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  • 特開-固定部材及びそれを備えた給湯機 図1
  • 特開-固定部材及びそれを備えた給湯機 図2
  • 特開-固定部材及びそれを備えた給湯機 図3
  • 特開-固定部材及びそれを備えた給湯機 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096729
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】固定部材及びそれを備えた給湯機
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/02 20060101AFI20230630BHJP
   F16B 2/20 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
F24H9/02 301Z
F16B2/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212669
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】390002886
【氏名又は名称】株式会社長府製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(72)【発明者】
【氏名】武長 勇
(72)【発明者】
【氏名】矢野 寛史
(72)【発明者】
【氏名】松本 拓己
【テーマコード(参考)】
3J022
3L037
【Fターム(参考)】
3J022DA12
3J022EA42
3J022EB14
3J022EC14
3J022EC22
3J022HA05
3J022HB02
3L037AA02
3L037AB02
3L037AB07
(57)【要約】
【課題】別の固定部材を追加で設けることなく、給湯機の筺体の開口部で電線部材を固定可能にする固定部材及びそれを備えた給湯機を提供する。
【解決手段】給湯機の筺体12の開口部12aに設けられて、筺体12外に配される操作盤と筺体12内とを接続する電線部材11が挿通される固定部材10において、電線部材11が挿通される貫通孔13、13aに連通して設けられ、電線部材11が係止される切欠き14、14a、14b、14cが形成されている。また、筺体12の内側と筺体12外に配された操作盤とが電線部材11によって接続された給湯機において、電線部材11が挿通する貫通孔13、13aに連通して設けられ電線部材11が係止された切欠き14、14a、14b、14cが形成された固定部材10が、電線部材11が挿通する筺体12の開口部12aに設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯機の筺体の開口部に設けられて、該筺体外に配される操作盤と該筺体内とを接続する電線部材が挿通される固定部材において、前記電線部材が挿通される貫通孔に連通して設けられ、前記電線部材が係止される1又は複数の切欠きが形成されていることを特徴とする固定部材。
【請求項2】
請求項1記載の固定部材において、前記切欠き及び前記貫通孔からなる開放領域は、直径12mmの真円を通過させない大きさであることを特徴とする固定部材。
【請求項3】
筺体の内側と該筺体外に配された操作盤とが電線部材によって接続された給湯機において、前記電線部材が挿通する貫通孔に連通して設けられ前記電線部材が係止された1又は複数の切欠きが形成された固定部材が、前記電線部材が挿通する前記筺体の開口部に設けられていることを特徴とする給湯機。
【請求項4】
請求項3記載の給湯機において、前記切欠き及び前記貫通孔からなる開放領域は、直径12mmの真円を通過させない大きさであることを特徴とする給湯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯機の筐体内と筐体外の操作盤とを接続する電線部材が挿通される固定部材及びそれを備えた給湯機に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯機は、特許文献1に記載されているように、筺体内に設けられた制御部(コントローラ)と筺体外に配された操作盤とが、電気的に接続されている。この電気的な接続には、操作盤及び筺体内の端子台を連結する電線が用いられ、電線は電線被膜によって覆われている。以下、電線及び電線被膜からなる部材を「電線部材」と言う。給湯機に関する国際規格(IEC規格等)では、電線部材の引張強度が具体的な数値を用いて明確に定められており、海外に輸出する給湯機はこれらの基準をクリアする必要がある。そのために、従来、電線部材は、電線部材が挿通する筺体の開口部近くの筺体内で、結び目が作られ、電線部材の筺体内の領域が筺体外に引っ張り出されるのを防止している。更に、電線部材の筺体内の領域は、コードクリップ等により固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-278610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の設計では、電線部材が、電線部材の筺体外の領域を筺体内に押し込む方向に移動可能となっているため、電線部材の固定が十分ではなく、この問題を解決するには別の固定部材を追加で設けなければならず、コストが増大するという課題があった。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、別の固定部材を追加で設けることなく、給湯機の筺体の開口部で電線部材を固定可能にする固定部材及びそれを備えた給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う第1の発明に係る固定部材は、給湯機の筺体の開口部に設けられて、該筺体外に配される操作盤と該筺体内とを接続する電線部材が挿通される固定部材において、前記電線部材が挿通される貫通孔に連通して設けられ、前記電線部材が係止される1又は複数の切欠きが形成されている。
【0007】
前記目的に沿う第2の発明に係る給湯機は、筺体の内側と該筺体外に配された操作盤とが電線部材によって接続された給湯機において、前記電線部材が挿通する貫通孔に連通して設けられ前記電線部材が係止された1又は複数の切欠きが形成された固定部材が、前記電線部材が挿通する前記筺体の開口部に設けられている。
【発明の効果】
【0008】
第1の発明に係る固定部材は、電線部材が挿通される貫通孔に連通して設けられ、電線部材が係止される1又は複数の切欠きが形成されているので、別の固定部材を追加で設けることなく、給湯機の筺体の開口部で電線部材を固定可能である。
また、第2の発明に係る給湯機は、電線部材が挿通する貫通孔に連通して設けられ電線部材が係止された1又は複数の切欠きが形成された固定部材が、電線部材が挿通する筺体の開口部に設けられているので、給湯機の筺体の開口部で電線部材を固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態に係る固定部材を具備する給湯機の説明図である。
図2】(A)、(B)はそれぞれ、同給湯機の筺体における固定部材の固定箇所の説明図である。
図3】(A)、(B)はそれぞれ、固定部材を筺体に固定した様子を示す説明図である。
図4】(A)、(B)はそれぞれ、固定部材の正面図及び底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1図3図4に示すように、本発明の一実施の形態に係る固定部材10は、給湯機15の筺体12の開口部12aに設けられて、筺体12外に配される操作盤18と筺体12内とを接続する電線部材11が挿通される部材である。
【0011】
固定部材10が設けられる給湯機15は、図1に示すように、制御部17等を収容する箱状の筺体12と、筺体12外に配された操作盤18とを備えている。筺体12内には、筺体12外から、水道管や、浴槽に連結された循環回路が引き込まれている。
【0012】
筺体12内に引き込まれている水道管は、台所や洗面所等に湯を送る給湯管に連結されている。操作盤18は、利用者によって、給湯管経由で供給される水の温度(以下、「給湯温度」とも言う)の設定及び浴槽の湯の温度(以下、「浴槽温度」とも言う)の設定等の入力操作が行われる。
筺体12内には、制御部17に電気的に接続された端子台20が設けられ、端子台20と操作盤18とは、電線部材11によって接続されている。即ち、筺体12の内側と操作盤18とは電線部材11によって接続されている。
【0013】
本実施の形態において、固定部材10は、樹脂(例えば、耐候性AESや耐候性ABS)によって形成され、筺体12の下部に固定されている。
筺体12の下部の固定部材10が固定される箇所には、図2(A)、(B)に示すように、開口24が形成されている(開口24が形成された箇所が開口部12aである)。筺体12は、開口24の中心を基準として開口24の左側(一側)及び右側(他側)に、下方に向けて突出する板状の突起片25、26をそれぞれ有している。突起片25、26の先端部(下端部)は、折り曲げ加工がなされている。
【0014】
固定部材10は、図3(A)、(B)に示すように、開口24に嵌入された状態で筺体12の下部に固定される。固定部材10は、図3(A)、(B)、図4(A)、(B)に示すように、筺体12の外側に配される円筒領域27に筺体12の内側に配されるフランジ部28が連結されている。円筒領域27の外周には、円筒領域27の軸心を基準として一側及び他側に対向する円筒領域27の半径方向外側にそれぞれ突出する係止部29、30が設けられている。
【0015】
円筒領域27が開口24を挿通可能な大きさであるのに対し、フランジ部28は開口24より大きく、開口24を挿通しない。固定部材10は、フランジ部28の下側に円筒領域27を配した状態で、筺体12内の開口24の真上から下降されることによって、図3(A)、(B)に示すように、円筒領域27が開口24に挿通され、フランジ部28の下側が筺体12の内側の開口24の外周領域に接触し、係止部29、30がそれぞれ突起片25、26の下端部に接触して突起片25、26に係止された状態となり、筺体12に固定される。
【0016】
ここで、筺体12には、図2(A)、(B)に示すように、突起片25の基端部の幅方向両側近傍に開口24に連通する切欠き25aがそれぞれ形成され、突起片26の基端部の幅方向両側近傍に、開口24に連通する切欠き26aがそれぞれ形成されている。この切欠き25a、26aの形成によって、固定部材10を開口24の真上から下降する際に、突起片25、26が係止部29、30により、平面視して開口24の中心から離れる方向にそれぞれ押しやられて、円筒領域27及び係止部29、30が開口24を通過できるようにしている。
【0017】
また、円筒領域27において、フランジ部28に連結されている側を軸心方向一側として、円筒領域27の軸心方向他側には、複数(本実施の形態では4つ)の切欠き14、14a、14b、14cが形成された橋渡し部31が設けられている。橋渡し部31は、板状で、円筒領域27の軸心方向に垂直に配され、円筒領域27を円筒領域27の軸心方向に見て、円筒領域27の内側空間の一部を覆い、橋渡し部31を基準にしてその両側(左側及び右側)にそれぞれ、2つの切欠き14、14aに連通する貫通孔13及び別の2つの切欠き14b、14cに連通する貫通孔13aを形成している。よって、切欠き14、14aは貫通孔13に連通して設けられ、切欠き14b、14cは貫通孔13aに連通して設けられていることとなる。
【0018】
貫通孔13、13aはそれぞれ断面円形の電線部材11が挿通可能な大きさであり、各切欠き14、14a、14b、14cは電線部材11が係止される(嵌め込まれる)大きさである。各切欠き14、14a、14b、14cは電線部材11と比較して若干小さくなるような設計のため、電線部材11を各切欠き14、14a、14b、14cに係止させると電線部材11が各切欠き14、14a、14b、14cに食い込んで抜けにくい構造になっている。ここで、2つの切欠き14、14a及び貫通孔13からなる開放領域と、2つの切欠き14b、14c及び貫通孔13aからなる開放領域とは、それぞれ直径12mmの真円を通過させない大きさである。これは、人の指が筺体12の外側から固定部材10を介して筺体12内に挿入できないようにするためである。
【0019】
本実施の形態において、固定部材10は、給湯機15の生産時に筺体12に固定されている。これに対し、電線部材11は、給湯機15を設置の際に両端部が操作盤18及び端子台20にそれぞれ接続される。給湯機15を設置の際、電線部材11は固定部材10の貫通孔13(貫通孔13aでもよい)を挿通して固定部材10を貫通した状態にされた後、切欠き14a(切欠き14、14b、14cでもよい)に係止される。
【0020】
ここで、橋渡し部31には、図3(B)に示すように、切欠き14、14a、14b、14cの周囲それぞれに切欠き14、14a、14b、14cに向けて傾斜したテーパ部が設けられている。各テーパ部は円筒領域27の軸心方向に対して10°以上50°以下の角度で傾斜している。橋渡し部31に当該テーパを設けることにより、テーパを設けない場合に比べて、電線部材11と橋渡し部31の接触面積が小さくなり、切欠き14、14a、14b、14cに対する電線部材11の係止(取り付け)及び取り外しを容易に行うことができる。
【0021】
本実施の形態では、橋渡し部31において、電線部材11に接触する切欠き14、14a、14b、14c部分の厚みが0.5mm以上2mm以下(好ましくは、1.5mm以下)であり、切欠き14、14a、14b、14c及びそれらの周囲のテーパ部を除く領域の厚みが2mm以上5mm以下(好ましくは、2.5mm以上4mm以下)となっている。このように、設計することによって、橋渡し部31全体の十分な強度を確保し、かつ、電線部材11の容易な脱着を実現している。
【0022】
なお、固定部材10は、図3(A)に示すように、円筒領域27の外周に雄螺子構造34が設けられており、円筒領域27には、電線部材11の筺体12の外側に配される領域を覆う管を取り付けることができる。また、固定部材10には複数の切欠き14、14a、14b、14cが形成されていることから、固定部材10で複数(本実施の形態では最大で4つ)の電線部材を固定すること、即ち、複数の操作盤を制御部17に電気的に接続することが可能である。
【0023】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、固定部材は、給湯機の設置の際に、筺体に取り付けられるものであってもよい。また、固定部材は給湯機の筺体の下部に固定される必要はなく、例えば、筺体の側壁部に固定部材を固定してもよい。更に、固定部材には切欠きが1つのみ形成されていてもよい。
また、給湯機は、筐体に収容される熱源部に外部から液体燃料又はガス燃料を供給して水の加熱を行うものであってもよいし、熱交換により大気の熱を取り込んで水を加熱する機構を筐体の内側又は外側に設けたものであってもよい。
【符号の説明】
【0024】
10:固定部材、11:電線部材、12:筺体、12a:開口部、13、13a:貫通孔、14、14a、14b、14c:切欠き、15:給湯機、17:制御部、18:操作盤、20:端子台、24:開口、25、26:突起片、25a、26a:切欠き、27:円筒領域、28:フランジ部、29、30:係止部、31:橋渡し部、34:雄螺子構造
図1
図2
図3
図4