(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096781
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】配管部材、及び、雨樋システム
(51)【国際特許分類】
E04D 13/08 20060101AFI20230630BHJP
【FI】
E04D13/08 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212764
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(72)【発明者】
【氏名】橋本 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】西本 舞
(72)【発明者】
【氏名】大橋 晋太郎
(57)【要約】
【課題】サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができる、配管部材及び雨樋システムを提供する。
【解決手段】配管部材5は、雨水の排水にサイフォン現象を利用する雨樋システム1の竪樋3の一部を構成する。配管部材5は、竪樋3の流路30の少なくとも一部を規定する直管部51と、直管部51に結合されて流路30に配置される拡散部52と、を備える。拡散部52は、直管部51より流路面積が小さい開口521と、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導するガイド面522と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雨水の排水にサイフォン現象を利用する雨樋システムの竪樋の一部を構成する配管部材であって、
前記竪樋の流路の少なくとも一部を規定する直管部と、
前記直管部に結合されて前記流路に配置される拡散部と、
を備え、
前記拡散部は、
前記直管部より流路面積が小さい開口と、
前記開口を通過する雨水を前記直管部の中心軸から離れる向きに誘導するガイド面と、
を有する、
配管部材。
【請求項2】
前記ガイド面は、前記開口から前記竪樋の下流側に向かうほど前記直管部の中心軸から離れる、
請求項1に記載の配管部材。
【請求項3】
前記ガイド面は、前記直管部の内側を向いた第1ガイド面と、前記直管部の外側を向いた第2ガイド面との少なくとも一方を含む、
請求項1又は2に記載の配管部材。
【請求項4】
前記直管部の中心軸の方向における前記ガイド面の長さは、前記竪樋における前記拡散部より下流側の所定領域が満水状態となるように設定される、
請求項1~3のいずれか一つに記載の配管部材。
【請求項5】
前記拡散部は、前記直管部の内側面から前記開口に向かって前記直管部の中心軸に直交せずに交差する方向に延びるテーパ面を、更に有する、
請求項1~4のいずれか一つに記載の配管部材。
【請求項6】
前記直管部の内側面と前記テーパ面との間の角がR形状である、
請求項5に記載の配管部材。
【請求項7】
前記開口の縁はR形状である、
請求項1~6のいずれか一つに記載の配管部材。
【請求項8】
前記開口の中心は、前記直管部の中心軸上にある、
請求項1~7のいずれか一つに記載の配管部材。
【請求項9】
前記直管部は、前記直管部の外面に、前記竪樋に用いられる、前記直管部の寸法と同じ寸法の直管と区別するためのマークを有する、
請求項1~8のいずれか一つに記載の配管部材。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一つに配管部材を有し、建物からの雨水の落とし口に接続される竪樋と、
前記落とし口に配置されるドレンと、
を備える、
雨樋システム。
【請求項11】
前記竪樋は、前記落とし口に直接的に接続される、
請求項10に記載の雨樋システム。
【請求項12】
前記落とし口と前記竪樋との間にある呼び樋と、
前記呼び樋の上流側の端部を前記落とし口に接続する第1エルボと、
前記呼び樋の下流側の端部を前記竪樋の上流側の端部に接続する第2エルボと、
を更に備える、
請求項10に記載の雨樋システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配管部材、及び、雨樋システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、雨樋システムを開示する。特許文献1に開示された雨樋システムは、軒樋と、竪樋と、軒樋よりも下流側に配置され、竪樋の上端部に連なる接続継手と、縮径部を有し竪樋に設けられたサイフォン継手と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の雨樋システムでは、縮径部が圧力損失を生じさせ、縮径部の直下において乱流が発生し、よってサイフォン現象がサイフォン継手で途切れるような構成である。
【0005】
本開示は、サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができる、配管部材及び雨樋システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様にかかる配管部材は、雨水の排水にサイフォン現象を利用する雨樋システムの竪樋の一部を構成する配管部材であって、竪樋の流路の少なくとも一部を規定する直管部と、直管部に結合されて流路に配置される拡散部と、を備える。拡散部は、直管部より流路面積が小さい開口と、開口を通過する雨水を直管部の中心軸から離れる向きに誘導するガイド面と、を有する。
【0007】
本開示の一態様にかかる雨樋システムは、上記の配管部材を有し、建物からの雨水の落とし口に接続される竪樋と、落とし口に配置されるドレンと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の態様は、サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができる
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1にかかる、配管部材を備える雨樋システムの構成例の概略図
【
図6】実施の形態2にかかる、配管部材を備える雨樋システムの構成例の概略図
【
図19】変形例11の配管部材を備える雨樋システムの構成例の概略図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0011】
上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。以下の実施の形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、各要素の寸法比率は図面に図示された比率に限られるものではない。
【0012】
[1.実施の形態]
[1.1 実施の形態1]
[1.1.1 構成]
図1は、実施の形態1にかかる雨樋システム1の構成例の概略図である。雨樋システム1は、建物11の屋根11aからの雨水を受けて、地面20のます部21に流す。ます部21に集められた雨水は、ます部21から埋設管22を通って雨水管に流れ出る。建物11は、例えば、店舗、オフィス、工場、ビル、学校、福祉施設又は病院等の非住宅施設、及び戸建住宅、集合住宅、又は戸建住宅若しくは集合住宅の各住戸等の住宅施設の建物である。非住宅施設には、劇場、映画館、公会堂、遊技場、複合施設、百貨店、ホテル、旅館、幼稚園、図書館、博物館、美術館、地下街、駅及び空港等も含む。
【0013】
図1の雨樋システム1は、軒樋2と、竪樋3と、ドレン4とを備える。
【0014】
軒樋2は、建物11の屋根11aからの雨水を受ける。軒樋2は、建物11の屋根11aの下に設置される。軒樋2は、長尺の桶状である。
図1の軒樋2は、底壁2aを有する。底壁2aに落とし口2bがある。
【0015】
ドレン4は、軒樋2の落とし口2bに配置される。ドレン4は、落とし口2bでの渦の発生及び空気の巻き込みを低減する。ドレン4は、サイフォン現象の発生に寄与し得る。ドレン4は、周知の構成であってよい。
【0016】
竪樋3は、落とし口2bから雨水を排水するために設置される。竪樋3は、落とし口2bからの雨水を垂直に流すための流路30を備える。
図1の竪樋3では、流路30には、軒樋2とは別の軒樋からの枝管等は接続されていない。つまり、竪樋3は、流路30に、落とし口2bとは別の落とし口からの雨水が流入しないように構成されている。
【0017】
竪樋3は、上流側の端部3aと下流側の端部3bとを有する。上流側の端部3aは、竪樋3において落とし口2bに接続される端部(
図1での上端部)である。
図1では、竪樋3は落とし口2bに直接的に接続される。つまり、落とし口2bから雨水が竪樋3の流路30内の垂直に落下して、ます部21内に流入する。下流側の端部3bは、竪樋3において、ます部21に挿入される端部(
図1での下端部)である。
図1では、竪樋3とます部21との隙間からます部21内に雨水が流入しないように排水管カバー34が配置される。
【0018】
図1では、竪樋3は、控金具33a,33b,33cにより建物11の壁面11bに固定される。なお、地面20から竪樋3の上端までの距離[mm]、竪樋3の上端から一番上の控金具33aまでの距離[mm]、地面20から一番下の控金具33cまでの距離[mm]、一般に、200mm以上300mm以下である。控金具33a,33b,33c間のピッチ[mm]は、一般に、800mm以上1200mm以下であり、一定の場合には1000mm以下とされる。竪樋3と壁面11bとの間の距離は、一般に、30mm以上100mm以下である。
【0019】
図1の竪樋3は、第1縦管31と、第2縦管32と、配管部材5と、を備える。
【0020】
第1縦管31は、竪樋3の流路30の一部を構成する。本実施の形態では、第1縦管31の内側面31aで囲まれる内部空間が、竪樋3の流路30の一部となる。本実施の形態では、第1縦管31は、竪樋3の上流側の部分である。第1縦管31は、直管状である。第1縦管31の管軸に直交する断面は円形状である。第1縦管31の材料は、硬質ポリ塩化ビニルである。第1縦管31の寸法、例えば、外形と厚さは、JIS K 6741「硬質ポリ塩化ビニル管」の硬質ポリ塩化ビニル管(一般)の規格に沿って設定されてよい。第1縦管31は、建物11の壁面11bに、第1縦管31の管軸の方向が上下方向(鉛直方向)に一致するように固定される。第1縦管31の上端部が、竪樋3の上流側の端部3aである。
【0021】
第2縦管32は、竪樋3の流路30の一部を構成する。本実施の形態では、第2縦管32の内側面32aで囲まれる内部空間が、竪樋3の流路30の一部となる。第2縦管32の内部空間が、竪樋3の流路30の一部となる。第2縦管32は、竪樋3の下流側の部分である。第2縦管32は、直管状である。第2縦管32の管軸に直交する断面は円形状である。第2縦管32の材料は、硬質ポリ塩化ビニルである。第2縦管32の寸法、例えば、外形と厚さは、JIS K 6741「硬質ポリ塩化ビニル管」の硬質ポリ塩化ビニル管(一般)の規格に沿って設定されてよい。第2縦管32は、建物11の壁面11bに、第2縦管32の管軸の方向が上下方向(鉛直方向)に一致するように固定される。第2縦管32の下端部が、竪樋3の下流側の端部3bである。端部3bは、竪樋3において大気に解放される部分でもある。
【0022】
図1の竪樋3において、第1縦管31の径(内径及び外径)と第2縦管32の径(内径及び外径)とは等しい。つまり、同じ呼び径に対応する管材が、第1縦管31及び第2縦管32に利用可能である。
【0023】
配管部材5は、雨水の排水にサイフォン現象を利用する雨樋システム1の竪樋3の一部を構成する。配管部材5は、雨樋システム1においてサイフォン現象による作用を安定的に促進させるために設けられる。
図1の竪樋3では、配管部材5は、第1縦管31と第2縦管32との間にある。
図1の配管部材5は、管材同士を接続するソケットであり得る。竪樋3における配管部材5の位置は、雨水の排水時のサイフォン現象の発生の度合いを考慮して、適宜設定される。
【0024】
図1の配管部材5は、直管部51と、拡散部52と、を備える。以下、
図2及び
図3を参照して配管部材5について更に説明する。
図2は、配管部材5の構成例の斜視図である。
図3は、配管部材5の断面図である。
【0025】
直管部51は、竪樋3の流路30の少なくとも一部を規定する。本実施の形態では、直管部51の内側面510で囲まれる直管部51の内部空間が、竪樋3の流路30の一部となる。
図2から明らかなように、直管部51の中心軸C1に直交する断面は円形状である。直管部51の中心軸C1は直管部51の管軸でもある。直管部51の材料は、硬質ポリ塩化ビニルである。直管部51の寸法、例えば、外形と厚さは、JIS K 6741「硬質ポリ塩化ビニル管」の硬質ポリ塩化ビニル管(一般)の規格に沿って設定されてよい。直管部51は、直管部51の中心軸C1の方向が上下方向(鉛直方向)に一致するように配置される。
【0026】
図3に示すように、直管部51は、中心軸C1の方向において、第1端部51a及び第2端部51bと、第1端部51a及び第2端部51bの間の中間部51cと、を有する。
【0027】
第1端部51aは、竪樋3の上流側に向けられる。
図3に示すように、第1端部51aは、第1縦管31の下端部に接続される。本実施の形態では、第1端部51aの外形サイズは、中間部51cの外形サイズより小さく、第1縦管31の内部に挿入可能な大きさである。中心軸C1の方向での第1端部51aの長さは、配管部材5と第1縦管31との接続が安定するように適宜設定されてよい。
図3に示すように、第2端部51bは、第2縦管32の上端部に接続される。本実施の形態では、第2端部51bの外形サイズは、中間部51cの外形サイズより小さく、第2縦管32の内部に挿入可能な大きさである。本実施の形態では、第2端部51bの外形サイズは、第1端部51aの外形サイズに等しい。中心軸C1の方向での第2端部51bの長さは、配管部材5と第2縦管32との接続が安定するように適宜設定されてよい。
図3では、第1端部51a、第2端部51b及び中間部51cの内形サイズは等しい。
【0028】
図2及び
図3に示すように、直管部51は、第1端部51aに開口511を有する。本実施の形態では、開口511が、配管部材5の流入口を規定する。したがって、竪樋3では、第1縦管31からの雨水が、直管部51の流入口である開口511から直管部51の内部空間に入る。
【0029】
図2に示すように、直管部51は、マーク51dを有する。マーク51dは、配管部材5の設置の向きを示す。
図2のマーク51dは矢印であり、配管部材5の設置の際には、マーク51dが示す矢印が上向きになるように、配管部材5を設置する。
図2のマーク51dは、第1端部51aの外面に配置されている。第1縦管31に配管部材5を接続した際には、マーク51dは第1縦管31で隠される。マーク51dは、人の知覚によって認識可能な、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合であってよい。
【0030】
拡散部52は、直管部51に結合されて流路30に配置される。本実施の形態では、
図3に示すように、拡散部52は、直管部51の第2端部51bにある。本実施の形態では、拡散部52は、直管部51と一体的に形成されることで、直管部51に結合される。拡散部52の材料は、直管部51と同様に硬質ポリ塩化ビニルである。
【0031】
図2及び
図3に示すように、拡散部52は、隔壁部53と、ガイド部54とを備える。
【0032】
隔壁部53は、直管部51の内側面510から直管部51の中心軸C1側に延びる。隔壁部53は、厚みが一様な板状である。隔壁部53は、開口521を有する。これにより、開口521は、直管部51内に位置する。つまり、拡散部52は、開口521が直管部51内に位置するように直管部51に結合される。
【0033】
本実施の形態では、開口521は、隔壁部53の中央にある。直管部51の中心軸C1の方向から見て、隔壁部53は、円環状である。開口521は、直管部51より流路面積が小さい。本実施の形態では、直管部51の中心軸C1に直交する平面において、開口521及び直管部51の内部空間は、いずれも円形状である。本実施の形態では、開口521の内径D2は、直管部51の内径D1より小さい。
図2に示すように、本実施の形態では、開口521の中心O1は、直管部51の中心軸C1上にある。
図3に示すように、本実施の形態では、開口521の縁はR形状である。
【0034】
ガイド部54は、隔壁部53の開口521の縁から竪樋3の下流側、例えば、直管部51の第1端部51aから第2端部51bに向かう方向に突出する。ガイド部54は、開口521の全周を囲う。本実施の形態において、ガイド部54は、中空の錐台状である。錐台は、錐体から、この錐体と頂点を共有し相似に縮小した錐体を取り除いて得られる形状である。本実施の形態において、ガイド部54は、中空の円錐台状である。直管部51の中心軸C1に直交する面内でのガイド部54の外周形状及び内周形状は円形状である。直管部51の中心軸C1に直交する面内でのガイド部54の外周形状及び内周形状は、直管部51の第1端部51aから第2端部51bに向かって大きくなる。
【0035】
本実施の形態では、ガイド部54の内周面が、開口521を通過する雨水に対するガイド面522として機能する。ガイド面522は、直管部51の内側を向いている。「直管部51の内側を向いている」とは、ガイド面522が、直管部51の中心軸C1に対向することをいう。ガイド面522は、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導する。本実施の形態では、ガイド面522は、開口521から竪樋3の下流側に向かうほど直管部51の中心軸C1から離れる。本実施の形態において、ガイド面522の傾斜は一定である。つまり、直管部51の中心軸C1に直交する面内でのガイド面522と中心軸C1との距離の、開口521からの距離に対する増分は一定である。
【0036】
拡散部52は、ガイド部54における開口521とは反対側に開口523を有する。本実施の形態では、開口523が、配管部材5の流出口を規定する。したがって、竪樋3では、配管部材5からの雨水が、配管部材5の流出口である開口523から第2縦管32に進入する。本実施の形態では、開口523の内径D3は、直管部51の内径D1より小さく、開口521の内径D2より大きい。
【0037】
次に、配管部材5の作用について説明する。
図4は、配管部材5の作用の説明図である。
図4では、落とし口2bからの雨水Wが竪樋3内を進もうとしている。
【0038】
上述したように、配管部材5は、竪樋3の第1縦管31と第2縦管32との間にある。配管部材5は、竪樋3の流路30内に配置される拡散部52を備える。拡散部52は、開口521と、ガイド面522とを有する。
【0039】
開口521は、直管部51より流路面積が小さい。流路面積の減少は、雨水Wの流速の増加を引き起こし得る。したがって、拡散部52は、開口521により、雨水Wの流速を増加させて、ガイド面522に向かわせる。開口521での流路面積の減少は、圧損損失の増加を引き起こし得る。これによって、竪樋3における拡散部52より上流側に雨水Wが溜まりやすくなる。
【0040】
ガイド面522は、開口521を通過する雨水Wを直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導する。したがって、拡散部52は、ガイド面522により、開口521を通過した雨水Wを拡散させる。拡散部52により拡散された雨水Wは、竪樋3の内面に当たる。
図4では、拡散部52により拡散された雨水Wは、竪樋3の第2縦管32の内側面32aに当たる。雨水Wが竪樋3の内面に当たることは、管路圧損の増加を引き起こし得る。管路圧損の増加は、雨水Wの流速の低下を促し、これは、雨水Wの滞留の一因となり得る。これによって、竪樋3における拡散部52より下流側の所定領域が満水状態となり得る。
図4では、竪樋3において、拡散部52より下方の所定位置LPまでが、満水状態となっている。つまり、拡散部52は、竪樋3の内面の摩擦を利用して、意図的に、雨水Wを滞留させ得る。特に、開口521により雨水Wの流速が増加されることで、管路圧損の増加が促進される。本実施の形態では、満水状態は、厳密な意味で使用されておらず、満水状態と同等とみなせる程度に水で満たされた状態(満水状態に近い状態)も含む。
【0041】
配管部材5が拡散部52を有することによって、雨樋システム1の竪樋3に満水状態となった領域を意図的に生み出すことができる。
図5は、雨樋システム1による排水の説明図である。
図5に示すように、配管部材5は、竪樋3における、落とし口2bの位置HPと所定位置LPとの間の領域を、満水状態とし得る。
【0042】
サイフォン現象の発生の一要因としては、鉛直方向からみた水面の上端と下端の位置エネルギの差がある。位置エネルギの差が大きいほど、サイフォン現象における流速の向上により、流量が増大すると考えられる。
図5の場合、竪樋3において満水状態になった領域の鉛直方向での長さ、つまり、鉛直方向での落とし口2bの位置HPと所定位置LPとの間の距離H1が長いほど、落とし口2bでの負圧が増加し、サイフォン現象による吸引力を増加させることができ得る。その結果、配管部材5は、サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができ得る。
【0043】
図1の雨樋システム1では、竪樋3が落とし口2bに直接的に接続されているため、落とし口2bからの雨水は、竪樋3の流路30内を自由落下する。しかしながら、配管部材5は、拡散部52を有していることによって、竪樋3の流路30内を落下する雨水の速度を制御することができる。これによって、竪樋3でサイフォン現象が発生する条件を満たすことが可能となる。拡散部52は、雨水を拡散させるため、拡散部52より下流側での満水状態を安定的に作り出すことができて、サイフォン現象による作用を安定化できる。特に、拡散部52を設けることで、竪樋3の管径を小さくしなくて済み、竪樋3の排水性能自体を大幅に低下させなくて済む。
【0044】
竪樋3における配管部材5の位置は、竪樋3の管径、竪樋3を通過する雨水の量、雨樋システム1の設置環境及びその他の種々の条件に応じて、適宜設定され得る。例えば、竪樋3における配管部材5の位置は、雨樋システム1の設置場所において想定される雨水の量を考慮して、所望の位置エネルギの差が得られるように、設定されてよい。例えば、竪樋3における配管部材5の位置は、距離H1が所望の位置エネルギの差が得られる値となるように、設定されてよい。
【0045】
[1.1.2 効果等]
以上述べた配管部材5は、雨水の排水にサイフォン現象を利用する雨樋システム10の竪樋3の一部を構成する。配管部材5は、竪樋3の流路30の少なくとも一部を規定する直管部51と、直管部51に結合されて流路30に配置される拡散部52と、を備える。拡散部52は、直管部51より流路面積が小さい開口521と、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導するガイド面522と、を有する。この態様は、サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができる。
【0046】
配管部材5において、ガイド面522は、開口521から竪樋3の下流側に向かうほど直管部51の中心軸C1から離れる。この構成は、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導しやすくなり、サイフォン現象による作用を更に安定的に促進させることができる。
【0047】
配管部材5において、ガイド面522は、直管部51の内側を向く。この構成は、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導しやすくなり、サイフォン現象による作用を更に安定的に促進させることができる。
【0048】
配管部材5において、直管部51の中心軸C1の方向におけるガイド面522の長さは、竪樋3における拡散部52より下流側の所定領域が満水状態となるように設定される。この構成は、サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができる。
【0049】
配管部材5において、開口521の縁はR形状である。この構成は、開口521の縁での損失を低減できる。
【0050】
配管部材5において、開口521の中心O1は、直管部51の中心軸C1上にある。この構成は、サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができる。
【0051】
以上述べた雨樋システム1は、配管部材5を有し、建物11からの雨水の落とし口2bに接続される竪樋3と、落とし口2bに配置されるドレン4と、を備える。この構成は、サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができる。
【0052】
雨樋システム1において、竪樋3は、落とし口2bに直接的に接続される。この構成は、サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができる。
【0053】
[1.2 実施の形態2]
[1.2.1 構成]
図6は、実施の形態2にかかる雨樋システム10の構成例の概略図である。雨樋システム10は、建物110の屋根11aからの雨水を受けて、地面20のます部21に流す。ます部21に集められた雨水は、ます部21から埋設管22を通って雨水管に流れ出る。建物110は、建物11と同様、例えば、店舗、オフィス、工場、ビル、学校、福祉施設又は病院等の非住宅施設、及び戸建住宅、集合住宅、又は戸建住宅若しくは集合住宅の各住戸等の住宅施設の建物である。非住宅施設には、劇場、映画館、公会堂、遊技場、複合施設、百貨店、ホテル、旅館、幼稚園、図書館、博物館、美術館、地下街、駅及び空港等も含む。
【0054】
建物110は、実施の形態1で説明した建物11よりも軒が長い。建物110では、落とし口2bに竪樋3を直接的に接続すると、竪樋3と建物110の壁面11bとの距離が大きくなり、竪樋3の施工基準を満たさなくなる。本実施の形態の雨樋システム10は、軒が長い建物110に適した構造を有する。
図6の雨樋システム10は、軒樋2と、竪樋3と、ドレン4と、呼び樋6と、第1エルボ7aと、第2エルボ7bと、補助竪樋8と、を備える。
【0055】
図6の雨樋システム10の軒樋2、竪樋3及びドレン4は、
図1の雨樋システム1の軒樋2、竪樋3及びドレン4と同様である。
【0056】
雨樋システム10では、竪樋3は、落とし口2bに直接的に接続されていない。雨樋システム10では、竪樋3は、呼び樋6、第1エルボ7a及び第2エルボ7bを介して、落とし口2bに接続される。
【0057】
呼び樋6は、落とし口2bから竪樋3に建物110からの雨水を流すための部分である。呼び樋6は、建物110からの雨水の落とし口2bと竪樋3との間にある。呼び樋6は、直管状である。呼び樋6の管軸に直交する断面は円形状である。呼び樋6の材料は、硬質ポリ塩化ビニルである。
図6の呼び樋6は、呼び樋6の管軸の方向が上下方向(鉛直方向)に対して傾斜するように固定される。
【0058】
呼び樋6は、上流側の端部6aと下流側の端部6bとを有する。上流側の端部6aは、呼び樋6において落とし口2bに接続される端部(
図6での上端部)である。下流側の端部6bは、呼び樋6において竪樋3に接続される端部(
図6での下端部)である。呼び樋6は、円筒状である。呼び樋6の材料は、硬質ポリ塩化ビニルである。呼び樋6の寸法、例えば、外形と厚さは、JIS K 6741「硬質ポリ塩化ビニル管」の硬質ポリ塩化ビニル管(一般)の規格に沿って設定されてよい。
【0059】
第1エルボ7aは、呼び樋6の上流側の端部6aを落とし口2bに接続する。第1エルボ7aは、必ずしも呼び樋6の上流側の端部6aを落とし口2bに直接的に接続する部材ではなく、呼び樋6の上流側の端部6aを落とし口2bに他の部材を介して間接的に接続する部材であってよい。第1エルボ7aの材料は、例えば、硬質ポリ塩化ビニルである。第1エルボ7aは、竪樋3及び呼び樋6等の管材を第1エルボ7aに接続するための受け口71a,72aを有する。受け口71a,72aの中心軸間の角度は、例えば、JIS K 6739「排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手」で規定される91.17°である。第1エルボ7aの管軸を含む平面での、第1エルボ7aの内周側及び外周側の角部は、R形状ではなくほぼ直角形状である。
【0060】
第2エルボ7bは、呼び樋6の下流側の端部6bを竪樋3の上流側の端部3aに接続する。第2エルボ7bは、必ずしも呼び樋6の下流側の端部6bを竪樋3の上流側の端部3aに直接的に接続する部材ではなく、呼び樋6の下流側の端部6bを竪樋3の上流側の端部3aに他の部材を介して間接的に接続する部材であってよい。第2エルボ7bの材料は、例えば、硬質ポリ塩化ビニルである。第2エルボ7bは、竪樋3及び呼び樋6等の管材を第2エルボ7bに接続するための受け口71b,72bを有する。受け口71b,72bの中心軸間の角度は、例えば、JIS K 6739「排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手」で規定される91.17°である。第2エルボ7bの管軸を含む平面での、第2エルボ7bの内周側及び外周側の角部は、R形状ではなくほぼ直角形状である。
【0061】
第1エルボ7aの寸法及び第2エルボ7bの寸法は、例えば、JIS K 6739「排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手」の規格に沿って設定されてよい。第1エルボ7a及び第2エルボ7bの少なくとも一方は、JIS K 6739で規定される90°曲がりエルボであってよい。
【0062】
補助竪樋8は、落とし口2bから第1エルボ7aに建物110からの雨水を垂直に流すための部分である。補助竪樋8は、落とし口2bと第1エルボ7aとの間にある。補助竪樋8は、直管状である。補助竪樋8の管軸に直交する断面は円形状である。補助竪樋8の材料は、硬質ポリ塩化ビニルである。補助竪樋8の寸法、例えば、外形と厚さは、JIS K 6741「硬質ポリ塩化ビニル管」の硬質ポリ塩化ビニル管(一般)の規格に沿って設定されてよい。
図6の補助竪樋8は、落とし口2bと第1エルボ7aとの間に、補助竪樋8の管軸の方向が上下方向(鉛直方向)に一致するように配置される。
【0063】
補助竪樋8は、上流側の端部8aと下流側の端部8bとを有する。上流側の端部8aは、補助竪樋8において落とし口2bに接続される端部(
図6での上端部)である。下流側の端部8bは、補助竪樋8において、第1エルボ7aに接続される端部(
図6での下端部)である。
【0064】
図6の雨樋システム10においても、竪樋3は、第1縦管31と、第2縦管32と、配管部材5と、を備える。配管部材5は、実施の形態1と同様に、直管部51と、拡散部52とを備える。配管部材5が拡散部52を有することによって、雨樋システム10の竪樋3に満水状態となった領域を意図的に生み出すことができる。
【0065】
図6の雨樋システム10では、第2エルボ7bにおいて、A1で示す部位において、空隙が発生しやすい。つまり、第2エルボ7bにおいて、満水状態が生じにくい。しかしながら、配管部材5は、直管部51より流路面積が小さい開口521を有する。開口521での流路面積の減少は、圧損損失の増加を引き起こし得る。これによって、竪樋3における拡散部52より上流側に雨水Wが溜まりやすくなる。竪樋3に配管部材5があることで、第2エルボ7bにおいて、A1で示す部位での空隙の発生を低減し得る。
【0066】
図7は、雨樋システム10による排水の説明図である。
図7において、HPは、第2エルボ7bにおいて下方に延びる部分の上端の位置である。位置HPから水面が上がると、呼び樋6にも雨水が溜まることになる。配管部材5は、位置HPと所定位置LPとの間の領域を、満水状態とし得る。
【0067】
サイフォン現象の発生の一要因としては、鉛直方向からみた水面の上端と下端の位置エネルギの差がある。位置エネルギの差が大きいほど、サイフォン現象における流速の向上により、流量が増大するすると考えられる。
図7の場合、竪樋3及び第2エルボ7bにおいて満水状態になった領域の鉛直方向での長さ、つまり、鉛直方向での位置HPと所定位置LPとの間の距離H1が長いほど、サイフォン現象による吸引力を増加させることができ得る。その結果、配管部材5は、サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができ得る。
【0068】
竪樋3における配管部材5の位置は、竪樋3の管径、竪樋3を通過する雨水の量、雨樋システム1の設置環境及びその他の種々の条件に応じて、適宜設定され得る。例えば、竪樋3における配管部材5の位置は、雨樋システム1の設置場所において想定される雨水の量を考慮して、所望の位置エネルギの差が得られるように、設定されてよい。例えば、竪樋3における配管部材5の位置は、距離H1が所望の位置エネルギの差が得られる値となるように、設定されてよい。
【0069】
[1.2.2 効果等]
以上述べた配管部材5は、雨水の排水にサイフォン現象を利用する雨樋システム10の竪樋3の一部を構成する。配管部材5は、竪樋3の流路30の少なくとも一部を規定する直管部51と、直管部51に結合されて流路30に配置される拡散部52と、を備える。拡散部52は、直管部51より流路面積が小さい開口521と、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導するガイド面522と、を有する。この態様は、サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができる。
【0070】
配管部材5において、ガイド面522は、開口521から竪樋3の下流側に向かうほど直管部51の中心軸C1から離れる。この構成は、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導しやすくなり、サイフォン現象による作用を更に安定的に促進させることができる。
【0071】
配管部材5において、ガイド面522は、直管部51の内側を向く。この構成は、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導しやすくなり、サイフォン現象による作用を更に安定的に促進させることができる。
【0072】
配管部材5において、直管部51の中心軸C1の方向におけるガイド面522の長さは、竪樋3における拡散部52より下流側の所定領域が満水状態となるように設定される。この構成は、サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができる。
【0073】
配管部材5において、開口521の縁はR形状である。この構成は、開口521の縁での損失を低減できる。
【0074】
配管部材5において、開口521の中心O1は、直管部51の中心軸C1上にある。この構成は、サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができる。
【0075】
以上述べた雨樋システム10は、配管部材5を有し、建物110からの雨水の落とし口2bに接続される竪樋3と、落とし口2bに配置されるドレン4と、を備える。この構成は、サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができる。
【0076】
雨樋システム10は、落とし口2bと竪樋3との間にある呼び樋6と、呼び樋6の上流側の端部6aを落とし口2bに接続する第1エルボ7aと、呼び樋6の下流側の端部6bを竪樋3の上流側の端部3aに接続する第2エルボ7bと、を更に備える。この構成は、サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができる。
【0077】
[2.変形例]
本開示の実施の形態は、上記実施の形態に限定されない。上記実施の形態は、本開示の課題を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に、上記実施の形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0078】
[2.1 変形例1]
図8は、変形例1の配管部材5Aの構成例の断面図である。
図8の配管部材5Aは、直管部51と、拡散部52Aとを備える。拡散部52Aは、隔壁部53Aと、ガイド部54とを有する。
【0079】
隔壁部53Aは、直管部51の内側面510から直管部51の中心軸C1側に延びる。隔壁部53Aは、開口521を有する。本変形例では、開口521は、隔壁部53Aの中央にある。直管部51の中心軸C1の方向から見て、隔壁部53Aは、円環状である。隔壁部53Aは、直管部51の内側面510から直管部51の中心軸C1側に向かうほど、直管部51の中心軸C1の方向での寸法が小さくなる。
図8では、隔壁部53Aにおける直管部51の第1端部51a側の面が、直管部51の中心軸C1に対して傾斜したテーパ面524である。つまり、テーパ面524は、直管部51の内側面510から開口521に向かって直管部51の中心軸C1に対して直交せずに交差する方向に延びる。
図8では、隔壁部53Aにおける直管部51の第2端部51b側の面が、直管部51の中心軸C1に対して直交する平面である。
【0080】
このように、
図8の配管部材5Aでは、拡散部52Aは、直管部51の内側面510から開口521に向かって直管部51の中心軸C1に対して直交せずに交差する方向に延びるテーパ面524を、更に有する。テーパ面524は、拡散部52Aの開口521による圧力損失を低下させ得る。
図3の配管部材5では開口521による圧力損失が大きすぎる場合には、
図8の配管部材5Aのようにテーパ面524を設けることで、圧力損失を所望のレベルにまで低下させることが可能となる。つまり、テーパ面524の中心軸C1に対する角度及びテーパ面524の形状を適宜設定することによって、拡散部52Aの開口521による圧力損失の調整が可能である。
【0081】
図8の拡散部52Aにおいても、ガイド面522は、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導する。したがって、拡散部52Aは、ガイド面522により、開口521を通過した雨水を拡散させる。拡散部52Aにより拡散された雨水は、竪樋3の内面に当たる。
図8では、拡散部52Aにより拡散された雨水は、第2縦管32の内側面32aに当たる。雨水が竪樋3の内面に当たることは、管路圧損の増加を引き起こし得る。
【0082】
以上述べた配管部材5Aは、雨水の排水にサイフォン現象を利用する雨樋システムの竪樋の一部を構成する。配管部材5A、竪樋の流路の少なくとも一部を規定する直管部51と、直管部51に結合されて流路に配置される拡散部52Aと、を備える。拡散部52Aは、直管部51より流路面積が小さい開口521と、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導するガイド面522と、を有する。この構成は、サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができる。
【0083】
配管部材5Aにおいて、拡散部52Aは、直管部51の内側面510から開口521に向かって直管部51の中心軸C1に直交せずに交差する方向に延びるテーパ面524を、更に有する。この構成は、開口521による圧力損失を低減できる。
【0084】
配管部材5Aは、配管部材5の代わりに、
図1の雨樋システム1又は
図6の雨樋システム10に適用でき得る。
【0085】
[2.2 変形例2]
図9は、変形例2の配管部材5Bの構成例の断面図である。
図9の配管部材5Bは、直管部51と、拡散部52Bとを備える。拡散部52Bは、拡散部52と同様に、隔壁部53と、ガイド部54とを有するが、拡散部52とは直管部51に対する位置が異なる。
【0086】
図9の拡散部52Bは、直管部51に結合されて流路30に配置される。本変形例では、
図9に示すように、拡散部52Bは、直管部51の中間部51cにある。本変形例では、拡散部52Bは、直管部51と一体的に形成されることで、直管部51に結合される。
【0087】
図9の配管部材5Bでは、直管部51は、第1端部51aに開口511を有し、第2端部51bに開口512を有する。本変形例では、開口511が、配管部材5Bの流入口を規定する。本変形例では、拡散部52Bの開口523ではなく、直管部51の開口512が、配管部材5Bの流出口を規定する。
【0088】
図9の拡散部52Bにおいても、ガイド面522は、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導する。したがって、拡散部52Bは、ガイド面522により、開口521を通過した雨水を拡散させる。拡散部52Bにより拡散された雨水は、竪樋3の内面に当たる。
図9では、拡散部52Bにより拡散された雨水は、拡散部52Bより下流側において直管部51の内側面510に当たる。雨水が竪樋3の内面に当たることは、管路圧損の増加を引き起こし得る。
【0089】
以上述べた配管部材5Bは、雨水の排水にサイフォン現象を利用する雨樋システムの竪樋の一部を構成する。配管部材5B、竪樋の流路の少なくとも一部を規定する直管部51と、直管部51に結合されて流路に配置される拡散部52Bと、を備える。拡散部52Bは、直管部51より流路面積が小さい開口521と、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導するガイド面522と、を有する。この構成は、サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができる。
【0090】
配管部材5Bは、配管部材5の代わりに、
図1の雨樋システム1又は
図6の雨樋システム10に適用でき得る。
【0091】
[2.3 変形例3]
図10は、変形例3の配管部材5Cの構成例の断面図である。
図10の配管部材5Cは、直管部51と、拡散部52Cとを備える。拡散部52Cは、拡散部52Bと同様に、直管部51の中間部51cにあるが、拡散部52Bとは形状が異なる。
【0092】
拡散部52Cは、直管部51に結合されて流路30に配置される。
図10に示すように、拡散部52Cは、直管部51の中間部51cにある。拡散部52Cは、直管部51と一体的に形成されることで、直管部51に結合される。
【0093】
拡散部52Cは、直管部51の内側面510から直管部51の中心軸C1側に延びる。拡散部52Cは、厚みが一様な板状である。拡散部52Cは、貫通孔525を有する。貫通孔525は、直管部51の第1端部51a側の開口521と、直管部51の第2端部51b側の開口523とを有する。直管部51の中心軸C1に直交する面内での貫通孔525の内周形状は、開口521から開口523に向かって大きくなる。これによって、貫通孔525の内側面が、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導するガイド面522を含む。
【0094】
本変形例では、貫通孔525は、拡散部52Cの中央にある。貫通孔525は、直管部51の中心軸C1の方向から見て、円形状である。貫通孔525は、開口521から開口523に向かって内径が大きくなる部位を含む。これによって、貫通孔525の内側面は、ガイド面522を含む。本変形例では、開口521の内径D2は、直管部51の内径D1より小さい。開口523の内径D3は、直管部51の内径D1より小さく、開口521の内径D2より大きい。本変形例では、開口521の縁はR形状である。
【0095】
なお、
図10の配管部材5Cの拡散部52Cは、
図9の配管部材5Bの拡散部52Bと比較すれば、
図9の拡散部52Bにおいて、ガイド部54と直管部51の内側面510との間の隙間が埋められた形状であるともいえる。
【0096】
図10の配管部材5Cでは、直管部51は、第1端部51aに開口511を有し、第2端部51bに開口512を有する。本変形例では、開口511が、配管部材5Cの流入口を規定し、開口512が、配管部材5Cの流出口を規定する。
【0097】
図10の拡散部52Cにおいても、ガイド面522は、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導する。したがって、拡散部52Cは、ガイド面522により、開口521を通過した雨水を拡散させる。拡散部52Cにより拡散された雨水は、竪樋3の内面に当たる。
図10では、拡散部52Cにより拡散された雨水は、直管部51の内側面510に当たる。雨水が竪樋3の内面に当たることは、管路圧損の増加を引き起こし得る。
【0098】
以上述べた配管部材5Cは、雨水の排水にサイフォン現象を利用する雨樋システムの竪樋の一部を構成する。配管部材5C、竪樋の流路の少なくとも一部を規定する直管部51と、直管部51に結合されて流路に配置される拡散部52Cと、を備える。拡散部52Cは、直管部51より流路面積が小さい開口521と、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導するガイド面522と、を有する。この構成は、サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができる。
【0099】
配管部材5Cは、配管部材5の代わりに、
図1の雨樋システム1又は
図6の雨樋システム10に適用でき得る。
【0100】
[2.4 変形例4]
図11は、変形例4の配管部材5Dの構成例の断面図である。
図11の配管部材5Dは、直管部51と、拡散部52Dとを備える。拡散部52Dは、拡散部52と同様に、隔壁部53と、ガイド部54とを有するが、拡散部52とは直管部51に対する位置が異なる。
【0101】
図11の拡散部52Dは、直管部51に結合されて流路30に配置される。本変形例では、
図11に示すように、拡散部52Dは、直管部51の第1端部51aにある。本変形例では、拡散部52Dは、直管部51と一体的に形成されることで、直管部51に結合される。
【0102】
図11の配管部材5Dでは、拡散部52Bの開口521が、配管部材5Dの流入口を規定する。
図11の配管部材5Dでは、直管部51は、第2端部51bに開口512を有する。本変形例では、拡散部52Bの開口523ではなく、直管部51の開口512が、配管部材5Bの流出口を規定する。
【0103】
図11の拡散部52Dにおいても、ガイド面522は、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導する。したがって、拡散部52Dは、ガイド面522により、開口521を通過した雨水を拡散させる。拡散部52Dにより拡散された雨水は、竪樋3の内面に当たる。
図11では、拡散部52Dにより拡散された雨水は、直管部51の内側面510に当たる。雨水が竪樋3の内面に当たることは、管路圧損の増加を引き起こし得る。
【0104】
以上述べた配管部材5Dは、雨水の排水にサイフォン現象を利用する雨樋システムの竪樋の一部を構成する。配管部材5D、竪樋の流路の少なくとも一部を規定する直管部51と、直管部51に結合されて流路に配置される拡散部52Dと、を備える。拡散部52Dは、直管部51より流路面積が小さい開口521と、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導するガイド面522と、を有する。この構成は、サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができる。
【0105】
配管部材5Dは、配管部材5の代わりに、
図1の雨樋システム1又は
図6の雨樋システム10に適用でき得る。
【0106】
[2.5 変形例5]
図12は、変形例5の配管部材5Eの構成例の断面図である。
図12の配管部材5Eは、直管部51と、拡散部52Eとを備える。
【0107】
拡散部52Eは、直管部51に結合されて流路30に配置される。
図12に示すように、拡散部52Eは、直管部51の第2端部51bにある。拡散部52Eは、直管部51と一体的に形成されることで、直管部51に結合される。
【0108】
図12に示すように、拡散部52Eは、隔壁部53Eと、ガイド部54Eとを備える。
【0109】
隔壁部53Eは、直管部51の内側面510から直管部51の中心軸C1側に延びる。隔壁部53Eは、厚みが一様な板状である。隔壁部53Eは、開口523を有する。これにより、開口523は、直管部51内に位置する。つまり、拡散部52Eは、開口523が直管部51内に位置するように直管部51に結合される。開口523は、隔壁部53Eの中央にある。直管部51の中心軸C1の方向から見て、隔壁部53Eは、円環状である。開口523は、直管部51より流路面積が小さい。直管部51の中心軸C1に直交する平面において、開口523は円形状である。開口523の内径D3は、直管部51の内径D1より小さい。
【0110】
ガイド部54Eは、隔壁部53Eの開口523の縁から竪樋3の上流側、例えば、直管部51の第2端部51bから第1端部51aに向かう方向に突出する。ガイド部54Eは、開口523の全周を囲う。ガイド部54Eは、ガイド部54Eにおける開口523とは反対側に開口521を有する。開口521の内径D2は、直管部51の内径D1及び開口523の内径D3より小さい。
【0111】
ガイド部54Eは、中空の錐台状である。本変形例において、ガイド部54Eは、中空の円錐台状である。直管部51の中心軸C1に直交する面内でのガイド部54Eの外周形状及び内周形状は円形状である。直管部51の中心軸C1に直交する面内でのガイド部54Eの外周形状及び内周形状は、直管部51の第2端部51bから第1端部51aに向かって小さくなる。
【0112】
本変形例では、ガイド部54Eの内周面が、開口521を通過する雨水に対するガイド面522として機能する。ガイド面522は、直管部51の内側を向いている。ガイド面522は、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導する。ガイド面522は、開口521から竪樋3の下流側に向かうほど直管部51の中心軸C1から離れる。本変形例において、ガイド面522の傾斜は一定である。つまり、直管部51の中心軸C1に直交する面内でのガイド面522と中心軸C1との距離の、開口521からの距離に対する増分は一定である。
【0113】
図12の配管部材5Eでは、直管部51の開口511が、配管部材5Eの流入口を規定する。
図12の配管部材5Eでは、拡散部52Eの開口523が、配管部材5Eの流出口を規定する。
【0114】
図12の拡散部52Eにおいても、ガイド面522は、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導する。したがって、拡散部52Eは、ガイド面522により、開口521を通過した雨水を拡散させる。拡散部52Eにより拡散された雨水は、竪樋3の内面に当たる。
図12では、拡散部52Eにより拡散された雨水は、第2縦管32の内側面32aに当たる。雨水が竪樋3の内面に当たることは、管路圧損の増加を引き起こし得る。
【0115】
以上述べた配管部材5Eは、雨水の排水にサイフォン現象を利用する雨樋システムの竪樋の一部を構成する。配管部材5E、竪樋の流路の少なくとも一部を規定する直管部51と、直管部51に結合されて流路に配置される拡散部52Eと、を備える。拡散部52Eは、直管部51より流路面積が小さい開口521と、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導するガイド面522と、を有する。この構成は、サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができる。
【0116】
配管部材5Eは、配管部材5の代わりに、
図1の雨樋システム1又は
図6の雨樋システム10に適用でき得る。
【0117】
[2.6 変形例6]
図13は、変形例6の配管部材5Fの構成例の断面図である。
図13の配管部材5Fは、直管部51と、拡散部52Fとを備える。
【0118】
拡散部52Fは、直管部51に結合されて流路30に配置される。
図13に示すように、拡散部52Fは、直管部51の中間部51c及び第2端部51bにわたる。拡散部52Fは、直管部51と一体的に形成されることで、直管部51に結合される。
【0119】
図13の拡散部52Fは、直管部51の内側面510で囲まれた空間に繋がる内部流路526を規定する。内部流路526は、縮小流路526a及び拡大流路526bを含む。縮小流路526a及び拡大流路526bは、直管部51の第1端部51aから第2端部51bに向かう方向において、この順番に並ぶ。縮小流路526aと拡大流路526bとの境界は、直管部51よりも流路面積が小さい開口521を規定する。
【0120】
縮小流路526aの流路面積は、直管部51の第1端部51aから第2端部51bに向かって小さくなる。つまり、直管部51の中心軸C1に直交する面内での縮小流路526aの内周形状は、第1端部51aから開口521に向かって小さくなる。これによって、縮小流路526aの内側面が、直管部51の内側面510から開口521に向かって直管部51の中心軸C1に直交せずに交差する方向に延びるテーパ面524を規定する。縮小流路526aは、開口521とは反対側において直管部51の内側面510で囲まれた空間に繋がる。
【0121】
拡大流路526bの流路面積は、直管部51の第1端部51aから第2端部51bに向かって大きくなる。つまり、直管部51の中心軸C1に直交する面内での拡大流路526bの内周形状は、開口521から第2端部51bに向かって大きくなる。これによって、拡大流路526bの内側面が、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導するガイド面522を規定する。拡大流路526bは、開口521とは反対側に開口523を有する。
【0122】
本変形例では、内部流路526の中心軸C2は、直管部51の中心軸C1と一致する。内部流路526は、直管部51の中心軸C1の方向から見て、円形状である。本変形例では、開口521の内径D2は、直管部51の内径D1より小さい。開口523の内径D3は、直管部51の内径D1より小さく、開口521の内径D2より大きい。
【0123】
図13の配管部材5Fでは、直管部51は、第1端部51aに開口511を有し、拡散部52Fが開口523を有する。本変形例では、開口511が、配管部材5Fの流入口を規定する。本変形例では、拡散部52Fの開口523が、配管部材5Fの流出口を規定する。
【0124】
図13の拡散部52Fにおいても、ガイド面522は、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導する。したがって、拡散部52Fは、ガイド面522により、開口521を通過した雨水を拡散させる。拡散部52Fにより拡散された雨水は、竪樋3の内面に当たる。
図13では、拡散部52Fにより拡散された雨水は、第2縦管32の内側面32aに当たる。雨水が竪樋3の内面に当たることは、管路圧損の増加を引き起こし得る。
【0125】
以上述べた配管部材5Fは、雨水の排水にサイフォン現象を利用する雨樋システムの竪樋の一部を構成する。配管部材5F、竪樋の流路の少なくとも一部を規定する直管部51と、直管部51に結合されて流路に配置される拡散部52Fと、を備える。拡散部52Fは、直管部51より流路面積が小さい開口521と、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導するガイド面522と、を有する。この構成は、サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができる。
【0126】
配管部材5Fにおいて、拡散部52Fは、直管部51の内側面510から開口521に向かって直管部51の中心軸C1に直交せずに交差する方向に延びるテーパ面524を、更に有する。この構成は、開口521による圧力損失を低減できる。
【0127】
配管部材5Fは、配管部材5の代わりに、
図1の雨樋システム1又は
図6の雨樋システム10に適用でき得る。
【0128】
[2.7 変形例7]
図14は、変形例7の配管部材5Gの構成例の断面図である。
図13の配管部材5Gは、直管部51と、拡散部52Gとを備える。
【0129】
拡散部52Gは、直管部51に結合されて流路30に配置される。
図14に示すように、拡散部52Gは、直管部51の中間部51c及び第2端部51bにわたる。拡散部52Gは、直管部51と一体的に形成されることで、直管部51に結合される。
【0130】
図14の拡散部52Gは、
図13の拡散部52Fと同様に、内部流路526を規定する。内部流路526は、上述したように、開口521、ガイド面522、及びテーパ面524を規定する。
【0131】
拡散部52Gでは、直管部51の内側面510とテーパ面524との間の角B1がR形状である。これにより、直管部51の内側面510とテーパ面524との間の角B1での乱流の発生を低減できる。角B1のR形状の程度については、竪樋3の管径、竪樋3を通過する雨水の量、雨樋システム1の設置環境及びその他の種々の条件に応じて、適宜設定され得る。
【0132】
拡散部52Gでは、テーパ面524とガイド面522との間の角B2がR形状である。角B2は、開口521の縁に相当する。つまり、拡散部52Gでは、開口521の縁はR形状である。これにより、開口521の縁での損失を低減できる。角B2のR形状の程度については、竪樋3の管径、竪樋3を通過する雨水の量、雨樋システム1の設置環境及びその他の種々の条件に応じて、適宜設定され得る。
【0133】
図14の配管部材5Gでは、直管部51は、第1端部51aに開口511を有し、拡散部52Gが開口523を有する。本変形例では、開口511が、配管部材5Gの流入口を規定する。本変形例では、拡散部52Fの開口523が、配管部材5Gの流出口を規定する。
【0134】
図14の拡散部52Gにおいても、ガイド面522は、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導する。したがって、拡散部52Gは、ガイド面522により、開口521を通過した雨水を拡散させる。拡散部52Gにより拡散された雨水は、竪樋3の内面に当たる。
図14では、拡散部52Gにより拡散された雨水は、第2縦管32の内側面32aに当たる。雨水が竪樋3の内面に当たることは、管路圧損の増加を引き起こし得る。
【0135】
以上述べた配管部材5Gは、雨水の排水にサイフォン現象を利用する雨樋システムの竪樋の一部を構成する。配管部材5G、竪樋の流路の少なくとも一部を規定する直管部51と、直管部51に結合されて流路に配置される拡散部52Gと、を備える。拡散部52Gは、直管部51より流路面積が小さい開口521と、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導するガイド面522と、を有する。この構成は、サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができる。
【0136】
配管部材5Gにおいて、拡散部52Gは、直管部51の内側面510から開口521に向かって直管部51の中心軸C1に直交せずに交差する方向に延びるテーパ面524を、更に有する。この構成は、開口521による圧力損失を低減できる。
【0137】
配管部材5Gにおいて、直管部51の内側面510とテーパ面524との間の角B1がR形状である。この構成は、直管部51の内側面510とテーパ面524との間の角B1での乱流の発生を低減できる。
【0138】
配管部材5Gにおいて、開口521の縁(テーパ面524とガイド面522との間の角B2)はR形状である。この構成は、開口521の縁での損失を低減できる。
【0139】
配管部材5Gは、配管部材5の代わりに、
図1の雨樋システム1又は
図6の雨樋システム10に適用でき得る。
【0140】
[2.8 変形例8]
図15は、変形例8の配管部材5Hの構成例の斜視図である。
図16は、
図15の配管部材5Hの断面図である。
図15及び
図16に示すように、配管部材5Hは、直管部51と、拡散部52Hと、を備える。
【0141】
拡散部52Hは、直管部51に結合されて流路30に配置される。本変形例では、拡散部52Hは、直管部51の第2端部51bにある。本変形例では、拡散部52Hは、直管部51と一体的に形成されることで、直管部51に結合される。
【0142】
拡散部52Hは、隔壁部53と、ガイド部54と、ガイド部55と、複数の支持部56と、を備える。以下では、ガイド部54とガイド部55とを区別しやすくするために、ガイド部54を第1ガイド部54、ガイド部55を第2ガイド部55という場合がある。
【0143】
第2ガイド部55は、直管部51の中心軸C1の方向から見て、隔壁部53の開口521内に配置される。本変形例において、第2ガイド部55は、中実の錐台状である。本変形例において、第2ガイド部55は、中実の円錐台状である。直管部51の中心軸C1に直交する面内での第2ガイド部55の外周形状は円形状である。直管部51の中心軸C1に直交する面内での第2ガイド部55の外周形状は、直管部51の第1端部51aから第2端部51bに向かって大きくなる。
【0144】
本変形例では、第2ガイド部55の外周面が、開口521を通過する雨水に対するガイド面527として機能する。以下では、第1ガイド部54のガイド面522と第2ガイド部55のガイド面527とを区別しやすくするために、ガイド面522を第1ガイド面522、ガイド面527を第2ガイド面527という場合がある。
【0145】
第2ガイド面527は、直管部51の内側ではなく、直管部51の外側を向いている。「直管部51の外側を向いている」とは、第2ガイド面527が、直管部51の中心軸C1に対向していないことをいう。第2ガイド面527は、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導する。本変形例では、第2ガイド面527は、開口521から竪樋3の下流側に向かうほど直管部51の中心軸C1から離れる。本変形例において、第2ガイド面527の傾斜は一定である。つまり、直管部51の中心軸C1に直交する面内での第2ガイド面527と中心軸C1との距離の、開口521からの距離に対する増分は一定である。
【0146】
複数の支持部56は、第2ガイド部55を支持する。本変形例では、複数の支持部56は、第2ガイド部55を第1ガイド部54に連結する。
図15では、4つの支持部56が図示されている。支持部56の数は特に限定されないが、雨水の排水時に第2ガイド部55を支持でき、かつ、雨水の排水を過度に阻害しないことが望まれる。
【0147】
図15及び
図16の拡散部52Hにおいてガイド面は、第1ガイド面522と第2ガイド面527とを含む。第1ガイド面522及び第2ガイド面527の各々は、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導する。したがって、拡散部52Hは、ガイド面(第1ガイド面522及び第2ガイド面527)により、開口521を通過した雨水を拡散させる。拡散部52Hにより拡散された雨水は、竪樋3の内面に当たる。
図16では、拡散部52Hにより拡散された雨水は、第2縦管32の内側面32aに当たる。雨水が竪樋3の内面に当たることは、管路圧損の増加を引き起こし得る。特に、拡散部52Hにおいてガイド面は、第1ガイド面522と第2ガイド面527とを含むため、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導しやすくなり、サイフォン現象による作用を更に安定的に促進させることができる。
【0148】
以上述べた配管部材5Hは、雨水の排水にサイフォン現象を利用する雨樋システムの竪樋の一部を構成する。配管部材5H、竪樋の流路の少なくとも一部を規定する直管部51と、直管部51に結合されて流路に配置される拡散部52Hと、を備える。拡散部52Hは、直管部51より流路面積が小さい開口521と、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導するガイド面522,527と、を有する。この構成は、サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができる。
【0149】
配管部材5Hにおいて、ガイド面522,527は、開口521から竪樋3の下流側に向かうほど直管部51の中心軸C1から離れる。この構成は、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導しやすくなり、サイフォン現象による作用を更に安定的に促進させることができる。
【0150】
配管部材5Hにおいて、ガイド面522,527は、直管部51の内側を向いた第1ガイド面522と、直管部51の外側を向いた第2ガイド面527とを含む。この構成は、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導しやすくなり、サイフォン現象による作用を更に安定的に促進させることができる。
【0151】
配管部材5Hは、配管部材5の代わりに、
図1の雨樋システム1又は
図6の雨樋システム10に適用でき得る。
【0152】
[2.9 変形例9]
図17は、変形例9の配管部材5Iの構成例の断面図である。
図17の配管部材5Iは、配管部材5の代わりに、
図1の雨樋システム1に適用でき得る。
【0153】
図17の配管部材5Iは、直管部51と、拡散部52Iとを備える。
【0154】
拡散部52Iは、直管部51に結合されて流路30に配置される。
図17に示すように、拡散部52Iは、直管部51の第2端部51bにある。拡散部52Iは、直管部51と一体的に形成されることで、直管部51に結合される。
【0155】
拡散部52Iは、直管部51の内側面510から直管部51の中心軸C1側に延びる。拡散部52Iは、厚みが一様な板状である。拡散部52Iは、貫通孔528を有する。貫通孔528は、直管部51の第1端部51a側の開口521と、直管部51の第2端部51b側の開口523とを有する。直管部51の中心軸C1に直交する面内での貫通孔528の内周形状は、開口521から開口523に向かって大きくなる。
【0156】
拡散部52Iでは、貫通孔528の流路面積に対する貫通孔528の長さが、貫通孔528の内側面がガイド面522として機能するように、設定される。ここで、貫通孔528の流路面積は、直管部51の中心軸C1に直交する面内における貫通孔の断面積である。貫通孔528の流路面積は、開口521の流路面積に等しい。貫通孔528の長さは、直管部51の中心軸C1の方向での貫通孔528の寸法である。特に、竪樋3の流路30を流れる雨水において乱流の影響が少ない場合には、貫通孔528の長さを短くでき得る。
図17では、直管部51の中心軸C1の方向において、ガイド面522の長さを、拡散部52Iの厚みと一致させることができる。
図17の拡散部52Iは、板状の部位に貫通孔を設けることで形成でき、例えば、
図3の拡散部52よりも単純な形状である。そのため、配管部材5Iの製造が容易になる。
【0157】
本変形例では、貫通孔528は、拡散部52Iの中央にある。貫通孔528は、直管部51の中心軸C1の方向から見て、円形状である。本変形例では、開口521の内径D2は、直管部51の内径D1より小さい。開口523の内径D3は、開口521の内径D2より大きく、直管部51の内径D1より小さい。
【0158】
図17の配管部材5Iでは、直管部51は、第1端部51aに開口511を有し、拡散部52Iは、開口523を有する。本変形例では、開口511が、配管部材5Iの流入口を規定し、開口523が、配管部材5Iの流出口を規定する。
【0159】
図17の拡散部52Iにおいても、ガイド面522は、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導する。したがって、拡散部52Iは、ガイド面522により、開口521を通過した雨水を拡散させる。拡散部52Iにより拡散された雨水は、竪樋3の内面に当たる。
図17では、拡散部52Iにより拡散された雨水は、直管部51の内側面510に当たる。雨水が竪樋3の内面に当たることは、管路圧損の増加を引き起こし得る。
【0160】
特に、配管部材5Iは、配管部材5の代わりに、
図1の雨樋システム1に適用される。
図1の雨樋システム1では、
図6の雨樋システム10とは異なり、一般的にサイフォン現象が発生してない時の雨水の流れは、落とし口2bから竪樋3の管壁に沿って落下し、配管部材5Iの拡散部52Iに至る。雨量が多くなるに従い、配管部材5Iの拡散部52Iより上部での雨水の滞留が起こり、拡散部52Iより上部の雨水は直管部51より流路面積が小さい開口521により流速を上げ、ガイド面522に沿って拡散部52Iから下方に吐出される。そのため、拡散部52Iのガイド面522は、雨水自体のエネルギを利用して、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導でき得る。
【0161】
以上述べた配管部材5Iは、雨水の排水にサイフォン現象を利用する雨樋システムの竪樋の一部を構成する。配管部材5Iは、竪樋の流路の少なくとも一部を規定する直管部51と、直管部51に結合されて流路に配置される拡散部52Iと、を備える。拡散部52Iは、直管部51より流路面積が小さい開口521と、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導するガイド面522と、を有する。この構成は、サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができる。
【0162】
[2.10 変形例10]
図18は、変形例10の配管部材5Jの構成例の断面図である。
図18の配管部材5Jは、配管部材5の代わりに、
図1の雨樋システム1に適用でき得る。
【0163】
図18の配管部材5Jは、直管部51と、拡散部52Jとを備える。
【0164】
拡散部52Jは、直管部51に結合されて流路30に配置される。
図18に示すように、拡散部52Jは、直管部51の中間部51c及び第2端部51bにわたる。拡散部52Jは、直管部51と一体的に形成されることで、直管部51に結合される。
【0165】
図18の拡散部52Jは、直管部51の内側面510で囲まれた空間に繋がる内部流路57を規定する。内部流路57は、縮小流路57a、接続流路57b及び拡大流路57cを含む。縮小流路57a、接続流路57b及び拡大流路57cは、直管部51の第1端部51aから第2端部51bに向かう方向において、この順番に並ぶ。
【0166】
縮小流路57aの流路面積は、直管部51の第1端部51aから第2端部51bに向かって小さくなる。つまり、直管部51の中心軸C1に直交する面内での縮小流路57aの内周形状は、第1端部51aから第2端部51bに向かって小さくなる。これによって、縮小流路57aの内側面が、直管部51の内側面510から開口521に向かって直管部51の中心軸C1に直交せずに交差する方向に延びるテーパ面524を規定する。縮小流路57aは、開口521とは反対側において直管部51の内側面510で囲まれた空間に繋がる。
【0167】
接続流路57bの流路面積は、直管部51の第1端部51aから第2端部51bに向かって変化しない。つまり、直管部51の中心軸C1に直交する面内での接続流路57bの内周形状は、一定である。拡散部52Jでは、接続流路57bが、内部流路57において最も断面積が小さい部分である。接続流路57bは、直管部51よりも流路面積が小さい開口521を規定する。
【0168】
拡大流路57cの流路面積は、直管部51の第1端部51aから第2端部51bに向かって大きくなる。つまり、直管部51の中心軸C1に直交する面内での拡大流路57cの内周形状は、第1端部51aから第2端部51bに向かって大きくなる。拡大流路57cの内側面は、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導するガイド面522を規定する。拡大流路57cは、開口521とは反対側に開口523を有する。
【0169】
本変形例では、内部流路57の中心軸C3は、直管部51の中心軸C1と一致する。内部流路57は、直管部51の中心軸C1の方向から見て、円形状である。本変形例では、開口521の内径D2は、直管部51の内径D1より小さい。開口523の内径D3は、直管部51の内径D1より小さく、開口521の内径D2より大きい。
【0170】
図18の配管部材5Jでは、直管部51は、第1端部51aに開口511を有し、拡散部52Jが開口523を有する。本変形例では、開口511が、配管部材5Jの流入口を規定する。本変形例では、拡散部52Jの開口523が、配管部材5Jの流出口を規定する。
【0171】
図18の拡散部52Jにおいても、ガイド面522は、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導する。したがって、拡散部52Jは、ガイド面522により、開口521を通過した雨水を拡散させる。拡散部52Jにより拡散された雨水は、竪樋3の内面に当たる。
図18では、拡散部52Jにより拡散された雨水は、第2縦管32の内側面32aに当たる。雨水が竪樋3の内面に当たることは、管路圧損の増加を引き起こし得る。
【0172】
特に、配管部材5Jは、配管部材5の代わりに、
図1の雨樋システム1に適用される。
図1の雨樋システム1では、
図6の雨樋システム10とは異なり、一般的にサイフォン現象が発生してない時の雨水の流れは、落とし口2bから竪樋3の管壁に沿って落下し、配管部材5Jの拡散部52Jに至る。雨量が多くなるに従い、配管部材5Jの拡散部52Jより上部での雨水の滞留が起こり、拡散部52Jより上部の雨水は直管部51より流路面積が小さい開口521により流速を上げ、ガイド面522に沿って拡散部52Jから下方に吐出される。そのため、拡散部52Jのガイド面522は、雨水自体のエネルギを利用して、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導でき得る。
【0173】
以上述べた配管部材5Jは、雨水の排水にサイフォン現象を利用する雨樋システムの竪樋の一部を構成する。配管部材5J、竪樋の流路の少なくとも一部を規定する直管部51と、直管部51に結合されて流路に配置される拡散部52Jと、を備える。拡散部52Jは、直管部51より流路面積が小さい開口521と、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導するガイド面522と、を有する。この構成は、サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができる。
【0174】
配管部材5Jにおいて、ガイド面522は、開口521から竪樋3の下流側に向かうほど直管部51の中心軸C1から離れる。この構成は、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導しやすくなり、サイフォン現象による作用を更に安定的に促進させることができる。
【0175】
配管部材5Jにおいて、拡散部52Jは、直管部51の内側面510から開口521に向かって直管部51の中心軸C1に直交せずに交差する方向に延びるテーパ面524を、更に有する。この構成は、開口521による圧力損失を低減できる。
【0176】
[2.11 変形例11]
図19は、変形例11の配管部材5Kを備える雨樋システム1Kの構成例の概略図である。
図19の雨樋システム1は、軒樋2と、竪樋3Kと、ドレン4とを備える。
【0177】
図19の竪樋3Kは、第1縦管31と、第2縦管32と、配管部材5Kと、第1ソケット35aと、第2ソケット35bと、を備える。
【0178】
配管部材5Kは、雨水の排水にサイフォン現象を利用する雨樋システム1Kの竪樋3Kの一部を構成する。配管部材5Kは、雨樋システム1Kにおいてサイフォン現象による作用を安定的に促進させるために設けられる。
図19の竪樋3Kでは、配管部材5Kは、第1縦管31と第2縦管32との間にある。
図19の配管部材5Kは、第1縦管31及び第2縦管32と同様の縦管であり得る。竪樋3Kにおける配管部材5Kの位置は、雨水の排水時のサイフォン現象の発生の度合いを考慮して、適宜設定される。
【0179】
配管部材5Kは、直管部51Kと、拡散部52と、を備える。
【0180】
直管部51Kは、竪樋3Kの流路30の少なくとも一部を規定する。本変形例では、直管部51Kの内側面510で囲まれる直管部51Kの内部空間が、竪樋3Kの流路30の一部となる。直管部51Kの中心軸C1に直交する断面は円形状である。直管部51Kの中心軸C1は直管部51Kの管軸でもある。直管部51Kの材料は、硬質ポリ塩化ビニルである。直管部51Kの寸法、例えば、外形と厚さは、JIS K 6741「硬質ポリ塩化ビニル管」の硬質ポリ塩化ビニル管(一般)の規格に沿って設定されてよい。直管部51Kは、直管部51Kの中心軸C1の方向が上下方向(鉛直方向)に一致するように配置される。
【0181】
本変形例では、直管部51Kの寸法は、竪樋3Kに用いられる第1縦管31及び第2縦管32の少なくとも一方と同じである。そのため、直管部51Kは、直管部51Kの外面に、竪樋3Kに用いられる、直管部51Kの寸法と同じ寸法の縦管(第1縦管31又は/及び第2縦管32)と区別するためのマーク51eがある。これによって、配管部材5Kを、第1縦管31又は第2縦管32と区別できて、竪樋3Kの施工性を向上できる。マーク51eは、人の知覚によって認識可能な、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合であってよい。
【0182】
図19では、マーク51eは、配管部材5Kの設置の向きを示す機能を有する。
図19のマーク51eは矢印であり、配管部材5Kの設置の際には、マーク51eが示す矢印が上向きになるように、配管部材5Kを設置する。
図19では、竪樋3Kにおいて、マーク51eが露出しているが、マーク51eは直管部51Kの第1端部51a又は第2端部51bの外面に配置されて、施工後には、マーク51eが他部材で隠されてもよい。
【0183】
第1ソケット35aは、第1縦管31と配管部材5Kとを接続する。
図19では、第1ソケット35aは、第1縦管31の下流側の端部と配管部材5Kの上流側の端部(第1端部51a)とを接続する。第2ソケット35bは、第2縦管32と配管部材5Kとを接続する。
図19では、第2ソケット35bは、第2縦管32の上流側の端部と配管部材5Kの下流側の端部(第2端部51b)とを接続する。第1ソケット35a及び第2ソケット35bの寸法は、例えば、JIS K 6739「排水用硬質ポリ塩化ビニル管継手」の規格に沿って設定されてよい。
【0184】
以上述べた配管部材5Kは、拡散部52を有しているから、拡散部52のガイド面522が、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導する。したがって、拡散部52は、ガイド面522により、開口521を通過した雨水を拡散させる。拡散部52により拡散された雨水は、竪樋3Kの内面に当たる。
図19では、拡散部52により拡散された雨水は、直管部51Kの内側面510に当たる。雨水が竪樋3Kの内面に当たることは、管路圧損の増加を引き起こし得る。
【0185】
以上述べた配管部材5Kは、雨水の排水にサイフォン現象を利用する雨樋システム1Kの竪樋3Kの一部を構成する。配管部材5K、竪樋3Kの流路30の少なくとも一部を規定する直管部51Kと、直管部51Kに結合されて流路に配置される拡散部52と、を備える。拡散部52は、直管部51Kより流路面積が小さい開口521と、開口521を通過する雨水を直管部51Kの中心軸C1から離れる向きに誘導するガイド面522と、を有する。この構成は、サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができる。
【0186】
[2.12 変形例12]
図20は、変形例12の配管部材5Lの構成例の断面図である。
図20の配管部材5Lは、直管部51と、拡散部52Lと、を備える。
【0187】
拡散部52Lは、直管部51に結合されて流路30に配置される。
図20に示すように、拡散部52Lは、直管部51の第2端部51bにある。拡散部52Lは、直管部51と一体的に形成されることで、直管部51に結合される。
【0188】
拡散部52Lは、隔壁部53と、ガイド部54Lとを備える。
【0189】
ガイド部54Lは、隔壁部53の開口521の縁から竪樋3の下流側、例えば、直管部51の第1端部51aから第2端部51bに向かう方向に突出する。ガイド部54Lは、開口521の全周を囲う。本変形例において、ガイド部54は、筒状である。特に、ガイド部54Lは、円筒状である。直管部51の中心軸C1に直交する面内でのガイド部54Lの外周形状及び内周形状は円形状である。直管部51の中心軸C1に直交する面内でのガイド部54の外周形状及び内周形状は、直管部51の第1端部51aから第2端部51bに向かって変化しない。
【0190】
本変形例でも、ガイド部54Lの内周面が、開口521を通過する雨水に対するガイド面522として機能する。ガイド面522は、直管部51の内側を向いている。ガイド面522は、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導する。本変形例では、ガイド面522と直管部51の中心軸C1との間の距離は、直管部51の中心軸C1の方向において変化しない。
図20の拡散部52Lは、ガイド面522が直管部51の中心軸C1に対して傾斜していない点で、
図3の拡散部52と異なっている。
図3の拡散部52では、雨量が比較的少なく、配管部材5と落とし口2bとの間が満水状態になっていないような場合でも、ガイド面522が開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導し得る。これに対して、
図20の拡散部52Lでは、雨量が比較的多く、配管部材5と落とし口2bとの間が満水状態又は満水状態に近い状態になった場合に(気泡が混じっていても)、ガイド面522が開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導し得る。つまり、配管部材5と落とし口2bとの間が満水状態又は満水状態に近い状態になった場合には、開口521が雨水の流速を増加させるため、ガイド面522が直管部51の中心軸C1に対して傾斜していなくても、ガイド面522により雨水を拡散する効果が得られる。ガイド面522は、配管部材5と落とし口2bとの間が満水状態又は満水状態に近い状態において、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導する作用を発揮できればよい。
【0191】
拡散部52Lは、ガイド部54Lにおける開口521とは反対側に開口523を有する。開口523が、配管部材5Lの流出口を規定する。したがって、竪樋3では、配管部材5Lからの雨水が、配管部材5Lの流出口である開口523から第2縦管32に進入する。本変形例では、開口523の内径は、開口521の内径D2に等しいため、直管部51の内径D1より小さい。
【0192】
図20の拡散部52Lにおいても、ガイド面522は、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導する。したがって、拡散部52Lは、ガイド面522により、開口521を通過した雨水を拡散させる。拡散部52Lにより拡散された雨水は、竪樋3の内面に当たる。
図20では、拡散部52Lにより拡散された雨水は、第2縦管32の内側面32aに当たる。雨水が竪樋3の内面に当たることは、管路圧損の増加を引き起こし得る。
【0193】
以上述べた配管部材5Lは、雨水の排水にサイフォン現象を利用する雨樋システムの竪樋の一部を構成する。配管部材5L、竪樋の流路の少なくとも一部を規定する直管部51と、直管部51に結合されて流路に配置される拡散部52Lと、を備える。拡散部52Lは、直管部51より流路面積が小さい開口521と、開口521を通過する雨水を直管部51の中心軸C1から離れる向きに誘導するガイド面522と、を有する。この構成は、サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができる。
【0194】
配管部材5Lは、配管部材5の代わりに、
図1の雨樋システム1又は
図6の雨樋システム10に適用でき得る。
【0195】
[2.13 その他の変形例]
一変形例において、拡散部の一部又は全部の形状及び大きさは、上記の実施の形態及び変形例と異なっていてよい。例えば、上記実施の形態とは異なり、拡散部のガイド部は、中空の角錐台状であってよい。直管部の中心軸に直交する面内での、直管部及び拡散部の形状は、円形状ではなく、多角形状であってよい。上記の実施の形態では、直管部の中心軸を含む平面での拡散部の断面において、ガイド面は直線状であるが、変形例においては、曲線状又は折線状であってよい。
【0196】
一変形例において、直管部における拡散部の位置は特に限定されない。
【0197】
一変形例において、拡散部は、複数の開口及び複数のガイド面を備えてよい。
【0198】
一変形例において、直管部と拡散部とは、連続一体に形成されていなくてもよい。直管部と拡散部とは別体であってよい。直管部と拡散部とは組み立て等により機械的に結合されてよい。直管部と拡散部の材料とは異なっていてもよい。
【0199】
一変形例において、配管部材の材料は、必ずしも硬質ポリ塩化ビニルでなくてもよい。配管部材の材料は、雨樋システムに求められる要件にしたがって決定されてよく、例えば、ポリエチレン等の合成樹脂であってもよい。
【0200】
一変形例において、雨樋システム1は、必ずしも軒樋2を備えていなくてもよい。例えば、建物11がバルコニーのような落とし口を備える構造を有する場合には、竪樋3が建物11の落とし口に接続されてよい。この点は、雨樋システム10においても同様である。
【0201】
一変形例において、竪樋3は、上記の実施の形態の例と異なる構成を有してよい。竪樋3は、第1縦管31、第2縦管32及び配管部材5に加えて、その他の部材を有し得る。別の例では、竪樋3は、配管部材が、竪樋3の上流型の端部であってよい。例えば、
図1では、配管部材5が落とし口2bに直接的に接続されてよい。例えば、
図6では、配管部材5が第2エルボ7bに直接的に接続されてよい。竪樋3は、配管部材5のみで構成されてよい。つまり、配管部材5が、竪樋3の流路30全部を構成してよい。
【0202】
[3.態様]
上記実施の形態及び変形例から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。以下では、実施の形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。なお、文章の見やすさを考慮して2回目以降の括弧付きの符号の記載を省略する場合がある。
【0203】
第1の態様は、雨水の排水にサイフォン現象を利用する雨樋システム(1;1K;10)の竪樋(3)の一部を構成する配管部材(5;5A;5B;5C;5D;5E;5F;5G;5H;5I;5J;5K;5L)であって、前記竪樋(3;3K)の流路(30)の少なくとも一部を規定する直管部(51;51K)と、前記直管部(51;51K)に結合されて前記流路(30)に配置される拡散部(52;52A;52B;52C;52D;52E;52F;52G;52H;52I;52J;52L)と、を備える。前記拡散部は、前記直管部より流路面積が小さい開口(521)と、前記開口(521)を通過する雨水を前記直管部(51)の中心軸(C1)から離れる向きに誘導するガイド面(522、527)と、を有する。この態様は、サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができる。
【0204】
第2の態様は、第1の態様に基づく配管部材(5;5A;5B;5C;5D;5E;5F;5G;5H;5J;5K)である。第2の態様において、前記ガイド面(522)は、前記開口(521)から前記竪樋(3;3K)の下流側に向かうほど前記直管部(51)の中心軸(C1)から離れる。この態様は、開口(521)を通過する雨水を直管部(51;51K)の中心軸(C1)から離れる向きに誘導しやすくなり、サイフォン現象による作用を更に安定的に促進させることができる。
【0205】
第3の態様は、第1又は第2の態様に基づく配管部材(5;5A;5B;5C;5D;5E;5F;5G;5H;5J;5K)である。第3の態様において、前記ガイド面は、前記直管部(51;51K)の内側を向いた第1ガイド面(522)と、前記直管部の外側を向いた第2ガイド面(527)との少なくとも一方を含む。この態様は、開口(521)を通過する雨水を直管部(51;51K)の中心軸(C1)から離れる向きに誘導しやすくなり、サイフォン現象による作用を更に安定的に促進させることができる。
【0206】
第4の態様は、第1~第3の態様のいずれか一つに基づく配管部材(5;5A;5B;5C;5D;5E;5F;5G;5H;5J;5K;5L)である。第4の態様において、前記直管部(51;51K)の中心軸(C1)の方向における前記ガイド面(522,527)の長さは、前記竪樋(3)における前記拡散部(52;52A;52B;52C;52D;52E;52F;52G;52H;52J;52L)より下流側の所定領域が満水状態となるように設定される。この態様は、サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができる。
【0207】
第5の態様は、第1~第4の態様のいずれか一つに基づく配管部材(5A;5F;5G;5J;5K)である。第5の態様において、前記拡散部(52A)は、前記直管部(51;51K)の内側面(510)から前記開口(521)に向かって前記直管部(51)の中心軸(C1)に直交せずに交差する方向に延びるテーパ面(524)を、更に有する。この態様は、開口(521)による圧力損失を低減できる。
【0208】
第6の態様は、第5の態様に基づく配管部材(5G)である。第6の態様において、前記直管部(51)の内側面(510)と前記テーパ面(524)との間の角(B1)がR形状である。この態様は、直管部(51)の内側面(510)とテーパ面(524)との間の角(B1)での乱流の発生を低減できる。
【0209】
第7の態様は、第1~第6の態様のいずれか一つに基づく配管部材(5;5B;5C;5D;5F;5G;5H;5J;5K;5L)である。第7の態様において、前記開口(521)の縁はR形状である。この態様は、開口(521)の縁での損失を低減できる。
【0210】
第8の態様は、第1~第7の態様のいずれか一つに基づく配管部材(5;5A;5B;5C;5D;5E;5F;5G;5H;5I;5J;5K;5L)である。第8の態様において、前記開口(521)の中心(O1)は、前記直管部(51;51K)の中心軸(C1)上にある。この態様は、サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができる。
【0211】
第9の態様は、第1~第8の態様のいずれか一つに基づく配管部材(5K)である。第9の態様において、前記直管部(51K)は、前記直管部(51K)の外面に、前記竪樋(3K)に用いられる、前記直管部(51K)の寸法と同じ寸法の縦管(第1縦管31,第2縦管32)と区別するためのマーク(51e)を有する。この態様は、竪樋(3K)の施工性を向上できる。
【0212】
第10の態様は、雨樋システム(1;1K;10)である。前記雨樋システム(1;1K;10)は、第1~第9の態様のいずれか一つに配管部材(5;5A;5B;5C;5D;5E;5F;5G;5H;5I;5J;5K;5L)を有し、建物(11;110)からの雨水の落とし口(2b)に接続される竪樋(3;3K)と、前記落とし口(2b)に配置されるドレン(4)と、を備える。この態様は、サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができる。
【0213】
第11の態様は、第10の態様に基づく雨樋システム(1;1K)である。第11の態様において、前記竪樋(3;3K)は、前記落とし口(2b)に直接的に接続される。この態様は、サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができる。
【0214】
第12の態様は、第10の態様に基づく雨樋システム(10)である。第12の態様において、前記雨樋システム(10)は、前記落とし口(2b)と前記竪樋(3)との間にある呼び樋(6)と、前記呼び樋(6)の上流側の端部(6a)を前記落とし口(2b)に接続する第1エルボ(7a)と、前記呼び樋(6)の下流側の端部(6b)を前記竪樋(3)の上流側の端部(3a)に接続する第2エルボ(7b)と、を更に備える。この態様は、サイフォン現象による作用を安定的に促進させることができる。
【0215】
上記の第2~第9の態様は任意の要素である。
【産業上の利用可能性】
【0216】
本開示は、配管部材、及び、雨樋システムに適用可能である。具体的には、雨水の排水にサイフォン現象を利用する雨樋システムの竪樋の一部を構成する配管部材、及び、雨水の排水にサイフォン現象を利用する雨樋システムに、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0217】
1,1K,10 雨樋システム
2b 落とし口
3,3K 竪樋
30 流路
4 ドレン
5,5A~5L 配管部材
51,51K 直管部
51e マーク
52,52A~52J,52L 拡散部
521 開口
522 ガイド面(第1ガイド面)
524 テーパ面
527 ガイド面(第2ガイド面)
6 呼び樋
7a 第1エルボ
7b 第2エルボ
B1 角(直管部の内側面とテーパ面との間の角)
C1 中心軸C1
O1 中心
11,110 建物