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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096843
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】食品加熱調理提供機
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20230630BHJP
   G07F 11/70 20060101ALI20230630BHJP
【FI】
A47J37/06 311
G07F11/70 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212860
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】517222731
【氏名又は名称】株式会社イーライン
(74)【代理人】
【識別番号】100161300
【弁理士】
【氏名又は名称】川角 栄二
(72)【発明者】
【氏名】谷口 佳陽
【テーマコード(参考)】
3E046
4B040
【Fターム(参考)】
3E046AA01
3E046BA06
3E046GA08
4B040AA01
4B040AA08
4B040AB02
4B040AC03
4B040AD04
4B040AE05
4B040CA17
4B040EA20
4B040EB20
4B040ED04
4B040ED10
(57)【要約】
【課題】 食品に加熱ムラが生じない食品加熱調理提供機を提供することを課題とする。
【解決手段】 内部に貯蔵されている食品を顧客の要求に応じて加熱調理し顧客に提供する食品加熱調理提供機1であって、その基端31aが片持ち状に支持されており、その上面に食品Fが置かれる載置板31と、載置板31に置かれた食品Fを上下から加熱する加熱手段41,42と、食品Fが加熱されているあいだ、載置板31の上面が水平となるよう載置板31の先端31bを支える支持手段51とを備えることを特徴とする。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に貯蔵されている食品を顧客の要求に応じて加熱調理し顧客に提供する食品加熱調理提供機であって、
その基端が片持ち状に支持されており、その上面に前記食品が置かれる載置板と、
前記載置板に置かれた前記食品を上下から加熱する加熱手段と、
前記食品が加熱されているあいだ、前記載置板の前記上面が水平となるよう前記載置板の先端を支える支持手段とを備える
ことを特徴とする食品加熱調理提供機。
【請求項2】
前記加熱手段が、前記載置板より下に位置する下部加熱手段を有し、
前記支持手段が、前記下部加熱手段から突出して前記載置板の先端を下から支える支持突起を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の食品加熱調理提供機。
【請求項3】
前記載置板の先端の縁辺が平面視で凹状に形成されており、
前記支持手段が、前記縁辺の両端をそれぞれ下から支える二つの前記支持突起を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の食品加熱調理提供機。
【請求項4】
前記食品が貯蔵されているあいだ、前記食品はその直下に金網が敷かれた状態で容器に収容されているとともに、
前記食品が加熱されているあいだ、前記食品はその直下に前記金網が敷かれた状態で前記載置板に置かれている
ことを特徴とする請求項3に記載の食品加熱調理提供機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を加熱調理して提供する食品加熱調理提供機に関する。
【背景技術】
【0002】
食品を内部で調理して顧客に提供する自動販売機の一つとして、ピザの自動販売機が知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の自動販売機は、ピザを冷凍貯蔵する冷凍庫、ピザを加熱するヒーターを内部に備え(特許文献1、図1,2,2A,2B参照)、冷凍されたピザを片持ちのブレードの上に載せ、上下からヒーターで加熱することで調理するよう構成されている(特許文献1、図3A,3B参照)。
【0003】
冷凍されたピザを加熱し、そのあと顧客に提供するには、自動販売機の内部でピザを移動させる必要がある。そのため特許文献1に記載の自動販売機では、トレーに収容されて冷凍されたピザを加熱するため、片持ちのブレードでピザをトレーからすくい取って、その状態で加熱する。ピザをトレーからすくい取る必要があるため、ブレードは薄い板から構成されている(特許文献1、図3,4参照)。
【0004】
特許文献1に記載の自動販売機では、片持ちのブレードの上に水分を含んだピザが載せられて、上下から加熱される(特許文献1、図3B参照)。そのため、実際にはピザの重量によりブレードがたわみ先端が下がる。この姿勢でピザが加熱されるため、上面があまり焼けない一方で下面が焼き過ぎとなるような、焼きムラが生じるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2011/045662号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記問題点を鑑みて、本発明は、食品に加熱ムラが生じない食品加熱調理提供機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、内部に貯蔵されている食品を顧客の要求に応じて加熱調理し顧客に提供する食品加熱調理提供機であって、その基端が片持ち状に支持されており、その上面に前記食品が置かれる載置板と、前記載置板に置かれた前記食品を上下から加熱する加熱手段と、前記食品が加熱されているあいだ、前記載置板の前記上面が水平となるよう前記載置板の先端を支える支持手段とを備えることを特徴とする食品加熱調理提供機である。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、食品に加熱ムラが生じない加熱調理提供機を提供することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記加熱手段が、前記載置板より下に位置する下部加熱手段を有し、前記支持手段が、前記下部加熱手段から突出して前記載置板の先端を下から支える支持突起を有することを特徴とする請求項1に記載の食品加熱調理提供機である。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、下部加熱手段に支持突起を設けることで食品を水平な姿勢で加熱でき、食品に加熱ムラが生じない食品加熱調理提供機を提供することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記載置板の先端の縁辺が平面視で凹状に形成されており、前記支持手段が、前記縁辺の両端をそれぞれ下から支える二つの前記支持突起を有することを特徴とする請求項2に記載の食品加熱調理提供機である。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、支持する箇所を少なくしつつ載置板の上面を水平に維持することが可能な食品加熱調理提供機を提供することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、前記食品が貯蔵されているあいだ、前記食品はその直下に金網が敷かれた状態で容器に収容されているとともに、前記食品が加熱されているあいだ、前記食品はその直下に前記金網が敷かれた状態で前記載置板に置かれていることを特徴とする請求項3に記載の食品加熱調理提供機である。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、食品が載置板と直接触れることがない食品加熱調理提供機を提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、食品に加熱ムラが生じない加熱調理提供機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る食品加熱調理提供機の全体を示す図であって、(a)は正面図であり、(b)は右側面図である。
図2】本発明の実施形態に係る食品加熱調理提供機における加熱調理の工程を説明するために図1の矢視A-Aを示す模式図であって、(a)は貯蔵されていた食品が貯蔵部から加熱調理部に移送された状態を示す図であり、(b)は食品がエレベータにより上に搬送され上部加熱手段の下に位置した状態を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る食品加熱調理提供機における加熱調理の工程を説明するために図1の矢視A-Aを示す模式図であって、(a)は容器に収容されている食品が載置板によりすくい取られた状態を示す図であり、(b)は食品が載置板に載せられて上下から加熱されている状態を示す図である。
図4図2,3における載置板を上から見て示す平面図である。
図5】本発明の実施形態に係る食品加熱調理提供機の下部加熱手段を説明する図であって、(a)は図3(b)の矢視B-Bを示す図であり、(b)は(a)の矢視C-Cを示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る食品加熱調理提供機において食品が容器に収容されている状態を示す図であって、(a)は食品を一部破断して上から見た図であり、(b)は側面から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明を適用した食品加熱調理提供機の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な実施形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0018】
〔実施形態〕
本発明の実施形態に係る食品加熱調理提供機について、図1~6に基づき説明する。図1は、本発明の実施形態に係る食品加熱調理提供機の全体を示す図であって、(a)は正面図であり、(b)は右側面図である。図2は、本発明の実施形態に係る食品加熱調理提供機における加熱調理の工程を説明するために図1の矢視A-Aを示す模式図であって、(a)は貯蔵されていた食品が貯蔵部から加熱調理部に移送された状態を示す図であり、(b)は食品がエレベータにより上に搬送され上部加熱手段の下に位置した状態を示す図である。図3は、本発明の実施形態に係る食品加熱調理提供機における加熱調理の工程を説明するために図1の矢視A-Aを示す模式図であって、(a)は容器に収容されている食品が載置板によりすくい取られた状態を示す図であり、(b)は食品が載置板に載せられて上下から加熱されている状態を示す図である。図4は、図2,3における載置板を上から見て示す平面図である。図5は、本発明の実施形態に係る食品加熱調理提供機の下部加熱手段を説明する図であって、(a)は図3(b)の矢視B-Bを示す図であり、(b)は(a)の矢視C-Cを示す図である。図6は、本発明の実施形態に係る食品加熱調理提供機において食品が容器に収容されている状態を示す図であって、(a)は食品を一部破断して上から見た図であり、(b)は側面から見た図である。
【0019】
本実施形態に係る食品加熱調理提供機1の基本的な構成について説明する。食品加熱調理提供機1は、内部に貯蔵されている食品を顧客の要求に応じて加熱調理し顧客に提供するものであり、図1に示すように、顧客が貨幣を投入してお釣りを受け取る貨幣投入返却部1a、顧客が商品を選択するなどの操作をする操作パネル1b、顧客に商品たる食品を提供する食品提供口1cを有する。なお、本実施形態に係る食品加熱調理提供機1は、食品としてピザを加熱調理して提供するよう構成されているが、任意の食品に適用可能である。
【0020】
食品加熱調理提供機1は、食品を貯蔵しておく貯蔵部20,20と、貯蔵された食品を加熱調理する加熱調理部10を有する。本実施形態では貯蔵部20には食品としてピザが冷凍貯蔵されている。顧客の要求(貨幣投入及び商品選択)に応じて貯蔵部20内に貯蔵されている食品が、加熱調理部10に移送され、そこで加熱調理された後、食品提供口1cから排出されて、顧客に提供される。これらの工程は特許文献1に記載の発明と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0021】
次に、食品が貯蔵部20から加熱調理部10内に移送されて加熱調理されるまでの工程について、図2,3に基づいて説明する。加熱調理部10の内部には、貯蔵部20から移送された食品Fを上下に搬送するエレベータE、エレベータEの上方において水平な姿勢で固定配置され食品Fを上から加熱する上部加熱手段41、食品Fを下から加熱する下部加熱手段42が設けられている。下部加熱手段42は、手前-奥方向に延びる回転軸を中心に回転するよう、加熱調理部10内でヒンジ結合され、90°回転でき、姿勢を変えることが可能となっている。下部加熱手段42は、水平に向いて上部加熱手段41と対向して食品Fを加熱する姿勢と(図3(b)参照)、鉛直に垂れ下がってエレベータEが上部加熱手段41に近接するのを許容する姿勢とを、選択可能となっている。なお、ヒンジ結合された下部加熱手段42の動き及びエレベータEの機能、並びに、食品Fを貯蔵部20から加熱調理部10に移送しエレベータEの上に置く動作については、特許文献1に記載の発明と同様であり、特許文献1の図1,2に示されているため、詳細な説明を省略する。
【0022】
図2(a)は、食品Fが貯蔵部20から移送され、エレベータEの上に置かれた状態を示している。図2(a)に示すように食品Fは、特許文献1に記載の発明と同様に容器Cに収容されているが(特許文献1、図6参照)、本発明の本実施形態では、食品Fの底と容器Cとの間に金網Mが介在する。容器Cは段ボールシートが折られて構成されている。金網Mの詳細については後述する。図2(a)に示す状態においては、食品Fは上部加熱手段41から十分に離れて下方に位置している。また下部加熱手段42は、エレベータEが上部加熱手段41に近接するのを許容する姿勢となっている(図示省略)。
【0023】
次に、エレベータEが上昇して、食品Fが上部加熱手段41に近接する(図2(b)参照)。なお、上部加熱手段41は、下に向けてテーパー状に広がる周壁41aを有しており、このとき食品Fは周壁41aに囲まれることになる。
【0024】
次に、載置板31が奥から手前に向けて移動し、食品Fをすくい取る(図3(a)参照)。このとき載置板31は、食品Fの直下に敷かれた円形の金網Mと容器Cとの間に差し込まれる。これにより、載置板31は食品Fと直接触れることはない。食品Fが金網Mを介して載置板31の上面に載った後、エレベータEは容器Cを載せた状態で下降する。なお、載置板31の動きについては後述する。
【0025】
エレベータEが十分に下降した後、前述のように加熱調理部10内でヒンジ結合されている下部加熱手段42が90°回転して水平に向き、食品Fを加熱する姿勢をとる(図3(b)参照)。このとき、食品Fは載置板31に載せられたまま上部加熱手段41と下部加熱手段42とで上下挟まれた状態となる。またこのとき上部加熱手段41の周壁41aの下端が下部加熱手段42とほぼ接するほど近づいているため、食品Fはほぼ密閉された環境で加熱される。すなわち、上部加熱手段41と下部加熱手段42は、食品Fを加熱する窯を構成している。
【0026】
ここで載置板31の構成について図4に基づき説明する。載置板31は薄い板状に形成されており、下部加熱手段42からの熱が食品Fに効率よく伝達するよう、複数の孔32,・・・,32が設けられている。載置板31は特許文献1に記載の発明と同様に、その基端31aが片持ち状に支持されアクチュエータ(図示省略)によって手前-奥方向に移動するよう構成されている。載置板31の移動の方式は特許文献1の図3,4に示す方式と同様である。
【0027】
載置板31の先端31bの縁辺31cは平面視で凹状に形成されている。そのため、縁辺31cの両端となる二つの縁辺端部31d,31dが、最も手前側に位置することになる。この形状により、図3(a)に示したように、載置板31を金網Mと容器Cとの間に差し込む際に、力が一か所に集中せず分散するため、スムーズに差し込むことができる。
【0028】
図3(b)に示すように、食品Fは金網Mを介して載置板31の上面に載置されており、食品Fの上には上部加熱手段41、下には下部加熱手段42が配置され、食品Fはこの姿勢で加熱される。ここで下部加熱手段42には、図3(b)及び図5(a),(b)に示すように、上に向けて突出する二つの支持突起51,51が設けられている。載置板31は先述の通り、基端31aで支持されているとともに、その先端31bが縁辺端部31dにおいて支持突起51により下から支えられる。これにより、載置板31は先端が垂れ下がらず、その上面が水平となる姿勢を維持することになる。載置板31は、基端31a、縁辺端部31d,31dの計三か所が支持されることで、その上面が水平となるよう規定される。
【0029】
なお、上部加熱手段41及び下部加熱手段42は、特許文献1に記載の発明と同様に、それらの内部に設けられたヒーターHがそれぞれ放射する赤外線により食品Fを加熱するよう構成されている。
【0030】
食品Fは加熱調理された後、図1に示す食品提供口1cから排出され、顧客に提供される。加熱調理された後、顧客に提供されるまでの工程は、特許文献1に記載の発明と同様であるため、説明を省略する。
【0031】
次に食品Fの直下に敷かれる金網Mについて、図6に基づき説明する。金網Mは平面視で円形であり、食品Fが貯蔵されているときから顧客に提供されるまで一貫して、食品Fの直下に敷かれている。図6(a),(b)に示すように、食品Fが容器Cに収容されている状態では、金網Mは食品Fと容器Cとの間に介在しており、この状態で載置板31が食品Fをすくい取る際には、金網Mごとすくい取る(図3(a)参照)。金網Mは網状であるため、赤外線を遮蔽せず、加熱を妨げることはない。また金網Mが常時食品Fの直下に存在するため、食品Fが載置板31と直接触れることはない。また、段ボールシートからなる容器Cに比べて金網Mは十分な剛性を有し、そのため容器Cの上に食品Fを長時間置いたとしても、金網Mのたわみは抑制される。
【0032】
〔変形例〕
上述の実施形態では、載置板31の先端を支えるのに、下部加熱手段42に支持突起51を設けて先端の二点を下から支えていたが、支持の方法はこれに限られず、先端の縁辺に沿って線状に支持することも可能である。また、下から指示することに変えて、例えば上部加熱手段41に載置板31の先端を掛けて支える部分を設け、そこで支持することも可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 食品加熱調理提供機
1a 貨幣投入返却部
1b 操作パネル
1c 食品提供口
10 加熱調理部
20 貯蔵部
31 載置板
31a 基端
31b 先端
31c 縁辺
31d 縁辺端部
32 孔
41 上部加熱手段(加熱手段)
41a 周壁
42 下部加熱手段(加熱手段)
51 支持突起(支持手段)
C 容器
E エレベータ
F 食品
H ヒーター
M 金網
図1
図2
図3
図4
図5
図6