(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023096850
(43)【公開日】2023-07-07
(54)【発明の名称】製氷装置
(51)【国際特許分類】
F25C 1/10 20060101AFI20230630BHJP
【FI】
F25C1/10 301B
F25C1/10 302D
F25C1/10 301Z
F25C1/10 303B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212869
(22)【出願日】2021-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】石水 昭夫
【テーマコード(参考)】
3L110
【Fターム(参考)】
3L110AA01
3L110AC03
(57)【要約】
【課題】規制部材が各回転位置から移動することを抑制することができる製氷装置を提供すること。
【解決手段】製氷装置1は、検氷レバー4の移動を規制するための規制機構6を有する。規制機構6は、フレーム3に回転可能に支持された規制部材60と、規制部材60に取り付けられた金属製の線バネ70と、フレーム3において規制部材60の軸部62と同心に形成された円弧の開口部81と、軸部62に沿った軸線方向から見た場合に規制部材60と重なる位置でフレーム3の外側面33aに設けられた突部82と、を備える。突部82は、規制部材60が第1回転位置6Aにあるときに線バネ70に接触して線バネ70を弾性変形させて規制部材60を開口部81の第1開口縁811に付勢し、規制部材60が第2回転位置6Bにあるときに線バネ70に接触して線バネ70を弾性変形させて規制部材60を開口部81の第2開口縁812に付勢する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製氷皿と、
前記製氷皿を支持する枠状のフレームと、
前記フレームの内周側で前記製氷皿の下方に溜まった氷の量を検出する検氷レバーと、
前記検氷レバーを第1位置から下方に駆動し、前記検氷レバーが第2位置より下方まで降下したときに前記製氷皿を駆動して氷を搬出させる駆動部と、
前記検氷レバーが前記第1位置と前記第2位置との間の規制位置よりも下方に移動することを規制するための規制機構と、を有し、
前記規制機構は、前記フレームに回転可能に支持された規制部材と、前記規制部材に取り付けられた金属製の線バネと、前記フレームにおいて前記規制部材の回転軸と同心に形成された円弧の開口部と、前記回転軸に沿った軸線方向から見た場合に前記規制部材と重なる位置で前記フレームの外側面に設けられた突部と、を備え、
前記規制部材は、前記フレームの外側に位置する本体部および前記本体部から突出して前記開口部を貫通して前記フレームの内側に延びる規制部を備え、前記規制部が前記開口部の周方向の一方の第1開口縁に当接する第1回転位置と、前記規制部が前記開口部の他方の第2開口縁に当接する第2回転位置との間を移動し、
前記突部は、前記規制部材が前記第1回転位置にあるときに前記線バネに接触して前記線バネを弾性変形させて前記規制部材を前記第1開口縁に付勢し、前記規制部材が前記第2回転位置にあるときに前記線バネに接触して前記線バネを弾性変形させて前記規制部材を第2開口縁に付勢し、
前記規制部は、前記規制部材が前記第1回転位置にあるときに前記第1位置から前記第2位置に向かう前記検氷レバーの軌道から外れ、前記規制部材が第2回転位置にあるときに前記規制位置に配置されて前記検氷レバーに当接可能となることを特徴とする製氷装置。
【請求項2】
前記回転軸の軸線回りの周方向において前記第1回転位置から前記第2回転位置に向かう方向を第1回転方向、その反対を第2回転方向とすると、
前記突部は、前記規制部材が前記第1回転位置と前記第2回転位置との間の第3回転位置よりも前記第1回転方向に位置する場合に前記線バネに接触して前記線バネを弾性変形させて前記規制部材を前記第2回転位置に向かって回転させ、前記規制部材が前記第3回転位置よりも前記第2回転方向に位置する場合に前記線バネに当接して前記線バネを弾性変形させて前記規制部材を前記第1回転位置に向かって回転させることを特徴とする請求項1に記載の製氷装置。
【請求項3】
前記突部は、その外周面に、前記回転軸から離隔する方向に向かって前記第1回転方向に延びる第1外周面部分と、前記第1外周面部分の外周側の端から前記回転軸に接近する方向に向かって前記第1回転方向に延びる第2外周面部分と、前記第1外周面部分の外周側の端と前記第2外周面部分の外周側の端とからなる稜線と、を備え、
前記第1外周面部分は、前記規制部材が前記第1回転位置にあるときに前記線バネに接触して前記線バネを弾性変形させ、
前記第2外周面部分は、前記規制部材が前記第2回転位置にあるときに前記線バネに接触して前記線バネを弾性変形させることを特徴とする請求項2に記載の製氷装置。
【請求項4】
前記稜線は、前記規制部材が前記第3回転位置にあるときに前記線バネに接触して前記線バネを弾性変形させることを特徴とする請求項3に記載の製氷装置。
【請求項5】
前記規制部材は、前記本体部の前記フレームと対向する面に、前記回転軸を囲む円弧リブを備え、
前記線バネは、前記第1回転方向に延びて前記回転軸から離隔する方向に湾曲する円弧
の第1バネ部分、前記第1バネ部分の端から前記回転軸の側に向かって前記第1回転方向に延びる第2バネ部分、前記第2バネ部分の端から外周側に向かって前記第1回転方向に延びる第3バネ部分、および前記第3バネ部分の端から第1回転方向に延びて前記回転軸から離隔する方向に湾曲する第4バネ部分を備え、
前記第1バネ部分と前記第4バネ部分とは、前記円弧リブを挟み、
前記第2バネ部分と前記第3バネ部分とは、前記周方向において、前記円弧リブの2つの開放端の間に位置し、
前記突部の前記第1外周面部分、前記第2外周面部分および前記稜線は、前記周方向において、前記円弧リブの2つの前記開放端の間に位置し、
前記第1外周面部分は、前記規制部材が前記第1回転位置にあるときに前記第2バネ部分に接触して前記線バネを弾性変形させ、
前記第2外周面部分は、前記規制部材が前記第2回転位置にあるときに前記第3バネ部分に接触して前記線バネを弾性変形させることを特徴とする請求項4に記載の製氷装置。
【請求項6】
前記稜線は、前記規制部材が前記第3回転位置にあるときに前記第2バネ部分と前記第3バネ部分とが交わる屈曲部に当接することを特徴とする請求項5に記載の製氷装置。
【請求項7】
前記本体部は、前記フレームと対向する対向面に、前記線バネの一方端を支持する第1バネ支持部と、他方端を支持する第2バネ支持部と、を備え、
前記線バネは、前記第1バネ支持部と前記第2バネ支持部とに架け渡されたときに、前記回転軸から外れた位置を直線状に延びることを特徴とする請求項4に記載の製氷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製氷皿の下方に存在する氷の量を検氷レバーで確認した後に、製氷皿から製造した氷を落下させる製氷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫に搭載される製氷装置は、特許文献1に記載されている。特許文献1の製氷装置は、製氷皿と、税氷皿を支持する樹脂製のフレームと、製氷皿の下方に位置する貯水容器に貯氷された氷の量を検出するための検氷部材と、を備える。フレームは枠状である。製氷皿および検氷部材は、フレームの内側に位置する。また、製氷装置は、検氷部材および製氷皿を駆動する駆動部を備える。駆動部は、検氷部材を、貯氷容器の上方に位置する第1位置から貯氷容器内の第2位置に向かって降下させる。また、駆動部は、検氷部材が第2位置よりも下方に移動した場合に、貯氷容器内の氷の量が少なくなったものとして、製氷皿を駆動する。製氷皿は、駆動部の駆動によって上下に反転する。これにより、製氷皿の氷は、貯氷容器に落下する。
【0003】
同文献の製氷装置は、製氷動作を停止させるための規制機構を備える。規制機構は、フレームに回転可能に支持された規制部材と、フレームにおいて、規制部材の回転軸と同心に形成された円弧のガイド溝と、を備える。規制部材は、フレームの外側に位置する本体部と、本体部から突出してガイド溝を貫通してフレームの内側に延びる規制部と、を備える。規制部材は、規制部がガイド溝の周方向の一方の第1開口縁に当接する第1回転位置と、規制部がガイド溝の他方の開口縁に当接する第2回転位置との間を回動する。規制部は、規制部材が第1回転位置にあるときに第1位置と第2位置との間を移動する検氷部材の軌道から外れて、検氷部材の下降を許容する。また、規制部は、規制部材が第2回転位置にあるときに第1位置と第2位置との間の規制位置で検氷部材に当接して、検氷部材の規制位置よりも下方への降下を規制する。規制部材を第2回転位置に配置すれば、検氷部材は規制位置よりも下降に到達しなくなる。これにより、製氷皿の氷が製氷皿から排出されることがなくなるので、製氷装置の製氷動作は停止する。
【0004】
規制部材の規制部には、内周側に突出する突部が設けられている。一方、フレームにおいるガイド溝の内周側の縁には、内周側に窪む第1保持溝および第2保持溝が設けられている。規制部材が第1回転位置に配置されたときに、突部が第1保持溝に嵌る。これにより、規制部材は、第1回転位置に保持される。また、規制部材が第2回転位置に配置されたときに、突部が第2保持溝に嵌る。これにより、規制部材は、第2回転位置に保持される。同文献では、フレームにおいて第1保持溝が設けられている第1腕部および第2保持溝が設けられている第2腕部は、ガイド溝の開口縁部分に設けられており、規制部材の回転軸に接近する方向に弾性変形可能である。したがって、規制部材が第1回転位置に配置される際に、第1腕部が内周側に撓んで、突部を第1保持溝に受け入れる。また、規制部材が第2回転位置に配置される際に、第2腕部が内周側に撓んで、突部を第2保持溝に受け入れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
規制部材をフレームに保持する際の規制部材とフレームとの係合は、突部が保持溝との
係合である。また、フレームにおいて保持溝が設けられている腕部は、突部から離隔する方向に弾性変形する。したがって、冷蔵庫で発生した振動などに起因して、突部と保持溝との係合が外れる場合がある。突部と保持溝との係合が外れると、規制部材は、第1回転位置および第2回転位置から周方向に移動可能になる。また、フレームは樹脂性なので、規制部材を第1回転位置から第2回転位置に移動させる動作を繰り返すと、弾性変形の繰り返しによって、保持溝を備える腕部が破損する場合がある。腕部が破損すると、規制部材は、第1回転位置および第2回転位置から移動可能になる。ここで、規制部材が第1回転位置から移動すると、規制部材の規制部が検氷部材の軌道上に進入して、検氷部材の降下が許容される可能性がある。
【0007】
以上の問題に鑑みて、本発明の課題は、第1回転位置または第2回転位置に配置された規制部材が、各回転位置から移動することを抑制することができる製氷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、製氷皿と、前記製氷皿を支持する枠状のフレームと、前記フレームの内周側で前記製氷皿の下方に溜まった氷の量を検出する検氷レバーと、前記検氷レバーを第1位置から下方に駆動し、前記検氷レバーが第2位置より下方まで降下したときに前記製氷皿を駆動して氷を搬出させる駆動部と、前記検氷レバーが前記第1位置と前記第2位置との間の規制位置よりも下方に移動することを規制するための規制機構と、を有し、前記規制機構は、前記フレームに回転可能に支持された規制部材と、前記規制部材に取り付けられた金属製の線バネと、前記フレームにおいて前記規制部材の回転軸と同心に形成された円弧の開口部と、前記回転軸に沿った軸線方向から見た場合に前記規制部材と重なる位置で前記フレームの外側面に設けられた突部と、を備え、前記規制部材は、前記フレームの外側に位置する本体部および前記本体部から突出して前記開口部を貫通して前記フレームの内側に延びる規制部を備え、前記規制部が前記開口部の周方向の一方の第1開口縁に当接する第1回転位置と、前記規制部が前記開口部の他方の第2開口縁に当接する第2回転位置との間を移動し、前記突部は、前記規制部材が前記第1回転位置にあるときに前記線バネに接触して前記線バネを弾性変形させて前記規制部材を前記第1開口縁に付勢し、前記規制部材が前記第2回転位置にあるときに前記線バネに接触して前記線バネを弾性変形させて前記規制部材を第2開口縁に付勢し、前記規制部は、前記規制部材が前記第1回転位置にあるときに前記第1位置から前記第2位置に向かう前記検氷レバーの軌道から外れ、前記規制部材が第2回転位置にあるときに前記規制位置に配置されて前記検氷レバーに当接可能となることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、規制部材が検氷レバーの降下を許容する第1回転位置に配置されたときに、フレームに設けられた突部は、規制部材に取り付けられた線バネに接触して線バネを弾性変形させて規制部材をフレームにおける開口部の第1開口縁に付勢する。すなわち、規制部材は、第1回転位置に配置されたときに、弾性変形により線バネが発揮する形状復帰力によって第1開口縁に付勢される。したがって、振動などに起因して、規制部材が第1回転位置から移動することを抑制することができる。また、規制部材が検氷レバーの降下を阻止する第2回転位置に配置されたときに、フレームに設けられた突部は、規制部材に取り付けられた線バネに接触して線バネを弾性変形させて規制部材をフレームにおける開口部の第2開口縁に付勢する。すなわち、規制部材は、第2回転位置に配置されたときに、弾性変形により線バネが発揮する形状復帰力によって第2開口縁に付勢される。したがって、規制部材が第2回転位置から移動することを抑制することができる。また、規制部材を付勢するのは、金属製の線バネである。したがって、線バネが弾性変形を繰り返した場合でも、樹脂部材が弾性変形を繰り返す場合と比較して、破損し難い。よって、第1回転位置および第2回転位置に配置された規制部材が、これらの回転位置から移動することを抑制することができる。
【0010】
本発明において、前記回転軸の軸線回りの周方向において前記第1回転位置から前記第2回転位置に向かう方向を第1回転方向、その反対を第2回転方向とすると、前記突部は、前記規制部材が前記第1回転位置と前記第2回転位置との間の第3回転位置よりも前記第1回転方向に位置する場合に前記線バネに接触して前記線バネを弾性変形させて前記規制部材を前記第2回転位置に向かって回転させ、前記規制部材が前記第3回転位置よりも前記第2回転方向に位置する場合に前記線バネに当接して前記線バネを弾性変形させて前記規制部材を前記第1回転位置に向かって回転させるものとすることができる。このようにすれば、規制部材が第1回転位置から第3回転位置の側に移動した場合でも、第2回転位から第3回転位置の側に移動した場合でも、規制部材を第1回転位置または第2回転位置に戻すことができる。
【0011】
本発明において、前記突部は、その外周面に、前記回転軸から離隔する方向に向かって前記第1回転方向に延びる第1外周面部分と、前記第1外周面部分の外周側の端から前記回転軸に接近する方向に向かって前記第1回転方向に延びる第2外周面部分と、前記第1外周面部分の外周側の端と前記第2外周面部分の外周側の端とからなる稜線と、を備え、前記第1外周面部分は、前記規制部材が前記第1回転位置にあるときに前記線バネに接触して前記線バネを弾性変形させ、前記第2外周面部分は、前記規制部材が前記第2回転位置にあるときに前記線バネに接触して前記線バネを弾性変形させるものとすることができる。このようにすれば、第1回転位置および第2回転位置のそれぞれにおいて、突部は、線バネに面で接触する。よって、規制部材を、第1回転位置および第2回転位置のそれぞれに安定的に付勢できる。
【0012】
本発明において、前記稜線は、前記規制部材が前記第3回転位置にあるときに前記線バネに接触して前記線バネを弾性変形させるものとすることができる。このようにすれば、第3回転位置において、線バネと突部との接触が不安定となる。よって、規制部材が第3回転位置に留まることを抑制することができる。
【0013】
本発明において、前記規制部材は、前記本体部の前記フレームと対向する面に、前記回転軸を囲む円弧リブを備え、前記線バネは、前記第1回転方向に延びて前記回転軸から離隔する方向に湾曲する円弧の第1バネ部分、前記第1バネ部分の端から前記回転軸の側に向かって前記第1回転方向に延びる第2バネ部分、前記第2バネ部分の端から外周側に向かって前記第1回転方向に延びる第3バネ部分、および前記第3バネ部分の端から第1回転方向に延びて前記回転軸から離隔する方向に湾曲する第4バネ部分を備え、前記第1バネ部分と前記第4バネ部分とは、前記円弧リブを挟み、前記第2バネ部分と前記第3バネ部分とは、前記周方向において、前記円弧リブの2つの開放端の間に位置し、前記突部の前記第1外周面部分、前記第2外周面部分および前記稜線は、前記周方向において、前記円弧リブの2つの前記開放端の間に位置し、前記第1外周面部分は、前記規制部材が前記第1回転位置にあるときに前記第2バネ部分に接触して前記線バネを弾性変形させ、前記第2外周面部分は、前記規制部材が前記第2回転位置にあるときに前記第3バネ部分に接触して前記線バネを弾性変形させるものとすることができる。このようにすれば、第1バネ部分と第4バネ部分とが円弧リブを挟むので、線バネを規制部材に取り付けることが容易となる。また、このようにすれば、第2バネ部分が径方向に対して傾斜する傾斜角度を調整することにより、突部の第1外周面部分が第2バネ部分に接触したときの線バネの変形量を調整できる。これにより、規制部材が第1開口縁に付勢される付勢力を調整することができる。同様に、第3バネ部分が径方向に対して傾斜する傾斜角度を調整することにより、突部の第2外周面部分が第3バネ部分に接触したときの線バネの変形量を調整することができる。これにより、規制部材が第2開口縁に付勢される付勢力を調整することができる。
【0014】
本発明において、前記稜線は、前記規制部材が前記第3回転位置にあるときに前記第2バネ部分と前記第3バネ部分とが交わる屈曲部に当接するものとすることができる。このようにすれば、第3回転位置において、線バネと突部との接触が不安定となる。よって、規制部材が第3回転位置に留まることを抑制することができる。
【0015】
本発明において、前記本体部は、前記フレームと対向する対向面に、前記線バネの一方端を支持する第1バネ支持部と、他方端を支持する第2バネ支持部と、を備え、前記線バネは、前記第1バネ支持部と前記第2バネ支持部とに架け渡されたときに、前記回転軸から外れた位置を直線状に延びるものとすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、検氷レバーの降下を規制するための規制部材は、金属製の線バネの形状復帰力によって第1回転位置および第2回転位置に付勢される。よって、第1回転位置および第2回転位置に配置された規制部材が、各回転位置から移動することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】
図1の製氷装置において、検氷レバーを最下点位置まで移動させた状態を示す斜視図である。
【
図4】
図3とは別の方向から見た実施例1の製氷装置の分解斜視図である。
【
図5】実施例1における規制部材が第1回転位置にあるときの検氷レバーの動作を説明する図である。
【
図6】実施例1における規制部材が第2回転位置にあるときの検氷レバーの動作を説明する図である。
【
図7】実施例1の規制部材および線バネの斜視図である。
【
図8】実施例1の開口部および突部の斜視図である。
【
図9】実施例1における規制部材が第1回転位置にあるときの説明図である。
【
図10】実施例1における規制部材が第2回転位置にあるときの説明図である。
【
図11】実施例1における規制部材が第3回転位置にあるときの説明図である。
【
図12】実施例2の製氷装置において規制機構を分解した分解斜視図である。
【
図13】
図12とは別の方向から見た実施例2の製氷装置において規制機構を分解した分解斜視図である。
【
図14】実施例2の規制部材および線バネの斜視図である。
【
図15】実施例2の開口部および突部の斜視図である。
【
図16】実施例2における規制部材が第1回転位置にあるときの説明図である。
【
図17】実施例2における規制部材が第2回転位置にあるときの説明図である。
【
図18】実施例2における規制部材が第3回転位置にあるときの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明を適用した製氷装置の実施形態について説明する。
【0019】
(全体構成)
図1は、本発明を適用した製氷装置1の斜視図である。
図2は、
図1の製氷装置1において、検氷レバー4を最下点位置4Cまで移動させた状態を示す斜視図である。
図3は、製氷装置1の分解斜視図である。
図4は、
図3とは別の方向から見た製氷装置1の分解斜視図である。
図5は、規制部材60が第1回転位置6Aにあるときの検氷レバー4の動作を説明する図である。
図6は、規制部材60が第2回転位置6Bにあるときの検氷レバー4の動作を説明する図である。
【0020】
製氷装置1は、冷蔵庫の冷凍室に固定されて使用される。
図1に示すように、製氷装置1は、製氷皿2と、製氷皿2を支持する枠状のフレーム3と、フレーム3の内側で製氷皿2に下方に設けられた貯氷容器(図示せず)に貯まった氷の量を検知するための検氷レバー4と、フレーム3に支持される駆動部5と、検氷レバー4の移動を規制するための規制機構6とを有する。駆動部5は、冷蔵庫本体から電源が供給されるとともに、冷蔵庫本体に設けられた製氷制御部(図示せず)により制御される。
【0021】
図5に示すように、駆動部5は、所定のタイミングで検氷レバー4を待機位置4A(第1位置)から下方の検氷位置4B(第2位置)に向けて駆動して、貯氷容器に溜まった氷の量を検知する検氷動作を行う。製氷制御部は、検氷レバー4が検氷位置4Bより下方まで降下したときに、貯氷容器に貯まった氷の量が少ないと判断して、駆動部5によって製氷皿2を駆動させて、製氷皿2から氷を排出させる。これに対して、製氷制御部は、検氷レバー4が検氷位置4Bより下方まで降下しないときには、貯氷容器に貯まった氷の量が十分な満氷状態にあると判断して、製氷皿2からの氷の排出水を停止する。本形態において、駆動部5は、回転軸線Lを中心に製氷皿2を反転させる際に製氷皿2を捩ることによって、製氷皿2から氷を排出させる。
【0022】
以下の説明では、互いに直交する3方向をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向とする。X軸方向は回転軸線Lに沿った軸線方向である。また、Z軸方向は、製氷装置1の設置姿勢(
図1に示す姿勢)における上下方向である。X軸方向において、製氷皿2が位置する側をX1方向とし、駆動部5が位置する側をX2方向とする。Z軸方向において、上方をZ1とし、下方をZ2とする。また、Y軸方向において、検氷レバー4が位置する側をY1方向とし、その反対側をY2方向とする。
【0023】
(製氷皿)
製氷皿2は、樹脂製である。
図3および
図4に示すように、製氷皿2は、長方形の枠部25と、枠部25の内側に設けられた複数の貯水用凹部20と、を備える。貯水用凹部20は、Y軸方向に並ぶ2つの貯水用凹部20からなる組が、X軸方向に、複数、配列されている。枠部25は、複数の貯水用凹部20のX1方向に位置する第1側壁部21と、複数の貯水用凹部20のX2方向に位置する第2側壁部22と、複数の貯水用凹部20のY1方向に位置する第3側壁部23と、複数の貯水用凹部20のY2方向に位置する第4側壁部24と、を備える。
【0024】
第1側壁部21のY軸方向の中央には、X1方向に突出する軸部28が設けられている。軸部28は、回転軸線Lと同軸である。また、第1側壁部21のY1方向の端部には、X1方向に突出する突出部26が設けられている。第2側壁部22のY軸方向の中央部分には、駆動部5に連結される連結部29が設けられている。連結部29は、回転軸線L上に位置する。製氷皿2の下面には、製氷皿2の温度を検知するサーミスタ(図示せず)が配置される。サーミスタが製氷皿2の温度を検知することで、製氷皿2の貯水用凹部20に供給された水が凍ったか否かが製氷制御部により判断される。
【0025】
(駆動部)
図3および
図4に示すように、駆動部5は、フレーム3に連結された直方体状のケース51と、ケース51からX1方向に突出する出力軸52と、を備える。ケース51の内部には、駆動源となるモータと、モータの駆動力を出力軸52に伝達する回転伝達機構とが収容されている。出力軸52は、製氷皿2の連結部29に連結される。
【0026】
製氷皿2から氷を排出させる際、駆動部5は、出力軸52をR1方向に回転させる。これにより、製氷皿2は、上向きの製氷姿勢から斜め下向きの離氷姿勢に変化する。製氷皿
2を製氷姿勢に戻す時は、出力軸52をR2方向に回転させる。
【0027】
フレーム3は、樹脂製である。
図3および
図4に示すように、フレーム3は、長方形の枠形状を形成する第1壁部31、第2壁部32、第3壁部33および第4壁部34を備える。また、フレーム3は、第2壁部32の上端部分、第3壁部33のX2方向の上端部分、および第4壁部34のX2方向の上端部分を接続する矩形の支持フレーム部35を備える。駆動部5は、支持フレーム部35を介して、第2壁部32、第3壁部3のX2方向の端部分、および第4壁部34のX2方向の端部分に保持される。支持フレーム部35のX1方向には、支持フレーム部35のX1方向の端縁、第1壁部31、第3壁部33、および第4壁部34によって矩形の開口部38が区画されている。
【0028】
第1壁部31は、製氷皿2のX1方向に位置し、Y軸方向に延びる。第2壁部32は、駆動部5のX2方向に位置し、Y軸方向に延びる。第3壁部33は、製氷皿2および駆動部5のY1方向に位置し、X軸方向に延びて第1壁部31と第2壁部32とを接続する。第4壁部34は、製氷皿2および駆動部5のY2方向に位置し、X軸方向に延びて第1壁部31と第2壁部32とを接続する。
【0029】
第1壁部31は、板状の複数のリブが互いに連結された多孔性の壁である。第1壁部31は、製氷皿2の軸部28を回転軸線L回りに回転可能に支持する支持部310を備える。支持部310は、第1壁部31をX軸方向に貫通する円形の貫通穴である。製氷皿2は、軸部28が支持部310に支持され、連結部29が駆動部5の出力軸52に連結された状態で回転軸線L回りに回転する。
【0030】
第1壁部31の内側には、製氷皿2が回転軸線Lを中心にR1方向に回転した際、製氷皿2の突出部26に当接する被当接部(図示せず)が設けられている。
【0031】
第4壁部34のZ1方向の端部には、フレーム3を固定するための固定部36が設けられている。固定部36は、第4壁部34のZ1方向の端部から上方へ突出する。本例では、固定部36は、X軸方向に離れた2か所に設けられている。製氷装置1を冷凍室内に設置する際には、固定部36のそれぞれの貫通穴37にY2方向の側から固定ねじを貫通させて、冷凍室の内壁面のフレーム3を固定する。
【0032】
(検氷レバー)
図3および
図4に示すように、検氷レバー4は、駆動部5のY1方向の側面に連結される軸部41と、軸部41からX1方向に延びる第1アーム部42と、第1アーム部42のX1方向の端部から第1アーム部42に対して傾斜した方向に延びる第2アーム部43とを備える。駆動部5は、検氷レバー4を回転軸線L1周りに回転させ、
図1に示す待機位置4Aと、
図2に示す最下点位置4Cとの間を移動させる。
図1に示すように、待機位置4Aでは、第2アーム部43が斜め上方へ延びている。検氷レバー4は、検氷動作を行う際、待機位置4Aと最下点位置4Cとの間の検氷位置4B(
図5参照)で第2アーム部43のZ2方向の縁が略水平に延びて氷との接地面積が大きくなるように構成されている。
図5に示すように、検氷レバー4は、検氷動作を行う際、規制部材60が第1回転位置6Aにあるときに、検氷位置4Bより下方への降下が許容される。また、
図6に示すように、検氷レバー4は、検氷動作を行う際、規制部材60が第2回転位置6Bにあるときに、規制位置4Dより下方への降下が規制される。
【0033】
(規制機構)
図7は、規制部材60および線バネ70の斜視図である。
図8は、開口部81および突部82の斜視図である。
図3および
図4に示すように、規制機構6は、フレーム3の第3壁部33に設けられている。規制機構6は、フレーム3の第3壁部33に回転可能に支持
された規制部材60と、規制部材60に取り付けられた金属製の線バネ70と、フレーム3の第3壁部33において規制部材60の回転軸と同心に形成された円弧状の開口部81と、フレーム3の第3壁部33のY1方向の側の外側面33aに設けられた突部82と、を備える。
【0034】
規制部材60は、フレーム3の第3壁部33のY1方向の外側面33aに取り付けられる。
図3、
図4および
図7に示すように、規制部材60は、円形の本体部61と、本体部61の中心であってフレーム3の第3壁部33に対向する内面611(対向面)からY2方向に突出する軸部62と、本体部61の内面611からY2方向に突出する規制部63と、を備える。
【0035】
軸部62は、規制部材60の回転軸である。軸部62は、突部82に設けられ第3壁部33を貫通する軸穴83に挿入される。これにより、規制部材60は、フレーム3の第3壁部33に回転可能に支持され、軸部62の回転軸線L2を中心として回転する。また、軸部62を軸穴83に挿入した際、軸部62の先端には設けられた係止部64が、軸穴83の縁に係止される。これにより、規制部材60がフレーム3から外れることが防止される。
【0036】
規制部63は、回転軸線L2を中心とした周方向に厚みを持つ板形状である。規制部63は、開口部81を貫通してフレーム3の内側まで延びる。
図5および
図6に示すように、規制部材60は、規制部63が開口部81の周方向の一方の第1開口縁811に当接する第1回転位置6Aと、規制部63が開口部81の他方の第2開口縁812に当接する第2回転位置6Bとの間で移動する。言い換えれば、規制部材60は、第1回転位置6Aから第2回転位置6Bに向かう第1回転方向CCWに回転すると、規制部63は、開口部81の他方の第2開口縁812に当接する。規制部材60は、第2回転位置6Bから第1回転位置6Aに向かう第2回転方向CWに回転すると、規制部63は、開口部81の他方の第1開口縁811に当接する。
【0037】
また、
図3に示すように、規制部材60は、本体部61の外側面612にY1方向へ突出する操作部61aを備える。ユーザは、操作部61aを指で持って規制部材60を回転軸線L2周りに回転させることができる。
【0038】
また、
図7に示すように、規制部材60は、本体部61の内面611に、軸部62を囲む円弧リブ65を備える。円弧リブ65は、本体部61の内面611からY2方向に突出する。円弧リブ65は、2つの開放端65aを備える。また、円弧リブ65は、軸部62に対して、2つの開放端65aが設けられた側とは反対側に、壁部分66を備える。壁部分66は、第2回転方向CWを向くとともに、第1回転方向CCWに傾斜する第1壁面66aを備える。また、壁部分66は、第1回転方向CCWを向くとともに、第2回転方向CWに傾斜する第2壁面66bを備える。
【0039】
図7に示すように、線バネ70は、線状である。線バネ70は、円弧状の第1バネ部分71、第1バネ部分71に接続する直線状の第2バネ部分72、第2バネ部分72に接続する直線状の第3バネ部分73および第3バネ部分73に接続する円弧状の第4バネ部分74を備える。
【0040】
第1バネ部分71は、第2回転方向CWに向かって延びて軸部62から離隔する方向に湾曲する。第2バネ部分72は、第1バネ部分71の端から軸部62の側に向かって第2回転方向CWに延びる。第3バネ部分73は、第2バネ部分72の端から外周側に向かって第2回転方向CWに延びる。第4バネ部分74は、第3バネ部分73の端から第2回転方向CWに延びて軸部62から離隔する方向に湾曲する。
図7に示すように、第1バネ部
分71と第4バネ部分74とは、円弧リブ65を挟んでいる。これにより、線バネ70は、円弧リブ65に係合する。また、第2バネ部分72と第3バネ部分73とは、周方向において、円弧リブ65の2つの開放端65aの間に位置する。
【0041】
また、線バネ70は、第1バネ部分71の第2バネ部分72の側とは反対側の端から外周側に向かって第1回転方向CCWに延びる第1当接部分75と、第4バネ部分74の第3バネ部分73の側とは反対側の端から外周側に向かって第2回転方向CWに延びる第2当接部分76とを備える。第1当接部分75は、第1壁面66aに当接可能である。第2当接部分76は、第2壁面66bに当接可能である。したがって、第1当接部分75が第1壁面66aに当接する、または、第2当接部分76が第2壁面66bに当接することによって、線バネ70は、所定の範囲内において、円弧リブ65に対し回り止めされる。
【0042】
図3、
図4および
図8に示すように、突部82は、フレーム3の第3壁部33のY1方向の側の外側面33aからY1方向に突出する。
図8に示すように、突部82は、その外周面に、軸部62が挿入される軸穴83から離隔する方向に向かって第2回転方向CWに延びる第1外周面部分821と、第1外周面部分821の外周側の端から軸部62に接近する方向に向かって第2回転方向CWに延びる第2外周面部分822と、第1外周面部分821の外周側の端と第2外周面部分822の外周側の端とからなる稜線823と、を備える。第1外周面部分821、第2外周面部分822および稜線823は、周方向において、円弧リブ65の2つの開放端65aの間に位置する(
図9参照)。
【0043】
(規制機構の動作)
規制機構6の動作について説明する。
図9は、規制部材60が第1回転位置6Aにあるときの説明図である。
図10は、規制部材60が第2回転位置6Bにあるときの説明図である。
図11は、規制部材60が第3回転位置6Cにあるときの説明図である。なお、
図9~
図11は、規制機構6の本体部61を省略した状態でY1方向から見た図である。
【0044】
図9に示すように、規制部材60が第1回転位置6Aにあるときには、突部82は、線バネ70に接触して線バネ70を弾性変形させて規制部63を開口部81の第1開口縁811に付勢する。より具体的には、突部82の第1外周面部分821は、線バネ70の第2バネ部分72に接触して線バネ70を弾性変形させて規制部63を開口部81の第1開口縁811に付勢する。これにより、規制部材60は、第1回転位置6Aに保持される。
【0045】
また、
図10に示すように、規制部材60が第2回転位置6Bにあるときには、突部82は、線バネ70に接触して線バネ70を弾性変形させて規制部63を開口部81の第2開口縁812に付勢する。より具体的には、突部82の第2外周面部分822は、線バネ70の第3バネ部分73に接触して線バネ70を弾性変形させて規制部63を開口部81の第2開口縁812に付勢する。これにより、規制部材60は、第2回転位置6Bに保持される。
【0046】
また、ユーザが操作部61aを指で持って規制部材60を第1回転位置6Aから第2回転位置6Bに回転させる際、規制部材60が第1回転位置6Aと第2回転位置6Bとの間の第3回転位置3Cよりも第1回転方向CCWに位置する場合に、突部82の第2外周面部分822は、線バネ70の第3バネ部分73に接触して線バネ70を弾性変形させて規制部材60を第2回転位置6Bに向かって回転させる。
【0047】
ここで、
図11に示すように、第3回転位置6Cは、稜線823が第2バネ部分72と第3バネ部分73とが交わる屈曲部77に当接する位置である。すなわち、稜線823は、規制部材60が第3回転位置6Cにあるときに屈曲部77に当接する。したがって、ユーザが操作部61aを指で持って規制部材60を第1回転位置6Aから第2回転位置6B
に回転させる際、規制部材60が第3回転位置3Cを超えるまで回転すると、突部82の第1外周面部分821が線バネ70の第2バネ部分72に接触した状態から、突部82の第2外周面部分822が線バネ70の第3バネ部分73に接触した状態に変わる。これにより、線バネ70が規制部材60を付勢する方向が第2回転方向CWから第1回転方向CCWに切り替わる。この結果、規制部材60は、第2回転位置6Bに向かって回転する。
【0048】
さらに、ユーザが操作部61aを指で持って規制部材60を第2回転位置6Bから第1回転位置6Aに回転させる際、規制部材60が第3回転位置3Cよりも第2回転方向CWに位置する場合に、突部82の第1外周面部分821は、線バネ70の第2バネ部分72に接触して線バネ70を弾性変形させて規制部材60を第1回転位置6Aに向かって回転させる。より具体的には、ユーザが操作部61aを指で持って規制部材60を第2回転位置6Bから第1回転位置6Aに回転させる際、規制部材60が第3回転位置3Cを超えるまで回転すると、突部82の第2外周面部分822が線バネ70の第3バネ部分73に接触した状態から、突部82の第1外周面部分821が線バネ70の第2バネ部分72に接触した状態に変わる。これにより、線バネ70が規制部材60を付勢する方向が第1回転方向CCWから第2回転方向CWに切り替わる。この結果、規制部材60は、第1回転位置6Aに向かって回転する。
【0049】
図5に示すように、規制部63は、規制部材60が第1回転位置6Aにあるときに検氷レバー4の検氷位置4Bより下方への降下を許容する。より具体的には、規制部63は、規制部材60が第1回転位置6Aにあるときに、待機位置4A(第1位置)から検氷位置4B(第2位置)に向かう検氷レバー4の軌道から外れる。これにより、規制部63は、検氷レバー4の移動を規制しないので、検氷レバー4の検氷位置4Bより下方への降下を許容する。
【0050】
一方、
図6に示すように、規制部63は、規制部材60が第2回転位置6Bにあるときに検氷レバー4の検氷位置4Bより下方への降下を規制する。より具体的には、規制部63は、規制部材60が第2回転位置6Bにあるときに、規制位置に配置されて検氷レバー4に当接可能となる。これにより、検氷レバー4が待機位置4Aと検氷位置4Bとの間に設定された規制位置4Dまで降下したとき、検氷レバー4の第2アーム部43が規制位置に配置された規制部63に当接するので、規制部63は、検氷レバー4の検氷位置4Bまでの降下を規制する。
【0051】
(作用効果)
本例の製氷装置1は、規制部材60が検氷レバー4の降下を許容する第1回転位置6Aに配置されたときに、フレーム3に設けられた突部82が、規制部材60に取り付けられた線バネ70に接触して線バネ70を弾性変形させて規制部材60をフレーム3における開口部81の第1開口縁811に付勢する。すなわち、規制部材60は、第1回転位置6Aに配置されたときに、弾性変形により線バネ70が発揮する形状復帰力によって第1開口縁811に付勢される。したがって、振動などに起因して、規制部材60が第1回転位置6Aから移動することを抑制することができる。また、規制部材60が検氷レバー4の降下を阻止する第2回転位置6Bに配置されたときに、フレーム3に設けられた突部82が、規制部材60に取り付けられた線バネ70に接触して線バネ70を弾性変形させて規制部材60をフレーム3における開口部81の第2開口縁812に付勢する。すなわち、規制部材60は、第2回転位置6Bに配置されたときに、弾性変形により線バネ70が発揮する形状復帰力によって第2開口縁812に付勢される。したがって、規制部材60が第2回転位置6Bから移動することを抑制することができる。また、規制部材60を付勢するのは、金属製の線バネ70である。したがって、線バネ70が弾性変形を繰り返した場合でも、樹脂部材が弾性変形を繰り返す場合と比較して、破損し難い。よって、第1回転位置6Aおよび第2回転位置6Bに配置された規制部材60が、これらの回転位置から
移動することを抑制することができる。
【0052】
突部82は、規制部材60が第1回転位置6Aと第2回転位置6Bとの間の第3回転位置6Cよりも第1回転方向CCWに位置する場合に線バネ70に接触して線バネ70を弾性変形させて規制部材60を第2回転位置6Bに向かって回転させる。また、突部82は、規制部材60が第3回転位置6Cよりも第2回転方向CWに位置する場合に線バネ70に当接して線バネ70を弾性変形させて規制部材60を第1回転位置6Aに向かって回転させる。したがって、製氷装置1は、規制部材60が第1回転位置6Aから第3回転位置6Cの側に移動した場合でも、第2回転位6Bから第3回転位置6Cの側に移動した場合でも、規制部材60を第1回転位置6Aまたは第2回転位置6Bに戻すことができる。
【0053】
また、線バネ70は、第1バネ部分71と第4バネ部分74とが円弧リブ65を挟む。したがって、線バネ70を規制部材60に取り付けることが容易となる。また、突部82の第1外周面部分821は、規制部材60が第1回転位置6Aにあるときに第2バネ部分72に接触して線バネ70を弾性変形させ、突部82の第2外周面部分822は、規制部材60が第2回転位置6Bにあるときに第3バネ部分73に接触して線バネ70を弾性変形させるものとすることができる。したがって、第2バネ部分72が径方向に対して傾斜する傾斜角度を調整することにより、突部82の第1外周面部分821が第2バネ部分72に接触したときの線バネ70の変形量を調整できる。これにより、規制部材60が第1開口縁811に付勢される付勢力を調整することができる。同様に、第3バネ部分73が径方向に対して傾斜する傾斜角度を調整することにより、突部82の第2外周面部分822が第3バネ部分73に接触したときの線バネ70の変形量を調整することができる。これにより、規制部材60が第2開口縁812に付勢される付勢力を調整することができる。
【0054】
稜線823は、規制部材60が第3回転位置6Cにあるときに第2バネ部分72と第3バネ部分73とが交わる屈曲部77に当接する。したがって、第3回転位置6Cにおいて、線バネ70と突部82との接触が不安定となる。よって、規制部材60が第3回転位置6Cに留まることを抑制することができる。
【0055】
(実施例2)
次に、実施例2について説明する。実施例2の製氷装置1Aは、規制機構6の構成が実施例1の製氷装置1の規制機構6とは相違する。より具体的には、規制部材60および線バネ78の構成が異なる。実施例2では、実施例1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
図12は、実施例2の製氷装置1Aにおいて規制機構6を分解した分解斜視図である。
図13は、
図12とは別の方向から見た実施例2の製氷装置1Aにおいて規制機構6を分解した分解斜視図である。
図14は、実施例2の規制部材60および線バネ78の斜視図である。
図15は、実施例2の開口部81および突部82の斜視図である。
【0056】
(規制機構)
規制機構6は、実施例1と同様に、フレーム3の第3壁部33に設けられている。
図12および
図13に示すように、規制機構6は、フレーム3の第3壁部33に回転可能に支持された規制部材60と、規制部材60に取り付けられた金属製の線バネ78と、フレーム3の第3壁部33において規制部材60の回転軸と同心に形成された円弧状の開口部81と、フレーム3の第3壁部33のY1方向の側の外側面33aに設けられた突部82と、を備える。
【0057】
規制部材60は、フレーム3の第3壁部33のY1方向の外側面33aに取り付けられる。
図12、
図13および
図14に示すように、規制部材60は、円形の本体部61と、
本体部61の中心であってフレーム3の第3壁部33に対向する内面611からY2方向に突出する軸部62と、本体部61の内面611からY2方向に突出する規制部63と、を備える。
【0058】
軸部62は、規制部材60の回転軸である。軸部62は、突部82に設けられ第3壁部33を貫通する軸穴83に挿入される。これにより、規制部材60は、フレーム3の第3壁部33に回転可能に支持され、軸部62の回転軸線L2を中心として回転する。また、軸部62を軸穴83に挿入した際、軸部62の先端には設けられた係止部64が、軸穴83の縁に係止される。これにより、規制部材60がフレーム3から外れることが防止される。
【0059】
規制部63は、回転軸線L2を中心とした周方向に厚みを持つ板形状である。規制部63は、開口部81を貫通してフレーム3の内側まで延びる。規制部材60は、規制部63が開口部81の周方向の一方の第1開口縁811に当接する第1回転位置6Aと、規制部63が開口部81の他方の第2開口縁812に当接する第2回転位置6Bとの間で移動する。言い換えれば、規制部材60は、第1回転位置6Aから第2回転位置6Bに向かう第1回転方向CCWに回転すると、規制部63は、開口部81の他方の第2開口縁812に当接する。規制部材60は、第2回転位置6Bから第1回転位置6Aに向かう第2回転方向CWに回転すると、規制部63は、開口部81の他方の第1開口縁811に当接する。
【0060】
また、
図12に示すように、規制部材60は、本体部61の外側面612にY1方向へ突出する操作部61aを備える。ユーザは、操作部61aを指で持って規制部材60を回転軸線L2周りに回転させることができる。
【0061】
また、
図13および
図14に示すように、規制部材60は、本体部61の内面611に、線バネ78の一方端78aを支持する第1バネ支持部67と、他方端78bを支持する第2バネ支持部68とを備える。第1バネ支持部67は、線バネ78の径方向外側に位置して、線バネ78を支持する第1部分671と、線バネ78の径方向内側に位置して、線バネ78を支持する第2部分672と、を備える。径方向から見たときに、第2部分672は、第1部分671より内側に長い。第1部分671と第2部分672とで、線バネ78の一方端78aを挟むことによって、第1バネ支持部67は、線バネ78の一方端78aを支持する。
【0062】
図13および
図14に示すように、第2バネ支持部68は、線バネ78の径方向外側に位置して、線バネ78を支持する第1部分681と、線バネ78の径方向内側に位置して、線バネ78を支持する第2部分682と、を備える。径方向から見たときに、第2部分682は、第1部分681より内側に長い。第1部分681と第2部分682とで、線バネ78の他方端78bを挟むことによって、第2バネ支持部68は、線バネ78の他方端78bを支持する。
【0063】
また、第2部分672には、内側に窪む凹部673が設けられる。第2部分682には、内側に窪む凹部683が設けられる。凹部673および凹部683は、線バネ78において、第1バネ支持部67と第2バネ支持部68との中央部分が径方向外側に弾性変形した際、径方向内側に移動する線バネ78の一方端78aおよび他方端78bを収容する。
【0064】
線バネ78は、直線形状である。線バネ78は、第1バネ支持部67と第2バネ支持部68とに架け渡されたときに、軸部62から外れた位置を直線状に延びる。
【0065】
図12、
図13および
図15に示すように、突部82は、フレーム3の第3壁部33のY1方向の側の外側面33aからY1方向に突出する。
図15に示すように、突部82は
、その外周面に、軸部62が挿入される軸穴83から離隔する方向に向かって第2回転方向CWに延びる第1外周面部分821と、第1外周面部分821の外周側の端から軸部62に接近する方向に向かって第2回転方向CWに延びる第2外周面部分822と、第1外周面部分821の外周側の端と第2外周面部分822の外周側の端とからなる稜線823と、を備える。
【0066】
(規制機構の動作)
規制機構6の動作について説明する。
図16は、規制部材60が第1回転位置6Aにあるときの説明図である。
図17は、規制部材60が第2回転位置6Bにあるときの説明図である。
図18は、規制部材60が第3回転位置6Cにあるときの説明図である。なお、
図16~
図18は、規制機構6の本体部61を省略した状態でY1方向から見た図である。
【0067】
図16に示すように、規制部材60が第1回転位置6Aにあるときには、突部82は、線バネ78に接触して線バネ78を弾性変形させて規制部63を開口部81の第1開口縁811に付勢する。
【0068】
また、
図17に示すように、規制部材60が第2回転位置6Bにあるときには、突部82は、線バネ78に接触して線バネ78を弾性変形させて規制部63を開口部81の第2開口縁812に付勢する。これにより、規制部材60は、第2回転位置6Bに保持される。
【0069】
また、ユーザが操作部61aを指で持って規制部材60を第1回転位置6Aから第2回転位置6Bに回転させる際、規制部材60が第1回転位置6Aと第2回転位置6Bとの間の第3回転位置3Cよりも第1回転方向CCWに位置する場合に、突部82の第2外周面部分822は、線バネ78に接触して線バネ78を弾性変形させて規制部材60を第2回転位置6Bに向かって回転させる。
【0070】
ここで、
図18に示すように、第3回転位置6Cは、稜線823が線バネ78に当接する位置である。すなわち、稜線823は、規制部材60が第3回転位置6Cにあるときに線バネ78に当接する。したがって、ユーザが操作部61aを指で持って規制部材60を第1回転位置6Aから第2回転位置6Bに回転させる際、規制部材60が第3回転位置3Cを超えるまで回転すると、突部82の第1外周面部分821が線バネ78に接触した状態から、突部82の第2外周面部分822が線バネ78に接触した状態に変わる。これにより、線バネ78が規制部材60を付勢する方向が第2回転方向CWから第1回転方向CCWに切り替わる。この結果、規制部材60は、第2回転位置6Bに向かって回転する。
【0071】
さらに、ユーザが操作部61aを指で持って規制部材60を第2回転位置6Bから第1回転位置6Aに回転させる際、規制部材60が第3回転位置3Cよりも第2回転方向CWに位置する場合に、突部82の第1外周面部分821は、線バネ78に接触して線バネ78を弾性変形させて規制部材60を第1回転位置6Aに向かって回転させる。より具体的には、ユーザが操作部61aを指で持って規制部材60を第2回転位置6Bから第1回転位置6Aに回転させる際、規制部材60が第3回転位置3Cを超えるまで回転すると、突部82の第2外周面部分822が線バネ78に接触した状態から、突部82の第1外周面部分821が線バネ78に接触した状態に変わる。これにより、線バネ78が規制部材60を付勢する方向が第1回転方向CCWから第2回転方向CWに切り替わる。この結果、規制部材60は、第1回転位置6Aに向かって回転する。
【0072】
図5に示すように、規制部63は、規制部材60が第1回転位置6Aにあるときに検氷レバー4の検氷位置4Bより下方への降下を許容する。より具体的には、規制部63は、
規制部材60が第1回転位置6Aにあるときに、待機位置4A(第1位置)から検氷位置4B(第2位置)に向かう検氷レバー4の軌道から外れる。これにより、規制部63は、検氷レバー4の移動を規制しないので、検氷レバー4の検氷位置4Bより下方への降下を許容する。
【0073】
一方、
図6に示すように、規制部63は、規制部材60が第2回転位置6Bにあるときに検氷レバー4の検氷位置4Bより下方への降下を規制する。より具体的には、規制部63は、規制部材60が第2回転位置6Bにあるときに、規制位置4Dに配置されて検氷レバー4に当接可能となる。これにより、検氷レバー4が待機位置4Aと検氷位置4Bとの間に設定された規制位置4Dまで降下したとき、検氷レバー4の第2アーム部43が規制位置4Dに配置された規制部63に当接するので、規制部63は、検氷レバー4の検氷位置4Bまでの降下を規制する。
【0074】
(作用効果)
本例の製氷装置1Aは、実施例1の製氷装置1と同様に、規制部材60が、第1回転位置6Aに配置されたときに、弾性変形により線バネ78が発揮する形状復帰力によって第1開口縁811に付勢されるので、規制部材60が第1回転位置6Aから移動することを抑制することができる。また、本例の製氷装置1Aは、規制部材60が、第2回転位置6Bに配置されたときに、弾性変形により線バネ78が発揮する形状復帰力によって第2開口縁812に付勢されるので、規制部材60が第2回転位置6Bから移動することを抑制することができる。
【0075】
本例の製氷装置1Aは、実施例1の製氷装置1と同様に、規制部材60が第1回転位置6Aから第3回転位置6Cの側に移動した場合でも、第2回転位6Bから第3回転位置6Cの側に移動した場合でも、規制部材60を第1回転位置6Aまたは第2回転位置6Bに戻すことができる。
【0076】
また、突部82の第1外周面部分821は、規制部材60が第1回転位置6Aにあるときに線バネ78に接触して線バネを弾性変形させ、突部82の第2外周面部分822は、規制部材60が第2回転位置6Bにあるときに線バネ78に接触して線バネ78を弾性変形させる。したがって、第1回転位置6Aおよび第2回転位置6Bのそれぞれにおいて、突部82は、線バネ78に面で接触する。よって、規制部材60を、第1回転位置6Aおよび第2回転位置6Bのそれぞれに安定的に付勢できる。
【0077】
稜線823は、規制部材60が第3回転位置6Cにあるときに線バネ78に当接する。したがって、第3回転位置6Cにおいて、線バネ78と突部82との接触が不安定となる。よって、規制部材60が第3回転位置6Cに留まることを抑制することができる。
【0078】
規制部材60の本体部61は、フレーム3と対向する内面611に、線バネ78の一方端を支持する第1バネ支持部67と、他方端を支持する第2バネ支持部68と、を備える。したがって、線バネ78は、第1バネ支持部67と第2バネ支持部68とに架け渡されたときに、軸部62から外れた位置を直線状に延びるので、線バネ78を規制部材60に取り付けることが容易となる。
【符号の説明】
【0079】
1,1A…製氷装置、2…製氷皿、3…フレーム、4…検氷レバー、4A…待機位置(第1位置)、4B…検氷位置(第2位置)、4C…最下点位置、4D…規制位置、5…駆動部、6…規制機構、6A…第1回転位置、6B…第2回転位置、6C…第3回転位置、20…貯水用凹部、21…第1側壁部、22…第2側壁部、23…第3側壁部、24…第4側壁部、25…枠部、26…突出部、28…軸部、29…連結部、31…第1壁部、32
…第2壁部、33…第3壁部、33a…外側面、34…第4壁部、35…支持フレーム部、36…固定部、37…貫通穴、38…開口部、41…軸部、42…第1アーム部、43…第2アーム部、51…ケース、52…出力軸、60…規制部材、61…本体部、61a…操作部、62…軸部、63…規制部、64…係止部、65…円弧リブ、65a…開放端、66…壁部分、66a…第1壁面、66b…第2壁面、67…第1バネ支持部、68…第2バネ支持部、70…線バネ、71…第1バネ部分、72…第2バネ部分、73…第3バネ部分、74…第4バネ部分、75…第1当接部分、76…第2当接部分、77…屈曲部、78…線バネ、81…開口部、82…突部、82…突部、83…軸穴、310…支持部、611…内面、612…外側面、671…第1部分、672…第2部分、673…凹部、681…第1部分、682…第2部分、683…凹部、811…第1開口縁、812…第2開口縁、821…第1外周面部分、822…第2外周面部分、823…稜線、L…製氷皿の回転軸線、L1…検氷レバーの回転軸線、L2…規制部材の回転軸線