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▶ 株式会社コスモビューティーの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096834
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】固形状油性クレンジング化粧料。
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/92 20060101AFI20230630BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20230630BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20230630BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20230630BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
A61K8/92
A61K8/37
A61K8/02
A61Q1/14
A61K8/86
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212847
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】507281937
【氏名又は名称】株式会社コスモビューティー
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本庄 智也
(72)【発明者】
【氏名】穂園 健治
(72)【発明者】
【氏名】中條 明
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA082
4C083AA121
4C083AA122
4C083AC172
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC422
4C083BB01
4C083BB04
4C083BB12
4C083BB13
4C083CC24
4C083DD21
4C083DD30
4C083EE01
4C083EE03
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】天然ワックスを用いながらも、クレンジング力が高く、使用時に厚みを感じ伸ばしやすく、所望の硬度を備えつつも掬いやすく、ダマの発生が抑制され、また、マット感を有し、安定性の点でも優れた固形状油性クレンジング化粧料を提供することを目的とする。
【解決手段】(A)融点50~120℃の植物ワックスを2~20質量%、(B)(ポリ)グリセリンの長鎖脂肪酸と長鎖二塩基カルボン酸との混合エステルを0.001~2質量%、(C)液状油、ならびに(D)界面活性剤を含有する、固形状油性クレンジング化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)融点50~120℃の植物ワックスを2~20質量%、(B)(ポリ)グリセリンの長鎖脂肪酸と長鎖二塩基カルボン酸との混合エステルを0.001~2質量%、(C)液状油、ならびに(D)界面活性剤を含有する、固形状油性クレンジング化粧料。
【請求項2】
前記成分(B)が(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリルである、請求項1に記載の固形状油性クレンジング化粧料。
【請求項3】
前記成分(A)がヒマワリワックス、コメヌカワックス及びキャンデリラワックスからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載の固形状油性クレンジング化粧料。
【請求項4】
前記成分(D)がHLB3~14のノニオン性界面活性剤であり、該界面活性剤の含有量が前記組成物中、2~25質量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の固形状油性クレンジング化粧料。
【請求項5】
前記組成物中、前記成分(C)の含有量が20~95質量%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の固形状油性クレンジング化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
固形状油性クレンジング化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、耐水、耐油性に優れたメイクアップ化粧料が開発され、化粧持ちが著しく向上している。そのため、洗浄時にメイクアップ化粧料を十分に除去できるクレンジング化粧料が求められており、特に、耐水、耐油性に優れたメイクアップ化粧料とのなじみやすさの点から油性クレンジング化粧料が好ましく用いられている。油性クレンジング化粧料のなかでも、液状油をベースとした液状油性クレンジング化粧料は、流動性が高いことからメイクアップ化粧料となじませやすい。しかしながら、液状の油性クレンジング化粧料は、このように流動性が高いことから、使用時にたれ落ちが生じやすく、メイクアップ化粧料となじませる際や使用中の塗擦動作が直接肌に伝わりやすく、皮膚への負担を感じやすいという問題がある。
【0003】
液状油性クレンジング化粧料のたれ落ちを改善するために、例えば、固形油として石油・石油化学製品由来の合成ワックスである高融点ポリエチレンワックスを用いて増粘させた油性クレンジング化粧料が提案されている。しかしながら、高融点ポリエチレンワックスは、近年、環境への負荷として問題になっているプラスチック原料の一種と考えられることから、高融点ポリエチレンワックスを使用することは望ましくない。
【0004】
このような観点から、近年、例えば、天然ワックスであるヒマワリワックスを用いた油性化粧品組成物が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2014-502623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者が固形油としてヒマワリワックスを用いて固形状油性クレンジング化粧料を得ようとしたところ、メイクアップ化粧料に対して所望のクレンジング力を有し、皮膚への負担を軽減できる程度の厚みや伸ばしやすさを備えたクレンジング化粧料を得ることができなかった。
【0007】
また、固形製剤を提供する上で、より良質な製剤を提供する点から、掬いやすく、使用時のダマ発生が抑制された化粧料を提供することが望ましく、また、安定性に優れた固形状油性クレンジング化粧料とすることも重要である。更に、近年、高級志向が高く、例えば、厚みがあるような濃厚なマット感のある製剤が高級に感じられるとして好まれる傾向があることから、このようなクレンジング化粧料とすることが望ましいといえる。
【0008】
また、従来、固形油として高融点ポリエチレンワックスが使用されているが、前述の通り、環境への負荷軽減志向から高融点ポリエチレンワックスに頼ることなく、クレンジング力、厚み、伸ばしやすさ等に優れた化粧料とできることが望ましい。
【0009】
そこで、本開示は、天然ワックスを用いながらも、クレンジング力が高く、厚みがあり皮膚への摩擦感が軽減されながらも伸ばしやすい固形状油性クレンジング化粧料を提供することを目的とする。また、本開示は、固形状油性クレンジング化粧料として所望の硬度を備えつつも掬いやすく、ダマの発生が抑制され、また、マット感を有し、安定性の点でも優れた固形状油性クレンジング化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者が前記課題を解決可能な化粧料を開発すべく鋭意研究を重ねたところ、(A)融点50~120℃の植物ワックスを2~20質量%、(B)(ポリ)グリセリンの長鎖脂肪酸と長鎖二塩基カルボン酸との混合エステルを0.001~2質量%、(C)液状油、ならびに(D)界面活性剤を組み合わせて用いることにより、クレンジング力、掬いやすさ、伸ばしやすさ、厚み、硬度、ダマ発生の抑制、マット感、安定性の点で優れた固形状油性クレンジング化粧料が得られることを見出した。本発明は該知見に基づき更に検討を重ねて完成されたものであり、本開示は例えば下記に代表される発明を包含する。
項1.(A)融点50~120℃の植物ワックスを2~20質量%、(B)(ポリ)グリセリンの長鎖脂肪酸と長鎖二塩基カルボン酸との混合エステルを0.001~2質量%、(C)液状油、ならびに(D)界面活性剤を含有する、固形状油性クレンジング化粧料。
項2.前記成分(B)が(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリルである、項1に記載の固形状油性クレンジング化粧料。
項3.前記成分(A)がヒマワリワックス、コメヌカワックス及びキャンデリラワックスからなる群より選択される少なくとも1種である、項1または2に記載の固形状油性クレンジング化粧料。
項4.前記成分(D)がHLB3~14のノニオン性界面活性剤であり、該界面活性剤の含有量が前記組成物中、2~25質量%である、項1~3のいずれか一項に記載の固形状油性クレンジング化粧料。
項5.前記組成物中、前記成分(C)の含有量が20~95質量%である、項1~4のいずれか一項に記載の固形状油性クレンジング化粧料。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、クレンジング力、掬いやすさ、伸ばしやすさ、厚み、硬度、ダマ発生の抑制、マット感、安定性の点で優れた固形状油性クレンジング化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、(A)融点50~120℃の植物ワックスを2~20質量%、(B)(ポリ)グリセリンの長鎖脂肪酸と長鎖二塩基カルボン酸との混合エステルを0.001~2質量%、(C)液状油、ならびに(D)界面活性剤を含有する、固形状油性クレンジング化粧料を提供することを包含する。
【0013】
成分(A)
本開示の固形状油性クレンジング化粧料は、融点50~120℃の植物ワックス(成分(A))を含有する。成分(A)の融点は、50~120℃である限り制限されないが、より好ましくは融点55~100℃が例示され、更に好ましくは融点65~95℃が例示される。該成分(1)は、このように室温(25℃)で固体である。
【0014】
本分野においてワックスは、例えば「常温で固体、加熱すると液体となる有機物」と定義されているともいえ、大別すると天然ワックスと合成ワックスとの2つに分類される。また、天然ワックスは、その由来に応じて、植物ワックス、動物ワックス、鉱物ワックス、石油ワックスに分類されており、本開示において植物ワックスとは、該分類のうち植物ワックスを意味する。
【0015】
本開示において成分(A)は、化粧料成分として皮膚に適用可能であれば制限されず、本開示を制限するものではなく、ヒマワリワックス(ヒマワリ種子ロウ)、コメヌカワックス、キャンデリラワックス、モクロウ、カルナウバワックス等が例示される。本開示を制限するものではないが、植物ワックスとして好ましくはヒマワリワックス、コメヌカワックス、キャンデリラワックス等が例示され、より好ましくはヒマワリワックスが例示される。
【0016】
本開示を制限するものではないが、一例として、ヒマワリワックスの融点として好ましくは60~100℃、より好ましくは70~95℃が例示される。同様に一例として、コメヌカワックスの融点として好ましくは70~90℃、より好ましくは75~90℃が例示される。同様に一例として、キャンデリラワックスの融点として好ましくは55~80℃、より好ましくは68~72℃が例示される。同様に一例として、モクロウの融点として好ましくは50~60℃、より好ましくは50~55℃が例示される。同様に一例として、カルナウバワックスの融点として好ましくは70~95℃、より好ましくは80~86℃が例示される。
【0017】
本開示を制限するものではないが、植物ワックスは商業的に入手可能であり、例えばヒマワリワックスとしては精製ヒマワリワックス(横関油脂工業株式会社)、TOWAX-6F2、TOWAX-6F3、(東亜化成株式会社)、コメヌカワックスとして精製ライスワックスR-100(横関油脂工業株式会社)、NC-1720(株式会社セラリカ)、TOWAX 3F19(東亜化成株式会社))、キャンデリラワックスとしてTOWAX-4F4(東亜化成株式会社)、精製キャンデリラワックス MK-7(横関油脂工業株式会社)、NC-1630(株式会社セラリカ)、精製キャンデリラワックス スーパーリファイン(綿半トレーディング株式会社)、モクロウとしてモクロウ-100(株式会社セラリカ)等が挙げられる。なお、本開示において植物ワックスの融点は製品カタログに従う値である。
【0018】
成分(A)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0019】
本開示の固形状油性クレンジング化粧料中、植物ワックスの含有量は2~20質量%である限り制限されず、好ましくは3~15質量%、より好ましくは4~10質量%が例示される。
【0020】
成分(B)
本開示の固形状油性クレンジング化粧料は、(ポリ)グリセリンの長鎖脂肪酸と長鎖二塩基カルボン酸との混合エステル(成分(B))を含有する。成分(B)は、この限りにおいて制限されず、長鎖脂肪酸は特に制限されないが、好ましくは炭素数10~30の脂肪酸、より好ましくは炭素数16~26の脂肪酸が例示される。該脂肪酸は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、また、飽和、不飽和の別も問わない。このような脂肪酸として、ベヘン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、イソパルミチン酸等が例示される。また、長鎖二塩基カルボン酸も特に制限されないが、好ましくは炭素数10~30の二塩基カルボン酸、より好ましくは、炭素数16~24の二塩基カルボン酸が例示され、このような二塩基カルボン酸としてエイコサン二酸、テトラデカン二酸、イソエイコサン二酸、オクタデセン二酸等が例示される。このように成分(B)は、(ポリ)グリセリンと長鎖脂肪酸と長鎖二塩基カルボン酸とのエステル化合物であるといえる。
【0021】
成分(B)の具体例としては、本開示を制限するものではないが、トリ(ベヘン酸/イソステアリン酸/エイコサン二酸)グリセリル、(ベヘン酸/エイコサン二酸)ポリグリセリル-10、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリルが例示され、好ましくは、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリルが例示される。
【0022】
本開示を制限するものではないが、成分(B)は商業的に入手可能であり、例えばノムコートHK-G、ノムコートHK-P、ノムコートSG(日清オイリオ株式会社)等が挙げられる。
【0023】
成分(B)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0024】
本開示の固形状油性クレンジング化粧料中、成分(B)の含有量は0.001~2質量%である限り制限されず、好ましくは0.005~1質量%、より好ましくは0.01~0.5質量%が例示される。
【0025】
成分(C)
本開示の固形状油性クレンジング化粧料は、液状油(成分(C))を含有する。本開示において液状油は、常温(25℃)で液状の油を意味する。該液状油として、本開示の効果が得られる限り制限されないが、エステル油、炭化水素油、動植物油、シリコーン油、高級アルコール等が例示され、好ましくはエステル油、炭化水素油、動植物油が例示される。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0026】
このような液状油として、本開示を制限するものではないが、パルミチン酸エチルヘキシル、イソパルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソトリデシル、トリエチルヘキサノイン、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール等のエステル油;ミネラルオイル、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、α-オレフィンオリゴマーポリブデン、ワセリン等の炭化水素油;オリーブ油、ヒマシ油、アボカド油、サフラワー油、大豆油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、パーム油、ヒマワリ油、綿実油、ミンク油等の動植物油;ジメチルポリシロキサン、ジメチコン等のシリコーン油(鎖状シリコーン、環状シリコーン、変性シリコーン等);ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール等が例示される。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0027】
本開示の該化粧料は、本開示を制限するものではないが、液状油として、好ましくはエステル油及び炭化水素油からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、または、エステル油、炭化水素油及び動植物油からなる群より選択される少なくとも1種を含有ことが例示される。また、本開示を制限するものではないが、本開示の該化粧料は、液状油として、エチルヘキサン酸セチル、ドデカン、パルミチン酸エチルヘキシル、イソパルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、イソノナン酸イソトリデシル、トリエチルヘキサノイン、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスチル及びミリスチン酸オクチルドデシルからなる群より選択される少なくとも1種の液状油を含有することが更に好ましい。
【0028】
成分(C)は、いずれも1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0029】
本開示のクレンジング化粧料中、成分(C)の含有量は制限されず、適宜設定すればよいが、例えば20~95質量%が例示され、好ましくは30~95質量%、より好ましくは50~90質量%、更に好ましくは60~85質量%が例示される。
【0030】
成分(D)
本開示の固形状油性クレンジング化粧料は、界面活性剤(成分(D))を含有する。成分(D)は制限されず、適宜設定すればよいが、成分(D)として好ましくは、HLB値が3~14の界面活性剤が例示され、より好ましくはHLB値が5~13、更に好ましくはHLB値が6~12の界面活性剤が例示される。HLB(Hydrophile Lypophile Balance)値は、親水性と親油性のバランスを知る公知の指標であり、HLB値0~20のうち、HLB値が小さいほど親油性が強く、HLB値が大きいほど親水性が強いことを示す。本開示において、HLBは、通常、Griffin式に従う。これらはいずれも1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0031】
また、本開示を制限するものではなく、成分(D)は、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等のいずれであってもよいが、好ましくはノニオン性界面活性剤が例示される。
【0032】
本開示を制限するものではないが、一例を説明すると、ノニオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、セスキオレイン酸ソルビタン等が例示され、好ましくはポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルが例示される。
【0033】
本開示を制限するものではないが、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルとしては、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルを構成する脂肪酸として好ましくは炭素数8~22の脂肪酸が例示され、より好ましくは炭素数10~20の脂肪酸が例示される。該脂肪酸は飽和脂肪酸であっても不飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸の場合、炭素間の二重結合数は制限されず、例えば1~4、好ましく1~3、より好ましくは1または2が例示される。また、該脂肪酸は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
【0034】
ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルを構成する脂肪酸として、本開示を制限するものではないが、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘン酸等、また、これらの脂肪酸を含むヤシ油脂肪酸やパーム油脂肪酸といった天然の脂肪酸が例示される。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0035】
ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルを構成するポリオキシエチレンとして、本開示を制限するものではないが、エチレンオキシド(EO)の平均付加モル数が好ましくは5~60程度、より好ましくは10~40程度が例示される。また、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルは、脂肪酸グリセリルにおける1~3のヒドロキシル基の少なくともいずれかがポリエチレングリコールとエーテル結合したものであればよい。
【0036】
ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルとして、本開示を制限するものではないが、前述のエチレンオキシド(EO)の平均付加モル数を有する、ポリオキシエチレンイソステアリン酸グリセリル、ポリオキシエチレンイソオレイン酸グリセリル、ポリオキシエチレンジイソラウリン酸グリセリル等が好ましく例示され、トリイソステアリン酸PEG-10グリセリル、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル、イソステアリン酸PEG-10グリセリル等がより好ましく例示される。本開示においてポリオキシエチレン脂肪酸グリセリルは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0037】
本開示を制限するものではないが、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、平均重合度が2以上のグリセリンと脂肪酸とのエステルである。本発明を制限するものではないが、ポリグリセリン脂肪酸エステルにおいて、グリセリンの平均重合度は好ましくは2~10の整数、更に好ましくは4~10の整数が例示される。
【0038】
本発明を制限するものではないが、ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の炭素数は、好ましくは10~18、より好ましくは12~18が例示される。ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、直鎖状、分岐鎖状を問わず、また、飽和、不飽和を問わない。
【0039】
このような脂肪酸として、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、カプリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、リノレン酸等が例示される。脂肪酸は、1種単独で使用してもよく、2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
【0040】
本発明を制限するものではないが、ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、より好ましくは平均重合度2以上(整数)のグリセリンと炭素数10~18の脂肪酸とのエステル、更に好ましくは平均重合度2~10(整数)のグリセリンと炭素数10~18の脂肪酸とのエステル等が例示される。この限りにおいて、本発明を制限するものではないが、ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、より好ましくはポリグリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリグリセリンジ脂肪酸エステルが例示される。
【0041】
ポリグリセリン脂肪酸エステルの具体例として、本発明を制限するものではないが、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、ラウリン酸ポリグリセリル-10、ジカプリン酸ポリグリセリル-6、ミリスチン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-2が挙げられる。
【0042】
成分(D)は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0043】
本開示の固形状油性クレンジング化粧料中、成分(D)の含有量は制限されず、適宜設定すればよいが、例えば2~25質量%が挙げられ、好ましくは6~22質量%、更に好ましくは8~20質量%が例示される。
【0044】
本開示の固形状油性クレンジング化粧料は、本開示の効果を妨げないことを限度として、更に任意の他の成分を含有してもよい。該他の成分として、粉体(シリカ、カーボンブラック、酸化鉄等の顔料)、保湿剤、植物エキス、ビタミン類、酸化防止剤、防腐剤、紫外線吸収剤、消炎剤、昆虫忌避剤、生理活性成分、香料、着色剤、動物ワックス(ミツロウ等)、鉱物ワックス(モンタンワックス等)、石油ワックス(マイクロクリスタリンワックス等)、前記成分(A)以外の植物ワックス等が例示される。該他の成分は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよく、また、その配合量も本開示の効果を妨げない範囲で適宜決定すればよい。
【0045】
なお、動物ワックス、鉱物ワックス、石油ワックスについては前述と同様に説明され、ワックスは大別すると天然ワックスと合成ワックスとの2つに分類され、また、天然ワックスは、植物ワックス、動物ワックス、鉱物ワックス、石油ワックスに分類される。本開示において動物ワックス、鉱物ワックス、石油ワックスとは、該分類のうち動物ワックス、鉱物ワックス、石油ワックスを意味する。動物ワックス、鉱物ワックス、石油ワックスの融点として、好ましくは融点50~120℃が例示される。また、本開示の該化粧料は、植物ワックスと共に、動物ワックス、鉱物ワックス及び/または石油ワックスを配合して調製してもよく、配合することなく調製してもよい。
【0046】
本開示を制限するものではないが、後述の実施例から理解できる通り、本開示によれば、固形油として高融点ポリエチレンワックスを用いない場合であっても、クレンジング力等の点で優れた固形状油性クレンジング化粧料を提供することができる。この点から、本開示を制限するものではないが、本開示の固形状油性クレンジング化粧料の好ましい一実施形態として、該化粧料中、高融点ポリエチレンワックスの含有量が5質量%以下、0~4質量%以下、0~1質量%未満等が例示される。
【0047】
また、本開示の化粧料は油性であることから、好ましくは該化粧料中、水の含有量が3質量%未満であり、より好ましくは0~1%質量未満である。このように、該化粧料は、水を配合することなく調製してもよい。
【0048】
また、本開示を制限するものではないが、本開示の固形状油性クレンジング化粧料の一施形態として、例えば、前記成分(A)、(B)、(C)及び(D)とを含有し、該組成物中、これらの含有量(総量)が60~100質量%、70~100質量%、80~100質量%、90~100質量%、95~100質量%、99~100質量%、99.6~100質量%等が例示される。
【0049】
本開示の固形状油性クレンジング化粧料は、前記成分(A)、(B)、(C)及び(D
)、更に必要に応じて前記他の成分を、前述に従う含有量で適宜混合し、次いで固化することにより製造できる。これらの成分の混合順は特に制限されない。また、本開示を制限するものではないが、該混合は、例えば均一に混合する点から、通常、各成分が流動性を有する状態となる温度条件下で行うことができ、また、固化は、得られた混合物が固化する温度(例えば常温(25℃))で行うことができる。
【0050】
本開示の固形状油性クレンジング化粧料の剤形は、固形状であって、すなわち、常温(25℃)、常圧(1気圧)で流動性のないクレンジング化粧料であり、その形状は、棒状、板状、容器へ流し込み成型したもの等のいずれであってもよく、目的に応じて適宜設定すればよい。
【0051】
また、本開示のクレンジング化粧料は、このように固形状であって、この限りにおいて制限されないが、一実施形態として、例えば、レオメーター硬度(レオメーターで測定した時の硬度)が100~900の範囲内にある化粧料が好ましく例示される。レオメーター硬度として、より好ましくは120~800、更に好ましくは150~700が例示される。本開示においてレオメーター硬度は、レオメーター(FUDOH レオメーター RTC-3002D、株式会社レオック製)を用いて、平型10φ(直径)のアダプターを使用し、テーブルスピード30cm/min、侵入深度5mm、レンジ2k、測定温度25℃で測定した値である。
【0052】
本開示の固形状油性クレンジング化粧料は、皮膚(頭皮、粘膜等を含む)に適用可能である限り制限されない。該化粧料は、皮脂、汗、ほこり、毛穴の汚れ、ファンデーション、口紅、日焼け止め剤等をはじめとする皮膚の汚れを落とすために使用されるクレンジング用組成物として使用することができ、特に、ファンデーション、口紅等のメイクアップ化粧料の洗浄に使用されるクレンジング用組成物として好ましく使用される。
【0053】
本開示の固形状油性クレンジング化粧料は、従来公知のクレンジング用の化粧料と同様にして皮膚に適用すればよい。この限りにおいて制限されないが、一例として、該化粧料の適量をそのままで、または必要に応じて水等の液体と接触させて、これを皮膚上で滑らせることにより使用すればよい。該化粧料の適用量や使用回数は、特に制限されず、例えば、従来公知の皮膚用のクレンジング化粧料等と同様にして使用すればよい。また、本開示の化粧料は、皮膚への適用後、水で洗い流してもよく、コットン等を用いてふき取って使用されるものであってもよく、制限されない。
【0054】
本開示によれば、クレンジング力、化粧料の掬いやすさ、伸ばしやすさ、厚み、硬度、化粧料を広げる際のダマ発生の抑制、マット感、安定性の点で優れた固形状油性クレンジング化粧料を提供することができる。
【実施例0055】
以下、例を示して本開示の実施形態をより具体的に説明するが、本開示の実施形態は下
記の例に限定されるものではない。
【0056】
試験例1
1.クレンジング化粧料の調製
次の表1に従い各成分を混合し、油性クレンジング化粧料を調製した。具体的には次の手順で調製した。
1)表1中のA、C、Dの成分を約90℃に加熱しながら均一に混合して、混合物を得た。
2)表1中のBの成分を混合して得た混合物を、前記1)で調製した混合物に添加し、90℃で均一になるように混合した。
3)このようにして得た混合物に、表1中のEの成分を添加し、90℃で均一になるように混合した。
4)前記3)で得た混合物を、溶融状態のまま70℃でジャー容器に充填した後、室温(25℃)で放冷して、ジャー容器に収容した油性クレンジング化粧料(実施例1-1~1-7)を得た。
【0057】
また、表中のAの成分を用いない以外は実施例1-1と同様にして成分を混合して、比較例1-1及び1-2の油性クレンジング化粧料を得た。また、表中のAの成分に代えてミツロウを用いた以外は実施例1-1と同様にして成分を混合して、比較例1-3の油性クレンジング化粧料を得た。
【0058】
2.評価手順
前述のようにして得た各クレンジング化粧料について、硬度、クレンジング力、ダマ抑制、マット感、掬いやすさ、伸ばしやすさ、厚み、安定性を下記の手順に従い評価した。
【0059】
2-1.硬度
前述のようにして得た各クレンジング化粧料50gを、85℃の湯せんで溶解し、該化粧料の温度が80℃になったところで、該化粧料8gを別のジャー容器に流し込み、室温(25℃)で12時間、放冷した。その後、硬度を測定した。硬度は、レオメーター(FUDOH レオメーター RTC-3002D、株式会社レオック製)を用いて、平型10φ(直径)のアダプターを使用し、テーブルスピード30cm/min、侵入深度5mm、レンジ2k、測定温度25℃で測定した(レオメーター硬度)。評価は次の基準に従い行った。
【0060】
◎:硬度が150以上700未満
〇:硬度が100以上150未満、または700以上900未満
△:硬度が50以上100未満、または900以上1100未満
×:硬度が50未満または1100以上
【0061】
2-2.クレンジング力
人工皮革に口紅、ファンデーションをそれぞれ塗布し(各塗布面積1.5cm×1.5cm)、前述のようにして得た各クレンジング化粧料3gを塗布した口紅、ファンデーションの両方にまんべんなく接するように指の腹で10回往復させ、水(20℃)で洗い流し、メイク汚れの除去を評価した。評価は次の基準に従い行った。
【0062】
◎:口紅とファンデーションの両方を完全に除去できている(目視で観察した際、人工皮革に口紅、ファンデーションの両方が認められない)
〇:口紅とファンデーションがわずかに残っている(目視で観察した際、人工皮革に口紅、ファンデーションの少なくとも一方がわずかに認められる)
△:口紅とファンデーションが部分的に残っている(目視で観察した際、人工皮革に口紅、ファンデーションの少なくとも一方が部分的に認められる)
×:口紅とファンデーションが除去できず残っている
【0063】
2-3.ダマ抑制
前述のように得た各クレンジング化粧料0.2gをスライドガラス(2.5cm×7.5cm)上にのせ、指の腹を用いて5往復させることにより均一に擦り伸ばし、その際に残った化粧料のダマの数を目視で計測した。評価は次の基準に従い行った。
【0064】
◎:ダマの数が4個未満である
〇:ダマの数が4個以上6個未満である
△:ダマの数が6個以上10個未満である
×:ダマの数が10個以上である
クレンジング化粧料を皮膚上に伸ばす際、ダマの発生が多いほど、クレンジング化粧料が過度に纏まり、伸ばしにくくなる、均一に伸ばすことが難しくなることを意味する。なお、該試験において、ダマの大きさは直径0.3~1mm程度の範囲内にあった。
【0065】
2-3.マット感
クレンジング化粧料0.2gをスライドガラス上に均一に塗布し(塗布面積2.5cm×7.5cm)、色差計(分光測色計CM-2600d、コニカミノルタジャパン株式会社製)を用いて、クレンジング化粧料のツヤを評価した。色差計では、SCI(Specular Component Include(正反射光を含む))とSCE(Specular Component Exclude(正反射光を除く))を測定し、SCIとSCEのそれぞれのL値の差からツヤ算出した。評価は次の基準に従い行った。
【0066】
◎:SCIとSCEのL値の差が7.5未満である
〇:SCIとSCEのL値の差が7.5以上9.5未満である
△:SCIとSCEのL値の差が9.5以上12.5未満である
×:SCIとSCEのL値の差が12.5以上である
【0067】
SCIとSCEとの差が小さいほどツヤ(光沢感)が低く、該差の値が大きくなるほどツヤ(光沢感)が高くなる。同一の厚みであっても、ツヤが低いほどより厚みがあるように見え、マット感(濃厚な見た目、高級感)が感じられ、望ましいことを意味する。また、ツヤが高いほどマット感が乏しくなる。この点から、SCIとSCEのL値の差として12.5未満が好ましく、9.5未満が好ましく、更には7.5未満が好ましいといえる。
【0068】
2-4.掬いやすさ
専門パネラー5名により、前述の通り調製したクレンジング組成物3gをスパチュラを用いて1度に取り出す際の掬いやすさを、次の基準に従い評価した。
【0069】
3点:適量(3g)を掬い取りやすい
2点:硬い、柔らかいまたは纏まりが悪い(モソモソしている)ため適量がやや取りづらい
1点:硬い、柔らかいまたは纏まりが悪いため適量がとれない
5名のパネラーの合計点から求めた平均値が、1~1.3未満の場合を×、1.3以上~1.9未満の場合を△、1.9以上~2.3の場合を○、2.3以上~3の場合を◎とした。
【0070】
2-5.伸ばしやすさ、厚み
クレンジング化粧料3gを指で取り、専門パネラー5名の皮膚(2.5cm×2.5cm)の上で伸ばし、伸ばしやすさと厚みについて下記の評価基準に従って評価した。
【0071】
<伸ばしやすさの評価基準>
3点:皮膚の上での伸ばしやすい
2点:皮膚の上でのやや伸ばしずらい
1点:皮膚の上での伸ばしずらい(過度の力をいれないと伸びない)
5名のパネラーの合計点から求めた平均値が、1~1.6未満の場合を×、1.6以上2.4未満の場合を△、2.4以上~3の場合を○とした。
【0072】
<厚みの評価基準>
3点:厚みを感じる(皮膚と指との間に化粧料を感じ、皮膚と指とがすれる感じがしない)
2点:やや厚みを感じる
1点:厚みを感じない(皮膚と指との間に化粧料を感じず、皮膚と指とがすれる感じがする)
5名のパネラーの合計点から求めた平均値が、1~1.6未満の場合を×、1.6以上2.4未満の場合を△、2.4以上~3の場合を○とした。
【0073】
2-6.安定性評価
前述のように得た各固形クレンジング化粧料10gをジャー容器に移し、容器の蓋を閉めて、50℃恒温槽に1か月保管し安定性を確認した。
【0074】
◎:表面等に異常がない
〇:表面に発汗(粒状の液状物の漏れ出し)が生じる
△:表面に液吐き(粒状以上の液状物の漏れ出し)が生じる
×:溶解し分離している
【0075】
結果
結果を表1に示す。
【表1】
【0076】
表1に示す通り、液状油(表中C)、界面活性剤(表中D)を含有する場合であっても、植物ワックス(表中A)を1質量%しか含有しておらず、また、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリルを0.005質量%しか含有していない比較例1-1では、固化せず、固形状のクレンジング化粧料が得られなかった。また、同様に、植物ワックスを含有していない比較例1-3でも固化せず、固形状のクレンジング化粧料が得られなかった。また、液状油、界面活性剤を含有する場合であっても、植物ワックスを25質量%含有し、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリルを3質量%含有する比較例1-2のクレンジング化粧料は、硬度、ダマ抑制、掬いやすさ、伸ばしやすさの点で評価結果が×であり、所望の固形状油性クレンジング化粧料が得られなかった。
【0077】
これに対して、液状油、界面活性剤と共に、植物ワックスを5質量%含有させた実施例1-1では、比較例1-1と同様に(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリルを0.05質量%とした場合であっても、評価結果に×がなく、所望の固形状油性クレンジング化粧料が得られ、特にクレンジング力、ダマ抑制、掬いやすさ、伸ばしやすさの点で優れていた。また、植物ワックス、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリルの含有量を、実施例1-1よりも多くした実施例1-2~1-7でも、所望の固形状油性クレンジング化粧料が得られた。特に、実施例1-2、実施例1-5の化粧料では、硬度、クレンジング力、ダマ抑制、マット感、安定性、掬いやすさ、伸ばしやすさ、厚みの全ての評価結果が◎であり、非常に優れた望ましい固形状油性クレンジング化粧料が得られた。
【0078】
これらのことから、液状油、界面活性剤と共に、植物ワックスを2~20質量%、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリルを0.001~2質量%で用いることにより、所望の固形状油性クレンジング化粧料が得られることが分かった。
【0079】
試験例2
1.クレンジング化粧料の調製
次の表2に従い各成分を混合し、試験例1と同様にして固形状油性クレンジング化粧料を調製した(実施例2-1~2-3)。表2中、A~Cの成分は表1で用いた成分と同じである。
【0080】
2.評価手順
試験例1と同様にして、各クレンジング化粧料について、硬度、クレンジング力、ダマ抑制、マット感、掬いやすさ、伸ばしやすさ、厚み、安定性を評価した。
【0081】
結果
結果を表2に示す。
【表2】
【0082】
本試験例は、(ポリ)グリセリンの長鎖脂肪酸と長鎖二塩基カルボン酸との混合エステル(成分(B))の種類を変えて行った試験であり、該混合エステルとして、実施例2-1は(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル、実施例2-2は(ベヘン酸/エイコサン二酸)ポリグリセリル-10、実施例2-3はトリ(ベヘン酸/イソステアリン酸/エイコサン二酸)グリセリルを用いた例である。また、表2に記載する実施例2-1は、表1に記載する実施例1-2と同じ化粧料である。
【0083】
表2の実施例2-1~2-3に示す通り、成分(B)としていずれの混合エステルを用いた場合も、所望の固形状油性クレンジング化粧料が得られた。このように、液状油、界面活性剤と共に、植物ワックスを2~20質量%、(ポリ)グリセリンの長鎖脂肪酸と長鎖二塩基カルボン酸との混合エステルを0.001~2質量%で用いることにより、所望の固形状油性クレンジング化粧料が得られることが分かった。
【0084】
このことから、融点50~120℃の植物ワックスを2~20質量%、(ポリ)グリセリンの長鎖脂肪酸と長鎖二塩基カルボン酸との混合エステルを0.001~2質量%、液状油、ならびに界面活性剤を組み合わせて用いることにより、植物ワックスを用いながらも、クレンジング力が高く、使用時に厚みが感じられ、伸ばしやすく、所望の硬さを備え、ダマの発生が抑制され、また、マット感を有し、安定性の点でも優れた固形状油性クレンジング化粧料が得られることが分かった。