(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096726
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】開閉弁
(51)【国際特許分類】
F16K 31/44 20060101AFI20230630BHJP
F16K 5/06 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
F16K31/44 F
F16K5/06 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212666
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】502345393
【氏名又は名称】株式会社ワイ・ジェー・エス.
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100187827
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 雅則
(72)【発明者】
【氏名】米澤 育大
(72)【発明者】
【氏名】亀山 修司
【テーマコード(参考)】
3H054
3H063
【Fターム(参考)】
3H054AA03
3H054BB17
3H054CD12
3H054EE04
3H063AA06
3H063BB33
3H063DA02
3H063EE08
(57)【要約】
【課題】簡便に組み立てることが可能な開閉弁を提供する。
【解決手段】内部に流体の流路6が形成された弁本体2と、弁本体2の内部に設けられた、流路6を開閉する弁体3と、弁体3を軸周りに回動させるためのハンドル18が一体に形成された、弁本体2に挿通されて弁体3に取り付けられるハンドル付き弁軸4と、ハンドル付き弁軸4に係合して、ハンドル付き弁軸4が弁本体2から抜けるのを防止するスナップピン5と、を有する構成、または、弁本体2と、弁体3と、ハンドル付き弁軸4と、を有し、弁体3に、弁体3が流路6を閉じた状態において流路6の流れ方向に沿う長穴20が形成されているとともに、ハンドル付き弁軸4の端部に、長穴20に嵌まり込む突起部22が形成されており、ハンドル付き弁軸4に形成されたハンドル18の延設方向と突起部22の延設方向とが互いに直交している構成とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流体の流路(6)が形成された弁本体(2)と、
前記弁本体(2)の内部に設けられた、前記流路(6)を開閉する弁体(3)と、
前記弁体(3)を軸周りに回動させるためのハンドル(18)が一体に形成された、前記弁本体(2)に挿通されて前記弁体(3)に取り付けられるハンドル付き弁軸(4)と、
前記ハンドル付き弁軸(4)に係合して、当該ハンドル付き弁軸(4)が前記弁本体(2)から抜けるのを防止するスナップピン(5)と、
を有する開閉弁。
【請求項2】
前記ハンドル付き弁軸(4)が挿通される前記弁本体(2)のボス部(14)に、前記スナップピン(5)が挿入される挿入穴(15)が形成されている請求項1に記載の開閉弁。
【請求項3】
前記ボス部(14)に、前記ハンドル付き弁軸(4)の軸方向に沿って延び、前記ハンドル(18)と当接して前記ハンドル付き弁軸(4)の軸周りの回転角度を所定角度範囲内に制限する回り止め部(17)が形成されている請求項2に記載の開閉弁。
【請求項4】
前記挿入穴(15)と前記回り止め部(17)が軸方向に重なり合いを有する請求項3に記載の開閉弁。
【請求項5】
前記挿入穴(15)内に、当該挿入穴(15)の前記軸方向の一方側の内壁から他方側の内壁に亘って形成され、当該挿入穴(15)内に前記スナップピン(5)を挿入した際に当該スナップピン(5)と当接可能な柱部(16)を有する請求項2から4のいずれか1項に記載の開閉弁。
【請求項6】
前記弁体(3)に、当該弁体(3)が前記流路(6)を閉じた状態において当該流路(6)の流れ方向に沿う長穴(20)が形成されているとともに、前記ハンドル付き弁軸(4)の端部に、前記長穴(20)に嵌まり込む突起部(22)が形成されており、前記ハンドル(18)の延設方向と前記突起部(22)の延設方向とが互いに直交している請求項1から5のいずれか1項に記載の開閉弁。
【請求項7】
内部に流体の流路(6)が形成された弁本体(2)と、
前記弁本体(2)の内部に設けられた、前記流路(6)を開閉する弁体(3)と、
前記弁体(3)を軸周りに回動する、ハンドル(18)が一体に形成されたハンドル付き弁軸(4)と、
を有し、前記弁体(3)に、当該弁体(3)が前記流路(6)を閉じた状態において当該流路(6)の流れ方向に沿う長穴(20)が形成されているとともに、前記ハンドル付き弁軸(4)の端部に、前記長穴(20)に嵌まり込む突起部(22)が形成されており、前記ハンドル(18)の延設方向と前記突起部(22)の延設方向とが互いに直交している開閉弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体の流路に設けられる開閉弁に関する。
【背景技術】
【0002】
流体の流路に用いられる開閉弁においては、例えば下記特許文献1に示すように、内部に流路17、18、19が形成されたボデー12と、この流路17、18、19を切り替えるボール弁体30と、ボール弁体30に設けられた操作軸24と、この操作軸24を手動で回転させるハンドル25と、を有する構成が採用されることがある。この構成においては、開閉弁の組み立てに際し、固定ピン26などの適宜の手段によって、ハンドル25を操作軸24に固定している(特許文献1の特に段落0024~0027、
図1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示す構成においては、開閉弁の組み立てに際し、ハンドルと操作軸を固定する作業が必要となり、作業工数が増える問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、簡便に組み立てることが可能な開閉弁を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明においては、
内部に流体の流路が形成された弁本体と、
前記弁本体の内部に設けられた、前記流路を開閉する弁体と、
前記弁体を軸周りに回動させるためのハンドルが一体に形成された、前記弁本体に挿通されて前記弁体に取り付けられるハンドル付き弁軸と、
前記ハンドル付き弁軸に係合して、当該ハンドル付き弁軸が前記弁本体から抜けるのを防止するスナップピンと、
を有する開閉弁を構成した。
【0007】
このようにすると、ハンドルと操作軸を固定する作業が不要となるため、開閉弁を簡便に組み立てることができる。さらに、スナップピンを用いてハンドル付き弁軸を抜け止めしたので、その組み立ての簡便性を一層高めることができる。
【0008】
上記の開閉弁においては、
前記ハンドル付き弁軸が挿通される前記弁本体のボス部に、前記スナップピンが挿入される挿入穴が形成されているのが好ましい。
【0009】
このようにすると、挿入穴に挿入されたスナップピンとハンドル付き弁軸が直交するように係合するため、このスナップピンによる高い抜け止め作用が発揮される。
【0010】
上記の挿入穴が形成された開閉弁においては、
前記ボス部に、前記ハンドル付き弁軸の軸方向に沿って延び、前記ハンドルと当接して前記ハンドル付き弁軸の軸周りの回転角度を所定角度範囲内に制限する回り止め部が形成されているのが好ましい。
【0011】
このようにすると、挿入穴の形成に伴って軸方向に薄肉化されたボス部を回り止め部の肉厚分だけ厚肉化することができるため、このボス部の剛性を向上することができる。また、開閉弁の組み立ての際に、回り止め部を目印としつつ各部品を弁本体に組み込むことができるため、その作業効率を向上することができる。
【0012】
上記の回り止め部が形成された開閉弁においては、
前記挿入穴と前記回り止め部が軸方向に重なり合いを有するのが好ましい。
【0013】
このようにすると、特に剛性が低下しやすい挿入穴の近傍を重点的に補強することができる。
【0014】
上記の挿入穴が形成された開閉弁においては、
前記挿入穴内に、当該挿入穴の前記軸方向の一方側の内壁から他方側の内壁に亘って形成され、当該挿入穴内に前記スナップピンを挿入した際に当該スナップピンと当接可能な柱部を有するのが好ましい。
【0015】
このようにすると、ボス部、特に挿入穴の近傍の剛性を向上することができる。しかも、柱部とスナップピンを当接可能としたことにより、スナップピンの挿入穴への挿入を所定の深さに規制することができるとともに、柱部とスナップピンの摺接によって、このスナップピンの挿入穴からの脱落を防止することができる。
【0016】
上記各開閉弁においては、
前記弁体に、当該弁体が前記流路を閉じた状態において当該流路の流れ方向に沿う長穴が形成されているとともに、前記ハンドル付き弁軸の端部に、前記長穴に嵌まり込む突起部が形成されており、前記ハンドルの延設方向と前記突起部の延設方向とが互いに直交しているのが好ましい。
【0017】
このようにすると、弁体の閉弁状態において、この弁体が、流体の圧力によって弁座に押し付けられた際に、ハンドル付き弁軸に対してわずかに傾斜することが可能となる。そして、この傾斜によって、弁体と弁座との間の密封性を一層向上することができる。しかも、閉弁状態においてハンドルの延設方向が流路の方向と直交するため、開閉弁が閉弁状態であることを視覚的に認識しやすくなる。
【0018】
また、上記の課題を解決するため、本発明においては、
内部に流体の流路が形成された弁本体と、
前記弁本体の内部に設けられた、前記流路を開閉する弁体と、
前記弁体を軸周りに回動する、ハンドルが一体に形成されたハンドル付き弁軸と、
を有し、前記弁体に、当該弁体が前記流路を閉じた状態において当該流路の流れ方向に沿う長穴が形成されているとともに、前記ハンドル付き弁軸の端部に、前記長穴に嵌まり込む突起部が形成されており、前記ハンドルの延設方向と前記突起部の延設方向とが互いに直交している開閉弁を構成した。
【0019】
このようにすると、ハンドルと操作軸を固定する作業が不要となるため、開閉弁の組み立てを簡便に行うことができる。さらに、弁体の閉弁状態において、この弁体が、流体の圧力によって弁座に押し付けられた際に、ハンドル付き弁軸に対してわずかに傾斜することが可能となる。そして、この傾斜によって、弁体と弁座との間の密封性を一層向上することができる。しかも、ハンドルの延設方向と突起部の延設方向とを互いに直交させたことにより、閉弁状態においてハンドルの延設方向が流路の方向と直交し、開閉弁が閉弁状態であることを視覚的に認識しやすくなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の上記構成によると、簡便に組み立てることが可能な開閉弁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る開閉弁の第一実施形態を示す断面図
【
図3】
図1に示す開閉弁を
図2とは異なる下流上方から見た斜視図
【
図4】
図1に示す開閉弁の要部を一部切り欠いた斜視図
【
図5】
図1に示す開閉弁のハンドル付き弁軸と弁体を示す分解斜視図
【
図6】
図1に示す開閉弁のハンドル付き弁軸の正面図
【
図7】
図1に示す開閉弁の要部の他例を示す一部を切り欠いた斜視図
【
図8】
図1に示す開閉弁の要部のさらに他例を示す断面図
【
図9】本発明に係る開閉弁の第二実施形態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係る開閉弁1の第一実施形態を
図1から
図6に基づいて説明する。
図1は開閉弁の断面図、
図2および
図3は開閉弁の斜視図である。この開閉弁1は、弁本体2、弁体3、ハンドル付き弁軸4、および、スナップピン5を主要な構成要素としている。
【0023】
弁本体2の内部には、流体の流路6が形成されている。流路6の一端側(上流側)には、流体が流入する流入口7が形成されている。また、流路6の他端側(下流側)には、内部に流路8が形成された継手9がボルト10によって固定されている。この継手9は、流体が流出する流出口11を有する。継手9に形成された流路8の上流端部には、弁体3が着座可能な弁座12が設けられている。弁本体2と継手9との間には、両者間の密閉性を確保するための密閉部材13(Oリング)が設けられている。
【0024】
弁本体2には、ハンドル付き弁軸4が挿通される貫通穴を有するボス部14が形成されている。ボス部14には、ハンドル付き弁軸4の軸方向に対して垂直に延びる、スナップピン5が挿入される挿入穴15が形成されている。この挿入穴15は、ボス部14のスナップピン5の挿入側側面とこの挿入側の反対側側面にそれぞれ開口を有している。
【0025】
図4に示すように、挿入穴15内には、この挿入穴15の前記軸方向の一方側の内壁(流路6に近い側)から他方側の内壁(流路6から遠い側)に亘って2本の柱部16(以下、第一柱部16a、第二柱部16bと称する。)が形成されている。第一柱部16aは、挿入穴15の挿入側から貫通穴側に若干奥まった位置に形成され、挿入側に丸みを有する半円状の断面形状をなしている。第二柱部16bは、第一柱部16aに対し貫通穴の反対側に形成され、矩形状の断面形状をなしている。両柱部16a、16bの貫通穴側の端面は、この貫通穴と連続面となっている。
【0026】
ボス部14には、ハンドル付き弁軸4の軸方向に沿って延びる回り止め部17が形成されている。この回り止め部17は、ハンドル付き弁軸4のハンドル18と当接して、ハンドル付き弁軸4の軸周りの回転角度を所定角度範囲内に制限する機能を有している。この回り止め部17は、ハンドル付き弁軸4が軸周りに90度回転可能となるように、その形状が設計されている。
図3に示すように、この回り止め部17は、挿入穴15に対し軸方向に重なり合いを有するように形成されている。
【0027】
弁体3は、弁本体2に形成された流路6と連通可能な円筒状の流路19が貫通して形成されたボール弁である。この弁体3は、弁本体2に形成された流路6の内部に設けられ、軸周りに回転することによってこの流路6を開閉する機能を有している。
図5に示すように、弁体3のハンドル付き弁軸4に臨む表面には、この弁体3が弁本体2の流路6を閉じた状態において、この流路6の流れ方向に沿う長穴20が形成されている。
【0028】
図6に示すように、ハンドル付き弁軸4は、弁本体2に形成されたボス部14に挿通されて弁体3に取り付けられる軸部21を有し、弁本体2(ボス部14)から突出する軸部21の端部には、弁体3を軸周りに回動させるためのハンドル18が一体に成形されている。ハンドル18の外径は、軸部21の外径よりも大径となっている。ハンドル18が形成された側と反対側の軸部21の端部には、弁体3に形成された長穴20に嵌まり込む突起部22が形成されている。ハンドル18の延設方向と突起部22の延設方向は、互いに直交している。軸部21には、スナップピン5が挿入されるピン溝23と、Oリング24が設けられる2本の周溝25が形成されている。軸部21の外径は、周溝25近傍(
図6中の符号Dを参照)よりもピン溝23近傍(同図中の符号dを参照)の方が大径(D>d)に形成されている。
【0029】
スナップピン5は、略U字形に成形された屈曲部5aと、屈曲部5aから延設されハンドル付き弁軸4の軸部21を両側から挟み込む外向きの膨らみが2か所に形成された延設片5bと、を有する弾力性を有する素材からなる部材である。スナップピン5を挿入穴15の挿入口に形成された抜け止め部26を乗り越えさせつつ、弁本体2のボス部14に形成された挿入穴15に挿入すると、このスナップピン5の延設片5bの膨らみ部分が、ハンドル付き弁軸4の軸部21に形成されたピン溝23に係合して、ハンドル付き弁軸4の抜け止め作用が発揮される。
【0030】
スナップピン5は、このスナップピン5の挿入穴15への挿入状態において、その先端(延設片5b)と後端(屈曲部5a)のいずれも、ボス部14の最大径よりも内側に収まるように形成されている。また、この挿入状態において、屈曲部5aの内側が第一柱部16aの丸みの部分に当接し、延設片5bの先端内側が第二柱部16bの対向する2辺に当接している。
【0031】
上記の開閉弁1においては、ハンドル18と軸部21が一体化されているため、その組み立てを簡便に行うことができる。さらに、スナップピン5を用いてハンドル付き弁軸4を抜け止めしたので、その組み立ての簡便性を一層高めることができる。
【0032】
上記の開閉弁1においては、ボス部14に、ハンドル付き弁軸4の軸方向に対して垂直に延びる、スナップピン5が挿入される挿入穴15を形成したので、挿入穴15に挿入されたスナップピン5とハンドル付き弁軸4が直交するように係合し、このスナップピン5によるハンドル付き弁軸4の高い抜け止め作用が発揮される。
【0033】
上記の開閉弁1においては、ボス部14に形成された回り止め部17が、挿入穴15に対し軸方向に重なり合いを有するため、特に剛性が低下しやすい挿入穴15の近傍を、厚肉の回り止め部17によって重点的に補強することができる。また、ハンドル18との当接によって大きな外力が作用した場合でも、ボス部14近傍のダメージを防止することができる。
【0034】
上記の開閉弁1においては、挿入穴15内に柱部16を形成したので、挿入穴15の近傍の剛性を向上することができる。特に、上記の実施形態においては、第一柱部16aの丸みとスナップピン5の屈曲部5aの内側を当接させることによってスナップピン5の挿入穴15への挿入を所定の深さに規制するとともに、第二柱部16bの対向する2辺と延設片5bの先端内側を当接させることにより、第二柱部16bとスナップピン5との間に摩擦力を生じさせ、このスナップピン5が挿入穴15から脱落するのを防止することができる。このため、このスナップピン5によるハンドル付き弁軸4の抜け止め作用を確実に発揮させることができる。なお、上記の実施形態における柱部16の数、形状、配置などは例示に過ぎず、適宜変更することができる。また、挿入穴15の形状、大きさなどによっては、柱部16を有しない構成とすることができる可能性もある。
【0035】
上記の開閉弁1においては、スナップピン5は、挿入穴15への挿入状態において、その先端(延設片5b)と後端(屈曲部5a)のいずれも、ボス部14の最大径よりも内側に収まるように形成されているため、スナップピン5に手などが誤って接触して、このスナップピン5が脱落するおそれが低い。
【0036】
上記の開閉弁1においては、ハンドル18の外径を軸部21の外径よりも大径としたので、このハンドル18を操作する際に手が誤ってボス部14に接触しにくく、この接触に伴うスナップピン5の脱落を防止することができる。また、軸部21の外径は、周溝25近傍(
図6中の符号Dを参照)よりもピン溝23近傍(同図中の符号dを参照)の方が大径(D>d)に形成されているため、ピン溝23近傍の剛性が向上し、この軸部21にスナップピン5からの負荷が作用した際にピン溝23近傍のダメージを防止することができる。
【0037】
上記の開閉弁1においては、弁体3に、この弁体3が弁本体2の流路6を閉じた状態においてこの流路6の流れ方向に沿う長穴20を形成するとともに、ハンドル付き弁軸4のハンドル18の延設方向と、弁体3に形成された長穴20に嵌まり込む、軸部21の端部に形成された突起部22の延設方向とを互いに直交させたので、弁体3の閉弁状態において、この弁体3が、流体の圧力によって弁座12に押し付けられた際に、ハンドル付き弁軸4に対してわずかに傾斜することが可能となる。そして、この傾斜によって、弁体3と弁座12との間の密封性を一層向上することができる。しかも、閉弁状態においてハンドル18の延設方向が流路6の方向と直交するため、開閉弁1が閉弁状態であることを視覚的に認識しやすくなる。
【0038】
上記の実施形態においては、屈曲部5aから延設された延設片5bに、ハンドル付き弁軸4の軸部21を挟み込む外向きの膨らみを2か所(各延設片5bに1か所ずつ)形成した例を示したが、
図7に示すように、一方の延設片5bにのみ外向きの膨らみを形成し、他方の延設片5bはストレート形状とすることもできる。このようにすると、他方の延設片5bの加工に伴う加工費を削減できるとともに、他方の延設片5bと軸部21との間の摩擦が低減し、ハンドル付き弁軸4の回転操作をスムーズに行うことができる。
【0039】
また、
図8に示すように、各延設片5bの先端を内向きに屈曲させるとともに、第二柱部16bを各延設片5bの先端屈曲部分が係合する鉤型とすることもできる。このようにすると、挿入穴15に一旦挿入したスナップピン5が第二柱部16bと係合して非常に抜けにくくなるため、このスナップピン5によるハンドル付き弁軸4の抜け止め作用を確実に発揮させることができる。
【0040】
さらに、挿入穴15のスナップピン5の挿入口に、この挿入口の内縁から軸方向に向かって突出する突起形状をなす抜け止め部26を形成することにより、挿入穴15に挿入されたスナップピン5の脱落を確実に阻止することができる。なお、スナップピン5を挿入穴15に挿入した後に、ボス部14の前記挿入口上部に形成された軸方向に延びる貫通穴にスプリングピンなどを挿入して抜け止め部26とすることもできる。
【0041】
本発明に係る開閉弁1の第二実施形態を
図9に示す。この開閉弁1は、その基本構成は第一実施形態に係る開閉弁1と共通するが、スナップピン5でハンドル付き弁軸4を抜け止めする代わりに、係止部材27で抜け止めしている点のみ相違する。この係止部材27は特に限定されず、例えば、軸部21に形成された段部に、その軸方向に対し垂直方向から嵌まり込みつつボス部14に固定される板状部材などを広く採用することができる。この第二実施形態に係る構成においても、ハンドル18と軸部21が一体化されているため、開閉弁1の組み立てを簡便に行うことができる。
【0042】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味およびすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0043】
1 開閉弁
2 弁本体
3 弁体
4 ハンドル付き弁軸
5 スナップピン
5a 屈曲部
5b 延設片
6 (弁本体の)流路
7 流入口
8 (継手の)流路
9 継手
10 ボルト
11 流出口
12 弁座
13 密閉部材
14 ボス部
15 挿入穴
16 柱部
16a 第一柱部
16b 第二柱部
17 回り止め部
18 ハンドル
19 (弁体の)流路
20 長穴
21 軸部
22 突起部
23 ピン溝
24 Oリング
25 周溝
26 抜け止め部
27 係止部材