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特開2023-9673接客用情報提供スペースにおける情報提供制御装置、情報提供の制御方法及び情報提供制御システム
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  • 特開-接客用情報提供スペースにおける情報提供制御装置、情報提供の制御方法及び情報提供制御システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009673
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】接客用情報提供スペースにおける情報提供制御装置、情報提供の制御方法及び情報提供制御システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0251 20230101AFI20230113BHJP
【FI】
G06Q30/02 398
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021113132
(22)【出願日】2021-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】500165795
【氏名又は名称】ネットパイロティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117592
【弁理士】
【氏名又は名称】土生 哲也
(72)【発明者】
【氏名】山田 光太郎
(72)【発明者】
【氏名】武井 健太郎
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】 利用者のプライバシーに配慮された空間で、待ち行列を抑制しながら利用者への情報提供を可能にする、小売店等に設けられる接客用情報提供スペースにおける情報提供制御装置等を提供する。
【解決手段】 待機者が待機するスペースと自動開閉式扉15で区切られた接客用情報提供スペース10で顧客に情報を提供するためのコンテンツを再生することによって、情報提供時における利用者のプライバシーに配慮するとともに、接客用情報提供スペース10の利用開始時、あるいはコンテンツ再生中における待機者を待機者検知センサ20で検知し、待機者の状況に応じて、コンテンツの再生時間の初期設定や、コンテンツ再生中の再生時間の短縮処理等を行うことによって、待ち行列の抑制に効果的な構成を実現する。再生時間の初期設定等に利用者や待機者のステータスを反映することで、得意客への配慮等の顧客サービスとの調整を行うこともできる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
待機者が待機するスペースと区切られた接客用情報提供スペースにおける顧客への情報提供を制御する情報提供制御装置であって、
前記接客用情報提供スペースの利用を開始する利用者に関する情報を受け付ける利用者情報受付手段と、
前記接客用情報提供スペースを利用するために待機中の待機者の状況に関する情報を受け付ける待機者情報受付手段と、
前記接客用情報提供スペースにおいて前記利用者のために再生するコンテンツの初期条件として設定される再生時間を、前記待機者の状況に基づき決定し、前記コンテンツを再生装置に出力するコンテンツ出力手段と、を備え、
前記コンテンツ出力手段は、前記待機者の状況から所定の条件に合致する待機者の存在が確認される場合は、待機者の存在が確認されない場合に比べて、前記コンテンツの初期条件として設定される再生時間を短い時間に設定すること
を特徴とする情報提供制御装置。
【請求項2】
前記コンテンツ出力手段は、前記利用者のステータスが所定の優遇条件に合致する場合は、前記待機者の状況が同等で前記利用者のステータスが前記優遇条件に合致しない場合に比べて、前記コンテンツの初期条件として設定される再生時間を長い時間に設定すること
を特徴とする請求項1記載の情報提供制御装置。
【請求項3】
前記コンテンツ出力手段は、前記待機者情報受付手段が受け付けた待機者の状況から待機者が多いと判断されるほど、前記コンテンツの初期条件として設定される再生時間を短い時間に設定すること
を特徴とする請求項1又は2記載の情報提供制御装置。
【請求項4】
前記待機者情報受付手段は、待機中の各々の待機者に関する情報を受け付けて、
前記コンテンツ出力手段は、前記待機者情報受付手段が受け付けた待機者の状況と待機者各々のステータスから、ステータスが所定の優遇条件に合致する待機者が待機していると判断される場合は、前記待機者の状況が同等で前記ステータスが前記優遇条件に合致する待機者が待機していないと判断される場合に比べて、前記コンテンツの初期条件として設定される再生時間を短い時間に設定すること
を特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の情報提供制御装置。
【請求項5】
前記接客用情報提供スペースには、前記接客用情報提供スペースを前記待機者が待機するスペースと遮断する扉が備えられていて、
前記待機者情報受付手段が受け付けた待機者の状況から待機者の存在が確認されると、前記扉を閉めるための処理を実行する扉閉鎖手段を備えること
を特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の情報提供制御装置。
【請求項6】
前記コンテンツ出力手段により出力されたコンテンツの再生中に、前記待機者情報受付手段が受け付けた待機者の状況が、待機者が増加したと判断される所定の条件に該当することが確認されると、再生中のコンテンツの再生時間を短縮又は前記コンテンツを終了するための処理を実行する情報出力制御手段を備えること
を特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の情報提供制御装置。
【請求項7】
待機者が待機するスペースと区切られた接客用情報提供スペースにおける顧客への情報提供を制御する情報提供制御装置であって、
前記接客用情報提供スペースの利用を開始する利用者に関する情報を受け付ける利用者情報受付手段と、
前記接客用情報提供スペースを利用するために待機中の待機者の状況に関する情報を受け付ける待機者情報受付手段と、
前記接客用情報提供スペースにおいて、前記利用者のために再生するコンテンツを再生装置に出力するコンテンツ出力手段と、
前記コンテンツ出力手段により出力されたコンテンツの再生中に、前記待機者情報受付手段が受け付けた待機者の状況が、待機者が増加したと判断される所定の条件に該当することが確認されると、再生中のコンテンツの再生時間を短縮又は前記コンテンツを終了するための処理を実行する情報出力制御手段と、
を備えることを特徴とする情報提供制御装置。
【請求項8】
前記情報出力制御手段は、前記利用者のステータスが所定の優遇条件に合致する場合は、前記コンテンツの再生時間を短縮若しくは前記コンテンツを終了するための処理を実行しない、又は前記待機者の状況が同等で前記利用者のステータスが前記優遇条件に合致しない場合に比べて、前記コンテンツの再生時間の短縮幅を小さく若しくは前記コンテンツの終了までの時間を長く設定すること
を特徴とする請求項7記載の情報提供制御装置。
【請求項9】
前記情報出力制御手段は、前記待機者情報受付手段が受け付けた待機者の状況から待機者の増加の程度が大きいと判断されるほど、前記コンテンツの再生時間の短縮幅を大きく又は前記コンテンツの終了までの時間を短く設定すること
を特徴とする請求項7又は8記載の情報提供制御装置。
【請求項10】
前記待機者情報受付手段は、待機中の各々の待機者に関する情報を受け付けて、
前記情報出力制御手段は、前記待機者情報受付手段が受け付けた待機者の状況と待機者各々のステータスから、ステータスが所定の優遇条件に合致する待機者が待機していると判断される場合は、前記待機者の状況が同等で前記ステータスが前記優遇条件に合致する待機者が待機していないと判断される場合に比べて、前記コンテンツの再生時間の短縮幅を大きく又は前記コンテンツの終了までの時間を短く設定すること
を特徴とする請求項7乃至9いずれかに記載の情報提供制御装置。
【請求項11】
前記接客用情報提供スペースには、前記接客用情報提供スペースを前記待機者が待機するスペースと遮断する扉が備えられていて、
前記待機者情報受付手段が受け付けた待機者の状況から待機者の発生が確認されると、前記扉を閉めるための処理を実行する扉閉鎖手段を備えること
を特徴とする請求項7乃至10いずれかに記載の情報提供制御装置。
【請求項12】
待機者が待機するスペースと区切られた接客用情報提供スペースにおける顧客への情報提供を制御する情報提供制御装置によって実行される情報提供の制御方法であって、
前記情報提供制御装置が、前記接客用情報提供スペースの利用を開始する利用者に関する情報を受け付ける利用者情報受付ステップと、
前記情報提供制御装置が、前記接客用情報提供スペースを利用するために待機中の待機者の状況に関する情報を受け付ける待機者情報受付ステップと、
前記情報提供制御装置が、前記接客用情報提供スペースにおいて前記利用者のために再生するコンテンツの初期条件として設定される再生時間を、前記待機者の状況に基づき決定し、前記コンテンツを再生装置に出力するコンテンツ出力ステップと、を有し、
前記コンテンツ出力ステップにおいて、前記情報提供制御装置は、前記待機者の状況から所定の条件に合致する待機者の存在が確認される場合は、待機者の存在が確認されない場合に比べて、前記コンテンツの初期条件として設定される再生時間を短い時間に設定すること
を特徴とする情報提供の制御方法。
【請求項13】
待機者が待機するスペースと区切られた接客用情報提供スペースにおける顧客への情報提供を制御する情報提供制御装置によって実行される情報提供の制御方法であって、
前記情報提供制御装置が、前記接客用情報提供スペースの利用を開始する利用者に関する情報を受け付ける利用者情報受付ステップと、
前記情報提供制御装置が、前記接客用情報提供スペースを利用するために待機中の待機者の状況に関する情報を受け付ける待機者情報受付ステップと、
前記情報提供制御装置が、前記接客用情報提供スペースにおいて、前記利用者のために再生するコンテンツを再生装置に出力するコンテンツ出力ステップと、
前記情報提供制御装置が、前記コンテンツ出力ステップで出力されたコンテンツの再生中に、前記待機者情報受付ステップで受け付けた待機者の状況が、待機者が増加したと判断される所定の条件に該当することが確認されると、再生中のコンテンツの再生時間を短縮又は前記コンテンツを終了するための処理を実行する情報出力制御ステップと、
を有することを特徴とする情報提供の制御方法。
【請求項14】
待機者が待機するスペースと区切られた接客用情報提供スペースにおける顧客への情報提供を制御する情報提供制御システムであって、
前記接客用情報提供スペースの利用を開始する利用者に関する情報を受け付ける利用者情報受付手段、
前記接客用情報提供スペースを利用するために待機中の待機者の状況に関する情報を受け付ける待機者情報受付手段、
前記接客用情報提供スペースにおいて前記利用者のために再生するコンテンツの初期条件として設定される再生時間を、前記待機者の状況に基づき決定し、前記コンテンツを再生装置に出力するコンテンツ出力手段を備え、前記コンテンツ出力手段が、前記待機者の状況から所定の条件に合致する待機者の存在が確認される場合は、待機者の存在が確認されない場合に比べて、前記コンテンツの初期条件として設定される再生時間を短い時間に設定する情報提供制御装置と、
前記コンテンツ出力手段によって出力されるコンテンツを再生する再生装置と、
前記待機情報受付手段が情報を受け付ける待機中の待機者の状況を検知する検知装置と、
を少なくとも含んでなることを特徴とする情報提供制御システム。
【請求項15】
待機者が待機するスペースと区切られた接客用情報提供スペースにおける顧客への情報提供を制御する情報提供制御システムであって、
前記接客用情報提供スペースの利用を開始する利用者に関する情報を受け付ける利用者情報受付手段、
前記接客用情報提供スペースを利用するために待機中の待機者の状況に関する情報を受け付ける待機者情報受付手段、
前記接客用情報提供スペースにおいて、前記利用者のために再生するコンテンツを再生装置に出力するコンテンツ出力手段、
前記コンテンツ出力手段により出力されたコンテンツの再生中に、前記待機者情報受付手段が受け付けた待機者の状況が、待機者が増加したと判断される所定の条件に該当することが確認されると、再生中のコンテンツの再生時間を短縮又は前記コンテンツを終了するための処理を実行する情報出力制御手段を備える情報提供制御装置と、
前記コンテンツ出力手段によって出力されるコンテンツを再生する再生装置と、
前記待機情報受付手段が情報を受け付ける待機中の待機者の状況を検知する検知装置と、
を少なくとも含んでなることを特徴とする情報提供制御システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小売店等に設けられる接客用情報提供スペースにおける情報提供制御装置、情報提供の制御方法及び情報提供制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドラッグストアやコンビニエンスストア等の小売店では、商品の販売を促進する取組みの一つとして、販売を促進したい商品に関する情報の提供や、顧客に商品の購入を促すための値引きや試供品との交換に用いることができるクーポンの発行、商品の購入に用いることができるポイント加算等の特典の付与が、店舗に設置されたKIOSK端末を用いて行われている。
【0003】
このようなKIOSK端末は、来店した顧客に推奨する商品やお買い得商品を選択するボタンが画面に表示され、いずれかのボタンを押下すると、その商品に関連するクーポンが出力されるといった形態での利用が一般的であるが(例えば、特許文献1の図2図6等参照)、エンターテイメント性を加えた対戦型のゲーム形式とすることで、利用の促進を図る発明も開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5738460号公報
【特許文献2】特許第6585228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これからの小売店には、人手をかけることなくパーソナライズされた接客機能を高めるための手段として、店舗に設置されるKIOSK端末にもクーポンの発券以外にも様々な機能が求められるようになると考えられるが、特許文献2に記載されたようなエンターテイメント性を高める機能の他、顧客からの相談への対応やパーソナライズされた商品提案といったコンシェルジュ機能もその一つになる。コンシェルジュ機能の一例として、購買履歴等を用いた顧客との対話(例えば「お客様、先週はカミソリを買われましたが、替刃はお手元にありますか?」と話しかける)機能をKIOSK端末に備えるケースを想定すると、次のような問題が発生することが予想される。
【0006】
第1に、音や映像を使ってパーソナライズされた情報を顧客に提供しようとする場合、現在小売店の店頭で一般に利用されているKIOSK端末の形態だと、個人的な情報が周囲の人にも伝わってしまうおそれがある、あるいは、店内でゲームをしている姿を周囲の人に見られてしまうのが恥ずかしい、といった利用者のプライバシーに関する問題が顕在化することが懸念される。
【0007】
第2に、パーソナライズされた接客機能やエンターテイメント性を高める機能が追加されると、一人あたりの利用時間が長くなってしまうことが予想され、現在も小売店の店頭でKIOSK端末に待ち行列が発生してしまうことがあるが、待機者ができるだけ生じないようにする対策が、より重要な課題になると考えられる。
【0008】
本発明は、このような課題に対応するためになされたものであり、利用者のプライバシーに配慮された空間で、待ち行列を抑制しながら利用者への情報提供を可能にする、小売店等に設けられる接客用情報提供スペースにおける情報提供制御装置、情報提供の制御方法及び情報提供制御システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、待機者が待機するスペースと区切られた接客用情報提供スペースで顧客に情報を提供するためのコンテンツを再生することによって、情報提供時における利用者のプライバシーに配慮するとともに、接客用情報提供スペースの利用開始時、あるいはコンテンツ再生中における待機者の状況に応じて、コンテンツの再生時間の初期設定、コンテンツ再生中の再生時間短縮や再生終了等を行うことによって、待ち行列の抑制にも効果的な構成を実現する。
【0010】
本発明に係る課題を解決する第1の発明は、待機者が待機するスペースと区切られた接客用情報提供スペースにおける顧客への情報提供を制御する情報提供制御装置であって、前記接客用情報提供スペースの利用を開始する利用者に関する情報を受け付ける利用者情報受付手段と、前記接客用情報提供スペースを利用するために待機中の待機者の状況に関する情報を受け付ける待機者情報受付手段と、前記接客用情報提供スペースにおいて前記利用者のために再生するコンテンツの初期条件として設定される再生時間を、前記待機者の状況に基づき決定し、前記コンテンツを再生装置に出力するコンテンツ出力手段と、を備え、前記コンテンツ出力手段は、前記待機者の状況から所定の条件に合致する待機者の存在が確認される場合は、待機者の存在が確認されない場合に比べて、前記コンテンツの初期条件として設定される再生時間を短い時間に設定することを特徴とする情報提供制御装置である。
【0011】
第1の発明では、接客用情報提供スペースの利用開始時において、待機者の状況に応じて利用者のために再生するコンテンツの再生時間を調整し、待機者が一定数(1名でも複数名でもよい)存在する場合は、待機者が存在しない場合に比べて、再生時間を短い時間に設定する。尚、ここで初期条件として設定されるコンテンツの再生時間は、連続して自動再生される1つのコンテンツの再生が終了するまでの時間(例えば、再生に5分を要するコンテンツであれば「再生時間」は5分となる。)であってもよいし、所定の制限時間内であれば利用者が複数のコンテンツを順に選択して再生可能なケースにおいて、次のコンテンツを選択することが許容される制限時間(例えば、5分を経過するまで次のコンテンツの選択が許容されるケースでは「再生時間」は5分となる。)や、複数のコンテンツを再生することが可能な合計時間(例えば、複数コンテンツの再生に要する合計時間が5分以内に制限されるケースでは「再生時間」は5分となる。)であってもよい。
【0012】
また、第1の発明において、前記コンテンツ出力手段は、前記利用者のステータスが所定の優遇条件に合致する場合は、前記待機者の状況が同等で前記利用者のステータスが前記優遇条件に合致しない場合に比べて、前記コンテンツの初期条件として設定される再生時間を長い時間に設定することを特徴とすることもできる。
【0013】
このように構成すると、店舗への来店頻度が高い、あるいは購入金額が多いといった得意客が利用者である場合は、再生時間を比較的長く設定することによって、待ち行列の抑制と顧客サービスのバランスを調整することが可能になる。
【0014】
また、第1の発明において、前記コンテンツ出力手段は、前記待機者情報受付手段が受け付けた待機者の状況から待機者が多いと判断されるほど、前記コンテンツの初期条件として設定される再生時間を短い時間に設定することを特徴とすることもできる。
【0015】
このように構成すると、待ち行列が長くなっている場合には、コンテンツの再生時間をできるだけ短く設定することによって、待ち行列の状態の悪化を抑制することが可能になる。
【0016】
また、第1の発明において、前記待機者情報受付手段は、待機中の各々の待機者に関する情報を受け付けて、前記コンテンツ出力手段は、前記待機者情報受付手段が受け付けた待機者の状況と待機者各々のステータスから、ステータスが所定の優遇条件に合致する待機者が待機していると判断される場合は、前記待機者の状況が同等で前記ステータスが前記優遇条件に合致する待機者が待機していないと判断される場合に比べて、前記コンテンツの初期条件として設定される再生時間を短い時間に設定することを特徴とすることもできる。
【0017】
このように構成すると、店舗への来店頻度が高い、あるいは購入金額が多いといった得意客が待機者に含まれている場合は、再生時間が比較的短くなるように初期設定を行うことによって、待ち行列の抑制と顧客サービスのバランスを調整することが可能になる。
【0018】
また、第1の発明は、前記接客用情報提供スペースには、前記接客用情報提供スペースを前記待機者が待機するスペースと遮断する扉が備えられていて、前記待機者情報受付手段が受け付けた待機者の状況から待機者の存在が確認されると、前記扉を閉めるための処理を実行する扉閉鎖手段を備えることを特徴とすることもできる。
【0019】
このように構成すると、利用者がコンテンツを視聴する際には、利用者がコンテンツを視聴している接客用情報提供スペースが、待機者が待機するスペースと扉によって遮断されるので、再生されるコンテンツに利用者のプライバシーに関連する情報が含まれる場合にも、安心して利用しやすい空間を提供することが可能になる。尚、ここで用いられる扉の構造は特に限定されるものではなく、例えば、スライド式の2枚の扉が左右に移動して開閉するもの、スライド式の1枚の扉が左右に移動して開閉するもの、シャッター状の扉が上下に移動して開閉するもの、透明のガラス扉が不透明になって視界を遮断するもの等を用いることができる。
【0020】
また、第1の発明は、前記コンテンツ出力手段により出力されたコンテンツの再生中に、前記待機者情報受付手段が受け付けた待機者の状況が、待機者が増加したと判断される所定の条件に該当することが確認されると、再生中のコンテンツの再生時間を短縮又は前記コンテンツを終了するための処理を実行する情報出力制御手段を備えることを特徴とすることもできる。
【0021】
このように構成すると、接客用情報提供スペースの利用開始時のみでなく、コンテンツの再生中に待機者が増加したケースにおいても、コンテンツの再生時間を短縮、又はコンテンツを終了することによって、待ち行列の状態の悪化を抑制することが可能になる。
【0022】
本発明に係る課題を解決する第2の発明は、待機者が待機するスペースと区切られた接客用情報提供スペースにおける顧客への情報提供を制御する情報提供制御装置であって、前記接客用情報提供スペースの利用を開始する利用者に関する情報を受け付ける利用者情報受付手段と、前記接客用情報提供スペースを利用するために待機中の待機者の状況に関する情報を受け付ける待機者情報受付手段と、前記接客用情報提供スペースにおいて、前記利用者のために再生するコンテンツを再生装置に出力するコンテンツ出力手段と、前記コンテンツ出力手段により出力されたコンテンツの再生中に、前記待機者情報受付手段が受け付けた待機者の状況が、待機者が増加したと判断される所定の条件に該当することが確認されると、再生中のコンテンツの再生時間を短縮又は前記コンテンツを終了するための処理を実行する情報出力制御手段と、を備えることを特徴とする情報提供制御装置である。
【0023】
第2の発明では、接客用情報提供スペースにおけるコンテンツの再生中に、待機者が増加したと判断される所定の条件(増加した人数や増加を判断する時間の間隔は、特に限定されるものではない。)に該当することが確認された場合に、コンテンツの再生時間を短縮、又はコンテンツを終了するための処理を実行する。尚、ここで行われるコンテンツの再生時間の短縮は、連続して自動再生される1つのコンテンツの全部又は一部を圧縮して再生時間を短縮するものであってもよいし、所定の制限時間内であれば利用者が複数のコンテンツを順に選択して再生可能なケースにおいて、次のコンテンツを選択することが許容される制限時間や、複数のコンテンツを再生することが可能な合計時間を短縮するものであってもよい。
【0024】
また、第2の発明において、前記情報出力制御手段は、前記利用者のステータスが所定の優遇条件に合致する場合は、前記コンテンツの再生時間を短縮若しくは前記コンテンツを終了するための処理を実行しない、又は前記待機者の状況が同等で前記利用者のステータスが前記優遇条件に合致しない場合に比べて、前記コンテンツの再生時間の短縮幅を小さく若しくは前記コンテンツの終了までの時間を長く設定することを特徴とすることもできる。
【0025】
このように構成すると、店舗への来店頻度が高い、あるいは購入金額が多いといった得意客が利用者である場合は、コンテンツを短縮又は終了しない、あるいは短縮や終了の影響が比較的軽微になるように設定することによって、待ち行列の抑制と顧客サービスのバランスを調整することが可能になる。
【0026】
また、第2の発明において、前記情報出力制御手段は、前記待機者情報受付手段が受け付けた待機者の状況から待機者の増加の程度が大きいと判断されるほど、前記コンテンツの再生時間の短縮幅を大きく又は前記コンテンツの終了までの時間を短く設定することを特徴とすることもできる。
【0027】
このように構成すると、コンテンツの再生中に待ち行列が長くなってきた場合には、その後のコンテンツの再生時間ができるだけ短くなるように設定することによって、待ち行列の状態の悪化を抑制することが可能になる。
【0028】
また、第2の発明において、前記待機者情報受付手段は、待機中の各々の待機者に関する情報を受け付けて、前記情報出力制御手段は、前記待機者情報受付手段が受け付けた待機者の状況と待機者各々のステータスから、ステータスが所定の優遇条件に合致する待機者が待機していると判断される場合は、前記待機者の状況が同等で前記ステータスが前記優遇条件に合致する待機者が待機していないと判断される場合に比べて、前記コンテンツの再生時間の短縮幅を大きく又は前記コンテンツの終了までの時間を短く設定することを特徴とすることもできる。
【0029】
このように構成すると、店舗への来店頻度が高い、あるいは購入金額が多いといった得意客が待機者に含まれている場合は、その後の再生時間が比較的短くなるように設定することによって、待ち行列の抑制と顧客サービスのバランスを調整することが可能になる。
【0030】
また、第2の発明は、前記接客用情報提供スペースには、前記接客用情報提供スペースを前記待機者が待機するスペースと遮断する扉が備えられていて、前記待機者情報受付手段が受け付けた待機者の状況から待機者の発生が確認されると、前記扉を閉めるための処理を実行する扉閉鎖手段を備えることを特徴とすることもできる。
【0031】
このように構成すると、利用者がコンテンツを視聴している間に、利用開始時には存在しなかった待機者が発生した場合には、利用者のいる接客用情報提供スペースが、待機者が待機するスペースと扉によって遮断されるので、再生されるコンテンツに利用者のプライバシーに関連する情報が含まれる場合にも、安心して利用しやすい空間を提供することが可能になる。尚、ここで用いられる扉の構造が特に限定されるものではないことは、第1の発明と同様である。
【0032】
本発明は、本発明に係る情報提供制御装置によって実行される、情報提供の制御方法として特定することもできる。
【0033】
第1の発明に対応する情報提供の制御方法は、待機者が待機するスペースと区切られた接客用情報提供スペースにおける顧客への情報提供を制御する情報提供制御装置によって実行される情報提供の制御方法であって、前記情報提供制御装置が、前記接客用情報提供スペースの利用を開始する利用者に関する情報を受け付ける利用者情報受付ステップと、前記情報提供制御装置が、前記接客用情報提供スペースを利用するために待機中の待機者の状況に関する情報を受け付ける待機者情報受付ステップと、前記情報提供制御装置が、前記接客用情報提供スペースにおいて前記利用者のために再生するコンテンツの初期条件として設定される再生時間を、前記待機者の状況に基づき決定し、前記コンテンツを再生装置に出力するコンテンツ出力ステップと、を有し、前記コンテンツ出力ステップにおいて、前記情報提供制御装置は、前記待機者の状況から所定の条件に合致する待機者の存在が確認される場合は、待機者の存在が確認されない場合に比べて、前記コンテンツの初期条件として設定される再生時間を短い時間に設定することを特徴とする情報提供の制御方法である。
【0034】
また、第1の発明に対応する情報提供の制御方法は、先に説明した情報提供制御装置に関する第1の発明の各々の構成によって実行される、情報提供の制御方法として特定することもできる。
【0035】
第2の発明に対応する情報提供の制御方法は、待機者が待機するスペースと区切られた接客用情報提供スペースにおける顧客への情報提供を制御する情報提供制御装置によって実行される情報提供の制御方法であって、前記情報提供制御装置が、前記接客用情報提供スペースの利用を開始する利用者に関する情報を受け付ける利用者情報受付ステップと、前記情報提供制御装置が、前記接客用情報提供スペースを利用するために待機中の待機者の状況に関する情報を受け付ける待機者情報受付ステップと、前記情報提供制御装置が、前記接客用情報提供スペースにおいて、前記利用者のために再生するコンテンツを再生装置に出力するコンテンツ出力ステップと、前記情報提供制御装置が、前記コンテンツ出力ステップで出力されたコンテンツの再生中に、前記待機者情報受付ステップで受け付けた待機者の状況が、待機者が増加したと判断される所定の条件に該当することが確認されると、再生中のコンテンツの再生時間を短縮又は前記コンテンツを終了するための処理を実行する情報出力制御ステップと、を有することを特徴とする情報提供の制御方法である。
【0036】
また、第2の発明に対応する情報提供の制御方法は、先に説明した情報提供制御装置に関する第2の発明の各々の構成によって実行される、情報提供の制御方法として特定することもできる。
【0037】
本発明は、本発明に係る情報提供制御装置を含む情報提供制御システムとして特定することもできる。
【0038】
第1の発明に対応する情報提供制御システムは、待機者が待機するスペースと区切られた接客用情報提供スペースにおける顧客への情報提供を制御する情報提供制御システムであって、前記接客用情報提供スペースの利用を開始する利用者に関する情報を受け付ける利用者情報受付手段、前記接客用情報提供スペースを利用するために待機中の待機者の状況に関する情報を受け付ける待機者情報受付手段、前記接客用情報提供スペースにおいて前記利用者のために再生するコンテンツの初期条件として設定される再生時間を、前記待機者の状況に基づき決定し、前記コンテンツを再生装置に出力するコンテンツ出力手段を備え、前記コンテンツ出力手段が、前記待機者の状況から所定の条件に合致する待機者の存在が確認される場合は、待機者の存在が確認されない場合に比べて、前記コンテンツの初期条件として設定される再生時間を短い時間に設定する情報提供制御装置と、前記コンテンツ出力手段によって出力されるコンテンツを再生する再生装置と、前記待機情報受付手段が情報を受け付ける待機中の待機者の状況を検知する検知装置と、を少なくとも含んでなることを特徴とする情報提供制御システムである。
【0039】
また、第1の発明に対応する情報提供制御システムは、先に説明した情報提供制御装置に関する第1の発明の各々の構成を含む情報提供システムとして特定することもできる。
【0040】
第2の発明に対応する情報提供制御システムは、待機者が待機するスペースと区切られた接客用情報提供スペースにおける顧客への情報提供を制御する情報提供制御システムであって、前記接客用情報提供スペースの利用を開始する利用者に関する情報を受け付ける利用者情報受付手段、前記接客用情報提供スペースを利用するために待機中の待機者の状況に関する情報を受け付ける待機者情報受付手段、前記接客用情報提供スペースにおいて、前記利用者のために再生するコンテンツを再生装置に出力するコンテンツ出力手段、前記コンテンツ出力手段により出力されたコンテンツの再生中に、前記待機者情報受付手段が受け付けた待機者の状況が、待機者が増加したと判断される所定の条件に該当することが確認されると、再生中のコンテンツの再生時間を短縮又は前記コンテンツを終了するための処理を実行する情報出力制御手段を備える情報提供制御装置と、前記コンテンツ出力手段によって出力されるコンテンツを再生する再生装置と、前記待機情報受付手段が情報を受け付ける待機中の待機者の状況を検知する検知装置と、を少なくとも含んでなることを特徴とする情報提供制御システムである。
【0041】
また、第2の発明に対応する情報提供制御システムは、先に説明した情報提供制御装置に関する第2の発明の各々の構成を含む情報提供システムとして特定することもできる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によると、小売店等に設けられる接客用情報提供スペースにおいて、利用者のプライバシーに配慮しながら、利用者に様々な情報を提供するためのコンテンツを再生し、こうした設備の導入時に懸念される待ち行列の発生という問題に対しても、顧客サービスとのバランスも考慮しながら対処できるので、待ち行列の抑制に効果的な構成が実現される。
【0043】
これによって、小売店は、パーソナライズされた情報提供等による顧客サービスの向上を推進できるとともに、顧客には、商品の購入に止まらないリアル店舗の新しい楽しみが提供されることを期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明の第1の実施形態によって実現される接客用情報提供スペースの一例を示す図である。
図2】本発明の第2の実施形態によって実現される接客用情報提供スペースの一例を示す図である。
図3】本発明によって実現される接客用情報提供スペースの店舗内における設置場所の例を示す図である。
図4】本発明の他の実施形態によって実現される接客用情報提供スペースの一例を示す図である。
図5】本発明の第1の実施形態における接客用情報提供スペースの構成の一例を示すブロック図である。
図6】本発明の第2の実施形態における接客用情報提供スペースの構成の一例を示すブロック図である。
図7】本発明に係る情報提供制御装置による処理フローの一例を示すフローチャートである。
図8】利用者のステータスに応じて再生中のコンテンツの再生時間の短縮等を判断する例を示す図である。
図9】待機者のステータスに応じて再生中のコンテンツの再生時間の短縮等を判断する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明を実施するための形態について、図面を用いて以下に詳細に説明する。尚、以下の説明は本発明の実施形態を例示するものであって、接客用情報提供スペースの形態、大きさや機能、店内における配置、コンテンツの再生時間の設定や短縮等の方法など、本発明は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0046】
図1図2は、本発明によって実現される接客用情報提供スペースの例を示している。本発明によって実現される接客用情報提供スペース10は、ドラッグストアやコンビニエンスストア等の小売店、あるいは銀行や携帯ショップ等のサービス店舗の入口付近等に設けられる。図1図2の例では、ブース形式の接客用情報提供スペース10が3つ並んでいるが、各々のスペースには大型ディスプレイ等のコンテンツ再生装置13が備えられ、利用者向けにパーソナライズされた商品紹介等のコンテンツが画面上に再生される。
【0047】
利用者が再生されたコンテンツを視聴する接客用情報提供スペース10の入口には、接客用情報提供スペース10を利用するために待機中の待機者が待機するスペースと遮断して、利用者のプライバシーを確保するための自動開閉式扉15が設けられていて、接客用情報提供スペース10の利用開始時に待機者が存在する場合は利用開始時に、利用開始時には待機者が存在しなかったがコンテンツの再生中に待機者が発生した場合は待機者の発生が確認された時に、自動開閉式扉15が自動的に閉められる。
【0048】
尚、自動開閉式扉15はコンテンツの映像や音声を遮ることができる構造であればよく、例えば、スライド式の2枚の扉が左右に移動して開閉する扉、スライド式の1枚の扉が左右に移動して開閉する扉、シャッター状の扉が上下に移動して開閉する扉、透明のガラス扉が不透明になって視界を遮断する構造の扉などを用いることができるが、遮断式の扉以外の手段(例えば、特定の角度からの映像を不可視化するコンテンツ再生装置13の採用や、特定の人にしか音声が聞こえない指向性スピーカーの採用、外部に音声を遮断する音波発生装置の設置等)によって代替することとしてもよい。
【0049】
待機者が待機するスペースにおける待機者の存在は、第1の実施形態を示す図1では待機者検知センサ20、第2の実施形態を示す図2ではカードスキャナ40によって、それぞれ検知される。図1では、待機者検知センサ20によって待機者が待機するスペースが監視され、検知された人の存在から待機者の状況が把握される。カードスキャナ12は、接客用情報提供スペース10に入室した利用者が小売店等の会員カードや会員アプリがインストールされたスマートフォン等をタッチすることで、利用者の特定に用いられる。図2では、待機者が待機を開始する際に会員カード等をカードスキャナ40にタッチすることで、カードスキャナ40が読み取った情報から待機者の状況が把握される。利用者には接客用情報提供スペース10への入室時にもカードスキャナ40への会員カード等のタッチを求めることで、利用者を特定することが可能である。
【0050】
本発明では、接客用情報提供スペース10の利用開始時に待機者の存在が確認されると、待機者の状況に応じて利用者のために再生するコンテンツの初期条件として設定される再生時間が決定される。所定の条件(待機者が1名でも複数名でもよい)に合致する待機者の存在が確認される場合は、待機者の存在が確認されない場合に比べて、コンテンツの再生時間を短い時間に設定することによって、混雑時にはコンテンツの再生をなるべく早く終了させ、待ち行列の状態の悪化を抑制することができる。
【0051】
また、接客用情報提供スペース10においてコンテンツが再生されている間にも、待機者が増加したと判断される所定の条件(増加した人数や増加を判断する時間の間隔は、特に限定されるものではない。)に該当することが確認されると、再生中のコンテンツの再生時間を短縮、又はコンテンツを終了するための処理を実行することによって、コンテンツの再生をなるべく早く終了させ、待ち行列の状態の悪化を抑制することが可能となっている。
【0052】
こうしたコンテンツの再生時間の初期条件の設定、あるいはコンテンツの再生時間の短縮処理の実行等において、利用者のステータスが、店舗への来店頻度が高い、あるいは購入金額が多いといった得意客であることを示す優遇条件に合致する場合には、待機者の存在によるコンテンツの短縮等の影響が比較的軽微になるように設定することによって、待ち行列の抑制と顧客サービスのバランスを調整することが可能である。
【0053】
カードスキャナ40によって待機者のステータスも確認することができる、図2に示した第2の実施形態では、優遇条件に合致する待機者が存在すれば、逆にコンテンツの再生をなるべく早く終了させるよう設定することによって、待ち行列の抑制と顧客サービスのバランスを調整することも可能である。
【0054】
接客用情報提供スペース10に設けられる試供品等提供装置14には、視聴するコンテンツに合わせて利用者に推奨する商品の試供品等が格納されているが、コンテンツの再生終了後等のタイミングで施錠された鍵が自動的に開錠されて、利用者はそこから試供品を取得することができる。また、試供品等提供装置14をプリンタに置き換えて、商品を有利な条件で購入できたり試供品と交換できたりするクーポン等をプリンタに出力する構成としてもよい。
【0055】
図3は、本発明によって実現される接客用情報提供スペース10の、小売店やサービス店舗等の店舗内における設置場所の例を示したものである。店舗内における接客用情報提供スペース10の位置や数は特に限定されるものではなく、例えば、図3の(1)のように店舗の入口から見た側面側の壁際に、複数の接客用情報提供スペース10を並べて設置してもよいし、図3の(2)のように店舗の入口に沿った壁際に、複数の接客用情報提供スペース10を並べで設置することとしてもよい。あるいは店舗内に限らず、店舗の入口前にゲート状に設置してもよいし、店舗の敷地内の他の建物内に設置することとしてもよい。
【0056】
また、接客用情報提供スペース10の内部におけるコンテンツ再生装置13の配置は、図1図2の例のように、入口となる自動開閉式扉15の正面の位置に限定されるものではなく、例えば図4に示したように、接客用情報提供スペース10を店舗の入口に並行する位置に、入店する顧客が通過できるように設置し、コンテンツ再生装置13を接客用情報提供スペース10の側面に設けて、接客用情報提供スペース10を通過した利用者がそのまま店舗内に入る構造としてもよい。
【0057】
接客用情報提供スペース10の形状についても、図1-3に例示した直方体状のブース型や図4に示したゲート型に限定されるものではなく、例えば、ドーム型の形状や、それ自体が店舗等の様々な建物を模した形状を採用して、エンターテイメント色を強めた外観にしてもよい。
【0058】
図5図6は、それぞれ本発明の第1、第2の実施形態における接客用情報提供スペース10の構成の一例を、機能ブロックで示したブロック図である。図5において、情報提供制御装置11が本発明に係る情報提供制御装置に対応する。本発明に係る情報提供制御システムは、情報提供制御装置11とコンテンツ再生装置13、待機者検知センサ20(図6ではカードスキャナ40)を含んで構成される。
【0059】
図5の情報提供制御装置11には、インターネット等のネットワークに接続されて通信機能を有し、CPU、メインメモリ、HDD等の補助記憶装置を備えたコンピュータが用いられ、接客用情報提供スペース10内に設置されている。情報提供制御装置11の設置場所は特に限定されるものではなく、大型ディスプレイ等のコンテンツ再生装置13と一体で形成されてもよいし、コンテンツ再生装置13の背面、あるいは接客用情報提供スペース10の壁の内部や天井等に設置されるものであってもよい。
【0060】
情報提供制御装置11は、本発明に必要なコンテンツの再生や待機者発生時の再生時間の短縮処理等の機能を有するが、それ以外の機能は特に限定されるものではなく、例えば、接客用情報提供スペース10内の環境測定や利用中の利用者の映像記録などの他の機能を備えるものであってもよい。
【0061】
情報提供制御装置11の会員ID受付部111、情報呼出部112、情報出力制御部113、コンテンツ出力部114、待機状況確認部115、試供品等提供部116は、いずれも機能的に特定されるものであって、HDD等の補助記憶装置に格納された各部の機能に対応するプログラムがメインメモリに読み出され、CPUで演算処理を実行することによって、各部に対応する機能が実現される。
【0062】
カードスキャナ12には、小売店等の顧客である利用者が保有する、小売店等の会員カードや会員アプリがインストールされたスマートフォン等から、利用者を識別可能な会員ID等の情報を読み取ることが可能なスキャナが用いられる。図6のカードスキャナ40にも、同様のスキャナを用いることができるが、図5のカードスキャナ12が接客用情報提供スペース10の内部に設けられるのに対して、図6のカードスキャナ40は接客用情報提供スペース10の外部に設置される。
【0063】
コンテンツ再生装置13は、利用者向けにパーソナライズされた商品紹介等のコンテンツを再生する装置で、液晶や有機EL等の大型ディスプレイを用いることとすればよいが、無地の壁面にプロジェクタでコンテンツを投影するなど、大型ディスプレイ以外の機器を用いることとしてもよい。また、利用者が複数のコンテンツを選択して再生できる実施形態等では、利用者による選択操作等が可能となるように、例えば、コンテンツ再生装置13にタッチ操作が可能なタッチディスプレイを採用することとしてもよいし、利用者が操作可能なタブレット型コンピュータ等の端末や、音声での操作が可能となるように音声認識機能を備えたマイクを、コンテンツ再生装置13に併設することとしてもよい。この場合、コンテンツ再生装置13は利用者の操作等を受け付ける機能を備え、コンテンツ出力部114はコンテンツ再生装置13からの利用者の操作情報等を受け付ける機能を備えることになる。
【0064】
試供品等提供装置14には、例えば、一又は二以上の扉と各々の扉の内部には試供品を収納できる収納部が備えられ、各々の扉の鍵が電子的に施錠された電子ロッカーを用いることとすればよく、情報提供制御装置11からの命令に応じて、コンテンツの再生終了後等に指定された扉の鍵が開錠され、利用者は扉の内部に収納された試供品を取り出すことができる。試供品等提供装置14をクーポンの発券が可能なプリンタに置き換えて、情報提供制御装置11からの命令に応じて、商品を有利な条件で購入できたり試供品と交換できたりするクーポンをプリンタに出力して発券する構成としてもよい。
【0065】
自動開閉式扉15は、利用者が再生されたコンテンツを視聴する接客用情報提供スペース10と、接客用情報提供スペース10を利用するために待機中の待機者が待機するスペースとを遮断して、利用者のプライバシーを確保するための扉であり、その物理的な構造は特に限定されるものではない。自動開閉式扉15は、情報提供制御装置11からの命令に応じて自動開閉される。
【0066】
待機者検知センサ20は、接客用情報提供スペース10を利用するために待機中の待機者が待機するスペースを監視して、新たな待機者の発生などの待機者の状況を検知するセンサであり、人の存在を検知する機能を有するものであれば、その技術的な構成は特に限定されるものではない。待機者検知センサ20から情報提供制御装置11に対しては、待機者を検知したことをリアルタイムで通知することとしてもよいし、所定の間隔で待機者の状況に関する情報を通知することとしてもよい。
【0067】
情報提供サーバ30は、インターネット等のネットワークを介して情報提供制御装11と通信するサーバコンピュータで、CPU、メインメモリ、HDD等の補助記憶装置が備えられている。情報提供サーバ30では、補助記憶装置に格納されたプログラムがメインメモリに読み出され、CPUで演算処理を実行することによって所定の機能が実現される。
【0068】
情報提供サーバ30を構成するコンピュータの構成は特に限定されるものではなく、情報提供制御装11との間の本発明に必要な情報の通信機能に加え、他の機能が同一のコンピュータに備えられるものであってもよい。本発明に必要な各々の機能は、物理的に一台のコンピュータによって実現されるものであってもよいし、複数のコンピュータを用いて実現されるものであってもよい。
【0069】
情報提供サーバ30の情報提供部33(図6では情報提供部33及び待機者確認部34)は、機能的に特定されるものであって、HDD等の補助記憶装置に格納された情報提供部33の機能に対応するプログラムがメインメモリに読み出され、CPUで演算処理を実行することによって、情報提供部33の機能が実現される。
【0070】
情報提供サーバ30の会員情報格納部31、コンテンツ・商品情報格納部32には、情報提供サーバ30を構成するコンピュータに備えられるHDD等の補助記憶装置の記憶領域が割り当てられる。これらの記憶領域は物理的に一台のコンピュータに設けられることを要件とするものではなく、複数のコンピュータに分散して設けられるものであってもよい。
【0071】
以上に説明した構成を前提に、図7に示したフローチャートに沿って、本発明に係る情報提供制御装置に対応する情報提供制御装置11の処理フローを説明する。
【0072】
店舗の開店時等に接客用情報提供スペース10の稼働が開始された際、あるいは先の利用者が退出して接客用情報提供スペース10が空室となった後に(このタイミングで自動開閉式扉15は開いた状態となっている)、新たな利用者が接客用情報提供スペース10に入室すると、第1の実施形態では、入室した利用者がカードスキャナ12に会員カード等をタッチして、第2の実施形態では、入室前の利用者がカードスキャナ40に会員カード等をタッチして、利用者を識別する会員IDを読み取らせると、読み取られた会員IDが会員ID受付部111で受け付けられる(S01)。
【0073】
これとあわせて、第1の実施形態では、待機者検知センサ20が検知した接客用情報提供スペース10を利用するために待機中の待機者の人数等の待機者の状況が、第2の実施形態では、自らの会員カード等をカードスキャナ40にタッチした(第2の実施形態で接客用情報提供スペース10を利用する利用者は、待機用スペースでの待機開始時及び利用開始時の接客用情報提供スペース10への入室前に、それぞれカードスキャナ40に会員カード等をタッチする運用とする)接客用情報提供スペース10を利用するために待機中の待機者の人数等の待機者の状況が、待機状況確認部115で確認される(S02)。こうした待機者の状況に関する助法は、待機者検知センサ20やカードスキャナ40から待機者や待機を止めた者の検知をリアルタイムで待機状況確認部115に送信し、待機人数を演算して待機状況確認部115で保持しておくこととしてもよいし、待機人数の演算を待機者検知センサ20やカードスキャナ40で実行して保持し、待機状況確認部115に送信することとしてもよい。
【0074】
尚、ここで待機者の存在が確認された場合には、利用者のプライバシーを確保するために、接客用情報提供スペース10を待機者が待機するスペースから遮断する自動開閉扉15を閉めるための処理を実行することとすればよい。
【0075】
会員ID受付部111で受け付けた、会員ID等の接客用情報提供スペース10の利用を開始する利用者に関する情報は、情報呼出部112から情報提供サーバ30に送信される(S03)。これを受信した情報提供サーバ30では、情報提供部33が起動され、受信した会員IDをキーに会員情報格納部31を検索して、各々の会員について店舗への来店頻度や購入金額に基づき会員のマスタ情報に設定されている利用者のステータス(得意客に該当する所定のステータスが付与された会員には、様々な優遇サービスが提供される。)を特定する。
【0076】
また、会員情報格納部31に格納された利用者の属性や購買履歴等に基づいて、接客用情報提供スペース10で当該利用者のために再生される商品紹介等のコンテンツを決定し、そのコンテンツを再生するためのファイルをコンテンツ・商品情報格納部32から呼び出す。再生するコンテンツは、連続して自動再生される1つのコンテンツであってもよいし、所定の再生時間内であれば利用者の選択によって順に再生することが可能な複数のコンテンツであってもよい。後者の場合、例えば、利用者にお勧めの複数の商品を紹介するコンテンツと各々の商品について詳しく紹介するコンテンツ、利用者が関心のあるカテゴリーのトレンドを紹介するコンテンツ、本日のお買い得商品を紹介するコンテンツなどから、利用者が視聴したいコンテンツを選んで再生することができる。
【0077】
さらに、会員情報格納部31に格納された利用者の属性や購買履歴等に基づいて、当該利用者に提供する試供品(例えば、再生するコンテンツで紹介する商品の試供品を提供することとすればよい。)とその試供品が収納されている試供品等提供装置14の扉番号、あるいは当該利用者に提供する商品を有利な条件で購入できたり試供品と交換できたりするクーポンを試供品等提供装置14(この場合はプリンタ)に出力するために必要な情報を、コンテンツ・商品情報格納部32から呼び出すこととしてもよい。
【0078】
これらの利用者のステータス、再生されるコンテンツ、試供品(又はクーポン)に関する情報は、情報提供部33から情報提供制御装置11に送信されて、情報提供制御装置11の情報呼出部112がこれらの情報を受信する(S04)。続いて情報出力制御部113が起動されて、以下の処理が実行される。
【0079】
まず、利用者のために再生するコンテンツの再生条件として、コンテンツの再生時間を初期条件に設定するが(S06及びS09)、コンテンツの再生が可能な再生時間は、S02において待機状況確認部115で確認された待機人数等の接客用情報提供スペース10を利用するために待機中の待機者の状況に関する情報と、S04において情報呼出部112が受信した利用者のステータスの、両方又はいずれか一方に基づいて決定される。
【0080】
待機者の状況については、少なくとも所定の条件(1名でも複数名でもよい)に合致する待機者の存在が確認される場合は、待機者の存在が確認されない場合に比べて、初期条件として設定される再生時間を短い時間に設定することによって、待ち行列の抑制に配慮した構成とすることができる。さらに、待機者が多いと判断されるほど、初期条件として設定される再生時間を短い時間に設定する(例えば、本来は5分である初期条件として設定される再生時間を、待機者が1名であれば4分、待機者が2名であれば3分、待機者が3名であれば2分、待機者が4名以上であれば最低限確保される1分に、それぞれ設定する。)ことによって、待機者の状況に応じたきめ細かな調整を行うことも可能である。
【0081】
利用者のステータスについては、利用者のステータスが所定の優遇条件に合致する優遇会員に該当する場合は、待機者の状況が同等(待機人数が完全一致する場合だけでなく、混雑の程度が同水準と判断される程度に待機人数が近似する場合も含む。以降も「同等」は同じ意味とする。)で利用者のステータスが当該優遇条件に合致しない場合に比べて、初期条件として設定されるコンテンツの再生時間を長い時間に設定する。これによって、利用者が店舗への来店頻度が高い、あるいは購入金額が多いといった得意客である場合には、混雑時であっても提供するコンテンツの短縮の程度を抑えることができるので、待ち行列の抑制と顧客サービスのバランスを調整することが可能になる。
【0082】
その他に、第2の実施形態ではカードスキャナ40で読み取った情報で待機者のステータスを把握することができるため、待機者のステータスを初期条件として設定されるコンテンツの再生時間に反映することも可能である。待機者が待機用スペースで待機を始める際に、カードスキャナ40に会員カード等をタッチさせて会員IDを読み取らせ、読み取られた会員IDを待機状況確認部115から情報提供サーバ30の待機者確認部34に照会することによって、会員情報格納部31で確認可能な待機者それぞれのステータスを把握することができる。優遇会員に該当する待機者が待機していると判断される場合は、待機者の状況が同等で優遇会員に該当する者が待機していないと判断される場合に比べて、初期条件として設定される再生時間を短い時間に設定することによって、得意客が待機している場合はコンテンツを早めに終了させることが可能になる。
【0083】
ここで初期条件として設定される再生時間が、S04で受信したコンテンツの再生時間に収まらない場合は、情報出力制御部113で再生時間の調整が行われる。再生時間の調整方法は特に限定されるものではないが、連続して自動再生される1つのコンテンツであれば、コンテンツの一部をカットする、コンテンツの全部又は一部を早送りで再生するといった方法が考えられる。再生時間内に利用者の選択によって順に再生することが可能な複数のコンテンツが対象である場合は、次のコンテンツの再生要求が受け付けられなくなる時間を再生時間として設定することとすればよい(この場合、設定される再生時間は、コンテンツが再生される時間ではなく、新たなコンテンツ再生の受け付けが可能な時間となり、再生時間経過後に利用者が次のコンテンツを選択しようとすると、例えば「それではお買い物をお楽しみください」といったメッセージが流れてコンテンツの再生が終了し、自動開閉式扉15が開くこととしてもよい)。
【0084】
以上のようにして、再生するコンテンツの初期条件として設定される再生時間を含むコンテンツの再生条件が設定されると(S06及びS09)、コンテンツ出力部114からコンテンツ再生装置13にコンテンツが出力され、コンテンツの再生が開始されるが(S07及びS10)、ここからのフローは、利用者のステータスが所定の優遇条件に合致する優遇会員に該当するか否か(S05がYesかNoか)によって相違する。
【0085】
接客用情報提供スペース10においてコンテンツが再生されている間も、待機者検知センサ20によって(図6の第2の実施形態ではカードスキャナ40への会員カード等のタッチによって)、接客用情報提供スペース10を利用するために待機中の待機者の人数等の待機者の状況が監視され、待機状況確認部115で待機者が増加したと判断される所定の条件(増加した人数や増加を判断する時間の間隔は特に限定されるものではない。)に該当することが確認されると(S11がYes)、再生中のコンテンツの再生時間を短縮するための処理、又はコンテンツを中断して終了するための処理といった再生条件を変更する処理が情報出力制御部113において実行され(S12)、こうした待機者の監視と再生条件を変更する処理が、再生時間が経過してコンテンツの再生が終了するまで(S13がYes)、継続される(S10-S13)。
【0086】
このケースでも、増加した待機者が多いと判断されるほど、短縮される再生時間を長い時間に設定する(例えば、待機者が1名増加する毎に最低限確保する時間を残して1分ずつ短縮する)、又はコンテンツを中断して終了するまでの時間を短く設定する(例えば、待機者が1名増加しただけなら1分後に終了するが、2名以上増加すれば直ちに終了する)ことによって、待機者の状況に応じたきめ細かな調整を行うことも可能である。
【0087】
利用者のステータスが所定の優遇条件に合致せず優遇会員に該当しない場合は、これまでに説明した処理(S09-S13)が実行されるが、利用者のステータスが所定の優遇条件に合致する優遇会員に該当する場合は、こうしたコンテンツの再生時間を短縮若しくはコンテンツを終了するための処理を実行しない、又は、待機者の状況が同等で利用者のステータスが所定の優遇条件に合致せず優遇会員に該当しない場合に比べて、コンテンツの再生時間の短縮幅を小さく、若しくはコンテンツを中断して終了するまでの時間を長く設定することによって、得意客である利用者が接客用情報提供スペース10を利用する場合にはできるだけ本来の再生時間を確保して、待ち行列の抑制と顧客サービスのバランスを調整することができる。
【0088】
図7のフローチャートは、利用者のステータスが所定の優遇条件に合致する優遇会員に該当する場合には、コンテンツの再生時間を短縮する処理やコンテンツを終了する処理を実行しない処理フローの例を示していて、コンテンツの再生が開始されると(S07)、待機者が増加する状況が生じたとしても、初期条件として設定された再生時間が経過してコンテンツの再生が終了するまで(S08がYes)、コンテンツの再生が継続される(S07-S08)。
【0089】
尚、この場合も優遇会員に該当しない場合(S09-S13)と同様に、待機者が増加すればコンテンツの再生時間を短縮する処理やコンテンツを終了する処理を実行することとしてもよいが、その場合、待機者の状況が同等で優遇会員に該当しない場合に比べると、コンテンツの再生時間の短縮幅を小さく設定する(例えば、待機者が1名増加する毎に優遇会員でなければ1分ずつ短縮するところを、優遇会員であれば30秒ずつ短縮する、あるいは待機者が2名増加する毎に1分ずつ短縮する)、又はコンテンツの終了までの時間を長く設定する(例えば、優遇会員でなければ待機者が1名でも増加したら直ちに終了するところを、優遇会員であれば1分後に終了する、あるいは2名以上増加するまで終了しない)ことによって、得意客に配慮しながら、待ち行列の抑制と顧客サービスのバランスを調整することが可能である。
【0090】
図8は、こうした利用者のステータスの違いに応じて、再生中のコンテンツの再生時間の短縮等を判断する例を示しているが、この例では、接客用情報提供スペース10の利用者が優遇会員に該当しない一般会員であれば、待機者が3名以上発生すればコンテンツの再生時間を短縮する処理やコンテンツを終了する処理が実行されるが、利用者が優遇会員に該当すれば、待機者が3名以上発生してもコンテンツの再生時間を短縮する処理やコンテンツを終了する処理は実行されず、優遇会員である利用者は初期設定通りのコンテンツを楽しめることになる。
【0091】
さらに、待機者側のステータスに応じて、以下のように運用することもできる。コンテンツの再生中に新たに発生した待機者について、第2の実施形態ではカードスキャナ40で読み取った情報で待機者のステータスを把握することができるため、待機者のステータスをコンテンツの再生時間の短縮やコンテンツを終了する再生条件の変更に反映することも可能である。待機者が待機用スペースで待機を始める際に、会員カード等をカードスキャナ40にタッチして会員IDを読み取らせ、読み取られた会員IDを待機状況確認部115から情報提供サーバ30の待機者確認部34に照会することによって、会員情報格納部31に格納された会員のマスタ情報を参照して、待機者それぞれのステータスを把握することができる。
【0092】
優遇会員に該当する待機者が待機していると判断される場合は、待機者の状況が同等で優遇会員に該当する者が待機していないと判断される場合に比べて、コンテンツの再生時間の短縮幅を大きく設定する(例えば、優遇会員が待機していなければ待機者が2名増加する毎に1分ずつ短縮するところを、待機者に優遇会員が含まれていれば2分ずつ短縮する、あるいは優遇会員の待機者が1名でも発生すれば1分ずつ短縮する)、又はコンテンツの終了までの時間を短く設定する(例えば、優遇会員が含まれなければ待機者が3名増加したら1分後に終了するところを、優遇会員の待機者が1名でも発生すれば増加人数が3名に至らなくても1分後に終了する、あるいは優遇会員の待機者が1名でも発生すれば直ちに終了する)ことによって、得意客の待機が発生した場合は再生中のコンテンツを早めに終了させることが可能になる。
【0093】
図9は、こうした待機者のステータスの違いに応じて、再生中のコンテンツの再生時間の短縮等を判断する例を示しているが、この例では、待機者が3名以上発生すればコンテンツの再生時間を短縮する処理やコンテンツを終了する処理が実行される前提で、優遇会員に該当しない一般会員が2名待機しても、コンテンツの再生時間を短縮する処理やコンテンツを終了する処理は実行されないが、優遇会員に該当する待機者が発生した場合には、待機者が3名に満たなくてもコンテンツの再生時間を短縮する処理やコンテンツを終了する処理が実行され、優遇会員の待ち時間を比較的短くすることが可能になる。
【0094】
尚、接客用情報提供スペース10の利用開始時に待機者の存在が確認されないと、自動開閉式扉15は開放されたままとなっていることがあるが(待機者の有無に関わらず、接客用情報提供スペース10に利用者が入室したら自動開閉扉15を閉める運用としてもよい)、その場合にコンテンツの再生中に待機者が発生したことが待機状況確認部115で検知されると、利用者のプライバシーを確保するために、自動開閉扉15を閉めるための処理を実行することとすればよい。
【0095】
コンテンツの再生が終了すると(S08又はS13がYes)、S04で受信した試供品(又はクーポン)に関する情報に基づいて、利用者に試供品(又はクーポン)を提供するための処理が行われる。
【0096】
具体的には、利用者に提供する試供品が収納されている試供品等提供装置14の扉番号に関する情報が試供品等提供部116に引き渡され、試供品等提供部116から試供品等提供装置14に、指定された扉番号の電子的に施錠された鍵を開錠する命令が送信される。これを受信した試供品等提供装置14では、指定された扉の鍵が自動開錠されるので、利用者はここから試供品を取り出すことができる。あるいは、商品を有利な条件で購入できたり試供品と交換できたりするクーポンを試供品等提供装置14に出力するために必要な情報が試供品等提供部116に引き渡され、試供品等提供部116からプリンタ機能を有する試供品等提供装置14に送信される。この情報を受信したプリンタ機能を有する試供品等提供装置14からクーポンが発券されて、利用者はクーポンを受け取ることができる。
【0097】
コンテンツの再生が終了したか否かの判断(S08及びS13)については、1つのコンテンツが連続して自動再生されるケースでは、コンテンツ出力部114から出力したコンテンツの再生時間(初期設定として設定された再生時間又は短縮された再生時間)が経過してコンテンツの再生が終了したかが、情報出力制御部113において判断される。所定の制限時間内であれば利用者が複数のコンテンツを順に選択して再生可能なケースにおいては、例えば、再生中のコンテンツが終了して利用者が行った次のコンテンツの選択操作を受け付けた際に、再生時間が超過していないかを情報出力制御部113で判断することとすればよい。
【0098】
以上のように、本発明では、接客用情報提供スペース10の利用開始時と、コンテンツの再生中のそれぞれにおける待機者の状況に応じて、再生時間の初期設定や再生時間の短縮等の再生条件の変更を行い、待機者が多ければコンテンツの再生時間を短く設定することで待ち行列の状態の悪化を抑制することとしているが、本発明は、接客用情報提供スペース10の利用開始時、コンテンツの再生中の両方のタイミングにおける待機者の状況の反映したコンテンツの再生時間の設定等を必須の要件とするものではなく、いずれか一方のみにおいて待機者の状況を反映した処理を実行することとしてもよい。
【0099】
また、利用者又は待機者のステータスに基づくコンテンツの再生時間や短縮幅等の判断についても、それぞれ接客用情報提供スペース10の利用開始時、コンテンツの再生中のどのタイミングで行われるか、利用者と待機者のステータスの両方を反映するか、いずれか一方のみを反映するかは特に限定されるものではなく、利用者又は待機者のステータスをコンテンツの再生時間や短縮幅等の判断に用いない形で、本発明を運用することも可能である。
【符号の説明】
【0100】
10 接客用情報提供スペース
11 情報提供制御装置
111 会員ID受付部
112 情報呼出部
113 情報出力制御部
114 コンテンツ出力部
115 待機状況確認部
116 試供品等提供部
12 カードスキャナ
13 コンテンツ再生装置
14 試供品等提供装置
15 自動開閉式扉
20 待機者検知センサ
30 情報提供サーバ
31 会員情報格納部
32 コンテンツ・商品情報格納部
33 情報提供部
34 待機者確認部
40 カードスキャナ
図1
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