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  • 特開-肌質改善用食品組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096840
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】肌質改善用食品組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/105 20160101AFI20230630BHJP
【FI】
A23L33/105
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212857
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大西 景子
(72)【発明者】
【氏名】佐野 朋美
(72)【発明者】
【氏名】平尾 香織
(72)【発明者】
【氏名】河野 唯
【テーマコード(参考)】
4B018
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB06
4B018LB07
4B018LB08
4B018LB09
4B018LB10
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE03
4B018LE05
4B018MD05
4B018MD08
4B018MD10
4B018MD29
4B018MD34
4B018MD35
4B018MD48
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF02
4B018MF08
4B018MF14
(57)【要約】
【課題】本発明は、優れた肌質改善効果を有する、肌質改善用食品組成物の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、オリーブ抽出物を含む、毛穴目立ち改善、肌の粉吹き改善、弾力改善、肌のくすみ改善、及びコラーゲン密度改善等の、肌質改善用食品組成物を提供する。オリーブ抽出物は、葉抽出物が好ましく、また、ヒドロキシチロソールを含むことが好ましい。食品組成物の例としては、オリーブ抽出物を含有する素錠及び前記素錠の表面を被覆するコーティング層を有するコーティング錠剤が挙げられる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリーブ抽出物を含む、肌質改善用食品組成物。
【請求項2】
毛穴目立ち改善用、肌の粉吹き改善用、弾力改善用、肌のくすみ改善用、及びコラーゲン密度改善用から選ばれる、請求項1に記載の肌質改善用食品組成物。
【請求項3】
オリーブ抽出物は、オリーブ葉抽出物である、請求項1又は2に記載の肌質改善用食品組成物。
【請求項4】
オリーブ抽出物は、ヒドロキシチロソールを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の肌質改善用食品組成物。
【請求項5】
オリーブ抽出物の1日あたりの摂取量が、ヒドロキシチロソールの量として、30mg以上である、請求項4に記載の肌質改善用食品組成物。
【請求項6】
オリーブ抽出物を含有する素錠、及び
前記素錠の表面を被覆するコーティング層
を有するコーティング錠剤である請求項1~5のいずれか1項に記載の肌質改善用食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌質改善用食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
オリーブ抽出物は、ポリフェノールであるヒドロキシチロソールやオレウロペインを含有している。オリーブ抽出物の摂取による肌に関する作用としては、メラニン生成を抑制することによる美白作用、紫外線障害(サンタン)抑制作用が知られており、細胞試験の結果ではあるが、グルタチオン産生促進による抗酸化作用が知られている(非特許文献1)。
【0003】
外用剤としてのオリーブ抽出物の肌に関する作用としては、皮膚に対してハリ、ツヤを与え、シワやたるみ等の皮膚の老化を予防・改善できる皮膚抗老化効果、皮膚の色黒、シミ、ソバカス、くすみ等を予防・改善できる美白効果などの美肌作用が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-181198号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】千葉 智尋、Fragrance Journal Vol.32 No.8 Page.41-48(2004年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、肌の弾力、潤い維持等、肌質改善機能を有する食品が多数開発されているが、より効果の高い肌質改善用食品としての有効成分が模索されている。
【0007】
本発明は、優れた肌質改善効果を有する、肌質改善用食品組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の〔1〕~〔6〕を提供する。
〔1〕オリーブ抽出物を含む、肌質改善用食品組成物。
〔2〕毛穴目立ち改善用、肌の粉吹き改善用、弾力改善用、肌のくすみ改善用、及びコラーゲン密度改善用から選ばれる、〔1〕に記載の肌質改善用食品組成物。
〔3〕オリーブ抽出物は、オリーブ葉抽出物である、〔1〕又は〔2〕に記載の肌質改善用食品組成物。
〔4〕オリーブ抽出物は、ヒドロキシチロソールを含む、〔1〕~〔3〕のいずれか1項に記載の肌質改善用食品組成物。
〔5〕オリーブ抽出物の1日あたりの摂取量が、ヒドロキシチロソールの量として、30mg以上である、〔4〕に記載の肌質改善用食品組成物。
〔6〕オリーブ抽出物を含有する素錠及び前記素錠の表面を被覆するコーティング層を有するコーティング錠剤である〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載の肌質改善用食品組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、毛穴目立ち改善、肌の粉吹き改善、弾力改善、肌のくすみ改善、及びコラーゲン密度改善等の肌質改善効果を有し、使用者に高い満足度を与えることのできる肌質改善用食品組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、肌質状態の検査の評価部位を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔1.食品組成物〕
食品組成物は、オリーブ抽出物を有効成分とする。
【0012】
〔1.1 オリーブ抽出物〕
オリーブ抽出物は、オリーブ(Olea europaea L.)の植物体の少なくとも一部から調製されるエキスである。
【0013】
-原料-
オリーブ抽出物の原料は、オリーブ(Olea europaea L.)の植物体の少なくとも一部である。オリーブの品種、原産地、生育条件、収穫時期は、特に限定されない。抽出部位としては、例えば、葉、花、果実、茎、のうち一種、又はこれらの2つ以上の組み合わせが挙げられ、少なくとも葉を含むことが好ましい。抽出原料は、抽出前に細断等の前処理が施されていてもよい。オリーブ抽出物は、オリーブ葉抽出物が好ましい。本明細書においてオリーブ葉抽出物は、少なくとも葉を含む抽出部位から抽出されたオリーブ抽出物を意味する。
【0014】
-抽出方法-
オリーブ抽出物は、上述の抽出原料から抽出して得ることができる。抽出方法としては、例えば、溶媒を用いて抽出する方法、二酸化炭素等による超臨界抽出法を用いて抽出する方法、圧搾する方法があり、これらのうちの1つ又は2つ以上を組み合わせる方法が挙げられるが、これらに限定されない。溶媒を用いて抽出する方法において用いられる抽出溶媒はとしては、例えば、水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、酢酸エチル、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、酢酸、プロピオン酸等の水性溶媒を単独、又はこれらから選ばれる2種以上の組み合わせが挙げられ、水、エタノール、又はこれらを少なくとも含む水性溶媒の混合液(例えば、含水エタノール)が好ましい。含水エタノールのアルコール濃度は、限定されないが、20~90容量%が好ましく、40~80容量%がより好ましい。
【0015】
抽出回数は、1回(抽出溶媒1種を用いて、又は2種以上の混合溶媒を用いて)又は2回以上(共通の抽出溶媒(混合溶媒でもよい)による2回以上の抽出、又は別個の抽出溶媒による2回以上の抽出)行ってもよい。
【0016】
抽出温度は、抽出原料、抽出部位、溶媒の種類等の条件により適宜定めることができるが、通常、常温~溶媒の沸点で適宜選択できる。抽出後は、酸性化処理、pH調整処理、濃縮、濾過、溶媒の留去、精製処理(例えば、イオン交換樹脂、カラムなどを利用して吸着処理後、溶媒による溶出、その後必要によりさらに濃縮処理)、乾燥(例えば、噴霧乾燥)、粉砕、脱臭、脱色処理を行ってもよい。なお、酸性化処理(例えば、抽出後に酸を添加する処理)を経て得られるオリーブ抽出物は、酸性化前のエキス中のオレウロペインが酸化後にはヒドロキシチロソールへ変換されるので、ヒドロキシチロソールを豊富に含む。
【0017】
-オリーブ抽出物の組成(ヒドロキシチロソールなど)-
オリーブ抽出物は、通常、ポリフェノールを含む。ポリフェノールとしては、例えば、ヒドロキシチロソール、オレウロペイン、チロソールが挙げられる。これらのうち、ヒドロキシチロソールを含むことが好ましい。これにより、肌質改善効果がより効率よく発揮され得る。本発明者は、ヒドロキシチロソールがセロトニン受容体の1つの5-HT2Aに作用すること、すなわち、生体内でセロトニン受容体のアンタゴニストとして働くことを新たに見出した(後段の実施例2及び3参照)。オリーブ抽出物は活性酸素除去(抗酸化)活性を有することが知られているところ、他の抗酸化成分においてヒドロキシチロソールのようなセロトニン受容体のアンタゴニストとして働くものは知られていない。オリーブ抽出物は、抗酸化作用、中途覚醒抑制作用等の生理活性を有することが知られており、ヒドロキシチロソールのセロトニン受容体のアンタゴニストとしての作用がこれらの作用を導き出し、さらに肌質改善作用の発揮につながることが推測される。
【0018】
オリーブ抽出物は、ヒドロキシチロソールを豊富に含むこと(例えば、オリーブ抽出物固形分含量に対し、15質量%以上、好ましくは17質量%以上、より好ましくは20質量%以上)がより好ましい。オリーブ抽出物は、ヒドロキシチロソールまで精製(ヒドロキシチロソール含有量100質量%)されていてもよい。
【0019】
-オリーブ抽出物の含有量-
食品組成物中のオリーブ抽出物の含有量は、オリーブ抽出物の種類、食品組成物の剤型、用途、利用者の年齢、健康状態、体重等の条件に応じて任意に定めることができる。食品組成物が錠剤である場合、錠剤全質量に対するオリーブ抽出物の含有量は、固形分換算で、通常、10質量%以上、好ましくは、15質量%以上、より好ましくは、25質量%以上である。これにより、オリーブ抽出物の生理活性を効率よく発揮できる。上限は、通常、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下、より好ましくは、35質量%以下である。これにより、錠剤の硬度を適度に低下させ、崩壊時間を早めることができる。また、服用時の苦味及び渋みの発生を抑制できる。したがって、食品組成物におけるオリーブ抽出物の含有量は、通常、10~50質量%、好ましくは15~40質量%、より好ましくは25~35質量%である。
また、食品組成物が錠剤である場合、オリーブ抽出物の1錠(例えば、100~1000mg)中の含有量は、固形分換算で、通常、10mg以上、好ましくは25mg以上、より好ましくは50mg以上である。上限は、通常、500mg以下、好ましくは300mg以下、より好ましくは200mg以下である。したがって、オリーブ抽出物の1錠中の含有量は、通常、10~500mg、好ましくは25~300mg、より好ましくは50~200mgである。前記下限以上、上限以下とする理由は、前記含有量(質量%)と同様である。
【0020】
オリーブ抽出物がヒドロキシチロソールを含み、食品組成物が錠剤である場合、オリーブ抽出物の含有量は、錠剤全質量に対するヒドロキシチロソールの含有量として、通常、1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上である。これにより、ヒドロキシチロソールによる生理活性(例えば、中途覚醒の抑制効果)が十分に発揮でき、肌質改善効果が発揮される。上限は、通常、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。これにより、服用時の苦味及び渋みが生じにくくなる。したがって、オリーブ抽出物の含有量は、ヒドロキシチロソールの量として、通常、1~20質量%、好ましくは3~15質量%、より好ましくは5~10質量%である。
また、食品組成物が錠剤である場合、オリーブ抽出物の1錠中の含有量は、ヒドロキシチロソールの1錠中の含有量として、通常、1mg以上、好ましくは6mg以上、より好ましくは10mg以上である。上限は、通常、200mg以下、好ましくは100mg以下、より好ましくは50mg以下である。したがって、ヒドロキシチロソールの1錠中の含有量は、通常、1~200mg、好ましくは6~100mg、より好ましくは10~50mgである。前記下限以上、上限以下とする理由は、前記含有量(質量%)と同様である。
【0021】
食品組成物は、オリーブ抽出物を少なくとも1種含めばよく、抽出条件、ヒドロキシチロソール含量等組成の異なる2種以上のオリーブ抽出物の組み合わせを含んでもよい。
【0022】
〔1.2 任意成分〕
本発明の食品組成物は、必要に応じて、オリーブ抽出物以外の他の成分を含んでもよい。他の成分としては、例えば、オリーブ抽出物以外の生理活性成分が挙げられる。また、他の例としては、例えば、崩壊剤、糖アルコール、賦形剤、流動化剤、滑沢剤、結合剤、矯味剤、着色剤、界面活性剤、吸着剤、帯電防止剤、崩壊延長剤、被膜形成成分、可塑剤が挙げられ、これらは主に剤型に応じて適宜選択して用いることができる。以降、生理活性成分以外の他の例は、錠剤(サプリメント等の機能性表示食品)を例に説明する。
【0023】
-他の生理活性成分-
オリーブ抽出物以外の生理活性成分としては、例えば、オリーブ以外の植物由来成分、ビタミン(脂溶性、水溶性)、ミネラル、食物繊維、魚又は藻類由来の成分、乳酸菌(生菌体、死菌体)、タンパク質、ペプチド、糖質が挙げられる。
【0024】
オリーブ以外の植物由来成分としては、例えば、カカオエキス、ヒハツエキス、葛の花エキス、アフリカマンゴノキエキス、ダービリアエキス、イチョウ葉エキス、ブドウ種子抽出物、松樹皮抽出物、コレウス・フォルスコリ抽出物、アーティチョーク葉抽出物、ローズマリー抽出物、ルイボスエキス、トマト抽出物、田七人参抽出物、田七人参酸処理物、甘草抽出物、サラシア抽出物、パッションフルーツ種子抽出物、マンゴスチンエキス等の植物エキス、これらの加工物、精製化合物が挙げられる。精製化合物としては、例えば、ラズベリーケトン、イソフラボン、グルコシルセラミド、ヘスペリジン、モノグルコシルヘスペリジン、βカロテン、GABA、ピセアタンノール、グルコシルセラミド、パナキサジオール、パナキサトリオールが挙げられる。
【0025】
ビタミン(脂溶性、水溶性)、ミネラル、食物繊維としては、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンA、ビタミンD、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、カリウム、カルシウム、鉄、亜鉛、ナトリウム、マグネシウム、リン、セレン、銅、クロム、マンガン、ヨウ素、難消化性デキストリン、イソマルトデキストリン、デキストリン、イヌリン、サイリウム種皮、グァーガム分解物等が挙げられる。これらのビタミン、ミネラル及び食物繊維の由来は、植物等の天然物でもよく、人工合成したものでもよい。
【0026】
魚又は藻類由来の成分としては、例えば、アスタキサンチン、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)が挙げられる。糖質としては、例えば、難消化性オリゴ糖が挙げられる。
【0027】
乳酸菌としては、例えば、ラクトバシラス属、ラクチカゼイバシラス属、ラクチプランチバシラス属、ラクチラクトバシラス属、リギラクトバシラス属、レビラクトバシラス属、リモシラクトバシラス属、エンテロコッカス属、ラクトコッカス属、ストレプトコッカス属、スタフィロコッカス属、ビフィドバクテリウム属等に属する乳酸菌が挙げられる。
【0028】
ラクチカゼイバシラス属乳酸菌としては、例えば、ラクチカゼイバシラス カゼイ(Lacticaseibacillus casei)、ラクチカゼイバシラス パラカゼイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバシラス ラムノサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)が挙げられる。ラクトバシラス属乳酸菌としては、例えば、ラクトバシラス ガゼリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバシラス パラガゼリ(Lactobacillus paragasseri)が挙げられる。ラクトコッカス属乳酸菌としては、例えば、ラクトコッカス ラクチス(Lactococcus lactis)、ラクトコッカス クレモリス(Lactococcus cremoris)が挙げられる。レビラクトバシラス属乳酸菌としては、例えば、レビラクトバシラス ブレビス(Levilactobacillus brevis)が挙げられる。前記エンテロコッカス属乳酸菌としては、例えば、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス フェシウム(Enterococcus faecium)が挙げられる。
【0029】
タンパク質としては、例えば、ラクトフェリンが挙げられ、ペプチドとしては、例えば、コラーゲンペプチド、エラスチンペプチド、プラセンタ由来ペプチドが挙げられる。
【0030】
これら生理活性成分のうち、ルイボスエキス、パッションフルーツ種子抽出物、マンゴスチンエキス、トマト抽出物、GABA、ピセアタンノール、グルコシルセラミド、ビタミン、アスタキサンチン、乳酸菌(ラクチカゼイバシラス属、ラクトコッカス属)、コラーゲンペプチド、エラスチンペプチド、プラセンタ由来ペプチド、及びラクトフェリンから選ばれる少なくとも1つが好ましい。これらは、オリーブ抽出物と併有することにより、肌質改善効果をより向上させることが期待される。
【0031】
-崩壊剤-
崩壊剤としては、例えば、セルロース誘導体、デンプン及びその誘導体が挙げられる。
【0032】
セルロース誘導体としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース(カルメロース)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(カルメロースナトリウム、CMC-Na)、カルボキシメチルセルロースカルシウム(別名:カルメロースカルシウム、CMC-Ca)、クロスカルメロースナトリウム、クロスリンクドインソルブルポリビニルピロリドン、クロスポビドン等のセルロース誘導体が挙げられ、これらのうち、崩壊性がより向上する観点から、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムが好ましい。
【0033】
デンプンは、天然由来でも人工的に製造されたものでもよく、例えば、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、タピオカデンプンが挙げられる。デンプンの誘導体としては、例えば、部分アルファ化デンプン、アルファ化デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、アセチル化酸化デンプン、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、酢酸デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプン、リン酸化デンプン、リン酸架橋デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプンが挙げられる。
デンプン及びその誘導体は、崩壊性がより向上する観点から、トウモロコシを起源とするデンプン及びその誘導体が好ましい。トウモロコシを起源とするデンプン及びその誘導体として具体的には、トウモロコシデンプン、部分アルファ化デンプン、アルファ化デンプン、アセチル化デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプン、リン酸化デンプン、リン酸架橋デンプン、酸化デンプン、オクテニルコハク酸化デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプンが好ましく、トウモロコシデンプン、部分アルファ化デンプン、アルファ化デンプンがより好ましく、部分アルファ化デンプンがより一層好ましい。
【0034】
崩壊剤は、セルロース誘導体、及び、デンプン又はその誘導体のいずれか1つを含むことが好ましく、少なくとも2つを含むことがより好ましく、すべてを含むことが更に好ましい。セルロース誘導体、及び、デンプン又はその誘導体は、それぞれ、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
【0035】
セルロース誘導体を含む場合、その含有量は、食品組成物全質量に対し、通常、1質量%以上である。これにより、崩壊性が向上し、崩壊時間を早めることができる。上限は、通常、3質量%以下、好ましくは、2.5質量%以下、より好ましくは、2質量%以下である。これにより、成形性が向上し得る。従って、セルロース誘導体の含有量は、通常、1~3質量%、好ましくは、1~2.5質量%、より好ましくは、1~2質量%である。
【0036】
デンプン又はその誘導体を含む場合、その含有量は、食品組成物全質量に対し、通常、3質量%以上、好ましくは、7質量%以上、より好ましくは、8質量%以上である。これにより、崩壊性が向上し、崩壊時間を早めることができる。上限は、通常、50質量%以下、好ましくは、19質量%以下、より好ましくは、15質量%以下である。これにより、錠剤の硬度が高まり、成形性が向上し得るので、錠剤成型後の割れ欠けが生じ難くなる。従って、デンプン又はその誘導体の含有量は、通常、3~50質量%、好ましくは、7~19質量%、より好ましくは、8~15質量%である。
【0037】
また、食品組成物が錠剤である場合、崩壊剤の1錠中の含有量は、通常、2~300mg、好ましくは2~200mg、より好ましくは2~100mgである。前記下限以上、上限以下とする理由は、前記含有量(質量%)と同様である。
【0038】
-賦形剤-
賦形剤を含有することにより、成形性を向上させることができる。賦形剤としては、例えば、乳糖、乳糖造粒物、グラニュウ糖、マンニトール、結晶セルロース(別名:微結晶セルロース)、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、精製白糖、ブドウ糖、含水ブドウ糖、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、L-システイン、メチルエチルセルロースが挙げられ、成形性をより向上させる観点から、結晶セルロース、乳糖、乳糖造粒物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、メチルエチルセルロースが好ましい。
【0039】
賦形剤を含む場合、その含有量は、食品組成物全質量に対し、通常、20質量%以上、好ましくは、25質量%以上、より好ましくは30質量%以上である。これにより、成形性がより向上し得る。上限は、通常、80質量%以下、好ましくは、70質量%以下、より好ましくは、60質量%以下である。これにより、錠剤のサイズが大きくなり過ぎず、服用性が向上し得る。従って、賦形剤の含有量は、通常、20~80質量%、好ましくは、25~70質量%、より好ましくは、30~60質量%である。
また、食品組成物が錠剤である場合、賦形剤の1錠中の含有量は、通常、20~800mg、好ましくは50~400mg、より好ましくは80~200mgである。前記下限以上、上限以下とする理由は、前記含有量(質量%)と同様である。
【0040】
-流動化剤-
流動化剤を含有することにより、粉体粒子間の付着を抑制し流動性を促進できる。流動化剤としては、例えば、二酸化ケイ素(例、微粒二酸化ケイ素(微粒酸化ケイ素、シリカ)、軽質無水ケイ酸、含水微粉ケイ酸、含水二酸化ケイ素)、ケイ酸カルシウム、タルクが挙げられ、粉体流動性をより向上させる観点から、微粒二酸化ケイ素が好ましく、多孔性の微粒二酸化ケイ素がより好ましい。
【0041】
流動化剤を含む場合、その含有量は、食品組成物全質量に対し、通常、1質量%以上である。これにより、打錠時の粉の供給等の製造性が向上し得る。上限は、通常、3質量%以下、好ましくは、2.5質量%以下、より好ましくは、2質量%以下である。これにより、成形性が向上し得る。従って、流動化剤の含有量は、通常、1~3質量%、好ましくは、1~2.5質量%、より好ましくは、1~2質量%である。
【0042】
-滑沢剤-
滑沢剤を含有することにより、摩擦を低減でき、これにより打錠機への粉体粒子付着を抑制できる。滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸金属塩(例、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム)、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステルが挙げられ、打錠機への付着防止、打錠障害(例えば、バインディング、スティッキング、ピッキング)を抑制させ得る観点から、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムが好ましい。
【0043】
滑沢剤を含む場合、その含有量は、食品組成物全質量に対し、通常、1質量%以上である。これにより、打錠障害を抑制できる。上限は、通常、3質量%以下、好ましくは、2.5質量%以下、より好ましくは、2質量%以下である。これにより、錠剤硬度を向上させ(脆くなり難い)、コーティング層の剥離が生じ難くなり得る。従って、滑沢剤の含有量は、通常、1~3質量%、好ましくは、1~2.5質量%、より好ましくは、1~2質量%である。
【0044】
-結合剤-
結合剤を含有することにより、錠剤の割れ欠けを抑制できる。結合剤としては、例えば、アラビアゴム、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールが挙げられ、錠剤の割れ欠けをより抑制させ得る観点から、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。
結合剤を含む場合、その含有量は、食品組成物全質量に対し、通常、0.01質量%以上である。これにより、錠剤の割れ欠けを抑制できる。上限は、通常、50質量%以下である。これにより、崩壊遅延が生じ難くなり得る。従って、結合剤の含有量は、通常、0.01~50質量%である。
【0045】
-界面活性剤-
界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンヒマシ油誘導体等の非イオン系界面活性剤が挙げられる。
【0046】
-着色剤-
着色剤としては、例えば、タール色素、カラメル、ベンガラ、酸化チタン、リボフラビン類、緑茶抽出物、銅クロロフィリンナトリウム、食用黄色5号,食用黄色4号,食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102,食用青色2号、食用青色1号、食用黄色4号、食用黄色4号、オレンジエッセンス、カラメル、カルミン、β-カロテンの食用色素、アルミニウムレーキ等の食用レーキ色素銅クロロフィリンナトリウム、銅クロロフィル、リボフラビン等の有機顔料、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、黒酸化鉄、褐色酸化鉄、酸化亜鉛、金箔、薬用炭等の無機顔料、カンゾウエキス、アセンヤクタンニン末、ウコン抽出液、緑茶末等の動植物抽出物が挙げられる。
【0047】
-矯味剤-
矯味剤としては、例えば、甘味剤(例、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチン、アセスルファムカリウム、スクラロース、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、還元水飴、還元パラチノース、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール等の人工甘味料)、香料(例、レモン、レモンライム、オレンジ、l-メントール、ハッカ油、ペパーミントミクロンX-8277-T、ドライコート抹茶#421、リモネン、ハッカ油、ミント油、ライチ油、オレンジ油、レモン油等の植物精油)、酸味料(例、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸)、緑茶末が挙げられる。
【0048】
-吸着剤-
吸着剤としては、例えば、特殊ケイ酸カルシウム(フローライト(登録商標))が挙げられる。
【0049】
-帯電防止剤、及び崩壊延長剤-
帯電防止剤、及び崩壊延長剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸が挙げられる。
【0050】
-皮膜形成成分-
被膜形成成分は、コーティング錠剤を構成するコーティング膜を形成する成分である。皮膜形成成分としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース等のセルロース類;シェラック、プルラン、アラビアゴム等の天然物質;カルボキシビニルポリマー、ポビドン、クロスポビドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー(例えば、オイドラギッド(登録商標)E、オイドラギッド(登録商標)RS)、メタクリル酸コポリマー(例えば、オイドラギット(登録商標)L30-55)が挙げられる。中でも、オリーブ抽出物の、主にヒドロキシチロソールに起因する苦味や渋み、においの抑制、服用性の向上を効率よくなし得、かつ、ヒドロキシチロソールの経時安定性を発揮し得る観点から、セルロース類、天然物質が好ましく、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、シェラックがより好ましい。
【0051】
-可塑剤-
可塑剤は、コーティング錠剤を構成するコーティング膜を形成する成分である。可塑剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、トリアセチン、クエン酸トリエチル、グリセリン脂肪酸エステル等の合成エステル、カルナウバロウが挙げられる。中でも、オリーブ抽出物の、主にヒドロキシチロソールに起因する苦味や渋み、においの抑制、服用性の向上を効率よくなし得、かつ、ヒドロキシチロソールの経時安定性を発揮し得る観点から、多価アルコールが好ましく、グリセリンがより好ましい。
【0052】
-他の成分-
他の成分としては、例えば、単糖類、二糖類以上の多糖類(例えば、砂糖、麦芽糖、キシロース、異性化乳糖、オリゴ糖、スクロース、トレハロース)、糖アルコール(例えば、パラチニット(登録商標)、還元澱粉糖化物)、水飴、異性化糖類、酸化チタン、酸化鉄等の顔料、着色料、香料、セタノール、ラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。以上、生理活性成分以外の他の例は、錠剤を例に説明したが、本発明の食品組成物の剤型は、後述の通り錠剤に限定されない。例えば、食品組成物を液剤とする場合、基剤(水)、糖及び/又は糖アルコール(果糖ぶどう糖液糖、エリスリトール等)、酸味料(上述と同様)、甘味剤(上述と同様)、果汁(アップル果汁、オレンジ果汁、トマト果汁等)、酸化防止剤(ビタミンC等)、着色剤(上述と同様)、香料(上述と同様)が挙げられる。また、食品組成物を飲用時に水に溶かす粉末剤とする場合、例えば、酸味料(上述と同様)、甘味剤(上述と同様)、賦形剤(リン酸カルシウム、上述の賦形剤)、着色剤(上述と同様)、香料(上述と同様)が挙げられる。
【0053】
〔2.食品組成物の摂取条件〕
食品組成物は、食品として利用でき、その摂取条件は特に限定されないが、一例を挙げると以下のとおりである。
【0054】
〔2.1 食品組成物の摂取量〕
食品組成物の摂取量は、オリーブ抽出物以外の他の成分(例えば、オリーブ抽出物以外の生理活性成分、崩壊剤、糖アルコール)も考慮し、服用性や使用性等から任意に設定可能であるが、食品組成物がヒドロキシチロソールを含む場合、食品組成物の1日あたりの摂取目安量は、ヒドロキシチロソールの量として、30mg以上が好ましく、34mg以上がより好ましく、36mg以上がさらに好ましい。これにより、肌質改善効果を発揮できる。
【0055】
〔2.2 摂取回数及び摂取タイミング〕
摂取回数は、1日1回でもよく、2回以上でもよい。2回以上の場合、2回以上の摂取量が上記1日当たりの摂取量となるように調整すればよく、各回の摂取量が同量でも異なる量でもよい。摂取タイミングに特に制限はなく、1日のうちいつ摂取してもよいが、本発明の効果がより発揮されるため、就寝前に摂取することが好ましい。また、毎日、隔日、又は不定期に摂取してもよく、毎日摂取することが好ましい。服用期間は、長期間が好ましく、2週間以上が好ましく、4週間以上がより好ましく、8週間以上がさらに好ましい。
【0056】
〔2.3 摂取対象者〕
食品組成物の摂取対象者は特に限定されない。例えば、肌の弾力性が低い対象者、肌のコラーゲン密度が低い対象者、毛穴が気になる対象者、肌のくすみを感じている対象者、肌の粉ふきを感じている対象者が挙げられる。また、特段の問題のない対象者であっても、肌質改善又は維持を目的として日常的に摂取することができる。また、年齢、性別も特に限定されない。
【0057】
〔3.食品組成物の形態〕
本発明の食品組成物は、例えば、健康食品、機能性表示食品、栄養補助食品(サプリメント)、特定保健用食品、医療用食品、病者用食品、乳児用食品、介護用食品、高齢者用食品等の飲食品として利用できる。中でも、健康食品、機能性表示食品が好ましい。また、加工食品として、又は加工食品に肌質改善機能を付与するための原料として用いてもよい。既知の食品としては、例えば、飲料(清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、粉末飲料、果実飲料、乳飲料、ゼリー飲料等)、菓子類(クッキー、ケーキ、ガム、キャンディー、タブレット、グミ、饅頭、羊羹、プリン、ゼリー、アイスクリーム、シャーベット等)、水産加工品(かまぼこ、ちくわ、はんぺん等)、畜産加工品(ハンバーグ、ハム、ソーセージ、ウィンナー、チーズ、バター、ヨーグルト、生クリーム、チーズ、マーガリン、発酵乳等)、スープ(粉末状スープ、液状スープ等)、主食類(ご飯類、麺(乾麺、生麺)、パン、シリアル等)、調味料(マヨネーズ、ショートニング、ドレッシング、ソース、たれ、しょうゆ等)が挙げられる。
【0058】
食品組成物の剤形の例としては、液状(液剤)、シロップ状(シロップ剤)、錠剤、カプセル状(カプセル剤)、粉末状(顆粒、細粒)、ソフトカプセル状(ソフトカプセル剤)、固形状、半液体状、クリーム状、ペースト状が挙げられ、これらのうち錠剤が好ましく、コーティング錠剤がより好ましい。
【0059】
〔3.1 コーティング錠剤〕
コーティング錠剤は、通常、素錠及びその表面を被覆するコーティング層を有するが、通常、素錠中にオリーブ抽出物を含有する。
【0060】
-素錠-
素錠は、少なくともオリーブ抽出物を含有し、上述のオリーブ抽出物以外の生理活性成分、崩壊剤、糖アルコール、賦形剤、流動化剤、滑沢剤、結合剤、矯味剤、着色剤、界面活性剤、吸着剤、帯電防止剤、崩壊延長剤、被膜形成成分、可塑剤、他の成分を含有することができる。素錠中における、これらの含有量は、上述と同様である。
【0061】
-コーティング層-
コーティング錠剤は、コーティング層を有することにより、オリーブ抽出物の、主にヒドロキシチロソールに起因する苦味や渋み、においを抑制でき、服用性を向上させ得る。コーティング層の構成成分としては、例えば、皮膜形成成分、可塑剤、その他成分が挙げられる。皮膜形成成分(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)の可塑剤(例えば、グリセリン)に対する比率は、通常、2以上、好ましくは、4以上、より好ましくは、8以上である。上限は、通常、20以下、好ましくは、10以下である。
【0062】
-コーティング率-
ヒドロキシチロソールに対するコーティング率(ヒドロキシチロソール含有質量に対するコーティング層の質量割合)は、通常、2質量%以上、好ましくは、5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。これにより、(A)成分の、主にヒドロキシチロソールに起因する苦味や渋み、においの抑制、服用性の向上を効率よくなし得る。上限は、通常、55質量%以下、好ましくは、30質量%以下、より好ましくは、23質量%以下である。これにより、コーティング障害(コーティング錠同士の付着やコーティングムラ)の発生、経時変色の発生を抑制でき、かつ、ヒドロキシチロソールの安定性を維持できる。従って、コーティング率は、通常、2~55質量%、好ましくは、5~30質量%、より好ましくは、10~23質量%である。
【0063】
〔4.食品組成物の製造方法〕
食品組成物の製造方法は、常法に従えばよく、特に制限はない。食品組成物がコーティング錠剤である場合、例えば、素錠を調製後、素錠の表面にコーティング層を形成する方法により製造できる。素錠の製造方法としては、例えば、必須成分及び任意成分を混合し、打錠することにより、得ることができる。打錠の方法としては、混合した必須成分及び任意成分の原料を混合してそのまま打錠する直接打錠法、混合した必須成分及び任意成分の原料の全て、又は一部の混合物を造粒して顆粒にしてから打錠する間接打錠法(顆粒打錠法)が挙げられ、直接打錠法が好ましい。前記顆粒を得る造粒の方法としては、例えば、湿式造粒法、乾式造粒法が挙げられる。コーティング層の形成は、常法によりコーティング処理すればよいが、例えば、被コーティング物に、コーティング溶液を噴霧し、加温により乾燥させることにより、被コーティングの表面にフィルム化させる方法が挙げられる。コーティング層を含有するコーティング溶液は、適宜加温することができ、温度は30~80℃が好ましい。コーティング溶液の添加速度は、乾燥風量1m/minに対し、1~5g/minが好ましい。その他、コーティング溶液に、被コーティング物を浸漬して乾燥させるディップコートの方法をとることも可能である。乾燥はコーティング製剤中の水分量が設計量以下(通常5%以下)になるまで乾燥させることが好ましく、乾燥温度は40~80℃が好ましい。コーティング機は特に限定されず、パンコーティング機、流動層コーティング機、転動コーティング機等を用いることができる。
【0064】
〔5.肌質改善用食品組成物〕
食品組成物は、肌質改善用の食品組成物として利用できる。
【0065】
本明細書において「肌質」とは、毛穴目立ち、肌の粉吹き、弾力、肌のくすみ、及びコラーゲン密度が挙げられる。毛穴目立ち及び肌のくすみは、肌のたるみ及び弾力が毛穴形状へもたらす影響(頬部たるみと毛穴形状の変化、日本香粧品学会誌 Vol.40,No.1,pp.1-7(2016))、さらに皮膚弾力の変化がもたらす皮膚表面の凹凸による影の影響(化粧品用語集|ライブラリー|日本化粧品技術者会SCCJ(sccj-ifscc.com))によることが知られている。また、肌の粉吹きは、肌の乾燥や、ターンオーバーと呼ばれる肌表面の角質が剥がれ落ちて新しい細胞と入れ替わる代謝サイクルの乱れが原因で、皮膚表面に古い角層が蓄積することで生じることが知られている。本発明の食品組成物の摂取により、肌のたるみ、弾力が改善でき、かつ、肌の水分保持能、具体的には角層水分量の維持、経皮水分蒸散の抑制、及びターンオーバーの改善により、粉吹き改善実感がもたらされると考えられる。
【0066】
肌質の改善効果は、皮膚を吸引した際の伸展・退縮後の皮膚高さ復元率、又は肌のコラーゲン密度を測定することで評価できる。皮膚高さ復元率は、Courage+Khazaka electronic社製Cutometer(登録商標)等の皮膚粘弾性測定装置を用いて測定できる。コラーゲン密度は、Cortex Technology社製DermaScan(登録商標)等の超音波画像装置を用いて測定できる。
【実施例0067】
以下、本発明を実施例により説明する。以下の実施例は、本発明を限定するものではない。
【0068】
実施例1〔ヒドロキシチロソールによる肌質改善効果〕
<1.素錠の製造>
実施例で用いた被験食品として、表1に示す組成となる素錠を製造した。素錠の製造方法は、以下のとおりとした。
オリーブ葉抽出物(オラリス、三菱ケミカルフーズ(株)製)及び微粒酸化ケイ素(カープレックス(登録商標)FPS-500、DSL.ジャパン(株)製)を混合した後、結晶セルロース(セオラス(登録商標)UF-F702、旭化成(株)製)、カルボキシメチルセルロースカルシウム(E.C.G(登録商標)-FA、ニチリン化学工業(株)製)、部分アルファ化デンプン(PCS(登録商標)-FC-30、旭化成(株)製)、粉末還元麦芽糖水飴(粉末マルチトール G-3、三菱商事フードテック(株)製)を添加混合した。各原料は、混合前に篩過(30M)してから用いた。次いでステアリン酸カルシウム(ステアリン酸カルシウム、太平化学産業(株)製)を添加混合し、直接打錠法により平均9kgNで打錠した。すなわち、素錠の錠剤硬度が8kgf以上20kgf未満となるように調整して打錠した。打錠には、ロータリー式打錠機(FETTE2090、FETTE社製)を用いた。
【0069】
表1記載のコーティング剤を水に溶解し、コーティング液(5.56%溶液)を調製した。すなわち、コーティング剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトローズSE-06、信越化学工業(株)製)、グリセリン(食品添加物グリセリン、阪本薬品工業(株)製)を用い、ヒドロキシプロピルメチルセルロース:グリセリン=9:1の配合にて、5.56%溶液を調整した。別途、コーティング機(HICOATER(登録商標)、フロイント産業(株)製)に素錠10kgを仕込み、給気温度55℃、回転数3rpmで予熱後、回転数11rpm・噴霧液速度10g/minでコーティング液を噴霧した。噴霧終了後、排気温度56℃まで乾燥し、コーティングを終了した。
【0070】
【表1】
【0071】
[表1の脚注]
*:オラリス lot.9x05のヒドロキシチロソール含有量:22.2%
**:オリーブ葉抽出物の含有量、含有割合、1日摂取量のカッコ内の数値は、ヒドロキシチロソールの量を表す。
【0072】
<2.肌質状態の検査及びアンケート>
健常成人20名(男女比=14:6、20名の平均年齢±標準偏差:35.3±9.1)に、被験食品として<素錠の製造>で製造したヒドロキシチロソール18mg/粒を含む製剤を1日2粒、8週間継続摂取させた。摂取前、並びに摂取開始4週間後、及び摂取開始8週間後に、下記の肌質状態の検査及びアンケートを実施した。
【0073】
<2.1弾力性の検査>
-弾力性の検査方法-
発汗の影響を受けないように温度21℃、湿度50%の恒温恒湿室で測定を行った。被験者は、測定前に洗顔剤((株)資生堂、洗顔専科(登録商標)パーフェクトホイップ)を用い、体温に近い温度(35~37℃)のお湯で洗顔し、ペーパータオルで水分を拭き取った。洗顔後20分間安静にし、室内環境に馴化した。各被験者の頬の評価部位について、以下の測定方法に従い弾力性、コラーゲン密度を評価した。
評価部位は、正方形(3cm×3cm)の開口部を有する長方形の透明シート(図1参照)を用意し、短辺を被験者の口側に、長辺を被験者の目尻に合わせるように被験者の頬に枠を当て、開口部の四隅にアイブローで点を描いた。4点に囲まれた部分を評価部位とした。
【0074】
-弾力性の測定方法-
Courage+Khazaka electronic社製Cutometer(登録商標)を用いてプローブ(測定開口部径2mm)を評価部位にあて、皮膚の弾力性を特定した(吸引圧力:350mPa、吸引時間:2秒)。指標として伸展・退縮後の皮膚高さ復元率(Ur/Ue、Ur/Uf、Uf-Ua)を用い、評価部位に対して繰り返し3回測定し、平均値を各被験者の弾力性の値とした。弾力性の指標の詳細は以下のとおりである。
【0075】
R5:Ur/Ue(瞬間的回復量/瞬間的変位量)、瞬間的な伸びと、その回復の変位量比率
R7:Ur/Uf(瞬間的回復量/トータル変位量)、瞬間的回復率
R1:Uf-Ua(トータル変位量-トータル回復量)、皮膚の振幅及び伸び(値が低い程、弾力性は良好)
【0076】
<2.2コラーゲン密度>
Cortex Technology社製、超音波画像装置DermaScan(登録商標)を用いて、皮膚のコラーゲン密度を測定した。ジェル(RohdeProduits社製DANE-GEL R1)をつけたプローブを評価部位にあてた後、画像を1回撮影し、得られた画像を用いて解析した。指標として表層から1.8mmまでのintensity(コラーゲン密度を反映)を用いた。
【0077】
<2.3肌質状態のアンケート>
「毛穴が気にならないか」、「肌にくすみがないか」、及び「肌に粉吹きがないか」、の肌質に関する項目について効果実感の度合いを、以下に示す1~6段階で被験者が評価し、書面回答を得た。
【0078】
-回答選択肢-
1:全く当てはまらない
2:ほとんど当てはまらない
3:あまり当てはまらない
4:少し当てはまる
5:かなり当てはまる
6:非常に当てはまる
【0079】
表2に、各評価の結果(被験食摂取開始前、摂取開始4週後、摂取開始8週後のそれぞれの測定値(被験者全員の平均値)、摂取開始前に対する摂取後各時点での変化率)、t検定による統計解析の結果を示した。
【0080】
【表2】
【0081】
[表2の脚注]
摂取前の値と比較したt検定
*:p<0.05
**:p<0.01
【0082】
弾力の各評価については、被験食摂取4週間後から弾力性の向上効果が確認でき、8週間後には顕著な向上効果が確認できた。また、アンケートにおいても被験食摂取4週間後から毛穴が気にならないこと、肌くすみのなさについて効果が確認でき、8週間後には肌に粉吹きがないことも含め、顕著な効果が確認できた(表2)。これらの結果から、オリーブ抽出物の摂取により、肌質を良好に改善できること、被験者の満足感も高いことが分かった。
【0083】
実施例2、3及び比較例1〔セロトニン5-HT2A受容体抑制効果〕
ヒドロキシチロソールのセロトニン5-HT2A受容体抑制効果を、細胞内Ca2+蛍光測定法により評価した。
【0084】
96ウェルプレートへ5HT2A強制発現細胞(HTS082RTA 5HT2A Ready-to-assay Cells)を所定量播種し、37℃、二酸化炭素濃度5%のインキュベーターにて24時間静置培養した。24時間培養後培地を抜き、Wash Bufferで2回洗浄後、蛍光プローブ(Ca2+感受性蛍光指示薬)を含有するLoading Bufferを各ウェルへ100μLずつ添加し、37℃、二酸化炭素濃度5%のインキュベーターにて1時間静置した。その後、再びWash Bufferで2回洗浄し、Recording Buffer 100μLに置換して測定サンプルとした。セロトニン5-HT2A受容体抑制効果の評価に使用した前記Buffer試薬を表3に示した。蛍光測定には、FlexStation(登録商標) 3 Multi-Mode Microplate Reader(モレキュラーデバイス社製)を使用した。測定開始と同時にセロトニン・ヒドロキシチロソール混合溶液(表4)が25μLずつサンプルの各ウェルへ自動添加されるように設定し、ヒドロキシチロソールの5-HT2A受容体活性抑制効果を蛍光強度で評価した(励起波長:485nm、蛍光波長:525nm)。セロトニン及びヒドロキシチロソール混合溶液の組成及び測定結果を表4に示す。
【0085】
【表3】
【0086】
【表4】
【0087】
[表4の脚注]
※実施例及び比較例のヒドロキシチロソール濃度は、Recording Buffer 100μL及びセロトニン・ヒドロキシチロソール混合溶液25μL合計量に対する濃度である。
【0088】
【表5】
【0089】
表5より、比較例1よりも実施例2及び3の相対蛍光強度が低く、実施例2よりも実施例3の相対蛍光強度が低かったことから、ヒドロキシチロソールにより、濃度依存的にセロトニン5-HT2A受容体活性が抑制されたことが分かった。
【0090】
以上の実施例の結果は、オリーブ抽出物の摂取により、肌質を改善し得ることを示している。
図1