(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096743
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】芝育成装置
(51)【国際特許分類】
A01G 20/10 20180101AFI20230630BHJP
A01G 7/00 20060101ALI20230630BHJP
A01G 25/02 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
A01G20/10
A01G7/00 601A
A01G7/00 604D
A01G25/02 602B
A01G7/00 603
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212697
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】十河 潔司
【テーマコード(参考)】
2B022
【Fターム(参考)】
2B022AB02
2B022AB06
2B022DA01
(57)【要約】
【課題】効率的かつ的確に芝を育成するための芝育成装置を提供する。
【解決手段】天然芝の育成装置20は、前記天然芝に光を照射する照明装置24を支持する照明フレーム24a~24cと、照明フレーム24a~24cを支持し、移動可能な脚部L1,L2と、脚部L1,L2に設けた送風装置25と、天然芝に散水する散水装置26と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然芝に光を照射する照明装置を支持する照明フレームと、
前記照明フレームを支持し、移動可能な脚部と、
前記脚部に設けた送風装置と、
前記天然芝に散水する散水装置と、を備えることを特徴とする芝育成装置。
【請求項2】
前記散水装置を、前記脚部に設けたことを特徴とする請求項1に記載の芝育成装置。
【請求項3】
前記散水装置を、前記照明フレームに設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の芝育成装置。
【請求項4】
芝状態を検知する芝状態センサを更に備え、
前記芝状態センサによって検知した芝状態に応じて、前記照明装置、前記送風装置、前記散水装置の少なくとも一つを制御することを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の芝育成装置。
【請求項5】
前記天然芝が植えられたグランドの状態を検知する土状態センサを更に備え、
前記土状態センサによって検知した土状態に応じて、前記照明装置、前記送風装置、前記散水装置の少なくとも一つを制御することを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の芝育成装置。
【請求項6】
前記天然芝が植えられたグランドの利用情報を取得し、
前記利用情報に応じて、前記照明装置、前記送風装置、前記散水装置の少なくとも一つを制御することを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の芝育成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポーツ等に用いられるグランドの芝(ターフ)を育成する芝育成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サッカーや陸上競技等を行なう建築物として、芝(ターフ)を用いたピッチを備えているスタジアムがある。このスタジアムには、競技規則上の必要性や安全性、又は使用時の感触の点から、天然芝を用いているものもある。しかし、天然芝は、激しい運動等によって傷みやすく、また、天候による太陽光の照射状態や通気性によって生育状態が変化するため、育成することが難しい。そこで、天然芝を育成するために、ピッチに人工光を照射する方法や照明装置が検討されている(例えば、特許文献1,2,3参照。)。
【0003】
特許文献1には、赤色、緑色、青色の発光素子からなる光源を持ち、躯体が起伏自在で移動自在な天然芝育成照明装置が記載されている。天然芝育成照明装置は、起立状態で場内の照明装置として機能し、伏状態においては天然芝の成長促進・修復を図る。
【0004】
また、特許文献2には、競技場の天井に設置された光源を、天然芝に近づけて補光する技術が開示されている。
また、特許文献3には、グランドに植栽された天然芝の育成システムが開示されている。この天然芝育成システムは、天然芝が植栽されたグランド上を移動可能な移動式構造体と、移動式構造体に設置されてグランドに光を照射可能な光源と、移動式構造体に設置されてグランドに空気を送風可能な送風機と、を備える。更に、天然芝の育成に影響を与えるグランドの環境状態を検知し、環境状態検知手段の検知結果に基づいて光源及び送風機の作動を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2012/147391号
【特許文献2】特開2001-78573号公報
【特許文献3】特開2020-14438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、芝は、環境に大きく影響される。このため、適切な環境を実現できなければ、芝の育成が困難である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する芝育成装置は、天然芝に光を照射する照明装置を支持する照明フレームと、前記照明フレームを支持し、移動可能な脚部と、前記脚部に設けた送風装置と、前記天然芝に散水する散水装置と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、効率的かつ的確に芝を育成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】実施形態の芝育成装置の展開の説明図である。
【
図4】実施形態の芝育成装置の展開の説明図である。
【
図5】実施形態の芝育成装置の脚部の説明図である。
【
図7】実施形態のハードウェア構成の説明図である。
【
図8】実施形態の育成条件の説明図であって、(a)は送風と照明、(b)は送風、照明及び散水の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、
図1~
図8を用いて、芝育成装置を具体化した実施形態について説明する。本実施形態の芝育成装置は、サッカー等を行なう競技場のグランド(地面)に植えられた天然芝を育成する。
【0011】
本実施形態では、
図1~
図3に示す育成装置20を用いる。育成装置20は、グランドに配置して天然芝を育成するための装置である。
図1~
図3は、それぞれ育成装置20の上面図、側面図、脚部の拡大図である。
図4は、折り曲げていた脚部を伸ばした説明図である。
図5は、育成装置の脚部の側面図である。
【0012】
図1に示すように、育成装置20は、2つの脚部L1,L2により立設している。各脚部L1,L2は、それぞれ2輪の車輪20aにより、グランドに立設されており、移動可能である。車輪20aとして、ターフタイヤや球状のタイヤ(例えばオムニホイール(登録商標)など)を用いる。各車輪20aは、支持台20bに回転可能に固定される。支持台20bには、支持柱20cが鉛直方向に固定される。この支持柱20cは、上端において、照明フレーム24a,24b,24cを支持する。
【0013】
照明フレーム24aは、例えば、約10mであり、2本の支持柱20c間に架け渡される。
図2に示すように、脚部L1の支持柱20cは、照明フレーム24a,24bを支持し、脚部L2の支持柱20cは、照明フレーム24a,24cを支持する。
【0014】
脚部L1,L2の上部において、照明フレーム24a,24b間、照明フレーム24a,24c間には、それぞれ蝶番20dが設けられている。照明フレーム24b,24cは、例えば、それぞれ照明フレーム24aの約半分長さ(5m)である。
【0015】
図3に示すように、この蝶番20dにより、照明フレーム24aに対して、照明フレーム24b,24cの角度を変更することができる。
図4に示すように、照明フレーム24a、24b,24cを直線状に配置することも可能である。
【0016】
また、
図1、2に示すように、脚部L2はハンドル20eを備える。このハンドル20eは、育成装置20の移動時の走行方向の制御に用いられる。
図1、
図5に示すように、支持台20bには、センサ23が設けられている。
【0017】
センサ23は、気温、湿度、風速、光量、芝状態、土状態を計測する。
具体的には、センサ23には、気温を計測する温度計(温度センサ)、湿度を計測する湿度計(湿度センサ)、風速を計測する風速計、光量を計測する光量計が含まれる。
【0018】
更に、センサ23は、画像処理を用いて、芝状態(育成状態)を計測する芝状態センサを含む。例えば、マルチスペクトラルセンサを用いて、天然芝のスペクトル反射特性を取得する。植物は、光合成色素の働きで可視域の電磁波を吸収し(反射が弱くなる)、近赤外域の反射率(NIR)の電磁波を強く反射する特性を有する。植生の分布状況や活性度は、吸収帯域である赤色の波長域と、吸収しにくい近赤外線の波長域の相関関係を利用した式で計算される。その値は、植生指標(NDVI:Normalized Difference Vegetation Index)で表される。
【0019】
センサ23は、グランドの乾燥状態を計測する土壌水分計(土状態センサ)を含む。土壌の誘電特性を利用したセンサ(TDR法、TDT法、ADR法等)や、マトリックポテンシャル(土壌が水分を吸収する力)を利用しセンサ(テンシオメーター方式等)を用いる。この土壌水分計においては、土壌中にプローヴ等を挿入して計測する。この挿入は、手作業による手動や、アクチュエータを利用した自動で行なうようにしてもよい。
なお、芝状態センサ、土状態センサは、これらに限定されるものではない。
【0020】
照明フレーム24aの下面には、それぞれ18個の直管形状の照明装置24が吊下される。また、照明フレーム24b,24cの下面には、それぞれ9個の直管形状の照明装置24が吊下される。この照明装置24は、複数のナトリウムランプ(橙色)が並べられて配置される。照明装置24は、人工光を下方に向かって照射する。ナトリウムランプを用いることにより、グランドとの距離(空間)を確保することができる。この空間を利用して、送風や散水を行なうことができる。
【0021】
また、各脚部L1,L2の支持柱20cの両側には、送風装置25及び散水装置26が、水平面で回動可能に設けられている。送風装置25は、左右で高さ位置が異なる。
支持柱20cの両側には、送風装置25が、水平面で回動可能に設けられている。この送風装置25は、ファンを備え、このファンを用いてグランドへの送風を行なう。この送風装置25は、ファンの回転速度を変更することにより風速を変更する。送風装置25は、支持柱20cの両側で反対方向に向けられており、異なる方向に送風可能である。
【0022】
支持柱20cの両側には、更に、散水装置26が設けられている。散水装置26は、ホースに接続された散水ノズルを備える。散水装置26は、ホースから供給された水を、散水ノズルを介して、グランドに散布する。なお、ミストによる散布を行なってもよい。散水装置26は、支持柱20cの両側で反対方向に向けられており、異なる方向に散水可能である。
【0023】
(芝育成システム)
図6に示すように、育成装置20は、ネットワークを介して接続された管理装置U1を含めた芝育成システムA1として用いられる。
【0024】
管理装置U1は、天然芝の管理者(グリーンキーパー)が用いるコンピュータ端末である。
育成装置20は、制御装置C1、育成条件記憶部C2、移動支援部M1、展開支援部M2を備えている。
【0025】
(ハードウェア構成例)
図7は、管理装置U1、制御装置C1等として機能する情報処理装置H10のハードウェア構成例である。
【0026】
情報処理装置H10は、通信装置H11、入力装置H12、表示装置H13、記憶装置H14、プロセッサH15を有する。なお、このハードウェア構成は一例であり、他のハードウェアを有していてもよい。
【0027】
通信装置H11は、他の装置との間で通信経路を確立して、データの送受信を実行するインタフェースであり、例えばネットワークインタフェースカードや無線インタフェース等である。
【0028】
入力装置H12は、ユーザ等からの入力を受け付ける装置であり、例えばマウスやキーボード等である。表示装置H13は、各種情報を表示するディスプレイやタッチパネル等である。
【0029】
記憶装置H14は、管理装置U1、制御装置C1の各種機能を実行するためのデータや各種プログラムを格納する記憶装置である。記憶装置H14の一例としては、ROM、RAM、ハードディスク等がある。
【0030】
プロセッサH15は、記憶装置H14に記憶されるプログラムやデータを用いて、管理装置U1、制御装置C1における各処理を制御する。プロセッサH15の一例としては、例えばCPUやMPU等がある。このプロセッサH15は、ROM等に記憶されるプログラムをRAMに展開して、各種処理に対応する各種プロセスを実行する。例えば、プロセッサH15は、管理装置U1、制御装置C1のアプリケーションプログラムが起動された場合、後述する各処理を実行するプロセスを動作させる。
【0031】
プロセッサH15は、自身が実行するすべての処理についてソフトウェア処理を行なうものに限られない。例えば、プロセッサH15は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行なう専用のハードウェア回路(例えば、特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。すなわち、プロセッサH15は、以下等で構成し得る。
【0032】
(システム構成)
制御装置C1は、育成条件記憶部C2を用いて、センサ23の検出結果に応じて、照明装置24、送風装置25、散水装置26を制御する。制御装置C1、移動支援部M1、展開支援部M2、センサ23、照明装置24、送風装置25、散水装置26を、外部の電源線から供給された電力で駆動したり、育成装置20内のバッテリから供給された電力で駆動したりしてもよい。
【0033】
育成条件記憶部C2には、気温、湿度、風速、光量、芝状態、土状態に対して、照明条件、送風条件、散水条件に関するデータが記録される。照明条件は、照明強度等を用いて設定する。照明強度は、例えば、ナトリウムランプの点灯本数により調節する。送風条件は、風速や送風時間を用いて設定する。散水条件は、単位時間当たりの散水量や散水時間等を用いて設定する。例えば、播種や補修の直後の芝状態に応じた植生指標の場合には、散水を多くする条件を設定する。また、冬期等の日照不足の場合には、照度を上げる照明条件を用いる。この場合、土状態において、土の乾燥時にも、散水を多くする条件を設定する。
【0034】
例えば、
図8(a)に示すように、夏期等の高温多湿時には、送風を強くする送風条件を用いる。この送風は、支持柱20cの両側に対して行なわれる。
また、
図8(b)に示すように、送風条件と散水条件とを併用してもよい。この送風及び散水も、支持柱20cの両側に対して行なわれる。
【0035】
そして、制御装置C1は、芝状態、土状態、制御状態に関する情報を管理装置U1に送信する。
移動支援部M1は、車輪20aを電動モーターにより駆動する。移動支援部M1は、作業者のハンドル20eの牽引操作により、車輪20aの回転を検知した場合、回転をアシストする。
【0036】
展開支援部M2は、照明フレーム24b,24cの水平面での回動を行なう。展開支援部M2は、作業者の展開操作により、照明フレーム24b,24cの回動を検知した場合、電動モーターを駆動して回転をアシストする。この回動により、照明フレーム24b,24cを、折り畳み状態から伸長状態に変更したり、伸長状態から折り畳み状態に変更したりする。
【0037】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、照明フレーム24a~24cに、直管形状の照明装置24が吊下される。人工光を下方に向かって照射することにより、効率的に、グランドの天然芝にナトリウムランプ光を照射することができる。これにより、照明装置24のグランドからの距離を確保して、天然芝育成に適した光強度に調節することができる。また、育成装置20内の通気性を確保することができる。
【0038】
(2)本実施形態では照明フレーム24a,24b間、照明フレーム24a,24c間には、それぞれ蝶番20dが設けられている。蝶番20dにより、照明フレーム24aに対して、照明フレーム24b,24cの角度を変更することができる。照明フレーム24b,24cを、照明フレーム24aに密着できるので、小面積に収納可能である。また、照明フレーム24b,24cを、照明フレーム24aから離間できるので、大面積を照明できる。
【0039】
(3)本実施形態では、各脚部L1,L2の支持柱20cの両側には、送風装置25が水平面で回動可能に設けられている。これにより、グランドから照明装置24の高さまでの空間において、天然芝に対して、横から自然風と同様に送風することができる。
【0040】
(4)本実施形態では、各脚部L1,L2の支持柱20cの両側には、散水装置26が、水平面で回動可能に設けられている。これにより、グランドから照明装置24の高さまでの空間において、天然芝に対して、横から散水することができる。
【0041】
(5)本実施形態では、育成装置20は、移動支援部M1、展開支援部M2を備える。これにより、育成装置20を用いた作業負担を軽減することができる。
(6)本実施形態では、センサ23は、気温、湿度、風速、光量、芝状態、土状態を検知する。制御装置C1は、育成条件記憶部C2を用いて、センサ23の各種の計測値等に応じて、照明装置24、送風装置25、散水装置26を制御する。これにより、周囲環境だけでなく、芝状態、土状態に応じて、天然芝の育成に適した環境を実現できる。
【0042】
(7)本実施形態では、制御装置C1は、芝状態、土状態、制御状態に関する情報を管理装置U1に送信する。これにより、天然芝の管理者(グリーンキーパー)は、芝状態、土状態を含めた育成状態を把握することができる。
【0043】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態において、各脚部L1,L2の支持柱20cの両側に、散水装置26を設ける。散水装置26の配置は、各脚部L1,L2の支持柱20cに限定されない。例えば、脚部L1,L2に代えて、或いは加えて、照明フレーム24a~24cに複数の散水ノズルからなる散水装置26を設けてもよい。
【0044】
・上記実施形態では、照明フレーム24a~24cに、直管形状の照明装置24が吊下される。ここで、照明フレーム24a~24cの上方に天板を設けてもよい。これにより、降雨時の濡れを抑制できる。また、上方に散乱する照明光を反射させて、照明光を有効活用できる。
【0045】
・上記実施形態では、各脚部L1,L2の支持柱20cにより、照明フレーム24a、24b,24cを支持する。ここで、支持柱20cを、上下に伸縮可能にしてもよい。これにより、グランドからの照明装置24の高さを変更して、照明条件(例えば、照明強度)を変更することができる。
【0046】
・上記実施形態では、制御装置C1は、育成条件記憶部C2を用いて、センサ23の検出結果に応じて、照明装置24、送風装置25、散水装置26を制御する。ここでは、育成条件記憶部C2を用いて、気温、湿度、風速、光量、芝状態、土状態に対して、照明条件、送風条件、散水条件を特定する。照明条件、送風条件、散水条件は、気温、湿度、風速、光量、芝状態、土状態に限定されるものではない。これらの一部や、他の状態を用いてもよい。
【0047】
例えば、グランドの利用情報を用いてもよい。グランドの利用情報として、サッカーや、ラグビー、野球の試合など、グランドで行なわれるイベント種類を特定する。そして、イベント種類に応じて、照明条件、送風条件、散水条件を設定してもよい。
【0048】
また、イベント種類に対して、場所の情報を用いて育成条件を設定してもよい。例えば、サッカーやラグビーの場合、ゴールやコーナーやその他の領域に分ける。野球の場合には、ベース近傍、内野、外野に応じて、育成条件を設定してもよい。
また、季節(年月日の期間)に応じて育成条件を設定してもよい。
【0049】
・上記実施形態では、育成装置20は、移動支援部M1、展開支援部M2を備える。ここでは、作業者の操作よる車輪20aの回転、照明フレーム24b,24cの回動をアシストする。これに代えて、育成装置20を自走させてもよい。例えば、育成装置20は、管理装置U1において入力された育成指示を取得する。この育成指示には、天然芝の育成を行なう場所(目的位置)に関する情報を含める。この場合、制御装置C1は、現在位置から目的位置まで、移動支援部M1の電動モーターにより、車輪20aを駆動して、育成装置20を移動させる。目的位置に到達した場合、制御装置C1は、展開支援部M2の電動モーターにより、照明フレーム24b,24cを回動させる。そして、制御装置C1は、センサ23によって取得した計測値等に応じて、照明装置24、送風装置25、散水装置26を制御する。
また、育成指示を予めスケジューリングしておいてもよい。この場合には、育成装置20の管理装置U1は、現在日時に応じて、スケジューリングされた育成指示を取得する。
【0050】
・上記実施形態では、直管形状をした照明装置24を並列させた。育成装置20の照明装置24の構成は、複数列に照明装置を並べて構成してもよい。更に、交差形状やマトリックス状に構成にしてもよい。これにより、人工光を一度に照射する範囲を広くして、天然芝の育成を広く行なうことができる。
【0051】
・上記実施形態において、育成装置は、制御装置C1を備えている。これに代えて、管理装置U1で集中管理するようにしてもよい。この場合、管理装置U1に育成条件情報記憶部を設け、制御装置C1から取得したセンサ情報に基づいて、照明装置24、送風装置25、散水装置26の動作条件を決定する。そして、管理装置U1は、決定した動作条件に応じて、育成装置20の照明装置24、送風装置25、散水装置26等を制御する。
【符号の説明】
【0052】
20…育成装置、20a…車輪、20b…支持台、20c…支持柱、20d…蝶番、20e…ハンドル、23…センサ、24…照明装置、24a~24c…照明フレーム、25…送風装置、26…散水装置、A1…芝育成システム、C1…制御装置、C2…育成条件記憶部、M1…移動支援部、M2…展開支援部、L1,L2…脚部、U1…管理装置。