(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096795
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】シートラミネート装置、及びシートラミネート装置を備えた画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/00 20060101AFI20230630BHJP
B65H 45/14 20060101ALI20230630BHJP
B65H 39/14 20060101ALI20230630BHJP
B29C 63/02 20060101ALI20230630BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
B41J29/00 H
B65H45/14
B65H39/14
B29C63/02
B41J29/38 350
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212794
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100098062
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 明彦
(74)【代理人】
【識別番号】100147599
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 匡孝
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 邦秀
【テーマコード(参考)】
2C061
3F050
3F108
4F211
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ06
2C061AR03
2C061AS02
2C061AS11
2C061CK02
2C061CM07
2C061CM16
2C061HJ10
2C061HK07
2C061HK11
3F050AA02
3F050BB07
3F050LA01
3F050LB01
3F108AA01
3F108AB01
3F108AC01
3F108BA03
3F108BA08
3F108CC02
3F108HA02
3F108HA12
4F211AD08
4F211AG01
4F211AG03
4F211AM12
4F211SA08
4F211SC05
4F211SD01
4F211SJ13
4F211SJ15
4F211SJ21
4F211SP04
4F211SP50
(57)【要約】
【課題】加圧ローラのクリーニング処理を自動で最適に実施可能なシートラミネート装置を提供する。
【解決手段】シートラミネート装置L001のシートラミネート装置制御部(CPU)L401は、加圧ローラL020,L021によるラミネート処理が一定の量を超えると、画像形成装置H001の給紙部H002から供給されるシートの厚さが所定の厚さよりも大きいか否かを判断し、大きい場合には、その厚いシートのみを搬送しつつ加圧ローラで加圧することによって、加圧ローラへの巻き付きを生じることなく、そのローラ面からごみや糊が除去される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送されるシートと一方の面に接着層を有するシート状部材とを前記一方の面で重ね合わせて加圧してラミネート処理を行うシート加圧手段と、
前記搬送手段及び前記シート加圧手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記シート加圧手段によるラミネート処理の量が、予め決定された所定の値を超えたとき、前記搬送手段により搬送されるシートの厚さが所定の厚さより大きい場合、前記シート加圧手段をクリーニングするために、前記所定の厚さより大きい厚さのシートのみを前記搬送手段により搬送して、前記シート加圧手段により加圧する、シートラミネート装置。
【請求項2】
前記制御手段により制御されて、前記搬送手段により搬送されるシートに折り処理を施す折り手段を更に備え、
前記制御手段は、前記シート加圧手段によるラミネート処理の量が、予め決定された所定の値を超えたとき、前記搬送手段により搬送されるシートの厚さが所定の厚さより大きくない場合、前記シート加圧手段をクリーニングするために、前記所定の厚さより大きくない厚さのシートを前記折り手段により折り処理し、折り処理された前記シートのみを前記搬送手段により搬送して、前記シート加圧手段により加圧する、請求項1に記載のシートラミネート処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記折り処理されたシートを、その折り目をシート搬送方向下流側に向けて前記搬送手段により搬送して、前記シート加圧手段により加圧する、請求項2に記載のシートラミネート処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記シート加圧手段をクリーニングするために、前記搬送手段により搬送される前記シートのみが前記シート加圧手段を通過する間の搬送速度を、前記ラミネート処理のために、前記搬送手段により搬送される前記シートと前記シート状部材とが前記シート加圧手段を通過する間の搬送速度よりも遅くなるように、前記搬送手段を制御する、請求項1乃至3のいずれかに記載のシートラミネート処理装置。
【請求項5】
前記シート加圧手段をクリーニングするために、前記搬送手段によりシートのみで搬送されて前記シート加圧手段を通過した前記シートを排出するためのシート排出部と、前記制御手段により制御されて、前記シート加圧手段を通過した前記シートの搬送を前記シート排出部に切替可能な排出手段とを更に備える、請求項1乃至4のいずれかに記載のシートラミネート装置。
【請求項6】
シートに画像を形成する画像形成装置と、請求項1乃至5のいずれかに記載のシートラミネート処理装置と、を備えた画像形成システム。
【請求項7】
前記画像形成装置は、複数の異なるサイズのシートを収容するシート収容手段を有し、
前記シートラミネート処理装置の制御手段は、前記シート加圧手段によるラミネート処理の量が、予め決定された所定の値を超えたとき、前記シート加圧手段が最後にクリーニングされてから以降に施したラミネート処理に使用した前記シート状部材の幅よりも大きい幅のシートを、前記シート収容手段が収容している場合は、前記大きい幅のシートを前記シート収容手段から前記シートラミネート処理装置に供給させ、前記シート加圧手段が最後にクリーニングされてから以降に施したラミネート処理に使用した前記シート状部材の幅よりも大きい幅のシートを、前記シート収容手段が収容していない場合は、前記シート収容手段に収容されている最大幅のシートを前記シート収容手段から前記シートラミネート処理装置に供給させ、それぞれシートのみで前記搬送手段により搬送して、前記シート加圧手段により加圧することによって、前記シート加圧手段をクリーニングする、請求項6に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定のシートに接着剤層を有するシート状部材を重ねて接着するラミネート処理を実施するシートラミネート装置、及びかかるシートラミネート装置を備えた画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成されたシートの表面を保護するために、該シートの表面にラミネートフィルムを接着するラミネート加工が広く行われている。特に、シートの両面に透明なラミネートフィルムを封着する加工は、パウチ加工とも呼ばれている。
【0003】
一般にラミネート処理では、加圧時にラミネートフィルムの接着面から糊がはみ出して加圧ローラに付着する。加圧ローラに付着した糊は、ラミネートフィルムの加圧ローラへの巻き付きや詰まりを生じさせ、シートラミネート装置の故障の原因となり得るので、加圧ローラを定期的にクリーニングすることが必要である。
【0004】
そこで、
ラミネート処理を施されたシートが累計で所定枚数に達すると、加圧ローラのクリーニング時期と判断してユーザへの報知を表示するラミネート装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この表示を見たユーザは、専用のクリーニングシートを手作業でラミネート装置に供給し、加圧ローラのクリーニングを実施する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来技術の装置では、ユーザが、誤ってクリーニング処理に不適切なシート、例えば専用のクリーニングシート以外のシートや薄紙のシートをラミネート装置にセットする可能性がある。そのため、クリーニング処理時にシートが加圧ローラに巻き付くなどして、正常にクリーニング処理できず、却って故障の原因となる虞があった。
【0007】
本発明は、このような従来の技術に存在する課題に鑑みてなされたものであり、加圧ローラのクリーニング処理を自動で最適に実施可能なシートラミネート装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のシートラミネート装置は、上記課題を解決するため、
シートを搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送されるシートと一方の面に接着層を有するシート状部材とを前記一方の面で重ね合わせて加圧してラミネート処理を行うシート加圧手段と、
前記搬送手段及び前記シート加圧手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記シート加圧手段によるラミネート処理の量が、予め決定された所定の値を超えたとき、前記搬送手段により搬送されるシートの厚さが所定の厚さより大きい場合、前記シート加圧手段をクリーニングするために、前記所定の厚さより大きい厚さのシートのみを前記搬送手段により搬送して、前記シート加圧手段により加圧する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、制御手段が、ラミネート処理を行うシート加圧手段のクリーニング時期を自動で判断するだけでなく、搬送手段により搬送されるシートの厚さに基づいて、クリーニングに適したシートを自動で選択するので、常にクリーニング処理を最適に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る画像形成装置にシートラミネート装置及びシート処理装置を組み合わせた画像形成システムの全体構成を示した説明図。
【
図3】
図1のシートラミネート装置の主要部説明図。
【
図6】
図2のシート折り装置により折り処理されたシートの形態の説明図。
【
図7】
図2のシート折り装置による中折り処理の動作説明図。
【
図8】
図1のシートラミネート装置で使用されるラミネートフィルムの一例を示す斜視図。
【
図9】
図1のシートラミネート装置でラミネート処理を施すために断裁されたラミネートフィルムとシートとを示す図。
【
図10】
図1のシートラミネート装置でラミネートフィルムを断裁する直前の状態を示す説明図。
【
図11】
図1のシートラミネート装置でラミネートフィルムを断裁した直後の状態を示す説明図。
【
図12】
図4のシート処理装置の処理トレイ周辺を示す拡大側面説明図。
【
図13】
図4のシート処理装置の搬送ローラ、分岐経路搬送ローラ及び排出ローラの駆動説明図。
【
図14】
図12の処理トレイに設けられたステープル綴じユニットのシート幅方向への移動構成を示す説明図。
【
図15】
図12の処理トレイに設けられてシート幅方向に移動する整合板の移動構成を示す説明図。
【
図17】
図3のシートラミネート装置のブロック図。
【
図19】
図1のシートラミネート装置のクリーニング処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態を詳しく説明する。
【0012】
添付図面において、
図1は、本発明に係る画像形成装置H001とシート折り装置200とシートラミネート装置L001とシート処理装置F001とを備えた画像形成システムを示す全体構成図である。
図2は、シート折り装置200の構成を詳細に示す説明図である。
図3は、シートラミネート装置L001の構成を詳細に示す説明図である。
図4は、シート処理装置F001の構成を詳細に示す説明図である。
【0013】
[画像形成システム]
図1に示す画像形成システムは、画像形成装置H001とシート折り装置200とシートラミネート装置L001とシート処理装置F001とから構成されている。画像形成装置H001の本体排出口H011には、シート折り装置200の搬入口253aが連結され、シート折り装置200の排出口253bには、シートラミネート装置L001の搬入口L251が連結され、シートラミネート装置L001の排出口L252には、シート処理装置F001の搬入口F016が連結されている。画像形成装置H001で画像形成されたシートは、シート折り装置200で所定の折り処理を施し、更にシートラミネート装置L001でのラミネート処理を経由し、シート処理装置F001で所定の後処理を施してスタックトレイF600、サドルトレイS001またはクリーニングシート廃棄トレイL253に収納するように構成されている。スタックトレイF600の上方には、画像形成装置H001からのシートをそのまま綴じ処理無しで直接収納するエスケープトレイF015が配設されている。
【0014】
[画像形成装置]
画像形成装置H001について、
図1に従って説明する。画像形成装置H001は、給紙部H002からシートを画像形成部H005に送り、画像形成部H005でシートに画像形成した後、本体排出口H011から排出するように構成されている。給紙部H002は、複数サイズのシートが給紙カセットH003、H004に収納してあり、指定されたシートを前記給紙カセットから1枚ずつ分離して画像形成部H005に給送する。
【0015】
画像形成部H005には、例えば静電ドラムH006と、その周囲に配置されたレーザー発光器H007と現像器H008と、転写チャージャH009と定着器H010が配置されている。画像形成部H005は、静電ドラムH006上にレーザー発光器H007で静電潜像を形成し、これに現像器H008でトナーを付着し、転写チャージャH009でシート上に画像を転写し、定着器H010で加熱定着し画像形成する。このようにして画像形成されたシートは、本体排出口H011から順次搬出される。
【0016】
シートを両面印刷する場合は、定着器H010から表面側に画像形成したシートを、スイッチバック経路H013を介して表裏反転した後、循環経路H012を経由し、再び画像形成部H005に給送してシートの裏面側に画像形成する。このように両面印刷されたシートは、スイッチバック経路H013で表裏反転された後、本体排出口H011から搬出される。
【0017】
画像読取装置H014では、プラテンH015上にセットした原稿シートをスキャンユニットH016で走査し、光電変換素子(たとえばCCD)で電気的に読み取る。この画像データは、画像処理部で例えばデジタル処理された後、データ記憶部H017に転送され、前記レーザー発光器H007に画像信号が送られる。原稿送り装置H018では、原稿スタッカH019に収容した原稿シートをプラテンH015に給送する。画像形成装置H001には、上記スキャンユニットH016で読み取った画像データまたは外部のネットワークから転送された画像データが、データ貯蔵部H020に蓄積される。この画像データは、データ貯蔵部H020からバッファメモリH022に転送され、このバッファメモリH022から順次にレーザー発光器H007にデータ信号が移送されるように構成されている。
【0018】
コントロールパネルH021からは、画像形成条件、例えばシートサイズ指定、シート厚指定、ラミネートフィルムのサイズ指定、カラー・モノクロ印刷指定、プリント部数指定、片面・両面印刷指定、拡大・縮小印刷指定などの印刷条件が設定される。さらに、上述した片面/両面印刷、拡大/縮小印刷、モノクロ/カラー印刷などの画像形成条件と同時に、シート処理条件も入力指定される。このシート処理条件は、例えば「折り処理」、「ラミネート処理」、「プリントアウトモード」、「ステープル綴じモード」、「区分け(ジョグ)モード」、「中綴じモード」、「折りモード」、「パンチモード」等が設定される。これらの処理条件については後述する。
【0019】
画像形成装置H001は、本体排出口H011からシートが排出されるとき、そのことを表す本体排出信号ES(
図16)を、画像形成制御部C000からシート折り装置200のシート折り装置制御部(CPU)290に送信する。シート折り装置200では、画像形成制御部C000からの本体排出信号ESに基づいて、シート折り装置制御部(CPU)290が動作タイミングを決定する。また、シート折り装置制御部(CPU)290は、シート搬入口210に送り込まれたシートのサイズ信号SS、及びそれに対して実行する処理に係る折りモード信号FS等を画像形成制御部C000から受信し、それら受信信号の情報に基いて、前記シートに実行すべき処理を決定する。
【0020】
シート折り装置200には、そのシート搬入口210にシート搬入ローラ211Aが設けられている。シート搬入ローラ211Aによりシート搬入口210に取り込まれたシートは、シート搬入ローラ211Aの直後に設けられた切換部材240(
図2)の動作によって、その後のシートの搬送経路が振り分けられる。
【0021】
画像形成制御部C000から受信した情報に折り処理が指定されていない場合、シート搬入口210に取り込まれたシートは、シート折り装置200の通過搬送パス253を素通りしてシートラミネート装置L001へ送られる。通過搬送パス253は、ピンチローラ231及びシート搬入ローラ211Aからなる搬入口253aと、ピンチローラ232及びシート搬入ローラ211Bからなる排出口253bとから構成されている(
図2)。
【0022】
他方、画像形成制御部C000から受信した情報に折り処理が指定されている場合、シート搬入口210に取り込まれたシートは、シート折り装置200の受入搬送パス250へ搬送され、サイズ信号SS及び折りモード信号FS(
図16)に基づいて、
図6(A)~(D)に例示するような折り処理が施される。
図6(A)は、中折り処理(1/2二つ折り)されたシートを、
図6(B)は、内三つ折り処理(内三つ折り処理)されたシートを、
図6(C)は、外三つ折り処理(1/3Z折り処理)されたシートを、
図6(D)は、片袖折り処理(1/4Z折り処理)されたシートをそれぞれ示している。これら各折り処理の詳細は後述する。
【0023】
また、折り処理が指定されている場合、シート折り装置制御部(CPU)290は、シート折り装置200内に取り込まれて受入搬送パス250を搬送されるシートに対して、画像形成制御部C000からのサイズ信号SS及び折りモード信号FSに含まれる情報に基づいて、中折り処理、内三つ折り処理、外三つ折り処理または片袖折り処理のいずれかの折り処理を選択し、実行する。ここで、内三つ折り処理が選択された場合、折り処理されたシート(
図6(B))は、シート折り装置200内の収納ボックス(収納部)280に収納される。それ以外の折り処理が選択された場合、折り処理されたシートは、折り処理後に排出搬送パス252を通って通過搬送パス253に合流し、下流側のシートラミネート装置L001へ送られて、更に必要なラミネート処理等が行われる。
【0024】
次に、シート折り装置200による折り処理について説明する。本実施形態の画像形成システムにおいて、通常必要とされるシート折り形態は、
図6(A)~(D)に例示する中折り(1/2二つ折り)、内三つ折り、外三つ折り及び片袖折りであるので、これらに関連して説明する。
【0025】
(中折り)
中折りでは、
図6(A)に示すように、画像形成装置H001からシート折り装置200に搬入されたシートは、搬送方向にシート全長の1/2になる位置を折り目にして折り畳まれる。この場合、シート折り装置200の搬送経路には、搬入されたシートを所望の折り目位置で折り畳むために、一対の折りロールと、シートの先端または後端を基準に折り目位置を割り出す規制手段とを設ける必要がある。このように中折りで折り畳まれたシートは、搬送方向の合わせ端をステープル綴じまたは糊綴じで綴じ処理することによって、袋綴じ書類が作成される。また、二つ折りしたシートの折り側の端縁に穿孔処理を施すことによって、ファイリング等の書類整理に用いられる。
【0026】
(内三つ折り)
内三つ折りでは、画像形成装置H001からシート折り装置200に搬入されたシートは、
図6(B)に示すように、搬送方向下流端と上流端とからそれぞれシート全長の1/3になる2つの折り目位置で、互いに同じ側に(同図では、シート上面が内面となるように上向きに)折り畳まれる。そのため、シート折り装置200は、その搬送経路で第1の折り畳みを行う第1の折りロールと、第1の折りロールで折られたシートを搬出する折りシート搬出経路と、この折りシート搬出経路に設けられて第2の折り畳みを行う第2の折りロールとが必要である。
【0027】
例えば、搬送方向下流側の折り目位置を第1の折り目にして最初に折り畳み、次に搬送方向上流側の折り目位置を第2の折り目にして、最初に折り畳まれた搬送方向下流側のシート部分の上に折り重ねられように、折り畳むことができる。しかしながら、この折り畳みの順序は、搬送方向下流側と上流側とで逆であってもよい。また、このように内三つ折りされたシートは、レターとして封筒に封入され使用されるに適している。
【0028】
(外三つ折り)
外三つ折りでは、画像形成装置H001からシート折り装置200に搬入されたシートは、
図6(C)に示すように、搬送方向下流端と上流端とからそれぞれシート全長の1/3になる2つの折り目位置で、互いに反対向きに(同図では、搬送方向中央のシート部分に対して、下流側が下面側にかつ上流側が上面側に)折り畳まれる。そのため、シート折り装置200の搬送経路には、上流側に第1の折りロールを、下流側に第2の折りロールをそれぞれ設ける必要がある。このように外三つ折りされたシートは、例えばダイレクトメールなどで封筒に封入されて使用される。
【0029】
(片袖折り)
片袖折りでは、画像形成装置H001からシート折り装置200に搬入されたシートは、
図6(D)に示すように、搬送方向にシート全長の1/2になる折り目位置で二つに折り畳まれ、更に折られた一方のシート部分(同図では、上側シート部分)が、その搬送方向に1/2の長さ位置を折り目として、他方のシート部分とは反対向きで二つに折り畳まれる。このように片袖折りされたシートは、順次積み重ねた一連の文書を、折り重ねられた側とは反対側でステープル綴じまたはパンチで穿孔してファイリングするのに適している。これによって、大小サイズのシートを組み合わせて、例えばA3サイズの文書をA4サイズの文書に揃えて綴じ合わせることができる。
【0030】
[シートラミネート装置]
シートの両面にラミネート処理を施すシートラミネート装置L001の構成例を
図3に示す。ロール状に巻かれた透明のラミネートロールL002は、供給スピンドルL003にローディングされ、ラミネートフィルムは、ラミネートフィルム搬送経路L240に沿って搬送される。ラミネートフィルム供給監視センサL010は、反射型光センサで代表されるような光センサであり、ラミネートフィルム搬送経路L240の途中に備えられてラミネートフィルムの供給状態を監視している。
【0031】
ラミネートフィルムは、搬送手段の一部として設けられたラミネートフィルム搬送ローラL004に懸架され、カッタL007の両刃間を経由して、反射型光センサで代表されるようなラミネートフィルム有無検出センサL011の下方を通り、ラミネートフィルム搬送手段の一部として設けられたラミネートフィルム搬送ローラL008とラミネートフィルム搬送ローラL009とで狭持されて搬送される。ここで、カッタL007とラミネートフィルム有無検出センサL011間の物理的な距離Lは、既知の装置設計値である。
【0032】
また、シートラミネート装置L001は、後述するシートのシート搬送経路L250を境に略上下対称に構成され、ラミネートロールL102からもラミネートフィルムを搬送可能としている。ロール状に巻かれた透明のラミネートロールL102は、供給スピンドルL103にローディングされ、ラミネートフィルムは、ラミネートフィルム搬送経路L241に沿って搬送される。ラミネートフィルム供給監視センサL110は、反射型光センサで代表されるような光センサであり、ラミネートフィルム搬送経路L241の途中に備えられてラミネートフィルムの供給状態を監視している。
【0033】
ラミネートフィルムは、搬送手段の一部として設けられたラミネートフィルム搬送ローラL104に懸架され、カッタL107の両刃間を経由して反射型光センサで代表されるようなラミネートフィルム有無検出センサL111の上方を通り、ラミネートフィルム搬送手段の一部として設けられたラミネートフィルム搬送ローラL108とラミネートフィルム搬送ローラL109とで狭持されて搬送される。ここで、カッタL107とラミネートフィルム有無検出センサL111間の物理的な距離Lは、ラミネートフィルム搬送経路L240の場合と同様に、既知の装置設計値である。
【0034】
シートは、シートラミネート装置L001の搬入口L251から投入され、シート搬送ローラL012と対向するシート搬送ローラL013で把持されながら、シート搬送経路L250に沿って搬送される。更にシートは、反射型光センサで代表されるようなシート先頭端検出センサL017で原点を位置決めした後、両ラミネートフィルム搬送経路L240及びL241とシート搬送経路L250との合流点へ送り出される。
【0035】
ラミネートフィルム搬送経路L240において、ラミネートフィルム搬送モータL405の駆動力は、ラミネートロード電動クラッチL408経由してラミネートフィルム搬送ローラL004へ伝達され、ラミネートフィルム搬送ローラL005及びラミネートフィルム搬送ローラL006へも、ラミネートフィルム搬送ローラL004と歯車とを介して伝達される。同様に、ラミネートフィルム搬送ローラL008と歯車とを介して、ラミネートフィルム搬送ローラL009へも、ラミネートフィード電動クラッチL418を経由した駆動力の伝達が可能となっている。
【0036】
この実施例で、ラミネートフィルム搬送モータL405にはステッピングモータが採用され、その駆動パルス数を管理して回転量を容易に制御できるので、ラミネートフィルム搬送ローラL004及びラミネートフィルム搬送ローラL008の回転量も容易に制御できる。また、ラミネートロード電動クラッチL408及びラミネートフィード電動クラッチL418のオン・オフ制御と前記モータの回転量制御とを組み合わせて、ラミネートフィルムの搬送もきめ細かく制御できる。
【0037】
ラミネートフィルム搬送経路L241においても、ラミネートフィルム搬送経路L240と同様に、ラミネートフィルム搬送モータL420の駆動力が、ラミネートロード電動クラッチL422を経由してラミネートフィルム搬送ローラL104へ伝達され、ラミネートフィルム搬送ローラL105及びローラL106へも、ラミネートフィルム搬送ローラL104と歯車とを介して伝達される。同様に、ラミネートフィルム搬送ローラL108と歯車とを介してラミネートフィルム搬送ローラL109へも、ラミネートフィード電動クラッチL421を経由した駆動力の伝達が可能となっている。
【0038】
シート搬送系にも、シート搬送モータL403が駆動源として準備され、ステッピングモータが採用されている。従って、シート搬送モータL403に対する駆動パルス数を管理することで、シートの搬送量をきめ細かく制御できる。シート搬送モータL403の駆動力は、シート搬送ローラL012に伝達され、さらにシート搬送ローラL012の駆動軸からシート搬送ローラL013、搬送ローラL018、加圧ローラL020、排出ローラL022へも、歯車や歯付きベルトを介して伝達される。前記各ローラと対向するローラへは、各々歯車を介して駆動力が伝達される。
【0039】
尚、上記構成からラミネートフィルム搬送モータL405及びL420を省略し、電動クラッチを経由してシート搬送モータL403の駆動力をシート搬送系の各ローラへ伝達する構成としても、同様の搬送制御が可能である。また、上記実施例では、ラミネートフィルム搬送用及びシート搬送用の駆動源としてステッピングモータを採用した例を説明したが、ロータリーエンコーダのような回転数センサを搭載したサーボモータを使用しても、同様の搬送制御が可能である。
【0040】
ラミネートロールL002は、
図8に示すように、幅W1を有する帯状フィルムの先頭端L029から繰り出され、連続ラミネートフィルムL024は、断裁位置L028、断裁位置L027において順次カッタL007で断裁されることになる。この連続ラミネートフィルムL024は、透明フィルムの場合や、偽造防止を目的にホログラム処理を施したフィルムを使用する場合もある。
【0041】
図9は、ラミネートロールL002から断裁された状態のラミネートフィルムL030とシートL031とを示している。先頭側の連続ラミネートフィルムL024は、
図10における上述した長さLに相当する断裁位置L028で断裁されたラミネートフィルムL030となり、断裁面L026が、次に断裁されるラミネートフィルムの先頭端となる。また、シートの裏面ラミネート処理に使用されるラミネートロールL102も同様な断裁状態となる。
【0042】
このように断裁されたラミネートフィルムL030は、前記合流点でシートの表面と裏面に重ね合わせられ、下流に設けられた加圧ローラL020及び加圧ローラL021間に送り込まれて熱圧着される。このとき、加圧ローラL020及び加圧ローラL021には、温度検出手段L124及び温度検出手段L125が支持板L120及び支持板L121によって摺動可能に接触し、温度検出手段L124及び温度検出手段L125からの情報によってシートL031(
図9)に適した温度に加熱されている。加圧ローラL020及び加圧ローラL021による熱圧着後、排出ローラL022及び排出ローラL023による排出操作が行われ、ラミネート処理を完了したシートがシートラミネート装置L001の排出口L252から排出される。
【0043】
加圧ローラL020及び加圧ローラL021は、支持板L120及び支持板L121にそれぞれ固定されている。温度検出手段L124及び温度検出手段L125も、支持板L120及び支持板L121にそれぞれ固定されている。支持板L120及び支持板L121は、軸L122及び軸L123に回動可能に支持されている。温度検出手段L124及び温度検出手段L125は、加圧ローラL020及び加圧ローラL021に、不図示のバネL126及びバネL127によって弾性的に摺動可能に接触できるように支持板L120及び支持板L121にそれぞれ固定されている。これらの構成により、支持板L120及び支持板L121を軸L122及び軸L123を支点に回動させることで、加圧ローラL020及び加圧ローラL021を、ラミネート処理を行う場合はニップさせ、ラミネート処理を行わない場合は離間することが可能となる。
【0044】
次にラミネートフィルムの搬送工程を、
図10及び
図11を用いて説明する。シートラミネート装置L001では、供給スピンドルL003にラミネートロールL002がローディングされ、供給スピンドルL103にもラミネートロールL102がローディングされる。この後、ラミネートフィルムが順次断裁される工程を、ラミネートフィルム搬送経路L240について説明する。尚、ラミネートフィルム搬送経路L241における断裁工程も同様なため、説明は省略する。
【0045】
図10は、連続ラミネートフィルムL024を断裁する前に断裁位置を決定する過程を示す図である。
図11は、その断裁後の状態を示す図である。以下の説明では、ラミネートロード電動クラッチL408とラミネートフィード電動クラッチL418は、ともに動力伝達可能なオン状態となっている。
【0046】
ラミネートフィルム搬送モータL405の駆動によってラミネートロールL002から繰り出された連続ラミネートフィルムL024の先頭端L029が、カッタL007の両刃間をくぐり抜け、先頭端L029がラミネートフィルム有無検出センサL011で検出されると、センサ出力信号が能動となる。シートラミネート装置L001は、このセンサ出力信号の変化を基に、連続ラミネートフィルムL024が断裁すべき所定の長さLに達したと判断し、ラミネートフィルム搬送モータL405の駆動を止めて、連続ラミネートフィルムL024の搬送を一時停止させる。
【0047】
この位置でカッタL007を動作させると、
図11に示すように断裁動作で一定の長さを有する断裁されたラミネートフィルムL030が、ラミネートフィルム搬送経路L240に作成できる。その後、ラミネートロード電動クラッチL408はオフ状態とされ、ラミネートフィルム搬送モータL405の駆動を再開すると、ラミネートフィルム搬送モータL405の駆動力は、ラミネートフィード電動クラッチL418を介してラミネートフィルム搬送ローラL008とラミネートフィルム搬送ローラL009とに伝達されるので、断裁されたラミネートフィルムL030は矢印A1方向へ搬送される。その後、断裁された表面用ラミネートフィルムと裏面用ラミネートフィルムとは、搬送ローラL018及び搬送ローラL019からなる合流点でシートL031と合流し、加圧ローラL020及び加圧ローラL021で同時に熱圧着される。
【0048】
シートラミネート装置L001は更に、
図1に示すように、シート搬送経路L250及び下側のラミネートフイルム搬送経路L241よりも下方に、クリーニングシート廃棄トレイL253を備えている。シート搬送経路L250に沿って加圧ローラL020,L021の下流に設けられたフラッパL037を、その軸L038を中心に回転させて搬送パスを切り替えることによって、加圧ローラL020,L021のクリーニング処理に利用したシートを、シート搬送経路L250から下方へ落下させて、クリーニングシート廃棄トレイL253内へ排出することができる。
【0049】
ラミネート処理を施されたシート及びラミネート処理を施されなかったシートは、いずれも排出口L252からシート処理装置F001へ送られ、そこで更に綴じ処理、折り処理、パンチ処理等がなされる。
【0050】
[シート処理装置]
シート処理装置F001は
図1及び
図4に示す様に、装置フレームF014の一方に設けられたシートの搬入口F016と、これと反対の外側に設けられた1枚シートや比較的厚いシートを集積するエスケープトレイF015が配置されている。このエスケープトレイF015の下方には、綴じ処理したシートや比較的量が多いシートを集積する昇降可能なスタックトレイF600が位置している。さらにこのスタックトレイF600の下方には、中綴じあるいは折り処理されたシートを集積するサドルトレイS001が設けられている
【0051】
[シートの搬送経路]
このシート処理装置F001の上記搬入口F016からは搬入経路F002から処理トレイ出口F300に向かって略直線的に延びる搬送経路F004が配置されている。搬入経路F002にはパンチユニットP001が設けられ、パンチモータP003(図示しない)によりシートの端面や必要に応じて搬送方向の中程にパンチ処理する。このパンチユニットP001の搬入経路F002を挟んだ下方にはパンチ処理時に発生するパンチ屑を集積するパンチ屑ボックスP002が装置フレームF014に着脱自在に設けられている。
【0052】
上記パンチユニットP001の下流側には、シートを搬送する搬入ローラF003が配置され搬入ローラモータF021(図示しない)によりシートを高速で搬送する。この搬入ローラF003の下流側の搬送経路F004には、シートを処理トレイF301やその下流側のスタックトレイF600に導く正逆転可能な搬送ローラF005が設けられている。この搬送ローラF005の後方はシートの搬送経路出口F006となっている。
【0053】
この搬送経路出口F006の下流側には、正逆転可能な排出ローラF601が設けられている。この排出ローラF601は、シートをスイッチバックして処理トレイF301にシートを搬入したり、スタックトレイF600にストレートで排出したり、あるいは処理トレイF301で綴じ処理されたシートの束を処理トレイF301からスタックトレイF600に排出する。
【0054】
[エスケープ経路、分岐経路]
また、搬送経路F004は、シートをエスケープトレイF015に案内するエスケープ経路F008と、比較的長いシートを中綴じ処理や折り処理するためにサドル処理トレイS006に案内する分岐経路F010とに、分岐位置F017で分岐されている。この分岐位置F017には、シートを搬送経路F004にそのまま搬送するか、エスケープ経路F008に搬送するか、搬送経路F004上でスイッチバックさせて分岐経路F010に案内するかを選択するための経路の分岐位置切り替えゲートF007が設けられている。
【0055】
上記分岐経路F010は、
図4及び
図12に示される様に処理トレイF301の側方でこの処理トレイF301を囲うように下側に湾曲した経路であり、後述するように後続シートが待機シートとして待機する待機経路と兼用している(本発明では、待機経路として説明する場合には、分かりやすく待機経路F010と表現している)。また、エスケープ経路F008には、シートを搬送するエスケープ搬送ローラF009とエスケープトレイF015にシートを排出するエスケープ排出ローラF018が設けられている。
【0056】
[綴じ処理部]
ところで、搬送経路F004の搬送経路出口F006の下方には処理トレイF301が設けられその下端側には、この処理トレイF301上に一時集積したシート束の端面を綴じる綴じ処理部F302が位置している。この綴じ処理部F302については、追って
図12と
図14により説明する。
【0057】
[中綴じ処理部]
一方、比較的長いシートを上記の搬送経路F004を処理トレイF301方向に一旦搬送し、分岐位置切り替えゲートF007の下流側に搬送後、今度はスイッチバック搬送して分岐経路F010に搬送して分岐経路出口S008からサドル処理トレイS006に集積する。このサドル処理トレイS006に集積したシートの中ほどを綴じる中綴じ処理部S002が配置されている。
図4に示す様に分岐経路出口S008には、分岐経路排出ローラS009からサドル処理トレイS006にシートが搬入される毎にシートを図示左側に付勢して先行シート後端と次シート先端の衝突を防止する中綴じ処理部切り替えフラッパS010が設けられている。
【0058】
[サドル処理トレイ]
サドル処理トレイS006にはシートの搬入位置を規定するシート先端ストッパS007が位置している。このシート先端ストッパS007は、サドル処理トレイS006の上下側に設置されたプーリに張設された移動ベルトをシート先端ストッパ移動モータS015(図示しない)で駆動することにより図示矢印方向に移動する。シート先端ストッパS007の位置は、シートがサドル処理トレイS006に搬入の際にシートの後端が上記の中綴じ処理部切り替えフラッパS010で変更できる位置、シートの搬送方向の略中央を中綴じユニットS003で中綴じを行う位置、及び中綴じされた位置を折りローラS004対に往復動する折りブレードS005で押し込んでシートの束を二つ折りする位置に夫々停止する。また、折りローラS004の上下には、シートのサドル処理トレイS006の搬入の都度シート幅方向からシートの両側縁を押圧して揃え動作を行う中綴じ整合板S011が設けられている。
【0059】
[中綴じユニット]
中綴じ処理部S002には、シート束を、例えばステープル針を中綴じユニットS003内のドライバによって打ち込み、これに対向する位置に設けられステープル針の脚部を折り曲げるアンビルが設けられている。この中綴じユニットS003は既に広く知られているので、ここでの説明を省略するが、綴じ手段としてはステープル針をシート束に貫通して綴じるのみではなく、シートの搬送方向中央に接着剤を塗布して、シートを貼り合せて束とする機構であってもよい。
【0060】
[サドルトレイ]
上記の中綴じユニットS003で綴じられたシート束は、折りローラS004とこれにシート束を押し込む折りブレードS005によって、二つ折りにされながらのこの折りローラS004とその下流側に位置する折りシート束排出ローラS013によって、サドルトレイS001に排出される。このサドルトレイS001には、折り処理されその背側を先端側として排出される折りシート束をサドルトレイS001に落下させる先端に回転自在のコロを設け揺動自在の折りシート束押えローラS012と、集積した折りシート束が広がらないように上から押える折りシート束押えレバーS014が取り付けられている。この折りシート束押えローラS012と折りシート束押えレバーS014により折りシート束が開いてしまうことによる集積性の低下を低減している。
【0061】
[分岐位置と端面綴じ部]
ここで、
図12により分岐位置F017や綴じ処理部F302について、さらに説明を続ける。既に説明したようにここでは、搬入口F016から搬入ローラF003が配置された搬入経路F002、これから処理トレイF301方向に直線的に延びる搬送経路F004、この搬送経路F004から図示上方に延びるエスケープ経路F008と下方に湾曲してシートをサドル処理トレイS006に案内する分岐経路F010が示されている。分岐位置F017には搬入経路F002のシートをエスケープ経路F008か搬送経路F004か、または搬送経路F004をスイッチバック搬送してくるシートを分岐経路F010に選択的に位置して案内する分岐位置切り替えゲートF007が配置されている。
【0062】
この実施の形態にあっては、例えば
図12に示すように、実線位置でエスケープ経路F008を塞いで、シートを搬入経路F002から搬送経路F004に案内するようになっており、破線位置では搬入経路F002から搬送されるシートはエスケープ経路F008へ、搬送経路F004をスイッチバック搬送されるシートは分岐経路F010に案内されることを示している。
【0063】
上述した搬送経路F004には、最終端である搬送経路出口F006の直前に、正逆転するとともに相互に離接する搬送ローラF005が配置されている。すなわち、この搬送ローラF005が圧接状態での一方向回転で処理トレイF301側にシートを搬送し、他方回転で反対方向にスイッチバック搬送可能となっている。
【0064】
[スイッチバック搬送について]
このスイッチバック搬送は、搬送経路F004の分岐位置切り替えゲートF007の直後に配置された入口センサF011がシート後端の通過を検出した後、搬送ローラF005を他方回転させることよっておこなわれる。この他方回転のときは、分岐位置切り替えゲートF007が搬入経路F002を塞ぐ位置(
図12破線位置)に移動しており、これによりシートは待機経路F010に搬送され、分岐経路搬送ローラF012によって引き継ぎ搬送される、シート後端が所定位置に到達するとこの分岐経路搬送ローラF012を停止して、待機経路F010でシートを待機状態とする。
【0065】
ところで、搬送ローラF005の下流側であり処理トレイ出口F300には、正逆転するとともに相互に離接する排出ローラF601が配置されている。この排出ローラF601は、排出上ローラF603と排出下ローラF604とからなり、これらが相互に圧接状態での一方向回転で、上記の搬送ローラF005と協働してスタックトレイF600にシートを搬送する。また、排出ローラF601は、処理トレイF301に集積して束としたシートをスタックトレイF600に押し出す移動部材でもあるシート後端ストッパF303と協働して排出する際も使用される。
【0066】
[処理トレイへの搬入]
ここで、処理トレイF301へのシートの搬入について説明する。この処理トレイF301への搬入は、搬送ローラF005から放出したシートを下流側に位置する排出ローラF601の他方回転で処理トレイF301の傾斜面を
図12右側に搬送する。この搬送されたシートを、掻き込みコロF013を図示反時計方向に回転して移送する。この移送によりシートの搬送方向先端は端面の綴じ基準となるシート後端ストッパF303に当接して停止する。このとき掻き込みコロF013はシート上を滑り、シート先端がシート後端ストッパF303に当接後に座屈することを防いでいる。このように、排出ローラF601は搬送ローラF005から排出されたシートを処理トレイF301のシート後端ストッパF303に送る機能を有している。
【0067】
[ステープル綴じユニット移動と綴じ処理]
シートが搬送ローラF005から放出される度に、排出ローラF601と掻き込みコロF013の回転によりシートをシート後端ストッパF303に送り処理トレイF301上に積み重ねていく。また、この積み重ね動作に合わせて、整合板F304をシート幅方向の両側から当接させてシートを処理トレイF301の幅方向中央に整合する。このような積み重ねと整合を、束とする指定の枚数になるまで繰り返す。指定枚数になると、今度はステープル綴じユニット移動台F305の上を処理シートの端面をシート幅方向に移動するステープル綴じユニットF306を所望の綴じ位置に移動する。この移動は、ステープル綴じユニット移動台F305にシート幅方向に設けられた図示の溝レールにステープル綴じユニットF306のステープル綴じユニット移動ピンF307が嵌合して案内されてなされる。
【0068】
ステープル綴じユニットF306の綴じ処理は既に公知なので説明を省略するが、ステープル綴じユニットF306が指定した綴じ位置で停止すると、ステープル綴じモータF309が回転駆動して、図示していないドライバを移動してステープル針をシート束に打ち込み、打ち込まれたステープル針をアンビルによって折り曲げて針綴じ処理する。この綴じ処理はシート束の角の端面や幅方向の端面の複数位置に行う。
【0069】
[綴じシート束の排出]
ステープル綴じユニットF306で綴じ処理されたシート束は、処理トレイF301下方の左右側に設置されたプーリに架け渡された移動ベルトの図示反時計方向の移動により、このシート後端ストッパ移動ベルトに連結されたシート後端ストッパF303が図示左方向に移動することにより、移動部材としてシート束の綴じ端面側をスタックトレイF600に向けて移動するように押し出す。なおシート後端ストッパ移動ベルトの駆動は、シート後端ストッパ移動モータF327(図示しない)で行われる。この押し出しとともに処理トレイF301の出口に配置された排出ローラF601で綴じられたシート束を表裏から押圧し、時計方向の回転によりスタックトレイF600に綴じられたシート束を排出する。
【0070】
[スタックトレイの昇降]
シート束を集積するスタックトレイF600について説明する。
図12に示す様にこのスタックトレイF600は処理トレイF301と傾斜角度を略同様にして配置され、処理トレイF301から排出される綴じシート束や搬送経路F004から搬送ローラF005、排出ローラF601によって排出される1枚毎のシートも集積する。
【0071】
このスタックトレイF600の底面側には、スタックトレイF600を昇降するスタックトレイ昇降モータF605が設けられ、この駆動はスタックトレイ昇降ピニオンF606に伝達される。スタックトレイ昇降ピニオンF606は、装置フレームF014の立ち面F607の両側に上下に固定して設けられたスタックトレイ昇降ラックF608に係合している。また、特に図示していないが、スタックトレイF600の立ち面F607に設けられた昇降レールで上下を案内している。
【0072】
このスタックトレイF600の位置またはこのスタックトレイF600に集積されたシートの位置は、立ち面F607に設けたスタックトレイ紙面センサF609によって検出する。そして、このスタックトレイ紙面センサF609が検出するとスタックトレイ昇降モータF605を駆動して、スタックトレイ昇降ピニオンF606を回転して下降するようになっている。
図12の状態は、スタックトレイF600の上面をスタックトレイ紙面センサF609で検出している状態で、ここから多少下降してシート束を受け入れることになる。従って、処理トレイF301からの出口位置の上面と、スタックトレイF600の上面は段差を持って位置している。
【0073】
[搬送上ローラの回転駆動]
まず、搬送上ローラF019と搬送下ローラF020からなる搬送ローラF005の駆動は、搬送ローラモータF023で行われる。この搬送ローラモータF023はハイブリッド型のステッピングモータから構成され、モータ軸の回転速度を検出する搬送ローラ速度検出センサF024が配置されている。
【0074】
[搬送上ローラの離接]
また、搬送上ローラF019は固定された搬送下ローラF020に対して離接可能に取り付けられている。この離接は、搬送上ローラのアームギアの軸に取り付けられた後方扇形ギアに係合する搬送ローラ移動アームモータF022を正逆転駆動することにより、一方向回転によりの解放方向に、他方回転により搬送下ローラF020に圧接する圧接方向に移動する。なお、搬送ローラ移動アームモータF022もステッピングモータで構成されるとともに、搬送上ローラF019の位置を搬送ローラ移動アームセンサF025で検出するようになっている。
【0075】
[搬送下ローラなどの回転駆動]
搬送下ローラF020の回転駆動は、搬送ローラモータF023によって行われる。また、搬送ローラモータF023は同時に掻き込みコロF013も回転させる。
【0076】
この掻き込みコロF013は、ワンウェイクラッチ付ギアを介して伝達されているので、搬送ローラモータF023が正逆回転しても
図13の実線矢印方向のみにしか回転せず、処理トレイF301のシート後端ストッパF303の方向のみにシートを移送するように回転する。
【0077】
また、搬送ローラモータF023の駆動は、分岐経路F010中でシートを搬送する分岐経路搬送ローラF012にも伝達される。
【0078】
以上の構成により、搬送ローラモータF023の正逆回転に従い、搬送ローラF005、分岐経路搬送ローラF012は図示実線矢印方向の一方向と破線矢印方向の他方向(スイッチバック方向)に、掻き込みコロF013は実線矢印方向のシート後端ストッパF303方向に回転する。また、この搬送ローラモータF023は、シートを処理トレイF301側に搬送する際や分岐経路F010側へのスイッチバック搬送の際に、所定の速度でシート搬送ができるよう設定可能となっている。
【0079】
[排出上ローラの回転駆動]
排出上ローラF603と排出下ローラF604からなる排出ローラF601の駆動は、排出ローラモータF614で行われる。この排出ローラモータF614もハイブリッド型のステッピングモータから構成され、モータ軸の回転速度を検出する排出ローラ速度検出センサF611も同様に配置されている。
【0080】
[排出上ローラの離接など]
排出上ローラF603は、固定された排出下ローラF604に対して離接可能に取り付けられている。この離接は、排出上ローラのアームギアの軸に取り付けられた後方扇形ギアに係合する排出ローラ移動アームモータF612を正逆転駆動することにより、一方向回転により解放方向に、他方回転により排出下ローラF604に圧接する圧接方向に移動する。なお、排出ローラ移動アームモータF612もステッピングモータで構成されるとともに、排出上ローラF603の位置を排出ローラ移動アームセンサF613で検出するようになっている。また、排出下ローラF604の回転駆動は、排出ローラモータF614によって行われる。
【0081】
[排出ローラモータの速度設定]
以上の構成により、排出ローラモータF614の正逆回転に従い、排出ローラF601は図示実線矢印方向の一方向と破線矢印方向の他方向(シートが搬送ローラF005から放出されてから処理トレイF301上でシート後端ストッパF303側への搬送方向)に回転する。また、この排出ローラモータF614は、搬送ローラF005を所定の速度で駆動するように速度設定が変更可能としている。
【0082】
なお、この実施の態様においては、後述する待機搬送を行う場合のスイッチバック搬送時など搬送ローラF005でシート搬送を行っている場合は、駆動モータが分かれていて連動が難しいので、この排出上ローラF603は排出下ローラF604から解放された離間位置に位置している。
【0083】
[待機搬送、サドル処理トレイ搬送]
ここで、
図12に戻って、例えば上述した綴じ処理のためスイッチバック搬送して待機経路F010に待機する待機搬送について述べる。処理トレイF301のステープル綴じユニットF306で綴じ処理する場合に、画像形成装置H001の画像形成したシートの搬入する速度が速く、またシート間隔が短いために、先行するシート束の綴じ処理が完了しないのに次のシートが搬入されることを防ぐ必要がある。この為、搬入経路F002を経て搬送経路F004に搬送されたシートの1枚目または2枚目までを一旦搬送経路F004上でスイッチバック搬送し、このスイッチバック搬送したシートを待機経路F010に留め置いて待機させることが行われている。そして次の2枚目あるいは3枚目のシートと重ね合わせて送るように待機経路F010に待機した待機シートを繰り出す様にしてシート束間の間隔時間を確保する。
【0084】
なお、ここではこの搬送経路F004から待機経路F010にスイッチバック搬送し、この待機経路F010にシートを1枚以上留め置いて待機させ、この待機した待機シートの次のシートと共に繰り出し搬送することを「待機搬送」と言う。この待機搬送を行う綴じ処理用のシートは搬送方向長さが比較的短いシート、例えばA4、B5、レターの各サイズシートが多い。従って、これらのシートは待機搬送のためにスイッチバック搬送は、処理トレイF301の下流側に大きくはみ出ることなく行われ、この搬送時にシートが曲がることは少ない。たとえ、多少曲がっても、処理トレイF301迄の距離は比較的短いので、整合板F304の整合動作で曲がりが矯正されやすい。
【0085】
また、上記の綴じ処理の完了は、シート束を処理トレイF301からスタックトレイF600に排出動作が完了するのみではなく、処理トレイF301上の整合板F304の初期設定動作やシート後端ストッパF303の初期位置復帰あるいはその他次シートを受け入れるために各機構を初期位置設定することを含む。
【0086】
次に、中綴じユニットS003で中綴じ処理を行い、このシートを折りローラS004と折りブレードS005で折り処理して折りシート束とするためのサドル処理トレイS006に搬送する場合について述べる。このサドル処理トレイS006への搬送は、搬入経路F002を経て搬送経路F004に搬送されたシートを一旦搬送経路F004上でスイッチバック搬送し、このスイッチバック搬送したシートを分岐経路F010からサドル処理トレイS006に搬送することになる。このスイッチバック搬送したシートを、分岐経路F010を介してサドル処理トレイS006に搬送することを、ここでは「サドル処理トレイ搬送」という。
【0087】
[スイッチバック搬送]
なお、この実施の形態においては、搬送ローラF005によりシートは「待機搬送」を行う場合には、シート後端が搬送経路F004と待機経路F010との分岐位置に配置された入口センサF011に検知されるとシートを待機経路F010にスイッチバック搬送して待機経路F010に位置する分岐経路搬送ローラF012にニップさせてその後この分岐経路搬送ローラF012の回転を停止する。また、待機経路F010の下流側に位置するサドル処理トレイS006に集積して中綴じ処理を行う「サドル処理トレイ搬送」を行う場合、同様に搬送ローラF005によりスイッチバック搬送されたシートを分岐経路F010の分岐経路搬送ローラF012に送り停止させることなくサドル処理トレイS006に送る。
【0088】
また、排出ローラF601も正逆転可能となっていて、搬送ローラF005によって送られてきた後続シート(待機経路F010に待機していた待機シート、または搬入経路F002からのシートあるいはこれらの重ね合わせたシート)の後端が、搬送ローラF005から放出すると、この後続シートを排出ローラF601でニップし、その後逆転するとこれらの後続シートはシート後端ストッパF303側へ搬送されて、処理トレイF301に収納される。
【0089】
[処理トレイからのシート束排出]
また、排出ローラF601は、先に説明したように排出上ローラF603が揺動可能となっていて、下降して排出下ローラF604に圧接する圧接位置(
図13の破線位置)と、排出下ローラF604から上昇した離間位置(
図13の実線位置)に位置する。そして、処理トレイF301でシート束に所定の後処理がされた後に、このシート束をスタックトレイF600に排出するために、まずシート後端ストッパF303を処理トレイ出口F300側に移動して押し上げる。引き続き排出上ローラF603を圧接位置に下降して、シート束を排出下ローラF604と共にニップして処理トレイ出口F300側にシート束を移送して、スタックトレイF600に束排出する。
【0090】
[シート処理部]
排出ローラF601によって排出されるシート束は、処理トレイF301のシート処理部で処理される。本実施の態様のシート処理は、ステープル綴じユニットF306で綴じる綴じ処理と、整合板F304で処理トレイF301での位置を異ならせて排出してスタックトレイF600で綴じられることなく区分けする、いわゆるジョグ処理が行われる。なお、このほかにも、糊付けによる貼り合わせやシートに穿孔するパンチ処理などもこのシート処理に含まれる。
【0091】
[ステープル綴じユニットの移動]
すでに、この発明のシート処理部として、シート束を針綴じ処理するステープル綴じユニットF306について触れているが、ここでこのステープル綴じユニットF306のシート束の幅方向の移動について、
図14により説明する。この図はシート束の針綴じを行うステープル綴じユニットF306が、ステープル綴じユニット移動台F305上で移動することを示している。このステープル綴じユニット移動台F305はシート処理装置F001の装置フレームF014に、図示上部をフロント側として、下部をリア側としている。
図12も参照すると、ステープル綴じユニット移動台F305にはステープル綴じユニットF306側から突出するステープル綴じユニット移動ピンF307を案内するステープル綴じユニット移動溝F311が略直線状に設けられている。このステープル綴じユニットF306の先端側にステープル綴じユニットガイドピンF308が、ステープル綴じユニット移動台F305に設けられたステープル綴じユニット姿勢ガイドF310に係合されてある。
【0092】
また、ステープル綴じユニットF306は、ステープル綴じユニット移動モータF312によって移動するステープル綴じユニット移動台ベルトF313に結合されている。これにより、ステープル綴じユニットF306は、その移動位置によって、リア側のコーナー綴じ位置F314、これよりセンター側の範囲にマルチ綴じ範囲F316~F317、フロント側のコーナー綴じ位置F315となっている。さらに、フロント側においてステープル綴じユニットF306の後方を装置外側に向ける針補充位置と、これよりフロント側のマニュアル綴じ位置でもあり綴じ開始前のステープル綴じユニットホームポジション位置F318に位置するように制御される。したがって、この実施態様の装置は、シート処理部の1つとして、処理トレイF301に積載されたシート束の任意の位置で綴じ処理を行うステープル綴じユニットF306を有している。なお、シート処理部では処理トレイF301にシートの搬入の都度シート揃えを行うシート幅方向に対となる整合板F304が配置されている。
【0093】
[整合板]
次に、
図15により、処理トレイF301へのシート搬入の都度シート側縁に当接して、シートを整合したり、シートの積載位置を変更したりする整合板F304について説明する。
図15は、処理トレイF301を上面から見た図で、整合板F304は、フロント側のフロント整合板F319とリア側のリア整合板F320とからなる。これらは夫々、シートの側縁に離接するフロント整合面F321とリア整合面F322を有する。このシート側縁への離接は、フロント整合モータF323、及びリア整合モータF324によって行われる。
【0094】
このフロント整合板F319とリア整合板F320は、マルチ綴じをするときはシートセンターを基準として整合したり、コーナー綴じのときは、
図15のように片側基準として整合したり綴じ方などよって整合の基準を変更することができる。また、シート処理部の1つとして、処理トレイF301に積載されたシート束を片寄せしこれをスタックトレイF600に排出することによってシート束を区分けするいわゆるジョグ処理も可能となっている。
【0095】
[区分け処理]
区分け処理を行う場合は、たとえば
図15に示す最大シートを処理トレイF301に搬入後、このシート幅方向外側に位置していたフロント整合板F319を図示F325(フロント側シフト位置)へ移動する。これによってシートは予め退避していたリア整合板F320にシートの側縁が当接して、F326(リア側シフト位置)へ寄せられて処理トレイF301に位置することになる。これとは逆にリア側整合板F320でフロント側に寄せれば、フロント側に位置することになる。これによりシートを区分けすることができる。
【0096】
[クリーニング処理]
シートラミネート装置制御部(CPU)L401は、加圧ローラL020及び加圧ローラL021によって熱圧着したシートの累計枚数であるラミネート数LNをカウントし、それが閾値を超えると、ラミネートフィルムからの糊などによる加圧ローラL020,L021の汚れ具合をクリーニングする時期であると判断する。ラミネート数LNのカウントは、加圧ローラL020,L021を通過したラミネートフィルムの枚数を、例えば図示しないカウンタL054で行うことができる。また、ラミネート数LNは、加圧ローラL020,L021を通過する前のラミネートフィルム及び/またはシートの枚数をカウントしてもよい。
【0097】
シートラミネート装置制御部(CPU)L401は、加圧ローラL020,L021が
クリーニング時期にあると判断すると、画像形成制御部C000に通知する。画像形成制御部C000は、表示部C015に加圧ローラL020,L021のクリーニングを行う旨の表示、即ちクリーニング表示をする。シートラミネート装置制御部(CPU)L401は、クリーニング表示後に、加圧ローラL020,L021のクリーニングが終了すると、そのことを画像形成制御部C000に通知し、表示部C015のクリーニング表示を終了させる。
【0098】
加圧ローラL020,L021のクリーニングは、例えば、画像形成装置H001の給紙部H002からの供給シートを、画像形成されるシートと同様の搬送経路を経由して、クリーニングシートとしてシートラミネート装置L001に供給することによって行われる。具体的には、画像形成装置H001からの供給シートを加圧ローラL020,L021によって加熱圧着及び加圧すると、これをクリーニングシートとして、加圧ローラL020,L021に付着しているごみや糊が転着して除去される。前記供給シートをクリーニングシートに使用する場合、それにラミネートフィルムとは区別可能なマークを付し、それをシート先頭端検出センサL017で検出することによって、シートラミネート装置制御部(CPU)L401は、加圧ローラL020,L021をクリーニングシートが通過していること、従ってクリーニングが行われていることを判断することができる。尚、加圧ローラL020,L021のクリーニング処理を行う場合は、当然ながらラミネートフィルムの搬送は行わず、クリーニングで用いる供給シートのみを加圧ローラL020,L021によって加熱圧着及び加圧させる。
【0099】
[クリーニングシート]
本実施形態のシートラミネート装置L001に使用可能なクリーニングシートは、特に限定されない。例えば、画像形成装置H001で画像形成に通常使用される厚紙は、加圧ローラL020,L021のローラ面に強く押し当てられるので、糊などが付着し易く、好都合である。また、布や樹脂シート等も、クリーニングシートとして利用可能である。
【0100】
[代用シートによるクリーニング]
ユーザは、加圧ローラL020,L021のクリーニング処理を実施するために、専用のクリーニングシートではなく、自分で代用シートを画像形成装置H001に手差しで供給する可能性がある。この代用シートが、例えば薄紙であるなど、クリーニング処理に不適切なものであった場合、加圧ローラL020,L021に巻き付くなどして、正常にクリーニング処理できず、却ってトラブルの原因となる虞がある。
【0101】
そこで、本実施形態によれば、画像形成装置H001の給紙部H002に収容されている、通常画像形成に使用されるシートを、シートラミネート装置L001の加圧ローラL020,L021のクリーニングに利用することにした。これにより、ユーザに通知したり、ユーザに作業させたり手間を取らせること無く、自動で加圧ローラL020,L021のクリーニングを実施することが可能になる。しかも、給紙部H002にある各種シートの中から、自動で厚紙のシートを選択して供給することによって、ユーザが手動で行う場合の、上述した不適切なシートの使用によるトラブルを未然に防止し、常に正常なクリーニング処理を可能にすることができる。
【0102】
また、本実施形態によれば、画像形成装置H001の給紙部H002に厚紙のシートが存在しなかった場合、シート折り装置200の折り機能を利用して、通常の厚さのシートを2つ折りなどに折り処理することによって、厚紙のシートに代用することができる。通常の厚さのシートであっても、折り処理によってシート全体としてコシが強くなるので、クリーニング時に加圧ローラL020,L021への巻き付きを有効に防止でき、正常なクリーニング処理が確保される。このとき、例えば2つ折りしたシートは、折り目側が搬送方向下流側を向くように搬送し、加圧ローラL020,L021を通過させることが好ましい。
【0103】
更に、クリーニングに利用するシート(厚紙、および折り処理された通常の厚さのシートを含む)は、加圧ローラL020,L021を通過する際の搬送速度を、通常(ラミネート処理する場合及びラミネート処理無しの場合)の搬送速度よりも遅くすることが好ましい。一般に、ラミネート処理無しのシート搬送速度が400mm/sであり、ラミネート処理時のシート搬送速度が10mm/sであるのに対し、クリーニング処理時のシート搬送速度は、5mm/s程度に設定することができる。これによって、加圧ローラL020,L021のローラ面から糊やごみをシートに移り易くすることができ、しかも加圧ローラL020,L021への巻き付き発生も解消することができ、より良好なクリーニング処理が実施可能となる。
【0104】
[制御構成の説明]
上述した画像形成装置のシステム制御構成を
図16、
図17及び
図18のブロック図に従って説明する。
図1に示す画像形成装置の制御システムは、画像形成装置H001の画像形成制御部C000と、シート折り装置200のシート折り装置制御部(CPU)290と、シートラミネート装置L001のシートラミネート装置制御部(CPU)L401と、シート処理装置F001のシート処理装置制御部(CPU)C003とを備えている。画像形成制御部C000は、給紙制御部C001と入力部C002と表示部C015とを備えている。この入力部C002に設けられたコントロールパネルH021から、ユーザは「折り処理」、「ラミネート処理」、「プリントモード」、「シート処理モード」の設定を行う。
【0105】
[シート折り装置制御部の説明]
図16はシート折り装置200の制御系の構成を示している。以下、
図16のシート折り装置200の制御系につき、
図2及び
図5の構成を参照しつつ説明する。シート折り装置200のシート折り装置制御部(CPU)290は、所定のインターフェース又は通信手段を介して画像形成装置H001の画像形成制御部C000に接続される。そして、シート折り装置200のシート折り装置制御部(CPU)290は、画像形成装置H001の画像形成制御部C000から送られてくる本体排出信号ES、サイズ信号SS、折りモード信号FS等の情報信号に基づいて、シート折り装置200を制御する。シート折り装置制御部(CPU)290には、各部のシーケンス、即ち制御手順を記憶したROM204と、必要に応じて一時的に種々の情報が記憶されるRAM203とが接続される。尚、本実施形態では、所定サイズのシートに所定の折り処理を施す場合、折り基準ストッパ243の位置を調整することにより、シートの折り位置を変更可能になっている。例えば、同一の折り箇所数の折り処理を施す場合は、シートの折り位置は一定であるが、ユーザ設定により折り位置を任意に変更可能である。
【0106】
シート折り装置200全体を制御する制御部としてのシート折り装置制御部(CPU)290には、シート搬送及び折り処理を制御するために、以下のセンサが接続されている。これらのセンサは、リミットスイッチとレバー等を組合せた機械的又は電気的なセンサや光学センサ等から構成される。
【0107】
折り基準ホーム検知センサHS1は、折り基準ストッパ243を駆動するストッパ移動モータM4の駆動軸に同軸固定されたマスク板の回転を検知することにより、折り基準ストッパ243のホームポジションを検知する。
【0108】
入口センサS1は、受入搬送パス250の入口近くでシートを検知する。パスセンサS2は受入搬送パス250を通過するシートを検知するとともに、シートが詰まり(ジャム)等の検出にも用いられる。レジスト前センサS3は、レジストSBローラ213とピンチローラ234に到達する直前のシートの先端を検知する。レジスト後センサS4は、レジストSBローラ213とピンチローラ234を通過したシートの先端を検知する。
【0109】
折りシート検出センサS5は、シート押えガイド244の下流側近傍に配設され、シート折り時のシート詰まり(ジャム)を検知する。折り部排出センサS6は、収納ゲート241を通過するシートを検知する。フル検知センサS7は、折りシート押え回動片282を介して収納ボックス280内のシートが満杯であることを検知する。シート排出センサS8は、折り処理されたシートがシートラミネート装置L001に搬送されるのを検知する。接続検知センサS295は、シート折り装置200の上流側に画像形成装置H001が接続されているか否かを検知する。シート長計測センサS9は、搬送パス257を搬送されるシートの先端が検知部を通過してからシートの後端が通過するまでの間、オン状態になり、それ以外ではオフ状態になる。シート折り装置制御部(CPU)290は、搬送パス257におけるシートの搬送速度に基づいて、搬送されたシートのシート長を算出可能である。
【0110】
また、シート折り装置制御部(CPU)290には、以下のモータが接続されている。搬送モータM1は各搬送系のローラ211A、212、217~223、211B等を、タイミングベルトを介して回転駆動する。折り駆動モータM2は、第1ローラ214、第2ローラ215及び第3ローラ216を回転駆動するモータで、例えばブラシレスモータ等から構成される。レジストモータM3は、シートのスキュー補正及び折り処理のためレジストSBローラ213を他のローラとは別に回転駆動するモータで、例えばパルスモータから構成される。ストッパ移動モータM4は、折り基準ストッパ243を回転駆動するモータで、例えばパルスモータから構成される。
【0111】
また、シート折り装置制御部(CPU)290には、次のソレノイドが接続されている。切換部材ソレノイドSL1は、切換部材240を
図2中の実線の位置と破線の位置とに切り換える。離間ソレノイドSL2はON状態で、ピンチローラ233を搬入ローラ212から離間させるよう動作する。加圧ソレノイドSL3はON状態でピンチローラ233を搬入ローラ212に圧接するよう動作する。押えソレノイドSL4は、ON状態でシート押えガイド244を介してシートを押えるよう動作する。
【0112】
ラチェットソレノイドSL5は、レジストモータM3が励磁状態で静止したとき、ON状態に制御されることにより、レジストモータM3のクラッチ部を作動させ、レジストSBローラ213をレジストモータM3と連結させる。収納ゲートソレノイドSL6は、ON状態で収納ゲート241を収納ボックス側に切り換えるよう動作する。1回目折りフラッパソレノイドSL8は切換部材260を作動させる。
【0113】
表示部C015には、例えば、折り処理後のシートが収納ゲート241により振り分けられた後処理装置側搬送パス258及び収納ボックス側搬送パス259のいずれか一方の搬送パスを表示し、ユーザに成果物の排出先を知らしめる。
【0114】
以下、シート折り装置200の基本的な動作につき、
図1、
図2、
図5及び
図7を参照し、更に詳細に説明する。画像形成装置H001から排出され、折り処理が指定されたシートは、前述した中折り、内三つ折り、外三つ折り、片袖折りのいずれかの折り処理を受ける。
【0115】
本実施形態では、画像形成装置H001の電源が投入されると、これに連動してシート折り装置200の電源も入るよう電源廻りが配線されているものとする。シート折り装置200の電源が投入されると、シート折り装置制御部(CPU)290は、センサ及びソレノイド等のアクチュエータ類の状態を予め設定された初期値と比較して画像形成装置H001の画像形成制御部C000側と通信し、必要に応じてシート折り装置200の初期動作を行う。この初期確認と同時に、シート折り装置制御部(CPU)290は搬送モータM1及び折り駆動モータM2を始動させる。
【0116】
シートが画像形成装置H001からシート折り装置200のシート搬入口210に搬送されると、画像形成装置H001の画像形成制御部C000からシート折り装置200のシート折り装置制御部(CPU)290に本体排出信号ES、サイズ信号SS、折りモード信号FSの情報が入力される。これらの入力情報に基づき、シートは、
図7(A)に示すように、シート折り装置200のシート搬入口210の直後にある切換部材240によってシート折り装置200内への受入搬送パス250へ案内される。
【0117】
受入搬送パス250に搬送されてきたシートは、入口センサS1、パスセンサS2で検知され、更に、搬入ローラ212及びピンチローラ233により搬送され、その先端がレジスト前センサS3によって検知される。その後、シートは、レジスト前センサS3がONになった後、ピンチローラ234と回転を停止したレジストSBローラ213とのニップに突き当てられる。更に、
図7(B)に示すように、シートは搬入ローラ212とピンチローラ233によって所定時間搬送され、折り位置ループ形成部255にループ(撓み)が形成される。このときレジストモータM3が励磁状態で回転を静止し、クラッチ部のラチェットソレノイドSL5がONになり、レジストSBローラ213はレジストモータM3と連結される。
【0118】
シートにループが形成された後、ピンチローラ233の加圧ソレノイドSL3をOFF、ピンチローラ233の離間ソレノイドSL2をONとすると、搬入ローラ212に対向するピンチローラ233の圧接が解除される。これによりシートに自由度が与えられる。これにより、シートはレジストSBローラ213とピンチローラ234とのニップを基準にして、スキュー補正されて、レジスト処理が完了する。このようにして、シートが斜めになっている場合、真っ直ぐに修正される(レジストレーション処理)。
【0119】
上記レジスト(レジストレーション)処理の後、シートは、折りモード信号FSに基づき、
図6で説明した中折り、内三つ折り、外三つ折り、片袖折りのいずれかの折り処理を受ける。
【0120】
次に、シート折り装置200による折り動作のうち、
図6(A)に示す中折り動作について、
図7を用いて説明する。まず、
図7(B)、(C)に示すように、シート折り装置200に搬入されたシートを、レジストSBローラ213及びピンチローラ234によって、受入搬送パス250に沿って下方に引き込む。次に、受入搬送パス250に引き込んだシートを、レジストSBローラ213を逆回転させることによって上方へ搬送し、その上端(後端)を、
図7(C)に示すように、上方のシート後端ストッパ242に突き当てさせる。
【0121】
更にレジストSBローラ213の逆回転を続けることによって、
図7(D)に示すように、上端をシート後端ストッパ242に係止された前記シートには、第1ローラ214及び第2ローラ215付近でループが形成される。このループがより大きく湾曲して、折り位置ループ形成部255で受入搬送パス250からシートを外へ送り出す向きに回転している第1ローラ214及び第2ローラ215に巻き込まれることによって、前記シートをその中間部で2つ折りする折り処理が実行される。
【0122】
[シートラミネート装置制御部の説明]
図17は、シートラミネート装置L001の内部に搭載された制御部の概略ブロック図を示している。シートラミネート装置制御部(CPU)L401は、前述のラミネート処理の指定に応じて、シートラミネート装置L001を動作させる。シートラミネート装置制御部(CPU)L401は、動作プログラムを記憶した不揮発性記憶部(ROM)L430と、制御データを記憶する揮発性記憶部(RAM)L431とを備えている。
【0123】
シートラミネート装置L001の制御部は、全体として、シートラミネート装置制御部(CPU)L401を中心に、シート搬送制御部L402、ラミネートフィルム搬送制御部L404、カッタ駆動制御部L406、クラッチ駆動制御部L407、センサ信号処理制御部L409、及びヒータ温度制御部L410で構成される。シート搬送制御部L402はシート搬送モータL403を制御し、ラミネートフィルム搬送制御部L404はラミネートフィルム搬送モータL405及びL420を制御し、カッタ駆動制御部L406はカッタL007及びカッタL107を制御し、クラッチ駆動制御部L407は、ラミネートロード電動クラッチL408及びL422とラミネートフィード電動クラッチL418及びL421とを制御し、センサ信号処理制御部L409は、ラミネートフィルム供給監視センサL010、L110とラミネートフィルム有無検出センサL011、L111とシート先頭端検出センサL017とに接続され、ヒータ温度制御部L410はヒータL411及びL414を制御する。
【0124】
ラミネートロード電動クラッチL408は、ラミネートフィルム搬送モータL405の駆動力をラミネートフィルム搬送ローラL004に伝達したり遮断するために使用され、ラミネートフィード電動クラッチL418は、ラミネートフィルム搬送モータL405の駆動力をラミネートフィルム搬送ローラL008に伝達したり遮断するために使用されている。同様に、ラミネートロード電動クラッチL422は、ラミネートフィルム搬送モータL420の駆動力をラミネートフィルム搬送ローラL104に伝達したり遮断するために使用され、ラミネートフィード電動クラッチL421は、ラミネートフィルム搬送モータL420の駆動力をラミネートフィルム搬送ローラL108に伝達したり遮断するために使用されている。
【0125】
ラミネートフィルム搬送ローラL005とラミネートフィルム搬送ローラL006は、ラミネートフィルム搬送ローラL004と歯車で連結され、ラミネートフィルム搬送ローラL008とラミネートフィルム搬送ローラL009も、互いに歯車で連結されている。同様に、ラミネートフィルム搬送ローラL105とローラL106は、ラミネートフィルム搬送ローラL104と歯車で連結され、ラミネートフィルム搬送ローラL108とラミネートフィルム搬送ローラL109も、互いに歯車で連結されている。また、シート搬送経路L250に沿った前記各ローラは、シート搬送モータL403の駆動力が伝達されて駆動されている。
【0126】
以下に、前記制御部の動作を説明する。シートラミネート装置制御部(CPU)L401は、連続ラミネートフィルムL024を繰り出すために、ラミネートフィルム搬送制御部L404を介してラミネートフィルム搬送モータL405を回転させる。それと同時にラミネートロード電動クラッチL408及びラミネートフィード電動クラッチL418も能動化されるので、ラミネートフィルム搬送ローラL004及びラミネートフィルム搬送ローラL008が同期して回転し、連続ラミネートフィルムL024は、その先頭端L029がラミネートフィルム有無検出センサL011の感応位置へ到達するまで、搬送される。
【0127】
連続ラミネートフィルムL024の先頭端L029がラミネートフィルム有無検出センサL011の感応位置へ到達すると、ラミネートフィルム有無検出センサL011の出力が能動となる。この能動信号は、センサ信号処理制御部L409を経由してシートラミネート装置制御部(CPU)L401へ送られる。シートラミネート装置制御部(CPU)L401は、前記能動信号が発生した位置情報を内部記憶装置に一時的に格納しておき、この位置をシートへのラミネート貼り付け位置の原点として、後のシート同期搬送の際に参照される。これと同時に、ラミネートフィルム搬送モータL405の回転が停止され、カッタ駆動制御部L406を通じてカッタL007を駆動して、断裁動作が行われる。
【0128】
その後、シートラミネート装置制御部(CPU)L401は、断裁されたラミネートフィルムL030を矢印A1方向へ搬送する。ラミネートフィルム搬送経路L241側におけるラミネートフィルムの搬送も、各構成部品に対して上記と同様のシーケンスで、制御処理が行われる。
【0129】
シートL031についても、先頭端L310を検出したシート先頭端検出センサL017の信号が、センサ信号処理制御部L409を経てシートラミネート装置制御部(CPU)L401へ送られ、その検出位置情報が内部記憶装置へ一時的に格納されて、原点情報としてそれ以降のシート搬送制御時に参照される。この結果、シートL031は、パルス指令で駆動されるシート搬送モータL403に連結したシート搬送ローラL012等で、矢印C1方向へ搬送量を制御管理されながら、シート搬送経路L250に沿って搬送される。同様に、断裁されたラミネートフィルムも、シートL031との同期をとってラミネートフィルム搬送経路L240及びL241に沿って搬送され、ラミネートフィルム搬送経路L240及びL241とシート搬送経路L250との合流点でシートL031と重ねられ、下流に設けられた加圧ローラL020と加圧ローラL021間に送り込まれる。
【0130】
加圧ローラL020及び加圧ローラL021の各中心には、それぞれヒータL411及びL414が内蔵されている。ヒータL411及びL414によって、加圧ローラL020及び加圧ローラL021の表面温度は、ラミネート処理に最適な温度となるように、ヒータ温度制御部L410で温度制御が行われ、シートL031表面に断裁されたラミネートフィルムL030が熱圧着される。詳細な説明は省略するが、シートL031の裏面においても、その表面と同時に熱圧着が行われる。
【0131】
尚、本発明の上記実施例では、ラミネート処理機構の駆動源として、シート搬送モータL403とラミネートフィルム搬送モータL405及びL420とを別々に設けた構成を説明した。別の実施例では、1個のモータの駆動力を複数の電動クラッチで伝達・遮断する構成とすることがてき、その場合にも、上記実施例と同様に本発明の効果が得られることは明白である。また、上記実施例では、ラミネートフィルムやシートの検出センサとして反射型光センサを例に説明したが、他方式のセンサに置き換えて使用しても、同様な効果を得られることは明白である。
【0132】
図19は、本発明の好適な実施例として、シートラミネート装置L001の加圧ローラL020及び加圧ローラL021のクリーニング処理における制御手順を示すフローチャートである。
【0133】
シートラミネート装置制御部(CPU)L401は、上述したようにラミネート数LNをカウントし、それが閾値を超えると、加圧ローラL020,L021のクリーニング処理が必要(ステップS001の「Yes」)と判断する。他方、クリーニング処理が必要でない(ステップS001の「No」)と判断した場合は、クリーニング処理を終了する。また、ラミネート処理中に画像形成システムが、例えば用紙ジャムなどの理由で停止した場合にも、クリーニング処理が必要と判断することができる。
【0134】
ステップS001でクリーニング処理が必要(同ステップの「Yes」)と判断した場合、シートラミネート装置制御部(CPU)L401は、画像形成制御部C000及び給紙制御部C001を介して、クリーニングシートとして利用可能な所定の厚さ以上のシートが給紙部H002にあるかどうかを判断する(ステップS002)。ステップS002で給紙部H002に前記所定の厚さ以上のシートがある(同ステップの「Yes」)と判断した場合、シートラミネート装置制御部(CPU)L401は、ステップS002で判断した前記所定の厚さ以上のシートの幅(搬送方向に直交する向きの寸法)が、加圧ローラL020,L021に対して最後に行ったクリーニング処理より以降にラミネート加工されたシートの幅(そのようなシートのサイズが1つであればその幅値を、シートのサイズが2以上であればその中で最大の幅値をいう)よりも大きいかどうかを判断する(ステップS003)。ここで、前記所定の厚さは、例えば0.27mm以上が好ましく、これは坪量250g/m2以上の厚紙に相当する。
【0135】
ステップS003において、シートラミネート装置制御部(CPU)L401は、ステップS002で判断した前記所定の厚さ以上のシートの幅が、前記最後のクリーニング処理の実施以降にラミネート加工された前記シートの幅よりも大きい(ステップS003の「Yes」)と判断した場合、画像形成制御部C000及び給紙制御部C001を介して給紙部H002から前記所定の厚さ以上のシートを供給し(ステップS004)、シートラミネート装置L001に搬送する。
【0136】
ステップS003において、シートラミネート装置制御部(CPU)L401は、ステップS002で判断した前記所定の厚さ以上のシートの幅が、前記最後のクリーニング処理の実施以降にラミネート加工された前記シートの幅よりも大きくない(ステップS003の「No」)と判断した場合、画像形成制御部C000及び給紙制御部C001を介して、給紙部H002にあるシートの中で最大シート幅のシートを選択して供給し(ステップS005)、シートラミネート装置L001に搬送する。別の実施形態では、ステップS005に代えて、ユーザに例えば表示で通知することによって、前記最後のクリーニング処理の実施以降にラミネート加工された前記シートの幅よりも大きい幅のシートを給紙部H002にセットさせることもできる。
【0137】
他方、ステップS002において、給紙部H002に前記所定の厚さ以上のシートが無い(ステップS002の「No」)と判断した場合、シートラミネート装置制御部(CPU)L401は、給紙部H002にあるシートの幅が、前記最後のクリーニング処理の実施後にラミネート加工された前記シートの幅よりも大きいかどうかを判断する(ステップS006)。
【0138】
ステップS006において、シートラミネート装置制御部(CPU)L401は、前記最後のクリーニング処理の実施以降にラミネート加工された前記シートの幅よりも大きい幅のシートが給紙部H002にある(同ステップの「Yes」)と判断した場合、前記大きい幅のシートを、画像形成制御部C000及び給紙制御部C001を介して供給し(ステップS007)、シートラミネート装置L001に搬送する。
【0139】
ステップS006において、前記最後のクリーニング処理の実施以降にラミネート加工された前記シートの幅よりも大きい幅のシートが給紙部H002に無い(同ステップの「No」)と判断した場合、シートラミネート装置制御部(CPU)L401は、画像形成制御部C000及び給紙制御部C001を介して、給紙部H002にあるシートの中で最大シート幅のシートを選択して供給し(ステップS008)、シートラミネート装置L001に搬送する。別の実施形態では、ステップS008に代えて、ユーザに例えば表示で通知することによって、前記最後のクリーニング処理の実施以降にラミネート加工された前記シートの幅よりも大きい幅のシートを給紙部H002にセットさせることもできる。
【0140】
ステップS007及びステップS008で給紙部H002から供給されたシートがシート折り装置200に搬送されると、シート折り装置制御部(CPU)290は、この搬入されたシートに折り処理を施す(ステップS009)。ステップS009で折り処理を施したシートは、搬送方向にその折り目を先頭にして即ち搬送方向下流側に向けて、シートラミネート装置L001へ搬送される(ステップS010)。このとき、シートに
図6(A)の中折り(2つ折り)を施すと、折り目を容易に搬送方向下流側に向けることができるが、形成される折り目がシート折り装置200に向けて搬送方向に先頭で搬送される限り、中折り以外の折り処理であってもよい。
【0141】
ステップS004、ステップS005及びステップS010で給紙部H002からシートラミネート装置L001に搬入されたシートを、シートラミネート装置制御部(CPU)L401は、シートにラミネート処理を施すための通常の搬送速度よりも遅い速度で搬送し(ステップS011)、加圧ローラL020及び加圧ローラL021を通過させることによってそれらをクリーニング処理する(ステップS012)。
【0142】
更にシートラミネート装置制御部(CPU)L401は、ステップS012でクリーニング処理に利用したシートを、ラミネート処理における通常のシートの排出先とは異なる
クリーニングシート廃棄トレイL253へ排出して(ステップS013)、クリーニング処理を終了する。
【0143】
[シート処理装置制御部の説明]
シート処理装置制御部(CPU)C003は、上述したように指定されたシート処理モードに応じて、シート処理装置F001を動作させる。シート処理装置制御部(CPU)C003は、動作プログラムを記憶した不揮発性記憶部(ROM)C004と、制御データを記憶する揮発性記憶部(RAM)C005とを備えている。また、シート処理装置制御部(CPU)C003には、各種センサ入力部C014から、スタックトレイF600上の紙面を検出するスタックトレイ紙面センサF609や搬送経路F004のシートを検出する入口センサF011などの信号が入力される。
【0144】
シート処理装置制御部(CPU)C003は、シートの搬入経路F002の搬入ローラモータF021、搬送経路F004及び分岐経路F010の搬送ローラモータF023、処理トレイF301出口の排出ローラモータF614、搬送上ローラF019の昇降を行う搬送ローラ移動アームモータF022、排出上ローラF603の昇降を行う排出ローラ移動アームモータF612などを制御するシート搬送制御部C006を備えている。シート処理装置制御部(CPU)C003は更に、パンチ駆動制御部C007、処理トレイ制御部C008、ステープル綴じ制御部C009、スタックトレイ昇降制御部C010、サドル処理トレイ制御部C011、中綴じ制御部C012、及び折り・排出制御部C013を備えている。
【0145】
パンチ駆動制御部C007は、パンチユニットP001でシートに穿孔処理を行うパンチモータP003などを制御する。処理トレイ制御部C008は、処理トレイF301でシートの集積動作を行う整合板F304などを制御する。ステープル綴じ制御部C009は、処理トレイF301上のシート束に綴じ処理を行うステープル綴じユニットF306のステープル綴じモータF309などを制御する。スタックトレイ昇降制御部C010は、ステープル綴じしたシート束やスタックトレイF600上へのシートスイッチバックに応じて昇降するスタックトレイ昇降モータF605などを制御する。サドル処理トレイ制御部C011は、中綴じ処理するためにサドル処理トレイS006に集積するシートの中綴じ整合板S011やシート先端を規制するシート先端ストッパS007などを制御する。中綴じ制御部C012は、シート束の搬送方向中程を綴じる中綴じユニットS003を制御する。折り・排出制御部C013は、中綴じ処理したシート束を二つ折りにしてサドルトレイS001に排出する折りローラS004や折りシート束排紙ローラS013などを制御する。これら各制御部と搬送されるシートを検出する前記各センサと前記各駆動モータとの相互関係は、既に各動作の態様において上述した通りである。
【0146】
[シート処理モードの説明]
上述したように構成される本実施形態のシート処理装置制御部(CPU)C003は、シート処理装置F001に、例えば「プリントアウトモード」、「ステープル綴じモード」、「区分け(ジョグ)モード」、「中綴じモード」等の処理モードを実行させる。これらの処理モードについて、以下に説明する。
【0147】
(1)「プリントアウトモード」
画像形成装置H001で画像形成されたシートを、その本体排出口H011から受け入れて、搬送ローラF005や排出ローラF601で搬送してスタックトレイF600に収容する。
【0148】
(2)「ステープル綴じモード」
画像形成装置H001で画像形成されたシートを、その本体排出口H011から処理トレイF301に受け入れ、束状に部揃えしてシート束とし、これを端面綴じユニットF306でステープル針を用いて綴じ処理した後、スタックトレイF600に収納する。この綴じ処理では、画像形成装置H001の本体排出口H011からの後続シートの排出を停止しないように、先のシートをスイッチバック搬送し、待機シートとして待機経路F010に一時待機させる「待機搬送」を行う。
【0149】
(3)「区分け(ジョグ)モード」
画像形成装置H001で画像形成されたシートを、その本体排出口H011から処理トレイF301に受け入れ、綴じることなく、1枚ずつ前記フロント側と前記リア側とに区分け(ジョグ)してスタックトレイF600に収納する。この区分け(ジョグ)処理においても、画像形成装置H001の本体排出口H011からの後続シートの排出を停止しないように、先のシートをスイッチバック搬送し、待機シートとして待機経路F010に一時待機させる「待機搬送」を行う。
【0150】
(4)「中綴じモード」
画像形成装置H001で画像形成されたシートを、その本体排出口H011からサドル処理トレイS006に受け入れ、束状に部揃えしてシート束とし、これを中綴じユニットS003によりシート搬送方向の略中央位置で綴じ、綴じ位置で冊子状に折り畳んでサドルトレイS001に収納する。この中綴じ処理においては、画像形成装置H001の本体排出口H011からのシートをスタックトレイF600上に一旦排出し、その後分岐経路F010にスイッチバック搬送してサドル処理トレイS006に搬送する「サドル処理トレイ搬送」を行う。
【0151】
本発明の各実施態様によれば、上述したように、接着面を有するラミネートフィルムとシートとを熱圧着してラミネート処理するために使用する加圧ローラのクリーニングに、画像形成装置の給紙部に収容されていて、通常画像形成に使用されるシートをクリーニングシートとして利用することによって、ユーザにクリーニング時期を通知したり、ユーザに作業させたり手間を取らせること無く、自動でクリーニング処理を実施することができる。更に、画像形成装置の給紙部に収容されているシートから、クリーニングに適した厚紙を自動で選択するなどすることによって、クリーニング処理の際にシートが加圧ローラに巻き付くなどの不都合を未然に防止できるので、常に正常なクリーニング処理の実施が可能となる。
【0152】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、その技術的範囲を逸脱しない範囲で、上記実施形態に様々な変形変更が可能であり、本願特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。また、上記実施形態は、本発明の好適な実施例を示したものであるが、当業者であれば、本明細書の開示内容から、様々な代替例、修正例、変形例または改良例を実現することができ、これらは本願特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0153】
H001 画像形成装置
H002 給紙部
F001 シート処理装置
F302 綴じ処理部
F306 ステープル綴じユニット
P001 パンチユニット
S002 中綴じ処理部
S003 中綴じユニット
C000 画像形成制御部
C001 給紙制御部
C003 シート処理装置制御部(CPU)
200 シート折り装置
290 シート折り装置制御部(CPU)
L001 シートラミネート装置
L012、L013 シート搬送ローラ
L018、L019 搬送ローラ
L022、L023 排出ローラ
L030 裁断されたラミネートフィルム
L031 シート
L240、L241 ラミネートフィルム搬送経路
L250 シート搬送経路
L401 シートラミネート装置制御部(CPU)
L253 クリーニングシート廃棄トレイ