(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096761
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】ガスタービンエンジン
(51)【国際特許分類】
F02C 7/18 20060101AFI20230630BHJP
F02C 7/05 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
F02C7/18 E
F02C7/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212733
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【弁理士】
【氏名又は名称】笹沼 崇
(72)【発明者】
【氏名】荒井 博光
(72)【発明者】
【氏名】田中 良造
(72)【発明者】
【氏名】谷口 智紀
(72)【発明者】
【氏名】武藤 吉彦
(57)【要約】
【課題】タービン冷却用の空気に混入した異物粒子を除去することが可能なガスタービンエンジンを提供する。
【解決手段】ガスタービンエンジン(1)において、圧縮機(3)からの空気を、冷却媒体として、周方向に旋回させながらタービン(7)へ供給する冷却空気供給通路(41)であって、空気が導入される導入部(41a)と、前記導入部(41a)を流れる空気を周方向へ偏向させる旋回部(41b)とを備える冷却空気供給通路(41)と、前記旋回部(41b)から分岐して設けられて、空気中の異物粒子(P)を捕捉するチャンバ(45)であって、径方向視における、水平方向に対して前記旋回部(41b)がなす角度をα、前記チャンバ(45)と前記旋回部(41b)とがなす角度をβとしたとき、α≧βの関係を満たすように形成されたチャンバ(45)とを設ける。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から取り込んだ空気を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機で圧縮された空気と燃料との混合気を燃焼させる燃焼器と、
前記燃焼器で生成された燃焼ガスによって駆動されるタービンと、
前記圧縮機からの空気を、冷却媒体として、周方向に旋回させながら前記タービンへ供給する冷却空気供給通路であって、
前記空気が導入される導入部と、
前記導入部を流れる空気を周方向へ偏向させる旋回部と、
を備える冷却空気供給通路と、
前記旋回部から分岐して設けられて、前記空気中の異物粒子を捕捉するチャンバであって、径方向視における、水平方向に対して前記旋回部がなす角度をα、前記チャンバと前記旋回部とがなす角度をβとしたとき、α≧βの関係を満たすように形成されたチャンバと、
を備えるガスタービンエンジン。
【請求項2】
請求項1に記載のガスタービンエンジンにおいて、
リング状のブロック体に前記冷却空気供給通路を形成する複数の冷却空気供給孔が形成されている予旋回ノズル部材をさらに備え、
前記予旋回ノズル部材に前記チャンバが形成されている、
ガスタービンエンジン。
【請求項3】
請求項1または2に記載のガスタービンエンジンにおいて、
前記チャンバに、当該チャンバに流入した異物粒子を捕捉し、かつ空気を通過させるフィルタが設けられている、
ガスタービンエンジン。
【請求項4】
請求項3に記載のガスタービンエンジンおいて、
前記フィルタが前記チャンバに対して着脱可能に設けられている、
ガスタービンエンジン。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のガスタービンエンジンにおいて、
前記チャンバの下流端部に、前記チャンバから排出される空気の流量を調整する流量調整機構が設けられている、
ガスタービンエンジン。
【請求項6】
請求項2および請求項2を引用する請求項3から5のいずれか一項に記載のガスタービンエンジンおいて、
前記チャンバが、前記予旋回ノズル部材に形成された円孔として設けられている、
ガスタービンエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスタービンエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンのタービンは、燃焼器で生成された燃焼ガスの供給を受けて駆動されるので、極めて高い温度に曝される。そこで、例えばタービン動翼内に冷却用の通路を設けるなどにより、圧縮機からの空気を冷却媒体として利用して、タービンを構成する部品を冷却することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ガスタービンエンジンの高効率化のために、圧縮機の動翼とハウジング間の隙間を低減していくと、構成部品同士のラビング(こすれ)などにより、異物粒子が発生する可能性がある。ガスタービンエンジン内の、冷却用空気を供給する通路の上流側(例えば圧縮機)において発生するこのような異物粒子を放置すれば、異物粒子の堆積によって冷却用空気の通路が閉塞され、タービンを十分に冷却できないおそれがある。
【0005】
そこで、本開示の目的は、上記の課題を解決するために、タービン冷却用の空気に混入した異物粒子を除去することが可能なガスタービンエンジンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示に係るガスタービンエンジンは、
外部から取り込んだ空気を圧縮する圧縮機と、
前記圧縮機で圧縮された空気と燃料との混合気を燃焼させる燃焼器と、
前記燃焼器で生成された燃焼ガスによって駆動されるタービンと、
前記圧縮機からの空気を、冷却媒体として、周方向に旋回させながら前記タービンへ供給する冷却空気供給通路であって、
前記空気が導入される導入部と、
前記導入部を流れる空気を周方向へ偏向させる旋回部と、
を備える冷却空気供給通路と、
前記旋回部から分岐して設けられて、前記空気中の異物粒子を捕捉するチャンバであって、径方向視における、水平方向に対して前記旋回部がなす角度をα、前記チャンバと前記旋回部とがなす角度をβとしたとき、α≧βの関係を満たすように形成されたチャンバと、
を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係るガスタービンエンジンによれば、タービン冷却用空気に混入した異物粒子を除去することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態に係るガスタービンエンジンの概略構成を示す部分破断側面図である。
【
図2】
図1のガスタービンエンジンの冷却空気供給通路の周辺部分を拡大して示す縦断面図である。
【
図3】
図1のガスタービンエンジンの冷却空気供給通路を示す正面図である。
【
図4】
図1のガスタービンエンジンの冷却空気供給通路およびチャンバの概略構成を示す、
図3のIV-IV線に沿った断面図である。
【
図5A】
図1のガスタービンエンジンの冷却空気供給通路が下向きの状態を示す断面図である。
【
図5B】
図1のガスタービンエンジンの冷却空気供給通路が上向きの状態を示す断面図である。
【
図6】
図1のガスタービンエンジンの冷却空気供給通路の周辺部分を拡大して示す縦断面図である。
【
図7】
図1のガスタービンエンジンのチャンバに用いられるフィルタおよび流量調整機構を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に、本開示の一実施形態に係るガスタービンエンジン(以下、単に「ガスタービン」と称する。)1を示す。ガスタービン1では、外部から取り入れた空気Aを圧縮機3で圧縮して燃焼器5に導き、この圧縮空気Aと燃料Fとの混合気を燃焼器5で燃焼させ、発生した高温高圧の燃焼ガスBGによりタービン7を駆動する。
【0010】
なお、以下の説明において、ガスタービン1の軸心方向における圧縮機3側を「前側」と呼び、タービン7側を「後側」と呼ぶ。また、以下の説明において、特に示した場合を除き、「軸心方向」,「径方向」および「周方向」とは、それぞれガスタービン1の軸心方向、径方向および周方向を指す。
【0011】
本実施形態では、圧縮機3として軸流型のものを用いている。圧縮機3は、圧縮機ロータ9の外周面に植設された複数の圧縮機動翼11と、圧縮機ハウジング13の内周面に配置された複数の圧縮機静翼15とを備えている。圧縮機3は、これら動翼11と静翼15の組み合わせにより、吸気筒17を介して取り入れた空気を圧縮する。圧縮機3の下流側にはディフューザ19が配置されている。圧縮機3で圧縮された圧縮空気Aは、ディフューザ19から排出されて燃焼器5に送給される。
【0012】
燃焼器5は、圧縮機3から送給された圧縮空気Aに燃料Fを混合して燃焼させ、高温高圧の燃焼ガスBGを発生させる。燃焼器5で生成された燃焼ガスBGは、タービン静翼21(第1段のタービン静翼)からタービン7内に流入する。
【0013】
タービン7は、タービンロータ23と、タービンロータ23を覆うタービンケーシング25とを備えている。タービンケーシング25の内周部には複数のタービン静翼27が所定間隔をおいて取り付けられている。一方、タービンロータ23の外周部には、各段のタービン静翼27の下流側に位置するように複数のタービン動翼29が設けられている。
【0014】
図2に示すように、タービン動翼29は、タービンロータ23の外周に設けられたロータディスク31の外周部に植設されている。この例では、タービン動翼29に、タービン動翼29を冷却するための機構が設けられている。具体的には、冷却空気CAによってタービン動翼29内を冷却するためのタービン動翼内冷却通路33、およびタービン動翼内冷却通路33からの空気を利用してタービン動翼29後端部の外壁面をフィルム冷却するためのフィルム冷却孔35が設けられている。ロータディスク31には、タービン動翼29を冷却するための空気をタービン動翼内冷却通路33へ案内するための冷却空気案内通路37が設けられている。
【0015】
本実施形態では、圧縮機3(
図1)からの空気を、冷却媒体(冷却空気CA)として、周方向に旋回させながらタービン7へ供給する冷却空気供給通路41が設けられている。
図3に示すように、冷却空気供給通路41は、周方向Qに複数並べて配置されている。
図2に示す例では、冷却空気CAは、冷却空気供給通路41からロータディスク31の冷却空気案内通路37へ供給される。もっとも、タービン7における冷却構造は図示した例に限られず、冷却空気供給通路41からの冷却空気CAは、タービン7における冷却構造に応じて適宜の箇所に供給されてよい。
【0016】
具体的には、本実施形態では、冷却空気供給通路41は予旋回ノズル部材43に設けられている。予旋回ノズル部材43は、リング状のブロック体であって、冷却空気供給通路41を形成する複数の冷却空気供給孔が形成されている。図示の例では、予旋回ノズル部材43は、ディフューザ19の後方かつロータディスク31の前方の軸心方向位置に設けられている。また、この例では、予旋回ノズル部材43は、タービン静翼21の径方向内側に配置されている。
【0017】
図4に示すように、各冷却空気供給通路41は、冷却空気CAの冷却空気供給通路41への入口41aaを形成する導入部41aと、導入部41aを流れる冷却空気CAを周方向へ偏向させる旋回部41bとを有する。図示の例では、導入部41aは、軸心方向Cに対して周方向Qに若干傾斜した通路として形成されている。旋回部41bは、導入部41aにおける導入方向Iから周方向Qに角度θ1(以下、この角度を「第1偏向角度」と呼ぶ。)偏向した通路として形成されている。ここでの「導入方向I」とは、冷却空気供給通路の入口41aaにおける冷却空気CAの主流方向である。なお、第1偏向角度θ1は、90°より小さい。このような構造の冷却空気供給通路41が
図3に示すように周方向Qに複数並べて配置されていることにより、冷却空気CAが周方向Qの旋回流として、
図2のタービン7側へ供給される。本実施形態では、冷却空気供給通路41の旋回部41bは、軸心方向Cから径方向R外側へ、ロータディスク31の冷却空気案内通路37にほぼ対応する向きに偏向した通路として形成されている。
【0018】
図4に示すように、本実施形態に係るガスタービン1には、さらに、冷却空気CA中の異物粒子Pを捕捉するチャンバ45が設けられている。チャンバ45は、冷却空気供給通路41の旋回部41bから分岐して設けられている。具体的には、チャンバ45は、旋回部41bにおける上流側部分、すなわち旋回部41bにおける導入部41aに近い部分から分岐している。
【0019】
チャンバ45は、異物粒子Pが混入した冷却空気CAが導入部41aから旋回部41bへ偏向される際の、冷却空気CAと異物粒子Pとに作用する慣性力の違いを利用して、冷却空気CA中の異物粒子Pを捕捉する。具体的には、冷却空気供給通路41の導入部41aの流れ方向とチャンバ45への流入方向とがなす角度θ2(以下、この角度を「第2偏向角度」という。)は、第1偏向角度θ1よりも小さい。換言すれば、図示の例において、チャンバ45は、旋回部41bから後方に向かって分岐している。したがって、冷却空気CAが導入部41aから旋回部41bへ偏向される際に、冷却空気CA中の異物粒子Pに、比重の違いに起因してより大きい慣性力が作用する結果、異物粒子Pが旋回流の外周側を流れてチャンバ45へ流入する。チャンバ45内に流入した異物粒子Pは、チャンバ45内で生じた旋回流によってチャンバ45の内壁面に付着することにより、チャンバ45内に捕捉される。
【0020】
本実施形態では、
図5Aに示すように、チャンバ45は、径方向R視における、水平方向Hに対して冷却空気供給通路41の旋回部41bがなす角度(以下、便宜上、「旋回部角度」と呼ぶ。)をα、チャンバ45と旋回部41bとがなす角度(以下、便宜上、「チャンバ角度」と呼ぶ。)をβとしたとき、α≧βの関係を満たすように形成されている。なお、上記導入方向I(
図4)が水平方向Hに一致する場合は、α=θ1となる。
【0021】
旋回部角度αおよびチャンバ角度βをα≧βの関係を満たすように設定することにより、ガスタービン1が停止しているときに、チャンバ45内に捕捉された異物粒子Pが、再度捕捉することができない冷却空気供給通路41の下流側、つまりタービン7側に落下することが防止される。具体的には、ガスタービン1の停止中は、異物粒子Pを移動させる要因が重力Gのみとなるところ、
図5Aに示すように冷却空気供給通路41の下流端が下向きとなる位置においては、α≧βであることにより、異物粒子Pが冷却空気供給通路41内へ落下することが防止される。なお、
図5Bに示すように冷却空気供給通路41の下流端が上向きとなる位置においては、α≧βであることにより、異物粒子Pが冷却空気供給通路41内へ落下し得るが、落下する場所が冷却空気供給通路41内におけるチャンバ45よりも上流側であるので、ガスタービン1の再始動後に、チャンバ45内に再度捕捉することができる。
【0022】
図4に示す例では、チャンバ45は、旋回部41bの後側壁面において、旋回部41bの長手方向に沿って複数(この例では3つ)設けられている。
図6に示すように、これら複数のチャンバ45は、すべてのチャンバ45の入口45aの全部が、導入部41aの出口(導入部41aと旋回部41bとの境界部分)41abの通路断面の導入方向Iへの投影面47内に位置するように配置されている。なお、「導入部41aの出口41ab」とは、導入部41aの通路内壁面の縦断面における直線状部分が終端する箇所をいう。チャンバ45をこのように配置することは必須ではないが、複数のチャンバ45の入口45aの少なくとも一部が導入部41aの出口41abの通路断面の導入方向Iへの投影面47内に位置するように配置されることが好ましい。このように構成することにより、冷却空気CA中の異物粒子Pの捕捉率を高めることができる。
【0023】
なお、チャンバ45を複数設けることは必須ではなく、1つのチャンバ45のみが設けられていてもよい。この場合にも、導入部41aの出口41abの通路断面の軸心方向Cへの投影面47内に、チャンバ45の入口45aの少なくとも一部が配置されていることが好ましく、全部が配置されていることがより好ましい。
【0024】
本実施形態において、チャンバ45は、予旋回ノズル部材43(
図2)に設けた円孔として形成されている。チャンバ45は円孔以外の形状であってよく、例えば横断面形状が長円形や矩形であってもよいが、円孔とすることにより、予旋回ノズル部材43のようなブロック体にチャンバ45を形成することが容易となる。また、チャンバ45を円孔として形成する場合、(i)円孔の径と旋回部41bの流路幅との関係、(ii)上述した、チャンバ45の入口45aが、導入部41aの出口の通路断面の軸心方向Cへの投影面47内に位置するように配置すること、および(iii)隣接するチャンバ45間の間隔を考慮したうえで、配置可能な最大数のチャンバ45を設けることが好ましい。
【0025】
なお、
図6に示したようにチャンバ45を複数設ける代わりに、これら複数のチャンバ45に相当する領域を含む長円孔形状のチャンバ45を設けてもよい。もっとも、チャンバ45の長さ寸法(チャンバ45の入口45aからの奥行き寸法)に対するチャンバ45の入口45a面積の比率が大きい場合、いったんチャンバ45内に流入したものの、チャンバ45内で捕捉されないまま空気と共に旋回して、冷却空気供給通路41へ流出する異物粒子Pの比率が増大する。したがって、このような観点からも、入口面積の大きい少数のチャンバ45を設けるよりも、より入口面積の小さい多数のチャンバ45を設けることが好ましい。
【0026】
図7に示すように、本実施形態では、チャンバ45に、このチャンバ45に流入した異物粒子Pを捕捉し、冷却空気CAを通過させるフィルタ51が設けられている。フィルタ51は、チャンバ45に着脱可能に設けられている。具体的には、チャンバ45の下流端部に、フィルタ付きの蓋53が嵌合されている。フィルタ51は、想定される異物粒子Pの粒径(例えば数十~100μm程度)に対応できるフィルタであればどのようなものを用いてもよい。
【0027】
また、チャンバ45の下流端部に、チャンバ45から排出される冷却空気CAの流量を調整する流量調整機構55が設けられている。この例では、蓋53の上流側端部にフィルタ51が取り付けられており、蓋53におけるフィルタ51の下流側部分に、流量調整機構55としてオリフィスが設けられている。
【0028】
チャンバ45にフィルタ51を設けることによって、より効率的に異物粒子Pを捕捉することが可能になる。また、フィルタ51を、チャンバ45に着脱可能に設けることにより、フィルタ51の交換やメンテナンスが容易になる。なお、チャンバ45にフィルタ51を設けない場合であっても、チャンバ45の下流端部を着脱可能に取り付けられる蓋53によって覆うことが好ましい。これにより、チャンバ45内のメンテナンス作業が容易になる。
【0029】
なお、蓋53にフィルタ51を設ける場合でも、その下流側に流量調整機構55を設けることは必須ではなく、チャンバ45の下流側から空気が流出可能な空気出口(例えばチャンバ45外部への連通孔)が設けられていてもよい。このような空気出口を設けることにより、チャンバ45内を負圧にして異物粒子Pをチャンバ45内に留める力を作用させることができる。もっとも、流量調整機構55を設けることにより、効率的な異物粒子Pの捕捉を達成するための適切な流量設定、すなわち、チャンバ45を設けることにより生じる冷却空気供給通路41の流量低下を流量調整機構55により補いながら効果的に異物粒子Pを捕捉できる流量の設定が容易になる。
【0030】
なお、本実施形態では、
図2に示すように、予旋回ノズル部材43に設けた冷却空気供給通路41の旋回部41bが、軸心方向Cから径方向R外側へ、ロータディスク31の冷却空気案内通路37にほぼ対応する向きに偏向した通路として形成されている例について説明したが、予旋回ノズル部材43に設けた冷却空気供給通路41の構成はこの例に限定されない。例えば、予旋回ノズル部材43に設けた冷却空気供給通路41の旋回部41bは径方向Rに偏向せず直線状に延びていてもよく、径方向R内側に偏向していてもよい。
【0031】
また、本実施形態では、予旋回ノズル部材43に冷却空気供給通路41を設けた例について説明したが、予旋回ノズル部材43を用いることは必須ではない。例えば、冷却空気供給通路41は、複数の旋回羽根を有するスワーラによって形成されていてもよい。
【0032】
また、本実施形態では、冷却空気CAとして、圧縮機3の下流に設けられたディフューザ19から排出された空気を利用する例について説明したが、ガスタービン1内の他の部分からの空気を冷却空気CAとして利用してもよい。例えば、圧縮機3の途中の段落から抽気した空気を冷却空気CAとして利用してもよい。
【0033】
以上説明したように、本実施形態に係るガスタービン1によれば、異物粒子Pに作用する慣性力を利用して、冷却空気CA中の異物粒子Pをチャンバ45内に捕捉することができる。さらに、チャンバ45は、旋回部角度αがチャンバ角度β以上となるように形成されているので、ガスタービン1の停止中にも、チャンバ45内に捕捉した異物粒子Pがタービン7側に落下することが防止される。したがって、タービン7の冷却空気CAに混入した異物粒子Pを効果的に除去することが可能になる。
【0034】
本実施形態において、リング状のブロック体に冷却空気供給通路41を形成する複数の冷却空気供給孔が形成されている予旋回ノズル部材43をさらに備え、予旋回ノズル部材43にチャンバ45が形成されていてもよい。この場合、例えば、チャンバ45が予旋回ノズル部材43に形成された円孔として設けられていてもよい。この構成によれば、上述の構造を有する冷却空気供給通路41およびチャンバ45を容易にかつ低コストで形成することができる。
【0035】
本実施形態において、チャンバ45に、当該チャンバ45に流入した異物粒子Pを捕捉し、かつ空気を通過させるフィルタ51が設けられていてもよい。この構成によれば、より高い効率で異物粒子Pを捕捉することが可能になる。
【0036】
本実施形態において、フィルタ51がチャンバ45に対して着脱可能に設けられていてもよい。この構成によれば、フィルタ51の交換やメンテナンスが容易になる。
【0037】
本実施形態において、チャンバ45が、チャンバ45から排出される空気の流量を調整する流量調整機構55が設けられていてもよい。この構成によれば、効率的な異物粒子Pの捕捉を達成するための適切な流量設定、すなわち、チャンバ45を設けることにより生じる冷却空気供給通路41の流量低下を流量調整機構55により補いながら効果的に異物粒子Pを捕捉できる流量の設定が容易になる。
【0038】
以上のとおり、図面を参照しながら本開示の好適な実施形態を説明したが、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。したがって、そのようなものも本開示の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0039】
1 ガスタービンエンジン
3 圧縮機
5 燃焼器
7 タービン
41 冷却空気供給通路
41a 導入部
41b 旋回部
45 チャンバ
51 フィルタ
55 流量調整機構
P 異物粒子