可動部分移動用ガイド5と、固定容器側面プレート3中央付近に取り付けた浮力増幅ロッド6、から構成される部分を固定部分とする。
【0007】
図5に示す、周辺部分に複数の開口部および中央付近に開口部を設けた可動容器上側プレート7と、可動容器上側プレート7の中央付近に設けた開口部に取り付けた開閉弁11と、周辺部分に複数の開口部および中央付近に開口部を設けた可動容器下側プレート8と、可動容器下側プレート8の中央付近に設けた開口部に取り付けた開閉弁12と、可動容器上側プレート7と可動容器下側プレート8の間で可動容器上側プレート7と可動容器下側プレート8の周辺部分に設けた開口部を内包しないように可動容器上側プレート7と可動容器下側プレート8の周囲に取り付けた可動容器側面プレート9、から構成される部分を可動部分とする。
なお、可動部分は液体比重比1を超える素材で作ることとする。
【0008】
固定部分内において、可動部分を組み立てる際、
図6に示すように、浮力増幅ロッド6の一部を内包し、可動容器上側プレート7周辺部に設けた開口部と可動容器下側プレート8周辺部に設けた開口部は、複数の可動部分移動用ガイド5を通るようにする。
このことにより、可動部分は、固定部分内を、浮力増幅ロッド6の一部を内包し、複数の可動部分移動用ガイド5上を沿うように移動することができる。
【0009】
可動部分の一部である可動容器側面プレート9と浮力増幅ロッド6部分の取り合い部分では、浮力増幅ロッド6の一部に沿い可動容器側面プレート9が上下運動するため、隙間ができ、可動部分内と固定部分内に液体を注入した場合、液体はその隙間部分により混じり合う。
その液体の混じり合うことを防ぐため、可動容器側面プレート9の外側部分において、可動容器側面プレート9の浮力増幅ロッド6に対する動きに追随することのできる伸縮自在な伸縮自在膜10を、可動容器上側プレート7と浮力増幅ロッド6の間および可動容器下側プレート8と浮力増幅ロッド6間に隙間なく取り付ける。
このことにより、開閉弁11および開閉弁12の閉の状態において、可動部分内と固定部分内は別空間となり、液体は混じり合うことはない。
【0010】
以上のことにより、固定部分内を、可動部分が、複数の可動部分移動用ガイド5沿いに、自由に上下運動ができ、開閉弁11および開閉弁12の開閉状況により、固定部分内にある可動部分は、固定部分と同じ空間または、固定部分と別空間となる状態を作り出すことが出来る。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、液体の圧力により駆動する装置であるため、固定容器内に液体を注入する。
可動部分内にも固定容器内に注入した液体と同じ液体を注入する。
開閉弁11および開閉弁12が閉の状態時、固定容器内液体と可動部分内液体は混じり合うことなく別の空間となるため、液体比重比1を超える素材で作った可動部分は、液体の浮力と可動部分内の浮力増幅ロッド6の体積分を減じた液体の重量と可動部分の重量の関係により上方向へ上昇する。
開閉弁11、開閉弁12が開になった場合、固定容器内液体と可動部分内液体は、混ざり合い、液体比重比1を超える素材で作った可動部分は、可動部分のみの浮力を受けるため、可動部分は下降することになる。
再び、開閉弁11、開閉弁12を閉にすると、固定容器内液体と可動部分内液体は別の空間にあることになり、液体比重比1を超える素材で作った可動部分は、上述のとおり上方向へ上昇する。
これらの一連の動作を繰り返すことで、本発明は、液体の圧力を利用した駆動装置として利用することが出来る。
従って、課題である地球温暖化等環境の悪化に繋がる窒素酸化物、硫黄酸化物、二酸化炭素等を排出することはなく、資源の枯渇問題もなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図6】 可動部分、可動部分移動用ロッド5、浮力増幅ロッド6の関係図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
図4に示すとおり、中央部分に出力口4を設けた固定容器上側プレート1と、固定容器上側プレート1と同じ大きさの固定容器下側プレート2と、その間を固定容器側面プレート3で囲い空間を作る。固定容器上側プレート1と固定容器下側プレート2の間で、周辺部に、複数の可動部分移動用ガイド5を取り付け、固定容器側面プレート3中央部分に浮力増幅ロッド6を取り付ける。この構成からなる部分を、固定部分とする。
【0014】
図5に示すとおり、周辺部分に複数の開口部および中央付近に開口部を設けた可動容器上側プレート7と、可動容器上側プレート7の中央付近に設けた開口部に取り付けた開閉弁11と、周辺部分に複数の開口部および中央付近に開口部を設けた可動容器下側プレート8と、可動容器下側プレート8の中央付近に設けた開口部に取り付けた開閉弁12と、可動容器上側プレート7と可動容器下側プレート8の間で可動容器上側プレート7と可動容器下側プレート8の周辺部分に設けた開口部を内包しないように可動容器上側プレート7と可動容器下側プレート8の間に取り付けた可動容器側面プレート9と、から構成される部分を可動部分とする。
なお、可動部分は液体比重比1を超える素材で作ることとする。
【0015】
固定部分内において、可動部分を組み立てる際、
図6に示すように、浮力増幅ロッド6の一部を内包し、可動容器上側プレート7周辺部に設けた開口部と可動容器下側プレート8周辺部に設けた開口部は、複数の可動部分移動用ガイド5が通るよう調整する。
このことにより、可動部分は、固定部分内を、浮力増幅ロッド6の一部を内包しつつ、複数の可動部分移動用ガイド5を沿うように移動することができる。
【0016】
可動部分の一部である可動容器側面プレート9と固定部分の一部である浮力増幅ロッド6部分の取り合い部分では、浮力増幅ロッド6に沿いながら、可動容器側面プレート9は上下運動するため、その部分に隙間ができ、可動部分内と固定部分内に液体を注入した場合、液体はその隙間の部分により混じり合うこととなる。
その液体の混じり合うことを防ぐため、可動容器側面プレート9の外側部分において、可動容器側面プレート9の浮力増幅ロッド6に対する動きに追随することのできる伸縮自在な伸縮自在膜10を、可動容器上側プレート7と浮力増幅ロッド6の間および可動容器下側プレート8と浮力増幅ロッド6間に隙間なく取り付ける。
このことにより、開閉弁11および開閉弁12の閉の状態において、可動部分内と固定部分内は別空間となり、液体は混じり合うことはない。
【0017】
以上のことにより、固定部分内を、可動部分は、複数の可動部分移動用ガイド5沿いに、自由に上下運動ができ、開閉弁11および開閉弁12の開閉状況により、固定部分内にある可動部分は、固定部分と同じ空間または、固定部分と別空間となる状態を作り出すことが出来る。
【0018】
可動容器上側プレート7、可動容器下側プレート8に設置した開閉弁11及び12の閉の状態において、浮力増幅ロッド6上下部分の可動部分内空間は密封状態となり、固定部分内空間とは別の空間となる。
固定部分内液体の中に可動部分と可動部分内の液体が存在し、液体比重比1を超える素材で作った可動部分は、固定部分内の液体の圧力を受ける。
【0019】
従って、可動部分内に、固定部分に固定された浮力増幅ロッド6があるため、可動部分の体積と可動部分の容積に大きな差が生じ、液体比重比1より重い密度の素材で作られた可動部分は、開閉弁11および開閉弁12の弁を閉の状態にした場合、固定部分内の可動部分に対する下側の液体圧力と固定部分内の可動部分に対する上側からの液体圧力、可動部分内の液体の重量、可動部分の重量とに大きな差が生じ、可動部分は上昇する。
開閉弁11および開閉弁12の弁を開にした場合は、固定部分内液体と可動部分内の液体は混じり合い、液体比重比1を超える素材で作った可動部分は下降する。
この一連の開閉弁11および開閉弁12の弁の開閉動作を行うことにより、可動部分は上下し、往復運動を継続し続ける。
【0020】
液体を水とした場合の例
可動容器下側プレート8に掛かる水圧=Fu
可動容器上側プレート7に掛かる水圧=Fd
可動部分内の水の重量=W
可動部分の総重量=Wkとした場合、
Fu-Fd-W―Wk>0・・・(1)の時、可動部分は、液体の圧力により上昇する。
可動部分の体積=V
可動部分内容積=Va
可動部分内浮力増幅ロッド6の有効体積=Vb
とした場合、W=Va―Vbとなる。
可動部分に掛かる浮力をFとした場合、F=Fu―Fd=V
ここで、V>Vaとなるものの近似値であるため、V=Vaとすると、
上述の(1)の式は、
Va―Va+Vb―Wk>0となり、Vb>Wkとなる。
このことは、可動部分は、可動部分の総重量Wkが可動部分内浮力増幅ロッド6の有効体積分の水の重量より軽い場合、上昇することを意味する。
【0021】
つまり、可動容器上側プレート7および可動容器下側プレート8の開閉弁11,開閉弁12が閉の状態の場合、可動部分内の液体の量は、浮力増幅ロッド6の有効体積分減少しているため、可動部分の自重が、浮力増幅ロッド6の有効体積分の液体の重量以内であれば、可動部分は上昇することになる。開の状態の場合は、液体比重比1を超える素材で作るため、可動部分は下降することになる。
従って、可動部分を、液体比重比1を超える素材で作り、可動部分の総重量が、浮力増幅ロッド6の有効体積分の液体重量以内で作る場合、開閉弁11及び開閉弁12の開閉状態により、可動部分は固定部分内を可動部分移動用ロッドに沿い上下運動をすることとなる。
【実施例0022】
固定部分をシリンダー、可動部分をピストン、化石燃料等の燃焼を液体の圧力および開閉弁の開閉とした場合、可動容器上側プレート7および出力口4間にコンロッドを取り付け、クランクシャフト等を介し、発電機等を回転させることが出来、火力発電に代わる地球環境に優しく、安価で、安定したエネルギーを供給することが出来るものと思われる。
また、液体の圧力のみを利用するため、地球温暖化等環境悪化に繋がることはなく、天候や建設場所による制限も受けることはない。
そのため、沿岸部、山岳部、都市部、地方等においても建設は可能であり、再生可能エネルギーの一助として利用でき、日本政府における2050カーボンニュートラルの実現に向け、本発明はその一助として有効であると思われる。
なお、宇宙開発の分野においても、液体と重力があれば駆動し続け、発電が可能となるため、月面基地や火星基地等の建設の一助になるものと思われる。
本発明は、発電としての利用だけではなく、動力源としても有効活用できる。
例えば、出力は弱いものの、船舶における航行時の出力補助、工場における動力等が挙げられる。