(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096706
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】金属射出成形機のメンテナンス装置
(51)【国際特許分類】
B22D 17/20 20060101AFI20230630BHJP
B22D 43/00 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
B22D17/20 L
B22D17/20 M
B22D43/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212635
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】部谷 道雄
(57)【要約】
【課題】金属射出成形機に用いられるスクリュ等に固着している金属材料を短時間で確実に除去する。
【解決手段】メンテナンス装置60は、バーナー組立体70とバーナー組立体70を支持する支持台80とを有し、金属射出成形機に用いられるスクリュ50に固着した金属材料を溶解させて除去する。バーナー組立体70は、スクリュ50の周囲に、スクリュ50の周方向で互いに異なる位置に配置される複数のガスバーナー71と、複数のガスバーナー71を接続して一体化させるとともに、それぞれのガスバーナー71に燃料を供給するための流路を形成する配管部材72と、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属射出成形機に用いられるスクリュ又は射出ノズルに固着した金属材料を溶解させて除去するメンテナンス装置であって、
バーナー組立体と、前記バーナー組立体を支持する支持台と、を有し、
前記バーナー組立体は、
前記スクリュ又は前記射出ノズルの周囲に、これらの周方向で互いに異なる位置に配置される複数のガスバーナーと、
複数の前記ガスバーナーを接続して一体化させるとともに、それぞれの前記ガスバーナーに燃料を供給するための流路を形成する配管部材と、を含む、メンテナンス装置。
【請求項2】
前記バーナー組立体は、前記スクリュ又は前記射出ノズルに対して変位可能である、請求項1に記載のメンテナンス装置。
【請求項3】
前記バーナー組立体は、前記支持台によって上下動可能に支持されている、請求項2に記載のメンテナンス装置。
【請求項4】
前記バーナー組立体の高さを調整可能な高さ調整機構を有する、請求項3に記載のメンテナンス装置。
【請求項5】
前記バーナー組立体は、前記支持台によって回転可能に支持されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のメンテナンス装置。
【請求項6】
前記バーナー組立体は、水平状態と前記水平状態に対して90°回転した垂直状態との間で回転可能である、請求項5に記載のメンテナンス装置。
【請求項7】
前記バーナー組立体の回転角度を調整可能な角度調整機構を有する、請求項5又は6に記載のメンテナンス装置。
【請求項8】
前記配管部材は、前記スクリュ又は前記射出ノズルを取り囲むように配置可能な環状配管と、前記環状配管に接続された直線配管と、を含み、
前記バーナー組立体は、前記直線配管を回転軸として回転可能である、請求項5~7のいずれか一項に記載のメンテナンス装置。
【請求項9】
複数の前記ガスバーナーは、前記スクリュ又は前記射出ノズルの周方向において均等に配置される、請求項1~8のいずれか一項に記載のメンテナンス装置。
【請求項10】
前記支持台は、底部と、前記底部の両側に設けられ、前記バーナー組立体を挟んで対向する一対の側壁部と、を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のメンテナンス装置。
【請求項11】
前記支持台は、前記スクリュ又は前記射出ノズルから除去された金属材料を回収する受け皿を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のメンテナンス装置。
【請求項12】
前記支持台は、車輪を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のメンテナンス装置。
【請求項13】
前記ガスバーナーによって加熱される加熱対象の温度を測定可能な温度センサと、
前記温度センサの測定結果に基づいて前記ガスバーナーを制御可能な制御部と、を有し、
前記制御部は、前記温度センサの測定結果に基づいて前記ガスバーナーの火力と燃焼時間との少なくとも一方を制御する、請求項1~12のいずれか一項に記載のメンテナンス装置。
【請求項14】
前記温度センサの測定結果が閾値を上回ると警報を発する報知部を有する、請求項13に記載のメンテナンス装置。
【請求項15】
前記温度センサの測定結果を表示する表示部を有する、請求項13又は14に記載のメンテナンス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属射出成形機に関するものであり、特に、金属射出成形機のメンテナンスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
所望形状の金属部材を成形可能な金属射出成形機が知られている。一般的な金属射出成形機は、射出装置と型締装置とによって構成される。射出装置は、溶融状態または半溶融状態のマグネシウム合金,アルミニウム合金,亜鉛合金などの合金(以下、「溶融金属」と総称する場合がある。)を型締装置に供給する。より特定的には、射出装置は、溶融金属を型締装置にセットされている金型のキャビティ内に注入(充填)する。
【0003】
射出装置は、シリンダと、シリンダ内に設けられたスクリュと、シリンダの先端に装着された射出ノズルと、を有する。ペレット状の合金(合金チップ)がシリンダ内に供給される。シリンダ内に供給された合金チップは、シリンダの周囲に設けられているヒータから発せられる熱と、スクリュの回転によって生じる剪断発熱とによって加熱され、溶解する。言い換えれば、固体状態の合金がシリンダ内で溶融状態または半溶融状態に変化する。その後、溶融金属は、軸方向に移動するスクリュに押されて射出ノズルの先端から射出される。
【0004】
金属射出成形機は、定期的に、又は必要に応じてメンテナンスを行う必要がある。例えば、溶融金属の一部がスクリュに付着し、凝固することがある。つまり、金属材料がスクリュに固着することがある。そこで、定期的に、又は必要に応じてスクリュをシリンダから取り出し、スクリュに固着している金属材料を除去する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
金属射出成形機のメンテンナンスでは、スクリュ等に固着している金属材料を短時間で確実に除去することが求められる。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態のメンテナンス装置は、バーナー組立体と、前記バーナー組立体を支持する支持台と、を有する。前記バーナー組立体は、金属射出成形機に用いられるスクリュ又は射出ノズルの周囲に、これらの周方向で互いに異なる位置に配置される複数のガスバーナーと、複数の前記ガスバーナーを接続して一体化させるとともに、それぞれの前記ガスバーナーに燃料を供給するための流路を形成する配管部材と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
一実施形態によれば、金属射出成形機に用いられるスクリュ等に固着している金属材料を短時間で確実に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】金属射出成形機の一例を模式的に示す断面図である。
【
図2】一実施形態のメンテナンス装置の斜視図である。
【
図3】一実施形態のメンテナンス装置の他の斜視図である。
【
図4】一実施形態のメンテナンス装置に設けられている支持機構を示す部分拡大図である。
【
図5】(A)は、
図4に示される支持機構の構造を模式的に示す正面図である。(B)は、
図4に示される支持機構の構造を模式的に示す断面図である。
【
図6】メンテナンス装置の一変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態のメンテナンス装置について図面を参照しながら詳細に説明する。尚、実施形態を説明するために参照する全ての図面において、同一又は実質的に同一の機能を有する部材や機器などには同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0011】
<金属射出成形機>
図1は、金属射出成形機の一例を模式的に示す断面図である。図示されている金属射出成形機1は、型締装置2と射出装置3とから構成されている。型締装置2には金型11,12がセットされる。型締装置2は、セットされた金型11,12を開閉させる。射出装置3は、供給された合金チップを溶解させて溶融状態または半溶融状態にする。別の見方をすると、射出装置3は、溶融状態または半溶融状態の合金(溶融金属)を作る。さらに、射出装置3は、溶融金属を型締装置2にセットされている金型11,12に供給する。より特定的には、射出装置3は、溶融金属を射出して金型11,12のキャビティ13内に注入(充填)する。
【0012】
<型締装置>
型締装置2は、対向する固定盤14および可動盤15を備えている。固定盤14には金型11がセットされ、可動盤15には金型12がセットされている。可動盤15は、固定盤14と可動盤15との対向方向に移動可能である。別の見方をすると、可動盤15は、固定盤14に近接する方向に移動可能であり、固定盤14から離反する方向にも移動可能である。
【0013】
可動盤15が固定盤14に近接すると、可動盤15にセットされている金型12が固定盤14にセットされている金型11に当接し、金型11,12が閉じられる。金型11,12が閉じられると、金型11と金型12との間に、キャビティ13およびランナー16が形成される。一方、可動盤15が固定盤14から離反すると、可動盤15にセットされている金型12が固定盤14にセットされている金型11から離れ、金型11,12が開かれる。
【0014】
なお、型締装置2は、キャビティ13から成形品を押し出す複数本のエジェクタピン17を備えている。また、型締装置2は、射出ノズル40の先端に形成されることがある溶融金属の塊(プラグ)を受け止めるプラグキャッチャー18を備えている。
【0015】
<射出装置>
射出装置3は、不図示の基台の上に設置されている。射出装置3は、シリンダ30,射出ノズル40,スクリュ50等から構成されている。射出装置3は、型締装置2に近接する方向(前方)に駆動されるとともに、型締装置2から離反する方向(後方)にも駆動される。つまり、射出装置3は、型締装置2に対して前進及び後進(後退)する。射出装置3が所定位置まで前進すると、射出ノズル40の先端が金型11のスプルーブッシュに接触する。
【0016】
シリンダ30の後端側にはホッパ31が設けられている。ホッパ31は、シリンダ30に合金チップを供給するための供給口である。ホッパ31は、ホッパフランジ32を介してシリンダ30に固定されている。ホッパフランジ32の内部には、ホッパ31とシリンダ30とに連通する供給路が設けられている。ホッパ31に投入された合金チップは、供給路を介してシリンダ30内に落下する。
【0017】
シリンダ30の先端には射出ノズル40が装着されている。射出ノズル40は、シリンダ30の先端に押し付けられている。より特定的には、シリンダ30にボルト締めされている環状の押え金41によって、射出ノズル40の後端面がシリンダ30の先端面に押し付けられている。別の見方をすると、射出ノズル40の鍔部が、シリンダ30と押え金41との間に挟まれている。
【0018】
シリンダ30の内部にはスクリュ50が設けられている。スクリュ50は、駆動機構51によってシリンダ30内で駆動される。より特定的には、スクリュ50は、シリンダ30内で回転駆動される。また、スクリュ50は、シリンダ30内で前方に向かって直進駆動される。
【0019】
シリンダ30の周囲にはヒータが設けられている。より特定的には、複数のバンドヒータ33がシリンダ30の外周面に巻き付けられている。シリンダ30に供給された合金チップは、バンドヒータ33から発せられる熱と、スクリュ50の回転に伴って生じる剪断発熱とによって加熱されつつ混練される。この結果、溶融状態または半溶融状態の合金(溶融金属)が作られる。
【0020】
<金属成形品の製造方法>
次に、
図1に示されている金属射出成形機1を用いて金属成形品を製造する手順(プロセス)の一例について説明する。まず、型締装置2にセットされている金型11,12を開き、射出装置3を後退させる。
【0021】
然る後、射出装置3のホッパ31に合金チップを投入する。例えば、ペレット状に加工されたマグネシウム合金をホッパ31に投入する。もっとも、射出装置3を後退させる前にホッパ31に合金チップを予め投入しておいてもよい。
【0022】
ホッパ31に投入された合金チップは、供給路を介してシリンダ30に供給される。シリンダ30に供給された合金チップは、加熱されつつ混練されて溶解する。別の見方をすると、合金チップは、シリンダ30内で溶融状態または半溶融状態に相変化し、溶融金属となる。
【0023】
溶融金属は、スクリュ50の回転によってシリンダ30の先端側に送られつつ、さらに混練される。このとき、スクリュ50は、回転しながら後退する。この結果、スクリュ50の前方に貯留室が形成され、その貯留室に溶融金属が溜められる。溶融金属を前方に送りつつスクリュ50を後退させるこの工程は“計量”と呼ばれる。
【0024】
所定量の溶融金属が貯留室に溜まったらスクリュ50の回転を停止させる。その後、射出装置3を前進させ、射出ノズル40の先端を金型11(金型11,12は予め閉じられている)のスプルーブッシュに接触させる。
【0025】
次に、スクリュ50を高速で前進させる。すると、貯留室に溜められていた溶融金属が射出ノズル40の先端から金型11,12に向けて射出される。射出された溶融金属は、ランナー16を通過してキャビティ13内に流入する。
【0026】
その後、スクリュ50を再び回転させて次の射出に備える。具体的には、スクリュ50を回転させるとともに、シリンダ30内に合金チップを供給する。つまり、次に射出する溶融金属を貯留室に溜める。
【0027】
キャビティ13内の溶融金属が凝固する温度以下の温度まで金型11,12が冷却された後、金型11,12を開いて金属成形品を取り出す。例えば、金型11,12を開いた後にエジェクタピン17を駆動し、金属成形品を金型12から押し出す。
【0028】
上記プロセスを繰り返すことで、同一形状の金属成形品が連続的に製造される。つまり、所望形状の金属成形品が量産される。
【0029】
上記のようにして金属成形品を量産する金属射出成形機1は、定期的に、又は必要に応じてメンテンナンスを行う必要がある。例えば、上記プロセスを繰り返していると、射出ノズル40の内側に溶融金属が残存し、凝固することがある。また、スクリュ50の表面に溶融金属が付着し、凝固することがある。つまり、射出ノズル40の内側に金属材料が固着したり、スクリュ50の表面に金属材料が固着したりすることがある。
【0030】
射出ノズル40の内側に金属材料が固着すると、流路(ノズル孔)が狭められたり、塞がれたりする恐れがある。また、スクリュ50の表面に金属材料が固着すると、搬送能力が低下する恐れがある。射出ノズル40の詰まりや、スクリュ50の搬送能力の低下は、射出量の不足(ショートショット)の一因となる。
【0031】
また、ピストンリング等の消耗部品を交換する際にはスクリュ50を分解する必要がある。より特定的には、スクリュヘッドをスクリュ本体から取り外す必要がある。このとき、スクリュ50の表面に固着している金属材料が分解の妨げとなる場合がある。
【0032】
上記のような理由から、射出ノズル内やスクリュ表面に固着した金属材料を溶解させて除去する必要がある。
【0033】
<メンテナンス装置>
図2,
図3は、金属射出成形機1のメンテナンスに用いられるメンテナンス装置の斜視図である。メンテナンス装置60は、金属射出成形機1のメンテナンス作業の1つである金属材料の除去作業に用いられる。より特定的には、メンテナンス装置60は、射出ノズル40の内側やスクリュ50の表面などに固着している金属材料を溶解させて除去する作業に用いられる。
【0034】
メンテナンス装置60は、バーナー組立体70や支持台80などから構成されている。バーナー組立体70は、支持台80によって、射出ノズル40やスクリュ50に対して変位可能に支持されている。より特定的には、バーナー組立体70は、少なくとも上下動可能および回転可能に支持されている。例えば、バーナー組立体70は、
図2に示されている状態(垂直状態)と、
図3に示されている状態(水平状態)との間で回転可能である。また、バーナー組立体70は、垂直状態で上下動可能(昇降可能)であるとともに、水平状態でも上下動可能(昇降可能)である。
【0035】
別の見方をすると、
図2に示されている状態がバーナー組立体70の垂直状態であり、
図3に示されている状態がバーナー組立体70の水平状態である。また、垂直状態は、水平状態に対して90°又は略90°回転した状態(起立状態)である。言い換えれば、水平状態は、垂直状態に対して90°又は略90°回転した状態(倒伏状態)である。
【0036】
垂直状態のバーナー組立体70(
図2)は、スクリュ50のメンテナンス作業(金属材料除去作業)に適しており、水平状態のバーナー組立体70(
図3)は、射出ノズル40のメンテナンス作業(金属材料除去作業)に適している。それぞれの作業の詳細については後述する。
【0037】
<バーナー組立体>
バーナー組立体70は、複数のガスバーナー71を含んでいる。より特定的には、バーナー組立体70は、4つのガスバーナー71a,71b,71c,71dを含んでいる。それらガスバーナー71a,71b,71c,71dは、配管部材72によって互いに接続され、一体化されている。
【0038】
配管部材72は、スクリュ50又は射出ノズル40を取り囲むように配置可能な環状配管73と、環状配管73に接続されている直線配管74と、を含んでいる。環状配管73と直線配管74とは互いに連通しており、それぞれのガスバーナー71に燃料を供給するための流路を形成する。燃料は、供給源(例えば、ガスボンベ)から直線配管74を通って環状配管73に流入し、環状配管73を介して各ガスバーナー71に供給される。
【0039】
つまり、配管部材72は、複数のガスバーナー71を一体化させるフレーム部材(支持部材)であると同時に、複数のガスバーナー71に燃料を供給する流路を形成する流路形成部材でもある。
【0040】
なお、ガスバーナー71に供給される燃料(ガス)は、特定のガスに限られない。ガスバーナー71に供給され得るガスの一例として、アセチレンガスやプロパンガスが挙げられる。また、アセチレンガスやプロパンガスに酸素が混合された混合ガスもガスバーナー71に供給され得るガスの一例である。
【0041】
環状配管73は、多角形の外形を有している。より特定的には、環状配管73は、全体として略八角形の外形を有している。直線配管74は、環状配管73の一辺と直交しており、当該一辺に接続されている。
【0042】
以下の説明では、直線配管74が接続されている環状配管73の一辺を“接続部73a”と呼んで他の部分と区別する場合がある。また、接続部73aと対向する接続部73aと平行な環状配管73の一辺を“保持部73b”と呼んで他の部分と区別する場合がある。もっとも、かかる区別は説明の便宜上の区別に過ぎない。
【0043】
ガスバーナー71a,71b,71c,71dは、環状配管73に沿って均等に配置されている。言い換えれば、ガスバーナー71a,71b,71c,71dは、環状配管73上に等間隔(90°間隔)で設けられている。
【0044】
別の見方をすると、ガスバーナー71aは、接続部73aの一端から延びる傾斜部に接続され、ガスバーナー71bは、接続部73aの他端から延びる傾斜部に接続されている。また、ガスバーナー71cは、保持部73bの一端から延びる傾斜部に接続され、ガスバーナー71dは、保持部73bの他端から延びる傾斜部に接続されている。
【0045】
それぞれのガスバーナー71は、環状配管73の中央または略中央を向いている。この結果、ガスバーナー71aとガスバーナー71cとは、対向または実質的に対向している。また、ガスバーナー71bとガスバーナー71dとは、対向または実質的に対向している。
【0046】
環状配管73の中央または略中央にスクリュ50や射出ノズル40が差し入れられると、スクリュ50や射出ノズル40の周囲に、これらの周方向で互いに異なる位置に複数のガスバーナー71が配置される。より特定的には、4つのガスバーナー71a,71b,71c,71dがスクリュ50や射出ノズル40の周囲に、これらの周方向において均等に配置される。
【0047】
<支持台>
支持台80は、底部81と、底部81の両側に設けられた一対の側壁部82,83と、を有する。側壁部82および側壁部83は、バーナー組立体70を挟んで対向している。底部81の四隅には、それぞれ車輪84が設けられている。よって、作業者は、バーナー組立体70を支持している支持台80を容易に移動させることができる。つまり、作業者は、メンテナンス装置60を容易に移動させることができる。
【0048】
別の見方をすると、作業者は、バーナー組立体70を支持している支持台80を移動させることにより、スクリュ50や射出ノズル40に対してバーナー組立体70を変位させることができる。
【0049】
<支持機構>
支持台80には、バーナー組立体70をスクリュ50や射出ノズル40に対して変位可能に支持する支持機構91,92が設けられている。より特定的には、支持機構91,92は、バーナー組立体70を上下動可能および回転可能に支持する。以下の説明では、支持機構91を“右側支持機構91”と呼び、支持機構92を“左側支持機構92”と呼ぶ場合がある。
【0050】
図4は、左側支持機構92を示す部分拡大図である。
図5(A)は、左側支持機構92の構造を模式的に示す正面図である。
図5(B)は、左側支持機構92の構造を模式的に示す断面図である。なお、
図5(B)には、
図5(A)中のX-X線に沿う断面が示されている。
【0051】
右側支持機構91は、側壁部82に形成されているスリット82aの内側に設けられている。一方、左側支持機構92は、側壁部83に形成されているスリット83aの内側に設けられている。もっとも、右側支持機構91および左側支持機構92は、共通の基本構造を備えている。具体的には、右側支持機構91および左側支持機構92は、角型の外側パイプ93および内側パイプ94からなる二重構造を備えている。
【0052】
図2,
図3に示されるように、右側支持機構91の外側パイプ93は、側壁部82のスリット82aの内側に配置され、底部81および側壁部82に固定されている。さらに、内側パイプ94は、外側パイプ93に挿入されており、長手方向(上下方向)に移動可能である。
【0053】
図4に示されるように、左側支持機構92の外側パイプ93は、側壁部83のスリット83aの内側に配置され、底部81および側壁部83に固定されている。また、内側パイプ94は、外側パイプ93に挿入されており、長手方向(上下方向)に移動可能である。
【0054】
それぞれの内側パイプ94の上端には、受け溝94aが設けられている。そして、右側支持機構91の内側パイプ94が備える受け溝94aには、配管部材72の直線配管74が遊嵌され、支持されている。
【0055】
一方、左側支持機構92の内側パイプ94が備える受け溝94aには、バーナー組立体70に装着されている保持部材75のロッド75aが遊嵌され、支持されている。保持部材75は、配管部材72(環状配管73)の保持部73b上の、ロッド75aが直線配管74と同軸となる位置に装着されている。
【0056】
別の見方をすると、バーナー組立体70の両側には、支持機構91,92によって支持される支持シャフトがそれぞれ設けられている。より特定的には、バーナー組立体70の一側には、右側支持機構91の内側パイプ94によって下方から支持される支持シャフト(配管部材72の直線配管74)が設けられている。また、バーナー組立体70の他側には、左側支持機構92の内側パイプ94によって下方から支持される支持シャフト(保持部材75のロッド75a)が設けられている。
【0057】
したがって、内側パイプ94の外側パイプ93に対する突出長が変化すると、バーナー組立体70の高さが変化する。具体的には、内側パイプ94の外側パイプ93に対する突出長が増加すると、バーナー組立体70が上昇する。一方、内側パイプ94の外側パイプ93に対する突出長が減少すると、バーナー組立体70が降下する。つまり、バーナー組立体70が上下動する。
【0058】
<高さ調整機構>
左側支持機構92は、バーナー組立体70の高さを調整可能とする高さ調整機構95を含んでいる。
図4,
図5を参照する。高さ調整機構95は、外側パイプ93に形成された長孔95aと、長孔95aを通して内側パイプ94にねじ結合されたねじ軸95bと、ねじ軸95bの基端(根元)に装着された高さ調整レバー95cと、から構成されている。
【0059】
長孔95aから突出しているねじ軸95bの基端側は、スリット83aを通して側壁部83の外側に突出している。一方、ねじ軸95bの基端に装着されている高さ調整レバー95cは、長孔95aを通過不能な寸法および形状を有している。
【0060】
したがって、高さ調整レバー95cを使ってねじ軸95bを右回りに回転させると、内側パイプ94の外面が外側パイプ93の内面に押し付けられ、内側パイプ94が外側パイプ93に一時的に固定される。一方、高さ調整レバー95cを使ってねじ軸95bを左回りに回転させると、内側パイプ94の外側パイプ93に対する押し付けが解除され、内側パイプ94の外側パイプ93に対する固定も解除される。
【0061】
この結果、ねじ軸95bを所定方向に回転させて内側パイプ94の外側パイプ93に対する固定を解除すると、内側パイプ94の外側パイプ93に対する突出長を変更することができる。つまり、バーナー組立体70を上下動させることができる。その後、ねじ軸95bを逆方向に回転させて内側パイプ94を外側パイプ93に再び固定すると、変更された突出長が維持される。つまり、バーナー組立体70が任意の高さに保持される。
【0062】
<角度調整機構>
左側支持機構92は、バーナー組立体70の角度を調整可能とする角度調整機構96をさらに含んでいる。角度調整機構96は、内側パイプ94の上部に固定されたブラケット96aと、ブラケット96aに固定されたクランプ(パイプクランプ)96bと、クランプ96bの締付ボルト96cに装着された角度調整レバー96dと、から構成されている。
【0063】
クランプ96bに、内側パイプ94の受け溝94aに遊嵌されている保持部材75のロッド75aの端部が挿入されている。クランプ96bは、締付ボルト96cが絞め込まれると内径が縮小し、締付ボルト96cが緩められると内径が拡大する。
【0064】
この結果、角度調整レバー96dを使って締付ボルト96cを締め込むと、クランプ96bが閉じてロッド75aの回転が規制される。一方、角度調整レバー96dを使って締付ボルト96cを緩めると、クランプ96bが開いてロッド75aの回転規制が解除される。
【0065】
ここで、ロッド75aおよび直線配管74がバーナー組立体70の両側に設けられた同軸の支持シャフトであることは既述のとおりである。また、それぞれの支持シャフトが受け溝94aに遊嵌されていることも既述のとおりである。したがって、ロッド75aの回転規制を解除すると、ロッド75aおよび直線配管74を回転軸としてバーナー組立体70を回転させることができる。その後、ロッド75aの回転を再び規制すると、変更された回転角度が維持される。
【0066】
なお、ロッド75aと直線配管74とは同軸であることが好ましい。一方、ロッド75aと直線配管74とが完全に同軸でなくとも、これらを支持シャフトとしてバーナー組立体70を回転可能に支持することは可能である。また、ロッド75aと直線配管74とが完全に同軸でなくとも、これらを回転軸としてバーナー組立体70を回転させることは可能である。つまり、ロッド75aと直線配管74とが同軸であることは、バーナー組立体70を回転可能に支持したり、回転させたりするための必須条件ではない。
【0067】
つまり、角度調整機構96によって、バーナー組立体70が任意の回転角度に保持される。この結果、水平状態のバーナー組立体70を垂直状態に変化させて維持をすることができる。また、垂直状態のバーナー組立体70を水平状態に変化させて維持することもできる。もちろん、バーナー組立体70の状態を垂直状態や水平状態以外の状態(回転角度)に変化させて維持することもできる。
【0068】
<メンテナンス装置の使用例1>
図2に示されるように、メンテナンス装置60は、スクリュ50に固着している金属材料の除去作業に用いられる。例えば、メンテナンス装置60は、スクリュ50のスクリュヘッド及びその周辺(先端部)に固着している金属材料の除去作業に用いられる。メンテナンス装置60を用いてスクリュ50の先端部に固着している金属材料を除去する作業の手順について説明する。
【0069】
まず、シリンダ30から取り出したスクリュ50を作業台100に載せて固定する。このとき、スクリュ50の先端部を作業台100の前方に突出させる。
【0070】
次いで、作業台100の前にメンテナンス装置60を設置し、スクリュ50の先端部を垂直状態のバーナー組立体70(環状配管73)の内側に差し入れる。言い換えれば、スクリュ50の先端部を環状配管73で取り囲む。
【0071】
その後、スクリュ50の先端部が環状配管73の中央または略中央に配置されるように、スクリュ50に対してバーナー組立体70を変位させる。つまり、バーナー組立体70の位置を調整する。より特定的には、支持台80を前後左右に動かしたり、バーナー組立体70を上下に動かしたりする。もっとも、作業台100の前にメンテナンス装置60を設置する前に、バーナー組立体70の高さを予め調整しておいてもよい。
【0072】
然る後、4つのガスバーナー71に点火し、スクリュ50の先端部に固着している金属材料を加熱する。より特定的には、スクリュ50の先端部表面に固着している金属材料をその融点や融点前後の温度に加熱する。例えば、実験結果や経験などに基づいて予め定められている火力で予め定められている時間だけ金属材料を加熱する。
【0073】
なお、スクリュ50の先端部や金属材料の表面温度を温度センサによって測定し、測定結果に基づいてガスバーナー71の火力や燃焼時間(加熱時間)などを調整してもよい。温度センサを用いることにより、加熱温度や加熱時間をより高い精度で管理することができる。
【0074】
支持台80の底部81には、消化砂が入れられた受け皿85が設置されている。ガスバーナー71による加熱で溶解した金属材料は、自重によってスクリュ50から垂れ落ちる。スクリュ50から垂れ落ちた金属材料は、受け皿85内に落下して回収される。
【0075】
スクリュ50の先端部が環状配管73の中央または略中央に配置されると、4つのガスバーナー71がスクリュ50の先端部の周囲に、スクリュ50の周方向において均等に配置される。したがって、スクリュ50の先端部が異なる4方向から同時に加熱される。
【0076】
別の見方をすると、スクリュ50を回転させたり、ガスバーナー71を動かしたりしなくとも、スクリュ50の全周を均一に加熱することができる。この結果、スクリュ50の先端部に固着している金属材料を短時間で確実に溶解させることができる。
【0077】
なお、溶解した金属材料の一部が作業中に飛散することがある。しかし、バーナー組立体70の両側には支持台80の側壁部82,83が存在している。よって、飛散した金属材料は、側壁部82,83によって受け止められ、側壁部82,83の外(メンテナンス装置60の周囲)に飛散することはない。別の見方をすると、支持台80の側壁部82,83は、周囲への金属材料の飛散を防止するカバー(飛散防止カバー)としての役割を有する。
【0078】
バーナー組立体70の前方や上方には、飛散した金属材料を受け止める壁やカバー等は設けられていない。しかし、飛散した金属材料を受け止める壁やカバー等をバーナー組立体70の前方や上方に設けてもよい。
【0079】
もっとも、作業中に飛散する金属材料の量は僅かであり、その勢いも強くはない。一方、バーナー組立体70の前方や上方に壁やカバー等が設けられていると、作業性が悪くなる虞がある。例えば、バーナー組立体70の前方や上方に設けられている壁やカバー等がバーナー組立体70の高さ調整の妨げになる虞がある。そこで、本実施形態では、作業性を優先し、バーナー組立体70の前方や上方には壁やカバー等を設けていない。
【0080】
<メンテナンス装置の使用例2>
図3に示されるように、メンテナンス装置60は、射出ノズル40に固着している金属材料の除去作業にも用いられる。例えば、メンテナンス装置60は、射出ノズル40内(ノズル孔内)に固着している金属材料の除去作業にも用いられる。メンテナンス装置60を用いて射出ノズル40内に固着している金属材料を除去する作業の手順について説明する。
【0081】
まず、メンテナンス装置60を任意の場所に設置する。その後、シリンダ30から取り外した射出ノズル40を受け皿85の中央または略中央に立てる。より特定的には、受け皿85の中央または略中央に積んだ複数の耐火レンガ86の上に射出ノズル40を立てる。もっとも、耐火レンガ86は、高さ調整とクリアランス確保のために用いられているに過ぎない。よって、高さ調整やクリアランス確保が不要な場合には、耐火レンガ86を省略してもよい。また、耐火レンガ86とは異なる部材によって高さ調整やクリアランス確保を実現してもよい。
【0082】
次いで、射出ノズル40を水平状態のバーナー組立体70(環状配管73)の内側に差し入れる。具体的には、射出ノズル40の配置作業の邪魔にならない高さに退避させておいた水平状態のバーナー組立体70を射出ノズル40の周囲に下げ、射出ノズル40を環状配管73で取り囲む。なお、バーナー組立体70の退避位置での保持や、退避位置からの降下に高さ調整機構95が利用されることはもちろんである。
【0083】
然る後、4つのガスバーナー71に点火し、射出ノズル40を加熱する。すると、射出ノズル40内の金属材料が溶解する。溶解した金属材料は、自重によって射出ノズル40内から流出し、受け皿85内に落下する。
【0084】
ここで、バーナー組立体70を水平状態にすると、受け皿85の中心の真上または略真上に、環状配管73の中心が位置する。よって、水平状態のバーナー組立体70を退避位置から射出ノズル40の周囲に下げると、射出ノズル40が環状配管73の中央または略中央に配置される。この結果、4つのガスバーナー71が、射出ノズル40の周囲に射出ノズル40の周方向において均等に配置される。したがって、射出ノズル40が異なる4方向から同時に加熱される。
【0085】
別の見方をすると、射出ノズル40を回転させたり、ガスバーナー71を動かしたりしなくとも、射出ノズル40の全周を均一に加熱することができる。この結果、射出ノズル40内に固着している金属材料を短時間で確実に溶解させることができる。
【0086】
以上のように、本実施形態のメンテナンス装置60は、スクリュ50又は射出ノズル40の周囲に、これらの周方向で互いに異なる位置に配置される複数のガスバーナー71を備えている。よって、スクリュ50や射出ノズル40を異なる2以上の方向から同時に加熱することができる。この結果、スクリュ表面や射出ノズル内に固着している金属材料を短時間で確実に除去することができる。
【0087】
さらに、本実施形態のメンテナンス装置60は、スクリュ50の加熱に適した垂直状態と射出ノズル40の加熱に適した水平状態との間で回転可能なバーナー組立体70を備えている。つまり、メンテナンス装置60は、スクリュ表面の金属材料の除去作業および射出ノズル内の金属材料の除去作業の両方に一台で対応可能である。
【0088】
もっとも、バーナー組立体70を垂直状態にしなければスクリュ50を加熱することができないわけではない。また、バーナー組立体70を水平状態にしなければ射出ノズル40を加熱できないわけでもない。例えば、射出ノズル40を
図2に示されている作業台100の上に、同時に示されているスクリュ50と同様に配置し、垂直状態のバーナー組立体70によって加熱してもよい。この場合、溶解した金属材料が射出ノズル40から円滑に流出するように、射出ノズル40を少し傾けることが好ましい。
【0089】
図6は、メンテナンス装置60の一変形例を示すブロック図である。メンテナンス装置60には、ガスバーナー71によって加熱される加熱対象(スクリュ50や射出ノズル40、これらに固着している金属材料など)の温度を測定可能な温度センサ97と、温度センサ97の測定結果に基づいてガスバーナー71を制御可能な制御部98と、を追加することができる。制御部98は、例えば、温度センサ97の測定結果に基づいてガスバーナー71の火力と燃焼時間(加熱時間)との少なくとも一方を自動的に制御する。より特定的には、制御部98は、温度センサ97の測定結果に基づいて、ガスバーナー71の火力を弱めたり、強めたりする。また、制御部98は、温度センサ97の測定結果に基づいて、ガスバーナー71への燃料供給を遮断する。ガスバーナー71の火力調整は、例えば、燃料の供給圧力を増減させることによって実現される。
【0090】
メンテナンス装置60には、音,光,メッセージ等の警報を発する報知部99aを設けることもできる。報知部99aは、例えば、温度センサ97の測定結果が閾値を上回ると警報を発する。閾値は、例えば、過熱によるスクリュ50や射出ノズル40の劣化を防止し得る温度に設定される。図示されている報知部99aは制御部98の制御に従って動作するが、制御部98から独立させてもよい。この場合、温度センサ97の出力が直接に報知部99aに入力される。
【0091】
さらに、メンテナンス装置60には、温度センサ97の測定結果を表示する表示部99bを設けることもできる。表示部99bを設けることにより、制御部98による自動制御の下で加熱が行われている最中に、加熱状態(温度や温度変化など)を随時確認することができる。また、温度センサ97の測定結果を確認しながらガスバーナー71の火力や燃焼時間を手動で調整することもできる。
【0092】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0093】
例えば、ガスバーナー組立体は、スクリュや射出ノズルを異なる2方向以上から同時に加熱するために必要な数のガスバーナーを備えていればよい。別の見方をすると、ガスバーナー組立体は、少なくとも2つのガスバーナーを備えていればよく、ガスバーナーの数は4つに限られない。
【0094】
また、ガスバーナー組立体が備える複数のガスバーナーの全部または一部は、スクリュ又は射出ノズルの周方向において不均等に配置されていてもよい。但し、ガスバーナーの位置は、スクリュ等から垂れ落ちた金属材料がかかることのない位置が望ましい。
【0095】
環状配管の外形は、円形や楕円形でもよく、三角形,四角形,六角形などの八角形以外の多角形であってもよい。
【0096】
上記実施形態では、直線配管がガスバーナー組立体の一方の支持シャフトを兼ねていた。しかし、直線配管とは別に支持シャフトを設けてもよい。この場合、直線配管は、チューブやホース等の可撓性のある管部材に置換することができる。また、環状配管と支持シャフトを兼ねる直線配管とを回転継手によって接続してもよい。
【0097】
高さ調整機構は、吊り下げ式やラック・アンド・ピニオン式に置換することもできる。例えば、バーナー組立体をワイヤによって昇降可能に吊り下げてもよい。この場合、リールやプーリにワイヤを巻きと取ると、バーナー組立体が上昇する。一方、リールやプーリからワイヤを繰り出すと、バーナー組立体が降下する。
【0098】
メンテナンス装置を用いたメンテナンスの対象となる金属射出成形機で処理される合金はマグネシウム合金に限られない。つまり、メンテナンス装置は、他の合金を処理する金属射出成形機に用いられるスクリュや射出ノズルに固着した金属材料の除去作業に用いることもできる。
【符号の説明】
【0099】
1 金属射出成形機
2 型締装置
3 射出装置
11,12 金型
13 キャビティ
14 固定盤
15 可動盤
16 ランナー
17 エジェクタピン
18 プラグキャッチャー
30 シリンダ
31 ホッパ
32 ホッパフランジ
33 バンドヒータ
40 射出ノズル
41 押え金
50 スクリュ
51 駆動機構
60 メンテナンス装置
70 バーナー組立体
71,71a,71b,71c,71d ガスバーナー
72 配管部材
73 環状配管
73a 接続部
73b 保持部
74 直線配管
75 保持部材
75a ロッド
80 支持台
81 底部
82,83 側壁部
82a,83a スリット
84 車輪
85 受け皿
86 耐火レンガ
91 支持機構(右側支持機構)
92 支持機構(左側支持機構)
93 外側パイプ
94 内側パイプ
94a 受け溝
95 高さ調整機構
95a 長孔
95b ねじ軸
95c 高さ調整レバー
96 角度調整機構
96a ブラケット
96b クランプ
96c 締付ボルト
96d 角度調整レバー
97 温度センサ
98 制御部
99a 報知部
99b 表示部
100 作業台