(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096723
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】建物用庇
(51)【国際特許分類】
E04B 7/02 20060101AFI20230630BHJP
E04F 10/08 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
E04B7/02 501A
E04F10/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212662
(22)【出願日】2021-12-27
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000250432
【氏名又は名称】理研軽金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100157912
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 健
(74)【代理人】
【識別番号】100074918
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】高柳 岳
【テーマコード(参考)】
2E105
【Fターム(参考)】
2E105FF02
2E105GG03
(57)【要約】
【課題】雨樋の部品交換作業を、一人でも容易に行うことができる建物用庇を提供する。
【解決手段】建物躯体に取り付けられたベースフレーム20と、前記ベースフレーム20に支持された庇板11と、前記庇板11よりも下方に配置されて幅方向Wに延びる横樋36と、を備える。前記庇板11が突出する水平方向を前方、前記庇板11から見て建物躯体側を後方としたときに、前記庇板11は、前方に行くにしたがって上方へ傾斜するように前記ベースフレーム20によって支持されており、前記横樋36は、前方から後方にスライドさせて前記ベースフレーム20に係合可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物躯体に取り付けられたベースフレームと、
前記ベースフレームに支持された庇板と、
前記庇板よりも下方に配置されて幅方向に延びる横樋と、
を備え、
前記庇板が突出する水平方向を前方、前記庇板から見て建物躯体側を後方としたときに、
前記庇板は、前方に行くにしたがって上方へ傾斜するように前記ベースフレームによって支持されており、
前記横樋は、前方から後方にスライドさせて前記ベースフレームに係合可能である、
建物用庇。
【請求項2】
前記横樋は、留具を前方から取り付けることで固定されており、
前記横樋に設けられた前記留具の取付面は、斜め下方を向くように傾斜している、
請求項1に記載の建物用庇。
【請求項3】
前記取付面を覆う横樋カバーを備え、
前記横樋カバーは、上端を引っ掛けて下端を回動させることで前記横樋に取り付け可能である、
請求項2に記載の建物用庇。
【請求項4】
前記横樋の幅は、前記ベースフレームの幅よりも大きい、
請求項1~3のいずれか1項に記載の建物用庇。
【請求項5】
前記横樋は複数の樋部材からなり、
前記複数の樋部材は、目地部を挟持するように取り付けられる内ジョイント材と外ジョイント材とを介して連結されている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の建物用庇。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建物の軒先などに取り付けられる建物用庇に関し、特に、前方に行くにしたがって次第に上方へ傾斜する、いわゆる逆勾配の建物用庇に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の庇として、例えば特許文献1のようなものが提案されている。この庇は、建物の外壁面より庇板が前方へ張り出すように庇板の基端部が保持具により保持されて成る。保持具は、建物の外壁面に固着される縦板部と一体に庇板の基端部の下面を全幅にわたって支持する横板部を備えた保持枠材と、保持枠材の縦板部の後面と建物の外壁面とに前後の各面が接するように介装され庇板が後下がりに傾斜するように縦板部を鉛直面に対して傾けるくさび板と、くさび板の下端に連設され保持枠材の横板部の下方に位置させる雨樋とを有する。保持枠材の横板部には雨樋内に連通する排水孔が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した特許文献1記載の構成は、雨樋がくさび板と一体的に設けられており、保持枠材を取り外さないとくさび板および雨樋を交換できないため、雨樋のみを交換することができないという問題があった。また、くさび板を固定しているネジが破損すると、雨樋が下方に抜けて脱落するおそれがあった。
そこで、本発明は、雨樋の取付作業や部品交換作業を、一人でも容易に行うことができる建物用庇を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決するため、本発明は、建物躯体に取り付けられたベースフレームと、前記ベースフレームに支持された庇板と、前記庇板よりも下方に配置されて幅方向に延びる横樋と、を備え、前記庇板が突出する水平方向を前方、前記庇板から見て建物躯体側を後方としたときに、前記庇板は、前方に行くにしたがって上方へ傾斜するように前記ベースフレームによって支持されており、前記横樋は、前方から後方にスライドさせて前記ベースフレームに係合可能に構成されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明は上記の通りであり、横樋は、前方から後方にスライドさせてベースフレームに係合可能であるため、横樋の取付作業や交換作業を、一人でも容易に行うことができる。すなわち、横樋を取り付けるときには、前方から後方にスライドさせて横樋を仮止めすることができ、取付作業が容易に行える。また、横樋を取り外すときにも、横樋を前方にスライドさせれば取り外せるので、横樋のみを容易に交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】(a)中間庇材の正面図、(b)左庇材の正面図、(c)右庇材の正面図である。
【
図4】回動受部に回動軸部を載置して庇材を接合する場合の手順を示す図である。
【
図5】案内溝に回動受部を挿入して庇材を接合する場合の手順を示す図である。
【
図9】(a)ベースフレームの側面図、(b)横樋ブラケットの側面図である。
【
図10】ドレン部を取り付ける様子を示す図である。
【
図14】(a)横樋の断面図、(b)横樋カバーの断面図である。
【
図15】横樋を取り付ける様子を示す図であって、(a)横樋を取り付ける前の図、(b)横樋を仮止めした状態の図である。
【
図16】横樋に横樋カバーを取り付ける様子を示す図であって、(a)横樋カバーを引っ掛けた状態の図、(b)横樋カバーの取り付けが完了した状態の図である。
【
図17】複数の樋部材を連結する様子を示す図である。
【
図18】複数の樋部材を連結した状態を示す図であって、(a)外観図、(b)断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、庇板11が突出する水平方向を前方、庇板11から見て建物躯体側(前方の反対方向)を後方とする。また、この前後方向を建物用庇10の奥行き方向Dとし、奥行き方向Dに直交する水平方向を幅方向Wとする。また、鉛直方向を高さ方向H(上下方向)とする。
【0009】
本実施形態に係る建物用庇10は、直射日光や雨水などを遮るために建物の軒先などに取り付けられるものであり、
図1および
図2に示すように、庇板11と、ベースフレーム20と、ベースアングル21と、ベースカバー23と、ベースフタ25と、先端フレーム28と、先端カバー29と、先端フタ30と、ドレン部31と、横樋ブラケット35と、横樋36と、横樋フタ37と、横樋カバー38と、竪樋39と、を備える。
【0010】
庇板11は、複数の庇材12を幅方向Wに接合して形成されている。本実施形態においては、庇板11の左端部に使用される左庇材14と、庇板11の右端部に使用される右庇材15と、左庇材14および右庇材15の間に配置される中間庇材13と、を組み合わせて庇板11が構成されている。庇板11の横幅は、中間庇材13の数を増減させることで調節可能である。これらの3種類の庇材12は、
図3に示すような中空の長尺材であり、例えばアルミニウム製の押出形材である。これらの庇材12は、すべて同じ尺で形成され、上下の高さ寸法(厚み)もほぼ同じに設定されている。
【0011】
ベースフレーム20は、庇板11やその他の部材を支持するための部材であり、
図2に示すように、建物躯体の壁面70に取り付けられる。このベースフレーム20は、庇板11の幅と同等以上の幅を有する長尺の部材である。本実施形態に係るベースフレーム20は、
図2に示すように、予め壁面70に取り付けられた取付ボルト20aと取付ナット20bによって、建物の壁面70に固定される。このベースフレーム20の前面には庇板11が取り付けられる。本実施形態に係るベースフレーム20は、庇板11を、前方に行くにしたがって上方へ傾斜するように支持している。
【0012】
ベースアングル21は、ベースフレーム20と協働して庇材12を支持する部材である。具体的には、
図2に示すように、ベースフレーム20によって下面を支持された庇材12を、ベースアングル21によって上方から押さえ込むようになっており、ベースフレーム20とベースアングル21とで庇材12を上下両側から挟み込んで支持している。このベースアングル21は、
図7に示すように、庇材12ごとに設けられており、庇材12と同数が使用される。なお、本実施形態に係るベースアングル21は、隣り合う庇板11に跨るように設けられているため、庇板11より少ない枚数(例えば、庇板11の2枚に1枚)でもよい
【0013】
ベースカバー23は、ベースフレーム20およびベースアングル21の上面を覆うように取り付けられるカバー部材である。このベースカバー23によって、ベースフレーム20およびベースアングル21に直接雨水が降り注がないようになっている。このベースカバー23は、雨水を前方の庇材12へ流すように傾斜している。このベースカバー23の後端は、ベースカバー用ビス24によって、ベースフレーム20に固定され、前端はベースアングル21の先端と庇板11の上面との間に引っ掛けられている。
【0014】
ベースフタ25は、ベースフレーム20の側端部(小口)に取り付けられるカバー部材である。このベースフタ25は、ビス等によって、ベースフレーム20の両端部に固定されている。
【0015】
先端フレーム28は、後述する先端カバー29を庇板11に取り付けるための部材である。本実施形態に係る先端フレーム28は、断面略L字形の長尺部材である。この先端フレーム28は、庇板11の先端に先端フレーム用ビス28aによって取り付けられている。
【0016】
先端カバー29は、庇板11の先端を覆う長尺のカバー材である。この先端カバー29は、先端カバー用ビス29aによって、先端フレーム28に取り付けられている。
【0017】
先端フタ30は、先端カバー29の側端部(小口)に取り付けられるカバー部材である。この先端フタ30は、ビス等によって、先端カバー29の両端部に固定されている。
【0018】
ドレン部31は、庇板11の上面に溜まった水を下方に排出するためのものである。庇板11には、上下に貫通する取付穴12cが形成されており(
図6参照。後述する上板部40と下板部41に同一形状の取付穴12cが形成されている)、この取付穴12cにドレン部31を取り付けることで、水を庇板11の下面側に排出できるようになっている。なお、本実施形態に係る庇板11は前側が高くなるように傾斜しているため、庇板11で受けた雨水は後方に流れる。このため、
図8に示すように、ドレン部31は庇板11の後端11a付近に設けられており、庇板11の傾斜に沿って後方に流れてきた雨水を下方に排出できるようになっている。
【0019】
横樋ブラケット35は、後述する横樋36を庇板11の下面に取り付けるための部材である。この横樋ブラケット35は、後端部がベースフレーム20に係合した状態で、ビス等によって、庇板11の下面に固定されている。
【0020】
横樋36は、庇板11によって集められた雨水等を受けるためのものであり、庇板11よりも下方に配置されて幅方向Wに延びている。この横樋36は、少なくとも庇板11の幅よりも長く設定されている。
【0021】
横樋フタ37は、横樋36の側端部(小口)に取り付けられるカバー部材である。この横樋フタ37は、ビス等によって、横樋36に固定されている。この横樋フタ37には、
図1に示すように、オーバーフローを防止するためのフタ穴37aが形成されている。
【0022】
横樋カバー38は、横樋36と横樋ブラケット35との固定箇所が外側から見えないように覆うためのカバー材である。この横樋カバー38は、横樋36の前面上端に嵌め込んで取り付けられている。
【0023】
竪樋39は、横樋36によって集めた雨水を地上に排出するためのパイプである。竪樋39は、任意の場所で横樋36とT字形(または逆L字形)に接続されている。
次に、上記した庇材12の具体的な形状について、詳しく説明する。
【0024】
本実施形態に係る庇材12は、
図3に示すように、互いに平行な上板部40および下板部41を備え、この上板部40と下板部41との間は中空となっている。上板部40と下板部41の間には、上下方向に延びる複数の縦壁が設けられている。本実施形態においては、この縦壁として、左右両側に側壁部42が設けられ、側壁部42の間に中間壁部43が設けられている。
【0025】
また、これらの庇材12は、側部に第1接合部50または第2接合部60を備えている。本実施形態においては、中間庇材13は、右側部に第1接合部50を備え、左側部に第2接合部60を備える。左庇材14は、右側部に第1接合部50を備え、左側部に側端樋部68を備える。右庇材15は、右側部に側端樋部68を備え、左側部に第2接合部60を備える。隣り合う庇材12は、一方に設けられた第1接合部50と他方に設けられた第2接合部60との係合によって互いに接合される。なお、左庇材14および右庇材15に設けられた側端樋部68は、上方に向けて開口する溝であり、庇板11で受けた雨水を流すためのものである。
【0026】
第1接合部50は、
図3に示すように、側方に向けて開口する変形略コ字形の部位である。この第1接合部50は、第1接合部50を区画する側壁部42である第1側壁部52と、上板部40を延長することで第1側壁部52よりも側方に突出する第1上突出部51と、下板部41を延長することで第1側壁部52よりも側方に突出する第1下突出部53と、を備える。
第1上突出部51の先端には、回動軸部51aが形成されている。回動軸部51aは、少なくとも下面が曲面(望ましくは半円柱状の曲面)で形成されている。
【0027】
また、第1側壁部52の上端には、上板部40の下面に連続するように、弧状部52aが設けられている。弧状部52aは、回動軸部51aの周面に沿った円弧状で形成されている。このような構成により、回動軸部51aと弧状部52aとの間に円弧状の案内溝52bが形成され、この案内溝52bの上方に回動軸部51aが配置されている。
【0028】
また、第1側壁部52は、上記した案内溝52b(弧状部52a)の下方に、ほぼ垂直下方に延びる直線部52dが接続されている。また、この直線部52dの下方には、傾斜部52cが接続されている。この傾斜部52cは、下方に行くに従って内側(第1接合部50の開口方向とは反対側)に傾斜している。
【0029】
第1下突出部53は、下板部41に連続する平板部53aと、平板部53aの端部から上方に延設された立ち上がり部53bと、立ち上がり部53bの上端から斜め上方に延設された円弧状の湾曲片53cと、を備える。湾曲片53cは、回動軸部51aよりも下方において、回動軸部51aを中心とした円弧状に形成されている。なお、湾曲片53cは、完全に回動軸部51aを中心とした円弧状でなくてもよく、回動軸部51aの外周に沿った形状であればよい。
【0030】
なお、上記した第1側壁部52と第1下突出部53で囲まれた空間は、上向きに開口した溝状となっており、接合した目地から浸入する水を受けるための中間樋部54を形成している。この中間樋部54によって、庇材12の長手方向に水を流すことができる。本実施形態においては、第1側壁部52の一部が斜めに形成されている(傾斜部52cを備える)ため、中間樋部54の容積(樋で受けられる水の最大容積)が大きく確保されている。また、湾曲片53cが、側方に弧を描きながら突出しているため、更に中間樋部54の容積が大きく確保されている。
【0031】
次に、この第1接合部50に接合される第2接合部60について説明する。第2接合部60も、
図3に示すように、側方に向けて開口する変形略コ字形の部位である。この第2接合部60は、第2接合部60を区画する側壁部42である第2側壁部62と、上板部40を延長することで第2側壁部62よりも側方に突出する第2上突出部61と、下板部41を延長することで第2側壁部62よりも側方に突出する第2下突出部63と、を備える。
【0032】
第2上突出部61の先端には、回動受部61aが形成されている。回動受部61aは、上方に向けて開口する円弧状の内周面を有する。この回動受部61aは、第1接合部50の回動軸部51aを下から支持可能である。この回動受部61aは、載置された回動軸部51aを回動可能に支持することができる。また、この回動受部61aは、第1接合部50の案内溝52bに挿入可能である。案内溝52bは、回動受部61aと同様の円弧状であるため、挿入された回動受部61aを回動可能に支持することができる。このような構成により、第1接合部50と第2接合部60とを互いに回動させて容易に庇材12を接合することができる。この接合方法は後ほど詳述する。
【0033】
また、第2側壁部62は、第1接合部50の湾曲片53cの先端が挿入される支持溝62aを備える。第1接合部50と第2接合部60とを接合したときに湾曲片53cが支持溝62aの内部に挿入されることで、上下左右方向の負荷を受けることができるので、接合部の強度を高めることができる。言い換えると、案内溝52bに挿入された回動受部61aと、支持溝62aに挿入された湾曲片53cとの2点で支持しているため、上下左右方向の負荷に対して補強することができる。また、
図4(d)および
図5(d)に示すように、中間樋部54の先端にラビリンス形状が形成されるため、水が庇材12の下面に漏れにくくなっている。なお、この支持溝62aは、湾曲片53cの厚みよりもやや幅広に形成されており、湾曲片53cが支持溝62aの内部に緩嵌されるようになっている。言い換えると、湾曲片53cは、周囲に隙間が生じるように支持溝62aに挿入される。この支持溝62aと湾曲片53cとは、第1接合部50と第2接合部60とを回動させて接合するときに、互いに接触しないように形成されていることが望ましい。このように湾曲片53cと支持溝62aとを緩嵌することで、庇材12を接合したり外したりするときに力が要らず、作業を容易に行うことができる。
【0034】
また、第2下突出部63の先端には、上方に屈折した立設部63aが形成されている。この立設部63aは、第1接合部50と第2接合部60とを接合したときに、立ち上がり部53bに当接する。この立設部63aが立ち上がり部53bに当接することで、隣り合う庇材12が互いにフラットな状態で支持される。また、この立設部63aが形成されることで、第2側壁部62と第2下突出部63で囲まれた空間が溝形状となっており、二次樋部64を形成している。この二次樋部64は、
図4(d)および
図5(d)に示すように、中間樋部54の下方に重なるように配置され、中間樋部54の外側に漏れた水を受けることができる。この二次樋部64を設けることで、仮に湾曲片53cの裏側に水が浸入してきた場合でも、この水を受けることができる。
【0035】
上記した第1接合部50と第2接合部60とは、
図4に示すように第1接合部50を回動させて接合することができる。また、
図5に示すように第2接合部60を回動させて接合することもできる。
【0036】
第1接合部50を回動させて接合する場合、まず
図4(b)に示すように、第1接合部50を斜めに傾けて、上方から第2接合部60へと差し込む。そして、
図4(c)に示すように、回動軸部51aを回動受部61aの上に載置する。その後、
図4(d)に示すように、回動軸部51aを中心に第1接合部50を回動させ、立設部63aに立ち上がり部53bを当接させる。このような作業により、2つの隣り合う庇材12が互いにフラットに接合される。このとき、自動的に湾曲片53cが支持溝62aの内部に挿入される。
【0037】
また、第2接合部60を回動させて接合する場合、まず
図5(a)に示すように、第2接合部60を斜めに傾けて、上方から第1接合部50へと差し込む。そして、
図5(b)に示すように、傾斜部52cに沿って回動受部61aを上方に滑らせる。すると、
図5(c)に示すように、回動受部61aが案内溝52bに嵌って引っかかる。その後、
図5(d)に示すように、案内溝52bに沿って回動受部61aを挿入していくことで第2接合部60を回動させ、立ち上がり部53bに立設部63aを当接させる。このような作業により、2つの隣り合う庇材12が互いにフラットに接合される。このとき、自動的に湾曲片53cが支持溝62aの内部に挿入される。
【0038】
上記した第1接合部50および第2接合部60は、庇材12の長手方向の全長に渡って形成されている。このため、
図6に示すように、第1接合部50と第2接合部60とを接合した後で、建物用庇10の奥行き方向Dに庇材12を摺動させることができる。よって、庇材12を接合した後で、取付位置(ベースフレーム20の方向)に摺動させてベースフレーム20に固定することができ、作業性が良い。
【0039】
なお、これらの庇材12の下面には、
図6に示すように、不規則な木目模様12aが形成されている。この木目模様12aは、庇材12の長手方向に沿って形成されており、間隔や高さを不規則にすることで、自然な木目を表現することができる。木目を形成することで、木目のデザイン性を生かすことができ、また、庇材12同士の接合部が目立たなくなるため、意匠性が良い。また、押出成形時に木目を形成することができるため、製造も容易である。なお、本実施形態においては、押出成形の方向に沿って木目を形成しているが、これに限らず、押出成形の方向と直交する方向に木目を形成してもよい。
次に、ベースアングル21およびベースフレーム20の具体的な形状について、詳しく説明する。
【0040】
ベースアングル21は、ベースフレーム20に取り付けられて庇板11の上面を支持する部材であり、
図8に示すように、階段状に屈折した板状に形成されている。このベースアングル21は、上端の引掛け部21aと、引掛け部21aから前方斜め下方へと延びるアーム部21bと、アーム部21bの先端から前方に突出形成された取付部21cと、を備える。引掛け部21aは、ベースフレーム20の係止片26a(後述)の内側に引っ掛けられる部位である。この引掛け部21aは、ベースフレーム20の係止片26aの内部に下方から挿入され、係止片26aによって上から押さえられた状態となる。取付部21cは、庇材12の上面に当接して、庇材12の上面を上から押さえ込む部位である。この取付部21cは、後述する庇固定具22によって、庇材12に固定される。また、取付部21cの先端には、ベースカバー23を係合させるためのカバー係合部21dが形成されている。なお、アーム部21bは、後方が高く前方が低くなるように形成されており、上面で受けた雨水などを前方へ誘導するようになっている。
ベースフレーム20は、
図8に示すように、略L字形の部材であり、略垂直な縦片26と、縦片26の下端付近から前方に突出する横片27と、を備える。
【0041】
縦片26は、建物躯体の表面(壁面70)に当接した状態で固定される板状の部位である。縦片26には、取付ボルト20aを貫通させる取り付け用の穴が予め穿たれており、この穴に取付ボルト20aを挿入して、前から取付ナット20bを締結することで、壁面70に固定される。このとき、縦片26の後面が建物躯体の表面にぴったりとくっついた状態で固定される。縦片26と建物躯体の表面との間に隙間がないため、雨水等が隙間に浸入することを防止できる。この縦片26の前面には、カバー取付片26d、係止片26a、支持片26b、が前方に突出形成されている。
【0042】
カバー取付片26dは、ベースカバー23の上端部を取り付けるためのものであり、縦片26の上端付近に設けられている。このカバー取付片26dの上面は、前方に行くにしたがって下方へ傾斜している。
【0043】
係止片26aは、上記したベースアングル21の引掛け部21aを係止するために前方に突出する部位である。この係止片26aは、横向きの略J字形に突出形成されて下方に向けて開口している。この係止片26aには、引掛け部21aを引っ掛けることができる。具体的には、ベースアングル21を傾けた状態で、引掛け部21aを下方から係止片26aの内側に挿入し、係止片26aの内側に引掛け部21aを引っ掛けることができる。その後、引っ掛けた先端を軸にベースフレーム20を回動させると、係止片26aが引掛け部21aを抱え込んで保持できるようになっている。なお、この係止片26aは、引掛け部21aを引っ掛けて保持しているだけなので、ベースアングル21を傾けることで容易に係合を外すことができる。この係止片26aの上面は、前方に行くにしたがって下方へ傾斜しており、雨水などを前方へ誘導するようになっている。
【0044】
支持片26bは、庇板11の後端11aを突き当て可能に突出する部位である。この支持片26bの先端には、庇板11の後端11aを突き当て可能な位置決め突起26cが形成されている。庇材12をベースフレーム20に取り付けるときに、庇板11の後端11aを位置決め突起26cに突き当てることで、庇材12の位置を揃えることができる。また、この位置決め突起26cは、後述する樋溝27cの鉛直上方まで突出している。このため、庇材12を位置決め突起26cに突き当たる位置で取り付けると、庇板11(庇材12)の後端11aの下端部11bが、樋溝27cの内部に位置するようになっている。言い換えると、位置決め突起26cが庇板11の後端11aを支持することで、庇板11の後端11aの下端部11bと樋溝27cとの間に隙間が形成される。このように配置することで、中間樋部54や二次樋部64に溜まった水を樋溝27cにスムーズに流すことができる。なお、この支持片26bの上面は、前方に行くにしたがって下方へ傾斜しており、雨水などを前方へ誘導するようになっている。
【0045】
横片27は、縦片26から前方に突出して庇板11の下面を支持する部位である。本実施形態に係る横片27は、前方に行くにしたがって上方へ傾斜するように庇板11の下面を支持する支持面27gを備える。この支持面27gは、縦片26の後面(壁面70に接触する面)と鋭角を形成する平坦面であり、この支持面27gに庇板11が載置されることで庇がいわゆる逆勾配となっている。このような逆勾配の建物用庇10においては、建物用庇10で受けた雨水は建物躯体側に流れることになる。
【0046】
この横片27の上面には、
図8に示すような樋溝27cが形成されている。この樋溝27cは、支持面27gよりも後方に配置されている。この樋溝27cは、庇板11の後端11a位置に形成され、庇板11の内部(中間樋部54や二次樋部64)を流れてきた水を受けることができる。本実施形態に係る樋溝27cは、
図9に示すように、前側の樋前壁27aと後側の樋後壁27bとを備えて形成されている。樋後壁27bは、支持片26bを下方から支持する補強としても機能している。この樋溝27cは、底面が前方向に傾斜しており、底面前側(樋前壁27aとの境界付近)に排水孔27dが形成されている。樋溝27cに集められた水は、排水孔27dを通って下方(横樋36)に排出される。また、横片27の下面には、樋溝27cよりも後方に、下方に向けて突出した突起部27hが形成されている。この突起部27hを設けることで、排水孔27dの開口縁から横片27の下面を伝って、水が縦片26の方向へ上がっていこうとした場合でも、突起部27hによって水が切られ、切られた水が横樋36に落下するようになっている。
【0047】
横片27の下面からは、横樋36の後端が係合する横樋係止部27eが突出形成されている。本実施形態に係る横樋係止部27eは、縦片26の鉛直下方から下方に突出形成されている。この横樋係止部27eは、横向きの略L字形で形成され、先端が前方に突出している。
【0048】
横片27の前端には、横樋ブラケット35を接続するためのブラケット係合部27fが設けられている。横樋ブラケット35は、ベースフレーム20の横片27を延長するように設けられる板状の部材である。この横樋ブラケット35は、ベースフレーム20よりも短尺で形成されており、複数の横樋ブラケット35が幅方向Wに間隔を空けて取り付けられる。この間隔を利用してドレン部31を配置することで、横樋ブラケット35とドレン部31とが干渉しないようになっている。
【0049】
本実施形態に係る横樋ブラケット35は、
図9に示すように、平板部35aと、平板部35aの後端に設けられた後端係合部35bと、平板部35aの前端に設けられた係合凹部35cと、係合凹部35cから後方斜め下方に延びる樋支持片35dと、を備える。この横樋ブラケット35は、
図8に示すように、後端係合部35bをブラケット係合部27fに係合させた状態で平板部35aを庇板11の下面に当接させ、ビスなどの固定具で庇板11に取り付けられる。なお、係合部27fは、横樋36の両側部に取り付けられる横樋フタ37のビス止め用のビスホールも兼ねている。
【0050】
上記した横樋係止部27eおよび樋支持片35dには、横樋36が取り付けられる。この横樋36によって、樋溝27cやドレン部31から排出された水を集めて排水することができる。なお、庇材12の下面には、
図6に示すように、隣り合う庇材12との接合部に付着した水を切るための切欠き部12bが形成されている。この切欠き部12bは、庇材12の接合部に付着した水滴の縁を切るためのものであり、横樋36で覆われる位置に形成されている。この切欠き部12bを設けることで、庇材12の接合部に付着した水滴が毛細管現象によって庇材12の先端方向(前方向)へ上がっていこうとした場合でも、切欠き部12bによって水が切られ、切られた水が蒸発または横樋36に落下するようになっている。
【0051】
上記した建物用庇10は、例えば以下のような手順で壁面70に取り付けることができる。なお、下記手順においては特に説明しないが、樋などの水密性を確保するために適宜シーリング加工が施される。
【0052】
(1)取付ボルト20aを壁面70に取り付ける。例えば、壁面70の裏側に下地材を取り付け、裏側から差し込んだ取付ボルト20aを下地材に固定する。これにより、取付ボルト20aが壁面70から突出した状態とする。なお、取付ボルト20aは、事前に取り付いていなくてもよく、ベースフレーム20を取り付ける側からベースフレーム20を挟んで壁面70に挿通し、壁面70の屋内側で取付ナット20bによって固定してもよい。
【0053】
(2)ベースフレーム20を取り付ける。具体的には、ベースフレーム20に予め形成された穴に取付ボルト20aを差し込み、前方から取付ナット20bを締結する。
【0054】
(3)端部の庇材12(左庇材14または右庇材15のいずれか)を取り付ける。具体的には、庇材12をベースフレーム20の横片27に載置して、上からベースアングル21で挟み込み、ベースアングル21と庇材12とベースフレーム20とを庇固定具22で一体的に固定する。本実施形態に係る庇固定具22は、
図8に示すように、ベースアングル21の取付部21cと、庇材12と、ベースフレーム20の横片27と、をすべて貫通するボルトとナットであり、この庇固定具22でこれら3つの部材を一体的に固定することができる。
【0055】
(4)残りの庇材12を順番に取り付けていく。すなわち、
図4または
図5で説明した手順により隣り合う庇材12を接合する。その後、
図6に示すように、接合した庇材12をベースフレーム20の奥まで摺動させる。その後、上からベースアングル21で挟み込み、庇固定具22で固定する。このとき、取付穴12cを形成した庇材12であれば、ドレン部31を取付穴12cに取り付ける。
【0056】
(5)すべての庇材12の取り付けが完了したら、庇板11の先端に先端フレーム28をビス止めし、更に、先端フレーム28に先端カバー29をビス止めする。
【0057】
(6)ベースフレーム20の上部にベースカバー23を取り付ける。具体的には、まずベースカバー23の前端を、ベースアングル21の前端に設けられたカバー係合部21dに引っ掛ける。その後、ベースカバー23の後端を、ベースフレーム20のカバー取付片26dの上に重ねて、ベースカバー用ビス24で固定する。
(7)ベースフレーム20の両側部にベースフタ25をビス止めする。また、先端カバー29の両側部に先端フタ30をビス止めする。
【0058】
(8)庇板11の下面に横樋ブラケット35をビス止めする。その後、横樋36をビス止めする。横樋36をビス止めした箇所に、横樋カバー38を取り付ける。
(9)横樋36の両側部に横樋フタ37をビス止めする。
(10)横樋36に竪樋39を連結する。以上で取付が完了する。
なお、本実施形態に係るドレン部31は、
図10に示すように、排水部材32と、ドレン蓋部材33と、を備えて構成されている。
【0059】
排水部材32は、庇材12に形成された取付穴12cに挿入される部材である。この排水部材32は、後壁32aと、後壁32aの両側端から前方に延びる一対の側壁32bと、で平面視略コ字形を形成している。また、一対の側壁32bの上端部には、側壁32bに対して直交する方向に延びる折り曲げ部32cが設けられている。後壁32aおよび一対の側壁32bは、取付穴12cの内周面にぴったりと沿った形状となっている。取付穴12cの前端には、側壁32bの前端に係合する位置決め形状12dが設けられている。このため、異なる向き(例えば後壁32aを前側にした向き)では、後壁32aが干渉するため、排水部材32が取り付けられないように形成されている。取付穴12cに排水部材32を挿入すると、折り曲げ部32cが庇材12の上面に当接した状態となる。
【0060】
ドレン蓋部材33は、排水部材32を覆うように、排水部材32の上方に取り付けられる部材である。このドレン蓋部材33には、排水部材32へ水を導入するための穴33aが形成されている。排水部材32の上に重ねられたドレン蓋部材33は、ビス33bによって、庇材12の上面に固定される。ビス33bは、ドレン蓋部材33と折り曲げ部32cと庇材12の上面(上板部40)とを一気に貫通して取り付けられる。なお、穴33aは落ち葉などの水以外のものが侵入しにくい大きさになっている。この穴33aは、用途によって形や大きさを容易に変更してもよい。例えば、穴の形や大きさが異なる複数種類のドレン蓋部材33(図示なし)を予め製作しておき、用途に応じて最適なドレン蓋部材33を選択し、排水部材32へ取り付けるようにしてもよい。このようにすれば、用途が異なる場合でも同じ排水部材32を使用することができるので、部品点数がおさえられる。また、ドレン部31は、
図8に示すように、庇材12の下面(下板部41)から突出しているため、庇材12の内部に浸入した水を確実に下方に排出させる。また、本実施形態のドレン部31は、排水部材32とドレン蓋部材33の別体で構成されているが、これに限らず、排水部材とドレン蓋部材とが一体でもよい。
【0061】
ところで、上記したように、庇板11は、両側部に側端樋部68を備えている。具体的には、
図11に示すように、左端の庇材12(左庇材14)の左端部と、右端の庇材12(右庇材15)の右端部とに、側端樋部68が形成されている。この側端樋部68は、
図12に示すように、略コ字形に上向きに開口している。また、この側端樋部68の後端部付近には、
図11および
図12に示すように、長穴の排水穴68aが複数形成されている。この排水穴68aは、側端樋部68を流れる水を、下方の横樋36に排出するためのものである。側端樋部68は、
図12に示すように、入隅部68b(内側の角部)がR形状で形成されており、上記した複数の排水穴68aのうち、両側端に設けられた排水穴68aは、入隅部68bに重なるように形成されている。また、この側端樋部68の内部には、側端樋部68の後端部を塞ぐ塞ぎ材68cが設けられている。この塞ぎ材68cは、
図13に示すように、排水穴68aの後端位置に隣接する突き当り部68dを備えている。この突き当り部68dがあることで、排水穴68aよりも後方の側端樋部68に、水が流れないようにせき止めることができる。
【0062】
次に、本実施形態に係る横樋36について、詳しく説明する。本実施形態に係る横樋36は、
図14(a)に示すように、上向きに開口した略コ字形の部材であり、底面部45と、底面部45の前端から上方斜め前方に延びる表面部46と、底面部45の後端から上方斜め後方に延びる裏面部47と、を備える。
【0063】
表面部46の上端付近には、後方へと陥没した形状の凹部46aが設けられている。この凹部46aは、横樋36を横樋ブラケット35に取り付けるために使用される。この凹部46aの奥(後方に凹んだ底辺)には、横樋ブラケット35の樋支持片35dに前方から当接する取付面46bが形成されている。この取付面46bの前面には、横樋カバー38を掛止するための突起46dが突出形成されている。この凹部46aの上辺前端には、横樋カバー38を回動可能に引っ掛けることができる回動受部46eが形成されている。また、表面部46の上端からは、挿入片46fが後方に突出形成されている。
【0064】
裏面部47の上端には、後方に突出する第1突出片47aが設けられている。また、この第1突出片47aよりも下方には、後方に突出する第2突出片47bが設けられている。第2突出片47bの先端には、下方に延びる垂直片47cが設けられている。なお、第1突出片47aと第2突出片47bとの間には、挿入溝部47dが形成されている。
【0065】
この横樋36は、
図15(a)に示すように、前方から後方にスライドさせてベースフレーム20(および横樋ブラケット35)に係合可能である。すなわち、表面側の挿入片46fを横樋ブラケット35の係合凹部35cに挿入するとともに、裏面側の第1突出片47aをベースフレーム20の横樋係止部27eの内側に挿入することで、横樋36をベースフレーム20に仮止めすることができる。このとき、
図15(b)に示すように、挿入溝部47dに横樋係止部27eが挿入される。また、垂直片47cが、壁面70に当接する。また、取付面46bが樋支持片35dに当接する。
【0066】
なお、横樋36を確実に奥(後方)まで挿入するために、横樋36の後端部の垂直片47cを後方に向けて押して、外壁70に押し付けてもよい。すなわち、垂直片47cの前方の空間に手を差し入れ、垂直片47cを後方に押すことで、横樋36を所定の取付位置まで確実にスライドさせることができる。
【0067】
このように横樋36を所定の位置までスライドさせ、横樋36をベースフレーム20に仮止めしたら、取付面46bの前方からビスなどの留具46cを取り付けることによって、横樋36を固定する。このとき、留具46cの取付面46bは、斜め下方を向くように傾斜している。このため、庇板11の下板部41の下面と留具46cの取付面46bとが鈍角を形成しており、両者の間の作業空間が広く確保されている。
【0068】
上記のように留具46cを取り付けたら、取付面46bを覆うように横樋カバー38が取り付けられる。本実施形態に係る横樋カバー38は、ビスなどを使用せずに、嵌合のみで横樋36に取り付けることができる。横樋カバー38を横樋36に取り付けると、凹部46aが塞がれ、留具46cを隠すとともに、横樋36の表面が面一に見えるようになっている。
【0069】
横樋カバー38は、
図14(b)に示すように、化粧面部38aと、回動係合部38bと、係合脚部38cと、を備える。化粧面部38aは、横樋36の表面と面一になるように形成された部位である。回動係合部38bは、化粧面部38aの上端から、円弧状に上方に突出形成された部位である。係合脚部38cは、化粧面部38aの裏面から後方に突出形成された部位である。
【0070】
この横樋カバー38を横樋36に取り付けるときには、まず
図16(a)に示すように、上端の回動係合部38bを回動受部46eに差し込んで係合させる。その後、
図16(b)に示すように、回動係合部38bを中心に下端を回動させ、横樋カバー38を凹部46aに嵌め込む。すると、係合脚部38cが突起46dに係合し、横樋カバー38が固定される。
【0071】
なお、上記した横樋36は、
図17に示すように、複数の樋部材36aを接合して構成されている。複数の樋部材36aは、目地部36bを挟持するように取り付けられる内ジョイント材48と外ジョイント材49とを介して連結されている。
図18に示すように、内ジョイント材48は、複数の樋部材36aを接合した目地部36bを上から覆うように取り付けられる。また、外ジョイント材49は、複数の樋部材36aを接合した目地部36bを下から覆うように取り付けられる。なお、内ジョイント材48は、ネジ等で固定せずに、単に横樋36の内側に嵌め込むだけで固定することができる。外ジョイント材49は、ジョイント用ビス49aなどによって、横樋36に固定することができる。このとき、凹部46aを利用して、横樋カバー38の外側からジョイント用ビス49aを取り付けるようにすれば、横樋36に穴を開けずに外ジョイント材49を取り付けることができる。横樋36に穴を開けないので、横樋36の水漏れを防止できる。
【0072】
この横樋36の幅(長さ)は、ベースフレーム20の幅よりも大きいことが望ましい。更には、横樋36の幅は、ベースフタ25を取り付けたベースフレーム20の幅よりも大きいことが望ましい。すなわち、
図19に示すように、上方から見たときに、ベースフレーム20やベースフタ25が、横樋36の内側に収まるように配置されていることが望ましい。このように横樋36の幅を十分に確保することで、ベースフレーム20から水が垂れた場合でも、確実に受けることができる。
【0073】
以上説明したように、本実施形態に係る建物用庇10によれば、横樋36は、前方から後方にスライドさせてベースフレーム20に係合可能であるため、横樋36の取付作業や交換作業を、一人でも容易に行うことができる。すなわち、横樋36を取り付けるときには、前方から後方にスライドさせて横樋36を仮止めすることができ、取付作業が容易に行える。また、横樋36を取り外すときにも、留具46cを外して横樋36を前方にスライドさせれば取り外せるので、横樋36のみを容易に交換することができる。
【0074】
また、横樋36は、留具46cを前方から取り付けることで固定されており、横樋36に設けられた留具46cの取付面46bは、斜め下方を向くように傾斜している。このような構成によれば、留具46cを取り付ける際に工具等が庇板11に干渉しにくいので、作業性が良い。
【0075】
また、取付面46bを覆う横樋カバー38を備え、横樋カバー38は、上端を引っ掛けて下端を回動させることで横樋36に取り付け可能である。このような構成によれば、簡単な作業で取付面46bにカバーを取り付けることができる。
また、横樋36の幅は、ベースフレーム20の幅よりも大きいので、ベースフレーム20から垂れた水を確実に受けることができる。
【0076】
また、横樋36は複数の樋部材36aからなり、複数の樋部材36aは、目地部36bを挟持するように取り付けられる内ジョイント材48と外ジョイント材49とを介して連結されている。このような構成によれば、横樋36を容易に任意の長さにすることができる。また、内外ジョイント材48、49で挟み込むことにより、目地部36bからの水漏れを確実に防ぐことができる。
【符号の説明】
【0077】
10 建物用庇
11 庇板
11a 後端
11b 下端部
12 庇材
12a 木目模様
12b 切欠き部
12c 取付穴
12d 位置決め形状
13 中間庇材
14 左庇材
15 右庇材
20 ベースフレーム
20a 取付ボルト
20b 取付ナット
21 ベースアングル
21a 引掛け部
21b アーム部
21c 取付部
21d カバー係合部
22 庇固定具
23 ベースカバー
24 ベースカバー用ビス
25 ベースフタ
26 縦片
26a 係止片
26b 支持片
26c 位置決め突起
26d カバー取付片
27 横片
27a 樋前壁
27b 樋後壁
27c 樋溝
27d 排水孔
27e 横樋係止部
27f ブラケット係合部
27g 支持面
27h 突起部
28 先端フレーム
28a 先端フレーム用ビス
29 先端カバー
29a 先端カバー用ビス
30 先端フタ
31 ドレン部
32 排水部材
32a 後壁
32b 側壁
32c 折り曲げ部
33 ドレン蓋部材
33a 穴
33b ビス
35 横樋ブラケット
35a 平板部
35b 後端係合部
35c 係合凹部
35d 樋支持片
36 横樋
36a 樋部材
36b 目地部
37 横樋フタ
37a フタ穴
38 横樋カバー
38a 化粧面部
38b 回動係合部
38c 係合脚部
39 竪樋
40 上板部
41 下板部
42 側壁部
43 中間壁部
45 底面部
46 表面部
46a 凹部
46b 取付面
46c 留具
46d 突起
46e 回動受部
46f 挿入片
47 裏面部
47a 第1突出片
47b 第2突出片
47c 垂直片
47d 挿入溝部
48 内ジョイント材
49 外ジョイント材
49a ジョイント用ビス
50 第1接合部
51 第1上突出部
51a 回動軸部
52 第1側壁部
52a 弧状部
52b 案内溝
52c 傾斜部
52d 直線部
53 第1下突出部
53a 平板部
53b 立ち上がり部
53c 湾曲片
54 中間樋部
60 第2接合部
61 第2上突出部
61a 回動受部
62 第2側壁部
62a 支持溝
63 第2下突出部
63a 立設部
64 二次樋部
68 側端樋部
68a 排水穴
68b 入隅部
68c 塞ぎ材
68d 突き当り部
70 壁面
W 幅方向
D 奥行き方向
H 高さ方向