(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096837
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】災害時データ収集システム及び災害時データ収集方法
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20230630BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20230630BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20230630BHJP
G06Q 50/06 20120101ALI20230630BHJP
【FI】
H02J13/00 301A
H02J3/00 170
H02J3/38 110
H02J3/38 180
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212853
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山本 秀典
(72)【発明者】
【氏名】友部 修
(72)【発明者】
【氏名】山本 将士
(72)【発明者】
【氏名】小野 哲嗣
(72)【発明者】
【氏名】吉内 英也
(72)【発明者】
【氏名】春名 高明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆
(72)【発明者】
【氏名】河村 勉
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5L049
【Fターム(参考)】
5G064AA01
5G064AC08
5G064BA09
5G064CA08
5G064CB06
5G064CB14
5G064CB18
5G064CB19
5G064DA03
5G066AA07
5G066AA08
5G066AA09
5G066AD01
5G066AE04
5G066AE05
5G066AE09
5G066HA11
5G066HA13
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA02
5G066JB03
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】災害発生後における配電系統や設備などの電力供給にかかわる仕組みを復旧するための復旧計画の作成を、負荷をかけることなく迅速に行うように支援する。
【解決手段】配電系統および/または設備の位置と、当該配電系統および/または設備の通電状態とを含む配電情報を有したデータを収集する第1の処理部と、データに含まれる配電系統および/または設備の位置と通電状態とに基づいて、停電状態から復旧させるエリアを算出する第2の処理部と、エリアの気象情報を用いて得られる当該エリアの台風経過状況と、エリアにおける停電状態の場所を示す事故点の発生状況と、配電情報を含むデータの収集状況とに基づいて、エリアに対する復旧計画作成アプリケーションの実行タイミングを判定する第3の処理部と、を有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
演算部と記憶部とを備えるコンピュータにより行われる、災害発生時における復旧計画を作成するための災害時データ収集システムであって、
配電系統および/または設備の位置と、当該配電系統および/または設備の通電状態とを含む配電情報を有したデータを収集する第1の処理部と、
前記データに含まれる前記配電系統および/または設備の位置と前記通電状態とに基づいて、停電状態から復旧させるエリアを算出する第2の処理部と、
前記エリアの気象情報を用いて得られる当該エリアの台風経過状況と、前記エリアにおける前記停電状態の場所を示す事故点の発生状況と、前記配電情報を含むデータの収集状況とに基づいて、前記エリアに対する復旧計画作成アプリケーションの実行タイミングを判定する第3の処理部と、
を有することを特徴とする災害時データ収集システム。
【請求項2】
請求項1に記載の災害時データ収集システムであって、
前記第2の処理部は、前記データが収集されないエリアについて、あらかじめ配電系統および/または設備と当該配電系統および/または設備の位置とを対応付けた系統プロファイル情報を用いて、前記エリアを算出する、
ことを特徴とする災害時データ収集システム。
【請求項3】
請求項1に記載の災害時データ収集システムであって、
前記第3の処理部は、前記エリアの台風経過状況が通過中であって、当該エリアの中で台風未経過の範囲に前記事故点が発生している場合、当該エリア内で台風が経過済みの範囲で収集された前記データを用いて、前記アプリケーションの実行が可能であると判定する、
ことを特徴とする災害データ収集システム。
【請求項4】
請求項1に記載の災害時データ収集システムであって、
前記第3の処理部は、前記エリアの台風経過状況が通過中であって、前記エリアを台風通過するまで前記データの更新タイミングがない場合、収集済みの前記データを用いて、前記アプリケーションの実行が可能であると判定する、
ことを特徴とする災害データ収集システム。
【請求項5】
請求項1に記載の災害時データ収集システムであって、
前記第3の処理部は、前記エリアの台風経過状況が通過中であって、前記エリアを台風通過するまで前記データの次の更新タイミングがある場合、当該次の更新タイミングで収集した前記データを用いて、当該次の更新タイミングまでの待機時間経過後に前記アプリケーションの実行が可能であると判定する、
ことを特徴とする災害データ収集システム。
【請求項6】
請求項5に記載の災害時データ収集システムであって、
前記データの定義には、少なくとも、前記データの鮮度、前記データの出所、前記データの測定位置、前記データの時間的性質を含み、
前記第3の処理部は、前記次の更新タイミングで収集した前記データの鮮度が優先的な条件となっている場合に、前記待機時間経過後に前記アプリケーションの実行が可能であると判定する、
ことを特徴とする災害データ収集システム。
【請求項7】
請求項1に記載の災害時データ収集システムであって、
前記第3の処理部は、前記エリアの台風経過状況が通過後であって、当該エリアの中で発生した事故点における前記配電系統および/または設備が復旧している場合、収集済みの前記データを用いて、前記アプリケーションの実行が可能であると判定する、
ことを特徴とする災害データ収集システム。
【請求項8】
請求項1に記載の災害時データ収集システムであって、
前記復旧計画作成アプリケーションの実行タイミングを通知し、前記復旧計画作成アプリケーションのデータ定義と、前記エリアから収集された前記データとに基づいて、前記復旧計画作成アプリケーションの入力データを提供する第4の処理部、
を有することを特徴とする災害データ収集システム。
【請求項9】
請求項8に記載の災害時データ収集システムであって、
前記第4の処理部は、前記データの容量に関する情報と、前記アプリケーションの実行タイミングに関する情報と、前記データとを対応付けた所定のフォーマットで前記入力データを生成し、生成した当該入力データを前記復旧計画作成アプリケーションに提供する、
ことを特徴とする災害データ収集システム。
【請求項10】
演算部と記憶部とを備えるコンピュータにより行われる、災害発生時における復旧計画を作成するための災害時データ収集方法であって、
配電系統および/または設備の位置と、当該配電系統および/または設備の通電状態とを含む配電情報を有したデータを収集し、
前記データに含まれる前記配電系統および/または設備の位置と前記通電状態とに基づいて、停電状態から復旧させるエリアを算出し、
前記エリアの気象情報を用いて得られる当該エリアの台風経過状況と、前記エリアにおける前記停電状態の場所を示す事故点の発生状況と、前記配電情報を含むデータの収集状況とに基づいて、前記エリアに対する復旧計画作成アプリケーションの実行タイミングを判定する、
ことを特徴とする災害時データ収集方法。
【請求項11】
演算部と記憶部とを備えるコンピュータに、
配電系統および/または設備の位置と、当該配電系統および/または設備の通電状態とを含む配電情報を有したデータを収集する処理と、
前記データに含まれる前記配電系統および/または設備の位置と前記通電状態とに基づいて、停電状態から復旧させるエリアを算出する処理と、
前記エリアの気象情報を用いて得られる当該エリアの台風経過状況と、前記エリアにおける前記停電状態の場所を示す事故点の発生状況と、前記配電情報を含むデータの収集状況とに基づいて、前記エリアに対する復旧計画作成アプリケーションの実行タイミングを判定する処理と、
を実行させることを特徴とする災害時データ収集プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害時データ収集システム及び災害時データ収集方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CPUとメモリとを含んで構成されるコンピュータが、被害状況の事前予測を基とし、利用できる情報が得られる都度、被災地域の初期復旧計画を逐次更新する作業を模擬する初期復旧計画作成模擬ステップと、復旧作業を行う復旧者ならびに復旧作業に必要な機材および資材を前記初期復旧計画作成模擬ステップによる作業の模擬により作成された初期復旧計画に基づいて配置する作業を模擬する初期配置模擬ステップと、前記初期配置模擬ステップによる作業の模擬により配置された復旧者が被災地域を復旧する作業を模擬するとともに、設備を識別する識別子と設備の故障状況を示す故障情報とを対応させて設備ごとに前記メモリに記憶した設備情報を更新する復旧作業模擬ステップとを実行することを特徴とする情報処理方法(特許文献1参照)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
台風等の災害発生時に、被災状況の把握、初動として配電系統の復旧及び運転再開を実施する場合、迅速な復旧のために、復旧計画を迅速に作成しなければならない。災害発生時には、被災状況に関するデータが、災害が発生したエリアを管理するシステムから刻々と送信され、また、災害に伴って生じる通信回線の不通などによるデータの欠落や変化も起こり得る。このような状況下で、該データを用いる復旧計画作成アプリケーションに対して、復旧計画作成に有効なデータを提供し、早期及び適切なタイミングでの実行を支援することが求められる。
【0005】
上記特許文献1に開示された技術では、復旧計画作成に利用できる情報であるか否かの判定はアプリケーションまたは人により、得られた情報内容を基に行われる。このため、情報内容の判定を逐次実施することによる負荷がかかる。また情報が遅延もしくは取得困難である場合、該情報に対する復旧計画作成の可否や実行タイミングの判定は困難であり、情報を取得できるまで待ち続けることになる。よって復旧計画作成の遅延にもつながり得る。
【0006】
本発明は、災害発生後における配電系統や設備などの電力供給にかかわる仕組みを復旧するための復旧計画の作成を、負荷をかけることなく迅速に行うように支援することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる災害時データ収集システムは、演算部と記憶部とを備えるコンピュータにより行われる、災害発生時における復旧計画を作成するための災害時データ収集システムであって、配電系統および/または設備の位置と、当該配電系統および/または設備の通電状態とを含む配電情報を有したデータを収集する第1の処理部と、前記データに含まれる前記配電系統および/または設備の位置と前記通電状態とに基づいて、停電状態から復旧させるエリアを算出する第2の処理部と、前記エリアの気象情報を用いて得られる当該エリアの台風経過状況と、前記エリアにおける前記停電状態の場所を示す事故点の発生状況と、前記配電情報を含むデータの収集状況とに基づいて、前記エリアに対する復旧計画作成アプリケーションの実行タイミングを判定する第3の処理部と、を有することを特徴とする災害時データ収集システムとして構成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、災害発生後における配電系統や設備などの電力供給にかかわる仕組みを復旧するための復旧計画の作成を、有効なデータ活用による計画の有効性を保証して、負荷をかけることなく迅速に行うように支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施例にかかる災害時データ収集システム及び災害時データ収集方法を適用したシステム構成の一例を示す図である。
【
図3】災害時のデータ収集及び復旧計画作成の実施の一例を示す図である。
【
図4】単独運転エリアの範囲を説明するための概念図である。
【
図5】本実施例における災害時データ収集サーバのモジュール構成を示す図である。
【
図6A】本実施例における災害時収集データテーブルの一例を示す図である。
【
図6B】本実施例におけるエリア情報テーブルの一例を示す図である。
【
図6C】本実施例におけるデータカタログテーブルの一例を示す図である。
【
図6D】本実施例における提供データリストの一例を示す図である。
【
図7】本実施例においてエリア毎の復旧計画作成の実行開始タイミングを判定する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】本実施例において、エリア毎の復旧計画作成の実行開始タイミング判定のためにエリア毎の事故点発生有無で判定する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】本実施例においてエリア毎の復旧計画作成の実行開始タイミング判定のためにエリア毎のデータ収集状況で判定する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図10】本実施例において復旧計画作成アプリケーションが要求するデータに関するアプリデータ定義及びデータに対する許容条件項目の一例を示す図である。
【
図11】本システムにてアプリケーションにデータを提供するためのメッセージフォーマットの一例を示す図である。
【
図12A】本システムにおいてアプリケーションの実行開始タイミングを判定する際の概念を説明するための図である(台風通過状況で判断する場合)。
【
図12B】本システムにおいてアプリケーションの実行開始タイミングを判定する際の概念を説明するための図である(事故点発生有無で判断する場合1)。
【
図12C】本システムにおいてアプリケーションの実行開始タイミングを判定する際の概念を説明するための図である(事故点発生有無で判断する場合2)。
【
図12D】本システムにおいてアプリケーションの実行開始タイミングを判定する際の概念を説明するための図である(データ収集状況で判断する場合1)。
【
図12E】本システムにおいてアプリケーションの実行開始タイミングを判定する際の概念を説明するための図である(データ収集状況で判断する場合2)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の記載および図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。本発明は、他の種々の形態でも実施する事が可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
【0011】
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0012】
以下の説明では、「データベース」、「テーブル」、「リスト」等の表現にて各種情報を説明することがあるが、各種情報は、これら以外のデータ構造で表現されていてもよい。データ構造に依存しないことを示すために「XXテーブル」、「XXリスト」等を「XX情報」と呼ぶことがある。識別情報について説明する際に、「識別情報」、「識別子」、「名」、「ID」、「番号」等の表現を用いた場合、これらについてはお互いに置換が可能である。
【0013】
同一あるいは同様な機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。ただし、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0014】
また、以下の説明では、プログラムを実行して行う処理を説明する場合があるが、プログラムは、プロセッサ(例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit))によって実行されることで、定められた処理を、適宜に記憶資源(例えばメモリ)および/またはインターフェースデバイス(例えば通信ポート)等を用いながら行うため、処理の主体がプロセッサとされてもよい。同様に、プログラムを実行して行う処理の主体が、プロセッサを有するコントローラ、装置、システム、計算機、ノードであってもよい。プログラムを実行して行う処理の主体は、演算部であれば良く、特定の処理を行う専用回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit))を含んでいてもよい。
【0015】
プログラムは、プログラムソースから計算機のような装置にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバまたは計算機が読み取り可能な記憶メディアであってもよい。プログラムソースがプログラム配布サーバの場合、プログラム配布サーバはプロセッサと配布対象のプログラムを記憶する記憶資源を含み、プログラム配布サーバのプロセッサが配布対象のプログラムを他の計算機に配布してもよい。また、以下の説明において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【実施例0016】
図1は、本実施例にかかる災害時データ収集システム及び災害時データ収集方法を適用したシステム構成の一例を示す図である。
主な構成要素は、災害時に、配電系統、IoT(Internet of Things)センサ、需要家スマートメータ、他インフラシステム等からデータを収集及び管理し、初動の復旧計画作成に係る処理を行う災害時データ収集サーバ101、配電会社が配電系統の運用及び管理を行う配電自動化システム171の配電自動化システムサーバ102、地域、環境内に設置され、IoTセンサ等と無線通信を行い、センサデータの収集及び中継を行う基地局サーバ(105、106)、個々の需要家にて、スマートメータまたはIoTセンサ等の需要家データの収集、管理をする需要家サーバ107、自治体等で構築された配電以外のインフラにて設備の運用及び管理等を行う他インフラシステムサーバ(108、109)である。
【0017】
以下では、災害発生後における配電系統や設備などの電力供給にかかわる仕組みの一例として、上述した配電系統などを例示するが、これらに限らず、電力供給にかかわるものであれば、従来から知られている様々な系統や設備等を適用することができる。
【0018】
災害時データ収集サーバ101と配電自動化システムサーバ102とは、ネットワーク111及びネットワーク112を介して相互接続する。災害時データ収集サーバ101と基地局サーバ(105、106)とは、ネットワーク111及びネットワーク113を介して相互接続する。災害時データ収集サーバ101と需要家サーバ107とは、ネットワーク111及びネットワーク114を介して相互接続する。災害時データ収集サーバ101と他インフラシステムサーバ(108、109)とは、ネットワーク111及びネットワーク115を介して相互接続する。ただし配電自動化システムサーバ102、基地局サーバ(105、106)、需要家サーバ107、他インフラシステムサーバ(108、109)から災害時データ収集サーバ101へのデータ提供はネットワーク(111、112、113、114、115)を介した通信により実施する場合だけでなく、ネットワーク(111、112、113、114、115)を介さず、例えば人手を介して災害時データ収集サーバ101へのデータ格納を行う場合もある。
【0019】
配電自動化システム171におけるサーバ及び設備(103、104、163)は配電系統161を制御するために使用される。配電系統161に含まれる電柱162等にIoTセンサが設置される。需要家172における需要家設備は、配電系統161から電力授受される。
【0020】
図1に示した災害時データ収集サーバ101、配電自動化システムサーバ102、基地局サーバ(105、106)、需要家サーバ107、他インフラシステムサーバ(108、109)は、例えば、
図2(コンピュータ概略図)に示すような、CPU1601と、メモリ1602と、HDD(Hard Disk Drive)等の外部記憶装置1603と、CD(Compact Disk)やUSBメモリ等の可搬性を有する記憶媒体1608に対して情報を読み書きする読書装置1607と、スキャナ、キーボード、マウスといった入力装置1606と、ディスプレイ等の出力装置1605と、通信ネットワークに接続するためのNIC(Network Interface Card)等の通信装置1604と、これらを連結するシステムバス等の内部通信線(システムバスという)1609と、を備えた一般的なコンピュータ1600により実現できる。
【0021】
これらのサーバに記憶され、あるいは処理に用いられる様々なデータは、CPU1601がメモリ1602または外部記憶装置1603から読み出して利用することにより実現可能である。また、各サーバが有する各機能部(例えば、
図5に示す災害時データ収集サーバ101のデータ収集部311、収集データ管理部312、データカタログ管理部313、アプリデータ定義管理部314、他システム連携部315、実行タイミング判定部321、事故点状態判定部322、データ収集状況判定部323、通知提供部331、データ通信部332)は、CPU1601が外部記憶装置1603に記憶されている所定のプログラムをメモリ1602にロードして実行することにより実現可能である。
【0022】
上述した所定のプログラムは、読書装置1607を介して記憶媒体1608から、あるいは、通信装置1604を介してネットワークから、外部記憶装置1603に記憶(ダウンロード)され、それから、メモリ1602上にロードされて、CPU1601により実行されるようにしてもよい。また、読書装置1607を介して、記憶媒体1608から、あるいは通信装置1604を介してネットワークから、メモリ1602上に直接ロードされ、CPU1601により実行されるようにしてもよい。
【0023】
以下では、これらのサーバが、ある1つのコンピュータにより構成される場合を例示するが、これらの機能の全部または一部が、クラウドのような1または複数のコンピュータに分散して設けられ、ネットワークを介して互いに通信することにより同様の機能を実現してもよい。各サーバが行う具体的な処理については、フローチャートを用いて後述する。
【0024】
図3は、災害時のデータ収集及び復旧計画作成の実施の一例を示す図である。
図3において、本システムでは、ある地域201に台風211が通過し、配電系統の設備等に損傷を与えて、停電等の被害が発生する場合に、台風通過後の初動として、被災状況の把握、復旧計画の作成と、該計画に基づく配電系統の復旧作業の実施を行う。この例において、復旧とは、特に、早急に配電系統の運転を再開して停電を解消するための、分断された単独の系統において分散型電源等からの電力のみで通電させる単独運転を実施することを挙げる。
【0025】
単独運転とは、需要家の停電被害を最小化するために、例えば、蓄電池や太陽光発電等の分散電源や電源車を用いて通電可能とするために電力供給を行うことである。また、単独運転エリアとは、上記単独運転を行うことにより電力供給が可能となる対象範囲である。
【0026】
また、復旧計画の作成とは、特に、前記単独運転を実施するための計画を作成することであるとする。エリア212は、前記単独運転を実施するための、分断された配電系統にて分散型電源等からの通電が可能であるように区分する範囲であるとする。つまり、
図3において、エリア212が、上記単独エリアに相当する。
【0027】
図4は、単独運転エリアの範囲を説明するための概念図である。
図4では、
図3に示したある地域201における配電系統の一例を示している。
図4に示すように、地域201には、複数の単独運転エリア212(この例では、単独運転エリア212a、212b、212c、212dの4つ)が含まれている。いま、台風通過等による災害により、単独運転エリア212aにおいて、配電系統や設備等の損傷によって事故点X(この例では、X1~X4の4箇所)が生じたため、停電被害が生じている。事故点は、例えば、電柱の倒壊、電線の断線など、電流が流れることのできない箇所をあらわす。
【0028】
配電系統や設備等の損傷による事故点がない場合、地域201では、配電系統が、これらの4つの単独運転エリアから構成されているが、このような状況下においては、単独運転エリア212aの配電系統が損傷しており単独運転できない。したがって、本システムが対象とする単独運転エリアは、単独運転エリア212b、212c、212dの3つとなる。この例では、単独運転エリア212bでは、平常時と同様に通電した状態であり、単独運転エリア212cでは、分散電源により通電を確保することができた状態であり、単独運転エリア212dでは、電源車により通電を確保することができた状態であるとする。どの範囲を1つの単独運転エリア212とするのかについては、例えば、配電自動化システム171の配電自動化システムサーバ102が管理する事故点についての停電情報(例えば、停電日時、停電地域、停電時間帯などの情報)と、あらかじめ定められた、配電系統や設備と当該配電系統や設備が設置された場所である地理的な位置とが対応付けられた配電情報などから特定することができる。エリアの特定方法については、
図7を用いて後述する。
【0029】
図3において、台風211の通過に伴い、各々のエリア212においては、復旧計画と災害時のデータ収集との関係を示す説明
図202に示したように、データ221として、配電自動化システム171や環境内設置のIoTセンサ、需要家172のスマートメータ等からのデータ(例えば、電流の計測値、停電や通電していないことを示すエラーコード)が、台風通過前から台風通過中にかけて、高い頻度で収集される。
図3では、台風通過前においては2回、台風通過中においては9回、台風通過後においては4回の頻度でデータが収集されていることを示している。
【0030】
迅速に初動復旧を実施するためには、台風通過に伴い、エリア毎に順次、台風通過後から、データ221に基づく被災状況の把握、復旧計画の作成と、該計画に基づく配電系統の復旧作業222を実施する。
【0031】
ここで、計画作成の遅延は復旧の遅延にもつながる。一方で、不十分なデータで拙速に精度の低い計画を作成しても、スムーズな復旧実施の妨げとなり得る。特に、前記単独運転を実施するための計画を作成する場合、配電系統の断線や設備損傷が起きている事故点があると、当該事故点を含むエリアにおける配電系統の運転は実施できないため、該事故点を含むエリアの計画作成もできない。つまり、単独運転計画とは、上記単独運転エリアから、停電が発生したエリアに電力を供給して上記復旧を行うための計画であるため、初動復旧においては、事故点を含む災害が発生したエリアは、単独エリアには含まれない。また、一度計画し運転実施したエリアを変更すると、変更後のエリアについて再計画することによる復旧の遅延が生じる。そのため、計画の再作成は回避したい。
【0032】
このような理由から、単独運転が可能なエリアを順次拡げていくことにより、電力供給が可能な範囲を広げていくものとする。事故点等の発生の事前見積りは困難であり、同時多発的に発生し得る。このため、被災状況把握及び復旧計画作成に係る処理負荷は極力抑えるべきである。なお復旧計画作成アプリケーションが必要とするデータは規定されているが、該データに求める信頼度には許容範囲があり得る。
【0033】
図5は、本実施例における災害時データ収集サーバのモジュール構成を示す図である。
災害時データ収集サーバ101に、災害時に配電系統、IoTセンサ、需要家スマートメータ、他インフラシステム等からデータを収集及び管理し、アプリケーションへのデータ提供に係る処理を実行する災害時データ収集ミドルウェア301と、初動の復旧計画作成に係る処理を実行する復旧計画作成アプリケーション(302、303)が導入される。
【0034】
災害時データ収集ミドルウェア301の主な構成要素は、配電自動化システムサーバ102、基地局サーバ(105、106)、需要家サーバ107からデータを収集するデータ収集部311、前記収集データを格納する災害時収集データ341を管理する収集データ管理部312、災害時データ収集サーバ101にて扱うデータのカタログ情報を格納するデータカタログを管理するデータカタログ管理部313、アプリケーションによるデータ定義であるアプリデータ定義345を管理するアプリデータ定義管理部314、他インフラシステムサーバ(108、109)からデータを収集するための連携処理を行う他システム連携部315、復旧計画作成アプリケーション(302、303)の実行タイミングを判定する実行タイミング判定部321、災害時収集データ341及びエリア情報342を参照してエリア内の事故点発生状態を判定する事故点状態判定部322、災害時収集データ341及びエリア情報342を参照してエリア内のデータ収集状況を判定するデータ収集状況判定部323、復旧計画作成アプリケーション(302、303)に対して実行タイミングの通知及びデータ提供を行う通知提供部331、ネットワーク(111、112、113、114、115)を介して配電自動化システムサーバ102、基地局サーバ(105、106)、需要家サーバ107、他インフラシステムサーバ(108、109)との間で通信を行うデータ通信部332である。なお、カタログ情報は、災害時データ収集サーバ101がどのようなデータ(データの種類など)を処理するのかを定めた情報である。
【0035】
図6A~6Dは、本実施例による災害時データ収集方法及びシステムにて使用するテーブルの構成を示す図である。
【0036】
図6Aは、災害時データ収集サーバ101にて管理する、災害時に配電系統、IoTセンサ、需要家スマートメータ、他インフラシステム等から収集したデータに関する情報を格納する災害時収集データテーブル341の一例を示す図である。
図6Bは、エリアに関する情報を格納するエリア情報テーブル342の一例を示す図である。
図6Cは、災害時データ収集サーバ101にて扱うデータのカタログ情報を格納するデータカタログテーブル343の一例を示す図である。
図6Dは、災害時データ収集サーバ101にて稼働する計画作成アプリケーションに提供するデータ及び該データに関する情報を格納する提供データリスト344の一例を示す図である。
【0037】
図6Aに示すように、災害時収集データテーブル341の主な構成要素は、データ識別情報411、エリア識別情報412、測定位置413、時間的性質414、最新発生時刻415、最新収集時刻416、レコード数417、データ418、更新日時419である。
【0038】
データ識別情報411には、災害時に収集されるデータを識別するための情報が格納される。エリア識別情報412には、データ識別情報411により特定されるデータの発生元に該当するエリアを識別するための情報が格納される。測定位置413には、データ識別情報411により特定されるデータの測定位置に関する情報が格納される。時間的性質414には、データ識別情報411により特定されるデータの時間的性質(例えば、現在値、予測値、履歴値など、どの時点のデータであるのか)に関する情報が格納される。最新発生時刻415には、データ識別情報411により特定されるデータのうち、最新のデータ値が発生した時刻(つまり、データの収集元で当該データが発生した最新の時刻)が格納される。最新収集時刻416には、データ識別情報411により特定されるデータのうち、最新のデータ値を収集した時刻(つまり、サーバが収集元からデータを収集した最新の時刻)が格納される。レコード数417には、データ識別情報411により特定されるデータの、当該テーブルに格納済みのレコードの数が格納される。データ418には、データ識別情報411により特定されるデータの本体もしくは該データ本体へのポインタ情報が格納される。ポインタ情報を読み取ることで、上記データ本体の具体的な内容にアクセスすることができる。更新日時419には、411~418のレコードが最後に更新された日時が格納される。
【0039】
例えば、
図6Aでは、データ識別情報「事故点_1010000121」で識別されるデータは、現在値を示すデータであり、エリア識別情報「Area_00000053」で識別されるエリアの測定位置「(N35°39’20”,E135°58’00”)」にある配電系統、IoTセンサ、需要家スマートメータ、他インフラシステム等から収集されたデータであることを示している。また、収集元でデータが発生した時刻は「2021-10-10 11:57:53」であり、サーバがデータを収集した時刻は「2021-10-10 11:59:03」であることを示している。さらに、収集したデータのレコード数は1件であり、実際に格納されているデータの参照先は「DataPointer00000501」であり、当該レコードが「2021-10-10 12:00:10」に最新の情報に更新されていることを示している。このように、災害時収集データテーブル341には、データの収集元から送信されてくる様々なデータが格納されている。
【0040】
図6Bに示すように、エリア情報テーブル342の主な構成要素は、エリア識別情報421、エリア位置情報422、エリア系統情報423、台風経過状態424、台風通過時刻425、事故点状態426、設備復旧427、実行可否(アプリ1)428、実行可否(アプリ2)429、実行可否(アプリN)420、更新日時441である。
【0041】
エリア識別情報421には、データ収集及び復旧計画作成の対象となるエリアを識別するための情報が格納される。エリア位置情報422には、エリア識別情報421により特定されるエリアの位置に関する情報が格納される。エリア系統情報423には、エリア識別情報421により特定されるエリアに該当する配電系統に関する情報が格納される。台風経過状態424には、エリア識別情報421により特定されるエリアにおける台風経過情報が格納される。ここでは“通過前”、“通過中”、“通過後”等の情報が格納される。台風通過時刻425には、エリア識別情報421により特定されるエリアを台風が通過完了した時刻もしくは通過完了する予想時刻が格納される。事故点状態426には、エリア識別情報421により特定されるエリアにおける事故点の発生状態に関する情報が格納される。設備復旧427には、エリア識別情報421により特定されるエリアにおける事故点発生後の設備復旧が完了しているか否かの情報が格納される。実行可否(アプリ1)428、実行可否(アプリ2)429、実行可否(アプリN)420には、当該アプリケーションの実行可否に関する情報が格納される。ここでは“実行不可”、“実行待機”、“実行可”のいずれかの情報が格納される。更新日時441には、421~420のレコードが最後に更新された日時が格納される。
【0042】
例えば、
図6Bでは、
図6Aで示したエリア識別情報「Area_00000053」で識別されるエリアは、「Mesh No.0012, 0013, 0014, ,,,」で識別される範囲に位置し、当該エリアには、「配電線No.12, 13, 15, ,,,」で識別される配電系統や設備が含まれていることを示している。また、当該エリアでは、台風が通過中であり、通過完了の予想時刻は台風通過時刻「2021-10-10 12:15:00」であり、34件の事故点が存在し、復旧していない(未完)状態であることを示している。そして、復旧計画作成アプリケーション(302、303)(例えば、アプリ1、プリ2)は、それぞれ、実行待機状態にあり、当該レコードが「2021-10-10 12:02:30」に最新の情報に更新されていることを示している。このように、エリア情報テーブル342には、収集されたデータの収集元となるエリアにおける災害の状態に関する様々なデータが格納されている。
【0043】
図6Cに示すように、データカタログテーブル343の主な構成要素は、データ識別情報431、データソース情報432、データ型式情報433、データ収集タイミング434、データI/F情報435、システム稼働情報436、更新日時437である。
【0044】
データ識別情報431には、災害時データ収集サーバ101による収集の対象となるデータを識別するための情報が格納される。データソース情報432には、データ識別情報431により特定されるデータのデータソースに関する情報が格納される。データ型式情報433には、データ識別情報431により特定されるデータの型式に関する情報が格納される。データ収集タイミング434には、データ識別情報431により特定されるデータの収集タイミングに関する情報が格納される。ここでは収集処理を実行する周期もしくは収集処理実行開始のトリガーとなるイベントに関する情報が格納される。データI/F情報435には、データ識別情報431により特定されるデータにアクセスするためのインタフェースに関する情報が格納される。システム稼働情報436には、データ識別情報431により特定されるデータの発生元であるシステムの稼働に関する情報が格納される。更新日時437には、431~436のレコードが最後に更新された日時が格納される。
【0045】
例えば、
図6Cでは、
図6Aで示したデータ識別情報「事故点_1010000121」で識別されるデータは、配電自動化システムに関する「Binary, Structure」型式のデータであり、何らかのイベントが発生した場合に送信されるデータであることを示している。また、当該データの収集は、データソースである配電自動化システムに「MQTT, topic=xxxx」で示されるインタフェース情報を用いてアクセスして行われることを示している。さらに、当該データの収集元のシステムが現時点で稼働中であり、当該レコードは「2021-10-10 00:00:00」に最新の情報に更新されていることを示している。このように、データカタログテーブル343には、収集されたデータの様々なカタログ情報が格納されている。当該データカタログテーブル343は、本システムの管理者等により、あらかじめ記憶される。
【0046】
図6Dに示すように、提供データリスト344の主な構成要素は、データ識別情報441、許容条件合致状況442、提供可能時刻443、提供状態444、データ445、更新日時446である。
【0047】
データ識別情報441には、アプリケーションに提供するデータを識別するための情報が格納される。許容条件合致状況442には、データ識別情報441により特定されるデータの、アプリケーションが定義するデータに対する許容条件の合致状況に関する情報が格納される。該データに対する許容条件の詳細は
図10にて示す。提供可能時刻443には、データ識別情報441により特定されるデータがアプリケーションに対して提供可能となる時刻が格納される。提供状態444には、データ識別情報441により特定されるデータの提供状態に関する情報が格納される。ここでは“提供済み”、“未提供”、等の情報が格納される。データ445には、データ識別情報441により特定されるデータへのポインタ情報が格納される。更新日時446には、441~445のレコードが最後に更新された日時が格納される。
【0048】
例えば、
図6Dでは、
図6Aで示したデータ識別情報「事故点_1010000121」で識別されるデータは、後述する許容条件として定められたすべての項目と合致するデータであり、「2021-10-10 12:00:10」に、当該データが復旧計画作成のために復旧計画作成アプリケーション(302、303)(例えば、アプリ1、プリ2)に提供可能であることを示している。また、現時点では、「DataPointer00000501」で識別される当該データは未提供の状態であり、当該レコードは「2021-10-10 12:02:30」に最新の情報に更新されていることを示している。このように、提供データリスト344には、収集されたデータがどのような条件で提供されるのかを示す情報が格納されている。
【0049】
図7は、本実施例による災害時データ収集システム及び災害時データ収集方法にて、エリア毎の計画作成の実行開始タイミングを判定する処理の流れを示すフローチャートである。
【0050】
ステップ501において、データ収集部311は、配電系統の状態の取得が可能であるか否かを判定する。配電系統の状態が取得可能であるか否かは、例えば、配電自動化システム171の配電自動化システムサーバ102から上記配電情報が取得できたか否かにより判定すればよい。
【0051】
データ収集部311が、配電系統の状態の取得が可能である場合と判定した場合(501;YES)、ステップ502において、取得した配電系統の状態より通電範囲、停電範囲を算出し、該範囲を基にエリアの区分を生成する。これらの範囲については、例えば、データ収集部311は、上記配電情報に含まれる配電系統や設備と当該配電系統や設備の場所同士が一定程度近い位置にある場合、両者を同じエリアとする。これを繰り返し行って、上記同じエリアとなる配電系統や設備の場所の数が所定の閾値に達した場合に、配電系統の状態を判断すべき1つのエリアとすればよい。データ収集部311は、このような処理を常に行うことで、最新のエリアについて、配電系統の状態を取得することができる。つまり、エリアのそれぞれがどのような範囲であり、区分された範囲のエリアが通電状態であるのか、停電状態であるのかを判定することができる。また、エリアの区分とは、例えば、
図6Bで示したデータ識別情報421により識別されるエリアについての区分であり、
図4に示した1つのエリア212を識別するための情報である。
【0052】
一方、ステップ501において、データ収集部311が、配電系統の状態の取得が可能ではないと判定した場合(501;NO)、ステップ503において、系統プロファイル情報に基づいて静的にエリアの区分を生成する。系統プロファイル情報は、あらかじめ定められた範囲ごとに、配電系統や設備と当該配電系統や設備の場所である地理的な位置とを対応付けた情報である。
【0053】
ステップ504において、上記系統プロファイル情報を基に、ステップ502、ステップ503にて生成したエリアの地理的位置を算出する。例えば、データ収集部311は、ステップ502で生成した区分のエリアに含まれる配電系統や設備と当該配電系統や設備の場所のうち当該エリアのなかで最も外側の位置から複数の位置を選択し、選択したこれらの位置と、上記系統プロファイル情報に記憶されている配電系統や設備と当該配電系統や設備の場所である地理的な位置との関係から、上記選択したこれらの位置で囲まれる範囲をエリアの地理的位置として特定し、
図6Bに示したエリア位置情報422とする。また、データ収集部311は、上記系統プロファイル情報に記憶されている配電系統や設備と当該配電系統や設備の場所である地理的な位置を読み取り、ステップ501の場合と同様の方法で1つのエリアをエリアの地理的位置として特定し、
図6Bに示したエリア位置情報422とする。エリア位置情報422(あるいは配電系統や設備と当該配電系統や設備の場所である地理的な位置)と、エリア系統情報423とは、あらかじめ対応付けられているものとする。また、データ収集部311は、特定した上記エリア位置情報422を識別するためのエリア識別情報421を付与するとともに、当該エリア識別情報421と同じ値を、
図6Aに示したエリア識別情報412に記憶する。
図6Aに示したデータ識別情報411、測定位置413、時間的性質414最新発生時刻415、最新収集時刻416、レコード数417、データ418は、データ収集部311が、
図3に示したデータ221を収集したタイミングで書き込まれる。
【0054】
ステップ505において、実行タイミング判定部321は、データ収集部311がステップ504にて算出したエリアの地理的位置と、発生中の台風の位置、速さ、向き等の情報を突合せて、当該エリアの台風経過状況を算出する。当該台風の位置、速さ、向き等の情報については、例えば、データ収集部311が、最新の天候を知らせる各種サイトから取得し、
図6Bに示した台風経過状態424および台風経過時刻425に記憶させればよい。
【0055】
ステップ506において、実行タイミング判定部321は、ステップ505にて算出した台風経過状況が“通過中”であると判定した場合、ステップ507において、事故点有無判定処理を実施する。事故点有無判定処理の詳細は
図8にて示す。台風が通過中であるか否かについては、例えば、上記各種サイトから取得した台風の進路上の位置が上記算出したエリアの地理的位置に含まれる場合、台風が通過中であると判定すればよい。
【0056】
ステップ508において、データ収集状況判定部323は、データ収集状況判定処理を実施する。データ収集状況判定処理の詳細は
図9にて示す。
【0057】
ステップ506において、実行タイミング判定部321が、ステップ505にて算出した台風経過状況が“通過後”であると判定した場合、事故点状態判定部322は、ステップ509において、当該エリアが事故点発生済みか否かを確認する。台風が通過後であるか否かについては、例えば、上記各種サイトから取得した台風の進路上の位置が上記算出したエリアの地理的位置に含まれなくなった場合、台風が通過後であると判定すればよい。また、事故点発生済みか否かについては、例えば、事故点状態判定部322が、
図6Aに示した災害時収集データ341及び
図6Bに示したエリア情報342を参照し、事故点状態426に有が記憶されていた場合、エリア内に事故点が発生した状態であると判定すればよい。事故点状態426に有が記憶される方法については、例えば、事故点状態判定部322が、配電自動化システム171の配電自動化システムサーバ102からデータ収集部311が収集した事故点についての停電情報が記録されている場合、当該エリアに事故点があると判定すればよい。
【0058】
ステップ510において、事故点状態判定部322が、ステップ509の処理結果として、当該エリアは事故点発生済みではないと判定した場合(510;NO)、実行タイミング判定部321は、ステップ511において、当該エリアに対して計画作成は“実行可“であると判定する。
【0059】
一方、ステップ510において、事故点状態判定部322が、ステップ509の処理結果として、当該エリアは事故点発生済みであると判定した場合(510;YES)、ステップ512において、当該エリアにおいて設備復旧済みであるか否かを判定する。当該エリアにおいて設備復旧済みであるか否かについては、例えば、後述する事故点有無判定処理において事故点ありと判定され、事故点状態426に「有」が格納された後、事故点状態426が「無」となった場合、当該エリアにおいて設備復旧済みとなったと判定すればよい。
【0060】
事故点状態判定部322は、当該エリアにおいて設備復旧済みではないと判定した場合(512;NO)、ステップ513において、当該エリアに対して計画作成は“実行不可“であると判定し、その旨を実行可否(アプリ1)428、実行可否(アプリ2)429、実行可否(アプリN)420に記憶する。
【0061】
一方、事故点状態判定部322は、ステップ512において、当該エリアにおいて設備復旧済みであると判定した場合(512;YES)、ステップ514において、当該エリアに対して計画作成は“実行可“であると判定し、その旨を実行可否(アプリ1)428、実行可否(アプリ2)429、実行可否(アプリN)420に記憶する。
【0062】
ステップ506において、実行タイミング判定部321は、ステップ505にて算出した台風経過状況が“通過前”であると判定した場合、ステップ515において、当該エリアに対して計画作成は“実行不可“であると判定し、その旨を実行可否(アプリ1)428、実行可否(アプリ2)429、実行可否(アプリN)420に記憶する。台風が通過前であるか否かについては、例えば、上記各種サイトから取得した台風の進路上の位置が上記算出したエリアの地理的位置に含まれていない場合、台風が通過前であると判定すればよい。
【0063】
ステップ516において、通知提供部331は、ステップ515までの処理の結果として当該エリアに対する計画作成の実行可否が“実行可”、“実行待機”、“実行不可”のいずれであるかを判定する。通知提供部331は、当該エリアに対する計画作成の実行可否が“実行可”であると判定した場合、ステップ517において、計画作成アプリケーションに対して“実行可“と通知する。そして、通知提供部331は、ステップ518において、当該計画作成アプリケーションに対してデータを提供する。提供されるデータのフォーマットについては、
図11を用いて後述する。
【0064】
一方、ステップ516において、通知提供部331は、ステップ515までの処理の結果として当該エリアに対する計画作成の実行可否が“実行待機”であると判定した場合、ステップ519において、計画作成アプリケーションに対して“実行待機“及び待機時間を通知する。
【0065】
さらに、ステップ516において、通知提供部331は、ステップ515までの処理の結果として当該エリアに対する計画作成の実行可否が“実行不可”であると判定した場合、ステップ520において、計画作成アプリケーションに対して“実行不可“と通知する。
【0066】
ステップ521において、通知提供部331は、全エリアに対してデータ提供あるいは通知が終了したか否かを判定する。通知提供部331は、全エリアに対してデータ提供あるいは通知が終了していないと判定した場合(521;NO)、ステップ501~520の処理を繰り返す。一方、通知提供部331は、ステップ521において、全エリアに対してデータ提供あるいは通知が終了していると判定した場合(521;YES)、本処理を終了する。
【0067】
図8は、本実施例において、エリア毎の計画作成の実行開始タイミング判定のためにエリア毎の事故点発生有無で判定する処理の流れを示すフローチャートである。
【0068】
ステップ601において、事故点状態判定部322は、災害時収集データ341を参照して、今回の台風経過における当該エリアでの事故点の発生履歴から、現時点に至るまでの事故点の有無を確認する。ステップ602において、事故点状態判定部322は、当該エリアの現時点での事故点の発生有無を確認する。事故点発生済みか否かについては、ステップ506で説明したように、例えば、事故点状態判定部322が、
図6Aに示した災害時収集データ341及び
図6Bに示したエリア情報342を参照して判定すればよい。また、現時点での事故点の発生有無については、収集された最新のデータを参照して、上述した方法で判定すればよい。
【0069】
ステップ603において、事故点状態判定部322は、ステップ601、ステップ602の処理の結果、当該エリアにおいて事故点有りとなったか否かを判定する。事故点状態判定部322は、当該エリアにおいて事故点有りとなっていないと判定した場合(603;NO)、本処理を終了する。
【0070】
一方、事故点状態判定部322は、ステップ603において、ステップ601、ステップ602の処理の結果、当該エリアにおいて事故点有りとなったと判定した場合(603;YES)、さらに、ステップ604において、当該エリア内にて既に多数発生しているか否かを判定する。
【0071】
事故点状態判定部322は、当該エリア内にて既に多数発生していると判定した場合(604;YES)、ステップ605において、当該エリアは、計画作成アプリは“実行不可”であると判定し、その旨を実行可否(アプリ1)428、実行可否(アプリ2)429、実行可否(アプリN)420に記憶する。ここで、多数発生しているか否かについては、例えば、当該エリア内の事故点の発生数及び分布度合が、指定された閾値以上である場合に、多数発生と判定する。
【0072】
ステップ604において、事故点状態判定部322は、当該エリア内にて事故点が多数発生していないと判定した場合(604;NO)、さらに、ステップ606において、当該エリアの台風通過済みの範囲には事故点が無く、台風未経過である残りの範囲にて事故点が発生しているか否かを判定する。上記台風未経過である残りの範囲とは、今後の台風の進路上にある範囲であって、未だ台風が通過していない範囲である。当該台風未経過である残りの範囲については、ステップ506の判定方法と同様、以下のようにすればよい。例えば、事故点状態判定部322は、上記各種サイトから取得した台風の進路上の位置が上記算出したエリアの地理的位置に含まれ、かつ上記算出したエリアのうち、上記各種サイトから取得した台風が通過していない範囲を、当該台風未経過である残りの範囲とすればよい。
【0073】
事故点状態判定部322は、当該エリアの台風通過済みの範囲には事故点が無く、台風未経過である残りの範囲にて事故点が発生していると判定した場合(606;YES)、ステップ607において、当該エリアを事故点が発生していない範囲に短縮し、前倒しで計画作成アプリは“実行可”であると判定し、その旨を実行可否(アプリ1)428、実行可否(アプリ2)429、実行可否(アプリN)420に記憶する。つまり、事故点状態判定部322は、エリア内のうち上記残りの範囲以外の事故点がない台風通過済みの範囲で収集されたデータを提供するために、アプリケーションの実行が可能であると判定する。
【0074】
ステップ606において、事故点状態判定部322は、当該エリアの台風通過済みの範囲には事故点が無く、台風未経過の残りの範囲でも事故点は発生していないと判定した場合(606;NO)、本処理を終了する。
【0075】
図9は、本実施例においてエリア毎の復旧計画作成の実行開始タイミング判定のためにエリア毎のデータ収集状況で判定する処理の流れを示すフローチャートである。
【0076】
ステップ701において、データ収集状況判定部323は、災害時収集データ341及びエリア情報342を参照して、当該エリアの地理的位置と発生中の台風の位置、速さ、向き等の情報とを突合せて、当該エリアの台風通過時刻を算出する。
【0077】
ステップ702において、データ収集状況判定部323は、アプリケーションのデータ定義345を参照する。アプリケーションのデータ定義345の詳細は
図10にて示す。
【0078】
ステップ703において、データ収集状況判定部323は、ステップ702のアプリケーションのデータ定義345と、災害時収集データ341における当該エリアから収集済のデータとを照合する。
【0079】
ステップ704において、データ収集状況判定部323は、ステップ703の照合の結果、当該データがアプリケーションのデータ定義345における全ての許容条件項目に合致するか否かを判定する。
【0080】
データ収集状況判定部323は、当該データがアプリケーションのデータ定義345における全ての許容条件項目に合致すると判定した場合(704;YES)、ステップ705において、データカタログ343を参照して、台風通過時刻までに当該データの更新があるか否かを判定する。上記更新の有無については、例えば、データカタログ343のデータ収集タイミング434がエリア情報342の台風通過時刻425までに到来するか否かにより判定すればよい。
【0081】
データ収集状況判定部323は、台風通過時刻までに当該データの更新が無いと判定した場合(705;無)、ステップ706において、提供データリスト344に当該データの情報を追加する。例えば、データ収集状況判定部323は、提供データリスト344のデータ445に、災害時収集データ341における当該エリアから収集済のデータを格納し、許容条件合致状況442、提供可能時刻443、提供状態444、更新日時446を設定した上で、データ識別情報441を付与する。許容条件合致状況442については、例えば、ステップ703で照合したときの一致度を算出して格納すればよい。また、例えば、提供可能時刻443については、あらかじめ定められたタイミング(提供時刻や提供サイクル)を設定すればよい。また、提供状態444、更新日時446については、当該データは未だアプリケーションに提供されていないため「未提供」を設定し、更新日時446に当該ステップでの処理時刻を更新すればよい。
【0082】
ステップ704において、データ収集状況判定部323は、当該データがアプリケーションのデータ定義345における全ての許容条件項目に合致すると判定しなかった場合(704;NO)、ステップ707の処理に進む。
【0083】
ステップ705において、データ収集状況判定部323は、データカタログ343を参照して、台風通過時刻までに当該データの更新が有ると判定した場合(705;有)、ステップ710の処理に進む。
【0084】
ステップ707において、データ収集状況判定部323は、当該データがアプリケーションのデータ定義345において優先度を高く設定した条件項目に合致するか否かを判定する。上記優先度を高く設定した条件項目であるか否かの判定は、例えば、後述する
図10に示す優先度項目に記憶された値が「1」または「2」といった所定の閾値未満であるか否かにより判定すればよい。
【0085】
データ収集状況判定部323は、当該データがアプリケーションのデータ定義345において優先度を高く設定した条件項目に合致すると判定した場合(707;YES)、ステップ708において、ステップ705同様、データカタログ343を参照して、台風通過時刻までに当該データの更新があるか否かを判定する。そして、データ収集状況判定部323は、ステップ706同様、台風通過時刻までに当該データの更新が無いと判定した場合(708;無)、ステップ709において、提供データリスト344に当該データの情報を追加する。一方、ステップ708において、データ収集状況判定部323は、データカタログ343を参照して、台風通過時刻までに当該データの更新が有ると判定した場合(708;有)、ステップ705同様、ステップ710の処理に進む。
【0086】
ステップ710において、データ収集状況判定部323は、アプリケーションのデータ定義345に定義する全てのデータについて、ステップ702~709の確認処理を行ったか否かを判定し、処理が完了していないと判定した場合(710;未完)、ステップ702~709の処理を繰り返す。
【0087】
一方、ステップ710において、データ収集状況判定部323は、アプリケーションのデータ定義345に定義する全てのデータについて、ステップ702~709の確認処理を行ったと判定した場合(710;完)、ステップ711において、アプリケーションのデータ定義345に記憶されているレコードのうち、提供データリスト344に未だ追加されていないレコードに対応するデータがあるか否かを判定する。
【0088】
データ収集状況判定部323は、アプリケーションのデータ定義345に記憶されているレコードのうち、提供データリスト344に未だ追加されていないレコードに対応するデータが無いと判定した場合(711;無)、ステップ712において、当該エリアに対して計画作成は“実行可”であると判定し、その旨を実行可否(アプリ1)428、実行可否(アプリ2)429、実行可否(アプリN)420に記憶して本処理を終了する。
【0089】
ステップ711において、データ収集状況判定部323は、アプリケーションのデータ定義345に記憶されているレコードのうち、提供データリスト344に未だ追加されていないデータが有ると判定した場合(711;有)、ステップ713おいて、データカタログ343を参照して、当該データの次回収集時刻を算出する。次回収集時刻については、例えば、データカタログテーブル343のデータ収集タイミング434と現在時刻とにより算出することができる。
【0090】
ステップ714において、データ収集状況判定部323は、ステップ713で算出した当該データの次回収集時刻が台風通過時刻以内ではないであるか否かを判定し、当該データの次回収集時刻が台風通過時刻以内ではないと判定した場合(714;NO)、ステップ721の処理に進む。
【0091】
ステップ714において、データ収集状況判定部323は、ステップ713で算出した当該データの次回収集時刻が台風通過時刻以内であると判定した場合(714;YES)、ステップ715において、データカタログ343を参照して、収集系システムの状態が正常であるか否かを判定する。収集系システムは、例えば、災害時データ収集サーバ101とネットワーク111を介して接続されている各システムである。また、状態が正常な場合とは、それぞれのシステムが、災害時データ収集サーバ101と接続し、災害時収集データ341が収集可能な状態である場合である。
【0092】
データ収集状況判定部323は、収集系システムの状態が正常であると判定した場合(715;正常)、ステップ716において、ステップ703同様、当該データとアプリケーションのデータ定義345とを照合して、ステップ717において、当該データがアプリケーションのデータ定義345における全ての許容条件項目に合致するか否かを判定する。
【0093】
データ収集状況判定部323は、当該データがアプリケーションのデータ定義345における全ての許容条件項目に合致すると判定した場合(717;有)、ステップ718において、ステップ706同様、提供データリスト344に当該データの情報を追加する。
【0094】
ステップ715において、データ収集状況判定部323は、データカタログ343を参照して、収集系システムの状態が異常であると判定した場合(715;異常)、ステップ721の処理に進む。
【0095】
ステップ717において、データ収集状況判定部323は、当該データがアプリケーションのデータ定義345における全ての許容条件項目に合致するのではないと判定した場合(717;無)、ステップ719の処理に進む。
【0096】
ステップ719において、データ収集状況判定部323は、ステップ707同様、当該データとアプリケーションのデータ定義345とを照合して、当該データがアプリケーションのデータ定義345において優先度を高く設定した条件項目に合致するか否かを判定する。
【0097】
データ収集状況判定部323は、当該データがアプリケーションのデータ定義345において優先度を高く設定した条件項目に合致すると判定した場合(719;有)、720において、ステップ709同様、提供データリスト344に当該データの情報を追加する。
【0098】
ステップ719において、データ収集状況判定部323は、当該データとアプリケーションのデータ定義345とを照合して、当該データがアプリケーションのデータ定義345において優先度を高く設定した条件項目に合致するのではないと判定した場合(719;無)、ステップ721の処理に進む。
【0099】
ステップ721において、データ収集状況判定部323は、アプリケーションのデータ定義345に定義する残りの全てのデータについて、ステップ714~720の確認処理を行ったか否かを判定し、処理が完了していないと判定した場合(721;未完)、ステップ713~720の処理を繰り返す。
【0100】
ステップ721において、データ収集状況判定部323は、アプリケーションのデータ定義345に定義する残りの全てのデータについて、ステップ702~709の確認処理を行ったと判定した場合(721;完)、ステップ722において、ステップ711同様、アプリケーションのデータ定義345に記憶されているレコードのうち、提供データリスト344に未だ追加されていないレコードに対応するデータがあるか否かを判定する。
【0101】
データ収集状況判定部323は、アプリケーションのデータ定義345に記憶されているレコードのうち、提供データリスト344に未だ追加されていないレコードに対応するデータが無いと判定した場合(722;無)、ステップ733において、データカタログ343を参照して、実行待機時間を算出する。実行待機時間の算出は、例えば、データカタログテーブル343のデータ収集タイミング434と現在時刻との差を求めることで算出することができる。
【0102】
ステップ734において、データ収集状況判定部323は、当該エリアに対して計画作成は“実行待機”であると判定し、その旨を実行可否(アプリ1)428、実行可否(アプリ2)429、実行可否(アプリN)420に記憶して本処理を終了する。
【0103】
ステップ722において、データ収集状況判定部323は、アプリケーションのデータ定義345に記憶されているレコードのうち、提供データリスト344に未だ追加されていないデータが有ると判定した場合(722;有)、ステップ723において、アプリケーションのデータ定義345を参照して、当該データの鮮度(
図10)が優先項目であるか否かを判定する。優先項目であるか否かの判定は、例えば、当該データの鮮度についての優先度823(
図10)が所定値より小さいか否かにより行えばよい。
【0104】
データ収集状況判定部323は、当該データの鮮度(
図10)が優先項目であると判定した場合、ステップ724おいて、ステップ715同様、データカタログ343を参照して、収集系システムの状態が正常であるか否かを判定する。
【0105】
データ収集状況判定部323は、収集系システムの状態が正常であると判定した場合(724;正常)、ステップ725において、ステップ716同様、当該データとアプリケーションのデータ定義345とを照合して、ステップ726において、当該データがアプリケーションのデータ定義345における全ての許容条件項目に合致するか否かを判定する。
【0106】
データ収集状況判定部323は、ステップ717同様、当該データがアプリケーションのデータ定義345における全ての許容条件項目に合致すると判定した場合(726;有)、ステップ727において、ステップ720同様、提供データリスト344に当該データの情報を追加する。
【0107】
ステップ723において、データ収集状況判定部323は、アプリケーションのデータ定義345を参照して、当該データの鮮度は優先項目ではないと判定した場合(723;NO)、ステップ730の処理に進む。
【0108】
ステップ724おいて、データ収集状況判定部323は、データカタログ343を参照して、収集系システムの状態が異常であると判定した場合(724;異常)、ステップ730の処理に進む。
【0109】
ステップ725において、データ収集状況判定部323は、ステップ716同様、当該データとアプリケーションのデータ定義345とを照合して、ステップ726において、当該データがアプリケーションのデータ定義345における全ての許容条件項目に合致するか否かを判定する。
【0110】
データ収集状況判定部323は、ステップ719同様、当該データがアプリケーションのデータ定義345における全ての許容条件項目に合致すると判定したのではない場合(726;無)、728の処理に進む。
【0111】
ステップ728において、データ収集状況判定部323は、当該データとアプリケーションのデータ定義345とを照合して、当該データがアプリケーションのデータ定義345において優先度を高く設定した条件項目に合致するか否かを判定する。
【0112】
データ収集状況判定部323は、当該データがアプリケーションのデータ定義345において優先度を高く設定した条件項目に合致すると判定した場合(728;有)、ステップ729において、ステップ720同様、提供データリスト344に当該データの情報を追加する。
【0113】
ステップ728において、データ収集状況判定部323は、当該データとアプリケーションのデータ定義345とを照合して、当該データがアプリケーションのデータ定義345において優先度を高く設定した条件項目に合致するのではないと判定した場合(728;無)、ステップ730の処理に進む。
【0114】
ステップ730において、データ収集状況判定部323は、アプリケーションのデータ定義345に定義する残りの全てのデータについて、ステップ723~729の確認処理を行ったか否かを判定し、処理が完了していないと判定した場合(730;未完)、ステップ723~729の処理を繰り返す。
【0115】
ステップ730において、データ収集状況判定部323は、アプリケーションのデータ定義345に定義する残りの全てのデータについて、ステップ702~709の確認処理を行ったと判定した場合(730;完)、ステップ731において、ステップ711同様、アプリケーションのデータ定義345に記憶されているレコードのうち、提供データリスト344に未だ追加されていないレコードに対応するデータがあるか否かを判定する。
【0116】
データ収集状況判定部323は、アプリケーションのデータ定義345に記憶されているレコードのうち、提供データリスト344に未だ追加されていないレコードに対応するデータが無いと判定した場合(731;無)、ステップ733において、データカタログ343を参照して、実行待機時間を算出する。
【0117】
一方、データ収集状況判定部323は、アプリケーションのデータ定義345に記憶されているレコードのうち、提供データリスト344に未だ追加されていないデータが有ると判定した場合(731;有)、ステップ730aにおいて、当該エリアに対して計画作成は“実行不可”であると判定し、その旨を実行可否(アプリ1)428、実行可否(アプリ2)429、実行可否(アプリN)420に記憶して本処理を終了する。
【0118】
図10は、本実施例において復旧計画作成アプリケーションが要求するデータに関するアプリデータ定義及びデータに対する許容条件項目の一例を示す図である。アプリケーションのデータ定義345は、アプリケーションに入力される様々な種類のデータについて定義づけた情報である。アプリケーションのデータ定義345は、本システムの管理者等により、あらかじめアプリケーションごとに定められているものとする。
【0119】
主な構成要素は、データ識別情報811、鮮度812、出所813、測定位置814、時間的性質815である。
【0120】
データ識別情報811には、アプリケーションが要求するデータを識別するための情報が格納される。
【0121】
鮮度812には、データ識別情報811により特定されるデータの鮮度に対してアプリケーションが要求するデータの提供頻度に関する情報が格納される。ここで鮮度とは、例えば当該データの発生時刻の災害発生時点からの時間的な離れ具合、すなわちデータの新しさ、または古さを表す。なお許容条件821には、データ識別情報811により特定されるデータの鮮度として許容できる範囲に関する情報が格納される。必須任意822には、データ識別情報811により特定されるデータへの該許容条件項目として鮮度812が“必須”か“任意”かのいずれかの情報が格納される。優先度823には、データ識別情報811により特定されるデータへの該許容条件項目における鮮度812の優先順位が格納される。
【0122】
例えば、
図10では、データ識別情報811が「事故点__1010000121」のデータは、アプリケーションが処理するために最新の値のみ、当該アプリケーションに入力可能であり、この条件は必須の条件であることを示している。また、当該条件は、他の許容条件項目(出所813、測定位置814、時間的性質815の許容条件)よりも優先すべき条件(優先度が「1」)であることを示している。最新の値であるか否かについては、例えば、データ収集状況判定部323が、災害時収集データ341のレコードに含まれる更新日時419と、1つ前のタイミングで提供された災害時収集データ341のレコードに含まれる更新日時419とを比較することにより判定すればよい。
【0123】
出所813には、データ識別情報811により特定されるデータの出所に対してアプリケーションが要求するデータの信頼性に関する情報が格納される。ここで出所とは、例えば当該データの発生元が自システムなのか、他システムなのか、等を表す。自システムのデータとは、例えば、本システムや本システムとセキュリティが担保されたネットワークで接続された配電自動化システム171の配電自動化システムサーバ102から提供されたデータである。また、他システムのデータとは、例えば、本システムや上記配電自動化システムサーバ102以外の、セキュリティが担保されていないオープンなサイトから提供されたデータである。
【0124】
なお許容条件831には、データ識別情報811により特定されるデータの出所として許容できる範囲に関する情報が格納される。必須任意832には、データ識別情報811により特定されるデータへの該許容条件項目として出所813が“必須”か“任意”かのいずれかの情報が格納される。優先度833には、データ識別情報811により特定されるデータへの該許容条件項目における出所813の優先順位が格納される。
【0125】
例えば、
図10では、データ識別情報811が「事故点__1010000121」のデータは、アプリケーションが処理するために提供されるデータの提供元が自システムである場合のみ、当該アプリケーションに入力可能であり、この条件は必須の条件であることを示している。また、当該条件は、他の許容条件項目(鮮度812、測定位置814、時間的性質815の許容条件)に比べて優先度が低い条件(優先度が「4」)であることを示している。データの提供元が自システムであるか否かについては、例えば、データ収集状況判定部323が、データカタログテーブル343のレコードに含まれるデータソース情報432に、配電自動化システム171が登録されていると判定した場合には、本システムや本システムとセキュリティが担保されたネットワークで接続されたシステム、すなわち自システムが提供元であると判定すればよい。
【0126】
測定位置814には、データ識別情報811により特定されるデータの測定位置に対してアプリケーションが要求するデータについての測定位置の一致度に関する情報が格納される。ここで測定位置とは、例えば当該データを取得するために測定した位置として、“当該地のみ”、“近傍可”、“類似ソース可”、等を表す。なお許容条件841には、データ識別情報811により特定されるデータの測定位置として許容できる範囲に関する情報が格納される。必須任意842には、データ識別情報811により特定されるデータへの該許容条件項目として測定位置814が“必須”か“任意”かのいずれかの情報が格納される。優先度843には、データ識別情報811により特定されるデータへの該許容条件項目における測定位置814の優先順位が格納される。
【0127】
例えば、
図10では、データ識別情報811が「事故点__1010000121」のデータは、アプリケーションが処理するために提供されたデータの測定位置が、測定位置413と一致する場合のみ、当該アプリケーションに入力可能であり、この条件は必須の条件であることを示している。また、当該条件は、他の許容条件項目のうち、測定位置814の許容条件に次いで優先度が低い条件(優先度が「3」)であることを示している。上記提供されたデータの測定位置が測定位置413と一致するか否かについては、例えば、データ収集状況判定部323が、災害時収集データ341のレコードに含まれる測定位置413と、上記提供されたデータの測定位置とを比較することにより判定すればよい。
【0128】
時間的性質815には、データ識別情報811により特定されるデータの時間的性質に対してアプリケーションが要求するデータの時間的なサイクルに関する情報が格納される。ここで時間的性質とは、例えば当該データが時間的な観点で、履歴値、現在値、予測値のいずれかのサイクルであるかを表す。なお許容条件851には、データ識別情報811により特定されるデータの時間的性質として許容できる範囲に関する情報が格納される。必須任意852には、データ識別情報811により特定されるデータへの該許容条件項目として時間的性質815が“必須”か“任意”かのいずれかの情報が格納される。優先度853には、データ識別情報811により特定されるデータへの該許容条件項目における時間的性質815の優先順位が格納される。
【0129】
例えば、
図10では、データ識別情報811が「事故点__1010000121」のデータは、アプリケーションが処理するために提供されたデータの時間的性質が、時間的性質414と一致する場合のみ、当該アプリケーションに入力可能であり、この条件は必須の条件であることを示している。また、当該条件は、他の許容条件項目のうち、鮮度812の許容条件に次いで優先度が高い条件(優先度が「2」)であることを示している。上記提供されたデータの時間的性質が時間的性質414と一致するか否かについては、例えば、データ収集状況判定部323が、災害時収集データ341のレコードに含まれる時間的性質414と、上記提供されたデータの時間的性質とを比較することにより判定すればよい。
【0130】
図11は、本システムにてアプリケーションにデータを提供するためのメッセージフォーマットの一例を示す図である。当該メッセージフォーマットは、例えば、災害時データ収集ミドルウェア301が、復旧計画作成アプリケーション(302、303)に提供するデータのフォーマットである。通知提供部331は、
図6A~6Dに示した各テーブルを読み取り、以下に示すフォーマットに変換したデータを、アプリケーションに提供する。
【0131】
メッセージフォーマットの主な構成要素は、ヘッダ情報901、実行タイミング情報902、データ情報903である。
【0132】
ヘッダ情報901には、当該メッセージの送受信に必要な情報が格納される。主な構成要素は、メッセージ識別情報911、宛先アプリ情報912、データ数913、データサイズ914である。
【0133】
メッセージ識別情報911には、アプリケーションに対して送信するメッセージを識別するための情報が格納される。メッセージ識別情報911は、例えば、通知提供部331が、データを提供する際に一意となる番号を採番すればよい。
【0134】
宛先アプリ情報912には、メッセージ識別情報911により特定されるメッセージの送信先であるアプリケーションに関する情報が格納される。宛先アプリ情報912は、例えば、通知提供部331が、あらかじめ復旧計画作成アプリケーション(302、303)に対応付けられているアプリケーションの宛先を読み出して設定すればよい。
【0135】
データ数913には、メッセージ識別情報911により特定されるメッセージに含まれるデータの数に関する情報が格納される。データ数913は、例えば、通知提供部331が、提供データリスト344に格納されているレコードの件数をカウントする等して設定すればよい。
【0136】
データサイズ914には、メッセージ識別情報911により特定されるメッセージに含まれるデータの総サイズに関する情報が格納される。データサイズ914は、例えば、通知提供部331が、提供データリスト344に格納されているデータ445の容量を算出する等して設定すればよい。
【0137】
実行タイミング情報902には、アプリケーションに提示する実行タイミングに関する情報が格納される。主な構成要素は、実行可否921、実行待機時間922である。
【0138】
実行可否921には、宛先アプリ情報912により特定されるアプリケーションの実行タイミングとして、“実行可”、“実行待機”、“実行不可”のいずれかが格納される。実行可否921は、例えば、通知提供部331が、エリア情報342の実行可否(アプリ1)428、実行可否(アプリ2)429、実行可否(アプリN)420に記憶された情報を読み出して設定すればよい。
【0139】
実行待機時間922には、実行可否921に格納される情報が“実行待機”である場合にのみ、宛先アプリ情報912により特定されるアプリケーションが実行可能となるまでの待機時間が格納される。実行待機時間922は、例えば、通知提供部331が、
図9において算出された実行待機時間を受け取り、設定すればよい。
【0140】
データ情報903には、主な構成要素は、データ1、2、3(931、932、933)であり、データ数913に格納されている数だけアプリケーションに提供するデータに含める。本例では3つのデータを例示するが、その数は任意である。
【0141】
データ1、2、3(931、932、933)の主な構成要素は、データ識別情報941、データソース情報942、ステータス情報943、データ本体944である。
【0142】
データ識別情報941には、データ(931、932、933)を識別するための情報が格納される。データ識別情報941は、例えば、通知提供部331が、データを提供する際に一意となる番号を採番すればよい。
【0143】
データソース情報942には、データ識別情報941により特定されるデータの発生元であるデータソースに関する情報が格納される。データソース情報942は、例えば、通知提供部331が、災害時収集データ341のデータ識別情報411と同じデータ識別情報431を含むレコードをデータカタログテーブル343の中から特定し、特定した当該レコードに含まれるデータソース情報432を読み出して設定すればよい。
【0144】
ステータス情報943には、データ識別情報941により特定されるデータのステータスとして、アプリケーションの指定するデータ許容条件項目(812、813、814、815)への合致度合いに関する情報が格納される。ステータス情報943は、例えば、通知提供部331が、災害時収集データ341のデータ識別情報411と同じデータ識別情報441を含むレコードを提供データリスト344の中から特定し、特定した当該レコードに含まれる許容条件合致状況442を読み出して設定すればよい。
【0145】
データ本体944には、データ識別情報941により特定されるデータの本体が格納される。データ本体944は、例えば、通知提供部331が、災害時収集データ341のデータ識別情報411と同じデータ識別情報441を含むレコードを提供データリスト344の中から特定し、特定した当該レコードに含まれるデータ445を読み出して設定すればよい。
【0146】
ここで、本システムにおけるアプリケーションの実行開始タイミングを判定する際の概念について説明する。
【0147】
図12A~12Eは、本システムにおいてアプリケーションの実行開始タイミングを判定する際の概念を説明するための図である。
図12A~12Eでは、台風がエリアを通過する状況に応じて、アプリケーションの実行タイミングを判定する場合の一例を示している。
【0148】
図12Aでは、台風T1が進路D1の方向に進み、エリア1201を通過し、エリア1202に到来した状況を示している。この場合、
図7のステップ506、509で説明したように、台風通過後のエリアに事故点が発生していない場合、あるいは事故点が発生していても復旧済みの場合、実行タイミング判定部321は、アプリケーションを実行可能であると判定する。例えば、実行タイミング判定部321は、エリアや事故点の物理的位置と、位置、速度、向きなどの台風情報346から、アプリケーションの実行タイミングを判断し、実行可能であると判定した場合、通知提供部331が、
図11に示したフォーマットで、アプリケーションにデータを提供する。
【0149】
また、
図12Bでは、台風T1が進路D1の方向に進み、エリア1201を通過中であり、エリア1201の事故点(この例では3箇所)はまだ通過していない状況を示している。この場合、
図8のステップ606、607で説明したように、エリア1201に所定の閾値以上の数の事故点は発生していないものの、台風が通過していない進路方向に事故点が発生している。この場合、実行タイミング判定部321は、エリア1201全体を台風が通過することを待たずに前倒しして、その時点でアプリケーションを実行可能であると判定するとともに、通知提供部331が、
図11に示したフォーマットで、アプリケーションにデータを提供する。
【0150】
また、
図12Cでは、台風T1が進路D1の方向に進み、エリア1201を通過中であり、エリア1201の事故点(この例では5箇所)を通過し、1箇所の事故点は通過していない状況を示している。この場合、
図6のステップ604、605で説明したように、エリア1201に所定の閾値以上の数(この例では5箇所)の事故点が発生しているため、実行タイミング判定部321は、エリア1201全体を台風が通過することを待たずに、その時点でアプリケーションを実行不可能であると判定するとともに、通知提供部331が、その旨をアプリケーションに通知する。
【0151】
また、
図12Dでは、台風T1が進路D1の方向に進み、エリア1201を通過中であるものの、最新のデータを取得できており、次の周期のデータ取得はエリア1201を通過しエリア1202に到来した後となる状況を示している。この場合、
図9のステップ705、713、714で説明したように、実行タイミング判定部321は、エリア1201全体を台風が通過することを待たずに、最新データの収集が完了した時点で、データ収集状況判定部323がデータを提供データリストに追加し、アプリケーションを実行可能であると判定するとともに、通知提供部331が、
図11に示したフォーマットで、アプリケーションにデータを提供する。
【0152】
また、
図12Eでは、台風T1が進路D1の方向に進み、
図12Aに示したようにエリア1201をし、エリア1202に到来した状況であるものの、台風が通過後であっても、その時点で収集されたデータが古く、次の周期で最新のデータが取得できる場合、当該次の周期でデータを取得する状況を示している。この場合、
図9のステップ705、713、714で説明したように、その時点ではアプリケーションにデータ提供を行わずに、台風の通過時刻までに到来する次の更新タイミングを待つ。その後、データ収集状況判定部323がデータを提供データリストに追加し、実行タイミング判定部321がアプリケーションを実行可能であると判定するとともに、通知提供部331が、
図11に示したフォーマットで、アプリケーションにデータを提供する。
【0153】
以上説明したように、本実施例によれば、
図7等を用いて説明したように、演算部(例えば、CPU)と記憶部(例えば、メモリ)とを備えるコンピュータ(例えば、災害時データ収集サーバ101)により行われる、災害発生時における復旧計画を作成するための災害時データ収集システムでは、配電系統および/または設備の位置と、当該配電系統および/または設備の通電状態とを含む配電情報(例えば、
図4を用いて説明した配電情報)を有したデータを収集する第1の処理部(例えば、データ収集部311)と、上記データに含まれる上記配電系統および/または設備の位置と上記通電状態とに基づいて、停電状態から復旧させるエリアを算出する第2の処理部(例えば、データ収集部311)と、上記エリアの気象情報を用いて得られる当該エリアの台風経過状況と、上記エリアにおける上記停電状態の場所を示す事故点の発生状況と、上記配電情報を含むデータの収集状況とに基づいて、上記エリアに対する復旧計画作成アプリケーションの実行タイミングを判定する第3の処理部(例えば、実行タイミング判定部321、事故点状態判定部322、データ収集状況判定部323)と、を有する。したがって、台風等の災害発生時の被災状況の把握、初動として電力系統の復旧及び運転再開を実施するための計画作成を作成する場合において、被災状況に関するデータを収集し、台風の経過状況、配電系統における事故点の発生状況及びアプリケーションによるデータ許容条件項目と比較してのデータ収集実施状況から、エリア毎の計画作成アプリケーションの実行タイミングを判定することができる。その結果、災害発生後の初動復旧における、配電系統、設備の復旧実施のための計画作成を、入力データの観点から作成される計画の有効性を保証して、可及的に迅速に実行できる。
【0154】
また、
図7のステップ503等において説明したように、上記第2の処理部(例えば、データ収集部311)は、上記データが収集されないエリアについて、あらかじめ配電系統および/または設備と当該配電系統および/または設備の位置とを対応付けた系統プロファイル情報を用いて、上記エリアを算出する。したがって、上記データが収集されないエリアについても、上記エリアを算出することができる。
【0155】
また、
図8のステップ606、607等において説明したように、上記第3の処理部(例えば、実行タイミング判定部321、事故点状態判定部322)は、上記エリアの台風経過状況が通過中であって、当該エリアの中で台風未経過の範囲に上記事故点が発生している場合、当該エリア内で台風が経過済みの範囲で収集された上記データを用いて、上記アプリケーションの実行が可能であると判定する。したがって、台風が通過中のエリアにおいて進行方向の先に事故点が発生している場合でも、一定の精度を保ちつつ迅速に収集されたデータをアプリケーションに提供することができるようになる。
【0156】
また、
図9のステップ705無、708無、712等において説明したように、上記第3の処理部(例えば、実行タイミング判定部321、データ収集状況判定部323)は、上記エリアの台風経過状況が通過中であって、上記エリアを台風通過するまで上記データの更新タイミングがない場合、収集済みの上記データを用いて、上記アプリケーションの実行が可能であると判定する。したがって、台風が通過中のエリアにおいてデータの収集が完了した場合には、速やかに収集されたデータをアプリケーションに提供することができるようになる。
【0157】
また、
図9のステップ705有、708有、713、733、734等において説明したように、上記第3の処理部(例えば、実行タイミング判定部321、データ収集状況判定部323)は、上記エリアの台風経過状況が通過中であって、上記エリアを台風通過するまで上記データの次の更新タイミングがある場合、当該次の更新タイミングで収集した上記データを用いて、当該次の更新タイミングまでの待機時間経過後に上記アプリケーションの実行が可能であると判定する。したがって、あるエリアで台風が通過中の場合において、次の更新タイミングまで待って最新の内容に更新されたデータをアプリケーションに提供することができるようになる。
【0158】
また、
図9のステップ723、733、734等において説明したように、上記データの定義には、少なくとも、上記データの鮮度、上記データの出所、上記データの測定位置、上記データの時間的性質を含み、上記第3の処理部(例えば、実行タイミング判定部321、データ収集状況判定部323)は、上記次の更新タイミングで収集した上記データの鮮度が優先的な条件となっている場合に、上記待機時間経過後に上記アプリケーションの実行が可能であると判定する。したがって、収集すべきデータとして定義づけられている他の項目(例えば、上記データの出所、上記データの測定位置、上記データの時間的性質)よりも明示的に上記データの鮮度の優先度が高く設定されている場合にのみ、そのデータをアプリケーションに提供することができるようになる。この場合、上記他の項目の優先度が上記データの鮮度よりも高く設定されている場合等にはデータをアプリケーションに提供しないため、災害等の非常時の場合でもネットワーク負荷を考慮しつつ、データをアプリケーションに提供することができるようになる。
【0159】
また、
図7のステップ509-514等において説明したように、上記第3の処理部(例えば、実行タイミング判定部321、事故点状態判定部322)は、上記エリアの台風経過状況が通過後であって、当該エリアの中で発生した事故点における上記配電系統および/または設備が復旧している場合、収集済みの上記データを用いて、上記アプリケーションの実行が可能であると判定する。したがって、台風通過後で、配電系統や設備が復旧している場合、速やかに収集されたデータをアプリケーションに提供することができるようになる。
【0160】
また、
図7のステップ517-520等において説明したように、上記復旧計画作成アプリケーションの実行タイミングを通知し、上記復旧計画作成アプリケーションのデータ定義と、上記エリアから収集された上記データとに基づいて、上記復旧計画作成アプリケーションの入力データを提供する第4の処理部(例えば、通知提供部331)を有する。したがって、アプリケーション側では、災害の状況に応じたタイミングで、災害の状況に応じて収集されたデータを用いて、アプリケーションを実行できるようになる。
【0161】
また、上記第4の処理部(例えば、通知提供部331)は、上記データの容量に関する情報と、上記アプリケーションの実行タイミングに関する情報と、上記データとを対応付けた所定のフォーマットで上記入力データを生成し、生成した当該入力データを上記復旧計画作成アプリケーションに提供する。したがって、アプリケーション側では、上記データの容量の制約を考慮しつつ、アプリケーションを実行できるようになる。例えば、上記データの容量が所定の閾値を超える場合には、過負荷となる可能性がある旨を管理者に通知したうえで、処理を実行することができるようになる。